JPH0753204A - リン酸カルシウム系自己硬化型組成物 - Google Patents

リン酸カルシウム系自己硬化型組成物

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JPH0753204A
JPH0753204A JP5204007A JP20400793A JPH0753204A JP H0753204 A JPH0753204 A JP H0753204A JP 5204007 A JP5204007 A JP 5204007A JP 20400793 A JP20400793 A JP 20400793A JP H0753204 A JPH0753204 A JP H0753204A
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cement
phosphate
magnesium fluoride
calcium
calcium phosphate
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JP5204007A
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Hideo Sakano
英夫 阪野
Narutoshi Morioka
成俊 森岡
Yoshiko Suwa
佳子 諏訪
Hajime Saito
肇 斎藤
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KYORITSU CERAMIC MATERIALS
KYORITSU YOGYO GENRYO KK
S T K CERAMICS KENKYUSHO KK
STK Ceramics Laboratory Corp
Original Assignee
KYORITSU CERAMIC MATERIALS
KYORITSU YOGYO GENRYO KK
S T K CERAMICS KENKYUSHO KK
STK Ceramics Laboratory Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的強度が高く、且つ生体親和性に優れた
リン酸カルシウム系自己硬化型組成物乃至はセメント
を、提供すること、更には、そのような自己硬化型組成
物乃至はセメントにおける硬化時間の短縮を図ることに
ある。 【構成】 リン酸カルシウム系自己硬化型組成物が、リ
ン酸四カルシウムと、リン酸水素カルシウム無水和物若
しくはリン酸水素カルシウム2水和物との、水和硬化反
応によってハイドロキシアパタイトを生成せしめる配合
比からなる粉材と、希薄リン酸水溶液からなる液材と、
フッ化マグネシウムとから構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、リン酸カルシウム系自己硬化型
組成物に係り、特に骨欠損部及び骨空隙部充填材、薬物
徐放体等、医療的用途に用いられる材料として有用な、
自己硬化型のリン酸カルシウム系組成物、所謂セメント
に関するものである。
【0002】
【背景技術】現在、一般的に知られている自己硬化型の
リン酸カルシウム系セメント(組成物)は、二種類に大
別され、その一つは、α型リン酸三カルシウムやリン酸
四カルシウムを主成分とする粉材を用い、これをポリア
クリル酸、クエン酸、タンニン酸等の有機酸で練和して
硬化させるものであり、もう一つは、α型リン酸三カル
シウムやリン酸四カルシウムに、リン酸水素カルシウム
無水和物やリン酸水素カルシウム2水和物等を混合した
ものを粉材として用い、これを各種添加物を含む水溶液
で練和して硬化させるものである。しかしながら、前者
のタイプは、硬化時間が短く、機械的強度は高いもの
の、酸を用いるものであるところから、練和物の初期p
Hが低下するようになるのであり、そのため硬化前のペ
ースト状練和物を生体に埋入する場合は、生体への酸刺
激が問題となる。一方、後者のタイプは、α型リン酸三
カルシウムやリン酸四カルシウムと、リン酸水素カルシ
ウム無水和物やリン酸水素カルシウム2水和物とを、水
和反応により硬化させるものであるところから、前者の
タイプと比較すると、硬化時間が遅く、機械的強度も低
いが、反応は中性領域で進行するために、生体親和性は
高いという特徴を有している。
【0003】このように、従来から知られている自己硬
化型リン酸カルシウム系セメントの上記二つのタイプの
ものには、何れも一長一短があり、現状では実用化に至
っているものは極く一部で、その殆どが歯科用に裏層材
及び覆髄材として利用されているものである。そのた
め、硬化時間、機械的強度、生体親和性の3点共、優れ
た特性を有する自己硬化型リン酸カルシウム系セメント
の開発が望まれているのである。
【0004】因みに、上記の後者のタイプにおいて、例
えば、リン酸四カルシウムとリン酸水素カルシウム2水
和物の等モル混合物を主成分とする自己硬化型リン酸カ
ルシウム系セメント粉材は、そのCa/Pモル比が1.
67であって、希薄リン酸水溶液で練和すると、迅速に
反応し、生体親和性の高いハイドロキシアパタイトに転
移しながら硬化する。このとき、その練和物のpHは、
練和開始直後に中性領域(pH=7.0〜7.4)に移
行するため、生体への刺激が少なく、また薬物徐放体と
して用いた場合には、添加薬品の安定性を確保する上で
も利点があるものの、機械的強度が弱いと言う欠点があ
り、この問題を解決することが重要となっているのであ
る。
【0005】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景にして為されたものであって、その課題とするところ
は、機械的強度が高く、且つ生体親和性に優れたリン酸
カルシウム系自己硬化型組成物乃至はセメントを、提供
することにあり、また、そのような自己硬化型組成物乃
至はセメントにおける硬化時間の短縮を図ることにあ
る。
【0006】
【解決手段】そして、本発明は、そのような課題を解決
するために、(a)リン酸四カルシウムと、リン酸水素
カルシウム無水和物若しくはリン酸水素カルシウム2水
和物との、水和硬化反応によってハイドロキシアパタイ
トを生成せしめる配合比とした粉材と、(b)希薄リン
酸水溶液からなる液材と、(c)フッ化マグネシウム
と、からなることを特徴とするリン酸カルシウム系自己
硬化型組成物を、その要旨とするものである。
【0007】また、本発明にあっては、前記フッ化マグ
ネシウムは、一般に、前記粉材との合計量に対して0.
3〜30重量%の割合となるように用いられ、更にフッ
化マグネシウムは、前記粉材及び液材のうちの少なくと
も何れか一方に、添加配合せしめられることとなる。
【0008】さらに、本発明の望ましい態様によれば、
前記粉材には、更に、ハイドロキシアパタイトが硬化促
進用種結晶として含有せしめられ、これによって組成物
の硬化反応が有利に進行せしめられるのである。
【0009】
【具体的構成・作用】このように、本発明に係るリン酸
カルシウム系自己硬化型組成物、換言すれば自己硬化型
リン酸カルシウム系セメントは、従来からのリン酸カル
シウム系粉材と希薄リン酸水溶液からなる液材と共に、
フッ化マグネシウムを用いたものであって、これによ
り、従来のリン酸四カルシウム系の自己硬化型リン酸カ
ルシウム系セメントにおいて、その優れた生体親和性を
保持しつつ、その機械的強度が低いという問題を、効果
的に解消し得たのである。
【0010】ところで、リン酸四カルシウム系自己硬化
型アパタイトセメントが硬化するのは、リン酸四カルシ
ウムとリン酸水素カルシウム無水和物若しくはリン酸水
素カルシウム2水和物との水和硬化反応により、生成す
るハイドロキシアパタイトの結晶が、互いに入り組み、
絡み合うためであると、考えられている。このため、従
来のリン酸四カルシウム系のリン酸カルシウム系セメン
トは、生体親和性は高いが、硬化時間が遅く、機械的強
度が低いのが問題であったのである。また、反応により
生成したハイドロキシアパタイトの結晶は、反応初期に
は針状の結晶粒子であるが、時間の経過と共に粒成長し
て、等軸状の結晶粒子になるため、結晶粒子同士の絡み
合いの効果が低くなり、結果としてセメント硬化体の機
械的強度が低下するという問題もあったのである。
【0011】かかる状況下、本発明において添加剤とし
て用いられるフッ化マグネシウムに含まれるマグネシウ
ムイオンは、晶癖修正剤としての効能を持ち、またフッ
素イオンは、反応促進剤としての効能を持つものであ
る。従って、本発明において、フッ化マグネシウムを添
加すると、粉材の水和硬化反応により生成されたハイド
ロキシアパタイトの結晶粒子は、その成長過程で結晶表
面の特定の場所にマグネシウムイオンが吸着するように
なるため、結晶の晶癖に影響を受け、針状方向に成長す
ると考えられている。このとき、マグネシウムイオン単
独では、反応の進行を遅らせる効能を持つため、セメン
トは硬化しないが、フッ化マグネシウムに含まれている
フッ素イオンが作用することにより、反応が促進し、そ
の結果生成するハイドロキシアパタイト結晶は、フッ化
マグネシウム無添加のセメントと比較して、より微細な
針状結晶となり、しかもより密集し、絡み合って生成、
成長するため、そのようにして得た硬化体の機械的強度
は、飛躍的に向上するようになるのである。また、時間
の経過によりハイドロキシアパタイト結晶は成長する
が、針状結晶が延びる方向に成長し、結晶の絡み合いの
効果は維持されることとなるため、セメント硬化体の機
械的強度は低下することなく、維持されるのである。
【0012】なお、このような本発明に従う自己硬化型
リン酸カルシウム系セメントを与える、出発原料たる粉
材は、何れも、従来から公知の方法によって合成された
ものを用いることが出来る。そして、その粉材として
は、リン酸四カルシウムと水和硬化反応によってハイド
ロキシアパタイトを生成せしめる配合比のリン酸水素カ
ルシウム無水和物やリン酸水素カルシウム2水和物との
混合物が用いられることとなる。
【0013】そして、それら主材と配合材とは、目的と
するハイドロキシアパタイト結晶を与えるべく、そのC
a/Pモル比(1.67)に一致するように、混合物の
Ca/Pモル比を与えるようにして、混合せしめられる
こととなるが、その混合Ca/Pモル比を必ずしも1.
67に一致させる必要はなく、目的とするセメントを与
える公知の配合比率において配合せしめられることとな
る。また、そのような粉材の混合方法は、各種の方式に
従って実施され、そして、粉材とされることとなるが、
有利には60分間以上の摩砕混合にて、目的とするセメ
ント粉材とされるのが望ましい。
【0014】また、本発明に用いられるセメント粉材に
は、更に必要に応じて、硬化促進用種結晶としてのハイ
ドロキシアパタイトが添加せしめられる。このハイドロ
キシアパタイトを種結晶として添加、含有せしめること
により、セメントの反応を促進させ、以て硬化時間の短
縮が有利に図られ得るのである。なお、このハイドロキ
シアパタイトの添加量としては、粉材の40重量%以下
となるような割合において適宜に決定されるものであ
り、またその添加は、上記主材や配合材と共に行なわ
れ、摩砕混合によって粉末化されて、目的とする粒度の
セメント粉材とされるのである。
【0015】このようなセメント粉材に対して、本発明
に従って用いられる液材は、従来と同様な希薄リン酸水
溶液であって、通常、10〜30ミリモルの濃度のもの
が、従来と同様な使用量において用いられることとな
る。リン酸の濃度が余りにも低いと、反応に時間がかか
り、また高くなり過ぎると、原料や硬化体の溶解の問題
や生体刺激などの点において、望ましくない結果が生じ
る。
【0016】また、本発明に従って、上記した粉材や液
材に組み合わされ、機械的強度に優れた硬化体を与える
フッ化マグネシウムは、目的とする機械的強度の改善の
程度に応じて、適宜の割合において用いられることとな
るが、有利には、粉材との合計量(粉材+フッ化マグネ
シウム)に対して、0.3〜30重量%の割合となるよ
うに用いられる。このフッ化マグネシウムの添加量が、
0.3重量%未満の場合には充分な添加の効果が得られ
ず、また30重量%よりも多い場合には、セメントの硬
化に時間がかかるため、実用的ではないからである。
【0017】なお、このフッ化マグネシウムは、上記し
た粉材及び液材とは独立した形態において、それらに混
合せしめられる他、それら粉材及び液材のうちの少なく
とも何れか一方に添加、配合せしめられて、用いられる
こととなるが、有利には粉材の摩砕混合の際に、同時に
所定量のフッ化マグネシウムを添加して、60分間以上
の摩砕混合操作を施して混合粉材とする方法が、セメン
ト硬化体の機械的強度の向上には、効果的である。
【0018】そして、この本発明に従うリン酸カルシウ
ム系自己硬化型組成物にあっては、それを構成する粉材
と液材とフッ化マグネシウムとが、混合(練和)される
ことによって、生体親和性の高いハイドロキシアパタイ
トに転移しながら硬化し、機械的強度の高い硬化体を与
えるのであり、これによって骨欠損部及び骨空隙部充填
材、薬物徐放体等の医療的用途に、極めて有利に用いら
れることとなるのである。
【0019】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には
上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない
限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変
更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解さ
れるべきである。
【0020】実施例 1 先ず、リン酸水素カルシウム2水和物の172.09g
及び炭酸カルシウムの100.09gを水635g中に
投入して、30重量%濃度のスラリーとして調製した
後、かかる混合スラリーを3Lの樹脂製ポットに入れ、
更に粉砕媒体としてのジルコニアボール(5mmφ)4
70mLを加えて、24時間湿式摩砕混合した。次い
で、その摩砕混合されたスラリーを脱水した後、110
℃の温度で加熱乾燥することにより、塊状混合物を得、
更にそれを1500℃、10時間の条件下で焼成するこ
とにより、リン酸四カルシウムを合成した。その後、こ
のようにして得られたリン酸四カルシウムを乳鉢で粉砕
し、100メッシュの篩に通して、平均粒径27.99
μmの粉末を得た。
【0021】そして、かかるリン酸四カルシウム粉末の
12.17gに対して、リン酸水素カルシウム2水和物
(キシダ化学株式会社製、特級)の5.83g及びフッ
化マグネシウム(キシダ化学株式会社製、特級)の2.
00g(10重量%)を配合して、ライカイ機を用いて
60分間乾式摩砕混合することにより、セメント粉材を
作製した。
【0022】かくして得られたセメント粉材の0.80
gを分取し、これに15mmol/Lリン酸水溶液の
0.22mLを添加して、1分間練和することにより、
練和泥を得、更にこの得られた練和泥を6mmφ×12
mmの円筒型に充填して、2kgの重しを乗せ、37
℃、湿度100%に設定した恒温恒湿槽中で、練和開始
から60分後まで静置した後、形成された成形体を型か
ら取り出した。更に、その後、アジ化ナトリウムを0.
3重量%濃度となるように溶解せしめたハイドロキシア
パタイト飽和水溶液に、前記型から取り出された成形体
をを浸漬し、37℃で、24時間放置した後、取り出し
て、目的とするセメント硬化体を得た。
【0023】このようにして得られたセメント硬化体に
ついて、JIS規格T6603に規定されている方法に
従い、その硬化時間及びぬれ圧縮強度を測定したとこ
ろ、かかるセメント硬化体の硬化時間は26分であり、
またそのぬれ圧縮強度は512kgf/cm2 であっ
た。
【0024】一方、比較のために、上記で合成されたリ
ン酸四カルシウムの13.52gとリン酸水素カルシウ
ム2水和物の6.48gとを、ライカイ機を用いて60
分間乾式摩砕混合して、フッ化マグネシウムを含まない
セメント粉材を作製した。そして、かかる粉材を用い
て、上記と同様の手順で、セメント硬化体を作製した。
更に、この得られたセメント硬化体について、上記と同
様の方法にて、硬化時間及びぬれ圧縮強度を測定したと
ころ、硬化時間は10分、ぬれ圧縮強度は215kgf
/cm2 であった。
【0025】かかる結果の対比より明らかな如く、本発
明に従うセメント硬化体は、512kgf/cm2 の高
いぬれ圧縮強度を有しているのに対して、比較例で得ら
れたフッ化マグネシウムを含まないセメント硬化体は、
ぬれ圧縮強度が215kgf/cm2 と、低いぬれ圧縮
強度しか有していない。即ち、本発明に従う組成のリン
酸カルシウム系自己硬化型組成物の硬化体は、従来組成
のリン酸カルシウム系自己硬化型組成物の硬化体と比べ
て、2倍以上のぬれ圧縮強度を有しており、その結果よ
り、フッ化マグネシウムの添加にて、ぬれ圧縮強度が著
しく増強されることが理解されるのである。また、弱酸
である希リン酸水溶液で練和されたものであることか
ら、従来の如き、有機酸等の酸性度が高い酸を使用する
タイプにおいて問題であった生体への酸刺激性も有利に
回避せしめられるのである。
【0026】実施例 2 実施例1で合成したリン酸四カルシウムの10.82g
と、リン酸水素カルシウム2水和物の5.18gと、フ
ッ化マグネシウムの2.00g(10重量%)と、熟成
温度80℃の条件で湿式合成した、硬化促進用種結晶と
してのハイドロキシアパタイトの2.00g(10重量
%)とを、ライカイ機を用いて60分間乾式摩砕混合し
て、セメント粉材を作製した。そして、この得られた粉
材を用いて、実施例1と同様の手順でセメント硬化体を
作製し、更に実施例1と同様の方法にて、かかるセメン
ト硬化体の硬化時間及びぬれ圧縮強度を測定した。その
結果、硬化時間は15分、ぬれ圧縮強度は450kgf
/cm2 であった。
【0027】一方、実施例1で合成したリン酸四カルシ
ウムの12.17gと、リン酸水素カルシウム2水和物
の5.83gと、上記と同様な硬化促進用種結晶として
のハイドロキシアパタイトの2.00g(10重量%)
とを、ライカイ機を用いて60分間乾式摩砕混合して、
セメント粉材を作製した後、かかる粉材を用いて、実施
例1と同様の手順でセメント硬化体を作製し、その硬化
時間及びぬれ圧縮強度を測定したところ、硬化時間は5
分、ぬれ圧縮強度は135kgf/cm2 であった。
【0028】以上の結果より明らかな如く、本発明に従
うセメント硬化体では、ハイドロキシアパタイトが硬化
促進用種結晶として加えられたことで、実施例1よりも
硬化時間が短縮され、その上、フッ化マグネシウムが添
加されていることで、高いぬれ圧縮強度が保持されてい
る。これに対して、フッ化マグネシウムを添加しなかっ
た場合には、そのようなフッ化マグネシウム添加セメン
ト硬化体と比較すると三分の一以下、また、実施例1で
得られたセメント硬化体と比べると、実に四分の一程度
まで、ぬれ圧縮強度が、低下している。このことからも
明らかなように、硬化促進用種結晶であるハイドロキシ
アパタイトが添加されて、硬化時間の短縮が図られる際
でも、フッ化マグネシウムが添加されることにより、高
いぬれ圧縮強度が保持せしめられることになるのであ
る。
【0029】実施例 3 実施例1において比較のために作製された、フッ化マグ
ネシウムを含有していないセメント粉材の0.72g
と、フッ化マグネシウムの0.08g(10重量%)が
分散せしめられた15mmol/Lリン酸水溶液の0.
27mLとを、1分間練和して、練和泥を調製し、そし
て実施例1と同様の手順で、セメント硬化体を作製し
た。この得られたセメント硬化体の硬化時間及びぬれ圧
縮強度は、それぞれ、15分、387kgf/cm2
あった。
【0030】実施例 4 実施例1において作製された、フッ化マグネシウムを含
有していないセメント粉材の0.72gに、フッ化マグ
ネシウムの0.08g(10重量%)を添加し、それと
15mmol/Lリン酸水溶液の0.27mLとを1分
間練和して、練和泥を作製した。次いで、実施例1と同
様の手順でセメント硬化体を作製し、更に実施例1と同
様に硬化時間及びぬれ圧縮強度を測定したところ、硬化
時間は13分、ぬれ圧縮強度は331kgf/cm2
あった。
【0031】実施例 5 実施例1と同様にして作製した、平均粒径33.14μ
mのリン酸四カルシウムの13.52gとリン酸水素カ
ルシウム2水和物(キシダ化学株式会社製、特級)の
6.48gとを、ライカイ機を用いて60分間乾式摩砕
混合して、セメント粉材を作製した。そして、このセメ
ント粉材の0.72gと、フッ化マグネシウムの0.0
8g(10重量%)が分散せしめられた15mmol/
Lリン酸水溶液の0.27mLとを1分間練和して、練
和泥を調製した。次いで、この練和泥を6mmφ×12
mmの円筒型に充填して、2kgの重しを乗せて、37
℃、湿度100%に設定した恒温恒湿槽中で、練和開始
から60分後まで静置し、得られた成形体を型から取り
出した。次に、0.3重量%となるようにアジ化ナトリ
ウムを溶解せしめてなるハイドロキシアパタイト飽和水
溶液に、37℃の条件下で該成形体を浸漬した。ハイド
ロキシアパタイト飽和水溶液浸漬時間が、1、7、21
日のセメント硬化体を取り出し、ぬれ圧縮強度を測定し
たところ、浸漬時間が1日のものでは428kgf/c
2 、7日のものでは412kgf/cm2 、21日目
のものでは430kgf/cm2 であった。
【0032】一方、比較のために、上記で作製したセメ
ント粉材の0.80gと15mmol/Lリン酸水溶液
の0.22mLとを一分間練和して、練和泥を調製し、
次いで上記と同様な手順により、セメント硬化体を作製
し、ハイドロキシアパタイト飽和水溶液浸漬後のぬれ圧
縮強度を測定した。その結果、ぬれ圧縮強度は、浸漬時
間が1日のものでは278kgf/cm2 、7日のもの
では165kgf/cm2 、21日のものでは120k
gf/cm2 であった。
【0033】この結果から明らかなように、本発明に従
うフッ化マグネシウム添加セメント硬化体では、ハイド
ロキシアパタイト飽和水溶液の浸漬日数が長く、セメン
トの反応が進行しても、高いぬれ圧縮強度が保持されて
いた。これに対して、フッ化マグネシウムが添加されて
いないセメント硬化体においては、そのぬれ圧縮強度が
経時的に低減し、21日間浸漬したものでは、本発明に
従うセメント硬化体と比べて、3分の1以下までに低下
した。このようにフッ化マグネシウムを添加した組成物
は、添加しない組成物に比べて、そのセメント硬化体の
耐久性が著しく向上するのである。
【0034】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従うリン酸カルシウム系自己硬化型組成物にあって
は、フッ化マグネシウムの添加によって、その硬化体の
機械的強度、即ちぬれ圧縮強度が著しく高められ得るの
である。そして、かかる組成物にあっては、その硬化反
応が中性領域で進行するために、生体への刺激が少な
い、換言すると、生体親和性が高いという特徴も有する
のである。
【0035】また、かかるリン酸カルシウム系自己硬化
型組成物にあっては、更に、硬化促進用種結晶としての
ハイドロキシアパタイトが添加されることにより、硬化
体の反応が促進され、以て硬化時間の短縮が有利に図ら
れ得るのである。
フロントページの続き (72)発明者 森岡 成俊 愛知県名古屋市港区築三町1丁目11番地 株式会社エス・ティー・ケー・セラミック ス研究所内 (72)発明者 諏訪 佳子 愛知県名古屋市港区築三町1丁目11番地 株式会社エス・ティー・ケー・セラミック ス研究所内 (72)発明者 斎藤 肇 愛知県名古屋市港区築三町1丁目11番地 株式会社エス・ティー・ケー・セラミック ス研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸四カルシウムと、リン酸水素カル
    シウム無水和物若しくはリン酸水素カルシウム2水和物
    との、水和硬化反応によってハイドロキシアパタイトを
    生成せしめる配合比からなる粉材と、 希薄リン酸水溶液からなる液材と、 フッ化マグネシウムと、からなることを特徴とするリン
    酸カルシウム系自己硬化型組成物。
  2. 【請求項2】 前記フッ化マグネシウムが、前記粉材と
    の合計量に対して、0.3〜30重量%の割合となるよ
    うに用いられる請求項1に記載のリン酸カルシウム系自
    己硬化型組成物。
  3. 【請求項3】 前記フッ化マグネシウムが、前記粉材及
    び液材のうちの少なくとも何れか一方に添加、配合せし
    められている請求項1又は2に記載のリン酸カルシウム
    系自己硬化型組成物。
  4. 【請求項4】 前記粉材が、更に、ハイドロキシアパタ
    イトを硬化促進用種結晶として含んでいる請求項1乃至
    3の何れかに記載のリン酸カルシウム系自己硬化型組成
    物。
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