JPH0753881A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

硬化性樹脂組成物

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JPH0753881A
JPH0753881A JP20333793A JP20333793A JPH0753881A JP H0753881 A JPH0753881 A JP H0753881A JP 20333793 A JP20333793 A JP 20333793A JP 20333793 A JP20333793 A JP 20333793A JP H0753881 A JPH0753881 A JP H0753881A
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curable resin
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Naotami Andou
直民 安藤
Kazuya Nakayama
和也 中山
Takanori Hatano
貴典 畑野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 長期保存後でも成膜性が低下せず、凝集体の
発生もなく硬化性がよいため、一液化が可能であり、ま
た硬化物が優れた光沢を有する硬化性樹脂組成物を提供
する。 【構成】 シリル基を有する重合体を含有してなるエマ
ルション(A)と、水溶性酸性リン酸エステルとアミン
との混合物あるいは反応物である水溶性化合物(B)と
からなる硬化性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硬化性樹脂組成物に関
し、詳しくは、耐候性、耐久性などが要求される建築物
内外装、自動車、家電用品などに、優れた塗膜性能を付
与し得る硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】近年、塗
料や接着剤の分野において、公害対策および省資源の観
点より、有機溶剤を使用するものから、水性のものへの
転換が試みられている。
【0003】しかしながら、従来の水性のものとして
は、一般に水分散性樹脂が用いられているが、この水分
散性樹脂は、架橋性の官能基を有さず、その結果とし
て、乳化重合の際に使用する界面活性剤の影響を強く受
け、有機溶剤が用いられたものと対比して形成した硬化
物(塗膜)における耐候性、耐水性、耐汚染性などの物
性が著しく悪化するという欠点があった。
【0004】この欠点を改良するために種々の試みが提
案されており、その1つに、架橋性の官能基であるアル
コキシシリル基を有する重合体のエマルションを塗料に
応用し、硬化剤として有機スズ化合物を使用して硬化さ
せる方法の塗料への応用が提案されている(特開平3−
227312号公報参照)。
【0005】しかしながら、有機スズ化合物をエマルシ
ョンに添加して保存すると、凝集物が発生し易く、保存
中に硬化が進んで成膜性が低下する傾向があるため、1
液での使用は不可能であることがわかっている。また、
硬化が十分に進まなかったり、不均一に進んだりする結
果、光沢性の低下を生じることがある。
【0006】そこで本発明者は、前記従来技術に鑑みて
鋭意研究を重ねた結果、水溶性リン酸エステルとアミン
との混合物あるいは反応物である水溶性化合物を硬化剤
として用いると1液化が可能であり、保存後も成膜性低
下を生じないことを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0007】
【課題を解決するための手段と作用】すなわち、本発明
の硬化性樹脂組成物は、一般式
【化2】 (式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、アリール
基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、
はハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ア
シロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基、チオアルコ
キシ基またはアミノ基、aは0〜2の整数を示す。(た
だし、RおよびXがそれぞれ2以上ある場合には、
それらは同一または相異なる。))で表わされるシリル
基を有する重合体(以下、「シリル基含有重合体」また
は「重合体(a)」という。)を含有するエマルション
(A)、及び水溶性酸性リン酸エステルとアミンとの混
合物あるいは反応物である水溶性化合物(B)を含有す
る。
【0008】本発明に用いられるエマルション(A)を
得るためのシリル基含有重合体には特に限定がなく、た
とえば前記一般式(I)で表わされるシリル基を含有し
た、エポキシ樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル
系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる
が、これらの中では、得られる硬化性樹脂組成物を用い
て形成された塗膜が耐候性および耐薬品性に優れ、また
樹脂設計の幅が広く、低価格であるという点で、アクリ
ル系樹脂が好ましい。
【0009】前記重合体(a)を調製する方法には特に
限定がなく、たとえば前記一般式(I)で表わされるシ
リル基を含有するビニル系単量体(以下、モノマー(a
−1)という)及びこれと共重合可能な他のビニル系単
量体(以下、モノマー(a−2)という)を重合する方
法が、容易に重合体(a)を得ることができるという点
から好ましい。
【0010】なお、前記一般式(I)において、R
示すアリール基としては、たとえば炭素数が6〜10の
ものが好ましく、またアラルキル基としては、例えば炭
素数が7〜10のものが好ましい。
【0011】前記モノマー(a−1)の具体例として
は、次の化合物が挙げられる。
【化3】 など、一般式(II)
【化4】 (式中、Rおよびaは前記と同じ、Rは水素原子ま
たはメチル基、Xはハロゲン原子を示す。)で表わさ
れる化合物。
【0012】
【化5】 など、一般式(III)
【化6】 (式中、R、R、Xおよびaは前記と同じ、nは
1〜12の整数を示す。)で表わされる化合物。
【0013】
【化7】 など、一般式(IV)
【化8】 (式中、R、Rおよびaは前記と同じ、Rは炭素
数1〜16のアルキル基を示す。)で表わされる化合
物。
【0014】
【化9】 など、一般式(V)
【化10】 (式中、R、R、R、a及びnは前記と同じ。)
で表わされる化合物。
【0015】
【化11】 など、一般式(VI)
【化12】 (式中、R、R、R、a及びnは前記と同じ。)
で表わされる化合物。
【0016】
【化13】 など、一般式(VII)
【化14】 (式中、R、R、R、a及びnは前記と同じ。)
で表わされる化合物。
【0017】
【化15】 など、一般式(VIII)
【化16】 (式中、R、R、Rおよびaは前記と同じ。)で
表わされる化合物。
【0018】
【化17】 など、一般式(IX)
【化18】 (式中、R、R、R、a及びnは前記と同じ。)
で表わされる化合物。
【0019】
【化19】 など、一般式(X)
【化20】 (式中、R、R、R、aおよびnは前記と同じ、
は−CHO−または−CHOCO−を示す。)
で表わされる化合物。
【0020】
【化21】 など、一般式(XI)
【化22】 (式中、R、R、R、aおよびnは前記と同じ、
pは1〜12の整数を示す。)で表わされる化合物など
が挙げられる。
【0021】これらは単独でまたは2種以上を混合して
用いることができる。これらの中では、取扱いの容易
さ、価格の点および反応副生成物が生じない点から、ア
ルコキシシリル基含有ビニル系単量体が好ましい。
【0022】前記モノマー(a−2)には、特に限定が
なく、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレー
ト、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シ
クロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アク
リレート系単量体;トリフルオロエチル(メタ)アクリ
レート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレー
ト、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリ
レート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)
アクリレート、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリ
フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエ
チレン、テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロプロ
ピレンなどのフッ素含有ビニル系単量体;スチレン、α
−メチルスチレン、クロロスチレン、4−ヒドロキシス
チレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル
単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイ
ン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマ
ル酸、シトラコン酸などのα,β−エチレン性不飽和カ
ルボン酸;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸など
の重合可能な炭素−炭素二重結合を有する酸、またはこ
れらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩など
の塩;無水マレイン酸などの酸無水物またはこれらと炭
素数1〜20の直鎖または分岐鎖を有するアルコールと
のハーフエステル;ジメチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレー
ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの
アミノ基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アク
リルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−
ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメ
チルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、アク
リロイルモルホリン、またはこれらの塩酸、酢酸塩;酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートな
どのビニルエステルやアリル化合物;(メタ)アクリロ
ニトリルなどのニトリル基含有ビニル系単量体;グリシ
ジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有ビニル
系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−メチロール
(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシスチレン、アロニ
クスM−5700(東亜合成化学工業(株)製)、Pl
accelFA−1、PlaccelFA−3、Pla
ccelFA−4、PlaccelFM−1、Plac
celFM−4(以上、ダイセル化学工業(株)製)、
HE−10、HE−20、HP−10、HP−20(以
上、日本触媒化学工業(株)製)、ブレンマーPPシリ
ーズ、ブレンマーPEPシリーズ、ブレンマーAP−4
00、ブレンマーNKH−5050、ブレンマーGLM
(以上、日本油脂(株)製)、水酸基含有ビニル系変性
ヒドロキシアルキルビニル系モノマーなどの水酸基含有
ビニル系単量体;ブレンマーPE−90、PE−20
0、PE−350などのブレンマーPEシリーズ、ブレ
ンマーPME−100、PME−200、PME−40
0などのブレンマーPMEシリーズ、ブレンマーAE−
350などのブレンマーAEシリーズ(以上、日本油脂
(株)製)、MA−30、MA−50、MA−100、
MA−150、RA−1120、RA−2614、RM
A−564、RMA−568、RMA−1114、MP
G130−MA(以上、日本乳化剤(株)製)などのポ
リオキシエチレン鎖を有する親水性ビニル系単量体;
(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類な
どのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシ
アルキルエステル類とリン酸またはリン酸エステル類と
の縮合生成物などのリン酸エステル基含有ビニル化合物
またはウレタン結合やシロキサン結合を含む(メタ)ア
クリレートなどのビニル化合物;ビニルピリジン、アミ
ノエチルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル系化
合物;イタコン酸ジアミド、クロトンアミド、マレイン
酸ジアミド、フマル酸ジアミド、N−ビニルピロリドン
などのアミド基含有ビニル系化合物;東亜合成化学工業
(株)製のマクロモノマーであるAS−6、AN−6、
AA−6、AB−6、AK−5などの化合物、2−ヒド
ロキシエチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、
シクロヘキシルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニ
リデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソ
プレン、フルオロオレフィンマレイミド、N−ビニルイ
ミダゾール、ビニルスルホン酸などのその他のビニル系
単量体;旭電化工業(株)製のLA87、LA82、L
A22などの重合型光安定剤、重合型紫外線吸収剤など
が挙げられる。
【0023】前記モノマー(a−2)の種類は、得られ
る硬化性樹脂組成物の目的とする物性に応じて選択すれ
ばよい。たとえば、得られる樹脂組成物を用いて形成さ
れた塗膜に撥水性を与え、耐水性および耐久性を向上さ
せるためには、フッ素含有ビニル系単量体やシロキサン
含有ビニル系単量体を用いることが好ましく、得られる
エマルション(A)の安定性を向上させるためには、
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、ジメチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、水
酸基含有ビニル系単量体、ポリプロピレングリコールメ
タクリレートなどの親水性単量体を用いることが好まし
い。また、酸性ビニル系単量体を用いた場合には、エマ
ルション(A)の機械的安定性が向上する。また、n−
ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t
−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
トなどの炭素数4以上のアルキル基あるいはシクロアル
キル基を有するメタクリレートを重合成分全量100重
量部(以下、単に「部」という)に対して60部以上共
重合することによりシリル基の安定性は向上する。
【0024】また、前記モノマー(a−2)の中でポリ
オキシエチレン鎖を有する親水性単量体を用いた場合に
は、前記モノマー(a−1)中のシリル基の安定性が低
下することなく、エマルション(A)の機械的安定性や
得られる硬化性樹脂組成物を用いて形成された塗膜の耐
水性、光沢などが向上するので好ましい。なお、前記親
水性単量体の鎖中におけるオキシエチレンの繰返しの数
に特に限定はないが、3〜30であることが好ましい。
【0025】かかるポリオキシエチレン鎖を有する親水
性単量体を用いる場合の配合量は、重合成分全量100
部に対して0.1〜10部となるように調整することが
好ましい。かかる配合量が0.1部未満である場合に
は、エマルション(A)の機械的安定性や、得られる硬
化性樹脂組成物を用いて形成された塗膜の耐水性および
光沢が低下するようになる傾向があり、また10部を超
える場合には、塗膜が軟化し、汚れが付着しやすくなる
傾向がある。
【0026】なお、本発明においては、前記モノマー
(a−2)として、たとえば、ポリエチレングリコール
ジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレー
ト、トリアリルシアヌレートなどの重合性の不飽和二重
結合を2以上有する単量体を用いることによって、生成
するポリマーが架橋構造を有するようにすることもでき
る。
【0027】モノマー(a−1)及びモノマー(a−
2)の配合量は、重合成分全量100部に対してモノマ
ー(a−1)の配合量が1〜30部、好ましくは2〜2
5部、すなわちモノマー(a−2)の配合量が70〜9
9部、好ましくは80〜98部となるように調整する。
モノマー(a−1)の配合量が1部未満である場合に
は、得られる樹脂組成物を用いて形成された塗膜の耐水
性および耐候性が劣る傾向があり、また30部を超える
場合には、エマルション(A)の安定性が低下する傾向
がある。
【0028】なお、本発明においては、水中でのアルコ
キシシリル基が安定しており、低価格であり、得られる
樹脂組成物を用いて塗膜を形成する際の副生成物が塗膜
に悪影響を与えないという点から、前記モノマー(a−
1)としてアルコキシシリル基含有ビニル系単量体およ
びモノマー(a−2)としてポリオキシエチレン鎖を有
する親水性ビニル系単量体を用いて得られた重合体
(a)が好ましい。中でも、アルコキシシリル基含有ビ
ニル系単量体1〜30重量%、好ましくは2〜25重量
%、ポリオキシエチレン鎖を有する親水性ビニル系単量
体0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜10重量%
および残部他のビニル系単量体からなる重合成分を共重
合してなる乳化共重合体が、アルコキシシリル基の安定
性、エマルション(A)の機械的安定性ならびに得られ
る樹脂組成物を用いて形成された塗膜の耐水性および光
沢が優れるという点から特に好ましい。
【0029】前記モノマー(a−1)とモノマー(a−
2)とを通常の方法で重合することによって重合体
(a)を得ることができるが、かかる重合法としては、
エマルション(A)の粒子径および安定性を考慮すると
乳化重合法が好ましい。
【0030】前記乳化重合法には特に限定がなく、たと
えばバッチ重合法、モノマー滴下重合法、乳化モノマー
滴下重合法などの各種乳化重合法の中から適宜選択して
採用することができるが、本発明においては、特に製造
時の乳化物の安定性を確保する上で、モノマー滴下重合
法および乳化モノマー滴下重合法が好ましい。異なる組
成のモノマーあるいは乳化モノマー液を多段重合するこ
とにより、多層構造を有する粒子を得ることもできる。
なお、得られる重合体の安定性をさらに向上させようと
する場合には、乳化剤として界面活性剤を用いることが
好ましい。
【0031】前記界面活性剤としては、通常の乳化重合
に用いられるものであれば特に限定はなく、イオン性ま
たは非イオン性の界面活性剤が挙げられる。
【0032】前記イオン性界面活性剤としては、たとえ
ばNewcol−560SN、Newcol−560S
F(以上、日本乳化剤(株)製)、エマールNC−3
5、レベールWZ(以上、花王(株)製)などのポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェート、N
ewcol−707SN、Newcol−707SF、
Newcol−723SF、Newcol−740SF
(以上、日本乳化剤(株)製)などのポリオキシエチレ
ンアリルエーテルサルフェート、Newcol−861
SE(日本乳化剤(株)製)などのオクチルフェノキシ
エトキシエチルスルホネート、Newcol−1305
SN(日本乳化剤(株)製)などのポリオキシエチレン
トリデシルエーテルサルフェートなどのポリオキシエチ
レン鎖を有するアニオン性界面活性剤;ラウリルスルホ
ン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、イソオクチルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの
スルホン酸塩;イミダリンラウレート、アンモニウムハ
イドロオキサイドなどのアンモニウム塩などが代表例と
して挙げられるが、これらの中では、前記モノマー(a
−1)中のシリル基が安定化された状態で重合反応が進
行するという点から、ポリオキシエチレン鎖を有するア
ニオン性界面活性剤が好ましい。
【0033】また、前記非イオン性界面活性剤として
は、たとえばポリエチレングリコールノニルフェニルエ
ーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシ
エチレン類;L−77、L−720、L−5410、L
−7602、L−7607(以上、ユニオンカーバイド
社製)などのシリコーンを含む非イオン系の界面活性剤
などが代表例として挙げられる。
【0034】本発明においては、乳化剤として1分子中
に重合性二重結合を有する反応性界面活性剤を用いるこ
とができ、特に分子内にポリオキシエチレン基を有する
反応性界面活性剤を用いた場合には、得られる硬化性樹
脂組成物を用いて形成された塗膜の耐水性が向上する。
【0035】かかる反応性界面活性剤の具体例として
は、たとえばアデカリアソープNE−10、NE−2
0、NE−30、NE−40、SE−10N(以上、旭
電化工業(株)製)、Antox−MS−60(日本乳
化剤(株)製)、アクアロンRN−20、RN−30、
RN−50、HS−10、HS−20、HS−1025
(以上、第一工業製薬(株)製)などが挙げられる。
【0036】前記界面活性剤は、単独でまたは2種以上
を混合して用いることができ、その使用量は、重合成分
全量100部に対して10部以下、好ましくは0.5〜
8部である。かかる界面活性剤の使用量が10部を超え
る場合には、得られる樹脂組成物を用いて形成された塗
膜の耐水性が低下する傾向がある。
【0037】なお、重合成分として前記アルコキシシリ
ル基含有ビニル系単量体およびポリオキシエチレン鎖を
有する親水性ビニル系単量体を用いて乳化重合体を得る
場合には、乳化剤として前記ポリオキシエチレン鎖を有
するアニオン性界面活性剤を重合成分全量100部に対
して0.2〜10部、好ましくは0.5〜8部用いるこ
とが、アルコキシシリル基に対する安定性の点から好ま
しい。
【0038】塗膜の耐水性をさらに向上させるために
は、かかる界面活性剤を用いる代わりに、水溶性樹脂に
前記一般式(I)で表わされるシリル基を導入したもの
を用いてもよい。
【0039】前記モノマー(a−1)とモノマー(a−
2)との重合をより安定に行なうために、重合開始剤と
してレドックス系触媒を用いることができる。また、重
合中の混合液の安定性を保持し、重合を安定に行なうた
めには、温度は70℃以下、好ましくは40〜65℃で
あり、シリル基の安定化のために、pHは5〜8、好ま
しくは5〜7となるように調整する。
【0040】前記レドックス系触媒としては、たとえば
過硫酸カリウムまたは過硫酸アンモニウムと酸性亜硫酸
ナトリウムまたはロンガリットとの組み合わせ、過酸化
水素とアスコルビン酸との組み合わせ、t−ブチルハイ
ドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメ
ンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物と酸性亜
硫酸ナトリウム、ロンガリットなどとの組み合わせなど
が挙げられる。特に、有機過酸化物と還元剤との組み合
わせが、安定に重合を行ない得るという点から好まし
い。
【0041】前記重合開始剤の使用量は、重合成分全量
100部に対して0.01〜10部、好ましくは0.0
5〜5部である。かかる重合開始剤の使用量が0.01
部未満である場合には、重合が進行しにくくなることが
あり、10部を超える場合には、生成する重合体の分子
量が低下し、得られる樹脂組成物を用いて形成された塗
膜の耐久性が低下する傾向がある。
【0042】また、重合開始剤の触媒活性を安定的に付
与するために、硫酸鉄などの2価の鉄イオンを含む化合
物とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなどのキレー
ト化剤を用いてもよい。かかるキレート化剤の使用量
は、重合成分全量100部に対して0.0001〜1
部、好ましくは0.001〜0.5部である。
【0043】このようにして得られるシリル基含有重合
体の粘度は、固形分40重量%で、10〜40cpであ
ることが好ましい。
【0044】この重合体(a)に、たとえば所望量の脱
イオン水などを添加し、重合体(a)を分散させてエマ
ルション(A)を得ることができる。
【0045】前記エマルション(A)中の樹脂固形分濃
度は、20〜70重量%が好ましく、さらに好ましくは
30〜60重量%となるように調整する。かかる樹脂固
形分濃度が70重量%を超える場合には、系の濃度が著
しく上昇するため、重合反応に伴なう発熱を除去するこ
とが困難になったり、重合器からの取り出しに長時間を
要するようになる傾向がある。また、樹脂固形分濃度が
20重量%未満である場合には、重合操作の面では何ら
問題は生じないものの、1回の重合操作によって生じる
樹脂量が少なく、経済面で不利となる上、塗膜形成の際
に膜厚が薄くなってしまい、性能劣化を起こしたり塗装
作業性の点で不利となる傾向がある。
【0046】なお、本発明に用いられるエマルション
(A)は、平均粒子径が0.02〜1.0μm程度の超
微粒子から構成されているので、優れた被膜形成能を有
するものである。
【0047】(B)成分の構成成分である水溶性酸性リ
ン酸エステルとしては、 [(CHCHO]P(O)(OH)、[(CH
CHO]P(O)(OH)、(CO)
P(O)(OH)、(CO)P(O)(O
H)、(CHO)P(O)(OH)、(CH
O)P(O)(OH)、(CO)P(O)
(OH)、(CO)P(O)(OH)、(C
O)P(O)(OH)などが挙げられる。
【0048】アミンとしては、水溶性酸性リン酸エステ
ルと組合わせることにより水溶性化合物を生成するなら
ば、脂肪族第1アミン、脂肪族第2アミン、脂肪族第3
アミン、脂肪族不飽和アミン、脂環式アミン、芳香族ア
ミンのいずれでもよい。
【0049】アミンの具体例としては例えば、エチルア
ミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、ジメチルア
ミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチル
アミン、アニリン、トリエタノールアミン、3−アミノ
−1−プロパノール、エタノールアミン、モルホリン、
ジエチレントリアミン、N,N−ジエチルヒドロキシル
アミン、ピペリジン、ピリジン、トリメチルアミノエチ
ルピペラジン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチ
レンジアミンなどが挙げられる。中でもn−ブチルアミ
ン、ピペリジン、トリエタノールアミン、3−アミノ−
1−プロパノールのような水溶性アミンを用いると、一
液安定性が増し、成膜性が向上する。
【0050】酸性リン酸エステルとアミンの量は、酸性
リン酸エステルによってアミンが中和されるように、酸
性リン酸エステルの酸価にあわせてアミンの量を決める
ことが一液安定性の点で好ましい。
【0051】水溶性酸性リン酸エステルとアミンは例え
ば水中で混合することにより、任意の濃度にして用いる
ことができる。また、水溶性酸性リン酸エステルとアミ
ンを混合すると両者が反応し、発熱が認められる場合が
ある。本発明においては、上記したような反応物の使用
も可能である。
【0052】(A)成分と(B)成分の配合割合は、シ
リル基含有重合体のエマルション(A)の樹脂固形分1
00部に対して酸性リン酸エステルが0.0001〜5
0部、好ましくは0.001〜30部用いられるように
(B)成分を添加することが好ましい。0.0001部
未満では硬化活性が不十分であり、50部を超えると耐
水性等が低下する。
【0053】本発明においては、通常塗料に用いられて
いる、たとえば二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸バ
リウム、カオリンなどの白色顔料、カーボンブラック、
ベンガラ、シアニンブルーなどの有色系顔料などの顔
料、コロイダルシリカ、可塑剤、溶剤、分散剤、増粘
剤、消泡剤、防腐剤、紫外線吸収剤、造膜助剤などの添
加剤、エチルシリケート、メチルシリケートあるいはそ
れらの部分加水分解縮合物、アミノシラン、エポキシシ
ランなどのシランカップリング剤を、必要に応じて前記
硬化性樹脂組成物に配合することができる。
【0054】市販されている水系の塗料を、本発明の硬
化性樹脂組成物に配合することができる。かかる水系の
塗料としては、たとえばアクリル系塗料、アクリルメラ
ミン系塗料などの熱硬化性アクリル塗料、アルキッド塗
料、エポキシ系塗料、フッ素樹脂塗料などが挙げられ、
これらを配合した場合には、樹脂組成物を用いて形成さ
れた塗膜の耐候性、耐酸性、耐溶剤性などを向上させる
ことができる。また、増粘剤などの添加剤を配合するこ
とによって、本発明の硬化性樹脂組成物は接着剤、粘着
剤などの用途に用いることも可能である。
【0055】本発明においては、架橋剤として、例えば
メラミン樹脂、イソシアネート化合物などを硬化性樹脂
組成物に添加し、速硬化性などを付与することもでき
る。
【0056】本発明の硬化性樹脂組成物を、たとえば浸
漬、吹付け、刷毛などを用いた塗布などの通常の方法に
よって被塗物に塗布し、常温でそのまま、または60〜
200℃程度で焼付けて硬化させ、塗膜を得ることがで
きる。
【0057】本発明の硬化性樹脂組成物は、たとえば建
築内外装用、メタリックベースあるいはメタリックベー
ス上のクリアーなどの自動車用、アルミニウム、ステン
レスなどの金属に対する直塗用、ガラス直塗用、天然大
理石、御影石などの石材に対する直塗用、スレート、コ
ンクリート、瓦などの窯業系基材に対する直塗用の塗料
をはじめ、表面処理剤として好適に使用し得るものであ
る。
【0058】
【実施例】次に、本発明の硬化性樹脂組成物を実施例に
基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施
例のみに限定されるものではない。
【0059】製造例1〜4(エマルション(A)の製造) 撹拌機、還流冷却器、チッ素ガス導入管及び滴下ロート
を備えた反応容器に、脱イオン水40部、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム0.9部(製造例1)または
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェー
ト(Newcol−560SN、日本乳化剤(株)製)
0.9部(製造例2、製造例3及び製造例4)、ポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテル1部、ロンガリッ
ト0.35部、酢酸アンモニウム0.5部、t−ブチル
ハイドロパーオキサイド0.2部及び[表1]に示す組
成の混合物158部中の20部を添加して初期仕込みを
行なった。
【0060】この後、チッ素ガスを導入しつつ50℃に
昇温し、1時間加温後、t−ブチルハイドロパーオキサ
イド0.5部および前記混合物158部中の残りの13
8部の混合物を滴下ロートにより3時間かけて等速滴下
した。
【0061】この後、後重合を1時間行ない、脱イオン
水を添加して樹脂固形分濃度が40重量%のエマルショ
ン(A−1)、(A−2)、(A−3)および(A−
4)を得た。なお、エマルション(A−1)が製造例1
に相当し、エマルション(A−2)が製造例2に相当
し、エマルション(A−3)が製造例3に相当し、エマ
ルション(A−4)が製造例4に相当する。
【0062】
【表1】
【0063】製造例5〜8(水溶性化合物[硬化剤](B)の調製) 酸性リン酸エステル、アミンおよび溶剤(純水、酢酸ブ
チル)を[表2]に示した割合で混合し、水溶性化合物
(B)からなる硬化剤を作製した。混合時にいずれも若
干の発熱が認められ、常温になってから前記硬化剤をエ
マルションに添加し使用した。
【0064】
【表2】
【0065】得られた硬化性樹脂組成物の硬化性、外観
(光沢)、保存安定性、成膜性を以下の方法にしたがっ
て調べた。その結果を[表3]に示す。
【0066】硬化性の評価 得られた組成物の所定量をポリエチレンシートに塗布
し、常温で14日間放置した後に、ポリエチレンシート
上に形成した塗膜のすべてを剥離し、これにより得た乾
燥塗膜をアセトンに1日浸漬し、アセトン浸漬後の塗膜
の残存率をゲル分率として表わした。
【0067】外観の評価 得られた組成物にさらにCS−12(造膜助剤:チッソ
(株)製)を0.4部添加し、ガラス板上に150μm
のアプリケータで組成物を塗布し、1日後に60°光沢
を測定した。
【0068】保存安定性(ポットライフ)の評価 得られた組成物の粘度(cp)を、初期および50℃、
1ヶ月保存後に、B型粘度計(23℃)を用いて測定し
た。また、液の状態を目視により観察した。
【0069】成膜性の評価 50℃で1ヶ月保存した組成物に、エマルション(A)
10部に対してCS−12(上記参照)を0.4部の
割合で添加し、ガラス板上に150μmのアプリケータ
ーで塗布し5℃に保存し、ワレの発生を観察した。
【0070】
【表3】
【0071】[表3]に示した結果から、実施例1〜6
で得られた硬化性樹脂組成物は、保存安定性、硬化性お
よび成膜性に優れたものであり、またこの樹脂組成物を
用いて形成された塗膜は光沢に優れるものであることが
わかる。
【0072】
【発明の効果】本発明の常温硬化性樹脂組成物は、長期
保存後でも成膜性が低下せず、凝集体の発生もなく硬化
性がよいため、一液化が可能なものであり、また硬化物
が優れた光沢を有するものである。すなわち、従来のア
ルコキシシリル基含有エマルションに比べ、性能面で大
幅に改善されたものである。したがって、たとえば建築
物内外装、自動車、家電用品などの塗装に好適に使用し
得る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、アリール
    基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、
    はハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ア
    シロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基、チオアルコ
    キシ基またはアミノ基、aは0〜2の整数を示す。(た
    だし、RおよびXがそれぞれ2つ以上の場合には、
    それらは同一または相異なる。))で表わされるシリル
    基を有する重合体を含有するエマルション(A)、及び
    水溶性酸性リン酸エステルとアミンとの混合物あるいは
    反応物である水溶性化合物(B)を含有する硬化性樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】前記重合体がアルコキシシリル基を含有す
    るビニル系単量体1〜30重量%、ポリオキシエチレン
    鎖を有する親水性ビニル系単量体0.1〜10重量%お
    よび残部他のビニル系単量体からなる重合成分を、ポリ
    オキシエチレン鎖を含有するアニオン系界面活性剤を用
    いて共重合してなる乳化共重合体である請求項1記載の
    硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】前記重合体が、C数4以上のアルキル基を
    有するアルキルメタクリレート及びC数4以上のシクロ
    アルキル基を有するシクロアルキルメタクリレートより
    選ばれる少なくとも1種を、全重合成分100重量部に
    対して60重量部以上用いて共重合することにより得ら
    れた共重合体である請求項1または2に記載の硬化性樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】前記水溶性化合物(B)のアミンが水溶性
    アミンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化
    性樹脂組成物。
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