JPH0751822A - 溶鋼表面保温剤 - Google Patents

溶鋼表面保温剤

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JPH0751822A
JPH0751822A JP5223959A JP22395993A JPH0751822A JP H0751822 A JPH0751822 A JP H0751822A JP 5223959 A JP5223959 A JP 5223959A JP 22395993 A JP22395993 A JP 22395993A JP H0751822 A JPH0751822 A JP H0751822A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、空気酸化と保温剤の反応に起因す
る溶鋼汚染を確実に防止し、その上で耐火物の損傷や溶
損がない保温剤を提供することを目的とする。 【構成】 CaOとAl23 の含有率をCaO/Al
23 で0.5〜1.0とし且つ、MgO含有率を5%
以上30%未満、SiO2 含有率を10%以下にした保
温剤に、Caを外掛けで0.1〜20%含有させたこと
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は連続鋳造用タンディッシ
ュや取鍋などにより溶鋼を移送、又は精錬処理を行なう
際に、断熱・保温あるいは空気酸化防止を目的として溶
鋼表面を被覆する溶鋼表面保温剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造用タンディッシュや取鍋などに
より溶鋼を移送、又は精錬処理を行なう際、保温剤を用
いて溶鋼表面を被覆し溶鋼からの熱放散と外気の浸入を
防止している。従来から保温剤としては、籾殻を蒸し焼
きにした焼籾が主に用いられ、その主成分はSiO2
Cである。SiO2 は熱伝導率が低く保温効果に、Cは
酸素をCOガスに変えるため酸素の遮断効果に優れてい
る。このため、焼籾は保温効果及び空気遮断効果を有
し、しかも安価であることを特徴とする保温剤である。
しかしながら、加工性向上の目的から鋼板中のC濃度を
極力低下させた、例えばC濃度が50ppm以下の極低
炭素鋼において、保温剤中のC成分が溶鋼中にピックア
ップし鋼材の特性を低下させる欠点が知られている。ま
た、保温剤中のSiO2 成分は溶鋼中のAlと反応しA
23 系の非金属介在物を生成するため、表面欠陥を
増大させるといった問題も生じる。従来、焼籾のこれら
欠点を解決するため、C及びSiO2 成分の少ない保温
剤として、例えば特公平3−48152号公報に記載さ
れているように、MgO系の保温剤が使用されている。
また、MgO自体は熱伝導率が高いため、これに断熱性
を付与した発泡MgOの製造方法についても種々検討さ
れ、特公昭48−7485号公報等に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、MgO
を主成分とする保温剤は融点が高く、使用温度では主に
固相であるため、溶鋼表面の均一な被覆状態が得られ
ず、外気と溶鋼との反応によりAl23 系非金属介在
物を生成する。また、タンディッシュではモールド内へ
の溶鋼供給を制御するためにストッパーを使用している
が、MgO系保温剤は粒子間で焼結が進み強固なスラグ
層を形成しストッパーを固定するため制御が困難とな
り、激しい場合にはストッパーの折損に到る。これに対
し、MgOの一部をSiO2 に置き換え融点を下げる方
法が考えられるが、この場合溶鋼中のAlによりSiO
2 の還元が起こる。これらの問題に鑑み、本発明は、空
気酸化と保温剤の反応に起因する溶鋼汚染を確実に防止
し、その上で耐火物の損傷や溶損がない保温剤を提供す
ることを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、CaOとAl
23 の含有率をCaO/Al23 で0.5〜1.0
とし、且つMgO含有率を5%以上30%未満、SiO
2 含有率を10%以下にした保温剤にCaを外掛けで
0.1〜20%含有したことを特徴とする溶鋼表面保温
剤に関するものである。
【0005】
【発明の作用】溶鋼表面を被覆する保温剤として満足す
べき条件は、空気酸化と保温剤の反応に起因する溶鋼汚
染を確実に防止し、その上で耐火物の損傷や溶損がない
ことである。発明者等はこれら基本条件を満足すべく保
温剤の検討を進めてきた結果、空気酸化を抑制するため
には保温剤の液相化が、保温剤と溶鋼の反応を防止する
ためには低SiO2 化が有効であることを見いだした。
すなわち、保温剤の融点を下げ液相を生成するたとは溶
鋼表面の被覆状態を均一化し、保温剤自体の空気酸化防
止能を高める。また、保温剤中のSiO2 は(1)式に
より溶鋼中のAlと反応するため、保温剤の低SiO2
化はAl23 系非金属介在物の生成防止に効果を有す
る。 3SiO2 +4Al=2Al23 +3Si ………… (1)
【0006】このため、低融点化と低SiO2 化を満足
する保温剤について検討を重ねた結果、CaOとAl2
3 の含有率をCaO/Al23 で0.5〜2.0の
範囲とし、SiO2 含有率を10%以下にすることが最
適であることを見いだした。なお、CaO/Al23
を0.5〜2.0の範囲にしたのは、図1に示すように
保温剤の軟化点がタンディッシュにおける溶鋼温度以下
となり、液相化するためである。また、SiO2 含有率
を10%以下にしたのは、図2に示すように保温剤中S
iO2 と溶鋼中Alの反応速度が急激に遅くなり工業的
に問題となるレベル以下に反応を抑えることができるた
めである。しかし、本成分の保温剤をタンディッシュに
適用した場合、ストッパー耐火物の溶損が急激に進行
し、長時間の使用に耐えないことが分かった。
【0007】そこで、本発明者らは、前述した成分の保
温剤でCaO/Al23 を変更すると共、MgOを添
加し、保温剤が固相化しない範囲で融点を上げ、ストッ
パー耐火物の溶損防止を検討した。その結果を図3に示
す。保温剤の成分がCaO/Al23 で1.0より大
きい範囲では溶損速度が速く、さらにMgOの添加はか
えって溶損速度を速める。これに対し、保温剤の成分が
CaO/Al23 で1.0以下の範囲では、MgOを
5%以上添加することにより溶損速度が急激に低下し、
工業的に使用可能(溶損速度で0.1mm/min以
下)なまでに溶損を抑えることができる。しかし、溶鋼
温度(1550℃)でMgO含有率が30%以上になる
と、保温剤中の液相は極めて少なくなる。その結果、保
温剤は溶鋼表面を均一に覆わず空気酸化によりAl2
3 系非金属介在物を生成する。
【0008】したがって、保温剤の反応防止、空気酸化
防止、耐火物溶損防止の機能を有する保温剤の成分とし
ては、CaOとAl23 の含有率をCaO/Al2
3 で0.5〜1.0の範囲とし、且つMgO含有率を5
%以上30%未満、SiO2含有率を10%以下にする
ことが必要である。以上に示した保温剤により、定常部
の鋳片品質は極めて向上する。しかし、図4(a)に示
したように1鍋目の鋳造開始時には、保温剤1とは無関
係に取鍋2からの注入流3が直接空気4を巻き込むた
め、図4(b)のように鍋ロングノズル5がタンディッ
シュ6内の溶鋼7に浸漬され定常状態になるまで空気酸
化を生じる。このため、1鍋目の鋳片には初期注入時の
空気酸化による汚染が影響し、鋳片品質が低下する。そ
こで、本発明者らはこの初期酸化の問題をも解消できる
保温剤の研究を重ねた結果、保温剤中にCaを含有させ
ることが有効であることを見いだした。鋳造開始時の注
入流と共に巻き込まれた空気中の酸素は、溶鋼中のAl
と(2)式により反応しAl23 系の非金属介在物を
生成する。しかし、保温剤中にCaが含有されている場
合、注入流と共に巻き込まれた空気中の酸素はAlより
も活性なCaと(3)式により反応しCaOを生成する
ため、Al23 系非金属介在物の生成は抑制される。
【0009】 4Al+3O2 =2Al23 …………(2) 2Ca+O2 =2CaO …………(3) m・CaO+n・Al23 =(mCaO・nAl23 )…………(4)
【0010】こらに、このCaOは溶鋼中のAl23
と(4)式により反応し、低融点のカルシュウムアルミ
ネート(mCaO・nAl23 )を生成する。その結
果、非金属介在物同志の凝集合体が進行し、非金属介在
物の浮上分離が促進される。したがって、保温剤にCa
を含有させることは、鋳造初期の空気巻き込みに起因す
るAl23 系非金属介在物を低減すると共に、溶鋼中
のAl23 系非金属介在物の除去を促進するため、定
常部のみならず鋳造初期の非定常部を含めた溶鋼の清浄
化が達成される。
【0011】Caの沸点(1500℃程度)は溶鋼温度
よりも若干低いため、保温剤が溶鋼と接触するとCaの
蒸発が生じる。このため、保温剤中のCa含有率は外掛
で0.1%未満になるとCaは全て蒸発し、非金属介在
物の浮上分離速度の向上は期待できない。反対に保温剤
中のCa含有率が20%を超えると、Ca蒸発量が急激
に増大しタンディッシュ内の溶鋼飛散が激しくなるた
め、操業性が低下する。したがって、保温剤中のCa含
有率は外掛で0.1〜20%の範囲にする必要がある。
なお、保温剤への適性Ca含有率は一概に規定できるも
のではなく、注入流の空気巻き込み量に応じて含有させ
る必要があるが、その決定方法の概略は、鍋内とタンデ
ィッシュ内のsolAl低下量から空気巻き込み量を評
価し、これに相当するCa量を歩留りを考慮して添加す
れば良い。また、Ca歩留り向上の観点から溶鋼成分上
問題とならない範囲で、Al等の金属を添加すること、
Ca合金を使用することも可能である。
【0012】保温剤の基本成分は以上に述べた通りであ
るが、本発明品の機能を低下させない範囲でCaF2
の他成分の添加も可能である。以上に示したように、本
発明の保温剤を用いることにより、非定常部を含む全域
にわたって空気酸化や保温剤の反応に起因する溶鋼汚染
を確実に防止でき、その上で耐火物の損傷や溶損がない
溶鋼保温剤を提供できる。
【0013】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明
について説明する。表1に示す成分の保温剤400kg
を容量60tonのタンディッシュに添加し、低炭アル
ミキルド鋼を400分間鋳造した。なお、本実験を行っ
たタンディッシュにおける最適Ca添加量は0.5%で
あった。本発明の実施例及び比較例とも、鋳造寸法は厚
み245mm×幅1500mmで、8500mm長さに
切断して1コイル単位とした。このスラブを常法により
熱間圧延、冷間圧延し、最終的に厚み0.7mm×幅1
500mmコイルの冷延鋼板とした。鋳造初期の保温剤
中Caによる非金属介在物除去効果は、鍋内とタンディ
ッシュ入側の全酸素量の上昇量及び冷延鋼板に発生した
表面欠陥の発生個数により評価した。定常状態における
保温剤の空気酸化防止効果及び反応防止効果はタンディ
ッシュ入側と出側の全酸素量の上昇量及び冷延鋼板に発
生した表面欠陥の発生個数により評価した。また、耐火
物の溶損については使用後ストッパーの溶損量を測定
し、鋳造時間から溶損速度を算出した。なお、使用した
ストッパー耐火物の材質はロウセキである。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】表2に示す如く、実施例ではCaOとAl
23 の含有率をCaO/Al23 で0.5〜1.0
とし、且つMgO含有率を5%以上30%未満、SiO
2 含有率を10%以下にした保温剤にCaを外掛で0.
1〜20%含有した保温剤により、鋳造初期の空気巻き
込み、空気酸化及び保温剤の反応に起因する溶鋼汚染を
防止できたため、鍋・タンディッシュ入側間及びタンデ
ィッシュ入側・出側間の全酸素量の上昇及び表面欠陥の
発生は全くなかった。また、ストッパー耐火物の溶損速
度も低下するため、連々鋳回数が増加する場合にも十分
使用に耐えうることが確認された。
【0017】これに対し、比較例1はCaO/Al2
3 が1より大きくなったため、ストッパー耐火物の溶損
速度が速くなり、保温剤投入後182分で鋳造を停止し
た。比較例2はCaO/Al23 が0.5より小さく
なったため、保温剤が固相となり十分な空気酸化防止効
果が得られず、タンディッシュ入側・出側間の全酸素量
が上昇し表面欠陥が発生した。比較例3は保温剤中のM
gO含有率が5%より低かったため、ストッパー耐火物
の溶損を抑えることができず、保温剤投入後333分で
鋳造を停止した。比較例4は反対にMgO含有率が30
%を超えたため、保温剤が固相となり十分な空気酸化防
止効果が得られず、タンディッシュ入側・出側間の全酸
素量が上昇し表面欠陥が発生した。比較例5はSiO2
含有率が10%を超えたため、溶鋼中Alとの反応によ
りAl23 系非金属介在物が生成した。その結果、タ
ンディッシュ入側・出側間の全酸素量が増大し、表面欠
陥が発生した。さらに、比較例6は保温剤中のCa含有
率が少なくCa全て蒸発したため、鋳造開始時の空気巻
き込みにより鍋・タンディッシュ入側間の全酸素量が増
大し、表面欠陥が発生した。しかし、2鍋以降では鋳造
初期の空気巻き込みの影響がなくなり、鍋・タンディッ
シュ入側間・タンディッシュ入側・出側間の全酸素量の
上昇及び表面欠陥の発生は全くなかった。比較例7は保
温剤中のCa含有率が高かったため、Caの蒸発による
溶鋼飛散が激しく、鋳造を中止した。
【0018】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の溶鋼保
温剤によれば溶鋼の汚染は全くなく、鋳片品質は極めて
向上する。また、耐火物の損傷や溶損も生じないため、
操業面でも有効な保温剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】保温剤のCaO/Al23 と軟化点の関係を
示す図
【図2】保温剤中のSiO2 含有率と反応速度の関係を
示す図
【図3】保温剤中のCaO/Al23 及びMgO含有
率と溶損速度の関係を示す図
【図4】鋳造開始及び定常状態のタンディッシュの状況
を示す図
【符号の説明】
1 保温剤 2 取鍋 3 注入流 4 空気 5 ロングノズル 6 タンディッシュ 7 溶鋼

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CaOとAl23 の含有率をCaO/
    Al23 で0.5〜1.0とし、且つMgO含有率を
    5%以上30%未満、SiO2 含有率を10%以下にし
    た保温剤にCaを外掛で0.1〜20%含有したことを
    特徴とする溶鋼表面保温剤。
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