JPH0753595Y2 - 便座のヒンジ軸挿入孔へのヒンジ軸の取付け構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、便座のヒンジ軸挿入孔にヒンジ軸を取付ける
ための技術に関する。

［従来の技術］ 従来にあっては、便座を便器やあるいは温水洗浄装置の
軸受けに取付けるには便座の後部に突設したヒンジボス
に穿孔したヒンジ軸挿入孔と軸受けに設けた孔とを連通
させ、ヒンジ軸挿入孔から挿入したヒンジ軸を孔に挿入
してナットにより螺合することで取付けていた。

［考案が解決しようとする課題］ ところが、上記した従来例にあっては、取付けに当たっ
てナット締め作業が必要で取付けが面倒であり、また、
交換、掃除等のために便座を取り外す場合、ナットを外
さなければならず、取り外し作業も面倒であり、特に、
水分の付着によりナットの螺合部分が固まってしまって
ナットを取り外すのがきわめて大変な作業になる場合が
ある。

本考案は上記の従来例の問題点に鑑みて考案したもので
あって、その目的とするところは、ヒンジ軸の取付け、
取り外しがきわめて簡単にでき、しかもヒンジボスにば
ね材を接着剤で取付ける場合、係止ばね片が接着剤でヒ
ンジボスに接着してしまって弾性変形性を阻害されるこ
とがなくて、確実にヒンジ軸を弾性係止することができ
る便座のヒンジ軸挿入孔へのヒンジ軸の取付け構造を提
供するにある。

［課題を解決するための手段］ 本考案の便座のヒンジ軸挿入孔へのヒンジ軸の取付け構
造は、便座１の後部にヒンジ軸挿入孔２を有するヒンジ
ボス３を突設し、中央が開口した本体部12の内側に一部
が本体部12に一体に連設した係止ばね片４を配設してば
ね材11を形成し、ヒンジボス３にヒンジ軸挿入孔２の開
口部外周部にばね材11の本体部12を接着剤により接着す
るとともに係止ばね片４の少なくとも内側をヒンジ軸挿
入孔２の孔縁よりも少し内側に位置させ、ヒンジボス３
と係止ばね片４の裏面との間に隙間14を形成し、ヒンジ
軸５にばね係止部６を設け、ヒンジ軸挿入孔２に挿入し
たヒンジ軸５のばね係止部６に係止ばね片４を弾性係止
して成るものであって、このような構成を採用すること
で上記した従来例の問題点を解決して本考案の目的を達
成したものである。

［作用］ しかして、ヒンジ軸挿入孔２のヒンジ軸５を挿入してば
ね係止部６に係止ばね片４を弾性係止することで、ヒン
ジ軸５をヒンジ軸挿入孔２から抜けないように取付ける
ことができ、したがって、便座を便器やあるいは温水洗
浄装置７の軸受け８に取付けるに当たっては、従来のよ
うにナットを必要とせず、便座１のヒンジ軸挿入孔２に
上記のようにヒンジ軸５を抜けないように取付けるとと
もにヒンジ軸５の先端部を軸受け８の孔９に挿入するだ
けでよくなったものであり、また、取り外しに当たって
も、ヒンジ軸５を強く引いてばね係止部６と係止ばね片
４との弾性係止を解除することで引き抜くことができる
ようになった。そして、ヒンジボス３にばね材11を接着
剤により取付けることで簡単にヒンジボス３にばね材11
を取付けることができるものであるが、この接着に当た
って、ヒンジボス３と係止ばね片４の裏面との間に隙間
14を形成することで、本体部12をヒンジボス３に接着す
る際に用いる接着剤が係止ばね片４に付着するのが防止
され、係止ばね片４がヒンジボス３に接着されず、係止
ばね片４本来の弾性変形性を損なうことなく、確実にば
ね係止部６と弾性係止することができるものである。

［実施例］ 本考案は以下添付図面に示す実施例に基づいて詳述す
る。

便座１は第３図に示すように環状をしており、後部両側
にヒンジボス３が突設してある。このヒンジボス３には
ヒンジ軸挿入孔２が穿孔してあり、このヒンジボス３の
外側の側面部のヒンジ軸挿入孔２の開口部の周囲に環状
をした凹溝部10が設けてあり、この凹溝部10に第２図、
第４図、第５図に示すようにばね材11がはめ込んで固着
してある。ばね材11は第８図に示すように環状をした本
体部12の内周に一部が本体部12と一体に連設したＣ字状
をした係止ばね片４とで構成してある。そして、本体部
12の裏面に嵌合突部16が設けてあり、この嵌合突部16を
ヒンジボス３の凹溝部10の奥面13に形成した嵌合孔（図
示せず）に嵌合して位置合わせするともに接着剤により
本体部12をヒンジボス３に接着固定するものである。ば
ね片４の裏面側は第４図に示すように本体部12の裏面側
よりも表面側に凹んで位置しており、本体部12の裏面を
凹溝部10の奥面13に接着剤により固着した場合、ヒンジ
ボス３と係止ばね片４の裏面との間（つまり添付図面の
実施例では本体部12の凹溝部10の奥面13と係止ばね片４
の裏面との間）に隙間14が形成してある。このようにヒ
ンジボス３と係止ばね片４の裏面との間に隙間14が形成
されるようにばね材11を取付けることで、接着剤で本体
部12をヒンジボス３に接着する場合でも接着剤により係
止ばね片４が接着されるおそれがなく、係止ばね片４の
ばね変形性を阻害するおそれがないものである。ここ
で、上記実施例ではばね片４の裏面側は本体部12の裏面
側よりも表面側に凹んで位置させることでヒンジボス３
と係止ばね片４の裏面との間に隙間14を形成した例を示
したが、第６図に示すように本体部12の裏面と係止ばね
片４の裏面とを面一にし、ヒンジボス３の係止ばね片４
に対向する面を凹ませて凹部15を形成してヒンジボス３
と係止ばね片４の裏面との間に隙間14を形成することで
上記と同様に本体部12をヒンジボス３に接着剤により接
着する際に係止ばね片４が接着剤でヒンジボス３に固着
されないようにしてもよい。もちろん、係止ばね片４の
裏面側及びヒンジボス３の係止ばね片４に対向する部分
を凹ませてもよい。上記のようにばね材11を取付けた場
合、ばね材11の係止ばね片４の内周部はヒンジ軸挿入孔
２の孔縁よりも少し内側に位置するようになっている。
つまり、Ｃ字状をした係止ばね片４の内周の径はヒンジ
軸挿入孔２の径よりも少し小さいものである。ところ
で、本体部12の裏面の内周付近に第９図に示すように環
状に突リブ12aを設けておくと、接着剤が係止ばね片４
側に流れるのを阻止することができるものである。

図中５はヒンジ軸であり、軸部１の一端部に頭部19が設
けてあり、軸部１の一部に小径部を設けてばね係止部６
が形成してある。

また、便蓋20の後部にも第７図に示すようにはめ込み孔
21が設けてある。

しかして、便器あるいは温水洗浄装置７の一対の軸受け
８間に便座１及び便蓋20の後部を位置させ、ヒンジ軸挿
入孔２とはめ込み孔21と軸受け８の孔９とを連通させ、
この状態で、ヒンジ軸挿入孔２からはめ込み孔21、孔９
の順にヒンジ軸５を挿入し、同時にヒンジ軸５のばね係
止部６に係止ばね片４を弾性係止してヒンジ軸５が抜け
ないように取付けるものである。

一方、便座１や便蓋20を取り外す場合にはヒンジ軸５を
軸方向に強く引くと、係止ばね片４とばね係止部６との
弾性係止が解除されてヒンジ軸５を引き抜くことができ
るので、便座１や便蓋20を取り外すことができる。

なお、上記実施例では便座１を便器や温水洗浄装置７の
軸受け８にヒンジ軸５により取付けるに当たり、便蓋20
も同時に取付けているが、便座１のみを軸受け８にヒン
ジ軸５により取付けるようにしてもよい。

［考案の効果］ 以上のように本考案にあっては、便座の後部にヒンジ軸
挿入孔を有するヒンジボスを突設し、中央が開口した本
体部の内側に一部が本体部に一体に連設した係止ばね片
を配設してばね材を形成し、ヒンジボスにヒンジ軸挿入
孔の開口部外周部にばね材の本体部を接着剤により接着
するとともに係止ばね片の少なくとも内側をヒンジ軸挿
入孔の孔縁よりも少し内側に位置させ、ヒンジ軸にばね
係止部を設け、ヒンジ軸挿入孔に挿入したヒンジ軸のば
ね係止部に係止ばね片を弾性係止したので、ヒンジ軸挿
入孔にヒンジ軸を挿入してばね係止部に係止ばね片を弾
性係止するだけで、ヒンジ軸をヒンジ軸挿入孔から抜け
ないように取付けることができて、便座を便器やあるい
は温水洗浄装置の軸受けに取付けるに当たって、従来の
ようにナットを必要とせず、便座のヒンジ軸挿入孔にヒ
ンジ軸を抜けないように取付けるとともにヒンジ軸の先
端部を軸受けの孔に挿入するだけで簡単に取付けること
ができ、また、取り外しに当たっても、ヒンジ軸を強く
引いてばね係止部と係止ばね片との弾性係止を解除する
ことで簡単に引き抜くことができるものであり、しか
も、ヒンジボスと係止ばね片の裏面との間に隙間を形成
してあるので、ヒンジボスにばね材を接着剤により取付
けることで簡単にヒンジボスにばね材を取付けることが
できるのはもちろん、この接着に当たって、ヒンジボス
と係止ばね片の裏面との間に隙間を形成することで、本
体部をヒンジボスに接着する際に用いる接着剤が係止ば
ね片に付着するのが防止され、係止ばね片がヒンジボス
に接着されず、この結果、係止ばね片本来の弾性形性を
損なうことがなくて確実にばね係止部と弾性係止するこ
とができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の全体斜視図、第２図は同上の便座の斜
視図、第３図は同上のヒンジボスとヒンジ軸とを示す分
解斜視図、第４図は同上の分解断面図、第５図は同上の
断面図、第６図は同上の他の実施例の断面図、第７図は
同上の便蓋の斜視図、第８図（ａ）（ｂ）（ｃ）は同上
の正面図、平面断面図及び側面断面図、第９図は第８図
（ｂ）のイ部分の拡大断面図であって、１は便座、２は
ヒンジ軸挿入孔、３はヒンジボス、４は係止ばね片、５
はヒンジ軸、６はばね係止部、11はばね材、12は本体
部、14は隙間である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】便座の後部にヒンジ軸挿入孔を有するヒン
   ジボスを突設し、中央が開口した本体部の内側に一部が
   本体部に一体に連設した係止ばね片を配設してばね材を
   形成し、ヒンジボスにヒンジ軸挿入孔の開口部外周部に
   ばね材の本体部を接着剤により接着するとともに係止ば
   ね片の少なくとも内側をヒンジ軸挿入孔の孔縁よりも少
   し内側に位置させ、ヒンジボスと係止ばね片の裏面との
   間に隙間を形成し、ヒンジ軸にばね係止部を設け、ヒン
   ジ軸挿入孔に挿入したヒンジ軸のばね係止部に係止ばね
   片を弾性係止して成る便座のヒンジ軸挿入孔へのヒンジ
   軸の取付け構造。