JPH0740529B2 - 導電性磁性流体組成物とその製造方法 - Google Patents

導電性磁性流体組成物とその製造方法

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JPH0740529B2
JPH0740529B2 JP62099535A JP9953587A JPH0740529B2 JP H0740529 B2 JPH0740529 B2 JP H0740529B2 JP 62099535 A JP62099535 A JP 62099535A JP 9953587 A JP9953587 A JP 9953587A JP H0740529 B2 JPH0740529 B2 JP H0740529B2
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/44Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of magnetic liquids, e.g. ferrofluids

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は,帯電防止の機能を付与した導電性磁性流体
組成物およびその製造方法に関する。
〔従来の技術〕
一般に磁性流体はその電気抵抗値が高いので,例えば磁
気デイスク装置等のシール機構に用いた場合,その磁気
デイスク装置等(以下,帯電体という)内に蓄積される
静電気を除去するには,別にアース機構を設ける必要が
あった。そこで磁性流体そのものに導電性を付与するこ
とにより,アース機構を設けることなく帯電を防止でき
るようにした導電性磁性流体が提案されている(特開昭
61−274737号公報)。これは,一般の磁性流体が,鉱油
とかポリアルファオレフイン油の如き有機溶液をキャリ
アとして,そのキャリア内に強磁性体微粒子を安定に分
散させるのに,陰イオン性界面活性剤を用いるのに対
し,第4級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤を
用いて被覆層を形成したものである。この陽イオン性界
面活性剤は,カチオン性の陽電荷部分と,キャリアに対
し相溶性または可溶性である長鎖部分とで構成されてい
る。そして陽電荷部分が強磁性体微粒子の表面に静電気
力により吸着され,長鎖部分をキャリア側に向けて粒子
面を被覆することにより,磁性粒子をキャリア中に安定
に分散せしめるとともに,磁性流体自身の電導度を高め
るものとされる。あるいはまた,強磁性体微粒子面に陰
イオン性界面活性剤からなる第1の被覆層を形成し,更
にその上に第4級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活
性剤からなる第2の被覆層を形成したものである。
したがって,これを例えばディスク駆動装置のシーリン
グに用いて,ディスクに蓄積し易い静電気を容易に除去
し静電防止機能を発揮することが可能である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら,上記従来の導電性磁性流体にあっては,
陽電荷部分が(第1層が陰イオン性界面活性剤からなる
場合は陰電荷部分が)強磁性体微粒子の表面に静電気力
で結合するイオン性界面活性剤を用いているため,次の
ような問題点が生じていた。
すなわち,ディスクのような帯電体の電荷を除電する
際,磁性流体中の強磁性体微粒子表面に静電結合してい
るイオン性界面活性剤分子は,その電荷が中和されて粒
子表面から脱着し易くなる。このため,強磁性体微粒子
の良好な分散状態が得られなくなり,粒子の凝集沈降を
生じて磁性流体としての寿命が短かくなる。
この発明はこのような従来の問題点を着目してなされた
ものであり,帯電体の電荷を除電しても強磁性体微粒子
表面から脱着せず,したがって安定して長寿命が得られ
る導電性磁性流体組成物とその製造方法を提供すること
を目的としている。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的を達成する第1の発明は,キャリアとなる低
揮発性有機溶媒と,該有機溶媒中に分散させた強磁性体
微粒子と,該強磁性体微粒子の表面に化学結合するカッ
プリング剤と,該カップリング剤が有する有機官能基と
反応可能な含窒素有機化合物と,前記有機溶媒と親和性
のある親油性基を有すると共に前記含窒素有機化合物と
酸・塩基反応を生じ得る酸とよりなる導電性磁性流体組
成物である。
また,第2の発明は,強磁性体微粒子に,低沸点有機溶
媒と前記強磁性体微粒子の表面に化学結合するカップリ
ング剤と,該カップリング剤が有する有機官能基と反応
可能な含窒素有機化合物と,前記有機溶媒と親和性のあ
る親油性基を有すると共に前記含窒素有機化合物と酸・
塩基反応を生じ得る酸とを加えることにより,前記カッ
プリング剤と含窒素有機化合物との結合体と前記酸とで
表面を被覆された酸磁性体微粒子が低沸点有機溶媒中に
均一に分散された中間媒体を得る工程と,該中間媒体中
の分散性の悪い微粒子を分離した後,低揮発性有機溶媒
を中間媒体に加えて混合物とする工程と,該混合物を加
熱して低沸点有機溶媒を蒸発分離せしめる工程とを包含
する導電性磁性流体組成物の製造方法である。
更に第3の発明は,強磁性体微粒子に,低沸点有機溶媒
と,前記強磁性体微粒子の表面に化学結合するカップリ
ング剤と,該カップリング剤が有する有機官能基と反応
可能な含窒素有機化合物と,前記有機溶媒と親和性のあ
る親油性基を有すると共に前記含窒素有機化合物と酸・
塩基反応を生じ得る酸とを加えて,前記カップリング剤
を強磁性体微粒子の表面に化学結合させ,その後直ちに
前記低沸点有機溶媒を除去して前記カップリング剤と含
窒素有機化合物との結合体と前記酸で表面を被覆された
強磁性体微粒子を得る工程と,該強磁性体微粒子に低揮
発性有機溶媒を加えて混合物とする工程と,該混合物中
の分散性の悪い微粒子を除去する工程とを包含する導電
性磁性流体組成物の製造方法である。
〔作用〕
この発明にあっては,カップリング剤のアルコキシ基が
加水分解を受け,これが強磁性体微粒子表面の−OH基と
脱水縮合反応する。これによりカップリング剤は強磁性
体微粒子表面に化学的に強固に結合してこれを被覆す
る。含窒素有機化合物はこのカップリング剤の有する有
機官能基と化合物反応を生じて結合する。一方,低揮発
性有機溶媒と親和性のある親油基を有する酸は,含窒素
有機化合物と酸・塩基反応を生じる。この際,酸はその
親油基を低揮発性有機溶媒側に配向する。このようにし
て,強磁性体微粒子には化学的結合力に基づく安定した
分散性能が付与されるとともに,酸と含窒素有機化合物
との間の酸・塩基反応に基づく導電性が発現する。
したがって,単なる静電力による結合のように,帯電電
荷で静電結合力が中和されて,分散剤層が粒子表面から
脱着してしまう現象は生じない。すなわち,分散作用が
損なわれることなく,帯電体から除電することができ
る。
以下,この発明の導電性磁性流体組成物とその製造方法
を詳細に説明する。
この発明の強磁性体微粒子の分散媒となるキャリアとし
ては,ケロシン,鉱油をはじめとする種々の炭化水素,
合成油類及びエーテル類またはエステル類或いはシリコ
ン油等の低揮発性の有機溶媒が,磁性流体の用途に応じ
て適宜に用いられる。例えば磁気デイスク用シーリング
剤としての用途であれば,ポリアルフアオレフイン油と
か,アルキルナフタレン油,ヘキサデシルフェニルエー
テル等が好適である。
この発明の強磁性体微粒子としては,周知の湿式法によ
り得られるマグネタイトコロイドを用い得る。また,水
もしくは有機溶媒中でマグネタイト粉末をボールミルで
粉砕するいわゆる湿式粉砕法で得られるものでもよい。
湿式粉砕法を利用する場合,研削液として水以外に例え
ばヘキサン等の有機溶媒を用いるときは,強磁性体粉末
とその粒子表面に単分子層を形成できる量のシランカッ
プリング剤を加えたうえでボールミル中で数時間以上粉
砕してもよい。
また,マグネタイト以外のマンガンフェライト,コバル
トフェライトもしくはこれらと亜鉛,ニッケルとの複合
フェライトやバリウムフェライトなどの強磁性酸化物ま
たは鉄,コバルト,希土類などの強磁性金属を用いるこ
ともできる。
更にまた,強磁性体微粒子として上記湿式法或いは湿式
粉砕法によるもののほか,乾式法で得たものを用いるこ
ともできる。
この発明の強磁性体微粒子の含有量は,従来一般的に用
いられている体積比で1〜20%の範囲は勿論のこと,必
要に応じて70%程度の極めて高濃度のものであってもよ
い。すなわち,この発明によれば,後述するように強磁
性体微粒子が低沸点溶媒中に分散された中間媒体を利用
することで,強磁性体微粒子濃度を70%に達する高濃度
に調整することができる。これにより,磁化量の極めて
高い磁性流体が得られるものである。
この発明のカップリング剤は,例えば一般式YRSiXn(n
=1〜3)で表せるシランカップリング剤を用いる。こ
こに,式中のYは有機官能基であり,Rは例えばアルキル
基の如き炭化水素基である。Xは加水分解性の基であ
り,例えばメトキシ基(CH3O−)やエトキシ基(C2H5O
−)等のアルコキシ基(R′O−)である。
上記シランカップリング剤のアルコキシ基は,水溶液
中,空気中の水分または無機物表面に吸着された水分に
より,加水分解してシラノール基(RSi(OH)3)を生成す
る。一方,強磁性体微粒子はその表面に−OH基を有して
おり(M−OH),両者の間に脱水縮合反応が生じて,メ
タシロキサン結合(Si−O−M)により化学的に結合す
るものと考えられる。
シランカップリング剤の有機官能基Yとしては,後述す
るようにビニル基,エポキシ基,アミノ基,メルカプト
基その他のものがある。このようなシランカップリング
剤は,例えばビニルトリエトキシシラン,3−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン,N−2−(アミノエチ
ル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−フェニ
ル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン,3−クロロ
プロピルトリメトキシシラン,3−メルカプトプロピルト
リメトキシシランなどである。
なお,上記のシランカップリング剤に替えて,例えば,
非水系に対して特に好適なアセトアルコキシアルミニウ
ムジイソプロピレートからなるアルミニウム系カップリ
ング剤(日光ケミカルス(株)製,商品名プレーンアク
トAL−M等)や,チタネート系カップリング剤,クロム
系カップリング剤等が使用できる。これらのものも,そ
の分子構造中に,−OH基と結合するアルコキシ基と有機
物に親和する部分(例えばアルキルアセト酢酸基)とを
もっており,親水性固体である強磁性体微粒子表面の−
OH基と化学結合して強固な親油性被膜を形成する機能を
有する。
カップリング剤の添加量は,強磁性体微粒子表面を単分
子膜で完全に被覆する量が最適であり,カップリング剤
の強磁性体微粒子に対する最小被覆面積と強磁性体微粒
子の表面積とから次式で算出できる。
カップリング剤添加量=(強磁性体微粒子の重量×比表
面積)/カップリング剤の最小被覆表面積 ここで,カップリング剤の最小被覆表面積の大きさは,
例えばシランカップリング剤の場合,1分子あたりの被覆
面積が13Å2である。実際の工程では,強磁性体微粒子
の比表面積,水分含有量,シランの加水分解性,膜形成
状態の違い等を考慮して,強磁性体微粒子に対して1wt
%のシランカップリング剤を添加し,処理状態を調べた
上で添加量を増減してもよい。
この発明において,上記カップリング剤の有機官能基Y
と反応させる含窒素有機化合物は,次のようなアミン類
である。
構造式 但し, 1級アミンではR1:炭化水素系鎖 R2,R3:H 2級アミンではR1,R2:炭化水素系鎖 R3:H 3級アミンではR1,R2,R3:炭化水素系鎖 あるいは2級アミンと3級アミンの特性を合わせ持つ複
雑なものであり、例えば 構造式 で示されるN−メチルホモピペラジンや,その他例えば
ポリオキシエチレンオレイルアミン,ベンゾトリアゾー
ル誘導体,アミノ酸,ベタインなどの両性物質等であ
る。
この発明にあっては,更に,これらのアミン類との間に
酸・塩基反応を生じ得ると共に前記有機溶媒と親和性の
ある親油性基を有する酸を添加する。
酸・塩基反応は,Lowry−Brnstedの定義によれば,酸
はプロトン供与体であり,このとき含窒素有機化合物は
プロトン受容体である。またLewisの定義によれば,酸
は電子対受容体であり,含窒素有機化合物は電子対供与
体である。
その酸は,例えばR′XH(但し,R′は親油性基,XHは極
性基でXは−O,−COO,−SO3,−OSO3,−OPO3等)で表
される化合物であり,脂肪酸,芳香族酸,アルキルエー
テルリン酸,アルキルナフタレンスルホン酸,脂肪族ア
ルコール,芳香族アルコール,両性物質(界面活性剤)
等である。
これらの含窒素有機化合物と酸とにより,強磁性体微粒
子を分散させると同時に,磁性流体そのものに導電性を
付与する。この場合,導電性が発現する機構は酸・塩基
反応によるもので,主として以下の式で平衡しているも
のと推察できる。
この発明では,上記の含窒素有機化合物と酸がカップリ
ング剤により強磁性体微粒子の表面に固定化されるが,
その固定化の機構は複雑なものと推定される。
例えばカップリング剤としてγ−グリシドキシトリメト
キシシランを用いた場合,反応機構がエポキシドの開裂
反応に準ずるとすれば,以下の二通りが考えられる(但
し,Mは強磁性体微粒子)。
(a)エポキシドの酸触媒開裂反応 (b)エポキシドの塩基触媒開裂反応 この発明の磁性流体を製造するに際して,先ずカップリ
ング剤を強磁性体微粒子の表面に化学結合させる。つづ
いて含窒素有機化合物と酸とヘキサンとかメタノール等
の低沸点有機溶媒と,更にキャリアとなる低揮発性有機
溶媒とを加えるが,その順序はとくに限定されない。ま
た,強磁性体微粒子に低沸点有機溶媒を加え懸濁液と
し,その後にキャリアを加えて中間媒体を得てもよく,
もしくはキャリアと低沸点有機溶媒との混合液を中間媒
体としてもよい。また,湿式法で得られる強磁性体微粒
子を用いるのであれば,強磁性体微粒子の水相懸濁液に
所要量のカップリング剤を加えて被覆層を形成し,いっ
たん洗浄し,乾燥して疎水性強磁性体微粒子を得た後,
低沸点有機溶媒を加えて中間媒体を得てもよい。
前記中間媒体を遠心分離器にかけて,5000〜8000Gの遠心
力で分散性の悪い強磁性体微粒子を選別する。中間媒体
は低粘度であるから,遠心力による粒子の選別が促進さ
れて,不安定な粒子を予めほぼ完全に除去するものであ
り,これによって極めて安定した磁性流体が得られる。
次いで,例えばポリアルファオレフィン油などのキャリ
ア加えた混合物を,大気中又は真空中で加熱して低沸点
有機溶媒を除去し,この発明の磁性流体組成物を得る。
この場合,中間媒体は低沸点であるから,加熱により容
易に濃縮することが可能である。すなわち得られた磁性
流体組成物に必要に応じて更に中間媒体を加えては加熱
することを繰り返すことで,強磁性体微粒子が非常に高
濃度でしかも安定に分散された磁性流体を得ることも可
能である。
この発明の磁性流体組成物の製造工程は,上記の中間媒
体を必ずしも経由しなくてもよい。その場合は,強磁性
体微粒子と低沸点有機溶媒とカップリング剤と含窒素化
合物と分散性化合物とを混合して強磁性体微粒子表面に
カップリング剤を化学結合させるとともに導電性を付与
した後,直ちに低沸点有機溶媒を加熱除去し,その後キ
ャリアである高沸点の有機溶媒を加えて混合物としたも
のを,遠心分離器にかけて分散性の悪い強磁性体微粒子
を除去するものである。
いずれの工程を用いるかは,製品の種類,使用目的,要
求性能等に応じて選択される。
以下に,この発明の実施例を挙げる。
〔実施例1〕 まず,硫酸第1鉄と硫酸第2鉄とをそれぞれ0.3molづつ
含む水溶液1に,6Nの水酸化ナトリウム水溶液をpHが1
1以上になるまで加える。その後,その混合液を60℃で3
0分間熟成してマグネタイトコロイドの水懸濁液を得
た。ついで室温下で水洗し,このスラリー中の電解質を
除去する。以上は湿式法によるマグネタイトコロイドを
製造する工程である。
次に,そのマグネタイト水スラリーに,強磁性体微粒子
の表面を完全に被覆することのできる量(マグネタイト
重量の40%)のシランカップリング剤ガンマグリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製,A−
187)を水溶液として加え,60℃で30分間攪拌することに
より,マグネタイト微粒子の表面にシランカップリング
剤を吸着させた。これを静置して,液中のマグネタイト
微粒子を凝集沈降させた。その上澄み液を捨てて新たな
水を加え水洗することを繰り返して,水溶液中の未吸着
のシランカップリング剤を除去した後,濾過,脱水,乾
燥を行い,表面がシランカップリング剤で被覆された粉
末状のマグネタイト微粒子とした。
このマグネタイト微粒子8.0g,マグネタイト微粒子に結
合したシランカップリング剤と等モル量のN−メチルホ
モピペラジン,ジポリオキシエチレンアルキルエーテル
リン酸(日光ケミカルズ社製,DDP−2)をヘキサン中で
混合し,更にボールミルを用いて4時間程粉砕と分散操
作を行った。このようにして,表面がシランカップリン
グ剤,N−メチルホモピペラジン,ジポリオキシエチレン
アルキルエーテルリン酸で被覆されたマグネタイト微粒
子がヘキサン中に安定に分散した中間媒体が得られた。
この中間媒体を遠心分離器にかけて8000Gの遠心力下で3
0分間処理し,マグネタイト微粒子の内比較的大きな分
散性の悪い粒子を沈降せしめて除去する。
ついで,沈降せずに残ったマグネタイト微粒子が分散し
ている上澄み液に,分散マグネタイト微粒子の50wt%の
ヘキサデシルジフェニルエーテル油を添加し,混合し
た。この混合液をロータリエバポレータに移し,90℃に
保って低沸点有機溶媒成分すなわちヘキサンを蒸発除去
する。その結果,マグネタイト微粒子はキャリア中に分
散し,そのコロイド溶液は極めて安定な磁性流体であっ
た。
また,その磁性流体を,内径7mm,外径7.4mm,厚さ0.7mm
の環状磁性流体シールとした時の,内外周面間の電気抵
抗値を測定したところ,2.17MΩであった。これを次式R
=3.85r(Rは体積抵抗値Ωcm,rは上記の電気抵抗測定
値Ω)を用いて体積抵抗値に換算するとR=8.35MΩcm
となり,十分な帯電防止機能が認められた。
〔実施例2〕 実施例1と同様にして湿式法によりマグネタイトコロイ
ドをつくり,シランカップリング剤による表面処理を行
って,シランカップリング剤で被覆された粉末状のマグ
ネタイト微粒子を得た。
このマグネタイト微粒子8.0g,マグネタイト微粒子に結
合したシランカップリング剤と等モル量のN−メチルホ
モピペラジン,ジポリオキシエチレンアルキルエーテル
リン酸(日光ケミカルズ社製,DDP−4)をヘキサン中で
混合し,更に実施例1と同様に処理して,マグネタイト
微粒子がキャリア中に極めて安定に分散した磁性流体を
得た。
また,上記と同じくその磁性流体の電気抵抗値を測定し
たところ,r=2.00MΩであり,これから換算した体積抵
抗値Rは7.70MΩcmとなり,十分な帯電防止機能が認め
られた。
〔実施例3〕 まず,上記実施例1と同様に湿式法によるマグネタイト
コロイドを処理して,表面がシランカップリング剤で被
覆された粉末状のマグネタイト微粒子を得た。
このマグネタイト微粒子8.0g,マグネタイト微粒子に結
合したシランカップリング剤と等モル量のポリオキシエ
チレンオレイルアミン(日光ケミカルズ社製,TAMNO−
5),アルキルリン酸エステルをヘキサン中で混合し,
実施例1と同様に処理して,表面がシランカップリング
剤,ポリオキシエチレンオレイルアミン及びアルキルリ
ン酸エステルで被覆されたマグネタイト微粒子がヘキサ
ン中に安定に分散した中間媒体が得られた。
この中間媒体を更に実施例1と同様に遠心分離処理後,
ヘキサンの蒸発除去処理を行い,マグネタイト微粒子が
キャリア中に極めて安定に分散した磁性流体を得た。
得られた磁性流体の電気抵抗値rは2.00MΩ,体積抵抗
値Rは7.70MΩcmとなり,十分な帯電防止機能が認めら
れた。
〔実施例4〕 上記実施例1と同様に湿式法によるマグネタイトコロイ
ドを処理して,表面がシランカップリング剤で被覆され
た粉末状のマグネタイト微粒子を得た。
このマグネタイト微粒子8.0g,シランカップリング剤と
等モル量のN−メチルホモピペラジン,エイコシルナフ
タレンスルホン酸をヘキサン中で混合したものを実施例
1と同様に処理して,表面がシランカップリング剤,N−
メチルホモピペラジン,エイコシルナフタレンスルホン
酸で被覆されたマグネタイト微粒子がヘキサン中に安定
に分散した中間媒体が得られた。
この中間媒体を更に実施例1と同様に遠心分離処理し,
マグネタイト微粒子のうち比較的大きな分散性の悪い粒
子を沈降せしめて除去し,沈降せずに残ったマグネタイ
ト微粒子が分散している上澄み液に,分散マグネタイト
微粒子の80wt%のヘキサデシルジフェニルエーテル油を
添加し,混合した。この混合液をロータリエバポレータ
に移し,90℃でヘキサンを蒸発除去した。その結果,マ
グネタイト微粒子がキャリア中に分散し,極めて安定な
磁性流体が得られた。
その磁性流体の電気抵抗値rは7.76MΩ,体積抵抗値R
は29.88MΩcmとなり,十分な帯電防止機能が認められ
た。
〔実施例5〕 実施例1と同様にして湿式法によるマグネタイトコロイ
ドを処理し,表面がシランカップリング剤で被覆された
粉末状のマグネタイト微粒子を得た。
このマグネタイト微粒子5gをとり,シランカップリング
剤の0.5モル量のベンゾトリアゾール誘導体(チバガイ
ギー社製,REOMET39)とアルキルリン酸エステルをそれ
ぞれ加え,これらをベンゼン中でボールミルにより2時
間処理した。その後,上記同様にして中間媒体をつく
り,それにエイコシルナフタレン油2.0gを加え,よく混
合した後,エバポレータで処理してベンゼンを蒸発除去
し,安定な磁性流体を得た。
その磁性流体の電気抵抗値rは5MΩ,体積抵抗値Rは1
9.25MΩcmとなり,十分な帯電防止機能が認められた。
〔実施例6〕 実施例1と同様にして湿式法によるマグネタイトコロイ
ドを処理し,表面がシランカップリング剤で被覆された
粉末状のマグネタイト微粒子を得た。
このマグネタイト微粒子5gをとり,マグネタイト微粒子
に結合したシランカップリング剤と等モル量のポリオキ
シエチレンオレイルアミンと0.3モル量のα−オレフィ
ンとエチレンのコオリゴマーカルボン酸を加え,これら
をヘキサン中でボールミルにより2時間処理した。その
後,上記同様にして中間媒体をつくり,これに分散マグ
ネタイト微粒子の80wt%のヘキサデシルジフェニルエー
テルを加え,よく混合した後,エバポレータでヘキサン
を蒸発除去し,安定な磁性流体を得た。
その磁性流体の電気抵抗値rは10MΩ,体積抵抗値Rは3
8.5MΩcmとなり,十分な帯電防止機能が認められた。
〔実施例7〕 実施例1と同様にして湿式法によるマグネタイトコロイ
ドを処理し,表面がシランカップリング剤で被覆された
粉末状のマグネタイト微粒子を得た。
このマグネタイト微粒子5gをとり,マグネタイト微粒子
に結合したシランカップリング剤と等モル量のN−アシ
ルアミノ酸(日本ケミカルズ社製,サルコシネートOH)
と,アルキルジ(アミノエチル)グリシン(日本油脂
製,ニッサンアノンLG)をそれぞれ加え,これらをヘキ
サン中でボールミルにより2時間処理した。その後,上
記同様にして中間媒体をつくり,これに分散マグネタイ
ト微粒子の80wt%のポリα−オレフィンを加え,よく混
合した後,エバポレータでヘキサンを蒸発除去し,安定
な磁性流体を得た。
その磁性流体の電気抵抗値rは10MΩ,体積抵抗値Rは3
8.5MΩcmとなり,十分な帯電防止機能が認められた。
〔発明の効果〕
この発明によれば,含窒素有機化合物及びこれと分子間
分極を生じ得る極性基と親油性基とを有する分散性化合
物を組み合わせることにより形成される電荷移動錯体
を,シランカップリング剤を介して強磁性体微粒子の表
面に化学結合により固定化するものとしたため,分散媒
と強磁性体微粒子との結合力が,単に親水基と強磁性体
微粒子表面との正負の電荷により吸着しているに過ぎな
い従来の界面活性剤に比べてより強固になった。したが
って,帯電体の電荷により,粒子表面から界面活性剤が
脱着してしまう現象を完全に防止できるという効果が得
られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 1/20 Z H01F 1/34 //(C10M 111/06 103:06 A 105:76 105:80 105:56 105:22 105:72 105:74) C10N 10:14 10:16 20:06 A 40:14 70:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キャリアとなる低揮発性有機溶媒と,該有
    機溶媒中に分散させた強磁性体微粒子と,該強磁性体微
    粒子の表面に化学結合するカップリング剤と,該カップ
    リング剤が有する有機官能基と反応可能な含窒素有機化
    合物と,前記有機溶媒と親和性のある親油性基を有する
    と共に前記含窒素有機化合物と酸・塩基反応を生じ得る
    酸とよりなることを特徴とする導電性磁性流体組成物。
  2. 【請求項2】カップリング剤が有する有機官能基と反応
    可能な含窒素有機化合物は,アミン類である特許請求の
    範囲第1項記載の導電性磁性流体組成物。
  3. 【請求項3】強磁性体微粒子に,低沸点有機溶媒と前記
    強磁性体微粒子の表面に化学結合するカップリング剤
    と,該リップリング剤が有する有機官能基と反応可能な
    含窒素有機化合物と,前記有機溶媒と親和性のある親油
    性基を有すると共に前記含窒素有機化合物と酸・塩基反
    応を生じ得る酸とを加えることにより,前記カップリン
    グ剤と含窒素有機化合物との結合体と前記酸とで表面を
    被覆された強磁性体微粒子が低沸点有機溶媒中に均一に
    分散された中間媒体を得る工程と,該中間媒体中の分散
    性の悪い微粒子を分離した後,低揮発性有機溶媒を中間
    媒体に加えて混合物とする工程と,該混合物を加熱して
    低沸点有機溶媒を蒸発分離せしめる工程とを包含する導
    電性磁性流体組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】強磁性体微粒子に,低沸点有機溶媒と,前
    記強磁性体微粒子の表面に化学結合するカップリング剤
    と,該カップリング剤が有する有機官能基と反応可能な
    含窒素有機化合物と,前記有機溶媒と親和性のある親油
    性基を有すると共に前記含窒素有機化合物と酸・塩基反
    応を生じ得る酸とを加えて,前記カップリング剤を強磁
    性体微粒子の表面に化学結合させ,その後直ちに前記低
    沸点有機溶媒を除去して前記カップリング剤と含窒素有
    機化合物との結合体と前記酸で表面を被覆された強磁性
    体微粒子を得る工程と,該強磁性体微粒子に低揮発性有
    機溶媒を加えて混合物とする工程と,該混合物中の分散
    性の悪い微粒子を除去する工程とを包含する導電性磁性
    流体組成物の製造方法。
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