JPH0753425A - D−キロ−イノシトールの製造法 - Google Patents

D−キロ−イノシトールの製造法

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JPH0753425A
JPH0753425A JP21792693A JP21792693A JPH0753425A JP H0753425 A JPH0753425 A JP H0753425A JP 21792693 A JP21792693 A JP 21792693A JP 21792693 A JP21792693 A JP 21792693A JP H0753425 A JPH0753425 A JP H0753425A
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inositol
kilo
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 カスガマイシンを温和な酸性条件下で簡便に
効率よく加水分解してD−キロ−イノシトールを副反応
少なく高純度で製造する方法を提供する。 【構成】 カスガマイシン塩酸塩又は硫酸塩の水溶液を
強酸性イオン交換樹脂(H+ 型)の粒状物と混合してカ
スガマイシンの強酸性イオン交換樹脂付加塩粒状物と
し、これと遊離塩酸又は硫酸の0.05N〜0.5N、
好ましくは0.15N〜0.2N水溶液との混合物を常
圧又は加圧下で加熱してカスガマイシンを加水分解させ
てD−キロ−イノシトールと塩酸又は硫酸とを含む反応
溶液を形成し、冷却し、樹脂から分離する。樹脂の洗浄
水を反応溶液と合した酸性混合液を塩基性イオン交換樹
脂(OH- 型)の充填カラムに通しD−キロ−イノシト
ールを含む中性溶出液を得て濃縮して結晶を析出させ
る。また強酸性イオン交換樹脂(H+ 型)の粒状物の充
填カラムにカスガマイシン塩酸塩または硫酸塩の水溶液
を加温条件下で連続に導入し、加水分解させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカスガマイシンの酸加水
分解によるD−キロ−イノシトール(D-chiro-inositol)
の改良製造法に関する。更に詳しくは、本発明は水溶液
状の原料のカスガマイシン酸付加塩を強酸性イオン交換
樹脂と混合させ、該樹脂に吸着させて該樹脂の強酸性官
能基にカスガマイシン分子を付加塩の形で結合させ、溶
液中に生じた酸による温和な酸性条件下でカスガマイシ
ンを加水分解することにより、強酸を用いる従来方法に
比して、はるかに穏和な酸性条件で効率よく且つ副反応
が少なくカスガマイシンからD−キロ−イノシトールを
遊離させて生成し、しかもD−キロ−イノシトールを反
応液から簡便な手法で高純度の結晶形で高収率で回収す
ることからなるD−キロ−イノシトールの改良製造法に
関する。
【0002】D−キロ−イノシトールは、天然に非常に
希にしか存在しない中性糖であり、以前は特に注目され
ていない物質であったが、最近になって生化学的に特異
な活性を有することが明らかになり、生理活性物質とし
て、特に医薬として有用であることが認められている。
しかし、それの工業的製造法が開発されておらず、大量
に入手できないから高価な物質である。
【0003】
【従来の技術】カスガマイシンは、非常に安全で、かつ
病害防除活性の高い抗生物質農薬であり、日本はもとよ
り世界中で農業用殺菌剤として広く使用されている。現
在、カスガマイシンは、発酵法で工業的には大量生産さ
れ、比較的安価にかつ安定して農薬原体として供給され
ている。
【0004】また、カスガマイシンは、非常に特異な構
造のアミノ糖と天然に非常に稀なD−キロ−イノシトー
ルとの二糖を母核とする化合物である。
【0005】従来知られるD−キロ−イノシトールの製
造法には、或る種の植物をアルコールと水で抽出してD
−キロ−イノシトールを採取する方法と、カスガマイシ
ンを2Nトリフルオロ酢酸または5N塩酸のような強酸
の水溶液中で強酸性条件下で加熱下に加水分解すること
によりカスガマイシンからD−キロ−イノシトールを遊
離させ、その加水分解反応液から該中性糖を煩雑な手法
で分離する方法が知られる(米国特許第5,091,5
96号明細書参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記の米国特許に記載
されるカスガマイシンの強酸加水分解によるD−キロ−
イノシトールの製法は、植物からの抽出によるD−キロ
−イノシトールの製法よりは、D−キロ−イノシトール
の分離と精製工程が多少とも簡略化でき且つ収率もよい
方法ではある。
【0007】しかし、この米国特許の方法は、カスガマ
イシンの発明者らがカスガマイシンの構造決定を行った
時にカスガマイシンの構成糖を確認するために強酸性条
件下で加水分解することから成る実験室レベルの方法
〔「ジャーナル・オブ・アンティビオティクス」18
巻,182頁(1965年)〕を基本とする方法であ
り、D−キロ−イノシトールの工業的規模の生産に用い
るには数々の欠点がある。すなわち、この従来方法によ
るカスガマイシンの酸加水分解反応には、非常に強い酸
(5N塩酸または2Nトリフルオロ酢酸水溶液等)を使
うため、カスガマイシン分子の解裂の際の副反応による
大量の不純物の生成が避けられない。しかも、強酸性の
反応液を大量の水で希釈してから、D−キロ−イノシト
ールの回収工程を行い且つ該中性糖の水溶液を濃縮する
に当って大量の水を留去することが必要である。また、
加水分解反応に用いた大量の強酸の中和用に大量の強塩
基性イオン交換樹脂を使うため、しかも、副成した塩基
性化合物の除去のために大量の強酸性イオン交換樹脂を
も使うために、これらの樹脂を洗浄するのに大量の水を
必要とする。
【0008】しかも、使用後のイオン交換樹脂の再生等
に大量の試薬と大量の水が必要であり、大量の癈水の事
後処理も必要となる。更には、加水分解反応が過激に起
るため、カスガマイシンのもう一つの構成槽であるアミ
ノ糖自体が分解する反応が副反応として起き、塩基性副
反応生成物を含めて、各種の副反応生成物が不純物とし
て生じD−キロ−イノシトールの分離と精製工程中に不
純物として混入する欠点がある。従って、D−キロ−イ
ノシトールの回収工程では、ゲル濾過クロマトグラフィ
ーまたは活性炭処理等の煩雑な精製処理も必要とする。
【0009】本発明の目的とするところは、カスガマイ
シンの酸加水分解によりD−キロ−イノシトールを生成
する方法を利用しながらも、温和な反応条件下で副反応
が無しに簡便な手法で効率よく且つ高純度の目的中性糖
を工業的に有利に製造できる方法を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カスガマ
イシンから、その酸加水分解により構成糖であるD−キ
ロ−イノシトールを簡便な手法で収率良く高純度で収得
できる方法を種々検討した。その結果、カスガマイシン
のアミノ糖部分のアミノ基を、何らかの強酸との付加塩
の形に結合した状態に保留して置くと、カスガマイシン
のアミノ糖と中性糖(D−キロ−イノシトール)との間
のグリコシド結合が0.05N〜0.5Nの濃度範囲の
塩酸による弱い酸性条件でも効率よく解裂してカスガマ
イシンを2種の構成糖に容易に加水分解できるという事
実を見いだした。
【0011】工業的応用可能な方法として、カスガマイ
シンを強酸性イオン交換樹脂(H+型)に吸着させてカ
スガマイシンを強酸性イオン交換樹脂の強酸性官能基に
付加塩の形で結合させ、この結合した状態のカスガマイ
シンを酸で加水分解することにより、弱い酸性条件でも
カスガマイシンからD−キロ−イノシトールを効率よく
生成できることを見いだした。
【0012】更に研究を続けた結果、カスガマイシン塩
酸塩または硫酸塩の水溶液を、該カスガマイシン塩の約
5倍量(重量)又はそれ以上の強酸性イオン交換樹脂、
好ましくはスルホン酸基を官能基とする強酸性イオン交
換樹脂の粒状物とよく混合させ、これによってカスガマ
イシンを該樹脂に吸着及び結合させた時には、その混合
物の溶液相中にカスガマイシン塩酸塩または硫酸塩から
塩化水素または硫酸が遊離されて生じ、約0.05N〜
0.5Nの濃度の塩化水素または硫酸が存在するように
なり、この時に生じた温和な酸性条件下で、樹脂に結合
したカスガマイシンを、新たに酸を加えることなく、そ
のまま加熱下に加水分解すると、効率よくカスガマイシ
ン分子からD−キロ−イノシトールを解裂させて生成で
きることも知見した。
【0013】このように強酸性イオン交換樹脂にカスガ
マイシンを結合した場合には、カスガマイシンを5N塩
酸に溶解して加水分解する従来法の場合より、はるかに
穏和な酸性条件(0.05N〜0.5Nの塩酸の存在
下)で加水分解できるため、副反応による不純物の生成
が極めて少なくてD−キロ−イノシトールを高純度で得
られる。
【0014】前記のようにカスガマイシン塩酸塩または
硫酸塩の水溶液を強酸性イオン交換樹脂とよく混合し、
この時に生じた0.05N〜0.5NのHClまたは硫
酸を含む水溶液の存在下に、該強酸性イオン交換樹脂に
結合したカスガマイシンを加水分解する際には、カスガ
マイシンの一方の分解生成物として生じた塩基性物質は
強酸性イオン交換樹脂に吸着されたままで、目的生成物
である中性のD−キロ−イノシトールが強酸性イオン交
換樹脂に結合せずに非吸着区分として該樹脂から分離で
きるので、これを高収率、高純度で簡便に得られる。
【0015】なお、加水分解反応後に、強酸性イオン交
換樹脂から、ほゞ純粋のD−キロ−イノシトールを塩化
水素または硫酸と共に含む酸性の反応溶液として分離で
きるから、強酸性イオン交換樹脂に吸着したままのアミ
ノ糖および未反応カスガマイシンおよびその他の不純物
等からD−キロ−イノシトールを効率よく分別できる。
【0016】第1の本発明によると、カスガマイシン塩
酸塩または硫酸塩の水溶液を強酸性イオン交換樹脂(H
+ 型)の粒状物と混合してカスガマイシン分子を該強酸
性イオン交換樹脂の強酸性官能基に付加塩の形で結合さ
せ、これにより、カスガマイシンから遊離された塩化水
素または硫酸を0.05N〜0.5N、好ましくは0.
15N〜0.2Nの濃度で含む塩化水素または硫酸の水
溶液と、カスガマイシンを結合した該強酸性イオン交換
樹脂の粒状物との混合物を形成させ、この混合物を常圧
下または加圧下で加熱してカスガマイシンの加水分解反
応を行い、この反応でカスガマイシンからD−キロ−イ
ノシトールを遊離させてD−キロ−イノシトールと塩化
水素または硫酸とを含む酸性の反応溶液を形成し、反応
終了後に反応混合物の全体を冷却し、該酸性の反応溶液
を該樹脂から分離し、該樹脂を水で洗浄して樹脂に残っ
たD−キロ−イノシトールを溶出させ、溶出されたD−
キロ−イノシトールを含む得られた洗浄水を、該反応溶
液と合して酸性の混合液を収得し、この酸性の混合液を
塩基性イオン交換樹脂(OH- 型)の充填カラムに通し
て該カラムからD−キロ−イノシトールを含む中性の溶
出液を収得し、次いで該溶出液を濃縮してD−キロ−イ
ノシトールの結晶を析出させることを特徴とする、D−
キロ−イノシトールの製造法が提供される。
【0017】次に、第1の本発明の方法を具体的に説明
する。第1の本発明の方法では、カスガマイシンの加水
分解反応はバッチ式で実施される。
【0018】本法で使用される強酸性イオン交換樹脂は
市販品を無機酸で処理してH+ 型に調製してから使用に
供するが、ここで処理に使用する無機酸には1N〜5N
の濃度の塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸がある。使用
される強酸性イオン交換樹脂はスルホン酸基を官能基と
して有するイオン交換樹脂であるのが好ましく、市販さ
れる強酸性イオン交換樹脂、例えばダイヤイオンSK1
16(三菱化成製)、ダイアイオンpK−228、アン
バーライトIR12B、アンバーライト200C、アン
バーライト201B(オルガノ社製)、デュオライトC
−20(住友化学工業製)、デュオライトC−264、
デュオライトXE−636、ダウエックス50W(室町
化学工業製)などが挙げられる。
【0019】このようにH+ 型に調製した強酸性イオン
交換樹脂に、カスガマイシン塩酸塩または硫酸塩を0.
1〜30%(重量)、好ましくは5〜20%の濃度で含
む水溶液を良く混合させる。
【0020】カスガマイシン塩酸塩または硫酸塩と強酸
性イオン交換樹脂との混合される重量比率は、得られた
混合物の溶液相中に0.05N〜0.5N、好ましくは
0.15N〜0.2Nの塩酸または硫酸を遊離させるの
に足る量である。
【0021】第1の本発明において、カスガマイシンの
加水分解反応を常圧下に50〜98℃、好ましくは90
〜95℃の温度で6〜40時間、好ましくは10〜15
時間行うことができる。
【0022】また、カスガマイシンの加水分解反応を、
反応混合物中の水の沸とうを抑止するのに足る加圧下
に、例えばゲージ圧で0.1〜3kg/cm2 の圧力、
好ましくは1〜1.2kg/cm2 の圧力下に100〜
150℃の温度で1.0〜10時間、好ましくは3〜5
時間行うことができる。
【0023】カスガマイシンの加水分解反応を加圧下に
行う場合には、反応容器をオートクレーブ内に設置して
行うのがよい。反応混合物を攪拌することは必づしも必
要でない。
【0024】第1の本発明の方法では、加水分解反応を
加圧下で行う場合には、100℃以上に反応温度を高め
反応時間を短縮することも可能である。加圧が可能であ
るのは、本法で加水分解反応が低い酸性条件でも所望の
とおりに進行できるからであり、強酸を用いた従来の加
水分解法の場合には、常圧での実施でも副反応が多いか
ら、加圧下に100℃以上で加水分解反応を行い得ない
ことに比べ大きな利点である。
【0025】また、本法では、カスガマイシンの加水分
解反応を相当に高い圧力下で120℃〜150℃の高い
反応温度で行うことが可能であり、このことにより、常
圧下で反応を行う場合よりも反応時間を約1/4に短縮
できる。このことは工業的製造法として見た場合に経済
的に非常に有利である。
【0026】カスガマイシンの加水分解反応を終了した
後に、反応混合物の全体を室温またはそれ近くに冷却し
て、強酸性イオン交換樹脂から酸性の反応溶液を濾過又
は遠心法で分離する。次に残さの樹脂を水で、好ましく
は樹脂の0.8〜1倍量の水で水洗する。
【0027】この水洗浄により、樹脂中に残留したD−
キロ−イノシトールを溶出できるから、得られた洗浄水
は溶出した該中性糖を含有する(なお、所望ならば、こ
の水洗浄を省略できるけれども、省略するとD−キロ−
イノシトールの最終収量は多少とも下がる恐れがあ
る)。
【0028】この洗浄水は、先に得られた樹脂から分離
された酸性の反応溶液(D−キロ−イノシトール含有)
と合して酸性の混合液を得る。
【0029】次に、この混合液を中和するために、塩基
性イオン交換樹脂(OH- 型)(強塩基性でも、弱塩基
性でもよい)の充填カラムに通す。この際の塩基性イオ
ン交換樹脂カラムを通る前記の混合液の流通速度は毎時
あたり樹脂容量の1〜3倍の液容量であるのに相当する
のがよい。
【0030】ここで使用される塩基性イオン交換樹脂
は、所定量の樹脂をカラムに充填し、予じめ、この樹脂
の数倍量の1〜3Nの水酸化ナトリウムなどのアルカリ
水溶液で処理してOH- 型に調製されたものである。
【0031】使用される塩基性イオン交換樹脂(OH-
型)としては、第4級アンモニウム基を官能基として含
むイオン交換樹脂、例えばデュオライトC−20(住友
化学工業製)およびアンバーライト−IRA 410
(オルガノ社製)などが挙げられる。
【0032】この塩基性イオン交換樹脂カラムに通液す
ることにより、含有される塩化水素または硫酸が中和さ
れるが、またカスガマイシンの加水分解反応で僅少量の
副生物として生じた酸性物質が共存する無機酸と共に除
去できる。
【0033】塩基性イオン交換樹脂カラムから流出する
中和した溶出液は、これを減圧濃縮して濃厚水溶液と
し、さらに液量の約10倍のアルコールを所望ならば加
えることにより、D−キロ−イノシトールを結晶として
析出できる。
【0034】第1の本発明の方法では、塩基性イオン交
換樹脂(OH- 型)の充填カラムからD−キロ−イノシ
トールを含む中性の溶出液を収得する工程を行った後
に、該塩基性イオン交換樹脂の充填カラムを水洗し、こ
れにより該樹脂中に残ったD−キロ−イノシトールを溶
出させてこれを含む洗浄水を得て、この洗浄水を前記の
D−キロ−イノシトールを含む中性の溶出液へ合併し、
合併された混合液を濃縮してD−キロ−イノシトールの
結晶を析出させる工程を追加的に行うように改変するこ
とができる。このように改変された実施法は後記の実施
例1〜2に例示される。
【0035】なお、第1の本発明の方法では、精製した
又は予備精製したカスガマイシンの塩酸塩または硫酸塩
を用いて実施するようにしてあるけれども、カスガマイ
シンの加水分解反応の段階に先立ち、先づ不純物を含む
原体等を原料として用いて不純なカスガマイシン(遊離
塩基の形)を強酸性イオン交換樹脂に吸着後、水洗し、
これにより不純物を除去する工程を行い、その後に新た
に薄い(0.1−0.5N)の塩酸または硫酸を加え加
熱することにより、樹脂に結合しているカスガマイシン
を加水分解するように方法を改変できる。この改変法を
用いると、発酵生産しただけの未精製培養液などの、不
純物を多く含んだ粗製カスガマイシンを直接の原料とし
て用いても、D−キロ−イノシトールの生産が可能にな
る。
【0036】本発明者は更に研究した結果、第1の本発
明の方法と違って、強酸性イオン交換樹脂の粒状物をカ
ラムに充填して用いた場合に、この樹脂カラムにカスガ
マイシン塩酸塩または硫酸塩の水溶液を連続に導入、通
過させ、加温条件下でカスガマイシン塩を樹脂に結合さ
せてカラム通過液中に0.05N〜0.5NのHClま
たは硫酸を遊離させると、カスガマイシンの酸加水分解
反応を進行させることができ、このことによりD−キロ
−イノシトールを効率よく且つ連続式に製造できる(カ
ラム法)ことを見出した。
【0037】従って、第2の本発明によると、カスガマ
イシン塩酸塩または硫酸塩の水溶液を強酸性イオン交換
樹脂(H+ 型)の粒状物の充填カラムに加温条件下に連
続的に導入して通過させ、これによって、カスガマイシ
ン分子を充填カラム中の強酸性イオン交換樹脂の強酸性
官能基に付加塩の形で結合させる反応と、これに伴って
カスガマイシンから遊離されて塩化水素または硫酸が
0.05N〜0.5Nの濃度で樹脂カラム通過液中に生
成される反応と、該通過液がカスガマイシンを結合した
強塩基性イオン交換樹脂と接触しながらカラム内を流下
して塩化水素または硫酸の作用下にカスガマイシンを加
水分解してD−キロ−イノシトールを生成する反応とを
並行的に該カラムの通過液中で生起させ、該カラムから
連続的に流出してD−キロ−イノシトールと塩化水素ま
たは硫酸とを含む流出液を酸性の反応溶液として収得
し、次いで該酸性の反応溶液を塩基性イオン交換樹脂
(OH-型)の充填カラムに通して該カラムから出るD
−キロ−イノシトールを含む中性の溶出液を収得し、さ
らに該溶出液を濃縮してD−キロ−イノシトールの結晶
を析出させることを特徴とする、D−キロ−イノシトー
ルの製造法が提供される。
【0038】強酸性イオン交換樹脂(OH- 型)の充填
カラムを通すカスガマイシン塩の水溶液および反応中の
カラム通過液の滞留時間は6〜15時間、好ましくは8
〜12時間になるようにカラム内の通過液の流速を加減
してカスガマイシンの加水分解反応を行わさせる以外
は、第1の本発明の方法の操作条件と同じ要領で第2の
本発明の方法を実施できる。第2の本発明は後記の実施
例3に例示される。
【0039】本発明の方法で用いた強酸性または塩基性
イオン交換樹脂は、アルカリまたは酸の水溶液で再生処
理することによりリサイクルできる。加水分解反応およ
び樹脂の再生等に使用される酸、およびアルカリの量
は、カスガマイシンを強酸で分解する従来法に使う量の
約3分の1程度に節約でき、また設備が小さくてすみ、
また癈水の処理などの労力が大幅に削減される。
【0040】次に本発明を実施例について具体的に説明
する。
【0041】実施例1(常圧バッチ法) カスガマイシン塩酸塩20gを500mlのナス型フラ
スコに秤りとり、100mlの水を加え溶解して水溶液
を得た。これを強酸性イオン交換樹脂〔ダイアイオンS
K116(H+ 型)(三菱化成製)〕(市販の樹脂にそ
れの2倍量の2N塩酸を加え良く混合し樹脂をH+ 型に
調整してから水洗液のpHが5以上になるまで水洗した
樹脂)150mlを加え、よく混合した。その混合物の
全体(溶液相のHCl濃度は0.15N,pH値1.1
5)をオイルバス上で95℃で12時間加熱してカスガ
マイシンの加水分解反応を行った。
【0042】反応混合物全体を冷却後、イオン交換樹脂
を濾別し、固体残さと濾液を得た。樹脂を150mlの
水で水洗した。
【0043】水洗液と濾液(反応溶液)を合わせた酸性
の混合液約250mlを、強塩基性イオン交換樹脂〔デ
ュオライトC−20(住友化学工業製)〕(OH- 型)
(市販の樹脂にそれの2倍量の2N−NaOH溶液を加
え、よく混合して樹脂をOH- 型とし水洗液のpHが
8.5以下になるまで水洗した樹脂)100mlの充填
カラム(内径25mm、長さ310mm)にのせ、10
0ml/hrの流速で通塔し中和する。さらにカラム中
の樹脂と同容量の水で樹脂を洗う。得られた溶出液と洗
浄水との混合液350mlを減圧下に60℃で約40m
lに濃縮した。この濃縮液36mlに90%エタノール
360mlを加えた。
【0044】結晶の析出後に、これを濾別し、粗結晶
7.4gを得た(収率89%)。更に、これをエタノー
ル−水(9:1)の混液250mlから再結晶し、D−
キロ−イノシトールの無色結晶6.8gを得た(収率8
2%)。
【0045】この結晶の分析値および物性値は以下のと
おりであった。 外 観:無色結晶 融 点:238℃ 液体クロマト分析:単一ピークを示した。
【0046】分析条件:カラム:ZORBAX−NH2
(4.6×250) 検出器:Shodex RI SE−51 溶 媒:80% MeCN−H2 O 流 速:2.5ml/分 [α]D (23℃):+65゜(c 1.0、H2 O)
【0047】以上により、この無色結晶が純粋なD−キ
ロ−イノシトールであることは確認された。
【0048】実施例2(加圧バッチ法) カスガマイシン塩酸塩20gを300ml容量のオート
クレーブ用ガラスフラスコに秤りとり、100mlの水
を加え溶解して水溶液を得た。これに強酸性イオン交換
樹脂〔ダイアイオンSK116(三菱化成製)〕(H+
型)(樹脂の調製は実施例1と同じ)150mlを加え
よく混合した。得られた混合物の溶液相は0.15Nの
HClを含み、pH1.15を示した。
【0049】上記の混合物を入れたフラスコをオートク
レーブ内に設置し、1.2kg/cm2 のゲージ圧の圧
力下に120℃、3時間加熱し、カスガマイシンを加水
分解した。その後の操作を実施例1に準じて行い、粗結
晶7.7g(収率92.5%)を得た。さらに実施例1
に準じて再結晶してD−キロ−イノシトールの無色結晶
の7.42g(収率89.1%)を得た。
【0050】実施例3(カラム法) 95℃に設定したオーブン内に設置したガラス製のカラ
ムに充填された150mlの強酸性イオン交換樹脂ダイ
アイオンSK116(H+ 型)〔(三菱化成製)、実施
例1と同様に調製した樹脂〕(カラム内径30mm、長
さ310mm)に、カスガマイシン塩酸塩20gを10
0mlの水に溶解した水溶液をのせ、約12時間で通過
するような流速で通塔しカスガマイシンを加水分解し
た。カラムからの流出液を集め、次にカラムを水洗し
た。流出液と水洗水との両者を合わせて冷却し、その混
合液250mlを強塩基性イオン交換樹脂〔デュオライ
トC−20,OH- 型〕(実施例1と同様に調製)10
0mlの充填カラムに約2時間かけて通して中和した。
デュオライトC20カラムから溶出液を得た後、該カラ
ムを水洗し、その水洗液を溶出液と合併した。得られた
混合液を減圧下に60℃以下の温度で約40mlに濃縮
した。この濃縮液にエタノール360mlを加えて結晶
を析出後、結晶を濾別して粗結晶7.9g(収率95
%)を得た。この粗結晶をエタノール−水(9:1)の
混液300mlから再結晶して無色結晶7.74g(収
率93%)を得た。
【0051】本例で得られたD−キロ−イノシトール結
晶の分析値および物性値は実施例1のものと一致した。
【0052】比較例1 米国特許第5,091,596号明細書に記載の方法に
準じてカスガマイシンの加水分解を行った。
【0053】すなわち、カスガマイシン塩酸塩22gを
5N塩酸110mlに溶解した。その溶液(pH値<
0.2)を90℃で8時間反応後に反応液を水0.17
lで希釈した。希釈液の酸性を中和し、未反応のカスガ
マイシン等を除くために、300gの強酸性イオン交換
樹脂と強塩基性イオン交換樹脂〔アンバーライト−IR
120,H+ 型およびアンバーライト−IRA410,
OH- 型(それぞれを個々に2N−塩酸、2N−カ性ソ
ーダで処理し、各々H+ 型とOH- 型とに調製された混
成床の樹脂〕の充填カラムに通塔した。中性の通過液と
を集め、該カラムを水洗し、その洗浄水を通過液と合し
た混合液850mlを活性炭1.7gで2時間5℃で処
理し脱色後、濃縮乾固することによりD−キロ−イノシ
トールの粗粉末7.6g(収率81.5%)を得た。
【0054】その後の操作を実施例1に準じて行い、結
晶7.5g(収率78.5%)を得た。
【0055】比較例2 比較例1の方法を、5N塩酸の代りに0.1N塩酸を用
いて反復したが、その反応液のpH値は1.78であっ
た。
【0056】反応液中にはD−キロ−イノシトールが生
成されなかった(液体クロマトグラフィーにより分
析)。
【0057】比較例3 比較例1の方法を、5N塩酸の代りに1N塩酸を用いて
反復したが、その反応液のpH値は0.87であった。
【0058】反応液中のD−キロ−イノシトールの生成
収率は34.4%であった(液体クロマトグラフィーに
より分析)。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、カスガマイシンから非
常に穏和な酸性条件で高収率、高純度でほとんど副反応
を伴わずにD−キロ−イノシトールを生産することが可
能である。大規模に生産する場合において、強酸を使わ
ないため、中和に要するイオン交換樹脂が少量で済むこ
と、またそれに伴い癈水の処理および水を溜去するのに
使う電力消費が大幅に削減されること、および単位収量
あたりの生産設備の容量が約1/3程度ですむことなど
の点で多大なメリットがある。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年11月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】しかも、使用後のイオン交換樹脂の再生等
に大量の試薬と大量の水が必要であり、大量の癈水の事
後処理も必要となる。更には、加水分解反応が過激に起
るため、カスガマイシンのもう一つの構成であるアミ
ノ糖自体が分解する反応が副反応として起き、塩基性副
反応生成物を含めて、各種の副反応生成物が不純物とし
て生じD−キロ−イノシトールの分離と精製工程中に不
純物として混入する欠点がある。従って、D−キロ−イ
ノシトールの回収工程では、ゲル濾過クロマトグラフィ
ーまたは活性炭処理等の煩雑な精製処理も必要とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】本法で使用される強酸性イオン交換樹脂は
市販品を無機酸で処理してH+ 型に調製してから使用に
供するが、ここで処理に使用する無機酸には1N〜5N
の濃度の塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸がある。使用
される強酸性イオン交換樹脂はスルホン酸基を官能基と
して有するイオン交換樹脂であるのが好ましく、市販さ
れる強酸性イオン交換樹脂、例えばダイヤイオンSK1
16(三菱化成製)、ダイアイオンK−228、アン
バーライトIR120B、アンバーライト200C、ア
ンバーライト201B(オルガノ社製)、デュオライト
C−20(住友化学工業製)、デュオライトC−26
4、デュオライトXE−636、ダウエックス50W
(室町化学工業製)などが挙げられる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】使用される塩基性イオン交換樹脂(OH-
型)としては、第4級アンモニウム基を官能基として含
むイオン交換樹脂、例えばデュオライトA−113PL
US(住友化学工業製)およびアンバーライト−IRA
410(オルガノ社製)などが挙げられる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】従って、第2の本発明によると、カスガマ
イシン塩酸塩または硫酸塩の水溶液を強酸性イオン交換
樹脂(H+ 型)の粒状物の充填カラムに加温条件下に連
続的に導入して通過させ、これによって、カスガマイシ
ン分子を充填カラム中の強酸性イオン交換樹脂の強酸性
官能基に付加塩の形で結合させる反応と、これに伴って
カスガマイシンから遊離されて塩化水素または硫酸が
0.05N〜0.5Nの濃度で樹脂カラム通過液中に生
成される反応と、該通過液がカスガマイシンを結合した
性イオン交換樹脂と接触しながらカラム内を流下し
て塩化水素または硫酸の作用下にカスガマイシンを加水
分解してD−キロ−イノシトールを生成する反応とを並
行的に該カラムの通過液中で生起させ、該カラムから連
続的に流出してD−キロ−イノシトールと塩化水素また
は硫酸とを含む流出液を酸性の反応溶液として収得し、
次いで該酸性の反応溶液を塩基性イオン交換樹脂(OH
- 型)の充填カラムに通して該カラムから出るD−キロ
−イノシトールを含む中性の溶出液を収得し、さらに該
溶出液を濃縮してD−キロ−イノシトールの結晶を析出
させることを特徴とする、D−キロ−イノシトールの製
造法が提供される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】強酸性イオン交換樹脂(+ 型)の充填カ
ラムを通すカスガマイシン塩の水溶液および反応中のカ
ラム通過液の滞留時間は6〜15時間、好ましくは8〜
12時間になるようにカラム内の通過液の流速を加減し
てカスガマイシンの加水分解反応を行わさせる以外は、
第1の本発明の方法の操作条件と同じ要領で第2の本発
明の方法を実施できる。第2の本発明は後記の実施例3
に例示される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】水洗液と濾液(反応溶液)を合わせた酸性
の混合液約250mlを、強塩基性イオン交換樹脂〔デ
ュオライトA−113PLUS(住友化学工業製)〕
(OH- 型)(市販の樹脂にそれの2倍量の2N−Na
OH溶液を加え、よく混合して樹脂をOH- 型とし水洗
液のpHが8.5以下になるまで水洗した樹脂)100
mlの充填カラム(内径25mm、長さ310mm)に
のせ、100ml/hrの流速で通塔し中和する。さら
にカラム中の樹脂と同容量の水で樹脂を洗う。得られた
溶出液と洗浄水との混合液350mlを減圧下に60℃
で約40mlに濃縮した。この濃縮液にエタノール36
0mlを加えた。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】実施例3(カラム法) 95℃に設定したオーブン内に設置したガラス製のカラ
ムに充填された150mlの強酸性イオン交換樹脂ダイ
アイオンSK116(H+ 型)〔(三菱化成製)、実施
例1と同様に調製した樹脂〕(カラム内径30mm、長
さ310mm)に、カスガマイシン塩酸塩20gを10
0mlの水に溶解した水溶液をのせ、約12時間で通過
するような流速で通塔しカスガマイシンを加水分解し
た。カラムからの流出液を集め、次にカラムを水洗し
た。流出液と水洗水との両者を合わせて冷却し、その混
合液250mlを強塩基性イオン交換樹脂〔デュオライ
A−113PLUS,OH- 型〕(実施例1と同様に
調製)100mlの充填カラムに約2時間かけて通して
中和した。デュオライトA−113PLUSカラムから
溶出液を得た後、該カラムを水洗し、その水洗液を溶出
液と合併した。得られた混合液を減圧下に60℃以下の
温度で約40mlに濃縮した。この濃縮液にエタノール
360mlを加えて結晶を析出後、結晶を濾別して粗結
晶7.9g(収率95%)を得た。この粗結晶をエタノ
ール−水(9:1)の混液300mlから再結晶して無
色結晶7.74g(収率93%)を得た。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】その後の操作を実施例1に準じて行い、結
7.2g(収率78.5%)を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平沢 清 神奈川県厚木市森の里3−8 (72)発明者 竹内 富雄 東京都品川区東五反田5丁目1番11号 ニ ューフジマンション701

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カスガマイシン塩酸塩または硫酸塩の水
    溶液を強酸性イオン交換樹脂(H+ 型)の粒状物と混合
    してカスガマイシン分子を該強酸性イオン交換樹脂の強
    酸性官能基に付加塩の形で結合させ、これにより、カス
    ガマイシンから遊離された塩化水素または硫酸を0.0
    5N〜0.5N、好ましくは0.15N〜0.2Nの濃
    度で含む塩化水素または硫酸の水溶液と、カスガマイシ
    ンを結合した該強酸性イオン交換樹脂の粒状物との混合
    物を形成させ、この混合物を常圧下または加圧下で加熱
    してカスガマイシンの加水分解反応を行い、この反応で
    カスガマイシンからD−キロ−イノシトールを遊離させ
    てD−キロ−イノシトールと塩化水素または硫酸とを含
    む酸性の反応溶液を形成し、反応終了後に反応混合物の
    全体を冷却し、該酸性の反応溶液を該樹脂から分離し、
    該樹脂を水で洗浄して樹脂に残ったD−キロ−イノシト
    ールを溶出させ、溶出されたD−キロ−イノシトールを
    含む得られた洗浄水を、該反応溶液と合して酸性の混合
    液を収得し、この酸性の混合液を塩基性イオン交換樹脂
    (OH- 型)の充填カラムに通して該カラムからD−キ
    ロ−イノシトールを含む中性の溶出液を収得し、次いで
    該溶出液を濃縮してD−キロ−イノシトールの結晶を析
    出させることを特徴とする、D−キロ−イノシトールの
    製造法。
  2. 【請求項2】 カスガマイシンの加水分解反応を常圧下
    に50〜98℃の温度で6〜40時間行う請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 カスガマイシンの加水分解反応を、反応
    混合物中の水の沸とうを抑止するのに足る加圧下に10
    0〜150℃の温度で1.0〜10時間行う請求項1に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 塩基性イオン交換樹脂(OH- 型)の充
    填カラムからD−キロ−イノシトールを含む中性の溶出
    液を収得する工程を行った後に、該塩基性イオン交換樹
    脂の充填カラムを水洗し、これにより該樹脂中に残った
    D−キロ−イノシトールを溶出させてこれを含む洗浄水
    を得て、この洗浄水を前記のD−キロ−イノシトールを
    含む中性の溶出液へ合併し、合併された混合液を濃縮し
    てD−キロ−イノシトールの結晶を析出させる工程を追
    加的に行うように改変された請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 カスガマイシン塩酸塩または硫酸塩の水
    溶液を強酸性イオン交換樹脂(H+ 型)の粒状物の充填
    カラムに加温条件下に連続的に導入して通過させ、これ
    によって、カスガマイシン分子を充填カラム中の強酸性
    イオン交換樹脂の強酸性官能基に付加塩の形で結合させ
    る反応と、これに伴ってカスガマイシンから遊離された
    塩化水素または硫酸が0.05N〜0.5Nの濃度で樹
    脂カラム通過液中に生成される反応と、該通過液がカス
    ガマイシンを結合した強塩基性イオン交換樹脂と接触し
    ながらカラム内を流下して塩化水素または硫酸の作用下
    にカスガマイシンを加水分解してD−キロ−イノシトー
    ルを生成する反応とを並行的に該カラムの通過液中で生
    起させ、該カラムから連続的に流出してくるD−キロ−
    イノシトールと塩化水素または硫酸とを含む流出液を酸
    性の反応溶液として収得し、次いで該酸性の反応溶液を
    塩基性イオン交換樹脂(OH- 型)の充填カラムに通し
    て該カラムから出るD−キロ−イノシトールを含む中性
    の溶出液を収得し、さらに該溶出液を濃縮してD−キロ
    −イノシトールの結晶を析出させることを特徴とする、
    D−キロ−イノシトールの製造法。
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