JP2017061473A - 生物学的物質の固定化のための生体適合性三次元マトリクス - Google Patents

生物学的物質の固定化のための生体適合性三次元マトリクス Download PDF

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Abstract

【課題】生体物質を保持する固相コーティング担体を製造する方法の提供。【解決手段】以下の工程を含む、生体物質を保持する固相コーティング担体を製造する方法。(a)固相担体を特定量のシランまたは別の適切なカップラーを含む溶液とともにインキュベーションし、その後溶液を除去する工程;(b)担体を生体物質を含有する好ましく緩衝化された水溶液とともにインキュベーションすることにより生体物質を担体に対して結合させ、その後水溶液を除去する工程;そして(c)(i)(ポリ)ペプチド、アミノ酸、スターチ、糖、ホスフェート、ポリアルコール、ポリエチレングリコールまたはこれらの混合物から選択される1またはそれ以上の物質を含む水溶液、(ii)イオン液体、または(iii)適合性溶質、またはそれらの混合物、中で担体をインキュベーションして、それにより生体物質を被覆する工程。【選択図】なし

Description

本発明は、生体物質を保持する固相コーティング担体を製造する方法に関する。さらに、本発明は、生体物質を結合させる固相コーティング担体および医薬品の調製のための固相コーティング担体の使用に関する。さらに、本発明は、患者の血液、リンパ、または脳脊髄液、またはそれらの部分を接触させ、濾過し、または清浄化するための方法、疾患の診断のための方法、および診断組成物を提供する。
様々な書類を、本明細書を通じて引用する。製造者のマニュアルを含めそのような書類の開示内容を、その全体を参照により本明細書中に援用する。
例えば、モノクローナル抗体またはその他の分子の全身性適用は、腫瘍患者、代謝異常、免疫疾患またはその他の疾患の治療のための、重要で成長しつつある分野である。しかしながら、これらの分子の全身性適用は、極めて高価であり、そしてしばしば重度の副作用および死亡率の増加と関連している。さらに、注射された生物学的製剤の運命は、しばしば曖昧であり、そして重度の副作用は、個々の患者において予見することができない。
新規な治療手順の適用についての選択肢は、固定化抗体を用いた(医療)機器を使用することである。この手順は、標準的な治療法を超える利点を有し、ひょっとすると全身性投与の有害作用なしに、抗体の機能的特性を使用する。従って、抗体を全身的に使用することによりしばしば観察される重度の副作用は、(医療)機器に基づいてこの安全な手順を使用することによっては見られない。生理学、免疫系、免疫細胞またはその他の血液成分、または浮遊性の腫瘍細胞を、規定表面上の高度に規定量の固定化生体物質を用いて操作することを目的として、血流中でそのような機器を一過性に適用することまたは永久的に適用することは、例えば、規定量中の規定密度の生体物質を意味するが、特定の薬物の全身性投与に伴う重い負担を回避することができる。
Remicade(登録商標)などの不活性化抗体を使用することによりTNFαを不活性化する
治療が、当該技術分野において記載されている。しかしながら、そのような抗体を患者に対して単純に投与することは、重度で致死的でさえある副作用(盲目、ショック、アレルギー反応など)と関連することが知られている。さらに、完全な抗体またはそのフラグメントまたは誘導体の投与は、抗体に対するヒト患者の免疫反応による抗体の不活性化を減少させまたは回避するため、抗体のヒト化および/またはその他の修飾を必要とする。
当該技術分野において記載されるさらなるアプローチが、“TheraSorb(登録商標)”
(Miltenyi Biotech GmbH, Bergisch-Gladbach, Germany)の名の下に知られている;R. Bambauer et al., Ther Apher Dial. 2003, 7(4):382-90およびG. Wallukat et al., International Journal of Cardiology, 1996, 54 (2):191-195を参照。TheraSorb(登録商
標)を使用して、LDL-コレステロール、免疫グロブリン、免疫複合体、抗体フラグメント、またはフィブリノーゲンを除去する。この方法において使用されるアフェレーシスカラムは、ポリクローナル抗体を結合させたセファロースを含有する。手順には、血漿をカラムに送達するための細胞分離が必要である。これは非常に高価な出費であるため、これは、このシステムの主要な欠点である。流速は遅く、そして従って非常にわずかな量の血漿しか処理されない。このシステムはまた、その複雑性のために非常に高価である。
R. Bambauer et al., Ther Apher Dial. 2003, 7(4):382-90 G. Wallukat et al., International Journal of Cardiology, 1996, 54 (2):191-195
上述の検討は、記載される疾患の治療のためにこれまで利用可能であった方法およびシステムは、実施するためには、重度の副作用またはかなりの負担のいずれかと関連することを示している。従って、本発明の裏にある技術的な課題は、患者を細胞やタンパク質などの生体物質を用いて治療し、それによりこの状況を改善することができる、手段および方法を提供することであった。この技術的課題に対する解決は、請求の範囲において特徴づけられる態様により、達成される。
従って、本発明は、以下の工程:
(a)固相担体を0.1〜10%(w/w)または0.1〜10%(v/v)の少なくとも1つのシランまたは別の適切なカップラーを含む溶液とともにインキュベーションし、その後溶液を除去する工程;
(b)担体を生体物質を含有する好ましく緩衝化された水溶液とともにインキュベーシ
ョンすることにより生体物質を担体に対して結合させ、その後水溶液を除去する工程;そして
(c)(i)(ポリ)ペプチド、アミノ酸、スターチ、糖、ホスフェート、ポリアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)またはそれらの混合物から選択される1またはそれ以上の物質を含む水溶液、(ii)イオン液体、または(iii)適合性溶質、またはそれらの
混合物、中で担体をインキュベーションして、それにより生体物質を部分的にまたは完全に1またはそれ以上の物質により被覆する工程;
を含む、生体物質を保持する固相コーティング担体を製造する方法を、第一の態様において提供する。
工程(a)、工程(b)、および工程(c)は、上述した順番に行われる。
図1: 生体物質の固定化のためのコーティング手順のスキーム。抗体または細胞(またはフラグメント)などの生体物質のための手順およびストレス条件下でのそれらの機能的維持のための手順が例示される。この図は、滅菌および追加の洗浄工程をも含む好ましい方法を示す。 図2: 添付の実施例1において記載される実験結果を示す、フローサイトメトリードットブロット解析。この解析は、EO-滅菌後の抗体-媒介性アポトーシス誘導の維持を示す。 図3: 治療用と寄進トラップ(例えば、ジオキシントラップ)についての例のスキーム図。例示されたデザインは、低い血流量およびプライミング容量を可能にする。このように、Sheldonカテーテルなどの様々なカテーテルシステムにおいて、例えば、外傷、ショック、および敗血症および救命救急診療におけるその他の状況の後/あいだに、使用することもできる。 図4: 固定化抗体(例えば、CD95に対する抗体)を有するポリウレタンフォームを持つプラスチックハウジングからなる(医療)機器についての例のスキーム図。好中球は、コーティングにより埋め込まれる抗体に対して一過的に付着することができる。抗体の結合は、好中球の不活性化のためのシグナルを誘導することができる。
用語“固相担体”は、本発明の文脈において、固体材料の担体を規定する。担体の材料
は、小型構造または多孔性構造のいずれであってもよい。本明細書中の以下に記載するように、担体は、ガラス、ポリウレタン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリアクリルニトリル、ポリアミド、PMMA、フリース詰め綿(fleece wadding)、開放性多孔質発泡性(open porous foam)プラスチック、またはガラスおよび網状のプラスチックまたはガラス、および海綿(海綿動物)由来の構造物、からなる群から選択される材料のものであることが好ましい。
本発明による用語“好ましく緩衝化された”は、好ましく緩衝化された溶液に言及する。
本発明の文脈において、用語“生体物質”は、生きている生物または死んでしまった生物またはそれらの部分から単離される材料、または人工生物学的システムにおいて産生可能な材料、および化学的に修飾されたその誘導体、を記述する。人工生物学的システムについての例は、核酸分子または(ポリ)ペプチドのin vitro合成のための手段、または組換えDNA技術による産生のための手段を含む。本明細書中の以下において詳細に記載され
るように、そのような生体物質についての例は、真核細胞、真核細胞のフラグメント、原核生物、原核生物のフラグメント、古細菌、古細菌のフラグメント、ウイルス、およびウイルスフラグメントを含む。記載される真核細胞のフラグメント、原核生物のフラグメント、古細菌のフラグメントおよびウイルスフラグメントは、1またはそれ以上の(ポリ)
ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖、またはいずれかの組合せを含む。それらが天然に対応物を見いだせず、そして例えば、(半)合成的にまたは組換え的に産生される(以下を参照)場合、(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドおよび多糖は、あるいは、生体物質という用語によっても包含される。
本明細書中で使用される場合、用語“(ポリ)ペプチド”は、ペプチドの群ならびにポリペプチドの群を含む、一群の分子を記述する。ペプチドの群は、30アミノ酸までの分子からなり、ポリペプチドの群は、30より多いアミノ酸を有する分子からなる。本発明にしたがって、“ポリペプチド”の群は、“タンパク質”を含む。同様に、定義にしたがって、用語“(ポリ)ペプチド”は、タンパク質のフラグメントを記述する。この用語の定義は、二量体、三量体、およびそれより高次のオリゴマーである、すなわち、1よりも多い
のアミノ酸分子の鎖(結合アミノ酸の鎖)からなるポリペプチドをさらに含む。本明細書中で上述したように、タンパク質が真核細胞、原核生物、古細菌およびウイルスから単離される場合、タンパク質は、真核細胞のフラグメント、原核生物のフラグメント、古細菌のフラグメント、およびウイルスのフラグメントとしても理解される。この用語はまた、組換えDNA技術、または例えば記載される化合物の産生のための細胞を使用するその他の
技術、により産生される(ポリ)ペプチドにも適用される。
本発明の文脈において、用語“オリゴヌクレオチド”は、少なくとも10個、そして30個までのヌクレオチドからなる核酸分子を記述する。用語“ポリヌクレオチド”は、30より多いヌクレオチドからなる核酸分子を記述する。本明細書中で記載されるオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドは、DNA、RNA、PNAなどであってもよい。ポリヌクレオチド
に包含される分子群は、完全な遺伝子または染色体、そしてそれらのフラグメントも含む。クローニングベクターおよび発現ベクターなどのベクターも、その定義により包含される。
本発明の文脈において、用語“多糖”は、2または2よりも多い単糖類からなるポリマーを規定し、そして従って、それにはオリゴ糖として当該技術分野において知られる分子も含まれる。そのような多糖は、分岐単糖類または非-分岐単糖類の鎖から構成されていて
もよい。
本発明の文脈において、用語“シラン”は、国際純正応用化学連合(International Un
ion of Pure and Applied Chemistry、IUPAC)の定義にしたがって使用され、そしてシリコンマトリクスおよび水素からなる化合物群を記述する。この定義に従ったシランは、分岐型(イソ-シランおよびネオ-シラン)または非-分岐型(n-シラン)であってもよい。
適切なカップラーまたはカップリング試薬は、ジアミノアルカン類(例えば、1,6ジア
ミノヘキサン)、ジカルボン酸(例えば、1,6ヘキサン二酸)、または例えば、シアノ基
、アミノ基またはカルボキシル(carbogyl)基により官能化されたポリエチレングリコールなどの、2官能化有機分子または多官能化有機分子である。
本発明の文脈において、用語“体液”は、患者、好ましくはヒト患者、由来のサンプルにおいて誘導可能な液体を規定する。その様な体液の例は、血液、リンパまたは脳脊髄液、またはそれらの部分を含み、例えば、血液血漿またはアルブミンを含む液体画分、ならびに濃縮白血球(例えば、白血球除去輸血由来のもの)を含む。
本発明全体を通じて使用される場合の用語“患者”は、病気の被検体または疾患を有する被検体、ならびに健康被検体を含む。本発明に従う患者は、医学的な配慮、医学的ケア、または医学的治療を受けるいずれかのヒトである。ヒトは、必ずというわけではないが、最もしばしば病気であるかまたは傷害をうけており、そしてその様な場合、医師またはその他の医学的専門家により治療を必要としている。その他の用語において、用語“患者”は、病気であってもなくてもよい“被検体”により互換的に使用される。被検体は、動物であってもよく、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトである。上述にしたがって、例えば患者は、急性または日常的に、疾患状態または健康状態について診断を受ける健康なヒトでもある。その他の用語において、本発明を使用して、患者が、特定の疾患(または疾患の組合せ)に罹患しているかどうか、そしてそのような疾患または疾患の組合せを発症する傾向があるか否か、を見出すことができる。
溶液の除去は、溶液の質的除去と理解される。このように、溶液は、少なくとも残存溶液が本発明の方法のその後の工程において使用される溶液の量を顕著に変化しない程度に、除去される。除去は、例えば、吸引、例えば、ピペットを接続することができる従来型のポンプ等を使用することにより、圧縮または吹きつけにより、行うことができる。場合により、そのような工程を組合せ、そして風乾とさらに組み合わせてもよい。好ましくは、溶液は、少なくとも95%(例えば、少なくとも98%または少なくとも99%、99.5%または99.8%)の量が除去される。
用語“インキュベーションする”とは、担体に対して結合するかまたは担体に付着された工程(a)および/または工程(b)において言及される分子層に対して(場合によっては間接的結合を介して)、工程(a)〜工程(c)に記載される化合物を結合させる条件下、インキュベーションすることを意味する。インキュベーション条件には、インキュベーションを工程および温度に依存して20分〜12時間行う条件が含まれる。一般には、抗体は、IgM抗体が安定である最大温度である37℃にて、1時間インキュベーションする。IgG抗
体は、50℃までインキュベーションできる。温度範囲は、工程およびインキュベーション時間に依存して、4℃〜50℃であってもよく、好ましくは20〜37℃である。工程(a)において室温で20分間の期間、工程(b)においては37℃にて1時間、そして工程(c)におい
ては室温で1時間、インキュベーションを行うことが好ましい。手順を促進しまたは結果
を向上させるため、インキュベーション時間および温度をインキュベーション中に使用する物質にしたがって変化させることができることが理解される。例えば、メタノールを工程(a)における溶媒として使用する場合、温度をメタノールが蒸発しないようにおよそ20℃付近の低さ(例えば、約15〜約25℃)に維持しなければならない。
用語“室温”が、位置および外気温に依存して、異なる温度を意味する可能性があるこ
とを、当業者は理解する。通常は、室温は、17〜23℃の範囲である。
本発明の方法の工程(a)において記載される溶液は、水溶液または非-水溶液のいずれであってもよい。本発明の方法にしたがって、工程(a)中の水溶液は、シランに加えて
、希釈されたタンパク質を含んでもよく、そして希釈された構成成分(糖またはアルコールなど)をさらに含んでもよい。この文脈において好ましいタンパク質は、アルブミンである。本発明に従うアルブミンは、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト由来のアルブミン、および植物種子由来のアルブミンを含む。アルブミンは、哺乳動物において、血清の主要な構成成分を形成する。本発明に従うアルブミンのさらなる例は、動物におけるα-ラクトアルブミンおよびオボアルブミン、エンドウ由来のレギュメリン(legumelin)、コムギ、ライムギまたはオオムギ由来のロイコシン(leucosin)、またはマメ科植物由来のレギュメリン(legumelin)である。潜在的なアレルゲンの場合、アルブミン
は加水分解され、特にヒトまたはその他の動物の身体との適合性を向上することが好ましい。同一のことが工程(a)の選択的な態様における非-水溶液についても当てはまる。
本発明の文脈において、用語“水性溶媒”は、H2Oには限定されず(しかしこれを含む
が)、しかし水と混合可能な、したがって均一相を形成することができる、親水性溶媒にまで拡張される。
水性溶媒の例は、H2O、メタノール、エタノール、またはより高次のアルコールまたは
それらの混合物を含むが、これらには限定されない。非-水性溶媒の例は、ジメチルスル
ホキシド(DMSO)、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびエチルベンゼンを含み、またはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、またはこれらの組合せなどの脂肪族溶媒を含むが、これらには限定されない。
工程(a)における溶液の溶媒は、H2O、メタノール、エタノール、またはこれらの組合せ、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびエチルベンゼン、またはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、またはこれらの混合物であることが好ましい。工程(a)の溶液の最も好ましい溶媒は、メタノールまたはエタノールである。した
がって、溶液は、溶媒を含む溶液を意味し、そして水溶液は、親水性溶媒を含む溶液を意味する。
本発明にしたがって、この方法の工程(a)における少なくとも一つのシランの濃度は
、0.1〜10%(w/w)または(v/v)の範囲であり、ここで、この範囲は、溶液中のすべて
のシラン類の濃度を同時に規定する。言い換えると、1つ以上のシランを使用する場合、
すべてのシランの寄与を一緒にすると、0.1〜10%(w/w)または(v/v)の範囲である。
好ましくは、濃度は、0.5〜5%(w/w)または(v/v)の範囲である。
本発明の方法の工程(b)にしたがう生体物質の固相担体への結合は、材料の担体上へ
の固定として理解される。固定は、生体物質の固相担体への直接的結合を介して行われてもよい。あるいは、固定は、固相担体を覆う1またはそれ以上のシランの層などの第3の化合物を介した間接的結合を介して行われてもよい。本発明にしたがって用語“覆う”は、固相担体を完全に被覆すること、および固相担体を部分的に被覆することを含む。両方の選択肢において、結合は、共有結合を介した結合であっても、非共有結合を介した結合であってもよい。本発明にしたがって、共有結合は、例えば、生体物質と担体材料とのあいだの化学反応またはシラン(被覆担体材料)と生体物質とのあいだの化学反応により、達成することができる。後者の場合、シランは、分子架橋の様に作用する。非共有結合についての例は、ファン-デル-ワールス結合またはその他の極性結合などの弱い結合を含む。そのような非共有結合は、例えば、(ポリ)ペプチドとポリエチレン表面を有する固相担体とのあいだで生じる。
好ましくは、例えば抗体などの生体物質の結合のための水溶液は、緩衝化されており、そして低塩含有量である。本発明にしたがう低塩含有量は、0.9%(w/w)またはそれ未満の塩濃度として定義され、好ましくは0.2%(w/w)未満として定義される。一般的には、しかし排他的にではなく、IgG型およびIgY型については、より塩基性のバッファー、例えば、水中15 mM炭酸ナトリウムおよび35 mM炭酸水素ナトリウムから構成されるバッファー(pH 9)が有用である一方、IgMの結合のためには、より中性のバッファー(pH 7.0〜7.4)、例えば、PBSなどのリン酸バッファーが好ましい。
工程(b)中の生体物質が本発明の方法の工程(c)にしたがって水溶液中で結合する担体のインキュベーションのために、生体物質をコーティング層/コーティングマトリクス中に包埋する。包埋により、生体物質の接触可能な表面は最小化される。このことは、接触可能な表面が、部分的にまたは完全に覆われていることを意味する。本発明全体において使用される場合、“完全に覆われる”は、生体物質の接触可能な表面上の全ての可能性のある結合部位が、占有される/覆われることを意味する。非-特異的結合の場合、生体
物質を完全に覆っている分子は、非特異的に結合する。したがって、部分的に覆われている場合、接触可能な表面の特異的結合部位または非特異的結合部位の一部のみが、覆われる。部分的な被覆または完全な被覆の結果として、生体物質は、その他物質に対してならびに放射線などの非-物質的影響に対して、それ以上は接触可能ではなく、または両方へ
の接触可能性は少なくとも低下する。
工程(c)の水溶液は、好ましくは、上述したように低塩分含量のものである。場合に
よっては、それは緩衝化されていてもよい。
本発明の方法の工程は、それぞれの溶液を交換するバッチ中で行うことができる。
本発明の方法は、マトリクスでコーティングされる固相担体を提供し、その中に記載される生体物質を包埋する。本発明から予想される包埋された生体物質を含むそのような固相コーティング担体の態様および本発明の方法の2つの好ましい態様は、図1のスキーム図中に示される切片中で例示される。
本発明の方法により製造される固相担体は、治療および診断において使用することができる。
そのような治療は、ダイオキシン、ボツリヌス毒素、破傷風毒素、LPS、腐敗毒などの
毒素から、体液の解毒をすることを含む。担体はまた、細菌性疾患またはウィルス性疾患の治療において有用であってもよい。本発明の方法により製造される担体の想定される代わりの用途の一つは、患者の特定の細胞の刺激、排出、または除去を必要とする治療における用途である。特定の細胞集団の排出は、例えば、増殖性疾患の治療(例えば、一般的には癌の治療、そして具体的には微小残存癌の治療)において、自己免疫疾患の治療において、または器官移植後の疾患の治療において、意図される場合がある。特定の細胞集団の刺激は、例えば、刺激後に特定の疾患細胞集団を排出するために適している免疫系の細胞の活性化により行われる疾患の治療において、想定される可能性がある。さらなる治療アプローチは、遺伝子的に操作されたか、またはその他の方法で操作された(例えば、サイトカイン、酪酸、ホルボールミリスチン酸アセテート、またはすべてトランスのレチノイン酸などの合成化合物または天然化合物と一緒のインキュベーションにより、または熱ショック、冷凍保存、遠心分離などの物理的操作により、識別された)組換えドナー細胞または非操作ドナー細胞を包埋した固相コーティング担体を使用する。包埋された細胞は、内分泌性障害または代謝的障害を低減しまたは治療する、ホルモンなどの化合物を分泌することができる。上述した治療のための例は、本明細書の以下に詳細に記載する。したがって、(医療)機器の文脈において、固相コーティング担体を含む装置を、in vivo用
途のために患者体内に移植することができる。ex vivoの用途のためには、固相コーティ
ング担体を含む装置を処置すべき体液の循環と接続することができる。患者の動脈または
静脈に由来する血液を、例えば、そのような装置を介して導き、そしてその後患者体内に導管から戻すことができる(血流との接続)。あるいは、体液サンプルは、in vitroで担体と共にインキュベーションすることができる。後者の処置の次の工程において、体液を患者の体内に再導入することができる。
本発明の方法により製造された固相担体の診断用途は、例えば、体液中の毒素または特定の細胞集団の検出を必要とする診断方法である。本発明にしたがって製造される固相コーティング担体を使用する診断用途は、毒素または特定の細胞集団の定量的検出において有用である可能性がある。そのような用途において、抗体などの単一のタイプの生体物質を結合させた担体を使用することができる。患者由来の規定量の体液とともにそのような担体をインキュベーションすることにより、サンプル中の結合された生体物質により検出される化合物量を解析した後、患者の完全な身体に対して化合物量を定量的に外挿することができる。例えば、多数の異なる種類の生体物質を結合させた担体を使用することにより、毒素または特定の細胞集団の定性的検出を行うことができる。固相コーティング担体を患者由来の体液と共にインキュベーションしたのち、どの毒素または細胞集団がサンプル中の結合した生体物質により特異的に結合され/検出されるかを、当業者は解析することができる。
上述の治療アプローチにおいて、包埋された生体物質は、固相担体上での生体物質の固定のため、体液中に結合/固定化生体物質を放出することなく、例えば、血液、リンパ、または溶液(liquor)に対する治療的影響力を有するだろう。有意な量の結合/固定化生体物質が体液中に放出されないことが好ましい。したがって、治療用または診断用生体物質の必要とされる量を最小化する。治療用または診断用生体物質を固定化することにより、循環性の活性生体物質により引き起こされる薬物動態的問題もまた、最小化される。
本発明の方法により、明確に規定した密度の生体物質を担体の表面に包埋した担体を製造することができる。したがって、製造された担体のマトリクス中に包埋された生体物質の効率を、明確にそして再現性よく規定することができる。さらに、本発明の方法にしたがって作製した担体を使用する治療により、例えば、担体を含む(医療)機器を体液循環と接続することにより治療の明確な開始を可能にし、そして例えば、装置を体液循環から切断することにより、治療の明確な終了を可能にする。
本発明の方法により作製した担体のさらに優れた特徴は、従来法により作製された材料と比較して、包埋された生体物質の安定性(保管寿命)が改善されたことである。出願人はどのような理論によって縛られることも求めていないが、この改善は、変性プロセスのために接触可能なその表面を部分的にまたは完全に覆うことにより、生体物質の接触可能な表面を減少させるコーティングマトリクスを提供することにより達成されると考えられる。この理解にしたがって、周辺のコーティングマトリクスにより、包埋された生体物質を、その構造中で保護し、そして支持する。例えば、抗体をコーティングしたのちに担体に対して適用された第2層がそれらを保護しそして安定化しているため、本発明の担体に
コーティングした抗体の分解または変質を、遅らせまたは阻害する。
本発明の方法および作製されたコーティングされた担体の別の優れた特徴は、本発明の方法の工程(c)における担体に適用されるコーティング層が、作製された担体の滅菌に
対して効力を有するという事実である。したがって、本発明は、一般的には同等に不安定でありそして変化しやすい生体物質によりコーティングされた固体コーティング担体を作製する方法を初めて開示する。このコーティング担体を滅菌し、そしてしたがって患者の治療において、または無菌の環境が必要である方法において、適用することができる。第2層またはコーティングマトリクスは、上述したようにそして添付の実施例において示さ
れるようにその安定性を向上させることに加えて、担体にコーティングした生体物質がβ
線照射、γ線照射、またはX線照射により分解することを防ぐだろう。
本発明の好ましい態様において、この方法はさらに工程(c)の後に工程(d)を含む:
(d) 残留水分含量が<20%(w/w)になるまで担体を乾燥させる工程。
本発明のこの好ましい態様にしたがって、木材の水分含量を決定するために既知である方法にて、残留水分含量を算出することができる。木材の場合、木材の水分含量%(x)
を、サンプル中の水分量(mw)と水含有木材サンプル量(mu)とのあいだの比率に100を
掛けることで算出することにより、決定する。サンプル中の水分量(mw)を、水分含有木材サンプル量(mu)からその乾燥後のサンプル量を差し引くことにより、決定することができる。したがって、木材の水分含量%は、以下の式により算出される:
担体調製物の残留水分含量を、同様にして決定することができ、ここでmwは担体サンプル中の水分量であり、そしてmuはサンプルの完全な乾燥後の担体サンプル量である。海綿状担体の場合、mwはポアの過剰量の水を絞り出した後に測定する。
本発明の別の好ましい態様において、この方法はさらに工程(a)の後に工程(a')を
含む:
(a') 残留溶液含量がもともと適用した溶液の10%未満、好ましくは5%未満、より
好ましくは2%未満、例えば1%未満、0.5%未満、または0.2%未満、になるまで担体を乾燥させる工程。好ましい乾燥方法は、上述されるとおりである。風乾により乾燥させることが最も好ましい。
本発明の方法は、工程(b)に続いて、そして工程(c)の前に、工程(b')をさらに含んでもよい:
(b') ブロッキング剤を含有する緩衝化水溶液中で担体をインキュベートし、そして水溶液を除去する工程。
この方法の次の工程において添加される材料の非特異的結合を防止するため、ブロッキング剤を、固相担体を製造するためのこの方法において使用することができる。このブロッキングは、工程(c)にしたがって水溶液中の担体のインキュベーションの前に、生体
物質の立体配座安定性に対する積極的な作用を有する可能性もある。
本発明にしたがうブロッキング剤は、ヒトまたは動物の血清およびその血清のタンパク質(例えば、アルブミン)、ミルク、卵タンパク質、それらのタンパク質の加水分解物(例えば、ゼラチン、コラーゲン)を含む植物由来タンパク質(例えば、ダイズ、コムギ)、を含むが、これらには限定されない。そのブロッキング剤を含有する緩衝化水溶液はまた、アミノ酸(好ましくはグリシン、アスパラギン酸および/またはグルタミン酸、プロリン、アルギニン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、カルニチン、オルニチン、ヒドロキシプロリン、システイン、ホモシステイン、シトルリン、イヌリン、フェニルアラニン、リジン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、メチオニン、セリン、バリン、チロシン、トレオニン、トリプトファン)、またはこれらのアミノ酸の誘導体(例えば、n-アセチル-トリプトファン、β-アラニン、メラニン、DOPA)、糖類(好ましくはグルコース、サッカロース、スクロース)、ポリアルコール(好ましくはソルビトール、マンニトール、グリセロール、キシリトール)、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルスターチ(HES)、ホスフェート(例えば、リン酸2
水素ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム)、両親媒性物質(好ましくはポリソルベート
やTriton X-100、バッファー(好ましくはTRIS、HEPES)など)を含むことができる。
好ましくは、ブロッキング剤を含む水溶液は、緩衝化されそして上述したように低塩含有量のものである。本発明にしたがうブロッキング剤を含む緩衝化水溶液についての例は、添付する実施例において記載する。ブロッキングは、通常は1〜4時間、好ましくは1時
間、好ましくは室温で行う。
工程(b')の代わりに、本発明の方法は、工程(b)に続いて、そして工程(c)の前に行われる、工程(b'')を含む:
(b'') (ポリ)ペプチド(例えば、アルブミン、ゼラチン、またはコラーゲン)、
ヒドロキシエチルスターチ(HES)、マンニトール、ソルビトールおよびポリエチレング
リコール(PEG)、ミルク、ダイズ、コムギまたは卵由来タンパク質からなる群から選択
される物質、0.5〜10%(w/w)を含有する水溶液を使用して、非結合の結合部位をブロッキングする工程。
さらにずっと好ましい態様において、上述した工程(b)のために適したものとして規
定される、水溶液を用いた1またはそれ以上の洗浄工程を、ブロッキングの後に行うこと
を、工程(b')または工程(b'')がさらに含む。この態様において適切な水溶液は、例
えば、1%ヒトアルブミンを含むPBSである。この1またはそれ以上の洗浄工程は、過剰な
ブロッキング剤を除去するために行われる。洗浄は、通常は、10秒間〜10分間、好ましくは室温で、担体の表面に依存して、行われる。
さらに好ましい態様において、工程(c)における担体は、アルブミン、ヒドロキシエ
チルスターチ(HES)、マンニトール、ソルビトール、およびポリエチレングリコール(PEG)、およびシャペロンからなる群から選択される、1またはそれ以上の物質を含む水溶
液中でインキュベートされる。シャペロンは、タンパク質の折り畳みプロセス、輸送、または転位を補助するタンパク質として、またはその他のタンパク質と接触した場合に防御特性を示すタンパク質として、当該技術分野において一般的に知られている。それらは、原核生物においても、真核細胞においても、見出される。シャペロンの有名な例は、Hsp 60およびHsp 10、Hsp 70、Hsp 90およびHsp 100などの、熱ショックタンパク質のファミ
リーに属するタンパク質である。その他のシャペロンは、細菌GroES/GroEL複合体または
哺乳動物DnaKタンパク質である。
適合性の溶質としても知られるシャペロンは、超好塩性細菌中にも存在する。それらは、大きな水和殻を形成する両性の水-結合性有機分子であり、そして好極限性微生物にお
いて、それらの天然状態において、タンパク質および核酸を安定化することが報告されている。適合性の溶質は、タンパク質表面から除かれるべきそれらの性質により、特徴づけられる。この性質により、細胞は、高濃度のこれらの化合物をそれらのタンパク質の構造および機能に同時に影響を与えることなく蓄積することができる。さらに、細胞内での適合性の溶質の結果的に生じる非-均等分布は、タンパク質の構造に対して安定化作用を有
する。現在まで、これらのシャペロンの合成誘導体が設計されてきた。天然の適合性の溶質ならびにその合成誘導体も、本発明において予想される。例示的な適合性の溶質は、エクトイン((4S)-2-メチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-4-カルボン酸)、ヒドロ
キシエクトイン、ベタイン、グリシン-ベタイン、プロリン-ベタイン、およびこれらの誘導体である。
あるいは、工程(c)における担体は、イオン液体中でインキュベーションされる。イ
オン液体は、イオンがあまり協調されない塩であり、結果として液体であるこれらの溶媒を生じる。少なくとも一つのイオンは、非局在化電荷を有し、そして一つの構成成分は有
機物質であり、それが安定な結晶格子の形成を阻害する。開始物質およびその他の溶媒の融点、粘度、および溶解度等の性質は、有機物構成成分上の置換基により、そして対イオンにより、決定される。
硝酸エチルアンモニウムなどのいくつかのイオン液体は、どの時点でも、液体の99.99
%以上が分子種ではなくイオン種で構成される、動的平衡の状態である。広い意味では、この用語には、本発明の文脈において、例えば、800℃以上の温度での塩化ナトリウムな
どの全ての溶融塩が含まれる一方、用語“イオン液体”は、融点が相対的に低い(100℃
以下)液体塩を定義する。特に、室温で液体である塩は、室温イオン液体、または本発明において特に好ましいRTILと呼ばれる。RTILは、メチルイミダゾリウム(mim)、1-アル
キル-3-メチルイミダゾリウム(例えば、エチル-mim(emim)、ブチル-mim)、ピリジニ
ウム(py)、1-アルキルピリジニウム(例えば、(ブチル-py、ブタール(butal)-メチ
ル-py)、N-メチル-N-アルキルピロリジニウム、またはアンモニウムイオン、などの嵩高くそして非対称性の有機カチオンからなる。一般的に高い融点を有する単純なハロゲン化物から、テトラフルオロボレートおよびヘキサフルオロホスフェート(PF6)等の無機ア
ニオンまで、そしてbis-トリフルオロスルホンアミド、トリフラート、またはトシラートなどの大型の有機アニオンまでの、幅広いアニオンが使用される。ホルメート、アルキルスルフェート、アルキルホスフェート、またはグリコレートなどの単純な非-ハロゲン化
有機アニオンによるイオン液体を使用することもできる。例として、1-ブチル-3-メチル
イミダゾリウムテトラフルオロボレートの融点またはイミダゾール骨格を有する[bmim][BF4]の融点は、約-80℃であり、そしてそれは室温では高粘度を有する無色液体である。最初のRTILの一つは、[emim]ClとAlCl3との混合物であり、[emim][AlCl4]、[emim][Al2Cl7]、および[emim][Al3Cl10]の間の一連の平衡を形成した。このRTILは
、水に安定ではない。例示的な水-不溶性RTILは、[bmim][PF6]である。例示的なイオン液体は、(1-n-ブチル-3-メチルイミダゾリウム-ヘキサフルオロホスフェート(BMIM[PF6])、BMIMbis(トリフルオメタンスルホン)-イミド(BMIM[Tf2N])、メチルトリ
オクチルアンモニウム-[Tf2N](OMA[Tf2N])または1,3-di-メチル-イミダゾールメチルスルフェート[MMIM][MeSO4]である。
イオン液体は、それによりコーティングされた物質を、潜在的に有害な物質の影響または放射線から保護するために適切であると示唆される。本発明の文脈において、イオン液体は、生体物質を、滅菌の際の分解から保護すると考えられている。
本発明にしたがって、本発明の方法により作製される担体の材料は、多孔性構造のものであることがさらに好ましい。
(医療用)製品として使用されるべきコーティングされた担体のコンパクト設計を実現するため、その全体の寸法と比較して、担体が総体的に大きな表面を示すことが好ましい。このことは、例えば、開放多孔性構造、フリース(ワディング)、または多数の並列する微少チューブまたは繊維を使用する設定、例えば血液透析において現在死傷されている多孔質中空繊維デザインに類似するもの(例えば、http://www.fmc-ag.com/internet/fmc/fmcag/agintpub.nsf/ Content/Modern_hemodialysis_+the_first_hollow-fiber_dialyzers_2004))を伴う発泡体を使用することにより、実現することができる。このデザイン
は、好ましくは、全血液または上述したその他の体液の自由な流れを可能にし、そして担体は、好ましくは、流入と流出とのあいだの圧力差を最小にし、そして装置中のどの部位においても血液流量を<1 m/secとすることにより、流動学的に最適化される。それは、
好ましくは“行き止まり”がなく、そして血液構成成分をマトリクスの活性表面と接触させるために最適化される。多孔性構造を有する担体の特異的な利点は、生体物質を結合させることができる担体表面を増加させることである。すなわち、担体容積あたりの担体表面を増加させることにより、担体に結合/包埋させることができる生体物質量を増加させる。
より好ましくは、担体の材料は、30 cm-1〜300 cm-1の範囲の表面/気体体積比である
ことを特徴とする。担体の表面は、すべての小柱(trabeculae)の表面の合計として理解される。気体体積は、多孔性構造を有する担体のすべての小柱中の気体体積の合計として理解される。
表面/気体体積比は、例えば、規定の全体の寸法により、発泡体の小片を切断することにより決定することができる。発泡体の小片のすべての小柱をカウントし、そして顕微鏡的に測定する。小柱の平均の長さと直径およびcm3あたりの小柱数を使用することにより
、特異的な表面(xx cm2/cm3、これはcm-1であり、そして規定体積の材料の内部表面を記述する)を数学的に得ることができる(小柱が丸い形状をしていることを前提とする)。
多孔性構造を有する担体の材料は、好ましくは、4〜40の範囲の非圧縮/圧縮材料体積
比であることを特徴とする。
本発明の文脈において、用語“材料体積比”は、固体成分と気体成分とを含む非圧縮多孔性材料と圧縮多孔性材料との比として理解される。
例えば、PU-フォームなどの多孔性で弾力性の発泡体の場合、この比を、例えば、原理
的には以下の様に決定することができる。20 mlの体積を有する円筒形の発泡体小片(非
圧縮)を、20 mlの体積を有するシリンジ中に入れ、そしてプランジャーを完全に押し込
んだ後、圧縮された体積をシリンジのマーク上で読みとることができる。材料を圧縮するために使用される力(PU多孔性フォームの場合)は、少なくとも20 kg/cm2と規定される
。体積減少の終点は、圧縮圧を2倍にすることにより(PU多孔性フォームの場合、圧力が
それぞれ40 kg/cm2となる)10%までのさらなる体積減少が結果として生じないような体
積として規定される。この手順(圧力を二倍にする)を、材料が10%までのさらなる体積減少を起こさなくなるまで、繰り返すことができる。
本発明の方法にしたがって、担体の材料が、ガラス、ポリウレタン(PU)、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリアクリルニトリル、ポリアミド、PMMA、フリースワディング(fleece wadding)、開放多孔質フォームプラスチックまたはガラス、および網状プラスチックまたはガラス、および海綿(海綿動物)由来の構造体からなる群から選択されることがさらに好ましい。例えば、ポリエステルフリースは、装置LG6(Pall, Dreieich, Germany)について記載される様に使用することができる。ガラス-繊維についての限定的ではない例には、Nanjing Shuangwei Science &
Technology Industries Co.LTDにより流通されてものなど、白血球除去フィルター(Leukocyte Removal Filter)をセットされた輸血用のバイオフィルター膜が含まれる。適切
な海綿の例は、例えば、D. Green et al., Tissue Engineering. (2003) Vol. 9, No. 6:
1159-1166中に記載される。
本発明の方法において使用することができる材料は、中空繊維の構造を有していてもよい。中空繊維パッケージは、好ましくは1〜10の範囲の非圧縮/圧縮材料体積比であるこ
とおよび/または200 cm-1〜2000 cm-1の範囲の表面/気体体積比であることを特徴とす
る。
本発明の方法のさらに好ましい態様において、工程(a)における溶液は、水溶液であ
る。本発明の方法の別の好ましい態様において、工程(a)における溶液は非-水溶液である。対応する溶液についての例および好ましい溶液についての例は、本明細書中で上述した。
本発明の方法にしたがって、少なくとも1種のシランが、アルコキシシラン類、有機官
能シラン類、水素化シラン、水素化シロキサン、シロキサン、およびその他の官能基を有するシリル化合物を含む有機シラン類、からなる群から選択されることが好ましい。
本発明の文脈において使用されるシランの記載される群についての例は、以下のものを含む:
N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン
N-シクロヘキシルアミノメチルメチルジエトキシシラン
N-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン
N-フェニルアミノメチルトリメトキシシラン
(メタクリルオキシメチル)メチルジメトキシシラン
メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン
(メタクリルオキシメチル)メチルジエトキシシラン
メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン
(イソシアナートメチル)メチルジメトキシシラン
N-トリメトキシシリルメチル-O-メチルカルバメート
N-ジメトキシ(メチル)シリルメチル-
O-メチル-カルバメート
N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
3-アミノプロピルトリエトキシシラン
N-(2-アミノethyl)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン
3-アミノプロピルトリメトキシシラン
3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン
3-メタクリルオキシプロピルトリアセトキシシラン
3-イソシアナートプロピルトリメトキシシラン
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
3-(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物(bernsteinsaureanhydrid)
3-アミノプロピル)tris[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]シラン
(3-アミノプロピル)tris(トリメチルシロキシ)シラン
(4-メトキシフェニル)トリ(O-トリル)シラン
(4-フェノキシフェニル)(フェニル)(O-トリル)シラン
ジシクロヘキシル-メチル-シラン
ジメチル(3-フェニルプロピル)シラン
ジメチルbis(2,3,4,5-テトラメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン
ジフェニル(3-フェニルプロピル)シラン
ジフェニル(4-メトキシフェニル)シラン
ジフェニル(4-フェノキシフェニル)シラン
ジフェニル(ジフェニルメトキシ)(ジフェニルメチル)シラン
ジフェニル(ジフェニルメチル)シラン
ジフェニル(M-トリル)シラン
ジフェニル(O-トリル)(4-トリメチルシリル)フェニル)シラン
ジフェニル(P-トリル)シラン
ジフェニルジ(M-トリル)シラン
ジフェニルジ(O-トリル)シラン
ジフェニルメチル(O-トリル)シラン
ジフェニルフェネチル(O-トリル)シラン
ドデシルtris(2-ビフェニリル)シラン
ドデシルtris(2-シクロヘキシルエチル)シラン
ドデシルtris(3-フルオロフェニル)シラン
ドデシルtris(M-トリル)シラン
エトキシトリ(O-トリル)シラン
エトキシtris(2-メトキシフェニル)シラン(1)
エチル-bis-(2,4,6-トリメチル-フェニル)-シラン(1)
エチレンbis(tris(デシル)シラン)(1)
ヘキサデシルスルファニルエチニル-トリメチル-シラン
イソブチル(トリメトキシ)シラン(2)
メチル-tris(トリメチルシロキシ)シラン(1)
メチルフェニル(4-(トリメチルシリルメチル)フェニル)シラン(1)
メチルフェニル(M-トリル)シラン(1)
メチルtris(2-メトキシエトキシ)シラン
フェニル(O-トリル)シラン(1)
フェニル-tris(トリメチルシロキシ)シラン(1)
フェニルトリ(M-トリル)シラン(1)
フェニルトリ(O-トリル)シラン(1)
フェニルトリ(P-トリル)シラン
フェニルtris(2-シクロヘキシルエチル)シラン
フェニルtris(2-エチルヘキシル)シラン
フェニルtris(2-メトキシエトキシ)シラン
フェニルtris(4-(トリメチルシリル)フェニル)シラン
フェニルtris(9-エチル-3-カルバゾリル)シラン
トリ(O-トリル)シラン
トリアセトキシ(エチル)シラン
トリアセトキシ(メチル)シラン
トリアセトキシ(ビニル)シラン
トリエトキシ(1-フェニルエテニル)シラン
トリエトキシ(3-イソシアナートプロピル)シラン
トリエトキシ(3-チオシアナートプロピル)シラン
トリエトキシ(4-メトキシフェニル)シラン
トリエトキシ[4-(トリフルオロメチル)フェニル]シラン
トリエトキシ(エチル)シラン
トリエトキシ(イソブチル)シラン
トリエトキシ(オクチル)シラン
トリエチル(シラン-d)
トリヘキサデシル(4-(トリメチルシリル)フェニル)シラン
トリメトキシ[2-(7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト-3-イル)エチル]シラン
トリメトキシ(2-フェニルエチル)シラン
トリメトキシ[3-(メチルアミノ)プロピル]シラン
トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シラン
トリメトキシ(7-オクテン-1-イル)シラン
トリメトキシ(オクタデシル)シラン
トリメトキシ(オクチル)シラン
トリメトキシ(プロピル)シラン
トリメトキシ(ビニル)シラン
トリメチル(1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン
トリメチル-(1-メチル-1-フェニル-プロポキシ)-シラン
トリメチル(1-プロペニル)シラン
トリメチル(2,3,4,5-テトラメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン
トリメチル(2-フェニル-1,1-bis(トリメチルシリル)エチル)シラン
トリメチル-(4'-ナフタレン-1-イル-ビフェニル-4-イル)-シラン
トリメチル-(4-ニトロ-フェニルエチニル)-シラン
トリメチル(4-(トリメチルシリル)ブトキシ)シラン
トリメチル(メチルチオ)シラン
トリメチル(フェノキシ)シラン
トリメチル(フェニル)シラン
トリメチル(フェニルセラノメチル)シラン
トリメチル(フェニルチオ)シラン
トリメチル(フェニルチオメチル)シラン
トリメチル(プロパルギル)シラン
トリメチル(プロポキシ)シラン
トリメチル(ビニル)シラン
トリフェニル(1,2,2-トリフェニルエチル)シラン
トリフェニル(3-(トリフェニルゲルミル)プロピル)シラン
トリフェニル(トリフェニルメチル)シラン
トリフェニル(ビニル)シラン
Tris(1-ナフチル)シラン
Tris(2-ビフェニル)シラン
Tris(4-(トリメチルシリル)フェニル)シラン
Tris(デシル)シラン
Tris(ヘキサデシル)シラン
Tris(イソプロピルチオ)シラン
Tris(フェネチル)シラン
Tris(トリメチルシロキシ)シラン
Tris(トリメチルシリル)シラン
トリエチルシラン
1-(ジメチルシリル)-2-フェニルアセチレン
3-(トリエトキシシリル)プロピルイソシアナート
3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート
3-[Tris(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート
アリル(4-メトキシフェニル)ジメチルシラン
ジメトキシ-メチル-オクタデシルシラン
メトキシポリエチレングリコール5,000トリメチルシリルエーテル
N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン
プロパルギルトリメチルシラン
シリコン2,3-ナフタロシアニンbis(トリヘキシルシリルオキシド
tert-ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンメタンスルホネート
テトラアリルオルトシリケート
テトラアリルシラン
テトラキス(ジメチルシリル)オルトシリケート
テトラメチル-d12オルトシリケート
トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート
Tris(ジメチルシロキシ)フェニルシラン
ビニルトリメトキシシラン
ビニルトリメチルシラン
ビニルトリメチルシラン
3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル-ジメトキシメチルシラン
[3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン
アリルトリメチルシランおよび
メチル2-(トリメチルシリル)プロピオネート。
本発明の方法にしたがって、生体物質は、真核細胞、真核細胞のフラグメント、原核生
物、原核生物のフラグメント、古細菌、古細菌のフラグメント、ウィルスおよびウィルスのフラグメントからなる群から選択されることが、さらに好ましい。記載される真核細胞のフラグメント、原核生物、古細菌およびウィルスは、(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、多糖類、およびこれらの組合せを含む。
真核細胞の群には、酵母細胞、下等植物細胞および高等植物細胞、および昆虫、並びに高等動物細胞が含まれる。好ましくは、高等動物のこの細胞は、哺乳動物細胞であり、より好ましくはヒト細胞である。
真核細胞、原核生物および古細菌のフラグメントは、本発明にしたがって、膜画分(膜小胞)の調製物または真核細胞由来の核またはオルガネラなどの細胞構成成分の調製物、またはリポ多糖(LPS)、ペプチドグリカン、およびリポタイコ酸などの最近細胞壁の構
成成分の調製物を含むと理解される。真核細胞のフラグメント、原核生物のフラグメントおよび古細菌のフラグメントの群は、線毛、プロテアーゼ、ヒートショックタンパク質、ホルミル-メチオニルペプチド、および毒素などの抗原タンパク質、Toll-様受容体(TLR
)、ヌクレオチド-結合オリゴマー化ドメインタンパク質(Nod)、およびG-タンパク質結合型受容体、ホルミル-メチオニルペプチド受容体、プロテアーゼ-活性化受容体、そして糖タンパク質などの(ポリ)ペプチドもまた含まれてもよい。糖タンパク質の群には、免疫受容体およびリガンドが含まれる。免疫受容体およびリガンドは、MHC複合体(抗原ペ
プチドで負荷されたものまたはMHC分子のみ)および共刺激分子を含む。
ウィルスのフラグメントの例は、本発明にしたがって宿主細胞膜との相互作用および融合のために重要な、ウィルスの外部膜のポリペプチド(例えば、エンベロープタンパク質)等の分子を含むが、これらには限定されない。ウィルスのフラグメントについてのさらなる例は、コアウィルスタンパク質およびそのフラグメントをも含む。
本発明の方法の別の態様において、生体物質は、合成的、または半合成的、または組換え的に生成される、(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖からなる群から選択される。この本発明の方法において使用される生体物質の代わりの定義により、天然の対応物がない(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖が含まれ、並びに天然に存在する(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖の化学的に修飾された誘導体、並びに人工的な(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖が含まれる。(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖の合成的生成、または半合成的生成、または組換え的生成の方法は、当該技術分野において既知である。
本発明にしたがって、(ポリ)ペプチドが受容体であることが特に好ましい。対応する受容体の例は、膜結合型受容体および細胞内受容体、並びに可溶性受容体を含む。そのような受容体の特に好ましい態様は、抗体である。受容体は、本発明の文脈において、リガンドと特異的に相互作用するものと理解される(受容体の対応物;抗体の場合には抗原)。機能的受容体(非-伝達性受容体または短縮型受容体とは対照的に、好ましくはシグナ
ル伝達性受容体)とそのリガンドとの相互作用は、シグナル伝達カスケードの初期化をもたらすことができる。そのような機能的受容体の例は、T細胞受容体(TCR)およびB細胞
受容体(BCR)、または免疫システム細胞の活性化に関与する共刺激受容体(例えば、CD28)を含む。機能的受容体とそのリガンドとの相互作用は、アポトーシスなどの異なる細
胞シグナルの開始、伝達、例えば、Fas(CD95)またはTNF-α受容体ファミリー、TRAIL、Death Receptors、Toll様受容体およびFc-受容体を含むその他のTNF-スーパーファミリーの受容体を結果として生じてもよい。さらに、本発明にしたがって、リガンドと機能的受容体との相互作用は、CTLA-4を介したシグナルなどの阻害性シグナルの開始も結果として生じることができる。
上述したように、前記受容体は抗体、抗体フラグメントまたは抗体の誘導体であることがさらに好ましい。
本発明の文脈において記載される抗体は、エピトープと特異的に結合/相互作用することができる。エピトープは、ポリペプチド構造であってもアミノ酸を含まない化合物であってもよい。本発明にしたがって使用される場合、用語“〜と特異的に結合/相互作用する”は、抗体または抗体フラグメントが同様の構造のエピトープとは交差反応しないかまたは本質的に交差反応しないことを意味する。研究中の抗体パネルの交差反応性は、例えば、従来条件下でのその抗体パネルの、目的とするエピトープに対する結合や、多かれ少なかれ(構造的におよび/または機能的に)非常に類似するエピトープに対する結合を評価することにより、試験することができる。エピトープの関連する文脈(例えば、タンパク質の構造中の特異的モチーフ)中の目的とするエピトープに対して結合するが、その他のエピトープのいずれに対しても結合しないかまたは本質的には結合しないそのような抗体のみが、目的とするエピトープに対して特異的であると考えられる。対応する方法は、例えば、以下の文献中に記載される(Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988またはHarlow and Lane, Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999)。
抗体または抗体フラグメントまたは抗体誘導体は、抗原の立体構造的エピトープまたは連続的エピトープと特異的に結合し/相互作用する。立体構造的エピトープまたは不連続的エピトープは、一次配列中では別個であるが、ポリペプチドが天然タンパク質/抗原中に畳み込まれる際に分子の表面で一緒になるような2またはそれ以上の別個のアミノ酸残
基の存在により、ポリペプチド抗原として特徴づけられる(Sela, (1969) Science 166, 1365およびLaver, (1990) Cell 61, 553-6)。エピトープに寄与するこの2またはそれ以
上の別個のアミノ酸残基は、1またはそれ以上の(ポリ)ペプチド鎖の別個の部分上に存
在する。これらの残基は、(1または複数の)(ポリ)ペプチド鎖が三次元構造に畳み込
まれて、エピトープを構成する場合、分子の表面で一緒になる。対照的に、直鎖エピトープまたは連続的エピトープは、(ポリ)ペプチド鎖の一本鎖直鎖部分に存在する2または
それ以上の別個のアミノ酸残基からなる。
抗体は、どのようなクラスの抗体のモノクローナル抗体であってもまたはポリクローナル抗体であってもよい。
用語“抗体”は、結合特異性を依然として保持するそれらの誘導体またはフラグメントをも含む。本発明の抗体には、合成抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、およびヒト化抗体、および抗体フラグメント等の態様もまた含まれる。
用語“抗体フラグメント”は、Fab、F(ab2)'またはFvフラグメントなどのフラグメントに関連する。用語“抗体誘導体”は、本発明の文脈において、科学的に修飾された抗体および抗体フラグメントを規定する。これには、scFvフラグメント、一本鎖ドメイン抗体(single domain antibody)などが含まれるしたがって、抗体誘導体はしばしば、抗体分子に由来する(ポリ)ペプチドおよび/または化学的方法/生化学的方法または分子生物学的方法により修飾される(ポリ)ペプチドである。抗体フラグメントのその特異的抗原に対する特異的相互作用についての最低限の要求性は、抗体フラグメントおよびエピトープの適合性を可能にする文脈において、親抗体の可変重鎖(VH)および可変軽鎖可変鎖(VL)由来の1またはそれ以上のCDRの存在である。そのような文脈は、抗体の適切なフレームワークを使用することにより、提供することができる。当該技術分野において知られている様に、用語“フレームワーク”は、抗体または抗体誘導体の文脈において、CDR間の
スペーサーとして機能し、そしてそのN-末端側およびC-末端側に伸長し、そしてCDRによ
る抗原結合部位の形成を可能にする構造を提供するアミノ酸配列である。例えば、分子生物学的方法により結合親和性を向上するためのフレームワーク配列またはCDR配列の修飾
は、当該技術分野において知られている従来技術を使用して、例えば、当該技術分野において既知の、アミノ酸の(1または複数の)欠失、(1または複数の)挿入、(1または複
数の)置換、(1または複数の)付加、および/または(1または複数の)組換えおよび/または何らかの他の(1または複数の)修飾(例えば、糖鎖付加やリン酸化などの翻訳後
修飾および化学的修飾)を単独でまたは組み合わせて使用することにより、(ポリ)ペプチドを修飾することを含んでもよい。そのような修飾を免疫グロブリン鎖のアミノ酸配列を裏付けるDNA配列中に導入するための方法は、当業者には周知である;(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd edition 1989および3rd edition 2001;Gerhardt et al., Methods for General and Molecular Bacteriology, ASM Press, 1994;Lefkovits, Immunology Methods
Manual: The Comprehensive Sourcebook of Techniques, Academic Press, 1997;また
はGolemis, Protein-Protein Interactions: A Molecular Cloning Manual, Cold Spring
Harbor Laboratory Press, 2002を参照)。
本発明の別のより好ましい態様において、生体物質は、サイトカインまたは成長因子である。サイトカインおよび成長因子は、当該技術分野において周知であり、そして例えば、骨形成タンパク質(BMP)、インターロイキン(IL)またはインターフェロン(IF)を
含む。さらにより好ましい態様において、サイトカインは、BMP-2またはBMP-7である。
別のより好ましい態様において、生体物質は、血管新生-刺激成長因子である。そのよ
うな成長因子は、マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)、VEGF(血管内皮成長因子)、PLGF(胎盤成長因子)、アンジオポイエチン、FGF、Dll4(デルタ-様リガンド4)、およびPDGF(血小板由来成長因子)を含む。血管形成作用を有する適切な炎症性メディエータは、例えば、IL-1、IL-6およびMCP-1である。さらにより好ましい態様において、血管新生-刺激成長因子は、PDGFである。
本明細書中で上述したように、抗体はモノクローナル抗体であることがさらに好ましい。
(モノクローナル)抗体がIgGクラス、IgMクラスまたはIgYクラスのものであることが
最も好ましい。
本発明の方法のさらに好ましい態様にしたがって、工程(b)において接着された生体
物質は、前記担体に対して共有結合される。生体物質が担体に対して共有結合を介して接着することをどのようにして行うかの方法は、本明細書中で上述した。
本発明の方法のさらに好ましい態様にしたがって、工程(a)〜工程(c)は、担体を含有する回転するチューブのシステムにおいて実現される。
さらに、本発明の方法のさらに好ましい態様にしたがって、溶液は、ポンプを介してチューブのシステム中を回転する。
本発明の方法の別の具体的に好ましい態様において、多孔性構造を有する材料から構成される担体は、少なくとも一つのさらなる材料を含む。例えば、本発明の担体が上述した材料の一つから構成され、それにより1またはそれ以上の化学的成分を提供する場合、1またはそれ以上のその他の材料を添加して、異なる化学的成分を提供したり、または担体の特性を変更することができる。同じことが、担体が2種、3種またはそれ以上の材質から構成される場合においても当てはまる。言い換えると、上述した物質に加えて、本発明に従ってコーティングするために使用される担体は、少なくとも一つのさらなる材料を含む。そのような材料は、担体の作製時に、有効成分を混合することにより、または担体を1ま
たはそれ以上の追加の材料を用いて充填することにより、担体中で機能させることができる。好ましくは、前記少なくとも一つのさらなる材料は、炭素、SiO2、ヒドロキシエチル
スターチ(HES)およびビオチンからなる群から選択される。1種のさらなる材料を含む多孔性担体についての例には、例えば、Kinetic Concepts Inc.(KCI, Texas, USA)から入手した、炭素充填された(carbonfilled)ポリウレタン、およびポリエーテルフォームが含まれる。
本発明の方法のさらに好ましい態様にしたがって、工程(a)〜工程(c)における溶液は、0.5〜10%アルブミン(v/v)および0.5〜5%マンニトール(v/v)を含む水溶液であ
る。工程(a)〜(c)における水溶液は、0.6〜3%アルブミン(v/v)を含むことが、本
発明にしたがって特に好ましい。水溶液は、好ましくは、0.6〜3%の糖(例えば、マンニトール)(v/v)を含む。
代わりの一態様において、工程(a)における溶液は、シラン0.1〜10%(v/v)を含む
アルコールであり、工程(b)におけるものは、生体物質(例えば抗体)を含む水溶液で
あり、そして工程(c)におけるものは、0.5〜10%アルブミン(v/v)および0.5〜5%マ
ンニトール(v/v)を含む水溶液である。工程(a)〜工程(c)における水溶液は、0.6〜3%アルブミン(v/v)を含むことが、本発明にしたがって特に好ましい。そのような水溶液は、好ましくは、0.6〜3%の糖(例えば、マンニトール)(v/v)を含む。
本発明の方法は、固相コーティング担体を滅菌する工程(e)をさらに含んでもよい。
本発明の方法により作製した固相コーティング担体を滅菌する能力は、とりわけ、非-滅
菌条件または半-滅菌条件下での固相コーティング担体の作製を可能にする。この場合、
そのようにして作製された担体は、固相コーティング担体を体液とin vivoまたはex vivoで接触させることに関する本発明の方法において依然として使用することができる。このことは、この方法のそしてそのようにして作製された本発明の担体のさらに優れた特徴を表す。というのも、その特徴により、滅菌されていない場合がある担体の作製のコストと比較して、固相担体を作製するためのコストを、低減することができるためである。これは、作製プロセスにおいて、滅菌条件を必要としないためである。周知であるように、従来法により調製された担体は、滅菌に適しておらず、そして完全滅菌条件下で作製しなければならない。さらに、コストに関連する特徴は、この担体が、滅菌によりそれらを使用した後にリサイクルすることができる、ということである。リサイクルされた担体は、それに引き続いて、同一の患者または異なる患者のさらなる処理において、または再び担体と体液とをin vivoまたはex vivoで接触させることに関する診断のためのさらなる方法または同一の方法において、使用することができる。
好ましくは、担体の滅菌またはリサイクルは、担体材料に依存してエチレンオキシド(EO)、β線、γ線、X線、加熱不活性化、オートクレーブ、またはプラズマ滅菌により行
う。担体が、β線またはγ線により滅菌されることが最も好ましい。この態様において、10 MeVを有する電子加速器を使用した、25 kグレイの線量のβ線が適している。ある程度は、エチレンオキシドを用いた滅菌を、本発明の担体に対して適用することができる。一般的には、コーティングされた生体物質の所望の活性に悪影響を与えないために、滅菌方法が選択されなければならない。このことは、細胞のフラグメント、(ポリ)ペプチド、特に抗体または受容体、ポリヌクレオチドまたは多糖類、または上述した様なこれらの複合体を用いて行うことができる。どのような種の細胞に対しても、滅菌の適切な手段は現段階で知られていない。従って、生細胞を生体物質として使用しそして担体を滅菌する態様は、本発明の一部ではない。
本発明の方法は、コーティング担体を工程(e)の後に洗浄する工程(f)をさらに含んでもよい。
上述した洗浄工程は、工程(c)において適用されたコーティング層、すなわち、第2のコーティング層、を部分的にまたは完全に除去するために機能する。コーティング層が完
全にまたは部分的に生体物質を覆うかどうかに関わらず、洗浄工程を適用することができる。このように、生体物質、好ましくは例えば、抗体の抗原結合部位、酵素の触媒部位、または(ポリ)ペプチド上のタンパク質相互作用部位などの生体物質の機能性部分、を、一般に、本発明の担体の表面に部分的にまたは完全に再び接触可能にし、そしてそれらの機能を実現することができる。第2の被覆層からの生体物質の剥離の程度は、使用される
生体物質の生物学的機能に基づく試験を使用して、定量的に測定することができる。生体物質として使用される抗体の場合、機能性部分の接触可能性、すなわち、この場合には抗原結合部位、は、例えば、当業者に周知である検出可能マーカーに結合された特異的抗原を使用して、測定することができる。同様に、酵素の触媒部位の接触可能性または(ポリ)ペプチドのタンパク質相互作用部位の接触可能性は、一般に、それぞれの酵素の基質または標識相互作用パートナー分子またはその相互作用性フラグメントと、担体とを接触させることにより、そして基質または相互作用性パートナー分子のターンオーバーを検出することにより、評価することができる。本願明細書のその他の部分に記載した目的のために適用される本発明の担体が、洗浄工程後そして生体物質の機能性部分の接触可能性の決定後にも依然として無菌であることを保証するため、一つの担体上で試験を行う一方、同一バッチ由来の異なる担体をその目的のために適用する。
洗浄工程は、好ましくは、第2のコーティング層中に含まれる構成成分に対して適合さ
れ、そして適切な塩および/または酵素を含むことができる溶液を使用して行われる。添加される酵素は、例えば、タンパク質またはでんぷん誘導体などの第2の層の特定の構成
成分を分解する様に機能することができる。洗浄溶液中に含有される酵素を用いたとしても、工程(f)は、依然として、第2のコーティング層の部分または全てを除去するための洗浄工程とみなされる。洗浄溶液の温度およびpH値は、使用される第2のコーティング層
の(1または複数の)構成成分から生じる、特異的必要条件に等しく適合される。最も簡
単な洗浄溶液は、例えば、等張性塩溶液であろう。特定の用途のため、溶液は、血漿代替物(plasma surrogate)を含んでもよい。コーティングした担体の適用に依存して、例えば、透析、人工心肺のあいだに、または創傷の圧迫時に、担体を血流または血漿流に対して曝露することによりex vivoで、洗浄工程を体液を用いて行うこともできる。
生体物質の部分または生体物質の完全な表面の曝露とは別に、上記の洗浄工程は、担体に対して緩く結合する粒子を除去して、全ての部分がきつく結合した担体を得るために有用である。
洗浄工程は、滅菌プロセスの後に行うが、しかし好ましくは使用直前に行う。これは、滅菌したての本発明のコーティングした担体が(洗浄)溶液を用いた担体の初期の接触によりコンタミネーションを受けないことを保証するためである。
さらなる態様において、本発明は、本発明の方法により作製することができる固相コーティング担体または作製された固相コーティング担体を提供する。
さらなる代替の態様において、本発明は、生体物質が接着される固相コーティング担体を提供する。この場合、生体物質は、被覆マトリクス中に包埋されており、この被覆マトリクスは、担体と直接的に接触する少なくとも一つのシランの第1層、および少なくとも
一つの(ポリ)ペプチド、少なくとも一つのアミノ酸、スターチ、少なくとも一つの糖、少なくとも一つのホスフェート、少なくとも一つのポリアルコールおよびポリエチレングリコール(PEG)またはこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも一つの物
質からなる第1層を部分的にまたは完全に覆う第2層、とからなる。より好ましくは、第2
層の少なくとも一つの物質が、とりわけ、ヒトまたは動物の血清およびそのような血清のタンパク質(例えば、アルブミン)、シャペロン、ミルク、卵タンパク質、植物由来タンパク質(例えば、ダイズ、コムギ)、そのようなタンパク質の加水分解物(例えば、ゼラチン、コラーゲン)を含む群、アミノ酸の群(好ましくはグリシン、アスパラギン酸およ
び/またはグルタミン酸、プロリン、アルギニン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、カルニチン、オルニチン、ヒドロキシプロリン、システイン、ホモシステイン、シトルリン、イヌリン、フェニルアラニン、リジン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、メチオニン、セリン、バリン、チロシン、トレオニン、トリプトファン)、またはアミノ酸の誘導体(例えば、n-アセチル-トリプトファン、β-アラニン、メラニン、DOPA)、糖類の群(好ましくはグルコース、サッカロース、スクロース)、ポリアルコール類(好ましくはソルビトール、マンニトール、グリセロール、キシリトール)、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルスターチ(HES)、ホスフェートの群(例えば、リン酸2水素ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム)またはこれらの混合物、からなる群から選択される。あるいは、第2層は、イオン液体または適合性溶
液からなる。
固相コーティング担体が、本発明の方法にしたがって、作製されることが好ましい。
本発明の方法にしたがって提供される担体、生体物質、生体物質の接着、そしてコーティングマトリクスの材料の定義および説明は、とりわけ、必要に応じて、本発明の固相コーティング担体に対して適用される。
本発明の固相コーティング担体の具体的な優れた特徴もまた、本発明の方法の特徴の文脈において本明細書中に上述した。
同様に本発明の固相コーティング担体を製造する方法の文脈において記載されるように、担体の材料が、ガラス、ポリウレタン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリアクリルニトリル、ポリアミド、PMMA、フリースワディング(fleece wadding)、開放多孔質フォームプラスチック、網状プラスチックおよび海綿(海綿動物)由来の構造からなる群から選択されることも、好ましい。
本発明の固相コーティング担体の好ましい態様にしたがって、生体物質は、真核細胞、真核細胞のフラグメント、原核生物、原核生物のフラグメント、古細菌、古細菌のフラグメント、ウィルスおよびウィルスのフラグメントからなる群から選択される。好ましくは、真核細胞のフラグメント、原核生物のフラグメント、古細菌のフラグメント、またはウィルスのフラグメントは、(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖からなる群から選択される。
本発明の固相コーティング担体の代わりの態様において、生体物質は、合成的に、または半合成的に、または組換え的に作製される、(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖からなる群から選択される。
本発明の担体の同様に好ましい態様において、第2層の少なくとも一つの(ポリ)ペプ
チドはアルブミンであり、第2層のスターチはヒドロキシエチルスターチ(HES)であり、および/または第2層の少なくとも一つの糖はマンニトールまたはソルビトールである。
多孔性構造を有する担体の材料が、30 cm-1〜300 cm-1の範囲の表面/気体体積比であ
ることにより特徴づけられることが好ましい。
多孔性構造を有する担体の材料が、4〜40の範囲の非圧縮/圧縮材料体積比であること
により特徴づけられることもまた好ましい。
さらに好ましい態様において、担体の材料は中空繊維である。中空繊維パッケージは、好ましくは1〜10の範囲の非圧縮/圧縮材料体積比および/または200 cm-1〜2000 cm-1の範囲の表面/気体体積比であることにより特徴づけられる。
第1層の少なくとも一つのシランが、アルコキシシラン類、有機官能シラン類、水素化
シランまたは水素化シロキサン、シロキサン類、その他の官能基を有するシリル化合物を含む有機シラン類からなる群から選択されることはさらに好ましい。適切なシラン類の例は、上述したとおりである。
本発明にしたがって、担体の第2層は、好ましくはアルブミンおよびマンニトールを含
む乾燥混合物であってもよい。好ましくは、この混合物は、ポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む。具体的には、本発明にしたがって、この混合物を液体形状の担体に対
して適用し、そしてそれに引き続き本発明の担体の表面上で乾燥させる。乾燥は、好ましくは風乾により行われる。別の好ましい態様において、本発明の方法と結びつけて上述したように、第2層は、シャペロンを含むか、またはイオン液体または適合性の溶質からな
る。
本発明のさらに好ましい態様において、生体物質が、前記担体に対して共有結合される。生体物質の固相担体に対する共有結合を実現するための方法は、本明細書中で記載され、記載する実施例2において記載される。
本発明の固相コーティング担体に関して、(b)における(ポリ)ペプチドは、コーテ
ィングマトリクス中に包埋されているが、受容体であることがさらに好ましい。より好ましくは、前記受容体は、抗体または抗体フラグメントである。本発明のさらに好ましい態様にしたがって、抗体がモノクローナル抗体であることが特に想定される。
本発明の担体のコーティングマトリクス中に包埋される(モノクローナル)抗体は、どのような抗体クラスの抗体であってもよい。好ましくは、抗体は、IgGクラス、IgYクラスまたはIgMクラスの抗体である。
別の好ましい態様において、本発明の方法と結びつけて上述したように、(ポリ)ペプチドは、サイトカインまたは血管新生-促進性成長因子である。サイトカインがBMPであることがより好ましく、最も好ましくはBMP-2またはBMP-7である。別のより好ましい態様において、血管新生-促進性成長因子は、PDGFである。
本発明の担体は、少なくとも一つのさらなる材料を含むことが特に好ましい。例えば、本発明の担体が1またはそれ以上の化学的成分を提供する上述した材料の一つから構成さ
れる場合、1またはそれ以上のその他の材料を添加して、異なる化学的成分を提供するこ
とができ、または担体の特性を変更することができる。担体が2、3またはそれ以上の材料から構成される場合にも、同様のことが当てはまる。言い換えると、上述した物質に加えて、本発明に従うコーティングのために使用される担体は、少なくとも一つのさらなる材料を含む。この材料を、有効成分を混合することにより、または担体を1またはそれ以上
の追加の材料により充填することにより、その生成に際して、担体中で機能させることができる。好ましくは、この少なくとも一つのさらなる材料は、炭素、SiO2、HESおよびビ
オチンからなる群から選択される。
本発明の別の好ましい態様において、担体は、β線またはγ線により滅菌される。10 MeVを有する電子加速器を使用した、25 kグレイのβ線が、この態様において適切である。
さらなる代替の態様において、本発明は、本発明に従う固相コーティング担体を、患者の血液、リンパ液、または脳脊髄液と接触し、それを濾過し、または清浄化するための、(医療)機器の調製のために使用することを提供する。
用語“(医療)機器”は、本発明の文脈において、本発明に従う固相コーティング担体を含む装置または本発明の方法により生成された装置を規定する。そのような装置の例は、本明細書の以下において例示される。装置は、例えば(固相コーティング担体の製造の
ための方法の文脈において)、装置を患者の体液の循環系に接続する工程、そしてそれにより上述したように患者を治療する工程により、患者の血液、リンパ液、または脳脊髄液を接触させ、それを濾過し、または清浄化することを可能にするために適している。さらに、(医療)機器は、化合物の定量的または定性的検出のために適していてもよく、そして本明細書中で一部を上述した、患者の体液サンプル中の特定の細胞(例えば幹細胞)を捕捉するために適していてもよい。幹細胞は、多能性幹細胞、多分化能幹細胞、または全能性幹細胞を含む。体液サンプル中にて、特定の細胞または1またはそれ以上の細胞集団
の一部と接触させることにより、これらの細胞または(1または複数の)細胞集団に対し
て特異的に結合する、1またはそれ以上の上述の生体物質を用いて適切にコーティングさ
れた本発明の担体を用いて、特定の細胞または1またはそれ以上の細胞集団を捕捉するこ
とにより、少なくともこれらの特定の細胞または(1またはそれ以上の)細胞集団の一部
をサンプルから取り出すことができる。一般的には、異なる細胞株、細胞種、または細胞の分化段階を、細胞表面上に異なる抗原が存在することにより識別することができる。このことにより、本発明の担体を、例えば、抗原に対する対応する受容体またはその抗原に対する抗体によりコーティングすることにより、所望の細胞の選択的捕捉が可能になる。
本件出願全体にわたり使用されている用語“接触し、それを濾過し、または清浄化する”は、溶液から1またはそれ以上の化合物を取り出す代替手段のことをいう。したがって
、用語“接触する”は、濾過および清浄化の最初の工程であってもよい。
開示された好ましい医学的装置は、ダイオキシン、ボツリヌス毒素、破傷風毒素、LPS
、腐敗毒などの毒素からの体液の解毒を含む治療において有用である。これは、細菌性疾患またはウィルス性疾患の治療において有用であり、特に血液中またはその他の体液中に負荷された主要なウィルスによる疾患(例えば、出血熱、a型、b型、c型、d型、e型の肝
炎、HIV、デング熱)または血液または代替性体液中に負荷された主要な細菌による疾患
(例えば、メニンゴ細菌またはニューモコッカス細菌による敗血症)の治療において有用である。開示された医学的装置のさらに想定される代わりの用途は、患者の特定の細胞の活性化または排除を必要とする治療における用途である。特定の細胞集団の排除は、例えば、増殖性疾患(例えば、微小残存癌)の治療、自己免疫疾患の治療、または臓器移植により引き起こされる疾患の治療において意図される。特定の細胞集団の刺激は、例えば、細胞免疫系の活性化により治癒されるかまたは軽減される疾患の治療において意図される。活性化された細胞集団は、疾患細胞の特異的な集団を排除するために適している。
さらに、固相担体に固定化された適切な抗体(例えば、抗-CD34または抗-CD133)を使
用して幹細胞を捕捉することが、装置の有用な応用である。捕捉の後、酵素的放出、冷えた液体、機械的な力(振動など)、またはこれらの技術の組合せにより、細胞を回収する。
開示された(医療)機器の態様についての例は、図3および図4において概略的に示される。
(医療)機器の一態様には、それ自体が固相コーティング担体である表面または本発明に従う固相コーティング担体または本発明の方法に従って製造された固相コーティング担体が接着された表面により特徴づけられる、一過性インプラントまたは永久的インプラントが含まれる。これには、骨接合術装置、再建術などのために使用される材料、並びに新規のクラスのステントが含まれる。そのような新規のクラスのステントは、免疫によりサポートされる特徴(上述したような活性化の特徴、阻害性の特徴、または排除性の特徴)を有していてもよい。
(医療)機器のさらなる態様には、体外システム中に導入されるカテーテル、回路、装置が含まれ、例えば、動脈フィルター、人工心肺、タンク、白血球阻害モジュール(Leuk
ocyte Inhibition Module;LIM)、白血球活性化モジュール(Leukocyte Stimulation Module;LSM)、耐性誘導モジュール(Tolerance Induction Module)または固相コーティ
ング担体を含むか、または本発明に従う固相コーティング担体または本発明の方法に従って作成される固相コーティング担体を接着する人工リンパ節が含まれる。そのようなモジュールは、例えば、以下の文献により記載された(Scholz M et al. ASAIO J 2005;51:144-7;Scholz M, Cinatl J Med Res Rev 2005;25:331-42;Scholz M et al. J Thorac Cardiovasc Surg 2004; 127:1735-42;Moreno JB et al. Perfusion 2004;19:11-6)。
さらに、(医療)機器のさらに代わりの態様は、内部壁が、固相コーティング担体である装置であるか、または固相コーティング担体が接着された装置であり、ex vivoワクチ
ン接種用容器、アフェレーシス装置、幹細胞単離装置、パージ装置、シリンジ、および一過性または永続的な血液保存のための装置(例えば、血液バンクにおけるもの、そして日常的な施設または研究施設における研究装置におけるもの)を含むものである。診断用(医療)機器の例は、ELISAプレートであり、ここでプレートの表面(または少なくとも反
応ウェルの表面)は固相コーティング担体であるか、または固相コーティング担体が接着されたものである。
上述した疾患の例は、様々な由来の重症脂質異常症、ホモ接合性家族性高コレステロール血症、ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症、Apo B-100欠損、単離リポタンパク
質(a)上昇、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、混合結合組織病、拡張型心筋症(DCM)、凝固因子阻害剤と関連する疾患、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性溶血性貧血、高ガンマグロブリン血
症における過粘稠度症候群、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)、血漿タンパク異常症多発性神経炎(dysproteinemic polyneuropathies)、骨髄移植、内分泌性眼窩疾患(endocrine orbitopathy)、I型糖尿病(IDDM)、
グッドパスチャー症候群、イムノグロブリンまたは免疫複合体沈着による腎症、クリオグロブリン血症、天疱瘡、アトピー性皮膚炎、移植片-対-宿主(GvH)疾患、宿主-対-移植
片(HvG)疾患、および様々な形態の脈管炎を含む。
本発明は、血液、リンパ液、または脳脊髄液を本発明に従う固相コーティング担体と接触させることを含む、患者の血液、リンパ液、または脳脊髄液の組成物を操作するための方法もまた提供する。
用語、体液の“組成物の操作”は、体液の特徴または異なる体液サンプルの特徴に影響を与える方法を規定する。このことは、液体を濾過し、または清浄化することを含む。そのような場合、担体上の生体物質、例えば(1または複数の)受容体が体液の(1または複数の)構成成分と結合し、そしてその(1または複数の)構成成分を保持する。この工程
は、好ましくは上述した生理学的条件下で行われる。同様に、この定義には、サンプル中に含まれる細胞の活性化状態の変化を誘導すること、並びに1またはそれ以上の特異的な
細胞集団を除去することも含まれる。
患者の血液、リンパ液、または脳脊髄液の組成物の操作は、本発明にしたがって、in vivo、ex vivo、またはin vitroにて行うことができる。
患者の血液、リンパ液、または脳脊髄液の組成物の操作のための方法のex vivoまたはin vitro態様のそれに続く工程において、血液、リンパ、または溶液を固相コーティング
担体と接触させた後、それらを担体から取り出す。
生体物質が細胞(例えば、ドナー細胞または遺伝子操作された細胞/組換え細胞)である態様において、包埋された生体物質を含む担体の接触により、患者の体液中の包埋された細胞により産生される物質の分泌が可能になる。分泌された物質は、患者の疾患の治療
の際に有効な物質である。そのようなアプローチにより治療することができる疾患は、例えば、糖尿病(膵島細胞またはインスリンを分泌するその他の細胞を使用すること)、内分泌疾患(例えば、甲状腺または松果体または疾患の治療に役に立つホルモンを分泌するその他の細胞を使用すること)を含む。従って、本明細書中で記載される患者の血液、リンパ液、または脳脊髄液の組成物の操作のための方法により、副作用のリスクを最小化しつつ、患者の治療を可能にする。このことは、ドナーまたは遺伝子操作した細胞/組換え細胞をin vitro/ex vivoの状況で適用した場合、それらの細胞が患者に入らないためで
ある。in vivoで適用された場合であっても、上述したように、本発明にしたがう態様を
形成するが、これらの細胞は、固相担体への記載された接着様式により、血流またはその他の体液中には放出されない。
好ましくは、本発明の上述した用途および本発明の方法は、固相コーティング担体を含有するバッチコンテナ中で行われる、血液、リンパまたは脳脊髄液の組成物の操作を特徴とする。あるいは、血液、リンパ液、または脳脊髄液の組成物の操作は、固相コーティング担体を含有するフロースルーコンテナ中で行われる。
さらなる態様において、本発明は、疾患の診断のための方法を提供する。この方法は、以下の工程を含む:
(a) 病原体または疾患についての指標であるマーカータンパク質が包埋された受容
体へ特異的に結合するための適切な条件下、患者の体液を、受容体が包埋されている本発明に従う固相コーティング担体と接触させる工程;そして
(b) 病原体または疾患についての指標であるマーカータンパク質が包埋された受容
体に対して結合しているかどうかを検出する工程;
を含む。
記載される方法は、in vivo、ex vivoまたはin vitroにおいて、実行することができる。好ましくは、受容体は、抗体またはそのフラグメントまたは誘導体である。最も好ましくは、抗体はモノクローナル抗体である。
用語“受容体が包埋される、本発明に従う固相コーティング担体”は、本発明の方法に従って生成可能であるかまたは生成された、本発明にしたがう固相コーティング担体のことを意味する。ここで、この方法の工程(b)における生体物質は、前記受容体を構成す
るかまたは含む。
本発明の診断方法を用いて診断される疾患の例は、本発明の医薬用途および治療方法の文脈において、本明細書中で記載された疾患を含む。記載された病原体またはマーカータンパク質は、例えば、抗-p24(HIV)(例えば、Schupbach et al. J Aquir Immune Defic
Syndr 2005;40:250-6.を参照)または抗-gB(HCMV)(例えば、Just-Nubling G et al. Infection 2003;31:318-23を参照)の様な抗体を使用することにより、検出することができる。
病原体または疾患の指標であるマーカータンパク質が接着抗体に対して特異的に結合するための適切な条件は、患者の体液サンプルを本発明に従う抗体被覆表面と、生理学的条件下にて接触させることにより、達成することができる。
本発明の診断方法は、ウィルス、細菌、または単一細胞真核生物病原体などの病原体を濃縮するため、細胞培養条件下で体液サンプルの材料をインキュベートする工程を含んでもよい。
さらに、本発明は、本発明に従う固相コーティング担体を含む診断用組成物を提供する
。本発明の診断用組成物は、好ましくは、疾患の診断のために使用することができる。
本発明の診断用組成物を用いて診断される疾患の例は、本明細書中で上述したとおりである。
さらに、本発明は、精製すべき化合物を含む混合物を、本発明に従う固相コーティング担体と接触させることを含む、化合物を精製するための方法を提供する。担体に接着されまたはコーティングされた分子に依存して、そして化合物に特異的に結合する分子に依存して、本発明の方法を適用して、例えば、タンパク質、核酸、タンパク質複合体または生物学的由来または非有機物由来のその他の分子を精製することができる。
本発明の方法は、本発明のコーティングされた担体を使用して、異なるリン酸化状態を有するかまたは異なる翻訳後修飾を有する同種のタンパク質を分離するためにも適しており、ここで担体に被覆された分子は、これらの状態または修飾の一つを特異的に認識するものである。
本発明の方法の原理は、当業者に一般的に知られている親和性精製の原理に対応する。当業者は、異なる形式を使用して、本発明の方法を実行することができることを認識する。例えば、一般的に適用される形式は、親和性材料(すなわち、本発明のコーティングされた担体)でパッキングされたカラムである。
本発明の方法の好ましい態様において、担体に結合させた分子は、例えば、上述したもののような抗体である。
以下の実施例は、本発明を説明する。
実施例1:本発明の固相コーティング担体を使用した、細胞集団におけるアポトーシス
の誘導
実験アプローチの目的は、エチレンオキシドまたはβ-線による滅菌後、固定化抗-Fas
(CD95;APO-1)IgM-抗体の機能的活性に関して、コーティング手順の保護的効果を調べ
ることであった。
NUNC 8-ウェルチャンバースライドのコーティングと抗-Fas IgMの固定化:
2つの8-ウェルチャンバースライドを、コーティングのために使用した。各ウェルを、4%(2〜5%)N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンを含むメタノール250μlにより、室温にて30分間処理した。逆遠心およびラミナフロー中での10分間の乾燥の後、ウェルの一部を、200μlの抗体含有バッファ(1:100は、0,64 cm2のウェル当たり1μgの抗体を示す)とともに、37℃で1時間、90%湿度の下、インキュベーションした
。非処理ウェルは、対照として機能する。次に、ウェルをブロッキング溶液(5%血清お
よび5%マンニトールを含むPBS)を用いて30分間処理し、ブロッキング溶液を用いて3回
洗浄し、そして上述したように乾燥させた。コーティングしたウェルは、4℃にて数週間
保存することができる。滅菌を、1,7 bar、45℃、180分、6%EO、94%CO2で、最高温度47℃で行った。
Jurkat細胞を用いたアッセイ:
分割してから3〜5日後、調製したウェル(上述に従ったもの)のそれぞれに対して、2
%血清の存在下、1×105のJurkat細胞を添加し、そして一晩インキュベーションした。48時間後、8μlのヨウ化プロピジウム(PI)および1μlアネキシンVを、各ウェルに添加し
た。アポトーシス細胞はアネキシンVに結合し、そして壊死細胞はPIを取り込む。15分後
、細胞をウェルから穏やかに取り出し、そして蛍光をフローサイトメトリーにより測定し
た(アポトーシス:FL1;壊死:FL2)。
ウェルをPBSを用いて慎重に洗浄し、そして4℃で保存して、その後の時点でコーティング手順の保存期限を試験した。
結果:
図2において代表的に示すように、自発的アポトーシスを起こすJurkat細胞の割合(A)は、6.9%であった(範囲:6〜8%)。固定化抗体の非存在下にて滅菌を行ったコーティ
ングウェルにチャレンジさせたJurkat細胞(B)は、アポトーシスがわずかに上昇するこ
とが示された(17.9%;範囲:16〜20%)。上述のコーティング手順にしたがって固定化された抗-Fas(C)は、細胞の54.7%(範囲:54〜58%)にアポトーシスを誘導した。エ
チレンオキシド(EO)での滅菌の後、Jurkat細胞での抗体-媒介性アポトーシス誘導(D)は、43.1%であった(範囲:40〜44%)。このように、抗体機能のEO-媒介性減少は、非
滅菌対照(EOガスなしの手順)と比較した場合、およそ25%であった。ドットブロット解析(図2)は、それぞれの細胞集団についての蛍光分布分布を示す(FL1=アポトーシス;FL2=壊死)。
実施例2:白血球抑制モジュール(Leukocytes Inhibition Module;LIM)の産生
LIMを産生するため、泡状物を、98%メタノールおよび2%(3-グリシジル-オキシプロ
ピル)トリメトキシシラン(Sigma)の混合物中に20分間浸漬し、その後乾燥させ、そし
て水中15mMの炭酸ナトリウムおよび35mMの炭酸水素ナトリウムからなるバッファー(ph 9)中、37℃で2時間、100μg抗体のインキュベーションを行った。あるいは、PBSを、抗体用のバッファとして使用することができる。その後、2%ヒトアルブミンタンパク質濃度
を含む等張性NaCl溶液の添加を、別の1時間のインキュベーションとともに行う。1%ヒトアルブミンを含有する等張性塩化ナトリウム-溶液を使用する10回の洗浄サイクルが、好
ましい。少なくとも、5%のヒトアルブミンおよび5%マンニトールを含有する等張性ナトリウム-溶液を用いて、30分インキュベーションをした後、乾燥させる。エチレンオキシ
ド-滅菌は、約60%が、抗体活性を失った(Jurkat細胞を用いて試験した)。25 kGrayの
線量を有する10 MeVを用いて電子加速器を使用するβ-照射の後、抗体活性が、滅菌なし
での活性と比較して、約70%に保存された。あるいは、滅菌は、γ-線(例えば、Co60源
)を使用することにより行うことができる。
LIMのスキームは、図4に示す。

Claims (66)

  1. 以下の工程:
    (a)固相担体を0.1〜10%(w/w)または0.1〜10%(v/v)の少なくとも1つのシランまたは別の適切なカップラーを含む溶液とともにインキュベーションし、その後溶液を除去する工程;
    (b)担体を生体物質を含有する好ましく緩衝化された水溶液とともにインキュベーシ
    ョンすることにより生体物質を担体に対して結合させ、その後水溶液を除去する工程;そして
    (c)(i)(ポリ)ペプチド、アミノ酸、スターチ、糖、ホスフェート、ポリアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)またはこれらの混合物から選択される1またはそれ以上の物質を含む水溶液、(ii)イオン液体、または(iii)適合性溶質、またはそれらの
    混合物、中で担体をインキュベーションして、それにより生体物質を部分的にまたは完全に1またはそれ以上の物質により被覆する工程;
    を含む、生体物質を保持する固相コーティング担体を製造する方法。
  2. 工程(d):
    (d)残留水分含量が<20%(w/w)になるまで担体を乾燥させる工程;
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(a'):
    (a')残留溶液含量が最初に適用した溶液の10%未満になるまで担体を乾燥させる工程;
    をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 工程(b)の後でかつ工程(c)の前に、工程(b'):
    (b')ブロッキング剤を含有する緩衝化水溶液中で担体をインキュベーションし、そして水溶液を取り除く工程;
    をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
  5. 工程(b)の後でかつ工程(c)の前に、工程(b”):
    (b”)(ポリ)ペプチド、ヒドロキシエチルスターチ(HES)、マンニトール、ソルビトールおよびポリエチレングリコール(PEG)から選択される物質、牛乳、豆乳、コムギ
    由来タンパク質または卵由来タンパク質を0.5〜10%(w/w)含有する水溶液を使用して、結合されていない結合部位をブロッキングする工程、そして場合によりブロッキング後にその水溶液を用いて1回またはそれ以上の洗浄工程を行う工程;
    をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程(c)における担体を、アルブミン、ヒドロキシエチルスターチ(HES)、マンニトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール(PEG)、およびシャペロンからなる群か
    ら選択される1またはそれ以上の物質を含む水溶液中でインキュベーションする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 工程(c)における担体を、イオン液体中でインキュベーションする、請求項1〜5のい
    ずれか1項に記載の方法。
  8. 担体の材料が、多孔性構造のものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 担体の材料が、30 cm-1〜300 cm-1の範囲の表面/気体容量比により特徴づけられる、
    請求項8に記載の方法。
  10. 担体の材料が、4〜40の範囲の非圧縮/圧縮物質容量比により特徴づけられる、請求項8または9に記載の方法。
  11. 担体の材料が、中空繊維の構造を有し、好ましくは1〜10の範囲の非圧縮/圧縮物質容
    量比および/または200 cm-1〜2000 cm-1の範囲の表面/気体容量比により特徴づけられ
    る、中空繊維の構造を有する、請求項9に記載の方法。
  12. 担体の材料が、ガラス、ポリウレタン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリアクリルニトリル、ポリアミド、PMMA、フリース詰め綿(fleece wadding)、開放性多孔質発泡性(open porous foam)のプラスチックまたはガラス、および網状のプラスチックまたはガラス、および海綿(海綿動物)由来の構造物からなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 工程(a)における溶液が水溶液である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 工程(a)における溶液が非-水溶液である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  15. 少なくとも1つのシランが、アルコキシシラン、有機官能性シラン、水素シラン、水素
    シロキサン、シロキサン、およびその他の官能基を有するシリル化合物を含む有機シラン、からなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  16. 生体物質が、真核細胞、真核細胞のフラグメント、原核生物、原核生物のフラグメント、古細菌、古細菌のフラグメント、ウィルス、およびウィルスフラグメント、からなる群から選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 真核細胞のフラグメント、原核生物のフラグメント、古細菌のフラグメントまたはウィルスフラグメントが、(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドおよび多糖からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 生体物質が、合成的、半合成的、または組換え的に産生される(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドおよび多糖からなる群から選択される、請求項1〜15
    のいずれか1項に記載の方法。
  19. (ポリ)ペプチドが受容体である、請求項17または18に記載の方法。
  20. 受容体が、抗体、抗体フラグメントまたは抗体誘導体である、請求項19に記載の方法。
  21. 抗体がモノクローナル抗体である、請求項20に記載の方法。
  22. 抗体が、IgGクラス、IgYクラス、またはIgMクラスの抗体である、請求項20または21に
    記載の方法。
  23. (ポリ)ペプチドが、サイトカインまたは血管新生増殖因子である、請求項17または18に記載の方法。
  24. サイトカインが、BMP-2またはBMP-7である、請求項23に記載の方法。
  25. 血管新生増殖因子がPDGFである、請求項23に記載の方法。
  26. 生体物質が、共有結合を介して、工程(b)において担体に結合される、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 工程(a)〜工程(c)が、担体を含有する回転チューブのシステム中で行われる、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 溶液が、ポンプを介してチューブのシステム中で回転される、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 多孔性構造を有する材料から構成される担体が、少なくとも1つのさらなる材料を含む
    、請求項8〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 少なくとも1つのさらなる材料が、炭素、SiO2、HESおよびビオチンからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
  31. 工程(a)〜工程(c)における溶液が、0.5〜10%のアルブミン(v/v)および0.5〜5%のマンニトール(v/v)を含む水溶液である、請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 工程(a)における溶液がシラン0.1〜10%(v/v)を有するアルコールであり、工程(b)における溶液が生体物質を含む水溶液であり、そして工程(c)における溶液が0.5〜10%のアルブミン(v/v)および0.5〜5%のマンニトール(v/v)を含む水溶液である、請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。
  33. 固相コーティング担体を滅菌する工程(e)をさらに含む、請求項1〜32のいずれか1項
    に記載の方法。
  34. 担体の滅菌が、エチレンオキサイド(EO)、β線照射、γ線照射、X-線、加熱不活性化、オートクレーブ、またはプラズマ滅菌により行われる、請求項33に記載の方法。
  35. 工程(e)の後にコーティング担体を洗浄する工程(f)をさらに含む、請求項33に記載の方法。
  36. 請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法により製造可能であるか製造される、固相コーティング担体。
  37. 生体物質が、担体と直接的に接触する少なくとも1つのシランの第1層、および少なくとも1つの(ポリ)ペプチド、少なくとも1つのアミノ酸、スターチ、少なくとも1つの糖、
    少なくとも1つのホスフェート、少なくとも1つのポリアルコールおよびポリエチレングリコール(PEG)またはそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの物質からなる、第1層を部分的にまたは完全に被覆する第2層、からなるコーティングマトリクス中に包埋される、生体物質を結合させる固相コーティング担体。
  38. 担体の材料が、多孔性構造のものである、請求項37に記載の担体。
  39. 担体の材料が、ガラス、ポリウレタン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリアクリルニトリル、ポリアミド、PMMA、フリース詰め綿(fleece wadding)、開放性多孔質発泡性(open porous foam)のプラスチック、網状のプラスチック、および海綿(海綿動物)由来の構造物からなる群から選択される、請求項37または38に記載の担体。
  40. 生体物質が、真核細胞、真核細胞のフラグメント、原核生物、原核生物のフラグメント、古細菌、古細菌のフラグメント、ウィルス、およびウィルスのフラグメントからなる群から選択される、請求項37〜39のいずれか1項に記載の担体。
  41. 真核細胞のフラグメント、原核生物のフラグメント、古細菌のフラグメント、またはウィルスのフラグメントが、(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドおよび多糖からなる群から選択される、請求項40に記載の担体。
  42. 生体物質が、合成的、または半合成的、または組換え的に産生される(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖からなる群から選択される、請求項37〜39のいずれか1項に記載の担体。
  43. 第2層の少なくとも1つの(ポリ)ペプチドがアルブミンであり、第2層のスターチがヒ
    ドロキシエチルスターチ(HES)であり、および/または第2層の少なくとも1つの糖がマ
    ンニトールまたはソルビトールである、請求項37〜42のいずれか1項に記載の担体。
  44. 多孔性構造を有する担体の材料が、30 cm-1〜300 cm-1の範囲の表面/気体容量比によ
    り特徴づけられる、請求項37〜43のいずれか1項に記載の担体。
  45. 多孔性構造を有する担体の材料が、4〜40の範囲の非圧縮/圧縮物質容量比により特徴
    づけられる、請求項38〜44のいずれか1項に記載の担体。
  46. 担体の材料が、中空繊維であり、好ましくは1〜10の範囲の非圧縮/圧縮物質容量比 および/または200 cm-1〜2000 cm-1の範囲の表面/気体容量比により特徴づけられる中空
    繊維である、請求項38〜44のいずれか1項に記載の担体。
  47. 第1層の少なくとも1つのシランが、アルコキシシラン、有機官能性シラン、水素シラン、水素シロキサン、シロキサン、他の官能基を有するシリル化合物を含む有機シラン、からなる群から選択される、請求項37〜46のいずれか1項に記載の担体。
  48. 第2層が、アルブミンおよびマンニトールを含む好ましく乾燥された混合物である、請
    求項37〜47のいずれか1項に記載の担体。
  49. 第2層が、ポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、請求項48に記載の担体。
  50. 生体物質が、共有結合を介して、担体に結合される、請求項37〜49のいずれか1項に記
    載の担体。
  51. (ポリ)ペプチドが受容体である、請求項41〜50のいずれか1項に記載の担体。
  52. 受容体が、抗体、抗体フラグメントまたは抗体誘導体である、請求項51に記載の担体。
  53. 抗体がモノクローナル抗体である、請求項52に記載の担体。
  54. 抗体が、IgGクラス、IgYクラスまたはIgMクラスの抗体である、請求項47または48に記
    載の担体。
  55. (ポリ)ペプチドが、サイトカインまたは血管新生増殖因子である、請求項41〜50のいずれか1項に記載の担体。
  56. 担体が、少なくとも1つのさらなる材料を含む、請求項37〜55のいずれか1項に記載の担体。
  57. 少なくとも1つのさらなる材料が、炭素、SiO2、HESおよびビオチンからなる群から選択される、請求項56に記載の担体。
  58. 担体をβ線照射またはγ線照射により滅菌する、請求項37〜57のいずれか1項に記載の
    担体。
  59. 患者の血液、リンパ、または脳脊髄液を接触させ、濾過し、または清浄化するための医薬品の調製のための、請求項37〜58のいずれか1項に記載の固相コーティング担体の使用
  60. 血液、リンパ、または脳脊髄液を、請求項37〜58のいずれか1項に記載の固相コーティ
    ング担体と接触させることを含む、患者の血液、リンパ、または脳脊髄液の組成物の操作のための方法。
  61. 患者の血液、リンパ、または脳脊髄液の組成物の操作を、固相コーティング担体を含有するバッチ容器中で行う、請求項59に記載の使用または請求項60に記載の方法。
  62. 患者の血液、リンパ、または脳脊髄液の組成物の操作を、固相コーティング担体を含有するフロースルー容器中で行う、請求項59に記載の使用または請求項60に記載の方法。
  63. 以下の工程:
    (a)病原体または疾患についての指標となるマーカータンパク質の、包埋された受容
    体に対する特異的結合のために適切な条件下、患者の体液を、請求項51〜58のいずれか1
    項に記載の固相コーティング担体と接触させる工程;そして
    (b)病原体または疾患についての指標となるマーカータンパク質が、包埋された受容
    体に結合したかどうかを検出する工程;
    を含む、疾患の診断のための方法。
  64. 受容体が、抗体、抗体フラグメントまたは抗体誘導体である、請求項63に記載の方法。
  65. 請求項37〜58のいずれか1項に記載の固相コーティング担体を含む、診断用組成物。
  66. 精製されるべき化合物を含む混合物を、請求項37〜58のいずれか1項に記載の固相コー
    ティング担体に対して接触させることを含む、化合物を精製する方法。
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