JP3653110B2 - 良好なる分散性及び分散安定性を示す鱗片状酸化鉄系顔料及びその製造方法並びに該顔料を含む樹脂組成物又は有機溶媒組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、樹脂、樹脂を含む有機溶媒及び有機溶媒中で、良好なる分散性及び分散安定性をしめす光沢顔料及びその製造方法、並びに該光沢顔料を用いた樹脂、塗料、印刷、インキ等の幅広い分野に於いて利用される樹脂組成物及び有機溶媒組成物を提供する。
【0002】
【従来の技術】
鱗片状酸化鉄系顔料は天然にはMIOとして産出され防食用塗料に利用されたり、近年においては人工的に合成されるようになっている。下層用として用いられる防食用塗料としては、その外観は重要視されないのに対し、光沢顔料として使用される場合は各種車両や電化製品などの上塗りであるため、極めて高い品質が要求される。特に自動車の分野では一台の車両はもちろんのこと多台数にわたっても同一の色であることが要求される。
【0003】
ところが鱗片状酸化鉄系顔料は樹脂や塗料に分散し難く、又樹脂や塗料中に於いて分散安定性が不良であった。特に分散安定性が不良であるために樹脂や塗料中で沈殿しやすく、この結果色別れや色むらの問題、或いは保存時には常に攪拌する必要があるなど様々な問題を有している。この原因は鱗片状酸化鉄系顔料の形状や大きさに起因すると考えられる。即ち分散性に関しては通常の顔料が一般的には球状或いは粒状であり粒子同士の接触が主に点接触であるのに対し、鱗片状酸化鉄系顔料は板状形態を有することから、粒子同士の接触が板面同士の面接触となるため、一般的な顔料に比べ粒子同士の結合力が大きくなりやすいためだと考えられる。又分散安定性が不良であるのは粒径が1μm以上と通常の顔料の数倍から数十倍と大きく更に比重が約5.2と大きいことによるためだと考えられる。
【0004】
この問題を解決する手段の一つとして、顔料に高剪断力を作用させて機械的に分散状態にする手法が一般的な顔料で行われているが、鱗片状酸化鉄系顔料ではそれらの板状形状のために、高剪断力を作用させて機械的に分散状態にすることができない。これはこのような作用下では鱗片状酸化鉄系顔料が破砕され、光輝性が減じられるか或いは完全に喪失されてしまうからである。このことは特開昭63−46266において同様の形状を有する鱗片状マイカ顔料でも指摘されている。
【0005】
又他方では顔料表面に親水基と親油基を有する物質を被着して分散性を向上させることがあり、例えば光沢顔料の一つであるアルミフレークのように必要に応じてステアリン酸やオレイン酸等の脂肪酸が分散性向上のために付与されている。ところがこれらの脂肪酸を鱗片状酸化鉄系顔料に適用しようとした場合、該顔料が一次粒子に分散されていない状態、即ち二次凝集粒子に被着されることになり、乾燥時に固着して樹脂や塗料中でも凝集体として挙動してしまい、分散性や分散安定性は改善されない。さらにこれらの脂肪酸を添加する前に鱗片状酸化鉄系顔料を一次分散させるために高剪断力を作用させることは樹脂や塗料に分散させる時と同様の理由により不可能である。
【0006】
一方、酸化鉄に燐酸エステルを被着するものとして、磁気記録媒体に利用される磁性酸化鉄に燐酸エステルを被着し磁気記録媒体としての特性の向上を図ることが開示されている。例えば特開昭54−36931、特開昭57−56330、特開昭58−36931などが公開されているが、これらは鱗片状酸化鉄系顔料に比べて極めて微細な0.1μm以下の針状の粒子に対してのものであり本発明とは思想が異なる。しかもそれらの処理方法はボールミル、サンドグラインダーミル、エッヂランナー方式の粉砕機等を使用しており、鱗片状酸化鉄系顔料では粒子の破砕が生じるために簡単に応用できない。
【0007】
このように鱗片状酸化鉄系顔料は産業的には極めて有用な材料であるにもかかわらず、その形状や大きさが従来の顔料とはまったく異なるために、該顔料を利用するに当たっての技術が開発不充分な現状にあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の鱗片状酸化鉄系顔料は分散性及び分散安定性が悪く、特に上塗り用として用いられる場合、分散安定性が不良であることに起因する色別れや色むら或いは保存安定性に劣る等の問題点を有していた。
【0009】
これに対して本発明は分散性及び分散安定性に優れ、上述の諸問題を解決しうる鱗片状酸化鉄系顔料とその製造方法及び該顔料を用いた樹脂組成物及び有機溶媒組成物を提供するものである。
【0010】
【課題を解決する手段】
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、鱗片状酸化鉄系顔料に燐酸エステルを適量被着することによって、鱗片状酸化鉄系顔料の樹脂や有機溶媒への分散性及び樹脂や有機溶媒中での分散安定性が飛躍的に改善する事を見出だし、本発明の完成に至ったものである。又その製造方法に於いても極めて簡便且つ容易な方法を見出だし広く活用できるものである。
【0011】
次に本発明を説明する。まず、顔料の分散性や分散安定性を向上する手段として物理的な剪断力を作用させること以外の方法としては主に
1)顔料表面と分散媒の相溶性の向上
2)顔料同士の電荷反発
3)顔料表面への立体障害を生ずる物質の被着
等が理論的には考えられる。
【0012】
これよりまず鱗片状酸化鉄系顔料を水中に分散させる方法を考えると、上述の1)については元々酸化鉄の表面は水酸基で覆われているために、水との相溶性は良好であり、3)については顔料の分散自体が先に達成されていないと効果は無いため考慮できない。従って2)の方法によらなければならないことに必然的に到達する。顔料の表面電荷を変える方法としては水のpHを顔料の等電点と異なった値にすることもあるが、顔料表面に他の無機物質、例えば燐酸を被着する事による方法がある。
【0013】
一方鱗片状酸化鉄系顔料を樹脂や有機溶媒に分散させる方法を考えると、上述の2)の方法は樹脂や有機溶媒の極性が水に比べて極めて小さいか或いは全く無いために有効な手段とはならない。従ってここでは1)或いは3)による方法となる。1)については顔料表面に樹脂や有機溶媒と相溶性が大なる物質、例えば酸化エチレン基、アルキル基やアルキルフェノール基等の有機物を被着することで改善される。また3)については顔料表面に有機或いは無機の高分子鎖を被着する事で改善される。
【0014】
そこで水中に於いては顔料を電荷反発させる燐酸基と、樹脂或いは有機溶媒中ではこれらに対して相溶性大なる酸化エチレン基と、望ましくはさらに適度な高分子鎖を有するアルキル基やアルキルフェノール基等の有機物を合わせ持つ物質を鱗片状酸化鉄系顔料に処理すれば、鱗片状酸化鉄系顔料を利用するに当たっての諸問題を一挙に解決できるのではないかと考えた。
【0015】
即ち鱗片状酸化鉄系顔料の懸濁水溶液に対して燐酸エステルを処理することによって、鱗片状酸化鉄系顔料の水中での高分散状態を達成し、さらに水分を除去して得られた鱗片状酸化鉄系顔料が樹脂或いは有機溶媒に対して良好なる分散性及び分散安定性を示すことを見出だした。又鱗片状酸化鉄系顔料の工業的製法は鉄を含んだアルカリ水溶液を高圧容器中で高温高圧として鱗片状の酸化鉄とした後、適宜洗浄、乾燥して得るものであり、鱗片状酸化鉄系顔料の懸濁水溶液に直接燐酸エステルを処理するこの方法は工業的にも極めて利用しやすいという特徴がある。
【0016】
より具体的には鱗片状酸化鉄系顔料を含む懸濁水溶液に燐酸エステルを添加し、顔料の単位表面積(1▲▼)当たりに換算して0.2〜10mgの燐酸エステルを被着して使用目的に合わせてpHを調整した後、適当な方法で水分を除去することによって分散性及び分散安定性に優れる鱗片状酸化鉄系顔料が得られる。
【0017】
ここで重要な点は燐酸エステルの被着量であり、被着量が少ないと分散効果が現れにくく、又被着量を多くすると分散効果の点では問題とならないが、コスト的には好ましくない。被着量としては顔料の単位比表面積当たりに換算して0.2〜10mg望ましくは0.5〜5mgが適当である。
【0018】
燐酸エステルとしては少なくとも燐酸基と酸化エチレン基を含む必要があるが、さらに樹脂や有機溶媒と相溶性大で高分子鎖を有する適当な有機物、例えば炭素数6〜40のアルキル基やアルキルフェノール基等を含むことが好ましい。
【0019】
基体となる鱗片状酸化鉄系顔料の粒径が大きすぎると顔料の比表面積が小さくなり、相対的に顔料の単位重量当たりの燐酸エステルの被着量が少なくなるので、分散性及び分散安定性が改善されなくなる。一方粒径が小さい場合には特に問題ないと考えられるが、元々の顔料自身の光輝性が小さくなるために本発明の効果が現れにくくなる。平均径としては2〜30μm望ましくは3〜20μmが適当である。又板状比については特に制約はないと考えられるので、光輝性が充分に現れる2〜300の板状比を有する鱗片状酸化鉄系顔料に適用できる。
【0020】
又鱗片状酸化鉄系顔料の結晶構造には特に制限はないと考えられるが、酸化鉄系顔料のうち磁化量の大きなマグネタイトやマグヘマイトは磁気凝集を起こしやすい点で好ましくなく、望ましくはヘマタイト型構造を有するのが好ましい。
【0021】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳細に説明する。但し以下の実施例は単に例示のために示すものであり、本発明の範囲がこれらによって制限されるものではない。
【0022】
以下の実施例の鱗片状酸化鉄系顔料の平均径はセイシン工業製LASER MICRON SIZER PRO−7000Sを用いて測定した。板状比は平均径と電子顕微鏡による厚みの測定値より計算した。
【0023】
又、顔料の分散性及び分散安定性については絶対評価ができないため、樹脂或いは有機溶媒中に於ける顔料の沈降体積の大小と顔料の沈降速度によって比較することとした。これは一般に顔料が溶媒に対して分散性及び分散安定性が良好であるとき顔料が沈降した際には小さな沈降体積となるが、分散性不良で一次粒子に分散されずにアグロメレーションを形成していたり、或いはいったん機械的な力等で一次粒子に分散しても分散安定性不良で再び顔料同士が結合してフロキュレーションを形成するとその沈降体積は大きくなる。又沈降速度は顔料の粒径の二乗に比例して速くなるため、分散性及び分散安定性が良好であれば沈降速度は遅くなり、逆に分散性や分散安定性が不良でアグロメレーションやフロキュレーションを形成すると見掛けの粒径が大きくなるために沈降速度は速くなる。
【0024】
以上を元に非極性有機溶媒としてトルエン中での顔料濃度30g/lの時の沈降速度及び顔料3gの沈降体積の測定と、トルエンとアクリル樹脂(アクリディック47−712:大日本インキ化学工業株式会社製)との1:1混合溶液及び極性有機溶媒としてトルエン/酢酸ブチル/軽ソルベントナフタ(Solvesso100:Esso Stndard Oil Co.,Inc.,製)の3:5:2混合有機溶媒とアクリル樹脂(アクリディック47−712:大日本インキ化学工業株式会社製)との3:2混合溶液の2種類の溶液中での沈降状態の比較によって分散安定性の比較を行った。ここで沈降状態の比較とはそれぞれの溶液に顔料を分散して一定時間静置し、未処理品の顔料の沈降状態(顔料の沈降界面形成とその高さ)に対して
極めて良好…顔料の沈降界面が形成されていないもの
良好…顔料の沈降界面は形成されるがその高さが未処理品より高いもの
変化無し…顔料の沈降界面が形成されその高さも未処理品と同等であるもの
の3水準で比較したものである。
【0025】
尚燐酸エステルはアルキルフェノール基を有するものとして東邦化学製のRE−610を、アルキル基を有するものとして東邦化学製のRS−710を使用した。
【0026】
実施例1
平均径15μm、板状比5を有する鱗片状酸化鉄顔料を水に懸濁し、これをゆっくりと撹拌しながら燐酸エステル(東邦化学製RE−610)を添加し単位表面積当たり1mgを被着し、これを瀘別乾燥した。得られた顔料は表1に示すごとく、未処理品に比べいずれの溶液中でも分散性及び分散安定性に優れるものであった。
【0027】
実施例2
平均径7μm、板状比60を有し、Al2O3換算で7重量部のAlを含む、Al置換型鱗片状酸化鉄系顔料(チタン工業製 酸化鉄パール顔料AM−100)を水に懸濁し、これをゆっくりと撹拌しながら燐酸エステル(東邦化学製RE−610)を添加し単位表面積当たり1mgを被着し、これを瀘別乾燥した。得られた顔料は表1に示すごとく、未処理品に比べいずれの溶液中でも分散性及び分散安定性に極めて優れるものであった。
【0028】
実施例3
平均径12μm、板状比50を有し、Al2O3換算で4重量部のAlを含む、Al置換型鱗片状酸化鉄系顔料(チタン工業製 酸化鉄パール顔料AM−200)を水に懸濁し、これをゆっくりと撹拌しながら燐酸エステル(東邦化学製RE−610)を添加し単位表面積当たり1mgを被着し、これを瀘別乾燥した。得られた顔料は表1に示すごとく、未処理品に比べいずれの溶液中でも分散性及び分散安定性に極めて優れるものであった。
【0029】
実施例4
平均径15μm、板状比5を有し、Al2O3換算で1重量部のAl及びZnO換算で0.5重量部のZnを含むAl−Zn置換型鱗片状酸化鉄系顔料(チタン工業製 酸化鉄パール顔料AM−400)を水に懸濁し、これをゆっくりと撹拌しながら燐酸エステル(東邦化学製RE−610)を添加し単位表面積当たり1mgを被着し、これを瀘別乾燥した。得られた顔料は表1に示すごとく、未処理品に比べいずれの溶液中でも分散性及び分散安定性に優れるものであった。
【0030】
実施例5
平均径9μm、板状比90を有し、Al2O3換算で6重量部のAl及びMnO換算で1重量部のMnを含むAl−Mn置換型鱗片状酸化鉄系顔料を水に懸濁し、これをゆっくりと撹拌しながら燐酸エステル(東邦化学製RE−610)を添加し単位表面積当たり1mgを被着し、これを瀘別乾燥した。得られた顔料は表1に示すごとく、未処理品に比べいずれの溶液中でも分散性及び分散安定性に極めて優れるものであった。
【0031】
実施例6
平均径12μm、板状比50を有し、Al2O3換算で4重量部のAlを含む、Al置換型鱗片状酸化鉄系顔料(チタン工業製 酸化鉄パール顔料AM−200)を水に懸濁し、これをゆっくりと撹拌しながら燐酸エステル(東邦化学製RE−610)を添加し単位表面積当たり0.5mgを被着し、これを瀘別乾燥した。得られた顔料は表1に示すごとく、未処理品に比べいずれの溶液中でも分散性及び分散安定性に極めて優れるものであった。
【0032】
実施例7
平均径12μm、板状比50を有し、Al2O3換算で4重量部のAlを含む、Al置換型鱗片状酸化鉄系顔料(チタン工業製 酸化鉄パール顔料AM−200)を水に懸濁し、これをゆっくりと撹拌しながら燐酸エステル(東邦化学製RE−610)を添加し単位表面積当たり2.5mgを被着し、これを瀘別乾燥した。得られた顔料は表1に示すごとく、未処理品に比べいずれの溶液中でも分散性及び分散安定性に極めて優れるものであった。
【0033】
実施例8
平均径12μm、板状比50を有し、Al2O3換算で4重量部のAlを含む、Al置換型鱗片状酸化鉄系顔料(チタン工業製 酸化鉄パール顔料AM−200)を水に懸濁し、これをゆっくりと撹拌しながら燐酸エステル(東邦化学製RE−610)を添加し単位表面積当たり10mgを被着し、これを瀘別乾燥した。得られた顔料は表1に示すごとく、未処理品に比べいずれの溶液中でも分散性及び分散安定性に極めて優れるものであった。
【0034】
実施例9
平均径12μm、板状比50を有し、Al2O3換算で4重量部のAlを含む、Al置換型鱗片状酸化鉄系顔料(チタン工業製 酸化鉄パール顔料AM−200)を水に懸濁し、これをゆっくりと撹拌しながら燐酸エステル(東邦化学製RS−710)を添加し単位表面積当たり1mgを被着し、これを瀘別乾燥した。得られた顔料は表1に示すごとく、未処理品に比べいずれの溶液中でも分散性及び分散安定性に極めて優れるものであった。
【0035】
以上の実施例の概要を表1に示す。又上記のいずれの実施例においても、燐酸エステルを添加した後の懸濁水溶液中の鱗片状酸化鉄系顔料は添加前の状態より明らかに分散していた。
【0036】
比較例1
平均径12μm、板状比50を有し、Al2O3換算で4重量部のAlを含む、Al置換型鱗片状酸化鉄系顔料(チタン工業製 酸化鉄パール顔料AM−200)を水に懸濁し、これをゆっくりと撹拌しながら燐酸エステル(東邦化学製RE−610)を添加し単位表面積当たり0.05mgを被着し、これを瀘別乾燥した。得られた顔料は表1に示すごとく、未処理品に比べトルエン中の分散性はやや改善されるものの、トルエン−アクリル樹脂の溶液中及びトルエン/酢酸ブチル/S−100−アクリル樹脂の溶液中では分散安定性に差はなかった。又燐酸エステルを添加した後の懸濁水溶液中の鱗片状酸化鉄系顔料の分散状態は添加前の状態と殆ど変化しなかった。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
鱗片状酸化鉄系顔料は樹脂や有機溶媒に分散しにくく、樹脂や有機溶媒中に於いて分散安定性が不良であった。特に分散安定性が不良であるために樹脂や有機溶媒中で沈降しやすく、この結果色別れや色むら或いは保存時には常に攪拌する必要があるなど様々な問題を有していた。
【0039】
本発明の鱗片状酸化鉄系顔料は分散性及び分散安定性を改善することによって、これらの諸問題を解決し、樹脂、塗料等の分野に於いて産業上極めて有益な技術を提供するものである。又その製法も極めて簡便且つ効果的なものであり産業上極めて利用しやすいものである。
Claims (7)
- 基体顔料の表面が単位表面積(1m2)当たりに換算して0.2〜10mgの燐酸エステルで被着された事を特徴とする鱗片状酸化鉄系顔料。
- 基体顔料が平均径で2〜30μmである事を特徴とする請求項1記載の鱗片状酸化鉄系顔料。
- 基体顔料がヘマタイト型構造を有する鱗片状酸化鉄顔料又はその鉄元素の一部がAl単独で置換されるか、或いはさらにSi、Mn、Zn、Sb及びSnからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素によって置換した鱗片状酸化鉄系光沢顔料である事を特徴とする請求項1記載の鱗片状酸化鉄系顔料。
- 水中に懸濁した基体顔料に対して燐酸エステルを添加した後、水分を除去する事を特徴とする請求項1記載の鱗片状酸化鉄系顔料の製造方法。
- 燐酸エステルが少なくとも燐酸基及び酸化エチレンを有する有機燐酸エステルであることを特徴とする請求項4記載の鱗片状酸化鉄系顔料の製造方法。
- 請求項1記載の鱗片状酸化鉄系顔料を含むことを特徴とする樹脂組成物。
- 請求項1記載の鱗片状酸化鉄系顔料を含むことを特徴とする有機溶媒組成物。
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