JPH0746849Y2 - エアリレーバルブ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、自動車のエアブレーキ用のピストン式リレー
バルブに関するものである。

［従来の技術］ 従来、この種のエアリレーバルブは、ブレーキバルブと
ブレーキチャンバとの間、又はブレーキバルブとハイド
ロリックエアブースタとの間に設けられていて、いずれ
もブレーキバルブからのパイロットエアに応じて、内蔵
するピストンを駆動し、エアタンクからの高圧エアをブ
レーキチャンバ又はエアブースタに供給している。

［考案が解決しようとする課題］ しかし、従来のエアリレーバルブは、エアタンクからの
高圧エアで高圧エア流入室と高圧エア流出室とを遮断し
ている弁体をパイロットエアの圧力でピストンを介して
駆動して両室を連通させる機構であるため、ピストン駆
動のために大きな力を要する。このため、ブレーキバル
ブからのパイロットエアを受けるピストンの面積が大き
くなり、動作時には高圧で多量のパイロットエアを消費
している。

この結果、エアコンプレッサの稼働率が高まり、エンジ
ンの負荷を増大させる問題点があった。またピストンの
面積を大きくする必要からエアリレーバルブが大型化す
る不具合があった。

本考案の目的は、低い圧力で、かつ少量のパイロットエ
アで動作し、エンジン負荷を小さくするエアリレーバル
ブを提供することにある。

本考案の別の目的は、僅かな部品点数からなる簡単な構
成で、製作工数及び組立工数が少なくて済み、小型で安
価に製作し得るエアリレーバルブを提供することにあ
る。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案のエアリレーバルブ
は、入力ポートに通じるパイロットエア流入室と高圧エ
ア流入ポートに通じる高圧エア流入室と高圧エア流出ポ
ート及び排気ポートにそれぞれ通じる高圧エア流出室と
を有するボデーと、前記パイロットエア流入室と前記高
圧エア流入室とを遮断しかつ摺動するピストンと、前記
高圧エア流入室と前記高圧エア流出室の境界の前記ボデ
ーの内部に設けられ、シート面を前記ピストンと反対側
に有するバルブシートと、前記ピストンに連結し、前記
シート面に着座可能に前記ボデー内に設けられ、前記バ
ルブシートに着座するとき前記高圧エア流入室と前記高
圧エア流出室とを遮断し、前記バルブシートから離れる
とき前記高圧エア流入室と前記高圧エア流出室とを連通
させる切換バルブと、前記パイロットエア流入室にパイ
ロットエアが流入しないとき伸張して前記切換バルブを
前記バルブシートに圧接し、パイロットエアが流入する
とき圧縮して前記切換バルブを前記バルブシートから離
すスプリングと、前記高圧エア流出室内に前記切換バル
ブに係留して設けられ、前記切換バルブが前記バルブシ
ートに着座するとき前記排気ポートを開放し、前記バル
ブシートから離れるとき前記排気ポートを閉止可能な排
気バルブとを備えたものである。

［作用］ スプリングの弾発力に打ち勝つ圧力のパイロットエアが
流入すると、ピストンが駆動され切換バルブがバルブシ
ートから離れ、高圧エア流入室が高圧エア流出室に連通
して高圧エアが高圧エア流入室に流入し、排気バルブが
エア圧で排気ポートを閉止する。

パイロットエアが流入しなくなると、スプリングの弾発
力により切換バルブがバルブシートに着座し、高圧エア
流入室が高圧エア流出室と遮断され、かつ排気バルブが
切換バルブに連動して排気ポートを開放し、高圧エア流
入室のエアを大気に排出する。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳しく説明す
る。この例ではハイドロリックエアブースタに取付けら
れるエアリレーバルブについて説明する。

第１図及び第２図に示すように、エアリレーバルブ10の
ボデー11は上部ボデー11a、中間ボデー11b及び下部ボデ
ー11cからなる。上部ボデー11aと中間ボデー11bの間に
はＯ−リング11dが設けられ、中間ボデー11bと下部ボデ
ー11cの間にはＯ−リング11eが設けられる。上部ボデー
11aにはブレーキバルブ（図示せず）に連通する入力ポ
ート12が設けられ、中間ボデー11bにはエアタンク（図
示せず）に連通する高圧エア流入ポート13が設けられ、
下部ボデー11cにはエアマスタのパワーシリンダ（図示
せず）に連通する高圧エア流出ポート14及び大気に連通
する排気ポート15が設けられる。

ボデー11は入力ポート12に通じるパイロットエア流入室
Ａと、高圧エア流入ポート13に通じる高圧エア流入室Ｂ
と、更に高圧エア流出ポート14及び排気ポート15にそれ
ぞれ通じる高圧エア流出室Ｃとを有する。

上部ボデー11a内にはパイロットエア流入室Ａと高圧エ
ア流入室Ｂとを遮断しかつ摺動するピストン16が設けら
れる。ピストン16は周面にＯ−リング16aが嵌着され、
中央に貫通するロッド16bの先端がナット16cにより固着
される。ロッド16bはブッシュ18を介して仕切り板19に
遊挿される。

高圧エア流入室Ｂは仕切り板19で２つの室に仕切られる
が、仕切り板19に設けられた通孔21によりこの２つの室
は互いに連通する。高圧エア流入室Ｂと高圧エア流出室
Ｃの境界の中間ボデー11bの内周部にはバルブシート17
が設けられ、このシート面はピストン16と反対側に向け
られる。

ピストン16にロッド16bを介して連結する切換バルブ22
がバルブシート17のシート面に着座可能に中間ボデー11
b内に設けられる。バルブ22の周縁にはパッキング22aが
設けられる。切換バルブ22はバルブシート17に着座する
とき高圧エア流入室Ｂと高圧エア流出室Ｃとを遮断し、
バルブシート17から離れるとき高圧エア流入室Ｂと高圧
エア流出室Ｃとを連通させる。この例では高圧エア流入
室Ｂに面する切換バルブ22の面積はピストン16の高圧エ
アを受ける面積とほぼ同一に設定される。

切換バルブ22と下部ボデー11cの底部との間にはスプリ
ング23が設けられる。このスプリング23はＯ−リング16
a、ブッシュ18等に起因したピストン16の摺動抵抗力に
打ち勝ち、パイロットエアの圧力で圧縮されるばね定数
のものが選定される。

高圧エア流出室Ｃに臨んで切換バルブ22の底面に管状体
24が垂設され、この管状体24の内部には排気バルブ26の
係留部26aが挿入される。管状体24は係留部26aが挿入さ
れた後、下端がかしめられ、図示するように排気バルブ
26を上下動可能に係留する。排気バルブ26の下端には排
気ポート閉止板26bが設けられる。閉止板26bの周縁には
排気ポート15を閉じた排気バルブ26を上方に付勢するス
プリング27が設けられる。

第２図に示すように、バルブシート17のシート面と排気
ポート15のシート面との間隔ｌ₁は管状体24が排気バル
ブ26を吊り下げたときの切換バルブ22のシート面と閉止
板26bの下面との間隔ｌ₂より僅かに大きく、この例では
ｌ₁とｌ₂の差は0.1mmである。

このような構成のエアリレーバルブ10の動作を説明す
る。

エアタンク（図示せず）から高圧エア流入ポート13を通
って高圧エア流入室Ｂに流入したエア圧力は同一面積の
切換バルブ22及びピストン16に作用するため、切換バル
ブ22及びピストン16の駆動に寄与しない。

第１図に示すように、ブレーキ不作動時にはブレーキバ
ルブ（図示せず）から入力ポート12を通ってパイロット
エアが流入せず、パイロットエア流入室Ａは大気圧であ
るため、スプリング23の弾発力により切換バルブ22がバ
ルブシート17に着座し、高圧エア流入室Ｂが高圧エア流
出室Ｃと遮断される。

次いで、第２図に示すように、ブレーキ作動時にはパイ
ロットエア流入室Ａにパイロットエアが流入する。スプ
リング23の弾発力を上回る圧力のパイロットエアが流入
すると、ピストン16が駆動され、切換バルブ22がバルブ
シート17から離れる。高圧エア流入室Ｂが高圧エア流出
室Ｃに連通してエアタンクからの高圧エアが高圧エア流
入室Ｃに流入する。このエア圧は排気バルブ26の閉止板
26bをスプリング27に抗して押し下げ、排気ポート17を
閉止する。この結果、エアタンクからの高圧エアは高圧
エア流出ポート14を通ってエアマスタのバワーシリンダ
（図示せず）に送られて制動が行われる。この状態では
高圧エア流入室Ｂに面するピストン16及び切換バルブ22
と高圧エア流出室Ｃに面する切換バルブ22には同じエア
圧がかかるため、切換バルブ22はパイロットエア圧とス
プリング23の弾発力が平衡した開度で維持される。

更に、ブレーキが不作動となり、パイロットエア圧が大
気圧まで下がると、スプリング23により切換バルブ22が
バルブシート17に着座し、高圧エア流入室Ｃが高圧エア
流出室Ｂと遮断される。切換バルブ22の上昇に伴い、管
状体24が排気バルブ26を僅かに上昇させる。スプリング
27の助力で排気ポート15は容易に開放され、高圧エア流
入室Ｃのエアが大気に排出される。エア排出時にスプリ
ング27により排気バルブ26のチャタリングが防止され
る。

なお、上記例では高圧エア流入室Ｂに面する切換バルブ
22の面積をピストン16の高圧エアを受ける面積とほぼ同
一に設定したが、ピストン16の面積を切換バルブ22の面
積より僅かに広くしてもよい。

［考案の効果］ 以上述べたように、本考案のエアリレーバルブは、スプ
リングの弾発力に打ち勝つ程度の低圧で少量のパイロッ
トエアで動作するため、ピストンの径を小さくでき、パ
イロットエアの消費量を著しく減少できる。この結果、
エアコンプレッサの稼働率を低くし、エンジンの負荷を
軽減することができる。

特に、本考案によれば、僅かな部品点数からなる簡単な
構成で、製作工数及び組立工数が少なくて済み、小型で
安価にエアリレーバルブを製作することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例エアリレーバルブのブレーキ不作
動時の中央縦断面図。 第２図はそのブレーキ作動時の中央縦断面図。 10:エアリレーバルブ、11:ボデー、12:入力ポート、13:
高圧エア流入ポート、14:高圧エア流出ポート、15:排気
ポート、16:ピストン、17:バルブシート、22:切換バル
ブ、23,27:スプリング、26:排気バルブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】入力ポートに通じるパイロットエア流入室
   と高圧エア流入ポートに通じる高圧エア流入室と高圧エ
   ア流出ポート及び排気ポートにそれぞれ通じる高圧エア
   流出室とを有するボデーと、 前記パイロットエア流入室と前記高圧エア流入室とを遮
   断しかつ摺動するピストンと、 前記高圧エア流入室と前記高圧エア流出室の境界の前記
   ボデーの内部に設けられ、シート面を前記ピストンと反
   対側に有するバルブシートと、 前記ピストンに連結し、前記シート面に着座可能に前記
   ボデー内に設けられ、前記バルブシートに着座するとき
   前記高圧エア流入室と前記高圧エア流出室とを遮断し、
   前記バルブシートから離れるとき前記高圧エア流入室と
   前記高圧エア流出室とを連通させる切換バルブと、 前記パイロットエア流入室にパイロットエアが流入しな
   いとき伸張して前記切換バルブを前記バルブシートに圧
   接し、パイロットエアが流入するとき圧縮して前記切換
   バルブを前記バルブシートから離すスプリングと、 前記高圧エア流出室内に前記切換バルブに係留して設け
   られ、前記切換バルブが前記バルブシートに着座すると
   き前記排気ポートを開放し、前記バルブシートから離れ
   るとき前記排気ポートを閉止可能な排気バルブと を備えたエアリレーバルブ。