JPH0742752B2 - 建築物における床構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、建築物における床構造に関し、更に詳しく
は、金属鋼板を成形してなるフラットデッキプレートを
上階側床部のコンクリート型枠として用い、コンクリー
トの打設後，フラットデッキプレートを上階側の床部の
下面に残すと共に、このフラットデッキプレートの下面
から下階側天井部を吊下支持させて構成する鉄骨，鉄筋
コンクリート構造による建築物の床構造において、上階
側床部の下面に電装配線仕様のための配管などの各種配
管設備を配設し得るようにした床構造に係るものであ
る。

〔従来の技術〕

鉄骨，鉄筋コンクリート構造による建築物において、上
階側床部の下面に金属鋼板を成形してなるフラットデッ
キプレートを残し、このフラットデッキプレートによっ
て、下階側天井部を吊下支持させるようにした天井部の
吊下支持構造として、従来，第４図ないし第６図に示す
構成が提案されている。

ここで、第４図は従来の鉄骨，鉄筋コンクリート構造に
よる建築物における天井部吊下支持構造の概要構成を模
式的に示す断面図、第５図（ａ），（ｂ）は同上吊下支
持構造に適用される金属鋼板製のフラットデッキプレー
トを取出して示す斜視図及び断面説明図、第６図
（ａ），（ｂ），（ｃ），（ｄ）はそれぞれ同上格別の
形態による補強突条部を示す断面説明図を示している。

即ち，これらの第４図，第５図従来例構造において、コ
ンクリート型枠板（以下，単に型枠板とも呼ぶ）を兼ね
るフラットデッキプレート（１）は、金属鋼板を成形加
工することにより、長手方向に沿って相互に平行する態
様で、下方へ向けて横断面三角形状をなすように複数条
の補強突条部（２）を襞折りし、かつ、長手方向の両側
部に隣接相互間で係着し得る係合部（４），（４）を、
同両端部間に平坦部（５），（５）をそれぞれに設けて
形成される。

そして、建築物の構築に際しては、鉄骨，鉄筋を含んで
垂直方向に打設したコンクリート支柱部（６）から、水
平方向に延長された鉄骨部，ここでは、Ｉ型鋼などの梁
部材（７），（７）の相互間に対して、金属鋼板製フラ
ットデッキプレート（１）の両端の各平坦部（５），
（５）を引掛け係止すると共に、隣接する両側の各係合
部（３）、（４）を相互に係着して敷設させ、このフラ
ットデッキプレート（１）をコンクリート型枠としての
床部型枠の一部に利用している。

更に、同フラットデッキプレート（１）の上部側にも適
宜に鉄筋などを配筋させた上で、コンクリートを打設し
て壁部（８）及び床部（９）などのコンクリート躯体部
を構成させ、かつ、このフラットデッキプレート（１）
については、これを床部（９）の下面に残したままにし
ておき、その後の内装時にあって、この残されたフラッ
トデッキプレート（１）に対し、複数本の支持ボルト
（10）を上端部で溶着して吊下させ、これらの各支持ボ
ルト（10）により、天井部（11）を支持させている。

前記のように床部（９）の下面側にフラットデッキプレ
ート（１）を残して構成される従来の床構造において、
コンクリート躯体部を構成する上階側の床部（９）と、
この床部（９）から吊下支持される下階側の天井部（1
1）との間に電装配線のための配管設備や給水，給ガス
などの目的に供される各種配管設備を配設する場合に
は、従来から公知に属する通常通りの手段，例えば、天
井部（11）と同様にフラットデッキプレート（１）から
上端部を溶着して吊下させた適宜，数多くの支持ボルト
などによって、これらの各種配管の所要各部を個個それ
ぞれに支持させるとか、或いはフラットデッキプレート
（１）の下面に突設される補強突条部（２）に、適宜，
挟着して取付けた数多くの支持ボルトなどにより、同様
に、これらの各種配管の所要各部を個個それぞれに支持
させるようにしているのが一般的である。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、前記のような従来のコンクリート構造に
よる建築物の床構造において、上階側床部の下面に配設
される各種配管設備の構成では、前者のフラットデッキ
プレート（１）から吊下させた各支持ボルトなどを用い
る支持手段の場合，設計仕様に基づいて、フラットデッ
キプレート（１）に対し、個個の各支持ボルトなどを一
々に位置設定して溶着させた上で、これらの各支持ボル
トなどにより各配管の所要各部を個個に支持させる必要
があった。

このため、この配管設備の配設構造が極めて繁雑化し、
かつ、その配設作業自体も甚だ困難で熟練を要するとい
う不利があった。

又、後者のフラットデッキプレート（１）の下面に突設
される各補強突条部（２）を挟着するようにして取付け
た各支持ボルトなどを用いる支持手段の場合にも、各補
強突条部（２）にそれぞれの支持ボルトなどを挟着する
点で、前者の溶着に比較すると、その位置設定及び取付
けが容易にはなっても、前者と同様に配設構造の繁雑化
及び作業の困難性を免れることはできなかった。

しかも、この後者手段では、補強突条部（２）自体の断
面形状が、第６図（ａ）ないし（ｄ）に数例を示した如
く種々に異る場合があるために、これらの各断面形態に
合わせて挟着し得る各支持ボルトを予め用意しなければ
ならず、それに加えて、このような挟着による取付け
は、一方で脱落するおそれもあるという好ましくない問
題点もあった。

上記のような不都合は、必ずしも下面に残されるフラッ
トデッキプレートによって下階側天井部を吊下支持しな
い床構造，つまり、上階側の床部下面のフラットデッキ
プレートをむきだしにしたままで構成する床構造の場合
にあっても全く同様であった。

この発明は、従来のような問題点を改善しようとするも
ので、上階側床部の下面に残された金属鋼板製のフラッ
トデッキプレートに対し、下階側天井部を吊下支持させ
ると共に、これらの床部と天井部間の内部に各種配管設
備を配設する場合，及び上階側床部の下面に金属鋼板製
のフラットデッキプレートをむきだしのまま残して、こ
の床部下面に同様に各種配管設備を配設する場合にあっ
て、各種配管設備の配設を簡単かつ、容易に行い得るよ
うにした建築物の床構造を提供することを目的としてい
る。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成させるために、この発明に係る建築物の
床構造は、床部下面に残される金属鋼板製フラットデッ
キプレートから下方に突設させた各補強突条部の側壁部
に対して、各種配管を挿通支持させるための通孔を適宜
の間隔で開穿させ、これらの各通孔を通して各種配管設
備を配設させるようにしたものである。

即ち、この発明は、平板部の裏面長手方向に、相互に平
行する複数条の補強突条部を下方に向けて襞折り形成し
た金属鋼板製のフラットデッキプレートを設け、このフ
ラットデッキプレートを床部の下面に残して構成するコ
ンクリート構造による建築物の床構造において、前記床
部下面のフラットデッキプレートから下方に突設される
各補強突条部の側壁部に、適宜の間隔を隔てて貫通する
通孔をそれぞれ開穿させ、これらの各通孔を通して電装
配線などのための各種配管を挿通支持させるようにした
ことを特徴とする建築物の床構造である。

〔作用〕

従って、この発明においては、床部の下面の金属鋼板製
フラットデッキプレートから下方に突設される各補強突
条部の側壁部に対して、各種配管を挿通支持させるため
の通孔を適宜の間隔で開穿させたことにより、上階側床
部の下面に残された金属鋼板製のフラットデッキプレー
トに対し、下階側天井部を吊下支持させると共に、これ
らの床部と天井部と間の内部空間に各種配管設備を配設
する場合、上記の各通孔を通すことによって各種配管設
備を支持部材等を用いないで直接配設させることができ
る。又、配管に当っては、配管の方向性に拘束されない
で済む。

又、上階側の床部の下面に金属鋼板製のフラットデッキ
プレートをむきだしのまま残して、この床部下面に同様
に各種配管設備を配設する場合にも、上記各通孔を利用
して各種配管設備の配設を簡単かつ、容易に行うことが
できる。

〔実施例〕

以下，この発明に係る建築物の床構造の実施例につき、
第１図ないし第３図を参照して詳細に説明する。

第１図はこの発明の一実施例を適用した鉄骨，鉄筋コン
クリート構造による建築物での床構造の概要構成を模式
的に示す断面図、第２図（ａ），（ｂ）は同上床構造に
適用される金属鋼板製のフラットデッキプレートの要部
を取出して示す部分斜視図及び部分断面図、第３図は同
上フラットデッキプレートの他の実施例による要部を取
出して示す部分断面図である。

即ち、これらの第１図，第２図に示す一実施例構造にお
いても、コンクリート型枠板を兼ねるフラットデッキプ
レート（21）は、金属鋼板を成形加工することにより、
金属鋼板の平板部（50）の裏面長手方向に、相互に平行
する態様で、下方へ向けて横断面三角形状をなすように
複数条の補強突条部（22）を襞折りすると共に、長手方
向の両側部に隣接相互間で係着し得る係合部（23），
（24）を形成させてある。

この実施例の場合，両端部については、全体の強度など
を効果的に保持させるために、あらためて平坦化させて
はおらず、かつ、前記各補強突条部（22）における側壁
部（22a），（22a）の所要個所には、後に述べるよう
に、電装配線のための配管（41）とか、その他の給水，
給ガスなどの目的に供される各種の配管を挿通支持させ
るのに都合によい位置，例えば、相互に一線上の位置を
占めて、所定形状の通孔（25）を適宜の間隔でそれぞれ
に開穿させたものである。

このように形成されるフラットデッキプレート（21）に
ついても、前記の従来例の場合と全く同様に、これをコ
ンクリート型枠としての床部型枠の一部に利用すること
により、コンクリート構造による上階側の床部（31）を
構成させ、かつ、この上階側の床部（31）の下面に残さ
れたフラットデッキプレート（21）によって、下階側天
井部（32）を適宜に吊下支持（この場合，吊下手段につ
いては、特に関係しないので図示省略した）させてい
る。

前記各補強突条部（22）の側壁部（22a），（22a）に貫
通形成される各通孔（25）については、少なくとも各種
配管（41）のいわゆる公称径に合わせて、その１本ずつ
を挿通支持し得るだけの大きさに開口させるか、或い
は、その複数本を所定間隔で並列して挿通支持し得る大
きさに開口させるようにすればよい。

又、この複数本を挿通支持させる場合には、必要に応じ
て適宜の移動拘束手段を施すのも好ましい。

そして、前記通孔（25）に対しては、挿通支持される各
種配管（41）を傷付けたり、或いは、金属間相互による
電蝕などを避けるため、第３図に示されているように、
その開穿面を含む周辺両面に適宜のパッキン部材，例え
ば、絶縁性合成樹脂材などからなるパッキン部材（33）
を嵌着させるのがよい。

従って、前記のように構成されるこの実施例の場合，電
装配管とか、その他の給水，給ガスなどの目的に供され
る各種の配管設備を施すのには、第１図に示されている
如く、コンクリート構造の床部（31）の下面に残されて
いるフラットデッキプレート（21）の各補強突条部（2
2）の側壁部（22a），（22a）に貫通させた各通孔（2
5）を通して、各種配管（41）を適宜，管継手などで接
続して挿通支持させるようにすればよい。

又、この配管が、例えば、電装配線のための配管（41）
であれば、上階側の床部（31）の床面に埋込んだ配線筺
（44）にＬ型管継手（42）を介して管端部を取出すと
か、下階側天井部（32）の天井面に設置される照明器具
（45）などにＴ型管継手（43）を介して中間分岐部材を
取出すことができ、かつ、この配管が、その他の給水，
給ガスなどの目的に供されるものであっても、前記電装
配線用の配管（41）に準じて、その管端部又は中間分岐
部を適宜，上階側の床部（31）の床面及び／又は下階側
天井部（32）の天井面に、配管端筺などで任意に取出す
ことができるのである。

尚、前記実施例構成においては、フラットデッキプレー
ト（21）の各補強突条部（22）が、下方へ向けて横断面
三角形状に形成されている場合について述べたが、例え
ば、前記第６図（ｂ）ないし（ｄ）に示すような任意の
横断面形状のものにも適用可能である。

又、この実施例構成では、上階側の床部（31）の下面に
残された金属鋼板製のフラットデッキプレート（21）に
対し、下階側天井部（32）を吊下支持させ、かつ、これ
らの床部（31）と天井部（32）との間の内部空間に各種
配管設備を配設する場合について述べたが、上階側の床
部（31）の下面に金属鋼板製のフラットデッキプレート
（21）をむきだしのまま残して、この床部（31）の下面
に各種配管設備を配設する場合にも適用することがで
き、これらの各場合にあってもそれぞれに同様な作用効
果が得られることは勿論である。

〔発明の効果〕

以上詳述したように、この発明によるときは、平板部の
裏面長手方向に、相互に平行する複数条の補強突条部を
下方に向けて襞折り形成した金属鋼板製のフラットデッ
キプレートを設け、このフラットデッキプレートを床部
の下面に残して構成するコンクリート構造による建築物
の床構造において、前記床部下面のフラットデッキプレ
ートから下方に突設される各補強突条部の側壁部に、適
宜の間隔を隔てて貫通する通孔をそれぞれ開穿させたの
で、これらの各通孔を通して各種配管設備を直接配設す
ることができる。即ち、各補強突条部の側壁部に設けた
通孔が各種の管等の支持部材として直接機能するため、
支持部材を別途準備する必要がない。

又、各補強突条部と天井部材との間の空間内において
は、各種の配管を配管の方向性に拘束されることなく、
多くの自由度を有して的確に行うことが可能である。

更に、上階側の床部の下面にフラットデッキプレートを
むきだしのまま残してた状態であっても、床部下面に各
種配管設備を配設することができる。

又、この構成においては、床部，もしくは、上階側の床
部及び／又は下階側天井部への各種配管の管端部及び／
又は中間分岐部の取出しを容易に行うことができる。

更に、通孔の開穿面を含む周辺両面にパッキン部材を嵌
着させることによって、各種配管を傷付けるおそれがな
くなり、かつ、電触を防止することができる。

しかも、構造的には、単にフラットデッキプレートの各
補強突条部の側壁部に対して、各種配管を挿通支持させ
るための通孔を貫通形成させるだけの簡単な手段を講ず
るのみであるから、極めて容易に実施することができる
などの優れた特長を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を適用した鉄骨，鉄筋コン
クリート構造による建築物での床構造の概要構成を模式
的に示す断面図、第２図（ａ），（ｂ）は同上床構造に
適用される金属鋼板製のフラットデッキプレートの要部
を取出して示す部分斜視図及び部分断面図、第３図は同
上フラットデッキプレートの他の実施例による要部を取
出して示す部分断面図、第４図は従来の鉄骨，鉄筋コン
クリート構造による建築物での天井部吊下支持構造の概
要構成を模式的に示す断面図、第５図（ａ），（ｂ）は
同上吊下支持構造に適用される金属鋼板製のフラットデ
ッキプレートを取出して示す斜視図及び断面説明図、第
６図（ａ），（ｂ），（ｃ），（ｄ）はそれぞれ同上各
別の形態による補強突条部を示す断面説明図である。 （21）…フラットデッキプレート （22）…補強突条部 （22a）…側壁部 （23），（24）…係合部 （25）…通孔 （31）…床部（上階側の床部） （32）…下階側天井部 （33）…パッキン部材 （41）…各種配管 （42）…Ｌ型管継手（管端部） （43）…Ｔ型管継手（中間分岐部） （44）…配線筺 （45）…照明器具 （50）…平板部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】平板部の裏面長手方向に、相互に平行する
   複数条の補強突条部を下方に向けて襞折り形成した金属
   鋼板製のフラットデッキプレートを設け、このフラット
   デッキプレートを床部の下面に残して構成するコンクリ
   ート構造による建築物の床構造において、前記床部下面
   のフラットデッキプレートから下方に突設される各補強
   突条部の側壁部に、適宜の間隔を隔てて貫通する通孔を
   それぞれ開穿させ、これらの各通孔を通して電装配線な
   どのための各種配管を挿通支持させるようにしたことを
   特徴とする建築物の床構造。
2. 【請求項２】上階側となる床部下面のフラットデッキプ
   レートによって、下階側の天井部を吊下支持させたこと
   を特徴とする請求項１に記載の建築物の床構造。
3. 【請求項３】上階側となる床部下面のフラットデッキプ
   レートによって、下階側の天井部を吊下支持させると共
   に、フラットデッキプレートの各補強突条部の側壁部に
   貫通させた各通孔を通して支持される各種配管には、適
   宜管端部又は中間分岐部を経て、上階側の床部及び／又
   は下階側天井面に、配線筺もしくは配管端筺を取出した
   ことを特徴とする請求項１に記載の建築物の床構造。
4. 【請求項４】フラットデッキプレートの各補強突条部の
   側壁部に貫通させた各通孔には、その開穿面を含む周辺
   両面にパッキン部材を嵌着させたことを特徴とする請求
   項１ないし３の何れかに記載の建築物における床構造。