JPH0755870Y2 - コンバインの刈取前処理装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、コンバインの刈取前処理装置、詳しくは植立
穀稈の穂部を刈取る上下２段の刈取装置および刈取穀稈
を刈幅中間部に横送り合流する合流装置を備えたコンバ
インの刈取前処理装置に関する。

〔従来の技術〕

従来における上記刈取前処理装置としては、例えば特開
昭63-7711号公報に開示してあるように、下段の刈取装
置をオーガの後方位置に設けるとともに、上段の刈取装
置のオーガの前方側に配備する構造のものがあった。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記構造は、穀稈の穂先部分のみを脱穀装置に送り込む
ようにして脱穀処理能力を向上させるとともに、刈残し
た株をできる限り地面近くで切断できるよう配慮したも
のである。しかし、例えば圃場に機体を乗り入れる際な
どにおいて、機体を旋回させながら刈取り作業を行う
と、下段の刈取装置による刈取領域と上段の刈取装置に
よる刈取領域とが位置ずれを起こすことになる。そうす
ると、旋回内側における領域においては、植立穀稈の穂
先側は前端の分草具あるいは側壁により、横側外方側に
分草案内されるものの、前記上段の刈取装置は穀稈の地
面近くの部位に作用するので穂先部の刈取を完了してい
ない穀稈を切り倒してしまうという問題点があった。

本考案の目的は斯かる点に着目し、機体を旋回させなが
ら刈取り作業を行う場合であっても、未刈穀稈を株元側
から切り倒して穀粒の損失を招くといった弊害を防止す
ることのできるコンバインの刈取前処理装置を提供する
点にある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は冒頭に記載したコンバインの刈取前処理装置に
おいて、植立穀稈を引起す引起し装置を設け、この引起
し装置の後側に、前側下段に配置の刈取装置で株元端か
ら切断された刈取穀稈を所定の立姿勢に保持して後側上
段に配置の株元切落し用の刈取装置に向けて搬送する中
間株元搬送装置と穂先搬送装置とを配設するとともに、
上段の前記刈取装置と前記中間株元搬送装置とをそれら
の上下位置を調節可能に構成してあることを特徴構成と
する。

〔作用〕

つまり、 （イ）引起し装置により立姿勢に引起された穀稈の株元
側を、前部側の位置に設けた下段の刈取装置で切断した
後、挾持搬送しながら後方上段の刈取装置で穂先部を切
断するのである。そして穂先部のみを脱穀装置に供給搬
送する。しかも、機体旋回刈取時の旋回内側において、
下段の刈取装置の未刈領域に上段の刈取装置が侵入して
も、上段の刈取装置は穀稈の穂先部近傍の高さにあるの
で、装置壁側等により横外方に分草案内された未刈穀稈
に作用することはないのである。

そして、 （ロ）下段の刈取装置によって刈取られた穀稈を穂先側
と中間株元側との２箇所に作用する搬送装置によって搬
送するので、稈長の長いものでも所定の立姿勢を維持し
て上段の刈取装置へ移送できる。

また、 （ハ）圃場の違い等によって植立穀稈の稈長長さや稈長
長さに対する穂先部長さの割合が異なること等がある
が、前記構成によれば、上段の刈取装置およびこれに近
い側となる中間株元搬送装置の上下位置が夫々変更可能
であるから、不要である株元部を残して切断したりある
いは穂先部に入り込んで切断したりすることなく不要な
株元部を適確に穂先部への変り目から切断できるととも
に、その上段の刈取装置の位置に合わせて中間株元搬送
装置を上下すれば株元を適確に上段の刈取装置へ搬送し
て良好に切断することができる。

また、長稈の場合には上段の刈取装置による切断位置よ
りも高い目を挾持搬送するようにすれば穂先部の処理が
し易いものとなる。

〔考案の効果〕

従って、本考案によれば、（イ）の作用によって機体を
旋回させながら刈取作業を行う場合であっても、穂先部
を刈取っていない植立穀稈を、株元側から切り倒すこと
がなく、穀粒の損失を防止できるのである。

そして、（ロ）の作用によって、穀稈の刈取姿勢を所定
の立姿勢に安定して保持できるとともに、（ハ）の作用
によって、植立穀稈の条件が変化しても確実に必要な穂
先部のみを収穫できるので、穂先部の回収効率や搬送効
率を向上し得る利点がある。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を軸流型コンバインに適用した場
合について、図面に基づいて説明する。

第６図に示すように、植立穀稈を縦送りデバイダ式の分
草装置（１）によって分草するとともに、分草された植
立穀稈を引起こして起立姿勢にする引起し装置（２）、
引起し穀稈を穂先側搬送装置（3A）と中間株元側搬送装
置（3B）とによって起立姿勢の分草穀稈を後方に送る搬
送装置（３）、搬送穀稈の穂部を刈取る上下２段のバリ
カン型刈取装置（４），（５）、および刈取穀稈を刈幅
中間部に横送り合流する合流装置としてのオーガ（６）
を備えた前処理ヘッド部（７）と、前記合流装置（６）
から受継いだ刈取穀稈を機体側脱穀装置（８）に向けて
搬送する回転無端式の後方搬送装置（９）を内装したフ
ィードケース（10）とからなる刈取前処理部（Ａ）が、
前記フィードケース（10）の基端を介して走行機体
（Ｂ）に対して油圧シリンダ（11）で上下揺動駆動可能
に取付けられ、６条刈りの軸流型コンバインを構成す
る。

第１図および第２図に示すように前記引起し装置（２）
の後側に、植立穀稈を株元端から切断する下段の刈取装
置（５）および、この下段の刈取装置（５）の後方に切
断後の刈取穀稈の株元を切落す上段の刈取装置（４）を
配備するとともに、株元端から切断された刈取穀稈を所
定の立姿勢に保持して後側上段の刈取装置（４）に向け
て移送する中間株元搬送装置（3B）と穂先搬送装置（3
A）とを配設してある。

前記中間株元搬送装置（3B）は突起付きチェン（12）と
ガイドレール（13）とによって株元をその上段の刈取装
置（４）で切断すべき位置の直上部を挾持して搬送する
ものであり、この中間株元搬送装置（3B）、前記穂先搬
送装置（3A）、および、上段の刈取装置（４）の夫々
を、それらの上下位置を調節可能に構成してある。

詳述すると、第３図、第４図で示すように上段の刈取装
置（４）は、前処理ヘッド部（７）の下フレーム（14）
より立設した縦向きの刈取フレーム（15）に受刃（4a）
をボルト止めしてあるとともに、この上段の刈取装置
（４）を下段の刈取装置（５）との間に配設された、縦
軸で断面正六角形状の揺動軸（16）にボルト締めによっ
て位置固定のアーム（17）と刈刃（4b）とをロッド（1
8）で連結してある。前記受刃（4a）固定用のナット部
は刈取フレーム（15）の上下位置に複数箇所設けてあ
り、従って、受刃固定用ボルト（20）およびアーム固定
用ボルト（21）を弛めることによって受刃（4a）を複数
段の上下位置に変更可能であるとともに、刈刃（4b）と
連結されたアーム（17）もそれに伴って揺動軸（16）上
で上下位置を変更して、この上段の刈取装置（４）の上
下位置を複数段に変更可能にしてある。

前記中間株元および穂先搬送装置（3B），（3A）は、第
５図にも示すように前記下フレーム（14）先端に固着さ
れた左右に通しの刈刃フレーム（22）から立設した縦フ
レーム（23）に支持されており、この縦フレーム（23）
上端に取付けられた分岐ケース（24）ら垂下した断面六
角状の駆動軸（25）によって夫々駆動されるようにして
ある。

前記分岐ケース（24）は、上方の伝動ケース（19）から
の入力を、引起し装置（２）と前記駆動軸（25）とに分
岐させるギヤ群（Ｇ）を内装している。

そして、駆動軸（25）はその大径平ギヤ（36）を被駆動
ベベルギヤ（34）の平ギヤ（35）に咬合させて駆動回転
される。

そして、前記両搬送装置（3A），（3B）は前記縦フレー
ム（23）の上下位置複数箇所に設けられたナット部（2
7）・・に取付ボルト（28）によって固定してある。

前記両搬送装置（3A），（3B）は駆動軸（25）に対して
はその軸方向の相対スライドが自在とされているので、
取付ボルト（28）を付け変えることによってこれら搬送
装置（3A），（3B）の上下位置を複数段に変更可能とし
てある。

第１図に示すように、前記上段の刈取装置（４）の後端
部と、オーガ（６）の底板（29）の前端辺との間には、
穂先搬送装置（3A）から放り出された着粒部をオーガ
（６）に円滑に案内していくためのカバー（30）を架設
してある。このカバー（30）は、上段の刈取装置（４）
の後端部にヒンジ（31）を介して取り付けた前部カバー
（30A）と、底板（29）の前端辺に位置固定の状態で取
り付けた後部カバー（30B）とを重ね合わせて連結させ
たものである。上段の刈取装置（４）を上下に位置調節
してヒンジ（31）と、前部カバー（30A）と後部カバー
（30B）との接続点との間の距離が変化しても、前部カ
バー（30A）と後部カバー（30B）との重ね合わせ度合い
を変更して前後の長さを調節することによって自在に対
応することができる。このカバー（30）は上段の刈取装
置（４）で切断した株元部を地面へ排出するガイドにも
なるのである。

また、第９図に示すようにオーガ（６）の横側面を覆う
状態の、前処理ヘッド部（７）の側板（32）には収納式
の受け台（33）を、その上端で枢支連結してあり、刈取
り時には側板（32）に沿わした収納状態にして未刈側の
植立穀稈をガイドする役目を有するとともに、枕刈りし
た穀稈を直接オーガ（６）に供給する枕処理の際にはこ
の受け台（33）を持ち上げた使用状態に屈折リンク機構
（37）で固定して、枕刈り穀稈の供給台としての役目を
発揮するようにしてある。

〔別実施例〕

前記中間株元搬送装置（3B）を、上段の刈取装置（４）
もしくは穂先搬送装置（3A）と同調させて一体的に上下
位置を変更するようにしても良い。つまり、株元搬送装
置（3B）と上段の刈取装置（４）もしくは穂先搬送装置
（3A）との相対離間距離を一定にしておくのである。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便利
にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付図
面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るコンバインの刈取前処理装置の実施
例を示し、第１図、第２図は夫々前処理ヘッド部の側面
図、平面図、第３図、第４図は夫々刈取装置の駆動構造
を示す要部の平面図、側面図、第５図は搬送装置による
穀稈の搬送状態を示す正面図、第６図はコンバインの側
面図、第７図は分岐ケース内部を示す断面図、第８図は
分岐ケース内における駆動軸の駆動構造を示す要部平面
図、第９図は供給台の作動状態を示す要部正面図であ
る。 （２）……引起し装置、（４），（５）……刈取装置、
（６）……合流装置、（3A）……穂先搬送装置、（3B）
……中間株元搬送装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】植立穀稈の穂部を刈取る上下２段の刈取装
   置（４），（５）および刈取穀稈を刈幅中間部に横送り
   合流する合流装置（６）を備えたコンバインの刈取前処
   理装置であって、植立穀稈を引起す引起し装置（２）を
   設け、この引起し装置（２）の後側に、前側下段に配置
   の刈取装置（５）で株元端から切断された刈取穀稈を所
   定の立姿勢に保持して後側上段に配置の株元切落し用の
   刈取装置（４）に向けて搬送する中間株元搬送装置（3
   B）と穂先搬送装置（3A）とを配設するとともに、上段
   の前記刈取装置（４）と前記中間株元搬送装置（3B）と
   それらの上下位置を調節可能に構成してあるコンバイン
   の刈取前処理装置。