JPH0744100B2 - 磁性流体組成物とその製造方法 - Google Patents

磁性流体組成物とその製造方法

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JPH0744100B2
JPH0744100B2 JP62046480A JP4648087A JPH0744100B2 JP H0744100 B2 JPH0744100 B2 JP H0744100B2 JP 62046480 A JP62046480 A JP 62046480A JP 4648087 A JP4648087 A JP 4648087A JP H0744100 B2 JPH0744100 B2 JP H0744100B2
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    • H01F1/44Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of magnetic liquids, e.g. ferrofluids

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は,強磁性体微粒子を分散媒を介して分散媒中
に安定に分散させてなる磁性流体組成物とその製造方法
に関し,特に分散剤を強磁性体微粒子の表面に化学結合
させることで,従来の静電的に結合する界面活性剤を用
いたものに比し,遥かに安定した磁性流体組成物とその
効率的な製造方法を提供するものである。
〔従来の技術〕
磁性流体はコロイドの大きさを有する強磁性体微粒子が
分散媒に安定に分散して,液自体が見掛け上強い磁性を
示すという特性があり,従来から多種のものが提供され
ている。ところでコロイド粒子と分散媒との親和性が大
きい程安定したコロイド溶液となるから,界面活性剤を
用いて強磁性体微粒子の表面を被覆し,分散媒との親和
性を改善することが必要とされる。例えば,特公昭53−
4078には,この種の無機疎水性微粉末を得るため,湿式
法による酸化鉄微粉末の水溶液にオレイン酸塩を添加し
て粉末の各粒子表面にオレイン酸イオンの吸着を行わ
せ,その後,水溶液のpHを調整して濾過,洗浄,乾燥を
行うことにより,オレイン酸の単分子吸着層で完全に被
覆した親油性の酸化鉄粉末を得るものが提案されてい
る。
〔発明が解決しようする問題点〕
界面活性剤は,その分子中に,親水基と疎水基という性
質の相反する基を併せ持つ構造をとり,一般には親水基
を強磁性体微粒子表面に向けて吸着され、疏水基を分散
媒へ配向させることで,強磁性体微粒子を安定に分散媒
中に分散させる。
しかしながら,界面活性剤の分子と強磁性体微粒子表面
とは吸着という静電的現象で比較的弱く結合しているに
過ぎず,その結合状態は微粒子の表面電位により大きく
左右される。したがって,処理条件次第では,界面活性
剤の吸着が不完全になり,分散媒中に不安定な粒子が生
じてしまう。
例えば,上記従来例の場合も,界面活性剤であるオレイ
ン酸分子はその親水基と強磁性体微粒子表面との正負の
電荷により吸着しているのみであり、熱の影響とか,ア
セトンやメタノールなど極性溶媒の混入とか,外部電圧
の印加などの外的要因により,粒子表面から界面活性剤
が脱着してしまうという問題点があった。
また,界面活性剤分子の炭素鎖が長くて親油性が強く,
水に溶解あるいは分散させることが出来ない難水溶性の
界面活性剤の場合であれば,水懸濁液中で強磁性体微粒
子を界面活性剤で被覆させることは出来ないから有機溶
媒中で処理する。ところが,有機溶媒中での粒子表面電
位は殆ど無きに等しいから,上記の水を分散媒としたも
のよりも更に吸着力は弱くなり,外的要因が加われば勿
論のこと,そうでなくても油中で不安定な粒子が増え
て,製品歩留まぇが低く,長寿命も望めないという問題
点があった。
この発明は,このような従来の問題点に着目してなされ
たものであり,強磁性体微粒子の分散剤として,粒子表
面に化学的に強固に結合するカップリング剤を用いるこ
とにより,上記問題点を解決し得る磁性流体組成物とそ
の効率的な製造方法を提供することを目的としている。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的を解決する第1の発明は,高沸点有機溶媒
と,該溶媒中に分散した強磁性体微粒子と,有機性基の
他に少なくとも1個の加溶媒分解性の基を有してその加
溶媒分解性基の反応生成物を介して前記強磁性体微粒子
の表面に化学結合するカップリング剤とからなる磁性流
体組成物である。
また,第2の発明は,強磁性体微粒子に,低沸点有機溶
媒と,有機性基の他に少なくとも1個の加溶媒分解性の
基を有してその加溶媒分解性基の反応生成物を介して前
記強磁性体微粒子の表面に化学結合するカップリング剤
とを加えることにより、該カップリング剤を強磁性体微
粒子の表面に化学結合させて,強磁性体微粒子が低沸点
有機溶媒中に均一に分散された中間媒体を得る工程と,
該中間媒体中の分散性の悪い微粒子を分離した後,高沸
点有機溶媒を中間媒体に加えて混合物とする工程と,該
混合物を加熱して低沸点有機溶媒を蒸発分離せしめる工
程とを包含する磁性流体組成物の製造方法である。
更にまた第3の発明は,強磁性体微粒子に,低沸点有機
溶媒と,有機性基の他に少なくとも1個の加溶媒分解性
の基を有してその加溶媒分解性基の反応生成物を介して
前記強磁性体微粒子の表面に化学結合するカップリング
剤とを加えることにより,該カップリング剤を強磁性体
微粒子の表面に化学結合させ,その後直ちに低沸点有機
溶媒を除去して表面を前記カップリング剤で被覆された
強磁性体微粒子を得る工程と,該強磁性体微粒子に高沸
点有機溶媒を加えて混合物とする工程と,該混合物中の
分散性の悪い微粒子を除去する工程とを包含する磁性流
体組成物の製造方法である。
以下,この発明の磁性流体組成物とその製造方法を詳細
に説明する。
この発明の強磁性体微粒子の分散剤は,構造中に親水基
として作用する極性基と,親油基(疎水基)として作用
する非極性基とを含む従来の界面活性剤とは,微粒子の
結合のしかた,その作用機構が異なっている。
すなわち,この発明の分散剤は,例えば一般式RSiX
表されるシランカップリング剤を用いる。ここに式中n
=1〜3,Xは−OR′,−Cl,−NR2など加水分解性の基,R
は例えばアルキル基の如き炭化水素基である。−OR′は
例えばメトキシ基(CH3O−)やエトキシ基(C2H5O−)
等のアルコキシ基である。
上記シランカップリング剤のアルコキシ基は,水溶液
中,空気中の水分,または無機物表面に吸着された水分
により加水分解してシラノール基(RSi(OH))を生
成する。一方強磁性体微粒子Mはその表面に−OH基を有
している(M−OH)。そこで両者の間に脱水縮合反応が
生じて,メタシロキサン結合(Si−O−M)により化学
的に結合するものと考えられる。
この発明の分散剤として用い得るシランカップリング剤
には,上記のほか更に有機管能基Yを有するものがあ
り,その場合の一般式はYRSiXで表せる。この有機管
能基Yとしては,後述するようにビニル基,エポキシ
基,アミノ基,メルカプト基その他のものがある。この
ようなシランカップリング剤は,例えばビニルトリエト
キシシラン,3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン,3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,N−
2−(アミノニチル)3−アミノプロピルトリメトキシ
シラン,N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシ
シラン,3−クロロプロピルトリメトキシシラン,3−メル
カプトプロピルトリメトキシシランなどである。
なお,この発明の分散剤として,上記のシランカップリ
ング剤に替えて,例えば,非水系に対して特に好適なア
セトアルコキシ アルミニウムジイソプロピレートから
なるアルミニウム系カップリング剤(日光ケミカルス
(株)製,商品名プレーンアクトAL−M等)や,チタネ
ート系カップリング剤,クロム系カップリング剤等が使
用できる。これらのものも,その分子構造中に,−OH基
と結合するアルコキシ基と有機物に親和する部分(例え
ばアルキルアセト酢酸基)とをもっており,親水性固体
である強磁性体微粒子表面の−OH基と化学結合して強固
な親油性被膜を形成する機能を有する。
以上のカップリング剤のうち,その構造中に有機管能基
Yをもつものは,また,その有機管能基Yと化学反応す
る基を1個以上持つ他の有機物質(例えば,エポキシ基
に対して反応するアミノ基を有するステアリルアミン
等)を「付加物質」としてカップリング剤の有機管能基
と反応させ付加することができる。
ここで,カップリング剤が有する管能基と化学反応する
基としては,次の表に示すようなものがある。
前記「付加物質」は,この表に基づき適宜なものを選定
すればよく,その選定によって分散剤の分子構造内の炭
化水素基の鎖長を制御し,かつまた分散媒との相溶性
(親和性)を任意に制御することが可能となる。換言す
れば,この発明の分散剤によれば,分散媒との親和性が
最も大きい「付加物質」を選択して磁性流体製造工程で
加えるのみで,強磁性体微粒子表面を分散媒の種類・性
質に応じた最適のものに改質することが容易である。な
おその場合,分散媒を磁性流体組成物製造工程に投入す
る方法としては,カップリング剤とその管能基に反応す
る基を1個以上有する有機化合物としての「付加物質」
とを予め反応させて得た生成物として製造工程中に投入
してもよく,或いはまたカップリング剤と「付加物質」
とを別々のタイミングで工程中に投入してもよい。
ちなみに,従来の分散剤としての界面活性剤では,この
ような「付加物質」を工程中に投入するのみで強磁性体
微粒子の表面性状を任意の分散媒に対して最適に改質す
ることはできなかった。
この発明の分散剤の添加量は,強磁性体微粒子表面を単
分子膜で完全に被覆する量が最適であり,したがって,
カップリング剤の強磁性体微粒子に対する最小被覆面積
と強磁性体微粒子の表面積とから次式で算出できる。
カップリング剤添加量 =(強磁性体微粒子の重量×比表面積) /カップリング剤の最小被表面積 ここで,カップリング剤の最小被表面積の大きさは,例
えばシランカップリング剤の場合,1分子あたりの被覆面
積が13Åであり,したがって1gあたりは13Å×分子
量から求められる。
この発明の強磁性体微粒子の分散媒は,低揮発性で低粘
度の鉱油,合成油等の油類をはじめとしてエーテル類,
エステル類,或いはパーフルオル系溶媒等の高沸点有機
溶媒であり,例えばポリアルファオレフィン油が好適に
用い得る。
この発明の強磁性体微粒子としては,周知の湿式法によ
りコロイド状水懸濁液(スラリー)として得られるもの
を用いてよい。ここに湿式法とは,第1鉄イオンと第2
鉄イオンを1:2の割合で含む酸性溶液にアルカリを加えp
H9程度以上とし,適宜な温度下で熟成することによりマ
グネタイトコロイドを得るものである。また,水もしく
は有機溶媒中でマグネタイト粉末をボールミル粉砕する
いわゆる湿式粉砕法で得られるものでもよい。更に,そ
の他乾式法で得られたものであっても良い。
またマグネタイト以外にマンガンフェライト,ニッケル
フェライト,コバルトフェライトもしくはこれらと亜鉛
の複合フェライトやバリウムフェライトなどの強磁性体
微粒子や,鉄,コバルト等の強磁性の金属微粒子を用い
ることもできる。
強磁性体微粒子の含有量は,一般的な1〜20%(体積
比)は勿論のこと,後述する中間媒体を経由して製造す
ることにより,更に高濃度にすることも可能になる。
この発明の工程は,上述の強磁性体微粒子に例えばヘキ
サンとかメタノール等の低沸点有機溶媒と上記分散剤と
を加えることにより,その分散剤を強磁性体微粒子の表
面に化学結合させて,強磁性体微粒子が分散剤の被覆層
を介して低沸点有機溶媒中に均一に分散された中間媒体
を得る工程を包含するものであっても良い。中間媒体を
得る手順は,強磁性体微粒子に低沸点有機溶媒を加えて
懸濁液としその後に分散剤を加えて中間媒体を得てもよ
く,もしくは分散剤と低沸点有機溶媒との混合液を加え
て中間媒体を得てもよい。また,湿式法で得られる強磁
性体微粒子を用いるのであれば,強磁性体微粒子の水相
懸濁液に所要量の分散剤を加えて被覆層を形成し,いっ
たん洗浄し,乾燥して疎水性強磁性体微粒子を得た後,
低沸点有機溶媒を加えて中間媒体を得てもよい。
前記中間媒体を遠心分離器にかけて,5000〜8000Gの遠心
力で分散性の悪い強磁性体微粒子を選別する。中間媒体
は低粘度であるから,遠心力による粒子の選別が促進さ
れて,不安定な粒子を予めほぼ完全に除去するものであ
り,これによって極めて安定した磁性流体が得られる。
次いで,その中間媒体に磁性流体組成物の分散媒,例え
ばポリアルファオレフィン油を加えて混合物とした後,
この混合物を大気中又は真空中で加熱して低沸点有機溶
媒を除去し,この発明の磁性流体組成物を得る。この場
合,中間媒体は低沸点であるから,加熱により容易に濃
縮することが可能である。すなわち得られた磁性流体組
成物に必要に応じて更に中間媒体を加えては加熱するこ
とを繰り返すことで,強磁性体微粒子が非常に高濃度で
しかも安定に分散された磁性流体を得ることも可能であ
る。
この発明の磁性流体組成物の製造工程は,上記の中間媒
体を必ずしも経由しなくてもよい。その場合は,強磁性
体微粒子と低沸点有機溶媒とカップリング剤からなる分
散剤とを混合して,強磁性体微粒子表面に分散剤を化学
結合させた後,直ちに低沸点有機溶媒を加熱除去し,そ
の後分散媒である高沸点有機溶媒を加えて混合物とした
ものを,遠心分離器にかけて分散性の悪い強磁性体微粒
子を除去するものである。
いずれの工程を用いるかは,製品の種類,使用目的,要
求性能等に応じて選択される。
以下に,この発明の実施例を挙げる。
〔実施例1〕 まず,硫酸第1鉄と硫酸第2鉄とをそれぞれ0.3molづつ
含む水溶液に,6Nの水酸化ナトリウム水溶液をpHが11以
上になるまで加える。その後,その混合液を60℃で30分
間熟成してマグネタイトコロイドの水懸濁液を得た。以
上は湿式法にによるマグネタイトコロイドを製造する工
程である。
このマグネタイトコロイド懸濁液を遠心分離器にかけて
マグネタイト微粒子を回収し,これを80℃で3時間減圧
乾燥した。
一方,シランカップリング剤としてのガンマグリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー(株)
製,A−187)にステアリルアミンを付加させることによ
り得た反応生成物を,分散剤として別途に用意してお
く。
前記乾燥マグネタイト微粒子5.0gと,分散剤2.25g及び
ヘキサン15gとをボールミルを用いて混合するとともに
4時間粉砕処理して,表面がシランカップリング剤で被
覆されたマグネタイト微粒子がヘキサン中に安定に分散
した中間媒体を得た。次にこの中間媒体を遠心分離器に
かけて,8000Gの遠心力の下で30分間処理し,マグネタイ
ト微粒子のうち比較的大きな分散性の悪い粒子を沈降分
離させた。
次いで、沈降せずに残ったマグネタイト微粒子が懸垂し
ている上澄み液に分散媒としてのポリアルファオレフィ
ン油を2g添加し,よく混合させたものをロータリーエバ
ポレータに移し,液温を90℃に保って低沸点有機溶媒で
あるヘキサンを蒸発させて除去した。その結果マグネタ
イト微粒子は分散媒中に均一に分散し,そのコロイド液
は極めて安定な磁性流体となり,飽和磁化量は170Gauss
であった。
〔実施例2〕 まず,上記実施例1と同様にして湿式法によりマグネタ
イトコロイドを製造した。
そのマグネタイト微粒子の水懸濁液を100mlとり,これ
にシランカップリング剤(ガンマグリシドキシプロピル
トリメトキシシラン)にステアリルアミンを付加させる
ことにより得た反応生成物を,水溶液として,その懸濁
液中に含まれたマグネタイト微粒子重量の60wt%相当量
加えた。その後,60℃で30分間攪拌してシランカップリ
ング剤をマグネタイト微粒子表面に結合させ,その後静
置することにより,液中のマグネタイト微粒子を凝集沈
澱させた。その上澄み液を捨てて新たな水を加え水洗す
ることを数回繰り返して,水溶液中の未結合のシランカ
ップリング剤を除去した後,濾過,脱水,乾燥を行い,
表面がシランカップリング剤からなる分散剤で被覆され
た粉末状のマグネタイト微粒子を得た。
次に,このマグネタイト微粒子粉末に低沸点有機溶媒と
してヘキサンを加え十分に振って,マグネタイト微粒子
がヘキサン中に分散した中間媒体を得た。この中間媒体
を遠心分離器にかけて,8000Gの遠心力下で30分間遠心分
離し,マグネタイト微粒子のうちの比較的大きな分散性
の悪い粒子を沈澱除去した。
次いで,沈降せずに残ったマグネタイト微粒子が懸垂し
ている上澄み液に,その上澄み液中のマグネタイト微粒
子の150wt%のポリアルファオレフィン油を添加し混合
した。その混合液をロータリーエバポレータに移し,液
温を90℃に保って低沸点有機溶媒であるヘキサンを蒸発
させて除去した。その結果マグネタイト微粒子は分散媒
中に均一に分散する。これを更に遠心分離器にかけ,800
0Gの遠心力下で30分間遠心分離した。この操作で非分散
固形物が取り除かれ,その上部のコロイド溶液は極めて
安定した磁性流体で,その飽和磁化量は170Gaussであっ
た。
〔実施例3〕 まず,実施例1と同様にして湿式法によりマグネタイト
コロイドを製造した。この水懸濁液を遠心分離してマグ
ネタイト微粒子を回収し,これを80℃で3時間減圧乾燥
した。その乾燥マグネタイト微粒子5.0g,ベータパーフ
ルオロヘプチルエチルトリメトキシシラン(東芝シリコ
ーン(株)製,XC95−470)4.52g及びメタノール15gをボ
ールミルを用いて混合するとともに4時間粉砕処理し
た。
その後この処理液をロータリーエバポレータに移し,液
温を90℃に保って低沸点有機溶媒であるメタノールを蒸
発させて除去した。これによりベータパーフルオロヘプ
チルエチルトリメトキシシランで表面を被覆されたマグ
ネタイト微粒子が得られた。
次にこのマグネタイト微粒子粉末にパーフルオロ系溶媒
(住友スリーエム(株)製,フロリナートFC−72)を加
えて十分振り,マグネタイト微粒子をパーフルオロ系溶
媒に分散させた。この分散液を遠心分離器により8000G
の遠心力下で30分間遠心分離した。この操作で非分散固
形物が取り除かれ,その上部のコロイド溶液は極めて安
定した磁性流体であった。この場合,油を蒸発させ,磁
性流体を濃縮したところ,飽和磁化量300Gaussが得られ
た。
〔実施例4〕 まず,実施例1と同様にして湿式法によりマグネタイト
コロイドを製造した。
そのマグネタイト微粒子の水懸濁液を100mlとり,これ
にシランカップリング剤(ガンマグリシドキシプロピル
トリメトキシシラン)を,水溶液として,その懸濁液中
に含まれたマグネタイト微粒子重量の45wt%相当量加え
た。次いで60℃で30分間攪拌してシランカップリング剤
をマグネタイト微粒子表面に結合させ,その後静置する
ことにより,液中のマグネタイト微粒子を凝集沈澱させ
た。その上澄み液を捨てて新たな水を加え水洗すること
を数回繰り返して,水溶液中の未結合のシランカップリ
ング剤を除去した後,濾過,脱水,乾燥を行い,表面が
シランカップリング剤からなる分散剤で被覆された粉末
状のマグネタイト微粒子を得た。
次に,このマグネタイト粉末5.0gと,ステアリルアミン
2.5g及びヘキサン15gとをボールミルを用いて混合する
とともに4時間粉砕処理した。その結果,表面がシラン
カップリング剤で被覆され,更にそのシランカップリン
グ剤の管能基にステアリルアミンが反応により結合した
マグネタイト微粒子が低沸点有機溶媒のヘキサン中に安
定に分散した中間媒体が得られた。
次いでその中間媒体をロータリーエバポレータに移し,
液温を90℃に保って低沸点有機溶媒であるヘキサンを蒸
発させて除去した。残ったマグネタイト粉末にエタノー
ルを加えて超音波をかけ,十分に分散させた液を遠心分
離器にかけて8000Gの遠心力下に10分間処理し,マグネ
タイト微粒子を回収した。このエタノール洗浄操作を数
回繰り返すことにより未反応のステアリルアミンを完全
に除去したマグネタイト粉末を得た。
このマグネタイト粉末を80℃で3時間減圧乾燥した後,
再びヘキサンを加えて分散させ中間媒体を得た。次にこ
の中間媒体を遠心分離器にかけて,8000Gの遠心力の下で
30分間処理し,マグネタイト微粒子のうち比較的大きな
分散性の悪い粒子を沈降分離させた。
次いで,沈降せずに残ったマグネタイト微粒子が分散し
ている上澄み液に,分散媒としてのポリエーテル系合成
油(日本油脂(株),ニッサンユニルーブMB−85)を,
その上澄み液中に含まれたマグネタイト微粒子重量の80
wt%相当量加え,よく混合させた。更にその混合液をロ
ータリーエバポレータに移し,液温を90℃に保って低沸
点有機溶媒であるヘキサンを蒸発させて除去した。その
結果マグネタイト微粒子は分散媒中に均一に分散し,そ
のコロイド液は極めて安定な磁性流体であった。この時
の飽和磁化量は250Gaussであった。
〔実施例5〕 実施例1と同様にして,湿式法によりマグネタイトコロ
イドを製造した。この水懸濁液を遠心分離してマグネタ
イト微粒子を回収し,これを80℃で3時間減圧乾燥し
た。その乾燥マグネタイト微粒子5.0gに,アミノプロピ
ルトリエトキシシラン(信越化学(株),KBM903)2.0g
とステアリルアルデヒド2.4gとヘキサン15gとをボール
ミルを用いて混合するとともに,4時間粉砕処理した。そ
の結果,表面がシランカップリング剤で被覆されたマグ
ネタイト微粒子がヘキサン中に安定に分散した中間媒体
を得た。
以下,実施例4と同様に中間媒体からヘキサンを蒸発さ
せ,残ったマグネタイト粉末をエタノールで洗浄して回
収し,これを乾燥した後ヘキサン中に再分散させて再度
中間媒体とし,それを遠心分離(8000G,30分間)して分
散性の悪い粉末を沈降させた。
その上澄み液に,分散媒として脂肪酸エステル(大八化
学(株),DOS)をマグネタイト微粒子重量の120wt%相
当量加え,よく混合させた。その後、ヘキサンを蒸発除
去した。
得られた磁性流体は極めて安定で,その飽和磁化量は18
0Gaussであった。
〔実施例6〕 実施例5と同様にして,予め乾燥マグネタイト微粒子を
作成する。ついで,以下のようにして「従来技術による
磁性流体」と「この発明による磁性流体」との2種類の
磁性流体を作成した。
従来技術によるもの。
乾燥マグネタイト5g,オレイン酸1.5gをヘキサンに加
え,ボールミルで4時間混合しつつ粉砕処理した。得ら
れた中間媒体を遠心分離(8000G,30分間)して分散性の
悪い粒子を除去した。その後,最終的に飽和磁化量180G
aussの磁性流体が得られる量だけのポリブテン(日本石
油(株),IIV−25)を分散媒として加え,よく混合し,
液温を90℃に保ちながらロータリエバポレータでヘキサ
ンを蒸発させて,安定な磁性流体を得た。
この発明によるもの。
乾燥マグネタイト5g,ステアリルトリメトキシシラン
(東芝シリコーン(株),TSL8185)1.8gをヘキサンに加
え,ボールミルで4時間混合しつつ粉砕処理した。得ら
れた中間媒体を遠心分離(8000G,30分間)して分散性の
悪い粒子を除去した。その後と同様に飽和磁化量180G
aussが得られる量のポリブテンを加えた後,液温を90℃
に保ちながらロータリエバポレータでヘキサンを蒸発さ
せて,安定な磁性流体を得た。
上記,の方法で得られた磁性流体をそれぞれ10μl
づつ取り,焼結磁石片上に置いたスライドガラスに固定
させ,100℃の雰囲気中で固化するまでの時間(寿命)を
測定した。その結果は表2のとおりであった。
すなわち,分散剤の主鎖の炭素数が18で比較した場合,
従来の界面活性剤に比べて,この発明のシランカップリ
ング剤を使用すると,その寿命は100℃の温度条件下で
2倍弱延びている。
〔実施例7〕 強磁性体微粒子に対するシランカップリング剤の添加量
および被覆率と,粒子の分散性との関係を測定する。
まず乾燥マグネタイト粒子3gをヘキサン15gに加え,こ
れにカップリング剤としてのステアリルトリメトキシシ
ラン(東芝シリコーン(株),TSL8185)を所定量添加し
たものを,超音波粉砕器で1時間混合・粉砕処理したも
のについて,ヘキサン中でのマグネタイト微粒子の分散
安定性を測定した。その結果は表3,表4のとおりであっ
た。
上記の被覆率は,以下のようにして求めた。
この発明で用いた乾燥マグネタイト粒子の比表面積を,
窒素ガス吸着量(BET法による)から測定した結果,110m
2/gであった。分散剤として使用したステアリルトリメ
トキシシランの構造式は,CH3(CH217Si(OMe)で表
され,分子量374,1分子あたりの被覆面積13Å2,最小被
覆面積209.3m2/gとなる。従って被覆率は,次の式で与
えられる。
(ステアリルトリメトキシシランの添加量WT%) ×209.3/110 上記表2,表3から,次のことが判明した。
(a) マグネタイト粒子の被覆率は最低20%あれば,
粒子表面は親油性に改質されており,ほぼ30%であれば
マグネタイトコロイドが得られる。
(b) マグネタイト粒子表面に2分子層を形成するだ
けの量以上加えても,従来の界面活性剤におけるように
分散性が損なわれることはない。ただし,工程上余剰の
カップリング剤が副生成物を生成する可能性があり,こ
のための性能劣化が考えられるため,カップリング剤は
マグネタイト微粒子の表面をほぼ100%被覆できるだけ
の量を加えることが望ましい。
〔発明の効果〕
この発明によれば,強磁性体微粒子を分散媒中に分散さ
せる分散媒は,有機性基の他に少なくとも1個の加溶媒
分解性の基を有するその加溶媒分解性基の反応生成物を
介して前記強磁性体微粒子の表面に化学結合するカップ
リング剤としたため,分散媒と強磁性体微粒子との結合
力が,単に親水基と強磁性体微粒子表面との正負の電荷
により吸着しているに過ぎない従来の界面活性剤に比べ
てより強固になった。したがって,熱の影響とか,アセ
トンやメタノールなど極性溶媒の混入とか,外部電圧の
印加などの外的要因により,粒子表面から界面活性剤が
脱着してしまう現象を完全に防止できるという効果が得
られる。
また,これに加えて分散剤の結合力が表面電位に影響さ
れないため,分散媒が油性であっても不安定な粒子はな
く,製造工程の歩留まりが向上するという効果がある。
更に,カップリング剤の有機性基に官能基を持つものを
用いるとともに,その官能基と反応する官能基を有する
物質を選定して付加することで,分散剤分子の長さや溶
媒との親和性を制御し強磁性体微粒子の表面改質を任意
に行い得るから,溶媒の種類に応じて最適な分散性を強
磁性体微粒子に与えることが容易にできるという効果も
得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C10M 103:06 105:76 C10N 10:16 20:06 A 40:14 70:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高沸点有機溶媒と,該溶媒中に分散した強
    磁性体微粒子と,有機性基の他に少なくとも1個の加溶
    媒分解性の基を有してその加溶媒分解性基の反応生成物
    を介して前記強磁性体微粒子の表面に化学結合するカッ
    プリング剤とからなる磁性流体組成物。
  2. 【請求項2】前記加溶媒分解性の基はアルコキシ基から
    なる特許請求の範囲第1項記載の磁性流体組成物。
  3. 【請求項3】前記カップリング剤による強磁性体微粒子
    の表面の被覆率が20%以上である特許請求の範囲第1項
    記載の磁性流体組成物。
  4. 【請求項4】強磁性体微粒子に,低沸点有機溶媒と,有
    機性基の他に少なくとも1個の加溶媒分解性の基を有し
    てその加溶媒分解性基の反応生成物を介して前記強磁性
    体微粒子の表面に化学結合するカップリング剤とを加え
    ることにより,該カップリング剤を強磁性体微粒子の表
    面に化学結合させて,強磁性体微粒子が低沸点有機溶媒
    中に均一に分散された中間媒体を得る工程と,該中間媒
    体の分散性の悪い微粒子を分離した後,高沸点有機溶媒
    を中間媒体に加えて混合物とする工程と,該混合物を加
    熱して低沸点有機溶媒を蒸発分離せしめる工程とを包含
    する磁性流体組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】強磁性体微粒子に,低沸点有機溶媒と,有
    機性基の他に少なくとも1個の加溶媒分解性の基を有し
    てその加溶媒分解性基の反応生成物を介して前記強磁性
    体微粒子の表面に化学結合するカップリング剤とを加え
    ることにより,該カップリング剤を強磁性体微粒子の表
    面に化学結合させ,その後直ちに低沸点有機溶媒を除去
    して表面を前記カップリング剤で被覆された強磁性体微
    粒子を得る工程と,該強磁性体微粒子に高沸点有機溶媒
    を加えて混合物とする工程と,該混合物中の分散性の悪
    い微粒子を除去する工程とを包含する磁性流体組成物の
    製造方法。
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