JPH0741259Y2 - カメラ用レンズ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、屋外テレビ中継時等に
業務用のＴＶカメラを肩にかつぎ、レンズに固定したグ
リップを手持ち保持して撮影する際のカメラ保持が容易
にできるようにしたＴＶカメラ用レンズに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、一般消費者向け（アマチュア用）
のＴＶカメラにおいて、レンズ部分に設けたグリップ部
分、所謂レンズグリップを回動自在としたものが知られ
ており、このレンズグリップ内には例えば電池が収納さ
れるなど構成されている。このようなレンズグリップを
回動自在に設けたＴＶカメラにあっては、屋外等におけ
る上向き或いは下向き撮影の際に、レンズグリップを水
平に持ったままレンズを上向き或いは下向きにできるの
で、撮影が長引いても疲労が少なく、安定した手持ちに
よる上向き或いは下向き撮影ができる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、屋外テ
レビ中継等に使用される業務用ＴＶカメラにあっては、
レンズ鏡筒内にパワーズーム（電動ズーム）やパワーフ
ォーカス（電動フォーカス）等を備えることから、レン
ズグリップ内にはパワーズームやパワーフォーカスを駆
動するためのモータ、歯車等の駆動機構やそれらの制御
のための制御回路やスイッチ等が組み込まれており、こ
のことから業務用テレビカメラのレンズグリップをアマ
チュア用テレビカメラにおけるレンズグリップのように
グリップ角度を調整するために回動自在に設けることは
構造的に困難であった。

【０００４】本考案は、このような従来の問題点に鑑み
て成されたもので、レンズグリップ内にパワーズームや
パワーフォーカス等の駆動機構を内蔵した業務用ＴＶカ
メラであっても、グリップ部分を回動自在として手持ち
状態での撮影の際の疲労を低減すると共に安定した撮影
操作ができるようにしたＴＶカメラ用レンズを提供する
ことを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本考案にあっては、レンズグリップ内に収納されるもの
を機構的なものと電気回路的なものとに分け、機構的な
もの、例えば駆動機構を構成する歯車等はレンズ鏡筒に
対して動かさず、電線さえつながっていれば動かしても
支障がない電気回路部を収納する部分の筐体カバーを回
動可能に取付け、この筐体の外側をレンズグリップとし
て把持するように構成して、実質的にレンズグリップの
角度を調整可能としたものである。

【０００６】即ち本考案は、電動で駆動されるズーム光
学系を内蔵したレンズ鏡筒と、レンズ鏡筒に装着された
レンズグリップとを備えたカメラ用レンズにおいて、レ
ンズ鏡筒は、先端に設けられた大径部と、後端に設けら
れた、カメラに脱着可能に結合されるマウント部と、大
径部とマウント部との間に位置し大径部より小径な小径
部とを含む。

【０００７】またレンズグリップは、レンズ鏡筒の小径
部の外周面の一部に固着された固定カバーと、この小径
部と反対側で固定カバーに対して角度調節可能に設けら
れた可動カバーと、可動カバーの上端から露出するズー
ム操作用スイッチと、可動カバーの側端に設けられた支
持バンドと、両カバーの間に配置されたシールド材とを
含む。更に固定カバーはレンズ鏡筒小径部と反対側の側
端に設けられた固定側端面を有し、可動カバーは支持バ
ンドと反対側の側端に固定側端面と対向する可動側端面
を有し、シールド材は両側端面の間に配置されて両側端
面の間をシールすることを特徴とする。

【０００８】

【作用】このような本考案の構成によれば、レンズ鏡筒
に固着した機構部カバーの外側に回転軸をもって回動自
在に設けた回路部カバーをレンズ鏡筒に対し上向き或い
は下向き撮影に必要な任意の角度に調整した係止するこ
とができ、上向き或いは下向き撮影であってもレンズグ
リップとなる回路部カバーは略水平に保持すればよいこ
とから、業務用ＴＶカメラであっても撮影が長引いたと
きの疲労が少なく、また水平保持であることからズーム
調整のためのスイッチ操作も無理なくでき、安定した手
持ち上向き或いは下向き撮影を行なうことができる。

【０００９】

【実施例】図１は本考案の一実施例を示した説明図であ
り、ズームレンズを側面から見た状態を示している。ま
た、図５は、図１の実施例をカメラ装着側から見て一部
断面で示した説明図である。まず、図１及び図５を用い
て本考案の構成を説明すると、３５はレンズ鏡筒であ
り、この実施例にあっては例えばズーミング光学系を内
蔵し、カメラ取付側にはレンズマウント３８が設けられ
る。即ち、レンズ鏡筒３５は、先端に設けられた大径部
と、後端に設けられたカメラに脱着可能に結合されるマ
ウント部３８と、大径部とマウント部３８との間に位置
し大径部より小径な小径部とを含む。

【００１０】更に、エクステンダー切替レバー４０が設
けられる。１１はレンズ鏡筒３５の側面にビス３４によ
り固着され機構部分を収納した機構部カバー（固定カバ
ー）であり、機構部カバー１１内には図５に示すように
モータを駆動源とした歯車列で成るレンズ駆動機構３６
が内蔵されており、このレンズ駆動機構によりレンズ鏡
筒３５内のズーミング光学系におけるレンズ移動によっ
てズーム調整ができるようにしている。１２は機構部カ
バー１１の外側に回転軸部材１３によって回動自在に装
着されたレンズグリップとしての機能を有する回路部カ
バー（可動カバー）であり、回路部カバー１２にはレン
ズサーボの電気回路が内蔵され、更に図５に示すよう
に、ズーム操作用のシーソースイッチ３７及びハンドグ
リップのための支持バンド４２が設けられる。

【００１１】即ち、図１の実施例にあっては、図５に示
すように、レンズグリップを駆動機構３６を内蔵した機
構部カバー１１と、電気回路を内蔵すると共にシーソー
スイッチ３７を設けた回路部カバー１２とに分離し、機
構部カバー１１の外側に回転軸１３をもって回路部カバ
ー１２を機構部カバー１１に対して回動自在に取付け、
且つ回路部カバー１２に把持用のグリップ部及び支持バ
ンド４２を設けるようにしたものである。

【００１２】再び図１を参照するに、機構部カバー１１
の外側面には回転軸１３を中心とした円弧で成るガイド
穴１６が形成されており、このガイド穴１６にはカバー
固定部材１４を嵌め入れることでレンズ鏡筒３５に対し
回路部カバー１２を例えば図示の角度分だけ回動した状
態で機構部カバー１１に対し係止できるようにしてい
る。

【００１３】図２は図１の実施例におけるガイド穴１６
とカバー固定部材１４で成る係止手段を取出して示した
断面図であり、機構部カバー１１に形成したガイド穴１
６には、ガイド穴１６に沿って摺動するガイドカラー１
５が装着され、このガイドカラー１５のネジ穴１５ａに
回路部カバー１２の通し穴よりカバー固定部材１４のネ
ジ部１４ａを嵌め入れた係止構造としている。

【００１４】即ち、回路部カバー１２側のカバー固定部
材１４を回してネジ部１４ａをネジ穴１５ａから緩める
ことで、レンズ鏡筒に対し固着された機構部カバー１１
に対し回動側となる回路部カバー１２をガイド穴１６で
定まる回転角の範囲で角度調整することができ、角度調
整後にカバー固定部材１４のネジ部１４ａをガイドカラ
ー１５のネジ穴１５ａにネジ込むことで機構部カバー１
１に対し回路部カバー１２を固定保持させる。

【００１５】次に、図１の実施例の作用を説明すると、
ズームレンズをカメラ本体に装着した状態で手持ちによ
り上向き撮影を行なう際には、回路部カバー１２のカバ
ー固定部材１４を緩めて図１に示すようにレンズ鏡筒３
５に対し回路部カバー１２を所定角度回動させ、回動後
にカバー固定部材１４を締め込んで機構部カバー１１に
対し調整角度で固定保持させる。

【００１６】このような回路部カバー１２を上向き撮影
角度に調整すれば、上向き撮影時の手持ち状態におい
て、回路部カバー１２は略水平状態に保つことでレンズ
鏡筒３５を上向きに保持することができ、従来のように
ハンドグリップを上向きに保持する必要がないことか
ら、長時間撮影であっても疲労が少なく、更に回路部カ
バー１２を水平保持としていることから回路部カバー１
２の上部に設けたシーソースイッチ３７の指先操作によ
るズーム調整も安定して行なうことができる。

【００１７】図３は本考案の他の実施例を示した説明図
であり、この実施例にあっては、レンズ鏡筒３５の一側
に固着した機構部カバー１１の外側に回転軸１３をもっ
てハンドグリップとなる回路部カバー１２を回動自在に
装着すると共に、機構部カバー１１に対する回路部カバ
ー１２の係止手段として、機構部カバー１１の外側面に
おける回転軸１３を中心とした円周上に複数のピン穴２
２、例えば５つのピン穴２２を設け、このピン穴２２に
回路部カバー１２側に設けたカバー固定クラッチ２４を
内蔵したスプリングの力により嵌め入れて段階的に回路
部カバー１２の角度調整ができるようにしたことを特徴
とする。

【００１８】図４は図３の実施例におけるピン穴２２と
カバー固定クラッチ２４で成る係止手段の具体的構造を
示した断面図であり、回路部カバー１２の通し穴にカバ
ー固定クラッチ２４のシャフト２４ａを嵌め入れ、シャ
フト２４ａには回路部カバー１２と機構部カバー１１と
の間隔に応じた位置にフランジ２４ｂを一体に形成して
おり、フランジ２４ｂと回路部カバー１２側の座金２５
との間に圧縮バネ２６を組込んでいる。

【００１９】更に、カバー固定クラッチ２４のシャフト
２４ａの先端にはピン２７が直交する方向に打込まれ、
ピン２７の露出部分がピン穴２２を通過できるようにす
るため、ピン穴２２の直径方向の位置には一対の切欠２
８が設けられている。この図４に示す係止手段にあって
は、カバー固定クラッチ２４を回してシャフト２４ａの
先端に打込んだピン２７が機構部カバー１１におけるピ
ン穴２２の一対の切欠２８に位置合せすることで、ピン
穴２２からカバー固定クラッチ２４を圧縮バネ２６に抗
して引抜くことができる。

【００２０】このカバー固定クラッチ２４の引抜き状態
で図３に示すように回路部カバー１２をピン穴２２の形
成位置で定まる適宜の回動位置に調整し、カバー固定ク
ラッチ２４におけるシャフト２４ａの先端が圧縮バネ２
６の力でピン穴２２に嵌め込まれた後、カバー固定クラ
ッチ２４を回してピン２７をピン穴２２の切欠２８に合
わせると、図４に示すようにカバー固定クラッチ２４の
シャフト２４ａがピン穴２２の中に嵌まり込み、この嵌
め込み後に更にカバー固定クラッチ２４を回してピン２
７を切欠２８の位置からずらして抜け止めする。

【００２１】この図３の実施例にあっては、例えば複数
のピン穴２２につき角度目盛をつけておくことで、必要
な上向き撮影角度を適宜に選択して回路部カバー１２の
角度調整と位置決めを行なうことができる。図１，図
３，図５を参照するに、機構部カバー１１と回路部カバ
ー１２との摺動面間には、シールド部材１８が設けられ
ており、摺動面の間をシールする。このシールド部材１
８により、防塵、防水効果を得ることができる。

【００２２】また、角度調整のために回路部カバー１２
を回転させると、機構部カバー１１と回路部カバー１２
とがずれ、グリップ内部に収納された駆動機構、電気回
路等が露出してしまう。この露出を防ぐため、機構部カ
バー１１と回路部カバー１２との摺動面には、それぞれ
の側端を折曲げた折曲部１１ａ，１２ａが設けられてい
る。この折曲部１１ａ，１２ａにより、シールド部材１
８と相まって外部からの塵の侵入を防ぐとともに、外観
を損ねることもない。

【００２３】

【考案の効果】以上説明してきたように本考案によれ
ば、次に列挙する高顔が得られる。 （１）レンズグリップの固定カバーが小径部に固着され
ているので、大径部に固着した場合と比して、レンズグ
リップを含めたレンズ全体の嵩が小さくなる。 （２）レンズグリップの固定カバーが大径部とマウント
部との中間にある小径部に固着されているので、支持バ
ンドを持ってレンズ単体を携行する場合に重量バランス
が良い。

【００２４】（３）レンズグリップの保持される部分で
ある可動カバーがレンズ鏡筒、固定カバーに対して角度
調節できるので、水平、上向き、下向きの各撮影の際
に、容易にズーム操作ができ、また撮影の姿勢を一定に
保てる。 （４）両側端面の間にシールド材を介在させたので防
塵、防水効果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示した説明図

【図２】図１の係止手段を取出して示した断面図

【図３】本考案の他の実施例を示した説明図

【図４】図２の係止手段を取出して示した断面図

【図５】図１の実施例をカメラ装着側から見て一部断面
で示した説明図

【符号の説明】

１１：機構部カバー １２：回路部カバー １３：回転軸 １４：カバー固定部材 １４ａ：ねじ部 １５：ガイドカラー １５ａ：ネジ穴 １６：ガイド穴 ２２：ピン穴 ２４：カバー固定クラッチ ２４ａ：シャフト ２４ｂ：フランジ ２５：ざがね ２６：圧縮ばね ２７：ピン ２８：切欠

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】電動で駆動されるズーム光学系を内蔵した
   レンズ鏡筒と、該レンズ鏡筒に装着されたレンズグリッ
   プとを備えたカメラ用レンズにおいて、 前記レンズ鏡筒は、先端に設けられた大径部と、後端に
   設けられた、カメラに脱着可能に結合されるマウント部
   と、該大径部と該マウント部との間に位置し大径部より
   小径な小径部とを含み、 前記レンズグリップは、該小径部の外周面の一部に固着
   された固定カバーと、該小径部と反対側で該固定カバー
   に対して角度調節可能に設けられた可動カバーと、該可
   動カバーの上端から露出するズーム操作用スイッチと、
   該可動カバーの側端に設けられた支持バンドと、該両カ
   バーの間に配置されたシールド材とを含み、該固定カバ
   ーは該小径部と反対側の側端に設けられた固定側端面を
   有し、該可動カバーは前記支持バンドと反対側の側端に
   該固定側端面と対向する可動側端面を有し、該シールド
   材は両側端面の間に配置されて該両側端面の間をシール
   することを特徴とするカメラ用レンズ。