JP3582294B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼の連続鋳造方法に関し、とくに連続鋳造時の鋼中非金属介在物付着による浸漬ノズル閉塞を防止し、あわせて、圧延製品のCa系非金属介在物に起因する発錆を低減することができる鋼の連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼の連続鋳造は、通常、図3に示すような方法で行われている。
取鍋からタンディッシュ4に注入された溶鋼6は、タンディッシュ底部に配設された上ノズル2、スライディングノズル3を介し浸漬ノズル1からモールド5内に鋳込まれる。通常、溶鋼中の溶存酸素を低減するため、溶鋼中にAlを添加し、脱酸している。このため、浸漬ノズル1内に脱酸生成物のAl2O3 が凝集付着してノズル閉塞を起こす場合が多い。このノズル閉塞を防止するためには通常、上ノズル2あるいはスライディングノズル3から浸漬ノズル1内にAr等の不活性ガスを吹き込んで鋳造を行っている。しかし、吹き込まれた気泡が鋳造中に凝固シェルに捕捉され、製品板に表面欠陥を発生させるという問題があるため、Arガス量を低減し、またはArガスを用いずに浸漬ノズルの閉塞を防止することが望まれている。
【0003】
Al2O3 による浸漬ノズルの閉塞を防止する方法として、例えば、特開昭61−276756号公報には、溶鋼中にCaを含有させ、Al2O3 をより融点の低いCaO−Al2O3 系の複合酸化物に変化させノズル閉塞を防止する技術が、また、特開昭61−1457号公報には、Tiを含有するアルミキルド鋼の溶鋼中にCaを含有させて、TiO2やAl2O3 をより融点の低いAl2O3−CaO 、TiO2−CaOまたはAl2O3−TiO2−CaOに変化させノズル閉塞を防止する技術が提案されている。
【0004】
しかしながら、上記した技術を利用しても、Ca量、鋼中酸素含有量等の条件によっては、なお、ノズル閉塞が発生し、多連鋳ができないという問題があった。
また、上記した技術を利用して、アルミキルド鋼にCaを添加し、次式
Ca +Al2O3 →nCaO・mAl2O3+Al
の反応により、鋳造温度で低融点のCaO−Al2O3 系酸化物を生成させようとする場合には、多量のCa添加を必要とすること、また、生成したnCaO・mAl2O3複合酸化物は、鋼中のSの吸収能が高く、そのため、複合酸化物中のS濃度が高くなり、製品板の発錆の原因となることなどの問題があった。
【0005】
さらに、工業的規模の生産においては、溶鋼中のCa量を、溶鋼中の介在物を低融点化でき、かつ製品板に発錆を生じさせない範囲に制御することは、至難の技であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を有利に解決し、鋼の連続鋳造時の介在物付着によるノズル閉塞を防止し、かつ得られる鋳片を圧延して製造される製品板のCa起因の錆の発生をも防止できる鋼の連続鋳造方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するため、鋭意検討した結果、介在物の形態を、Ca添加前に、TiO2あるいはTiO2−Al2O3として、Ca添加により、CaO−TiO2あるいはCaO−TiO2−Al2O3の低融点複合介在物とすると、▲1▼少量のCa添加で、低融点の介在物が形成できること、▲2▼形成された複合介在物のS吸収能が低くなること、に想到した。これにより、少量のCa添加でノズル閉塞を防止でき、しかも、製品板の発錆をも防止できることを新規に見いだし、本発明を構成した。
【0008】
すなわち、本発明は、鋼を連続鋳造するにあたり、溶鋼を Ti と Al を用いて脱酸したのち、さらに Ca を添加し鋳造直前の溶鋼中にTi、AlおよびCaを、次(1)、(2)および(3)式、
Ti>0.02 …… (1)
Ti/Al >10 …… (2)
0.12×T.O ≦T.Ca≦0.0030…… (3)
ここに、Ti:溶鋼中のTi含有量(wt%)
Al:溶鋼中のAl含有量(wt%)
T.O :溶鋼中の全O含有量(wt%)
T.Ca:溶鋼中の全Ca含有量(wt%)
を満足するように調整して含有させたのち鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法である。
【0009】
また、本発明は、C: 0.0027wt %以下の極低炭素鋼の連続鋳造に適用するのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明では、鋼を連続鋳造するにあたり、鋳造直前の溶鋼中にTi、AlおよびCaを含有させたのち鋳造する。
鋳造直前の溶鋼中に含有するTi量(wt%)は、
Ti>0.02 …… (1)
とし、さらにAl量(wt%)を
Ti/Al >10 …… (2)
の関係を満足するよう調整する。
【0011】
本発明では、AlとともにTiを用いて脱酸を行う。脱酸は、転炉等の製鋼炉からの出鋼時、RH脱ガス装置などにおける取鍋精錬時あるいはタンディッシュのいずれか、あるいは複数の段階で行う。
鋳造直前の溶鋼中にTiが0.02wt%超えとなるように添加する。Ti添加量が、0.02wt%以下では、介在物がAl2O3 であり、TiO2を生成しない。このため、Tiは、(1)式の範囲、すなわち0.02wt%超えに限定した。
【0012】
また、Al添加量は、Ti量と関連して、上記(2)式を満足するように調整する。Ti量が0.02wt%以下およびTi/Al が10以下では、図2に示すように、介在物がAl2O3 のままで、介在物がAl2O3 からTiO2あるいは TiO2 +Al2O3 に変化しないため、Ti、Alの添加量を(1)、(2)式の範囲(図2の斜線範囲)に限定した。
【0013】
本発明では、AlとTiで脱酸したのち、さらに、
0.12×T.O ≦T.Ca≦0.0030…… (3)
を満足するようにCaを添加する。Caは歩留よく、かつ成分適中率を高めるため、RH脱ガス装置などにおける取鍋精錬、あるいはタンディッシュのいずれか、または両方で添加するのがよい。T.O は、溶鋼中の全酸素含有量で、T.Caは溶鋼中の全Ca含有量である。
【0014】
溶鋼中のCa含有量を、上記(3)式を満足するように調整すると、介在物の低融点化が図れ、連続鋳造中のノズル詰まりを防止でき、さらに製品板における発錆を防止できる。
一方、溶鋼中のCa含有量が0.0030wt%を超えると、鋳造後圧延により冷延製品板とした場合に錆が発生する。このため、溶鋼中の全Ca含有量を0.0030wt%以下に制限した。
【0015】
また、溶鋼中のCa含有量が0.12×T.O 未満では、介在物が低融点化しないため、連続鋳造中のノズル閉塞を防止できない。このため、溶鋼中の全Ca含有量を0.12×T.O 以上に限定した。
なお、前記従来技術のように、Alのみにより脱酸したのちCaを添加した場合には、溶鋼中のCa含有量(T.Ca)を0.8 × T.O(溶鋼中の全酸素含有量)以上とすることにより介在物が低融点化するが、しかし、溶鋼中のCa含有量が0.0015wt%を超えると製品板での発錆を防止できなくなり、溶鋼中のCa含有量の調整範囲が非常に狭くなるという欠点がある。これに対し、上記したように、本発明では、製品の発錆防止とともにノズル詰まりの防止が可能な溶鋼中のCa含有量は、溶鋼中酸素含有量との関係で示すと、図1に示すように広い範囲にわたっている。本発明によれば製品の発錆防止とノズル詰まりの防止のためのCa量の制御範囲が広く、実際の連鋳における操業が容易になるという利点がある。
【0016】
また、本発明は、C: 0.0027wt %以下の極低炭素鋼の連続鋳造に適用するのが好ましい。極低炭素鋼は主として冷間圧延を施され製品板となる、冷間圧延用極低炭素鋼である。
【0017】
【実施例】
表1に示す組成の極低炭素鋼を転炉で溶製したのち、溶鋼を取鍋からタンディッシュを介し鋳型に注入に、260mm 厚×1300mmの鋳片とした。鋳造条件は、タンディシュ内の溶鋼加熱度をΔT=20〜24℃、鋳込速度を4.5ton/minとした。
【0018】
【表1】
【0019】
鋳込直前の溶鋼の組成を表2に示すように調整したのち、連続鋳造した。本発明例および比較例は、AlとTiの複合脱酸を行い、さらにCaを添加した。一方、Alのみの脱酸を行ったのち、Caを添加し従来例とした。連続鋳造後に浸漬ノズルを回収し、脱酸生成物によるノズル詰まりの有無を調査し、その結果を表2にノズル詰まりの有無で示す。
【0020】
また、鋳片としたのち、熱間圧延および冷間圧延を施して、 0.8mm厚の冷延鋼板とした。これら冷延鋼板について、塩水噴霧試験を行い発錆の有無を調査した。塩水噴霧試験の試験条件は下記の通りである。
試験温度は35℃とし、5wt%NaCl水溶液を鋼板表面に噴霧する処理を6時間連続して行った。試験後、鋼板表面を観察し、単位表面積に発生する錆の個数を測定し、1個/cm2以上発生した場合に発錆有りとした。それらの結果を表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】
表2から、本発明範囲の本発明例では、ノズル詰まりの発生率は低く、かつ製品板の発錆は無かった。これに対し、本発明の範囲を外れる比較例では、ノズル詰まりが多発し、また、Ca起因の鋼板表面の発錆が認められた。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、溶鋼中の酸素濃度を極端に低下することなく、またCa量を低く抑えることなく、連続鋳造における浸漬ノズルの閉塞を防止でき、あわせて、冷延鋼板の発錆を防止できる。さらに、本発明によれば、鋳造直前のCaとO量の厳しい制御を行う必要がなく連鋳作業の容易化が図れるという産業上多大の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ノズル詰まり防止、発錆防止可能範囲と溶鋼中のCa、O含有量との関係を示す図である。
【図2】溶鋼中のTi、Al量と介在物組成との関係を示す図である。
【図3】連続鋳造法の概略を示す概念図である。
【符号の説明】
1 浸漬ノズル
1a 吐出孔
2 上ノズル
3 スライディングノズル
4 タンディッシュ
5 モールド
6 溶鋼
Claims (2)
- 鋼を連続鋳造するにあたり、溶鋼を Ti と Al を用いて脱酸したのち、さらに Ca を添加し鋳造直前の溶鋼中にTi、AlおよびCaを下記(1)、(2)、(3)式を満足するように調整して含有させたのち鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
記
Ti>0.02 …… (1)
Ti/Al >10 …… (2)
0.12×T.O ≦T.Ca≦0.0030…… (3)
ここに、Ti:溶鋼中のTi含有量(wt%)
Al:溶鋼中のAl含有量(wt%)
T.O :溶鋼中の全O含有量(wt%)
T.Ca:溶鋼中の全Ca含有量(wt%) - 前記鋼が、C: 0.0027wt %以下の極低炭素鋼であることを特徴とする請求項1記載の鋼の連続鋳造方法。
Priority Applications (1)
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JP10347797A JP3582294B2 (ja) | 1997-04-21 | 1997-04-21 | 鋼の連続鋳造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP10347797A JP3582294B2 (ja) | 1997-04-21 | 1997-04-21 | 鋼の連続鋳造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10291053A JPH10291053A (ja) | 1998-11-04 |
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JP5125663B2 (ja) * | 2008-03-25 | 2013-01-23 | Jfeスチール株式会社 | スラブ鋳片の連続鋳造方法 |
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1997
- 1997-04-21 JP JP10347797A patent/JP3582294B2/ja not_active Expired - Fee Related
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