JPH0766886B2 - 導電性磁性流体組成物 - Google Patents

導電性磁性流体組成物

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JPH0766886B2
JPH0766886B2 JP61268277A JP26827786A JPH0766886B2 JP H0766886 B2 JPH0766886 B2 JP H0766886B2 JP 61268277 A JP61268277 A JP 61268277A JP 26827786 A JP26827786 A JP 26827786A JP H0766886 B2 JPH0766886 B2 JP H0766886B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、帯電防止の機能を付与した導電性磁性流体
組成物に関する。
〔従来の技術〕
磁性流体は、マグネタイト,フェライト,鉄,コバルト
などの強磁性体微粒子が液体中に分散する極めて安定し
たコロイド溶液であり、その液体自体が見掛け上強い磁
性を示すという特性を有する。従って液体でありながら
磁石等によりその挙動を自在に拘束できるから、ダンピ
ング剤とか、磁気デイスク等のシール機構におけるシー
リング剤などにひろく利用されている。しかし、従来の
磁性流体はその電気抵抗値が高いので、例えば磁気デイ
スク装置のシール機構に用いた場合、装置内に蓄積され
る静電気を除去するには、別にアース機構を設ける必要
があった。そこで磁性流体そのものに導電性を付与する
ことにより、アース機構を設けることなく帯電を防止で
きるようにした導電性磁性流体が提案されている(米国
特許第4,604,222号)。これは、従来一般の磁性流体
が、鉱油とかポリアルファオレフイン油の如き有機溶液
をキャリアとして、そのキャリア内に強磁性体微粒子を
安定に分散させるのに、陰イオン性界面活性剤を用いる
のに対し、第4級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活
性剤を用いたものである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記従来の導電性磁性流体にあっては、
磁性微粒子の分散安定剤兼導電性付与体として陽イオン
性界面活性剤を用いている。したがって界面活性剤の添
加量は、必然的強磁性体微粒子の濃度ひいては飽和磁化
量により規制されてしまい、導電度を自由に調整するこ
とは難しいという問題点があった。
また、陽イオン性界面活性剤は、周知のように熱安定性
が低いから、これを用いた導電性磁性流体組成物は自ず
から熱に対して不安定になるという問題点があった。
この発明はこのような従来の問題点に着目してなされた
ものであり、強磁性体微粒子を分散させる界面活性剤を
導電性とすることなく、導電性付与体をキャリア中に安
定に溶解、可溶化または分散させることにより、飽和磁
化量に関係なく自在にその導電性を調整可能で、かつ高
い熱安定性を有する導電性磁性流体組成物を提供するこ
とを目的としている。
〔問題点を解決するための手段及び作用〕
そこで、この発明は、キャリアとなる有機溶媒と、強磁
性体微粒子と、前記強磁性体微粒子の表面を被覆して前
記強磁性体微粒子を前記有機溶媒中に安定に分散させる
ための添加剤と、前記有機溶媒中に前記強磁性体微粒子
とは別個に安定して溶解、可溶化または分散してキャリ
ヤ自体に導電性を付与する電荷移動錯体と、からなる導
電性磁性流体組成物を提供する。
特に、この発明において前記 強磁性体微粒子の粒径
を、20〜500Åとすると好適な実施例を得ることができ
る。
また、強磁性体微粒子を、体積比で1〜70%の範囲で前
記有機溶媒中に分散させると好適な実施例を得ることが
できる。
この発明の磁性流体にあっては、電荷移動錯体によって
導電性が付与される。該錯体は、それ自体もしくは添加
剤により強磁性体微粒子とは別個にキャリアたる有機溶
媒中に安定に溶解、可溶化または分散して浮遊できるの
で、キャリア自体に磁性を付与し、磁化強度とは無関係
にその磁性流体の電導度を高め、すなわち帯電防止の機
能を果たす。そして、添加剤を用いると、強磁性体微粒
子はこれに吸着してキャリア中の分散がより安定する。
この発明の強磁性体微粒子並びに電荷移動錯体の分散媒
となるキャリアとしては、鉱油をはじめとする種々の炭
化水素、合成油類及びエーテル類またはエステル類或い
はシリコン油等が、磁性流体の用途に応じて適宜に用い
られる。例えば磁気デイスク用シーリング剤としての用
途であれば、ポリアルフアオレフイン油とか、アルキル
ナフタレン油、ポリフェニルエーテル、アルキルポリフ
ェニルエーテル等が好適である。
この発明の導電性付与体は電荷移動錯体である。これ
は、芳香族化合物、ヘテロ芳香族化合物、アミン類等の
電子供与体(ドナー,D)と、ハロゲン、テトラシアノキ
ノジメタン(TCNQ)等の電子受容体(アクセプタ,A)と
の間に形成される分子化合物であり、例えば表1に示す
ような組み合わせで用いられる。
これらの電荷移動錯体の添加量は、磁性流体に対し重量
比で50%までが望ましい。そして、この電荷移動錯体の
添加量を加減することにより、目的とする導電性磁性流
体組成物の電気抵抗値を容易に調整することが可能であ
る。
この発明の強磁性体微粒子としては、周知の湿式法によ
り得られるマグネタイトコロイドを用い得る。また、水
もしくは有機溶媒中でマグネタイト粉末をボールミルで
粉砕するいわゆる湿式粉砕法で得られるものでもよい。
湿式粉砕法を利用する場合、研削液として水以外に例え
ばヘキサン等の有機溶媒を用いるときは、強磁性体粉末
とその粒子表面に単分子層を形成できる量の界面活性剤
を加えたうえでボールミル中で数時間以上粉砕してもよ
い。
また、マグネタイト以外のマンガンフェライト,コバル
トフェライトもしくはこれらと亜鉛、ニッケルとの複合
フェライトやバリウムフェライトなどの強磁性酸化物ま
たは鉄,コバルト,希土類などの強磁性金属を用いるこ
ともできる。
更にまた、強磁性体微粒子として上記湿式法或いは湿式
粉砕法によるもののほか、乾式法で得たものを用いるこ
ともできる。
この発明の強磁性体微粒子の粒径は、20〜500Åの間に
ある。例えばマグネタイトは格子定数約8Åの単位格子
で逆スピネル構造をとり、結晶は単位格子が数個以上で
なりたつから、少なくとも20Å以上の粒子径が必要とな
る。一方粒子径の上限については、磁性粒子の懸濁液と
しての磁性流体の安定性の見地からみると、λ=Ms2V2/
d3kTで表されるパラメータλの値が重要となる。(ここ
にMs:飽和磁化,V:粒子の体積,d:粒子の直径,k:ボルッマ
ン定数,T:絶対温度)。一般に、粒子表面に吸着形成さ
れた界面活性剤層の反発力によって、粒子間引力及び磁
性粒子のもつ磁気双極子間引力に抗して凝集を防止でき
る限界値はλ=103とされる。そこで、いま安全を見積
りλ=102とし、かつ飽和磁化Ms=400Gとすると、上式
により求める粒子径dの上限は500Åである。もっと
も、望ましい粒径は100Å前後である。この場合には上
式に於けるMs=400Gのときλ=1となり、分散磁性微粒
子は長時間静置しても沈降するおそれはない。
この発明の強磁性体微粒子の含有量は、従来一般的に用
いられている体積比で1〜20%の範囲は勿論のこと、必
要に応じて70%程度の極めて高濃度のものであってもよ
い。すなわち、この発明によれば、強磁性体微粒子が低
沸点溶媒中に分散された中間媒体を利用することで、強
磁性体微粒子濃度を70%に達する高濃度に調整すること
ができる。これにより、磁化量の極めて高い磁性流体が
得られるものである。
この発明における強磁性体微粒子を前記有機溶媒中に安
定に分散させるための添加剤は、カルボキシル基(−CO
OH),ヒドロキシル基(−OH),スルホン基(−SO
3H),アミノ基(−NH2),リン酸エステル基(−OPO
3H,−OPO3H2等)などの極性基を少なくとも1個以上有
し炭素数が10以上の陰イオン性界面活性剤とか、或いは
また非イオン性界面活性剤であり、例えばオレイン酸の
如き不飽和脂肪酸又はその塩,石油スルホン酸又はその
塩,合成スルホン酸又はその塩,ポリブテンコハク酸又
はその塩,ポリブテンスルホン酸又はその塩,或いはポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテル等で、それら
の内の少なくとも一種を選択して用いる。
また、電荷移動錯体を安定に溶解,可溶化または分散さ
せるために添加剤を用いる場合、上記の界面活性剤から
選択したものを用いてもよい。その時には、強磁性体微
粒子を安定に分散させるための界面活性剤と同一のもの
を用いても良いし、それぞれ別のものを選定して用いて
も良い。
この発明の組成物を製造するにあたり、キャリア中に分
散させる強磁性体微粒子の濃度を高くして高磁化能を持
つ磁性流体を得ようとするならば、本出願人が先に提案
した磁性流体の製造方法(特開昭58−174495)によると
効率的である。すなわち、強磁性体微粒子と界面活性剤
とをまずヘキサンやベンゼン等の低沸点有機溶媒に加え
て、表面を界面活性剤で被覆した強磁性体微粒子が低沸
点有機溶媒中に分散された中間媒体を得る。次にその中
間媒体中の分散性の悪い微粒子を遠心分離して除く。そ
の後、キャリア溶液を加えて混合し、その混合物を加熱
し低沸点有機溶媒を蒸発除去するか、或いはまた中間媒
体を加熱して低沸点有機溶媒を蒸発させてから磁性流体
微粒子にキャリアを加えることで、高濃度で且つ極めて
安定した磁性粒子コロイド溶液とするものである。もっ
とも、この発明の磁性流体を製造するに当たり、必ずし
も上記の中間媒体を介する必要はなく、一般的に行われ
ているように、強磁性体微粒子を直接にキャリアに混入
させてよい。
以下に、この発明の導電性磁性流体組成物の実施例を、
その製造工程とともに説明する。
〔実施例1〕 まず、硫酸第1鉄と硫酸第2鉄の各1molづつを含む水溶
液1に、6NのNaOH水溶液を加えてpHを11以上にした
後、60℃で30分間熟成してマグネタイトコロイドを得
た。その後、60℃に保ったままこのマグネタイトスラリ
ーに3NのHClを加えてpHを5.5に調整する。このマグネタ
イトスラリーに、コロイド粒子を安定に分散させる界面
活性剤として不飽和脂肪酸であるオレイン酸ナトリウム
塩50gを添加し、30分間攪拌してから静置する。この静
置の間にマグネタイト粒子が凝集し沈降する。その上澄
を捨てて水を注ぎ、更に水洗する操作を数回繰り返し
て、電解質を除去する。水洗が終われば濾過、脱水し、
乾燥する。乾燥後、前記オレイン酸ナトリウムの疎水基
を吸着して親油性となったマグネタイト粒子にヘキサン
を加え、十分振とうしてマグネタイト粒子を分散させ
る。これにより、表面を界面活性剤で被覆した強磁性体
微粒子が低沸点溶媒中に分散された中間媒体が得られ
る。次に、この中間媒体液を8000Gの遠心力で30分間、
遠心分離する。これにより大きなマグネタイト粒子を沈
降分離せしめた後、その上澄みをロータリーエバポレー
タに採取し、90℃に保ってヘキサンを蒸発させる。蒸発
後エバポレータフラスコ内に残ったマグネタイト粒子
を、本発明の磁性流体の分散質とする。
一方、磁性粒子の分散媒としてポリアルファオレフイン
油6gを用い、更に導電性付与体として電荷移動錯体の電
子供与体となるピレン80mgと電子受容体となるヨウ素20
0mgを用い、更にまたその電荷移動錯体を溶解,可溶化
または分散させるための添加剤としてポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテル0.5gを用いて、それらをベン
ゼンに溶解させた。なお、電子供与体としてのピレンの
代わりにピリダジンを用いてもよい。何れにしても、こ
れらの電子供与体と電子受容体とのモル比は、1:0.1な
いし1:10の範囲とするのがよい。このベンゼン溶液をロ
ータリーエバポレータに採取し、90℃に保ってベンゼン
を蒸発させる。蒸発後の残渣油が即ち導電性を付与した
キャリアである。
先に用意した分散質としてのマグネタイト微粒子3gを、
ヘキサン中に再分散させて、更に上記導電性キャリアを
加えた後、ロータリーエバポレータに採取し、90℃に保
ってヘキサンを蒸発させることにより導電性磁性流体を
得た。
得られた導電性磁性流体は、中間媒体を経て、比較的分
離し易い大きな磁性体粒子が除去されているから、極め
て安定したものであった。
また、得られた磁性流体を内径7mm,外径7.4mm,厚み0.7m
mの環状体(磁性流体シール)としたときの内外周面間
の抵抗値を測定したところ、6MΩという低い値となり帯
電防止に十分の導電性を示した。
〔実施例2〕 アセトニトリル溶媒中に、テトラチオフルバレン(TT
F)2gとテトラシアノキノジメタン(TCNQ)2gとを加
え、よく攪拌する。この溶媒をロータリエバポレータで
90℃に保ちアセトニトリルを蒸発させる。蒸発後、ナス
フラスコ内に残ったTTF−TCNQ錯体を電荷移動錯体とす
る。
一方、実施例1で分散質として得たマグネタイト粒子5g
をヘキサンに分散させ、これにポリアルファオレフイン
油を10g加えて良く混合した後、ロータリエバポレータ
で90℃に保ちヘキサンを蒸発させる。得られた磁性流体
と前記工程により得たTTF−TCNQ錯体0.45gとを、ボール
ミルで2時間混合しつつ粉砕した。その混合粉砕後の磁
性流体は、分散性が極めて安定であった。得られた磁性
流体を内径7mm,外径7.4mm,厚み0.7mmの環状体(磁性流
体シール)とした時の内,外周面間の抵抗値を測定した
ところ7MΩであった。
なお、上記各実施例で得られる導電性磁性流体組成は、
電荷移動錯体の添加量を加減して任意に調節可能であ
り、必要に応じて上記電気抵抗値をより低減させること
も容易である。
なおまた、この発明の工程は上記の実施例に限定される
ことはない。例えば、低沸点溶媒中に強磁性体微粒子と
その分散剤のみならず、電荷移動錯体と該電荷移動錯体
を溶解,可溶化または分散させるための添加剤としての
界面活性剤をも加えたものを中間媒体とし、これから大
きな磁性粒子を分離した後、有機分散媒溶液であるキャ
リアと混合し、これを加熱して低沸点溶媒を蒸発除去す
るようにしても良い。
各実施例により得られる導電性磁性流体組成物の構造を
模式的に示すと、第1図のようになる。すなわち、強磁
性体微粒子1は、従来同様にその表面を界面活性剤(こ
の場合はオレイン酸)の疎水基2に被覆され親油性とな
ってキャリア3であるポリアルファオレフイン油内に安
定に分散浮遊している。而して、従来とは異なり、キャ
リア3内には更に、微細な電荷移動錯体4が多量に浮遊
している。
この電荷移動錯体4は、それ自身でキャリア3中に分散
するか、または図示しない界面活性剤のポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテルでキャリア3に分散される
か、乃至はその界面活性剤の形成するミセル内に溶解ま
たは可溶化されており、界面活性剤に被覆された磁性粒
子1に比し、極めて移動し易い状態で浮遊している。し
たがって、帯電の電荷はこの電荷移動錯体4を介し容易
にキャリア3内を運搬され、除去される。
〔発明の効果〕
この発明によれば、キャリアに強磁性体微粒子を安定に
分散させてなる磁性流体に導電性を付与するべく、電荷
移動錯体をキャリア中に強磁性体微粒子とは別個に溶
解,可溶化または分散させたので、電荷を自由且つ容易
に運搬することができて安定して高い帯電防止機能を有
し、かつ熱安定性の大きな導電性磁性流体組成物が得ら
れるという効果がある。
しかも、電荷移動錯体は、キャリヤア中に強磁性体微粒
子とは別個に溶解,可溶化または分散させたので、従来
の如くその導電性が飽和磁化量に応じて規制されること
なく、単に電荷移動錯体を添加量を加減するのみで自在
に調整できるという効果がある。
また、キャリアに電荷移動錯体を添加する工程が付加さ
れるのみであるから、製造し易く安価に提供できるとい
う効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明による導電性磁性流体組成物の構成を
説明する模式図である。 1は強磁性体微粒子、2は界面活性剤、3はキャリア、
4は電荷移動錯体。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/34 //(C10M 141/00 125:04 127:04 133:38 135:32) C10N 40:14

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キャリアとなる有機溶媒と、強磁性体微粒
    子と、前記強磁性体微粒子の表面を被覆して前記強磁性
    体微粒子を前記有機溶媒中に安定に分散させるための添
    加剤と、前記有機溶媒中に前記強磁性体微粒子とは別個
    に安定して溶解、可溶化または分散してキャリヤ自体に
    導電性を付与する電荷移動錯体と、からなる導電性磁性
    流体組成物。
  2. 【請求項2】強磁性体微粒子の粒径が、20〜500Åであ
    る特許請求の範囲第1項記載の導電性磁性流体組成物。
  3. 【請求項3】強磁性体微粒子が、体積比で1〜70%の範
    囲で前記有機溶媒中に分散している特許請求の範囲第1
    項または第2項記載の導電性磁性流体組成物。
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