JPH0741440A - モノアルケニルベンゼン類の精製法 - Google Patents

モノアルケニルベンゼン類の精製法

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JPH0741440A
JPH0741440A JP5190162A JP19016293A JPH0741440A JP H0741440 A JPH0741440 A JP H0741440A JP 5190162 A JP5190162 A JP 5190162A JP 19016293 A JP19016293 A JP 19016293A JP H0741440 A JPH0741440 A JP H0741440A
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健一 中村
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】側鎖のα位に1個以上の水素原子が結合してい
る芳香族炭化水素化合物の側鎖をジオレフィンでアルケ
ニル化してモノアルケニルベンゼンを合成した後に、反
応生成液から高純度及び高回収率を以てモノアルケニル
ベンゼンを精製取得する方法を提供する。 【構成】反応生成液中に含まれるアルカリ金属系触媒
を、アルコ−ル、水、酸水溶液、固体酸、炭素材料、陽
イオン交換樹脂等と接触させて失活及び除去し、蒸留す
ることによるモノアルケニルベンゼンの精製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】[産業上の利用分野]本発明は、アルカリ
金属系触媒の存在下、側鎖のα位に1個以上の水素原子
が結合している芳香族炭化水素化合物の側鎖を炭素数4
又は5の共役ジエン類を用いてによりアルケニル化して
モノアルケニルベンゼン類を製造した後、反応生成液か
らモノアルケニルベンゼン類を精製取得する方法に関す
る。モノアルケニルベンゼン類は、高分子モノマー、医
薬品を始めとする種々の有機化合物の中間原料として有
用であり、例えばO−キシレンと1,3−ブタジエンか
ら製造される5ー(O−トリル)ー2ーペンテンは、閉
環後、脱水素、異性化、酸化して工業的に有用な2、6
ーナフタレンジカルボン酸に変換される。
【0002】
【従来技術】芳香族炭化水素化合物の側鎖を炭素数4又
は5の共役ジエン類を用いてアルケニル化してモノアル
ケニルベンゼン類を製造するための触媒としては、ナト
リウム、カリウム等のアルカリ金属及びそれらの合金を
用いる方法、塩基性カリウム化合物とアルミナとの混合
物を焼成して得られる担体に、不活性気体下、金属ナト
リウムを加え熱処理して得られる混合物を用いる方法、
アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物に金属
ナトリウムまたは金属カリウムを担持して用いる方法が
知られている。 これらの触媒のうち、ナトリウム、カ
リウム等のアルカリ金属及びそれらの合金を用いて、得
られた反応生成液からモノアルケニルベンゼン類を分離
回収するため、反応終了後、生成液を冷却、静置し、デ
カンテーション又は濾過により触媒と目的物を含む液相
とに分離し、蒸留によりモノアルケニルベンゼン類を分
離回収する場合には、モノアルキルベンゼン類の変質が
起り高純度で回収率高くモノアルキルベンゼンを得られ
ないことが知られている。
【0003】そこで、上述の様な問題を防ぐ為、特開昭
51ー4127では蒸留原料とする炭化水素中のアルカ
リ金属と有機アルカリ金属化合物の合計の濃度を、炭化
水素相1kg当りアルカリ金属成分0.09−15ミリ
グラム原子の範囲にするという提案がなされている。し
かし、この方法ではアルカリ金属触媒成分の全てを取り
除いた訳ではなく、その一部が可溶性のアルキルもしく
はアルケニル錯体として液相に混入する。この生成液が
そのまま蒸留塔に導入されると、活性な触媒の共存によ
りモノアルケニルベンゼン類が未反応のアルキルベンゼ
ン類及びモノアルケニルベンゼン類自体と更に反応して
高分子量の副生物を生成したり、逆反応により原料であ
るアルキルベンゼン類に戻ったり、二重結合の移動によ
り目的のモノアルケニルベンゼン以外の異性体を生成し
たりする。アルカリ金属と有機アルカリ金属化合物の合
計の濃度を低くするのは、その程度を少なくするだけで
あり、全く変質をおこさないようにすることはできな
い。また蒸留塔を長期に亘り運転した場合、蒸留塔で微
量のアルカリ金属と有機アルカリ金属化合物の濃縮が起
り、ついには高純度のモノアルケニルベンゼン類を得る
ことができなくなり回収率も低下してしまう。このモノ
アルケニルベンゼンの変質は、蒸留温度を低くすること
によりある程度抑制することができるが、そのためには
減圧状態で蒸留を実施する必要があり、モノアルケニル
ベンゼンの変質が全く起らないようにするには高真空を
必要とし工業的に装置、運転コストがかさみ現実的では
ない。
【0004】また特開昭49ー70929では、反応生
成液より触媒を分離除去した後、二酸化炭素で処理し蒸
留、又は反応生成液を二酸化炭素で処理した後、触媒を
分離除去し蒸留する方法が提案されている。この方法で
は、アルカリ金属と有機アルカリ金属化合物が二酸化炭
素処理で完全に失活し、蒸留においてモノアルケニルベ
ンゼンの変質を防ぐことができるが、生成したアルカリ
炭酸塩、アルカリカルボン酸塩等のアルカリ塩の一部は
有機溶剤に可溶で蒸留塔に導入される。そして、蒸留に
おいて未反応の芳香族炭化水素を留出させた場合、溶解
度以上のアルカリ塩は固体として析出し蒸留塔内部に蓄
積してくる。そのため蒸留塔内での気液接触が低下し蒸
留効率が低下するだけにとどまらず、最終的には蒸留塔
が閉塞し蒸留操作を行うことができなくなってしまう。
即ち、アルカリ金属成分を完全に除去してやらないと安
定的に蒸留塔を運転し、高純度のモノアルケニルベンゼ
ン類を取得できなくなる。
【0005】また特公昭57ー26489では、アルケ
ニルベンゼンと水とを接触させて、次いで水をpH6以
下としアルカリ金属触媒を水溶性化してから分離する方
法が提案されている。しかし、この方法は反応生成液を
水と接触させる場合、多量の反応熱発生や発火の危険性
がある。接触させる水もしくは反応生成液の量、及び添
加時間で反応をある程度コントロールすることもできる
が、工業的規模で実施しようとした場合、処理時間に長
時間を必要とし、設備も大規模となるため現実的方法と
は云えない。またUSP3,244,758では、予め
蒸留前にイソプロパノールを加え生成液中に含有されて
いるアルカリ金属やアルカリ金属化合物を不活性化する
ことにより、蒸留中に好ましくない副反応を起るのを防
いでいる。しかし、この方法では水を接触させる時に起
る多量の反応熱発生や発火の危険性は回避できるが、失
活したアルカリ金属触媒は有機溶剤に可溶のアルカリ金
属アルコラートとして蒸留塔に導入され、前述のような
問題を起こし好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように従来の
技術では、反応生成液からモノアルケニルベンゼン類を
高純度で回収率高く分離回収すること、及び蒸留塔を安
定的に長時間運転することができず、また安全に工業的
規模で実施できない。本発明の目的は、このような事実
に鑑み、側鎖のα位に1個以上の水素原子が結合してい
る芳香族炭化水素化合物の側鎖を炭素数4又は5の共役
ジエン類を用いてアルカリ金属触媒によりアルケニル化
してモノアルケニルベンゼン類を製造するに際して、該
反応生成液からモノアルケニルベンゼン類を高純度で回
収率高く、蒸留塔を安定的に長時間運転し、また安全に
工業的規模で分離回収する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、芳香族炭
化水素化合物のα位を炭素数4または5の共役ジエン類
を用いてアルカリ金属触媒によりアルケニル化してモノ
アルケニルベンゼン類を製造し、該反応生成液からモノ
アルケニルベンゼン類を分離回収する方法について鋭意
検討を重ねた結果、反応生成液からアルカリ金属触媒を
失活及び/又は除去させた後、蒸留でモノアルケニルベ
ンゼン類を分離回収することにより高純度、高回収率で
モノアルケニルベンゼン類を精製できることを見出し、
本発明を完成するに至った。 即ち本発明は、該反応生
成液中のアルカリ金属触媒を、アルコ−ルと接触させ、
更に水、酸水溶液、又は固体酸、イオン交換樹脂等と接
触させることにより、失活及び/又は除去した後、蒸留
によりモノアルケニルベンゼン類を分離回収することを
特徴とするモノアルケニルベンゼン類の精製法である。
【0008】以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いる側鎖のα位に1個以上の水素原子が結合
している芳香族炭化水素化合物としては、次のような化
合物が用いられる。単環芳香族炭化水素としては、トル
エン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプ
ロピルベンゼン、nーブチルベンゼン、sec−ブチル
ベンゼン、イソブチルベンゼン等のモノアルキルベンゼ
ン類、o−,m−およびp−キシレン、o−,m−およ
びp−エチルトルエン、o−,m−およびp−ジエチル
ベンゼン等のジアルキルベンゼン、メシチレン、プソイ
ドクメン等のトリアルキルベンゼン類、1、2、3、5
ーテトラメチルベンゼン、1、2、4、5ーテトラメチ
ルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベン
ゼン等のポリアルキルベンゼン類が用いられ、また多環
芳香族炭化水素としては1ーおよび2ーメチルナフタレ
ン、ジメチルナフタレン類、テトラヒドロナフタレン、
インダン等が用いられる。 一方の原料となる炭素数4
または5の共役ジエン類としては、1、3ーブタジエ
ン、1、3ーペンタジエン、イソプレンが用いられる。
【0009】本発明に用いられるアルカリ金属触媒とし
ては、ナトリウム金属、カリウム金属、およびナトリウ
ムとカリウム金属の合金がある。また、これらのアルカ
リ金属の比重を高めるため他の元素を添加して使用して
もよい。これらの触媒を反応に使用するに当っては、種
々の反応方式が採られるが、一般的には原料の一方であ
る芳香族炭化水素類を共役ジエン類に対して過剰に存在
させる方法がモノアルキルベンゼン類への選択率を向上
させることができる。そのためにはセミバッチ方式で共
役ジエン類を連続的に反応系に供給する方法が好まし
い。また完全混合方式で反応を連続的に実施する場合に
は反応器を多段に分け、各段に共役ジエン類を供給する
等共役ジエン類の反応器中での濃度を下げることが可能
な反応方式を採用する方が高選択率を得ることができ好
ましい。
【0010】本発明方法における反応温度は100〜2
00゜Cの範囲である。これより低い場合にも反応は起
るが充分な反応速度が得られず、また選択率が低下する
傾向にある。これより温度が高い場合にはタール分等の
副生物が多くなり好ましくない。本発明は、原料芳香族
炭化水素、及び生成物が実質的に液体状態にある条件下
で反応を行う。反応圧は、原料芳香族炭化水素、及び生
成物が実質的に液体として存在するに充分な圧力であれ
ば良く、特に制限はないが、絶対圧で0.05〜5気
圧、好ましくは0.1〜2気圧の範囲である。本発明方
法のおける原料芳香族炭化水素に対する一方の原料であ
る炭素数4又は5の共役ジエンの比は、一般にはモル比
で0.01〜1、好ましくは0.03〜0.5の範囲で
ある。これよりもジエンが多い場合には生成したモノア
ルケニルベンゼンが更にジエンと反応して芳香族炭化水
素1分子にジエンが2分子以上付加した化合物の生成が
多くなり、またジエンの重合も起り易く選択率が低下す
るので好ましくない。本発明方法において用いる触媒の
量は、原料の芳香族炭化水素に対して重量で0.01%
以上、好ましくは0.05%以上である。
【0011】本発明方法は、バッチ方式、セミバッチ方
式、完全混合流通方式等の反応方式が採用されるが、バ
ッチ方式、セミバッチ方式での反応時間又は完全混合流
通方式での滞留時間として0.1〜10時間が採用され
る。触媒を懸濁させて反応を行う場合、通常反応後、生
成液を静置し触媒の大部分をまず沈降させる。次に生成
液を反応槽から抜出し処理を行う。この時、一つの方法
としては、まず5ミクロン以下のフィルターを用いて濾
過しアルカリ金属触媒の大部分を除去する。これ以上の
目の粗いフィルターを用いた場合微粒子状の触媒の一部
が回収生成液中に含まれ蒸留工程でモノアルケニルベン
ゼンの変質を起こし好ましくない。また、5ミクロン以
下のフィルターを用いアルカリ金属触媒をロ過し除去し
ても、アルカリ金属の一部が可溶性のアルキルもしくは
アルケニル錯体またはアルカリ塩として液相に混入す
る。この生成液がそのまま蒸留塔に導入されると、活性
な可溶性触媒により、モノアルケニルベンゼンの変質を
起こさせる。可溶性触媒の量は決して多いものではない
が、蒸留塔滞留液に濃縮され長期の運転を行う場合、モ
ノアルケニルベンゼンの変質は無視できないほど増加す
る。そのため、活性な可溶性触媒は蒸留塔に生成液が導
入される前に失活させる必要がある。 もう一つは、ま
ず微粒子状の不溶性アルカリ金属触媒と可溶性のアルキ
ルもしくはアルケニル錯体またはアルカリ塩を含む生成
液から、アルカリ金属触媒成分を失活させた後、5ミク
ロン以下のフィルターを用い不活性化されたアルカリ金
属触媒をロ過し除去する方法である。上記いずれの方法
も用いることができるが、はじめの方法を用いた場合、
フィルター上に補集された活性なアルカリ金属触媒はフ
ィルター上でモノアルケニルベンゼンの変質を起こさせ
高分子量のモノアルケニルベンゼンのポリマーを生成
し、フィルターの目詰りを起こす場合がある。よって、
後者の方法がより好適に使用される。
【0012】触媒を失活させるには、まずアルコールと
生成液を接触させ、活性なアルカリ金属触媒を予めアル
カリアルコキサイドに変換する必要がある。触媒の失活
に水や酸水溶液を初めに使用した場合、前述したように
多量の反応熱発生やび発火の危険性があり好ましくな
い。使用できるアルコールとしては、目的物であるモノ
アルケニルベンゼンとの沸点差の大きいものであれば特
に制限はなく、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、ノルマルブタノール、sec−
ブタノール,ter−ブタノールなどが好適に使用され
る。特にイソプロパノール,ter−ブタノールのよう
なアルコールが反応性、安全性の面で好ましい。
【0013】触媒を失活させるための接触温度は、室温
から原料芳香族炭化水素の沸点迄の広い範囲で選択でき
るが、室温で充分である。 接触時間は、活性なアルカ
リ金属触媒を失活させるに充分な時間であればよい。接
触方式としてはバッチ方式、セミバッチ方式、完全混合
流通方式等の反応方式が採用されるが、いずれの方式で
も液ー液接触が充分であれば問題ない。使用するアルコ
ール量には特に制限はないが、生成液中の活性なアルカ
リ金属触媒を失活させるに充分な量であればよい。アル
コールと接触させると、活性なアルカリ金属触媒はアル
カリアルコラートとなる。 このうち溶解度以上のアル
カリアルコラートは固体として析出してくる。この固体
はフィルターを用い生成液より除去するが、生成液中に
はまだ可溶性のアルカリアルコラートが存在している。
もし、このままアルカリ金属成分を含んだ生成液をその
まま蒸留塔に導入すると、蒸留において未反応の芳香族
炭化水素を留出させた場合、溶解度以上のアルカリアル
コラートは固体として析出し蒸留塔内部に蓄積してく
る。そのため蒸留塔内での気液接触が低下し蒸留効率が
低下するだけにとどまらず、最終的には蒸留塔が閉塞し
蒸留操作を行うことができなくなってしまう。 従っ
て、安定的に蒸留塔を運転し、高純度のモノアルケニル
ベンゼン類を得には、アルカリ金属成分を完全に除去す
る必要がある。
【0014】アルカリ金属成分を除去する為には、更に
水、酸水溶液等の液体、及び/又は固体酸、炭素材料、
陽イオン性イオン交換樹脂等の固体と接触させるのがよ
い。酸水溶液としては特に制限はなく、塩酸、硫酸、硝
酸、リン酸等の無機酸、及びギ酸、酢酸、酪酸、安息香
酸等の有機酸が使用できる。 酸水溶液と生成液を接触
させた場合、アルカリ金属成分はアルカリ塩水溶液とし
て生成液と二層分離し水層に分離できる。使用する酸水
溶液量は、アルカリ金属成分を除去するに充分な量であ
ればよい。酸水溶液で接触させず、ドライな酸又は有機
溶剤に可溶な有機酸そのものを添加させた場合、生成液
に過剰の酸が残留すると蒸留工程において酸触媒により
モノアルケニルベンゼンが副反応を起こし好ましくな
い。水と生成液を接触させた場合、アルカリアルコラー
トとして存在していたアルカリ金属成分は水酸化アルカ
リ水溶液として生成液と二層分離し水層に分離できる。
使用する水の量は、アルカリ金属成分を除去するに充分
な量であればよい。アルカリ金属成分はアルカリ水酸化
物水溶液として生成液と二層分離し水層に分離できる。
これらの液体との接触時間には特に制限はなく、アルカ
リ金属成分を除去するに充分な時間であればよい。接触
温度は室温から原料芳香族炭化水素の沸点迄の広い範囲
で選択できるが、室温で充分である。接触方式としては
バッチ方式、セミバッチ方式、完全混合流通方式等の反
応方式が採用されるが、いずれの方式でも液−液接触が
充分であれば問題ない。
【0015】固体酸や炭素材料、又は陽イオン性イオン
交換樹脂等の固体と接触させる方法について次に説明す
る。固体酸を用いた場合、酸塩基反応によりアルカリ金
属成分は固体酸上に吸着され除去することができる。使
用できる固体酸としては、活性白土、アルミナ、シリカ
ーアルミナ、各種ゼオライトなどがある。ゼオライトを
使用する場合には、特に水素イオン交換型ゼオライトが
好適に用いられ、例えばモルデナイト、Y型、X型、Z
SM型、フェリエライト等、ゼオライト等が用いられ
る。炭素材料を用いた場合、アルカリ金属成分は、表面
水酸基、カルボン酸基等の官能基に吸着されるか、イン
ターカレーション機構により炭素材料中に吸蔵されるこ
とにより除去することができる。 使用できる炭素材料
としては、グラファイト、活性炭、石油系および石炭系
ピッチを焼成して得られるアモロファスカーボン、PA
N系炭素繊維等特に制限はなく、必要に応じて焼成、酸
化を施し、炭化度、表面官能基、表面積を調節して使用
することができる。陽イオン性イオン交換樹脂を用いた
場合、酸塩基反応によりアルカリ金属成分は陽イオン性
イオン交換樹脂上の官能基に吸着され除去することがで
きる。使用できる陽イオン性イオン交換樹脂としては、
スルホン酸型、カルボン酸型等があり、膨潤性より架橋
度の高いイオン交換樹脂が好ましい。上述の使用する固
体の量には特に制限はないが、アルカリ金属成分を除去
するに充分な量であればよい。 これらの固体との接触
時間は、アルカリ金属成分を除去するに充分な時間であ
ればよい。 接触温度は室温から原料芳香族炭化水素の
沸点の広い範囲で選択できるが、室温で充分である。
接触方式としてはバッチ方式、セミバッチ方式、スラリ
ー完全混合流通方式、固定床流通方式等の反応方式が採
用されるが、いずれの方式でも固ー液接触が充分であれ
ば問題ない。
【0016】
【発明の効果】アルカリ金属触媒を失活及び/又は除去
したアルケニルベンゼン生成液から蒸留によりアルケニ
ルベンゼンを分離回収した場合には、常圧蒸留によって
も変質は起らず高純度のアルケニルベンゼンを高回収率
で得ること、及び安定的に蒸留塔を運転できることな
ど、その工業的意義は極めて大きい。
【0017】
【実施例】以下に、実施例、及び比較例にて本発明の方
法を詳細に説明する。尚、本発明は以下の実施例の範囲
に限定されるものではない。
【0018】実施例1 窒素で置換され実質的に酸素と水の存在しない撹拌式反
応器に金属ナトリウム60g、金属カリウム100gを
投入し、次いでモレキュラーシーブを用いて脱水したO
−キシレン100kgを窒素気流中で加え、140゜C
に加熱した。常圧下、撹拌しながら1,3−ブタジエン
7.0kgを1時間で導入して反応させた。 反応後、
撹拌を停止し静置、降温し生成液を抜出した。この生成
液の一部を採りガスクロマトグラフィーにより分析し
た。結果を表1に示した。1,3−ブタジエン基準の5
−(O−トリル)−2−ペンテン選択率は、83.0%
であった。この反応生成液にイソプロパノールを添加
し、アルカリ金属触媒を完全に失活させた後、更に2%
塩酸水溶液と接触させアルカリ金属成分を水層に全量除
去した。 油層の生成液を1ミクロンの細孔径を有する
ステンレス焼結金属フィルターを通しオルソキシレン回
収塔に10kg/hrの速度で導入した。常圧におい
て、釜温度230゜Cでオルソキシレン回収塔を運転し
た場合の塔頂液、釜出液の組成および重量を表2に示
す。目的生成物である釜出液中の5−(O−トリル)−
2−ペンテンの変質は認められなかった。 次に、5−
(O−トリル)−2−ペンテン精製塔を常圧下、釜温度
250゜Cで運転し、塔頂より5−(O−トリル)−2
−ペンテンを回収した。 純度は99.8%であり、
回収率は98.5%であった。
【0019】実施例2 ter−ブタノールを添加し、アルカリ金属触媒を完全
に失活させた後、更に2%酢酸水溶液と接触させアルカ
リ金属成分を水層に全量除去した以外は、実施例1と同
様に行った。 5−(O−トリル)−2−ペンテン純度
は99.7%であり、回収率は98.4%であった。実施例3 イソプロパノールを添加し、アルカリ金属触媒を完全に
失活させた後、更に水と接触させアルカリ金属成分を水
層に全量除去した以外は、実施例1と同様に行った。
5−(O−トリル)−2−ペンテン純度は99.6%で
あり、回収率は98.3%であった。
【0020】実施例4 イソプロパノールを添加し、アルカリ金属触媒を完全に
失活させた後、更に活性白土と接触させアルカリ金属成
分を固体上に全量除去した以外は、実施例1と同様に行
った。 5−(O−トリル)−2−ペンテン純度は9
9.5%であり、回収率は98.5%であった。実施例5 ter−ブタノールを添加し、アルカリ金属触媒を完全
に失活させた後、更に活性炭と接触させアルカリ金属成
分を固体上に全量除去した以外は、実施例1と同様に行
った。 5−(O−トリル)−2−ペンテン純度は9
9.5%であり、回収率は98.5%であった。実施例6 イソプロパノールを添加し、アルカリ金属触媒を完全に
失活させた後、更にスルホン酸系陽イオン交換樹脂と接
触させアルカリ金属成分を固体上に全量除去した以外
は、実施例1と同様に行った。 5−(O−トリル)−
2−ペンテン純度は99.5%であり、回収率は98.
5%であった。
【0021】比較例1 実施例1において、アルケニル化反応後の生成液を静置
し降温後抜出した。この生成液をフィルターに通さず
に、そのままオルソキシレン回収塔に10kg/hrの
速度で導入した。常圧において、釜温度230゜Cでオ
ルソキシレン回収塔を運転した場合の塔頂液、釜出液の
組成および重量を表2に示す。目的生成物である5−
(O−トリル)−2−ペンテンの変質が起り、釜出液中
の5−(O−トリル)−2−ペンテン量は著しく減少
し、5−(O−トリル)−2−ペンテンとオルトキシレ
ンのさらに反応した高沸成分、アルケニル化反応の逆反
応によるオルソキシレンの増加、5−(O−トリル)−
2−ペンテンの二重結合の移動による異性体である5−
(O−トリル)−3−ペンテン、5−(O−トリル)−
4−ペンテンの生成が認められた。
【0022】比較例2 実施例1において、アルケニル化反応後の生成液を静置
し降温後、反応生成液を1ミクロンの細孔径を有するス
テンレス焼結金属フィルターを通し抜出した。この生成
液をアルカリ金属触媒成分の失活を行わずに、そのまま
20mmHgの減圧下、釜温度120゜Cの条件で運転
しているオルソキシレン回収塔に10kg/hrの速度
で導入した。オルソキシレン回収塔運転1日後の塔頂
液、釜出液の組成および重量を表2に示す。 5−
(O−トリル)−2−ペンテンの変質量は減少したが副
生物を抑えることはできなかった。比較例3 比較例2において、更にオルソキシレン回収塔を5日間
運転後の塔頂液、釜出液の組成および重量を表2に示
す。 5−(O−トリル)−2−ペンテンの変質量は増
加した。アルカリ金属触媒の濃縮が蒸留塔内で起り、蒸
留塔の運転条件だけでは5−(O−トリル)−2−ペン
テンの変質量を減らし高回収率で精製することができな
かった。
【0023】比較例4 比較例2において、更にオルソキシレン回収塔を10日
間運転したが、蒸留塔フィード段付近で固形物の析出が
起り生成液のフィードが困難となり運転を停止した。比較例5 実施例1において、イソプロパノールを添加しアルカリ
金属触媒を完全に失活させた後、析出した固形物を1ミ
クロンの細孔径を有するステンレス焼結金属フィルター
を通しろ過した。この生成液中にはまだ、有機溶剤に可
溶のアルカリアルコラートが含まれていた。生成液から
アルカリ金属成分を全量除去することなく、そのまま2
0mmHgの減圧下、釜温度120゜Cの条件で運転し
ているオルソキシレン回収塔に10kg/hrの速度で
導入した。オルソキシレン回収塔を10日間運転した
が、蒸留塔フィード段付近で固形物の析出が起り生成液
のフィードが困難となり運転を停止した。
【0024】
【表1】 ─────────────────────────── オルソキシレン 81.87wt% OTP−2 16.10wt% OTP−3 0.003wt% OTP−4 0.016wt% C20H 0.071wt% その他高沸副生物 2.03wt% ─────────────────────────── OTP−2;5−(O−トリル)−2−ペンテン。 OTP−3;5−(O−トリル)−3−ペンテン。 OTP−4;5−(O−トリル)−4−ペンテン。 C20H ;5−(O−トリル)−2−ペンテンとオル
ソキシレンが反応して生成した分子量266の化合物。
【0025】
【表2】 ──────────────────────────────────── 実施例1 比較例1 比較例2 比較例3 ──────────────────────────────────── 塔頂液 重量 kg/hr 8.19 8.28 8.21 8.31 組成 wt% オルソキシレン 99.99 99.99 99.99 99.99 OTP−2 0.001 0.001 0.001 0.001 ──────────────────────────────────── 釜出液 重量 kg/hr 1.81 1.72 1.79 1.69 組成 wt% オルソキシレン 0.001 0.001 0.001 0.001 OTP−2 88.36 71.46 85.43 60.45 OTP−3 0.015 0.71 0.14 0.83 OTP−4 0.088 4.73 0.95 6.28 C20H 0.39 2.67 0.53 4.06 その他高沸副生物 11.15 20.42 12.95 28.38 ──────────────────────────────────── OTP−2;5−(O−トリル)−2−ペンテン。 OTP−3;5−(O−トリル)−3−ペンテン。 OTP−4;5−(O−トリル)−4−ペンテン。 C20H ;5−(O−トリル)−2−ペンテンとオル
ソキシレンが反応して生成した分子量266の化合物。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ金属系触媒の存在下、側鎖のα位
    に1個以上の水素原子が結合している芳香族炭化水素化
    合物の側鎖を炭素数4又は5の共役ジエン類を用いてに
    よりアルケニル化してモノアルケニルベンゼン類を製造
    するに際して、該反応生成液からアルカリ金属系触媒を
    失活及び/又は除去した後、蒸留によりモノアルケニル
    ベンゼン類を分離回収することを特徴とするモノアルケ
    ニルベンゼン類の精製法。
  2. 【請求項2】反応生成液を5ミクロン以下のフィルター
    を用いて濾過しアルカリ金属系触媒を除去する請求項1
    記載の方法。
  3. 【請求項3】アルコールと接触させることによりアルカ
    リ金属系触媒を失活させる請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】アルコールと接触させ、更に水及び/又は
    酸水溶液と接触させることによりアルカリ金属系触媒を
    失活及び/又は除去する請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】アルコールと接触させ、更に固体酸、炭素
    材料、陽イオン性イオン交換樹脂の固体と接触させるこ
    とによりアルカリ金属系触媒を失活及び/又は除去する
    請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】金属カリウム及び金属ナトリウム、又はそ
    の合金をアルカリ金属系触媒とする請求項1記載の方
    法。
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