JPH0745971Y2 - 電歪効果素子 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は電歪効果素子に関し、特に縦効果を利用した積
層型の電歪効果素子の電極構造に関する。

［従来の技術］ 第４図（ａ）はこの種の電歪効果素子の従来の斜視図、
第４、図（ｂ）はその縦断面図である。

電歪材１よりなる端子接続部３の上下に複数の電歪材１
と内部電極２とが交互に積層され、積層体を形成してい
る。この電歪材１は複合ベロブスカイト構造を有するチ
タン酸ジルコニウム酸鉛等のセラミックからなり、内部
電極２は銀−パラジウム合金等から成る。また、図示の
電歪効果素子の側面において、内部電極２の端面は１層
おきに絶縁性物質4a,4bにより被覆され絶縁され、該被
覆は該電歪効果素子の両側面で１層おきに互い違いにな
るように設けられている。絶縁性物質4a,4bによる被覆
の上には該電歪効果素子の各内部電極２をそれぞれ１層
おきに電気的に接続するため外部電極5a,5bが被着し配
設されている。また、はんだ付け付近の絶縁性物質4a,4
b上および外部電極5a,5b上にはソルダレジスト8a,8bが
塗布されている。さらに、電歪効果素子の中央部に位置
する端子接続部３上の各外部電極5a,5bにはリード線6a,
6bがはんだ７により電気的に接続されている。したがっ
て、リード線6a,6b間に所定の電圧を印加すると外部電
極5a,5bを通してすべての内部電極２に電圧が印加さ
れ，素子全体が縦効果で図中矢印で示したX,Y方向に歪
む。

［考案が解決しようとする課題］ 上述した従来の電歪効果素子は次のような欠点がある。

（１） 絶縁性物質上にはんだが付着するのを防止する
ために外部電極上にソルダレジストが塗布されている
が、このために電歪効果素子駆動時にソルダレジストの
接着面で応力が生じ、下地の絶縁性物質にストレスが加
わり絶縁破壊がおこる。

（２） このために、はんだ付け部の端子接続部を厚く
すると、電歪効果素子の全長が大きくなり製品が大型に
なる。

（３） はんだ付け面積は側面全長の外部電極の幅で決
まるため、大きくとれず、はんだ作業がやりにくく、作
業能率が低下する。

［課題を解決するための手段］ 本考案の電歪効果素子は、複数の電歪材が積層された端
子接続部と複数の電歪材と内部電極とが交互に積層され
た電歪部を有する積層体と、前記積層体の対向する一対
の側面に露出する内部電極の一方の端面に前記一対の側
面において互い違いに絶縁性物質が塗布され、絶縁性物
質が塗布されない内部電極のもう一方の端部は前記側面
ごとに設けられた外部電極に接続され、前記端子接続部
上の前記外部電極からリード線をとり出している電歪効
果素子において、前記外部電極が、電歪材層上に配設さ
れた複数本の外部電極と、端子接続部上に側面幅方向に
配設され前記複数本の外部電極層と接続された外部電極
とからなっている。

［作用］ 側面全長に配設された複数本の外部電極が端子接続部に
おいて、側面幅方向に配設させた電極面と接続している
ので、はんだが絶縁性物質上につかず、熱ストレスで絶
縁性物質が破壊されなくなる。側面全長に配設された外
部電極を複数本にすることで個々の外部電極の幅が小さ
くなり、その分端子接続部を小さくできる。ソルダレジ
ストを使用していないので作業工数が低減できる。

［実施例］ 次に、本考案の実施例について図面を参照して説明す
る。

第１図（ａ）は本考案の第１実施例を示す電歪効果素子
の斜視図、第１図（ｂ）は第１図（ａ）の縦断面図、第
３図（ａ）は本実施例の外部電極5a,5bのパターン図で
ある。第４図と同符号は同一部材を示す。

本実施例の電歪効果素子では、外部電極層5a,5bがＨ形
状をしており、中央のリード線6a,6bが端子接続部３か
らはみ出さないように形成されている。

次に、本実施例の電歪効果素子の製造方法について説明
する。

まず、チタン酸鉛などからなるセラミックの仮焼粉末を
準備し、少量のポリブチラール樹脂などの有機バインダ
ーおよびフタル酸ジオクチルなどの可塑剤と共にエチル
セロソルブなどの有機溶媒中に分散させ、泥漿をドクタ
ーブレードを用いてスリップキャスティング法により厚
さ100μｍのポリエステルフィルム上に流動塗布し厚さ7
0μｍのグリーンシートの形に被着して電歪材１を形成
する。次に、該グリーンシート上に銀−バラジウムペー
ストなどの導体ペーストをスクリーン印刷により被着
し、内部電極２を形成する。その後、内部電極２が印刷
された部分のグリーンシートを所定の大きさに切断しポ
リエステルフィルムから剥離する。このグリーンシート
を所望の枚数だけ積み重ね、熱プレスで上下から圧着し
て電歪材１と内部電極２とが交互に配設された積層体を
形成する。また、このグリーンシートの積層工程時にお
いて内部電極２の形成されていない数十枚のグリーンシ
ートを積層体の中央部に位置するように積み重ねてダミ
ー層としての絶縁性の端子接続部３を形成する。次に、
この積層体に含有する有機バインダーを高温分解して蒸
発させ除去してから、例えば５℃／分の昇温スピードで
温度1120℃まで昇温させ、温度1120℃の状態を２時間保
持した焼結を行なう。次に、焼結後の積層体を格子状に
切断すると内部電極２の端面が露出する。一方の側面に
は内部電極２の端面に一層おきに電気泳動法によりガラ
ス等の絶縁性物質4aを被着し、他方の側面には絶縁性物
質4aを被着しなかった内部電極２の逆側になる端面に絶
縁性物質4bを被着する。絶縁性物質4a,4bの各上面から
は絶縁性物質4a,4bを被着しなかった内部電極２と電気
的な接続をするために、第３図（ａ）で示すようなＨ字
形状のスクリーンマスク（図示省略）を用いて銀ペース
トなどの導電ペーストをスクリーン印刷により積層体の
全長に渡り印刷し、外部電極5aと外部電極5bを形成す
る。次に、積層体中央部の端子接続部３上の外部電極5
a,5bにリード線6a,6bをはんだ７で接続して本実施例の
電歪効果素子が完成する。

第２図（ａ）は本考案の第２の実施例を示す電歪効果素
子の斜視図、第２図（ｂ）は第２図（ａ）の縦断面図、
第３図（ｂ）は本実施例の外部電極5a,5bのパターン図
である。第４図と同符号は同一部材を示す。

本実施例の電歪効果素子では、外部電極5a,5bがＵ字形
状をしており、下端のリード線6a,6bが端子接続部３か
らはみ出ないように形成されている。

次に、本実施例の電歪効果素子の製造法について説明す
る。

第２図において第１の実施例の製造法の積層工程におい
て電歪材１に内部電極２が印刷形成されたグリーンシー
トを所望の枚数だけ積み重ね、さらに該グリーンシート
を積み重ねた上部または下部（第２図は下部の例）に内
部電極２の形成されていないグリーンシートを数十枚積
み重ね、端子接続部３が形成されるように熱プレスで上
下から圧着して積層体を形成する。そして第１の実施例
と同じ方法により第３図（ｂ）で示すようなスクリーン
マスクを用いて外部電極5a,5bを形成した後積層体下部
の端子接続部３上の外部電極5a,5bにリード線6a,6bをは
んだ７で接続して本実施例の電歪効果素子が完成する。

なお、本実施例の電歪効果素子は、積層方向の断面がい
ずれも方形形状であるが、円またはリング、多角形の断
面でもようことは言うまでもない。また、電歪材１上に
配設された外部電極は３本以上でもよい。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案は、外部電極を側面全長に配
設された複数本の外部電極と、端子接続部において該外
部電極と接続され側面幅方向に配設された外部電極とで
構成することにより、次の効果がある。

（１） 電極面が側面全長に配設された外部電極に対し
交わることにより、はんだが絶縁性物質上につかず熱ス
トレスで絶縁性物質が破壊されなくなる。

（２） ソルダレジスト等の絶縁樹脂を塗布する必要が
ないので作業工数の低減ができる。

（３） 端子接続部の電極面寸法を側面全幅まで広げる
ことかでき、はんだ作業がやりやすくなり作業能率が向
上する。

（４） 側面全長に配設された外部電極を複数本にする
ことにより、素子に流れ込む許容電流量をかえることな
く端子接続部の外部電極幅を縮小することができる。こ
の縮小分だけ端子接続部を小さくできるため製品の小型
化ができる。また、同サイズのままだと電歪効果素子の
全長に対し、歪率量が大きくなり性能が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ），（ｂ）は本考案の第１の実施例を示す電
歪効果素子の斜視図およびその縦断面図、第２図
（ａ），（ｂ）は本考案の第２実施例を示す電歪効果素
子の斜視図および縦断面図、第３図は第１、第２の実施
例の外部電極5a,5bのパターン図、第４図（ａ），
（ｂ）は電歪効果素子の従来例の斜視図および縦断面図
である。 １……電歪材、２……内部電極、３……端子接続部、4
a,4b……絶縁性物質、5a,5b……外部電極、6a,6b……リ
ード線、７……はんだ、8a,8b……ソルダレジスト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の電歪材と内部電極とが交互に積層さ
   れた電歪部と前記電歪材のひとつより厚みの大きな電歪
   材からなる端子接続部とを有する積層体と、前記積層体
   の対向する一対の側面に露出する内部電極の一方の端面
   に前記一対の側面において互い違いに絶縁性物質が塗布
   され、前記絶縁性物質が塗布されていない内部電極のも
   う一方の端部は前記一対の側面の一方の側面で前記絶縁
   性物質を横切るように設けられた第１の外部電極に接続
   されるとともに前記一対の側面の他方の側面で前記絶縁
   性物質を横切るように設けられた第２の外部電極に接続
   され、前記端子接続部上に位置する前記第１および第２
   の外部電極へ第１および第２のリード線を電気的にそれ
   ぞれ接続している電歪効果素子において、 前記一方の側面では前記第１の外部電極に隣り合うよう
   に第３の外部電極が前記絶縁性物質を横切るように設け
   られるとともに、前記第１の外部電極と前記第３の外部
   電極とを電気的に接続するように第４の外部電極が前記
   端子接続部上に設けられ、かつ前記第１のリード線が前
   記第４の外部電極に固定手段を介して接続されており、
   前記他方の側面では前記第２の外部電極に隣り合うよう
   に第５の外部電極が前記絶縁性物質を横切るように設け
   られるとともに、前記第２の外部電極と前記第５の外部
   電極とを電気的に接続するように第６の外部電極が前記
   端子接続部上に設けられ、かつ前記第２のリード線が前
   記第６の外部電極に固定手段を介して接続されているこ
   とを特徴とする電歪効果素子。