JPH0739353Y2 - 超音波モータ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、ステータにロータを圧接し、ステータに生じ
る進行波によりロータを回転させるようにした超音波モ
ータに関し、特にステータの固定状態を改善して所定波
長の進行波を有効に生じるようにしたものである。

［従来の技術］ 超音波モータは、ステータの一方の面に多数の圧電素子
をその駆動用高周波電圧の波長の1/2ピッチで配置する
か、あるいは、そのように圧電体を分極させて設けられ
る。多数の圧電素子はλ/4の間隔をあけて２組に区分
し、それぞれに90°位相差のある高周波電圧を印加させ
ることによりステータに進行波を生じさせている。そし
てステータの他の面に圧接したロータを、進行波により
回転させるようになっている。

ロータはステータの外周部で接し、ステータの進行波の
作用を受けることにより回転するようになっているの
で、ステータには進行波を有効に生じさせる必要があ
る。このため第３図に示すように、ステータＡにおける
圧電体Ｂを接着した外周部は、ステータを保持する基板
Ｃとの間に間隔があけられ、ステータＡの中央部の数個
所が基板ＣにネジＤにより固定されている。

［考案が解決しようとする課題］ 従来の超音波モータでは、ステータの中央部をネジによ
り基板に固定しているため、ステータはそのネジ止め部
分に応力が生じており、ステータ全体が均一な応力状態
になっていない。このため圧電素子に所定の高周波電圧
を印加しても、所定波長で所定振幅の進行波が生じにく
く、ロータを所定の出力で回転させることができないこ
とがあった。

そこで本考案は、ステータの基板への固定を改善するこ
とによりステータ全体を均一応力状態にして、モータの
出力効率を向上させることを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、ステータの一方の面に接着された２組の圧電
体部分に互いに90°位相差のある駆動用高周波電圧を印
加して進行波を発生させ、ステータの他の面に圧接した
ロータを進行波により回転させるようにした超音波モー
タにおいて、ステータの中央部のロータ側にスタビライ
ザを設け、ステータの中央部はステータ自身かもしくは
スタビライザに設けた突出リングを介してスタビライザ
に接しられ、スタビライザを止め部材により基板に固定
することによりステータを固定させたことを特徴とす
る。

ステータの中央部と基板とは、互いに面により接触させ
てもよいが、よりモータの出力効率を向上させるために
は、基板もしくはステータにリング状突条を設けて、そ
のリング状突条を介して基板とステータとが接するよう
にすればよい。

［作用］ 上記手段の超音波モータでは、ステータが突出リングを
介してスタビライザにより基板側に押し付けられ固定さ
れる。このためステータ全体の応力状態は均一になり、
圧電体に高周波電圧を印加することによりステータに生
じる進行波は、所定の波長のものとなり、進行波はロー
タに効率よく作用して回転させることができる。

またステータと基板との間もリング状突条を介して接す
るようにすれば、ステータの応力状態がさらに均一にな
り、基板に面接触する場合よりも自由度があって、より
精度よく所定波長の進行波を発生させることができる。

［実施例］ 本考案の実施例を第１、２図により説明する超音波モー
タは、基板１上に円盤状のステータ２が重ねられ、さら
にその上に摩擦材を接合したロータ３が重ねられ、ステ
ータ２に後記のように生じる進行波によりロータ３を回
転させるようになっている。なお、ステータ２もしくは
ロータ３の材質等を選択することにより、両者間に摩擦
が生じるようにすれば、両者間の摩擦材は不要である。
また、ステータ２がロータ３と接する外周部のステータ
の環状面に放射状の多数の突条2aが設けられ、ステータ
２に生じる進行波の振幅を大きくできるようになってい
る。

ステータ２を基板１に固定するために、スタビライザ４
がステータ２の中央部を基板側に押しつけるようになっ
ており、ステータ２の外周部は進行波が有効に生じるよ
うにするため、ステータ２の外周部と基板１との間に間
隔が設けられる。そしてスタビライザ４はその中央部の
数個所にボルト５が貫通され、ボルトはさらにステータ
２に設けた貫通孔2aを貫通して、基板１にねじ込まれる
ことによりスタビライザ４が固定される。

スタビライザ４のステータ側の外周部には、突出リング
4bが設けられ、この突出リング4bのみがステータ２の中
央部に接するようになっている。しかしこの突出リング
4bをスタビライザ４に設ける代りに、ステータ２の中央
部に突出リングを設けて、この突出リングがスタビライ
ザと接するようにしてもよい。

また、ロータ３がステータ２の進行波を受けて回転する
ためにはロータ３をステータ２に圧接させる必要があ
り、ロータ３は、摩擦材６を介して皿バネ７によりステ
ータ側に押圧されるようになっている。皿バネ７の中心
側基部は出力軸８の鍔部8aに取付けられ、ロータ３が回
転したときに皿バネ７を介して出力軸８も一体に回転す
るようになっている。なお、出力軸８はロータ３とステ
ータ２と基板１の各中央孔を貫通し、その出力軸８は基
板１に設けた軸受け９と、ロータ３の上部を覆うケーシ
ング10に設けたスラスト軸受け11とに保持される。

ステータ２は弾性体により形成され、その外周部は基板
１から離れていて、ステータ２の基板１側の面に圧電体
12が接着されている。圧電体12は環状に配置され、それ
に印加する駆動用高周波電圧の波長λの1/2のピッチの
複数の圧電素子に分極され、複数の圧電素子は1/4λだ
け離した２組の圧電体部分に分けられる。そして２組の
圧電体部分にそれぞれ90°位相差のある高周波電圧を印
加することにより、ステータ２に波長λの進行波を生じ
させるようになっている。

上記実施例ではステータの中央部が基板１に面接触され
ていたが、第２図に示すように、基板１の中央部にリン
グ状突条13を設けて、そのリング状突条13とステータ２
の中央平面部とを接するようにしてもよい。この場合と
は、ステータ２と基板１とが線接触となり、ステータ２
に偏った応力が生じにくくなるのでステータに生じる進
行波の波長、振幅等を所定のものにさせやすくなる。な
お、この実施例でも、基板１にリング状突条13を設ける
代りに、ステータ２の基板側の面にリング状突条を設け
るようにしてもよい。

［考案の効果］ 本考案の超音波モータは、ステータを基板側に押しつけ
て固定するスタビライザとステータとは、突出リングを
介して接するようになっているので、ステータはその固
定によって偏った応力状態になることはなく、ステータ
に生じさせる進行波を所定波長、所定振幅のものにしや
すくなる。またステータと基板との間も、面接触でなく
リング状突条を介して接しさせるようにすれば、さらに
所定の進行波を生じさせやすくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の超音波モータの部分断面図、第２図は
第２実施例の超音波モータにおける要部断面図、第３図
は従来の超音波モータの部分断面図である。 1:基板、2:ステータ、3:ロータ、4:スタビライザ、4b:
突出リング、13:リング状突条

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 佐伯 孝夫 愛知県刈谷市朝日町２丁目１番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)考案者 梅村 千明 愛知県刈谷市朝日町２丁目１番地 アイシ ン精機株式会社内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ステータの一方の面に接着された２組の圧
   電体部分に互いに90°位相差のある駆動用高周波電圧を
   印加して進行波を発生させ、ステータの他の面に圧接し
   たロータを進行波により回転させるようにした超音波モ
   ータにおいて、ステータの中央部のロータ側にスタビラ
   イザを設け、ステータの中央部はステータ自身かもしく
   はスタビライザに設けた突出リングを介してスタビライ
   ザに接しられ、スタビライザを止め部材により基板に固
   定することによりステータが固定されることを特徴とす
   る超音波モータ。
2. 【請求項２】基板とステータの中央部の対向面間に、そ
   れら両者の一方からリング状突条を突出させ、このリン
   グ状突条を介してステータと基板とが接するようにした
   請求項１に記載の超音波モータ。