JP2539595B2 - 電歪モ−タ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、信号が入力すると、電歪素子が変形して回
転力を発生する電歪モータに関するものである。

（従来例の構成とその問題点） 近年、高周波信号が入力したときに円板状電歪素子の
表面に生じる表面波を用いて、回転力を発生する電歪モ
ータが試作、研究され、その結果が文献（特開昭58−14
8682号）に紹介されているが、未だ、量産市販品は発表
されておらず、又、量産に適した構成を開示した文献も
出ていない。

（発明の目的） 本発明の目的は、性能、品質、価格等の面で、量産性
の優れた電歪モータを提供することにある。

（発明の構成） 本発明は、筐体の壁面に開設した取付窓に突出部を嵌
合した上、取付窓に近接して設けた折曲げ部を突出部に
曲げ付けて、前記筐体に位置決め固定された印刷配線基
板を通じて高周波信号が入力して、印刷配線基板にクッ
ション材を介して固着された電歪素子が振動すると、電
歪素子に固着した弾性体の表面に円周方向の横波進行波
が発生して、弾性体に圧接する回転板が円周方向に回転
するものである。

（実施例の説明） 以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説
明する。

第１図は、本発明の一実施例における電歪モータの断
面図を示すもので、10は図中左周側面に取付窓10a（第
２図参照）を、図中右周側面に取付窓10b（第３図参
照）をそれぞれ穿設すると共に、取付窓10aの両横に折
曲げ部10c（第２図参照）を、取付窓10bの下部の切欠き
穴10dとの間に折曲げ部10e（第３図参照）をそれぞれ形
設した電歪モータの筐体、11は端子部11a及び突起11bを
外周端面から放射方向に突設し、銅箔部11c、11d及び11
eを表面に設けた環状の印刷配線基板で、この印刷配線
基板11は、筐体10の外周壁面から突出するように端子部
11aを取付窓10aに嵌合し、且つ、端子部11bを取付窓10b
に嵌合した上、折曲げ部10cを端子部11aの両側面に曲げ
付け、且つ、折曲げ部10eを突起11bの下面に曲げ付ける
ことにより、筐体10に位置決め固定される。12は印刷配
線基板11の下面に接着、固定された、フェルト、スポン
ジ等の弾性部材から成るクッション材、13は、第２図の
電歪素子分極・配線図に示すように、表面に12箇の表面
電極部e,f,g,h,i,j,k,l,m,n,o及びｐを分けて設け、裏
面に１つの裏面電極部を設けた、チタン酸ジルコン酸鉛
等から成る環状の電歪素子で、この電歪素子13は、クッ
ション材12に変形可能な状態で接着、固定された上、表
面電極部ｅ乃至ｊがジャンパー線13aを介して銅箔部11d
に、表面電極部ｋ乃至ｐがジャンパー線13aを介して銅
箔部11cに、且つ、裏面電極部がジャンパー線13bを介し
て銅箔部11eにそれぞれ接続され、各表面電極部e,f,g,
h,i,j,k,l,m,n,o,p毎にプラスの信号が入力し、裏面電
極部にマイナスの信号が入力すると、電歪素子13の表面
電極部e,k,g,m,i及びｏが矢印で示したように円周方向
に縮み、電歪素子13の表面電極部f,l,h,n,j及びｐが矢
印で示したように円周方向に伸びる。14は電歪素子13の
表面に接着した、鋼、黄銅等の金属から成る環状の弾性
体、15は摩擦係数が大きく、耐摩耗性の優れた樹脂等で
形成された環状のフェーシング部16を周縁部に接着した
円形の回転板、17は一端に回転板15を嵌着した出力軸、
18は出力軸17の中間部を筐体10に対して回動自在に支持
したボールベアリング、19は出力軸17に嵌着した止め
輪、20はボールベアリング18と止め輪19との間に介装し
た圧縮コイルバネで、この圧縮コイルバネ20の伸張力に
よって出力軸17を図中を上方に付勢して、回転板15のフ
ェーシング部16を弾性体14に圧接させる。21は筐体10の
底部に嵌着した底板で、この底板21により筐体10の内部
に異物が入るのを防止している。

このように構成された本実施例では、高周波電源部か
らの導線を端子部11aに接続して、銅箔部11cと銅箔部11
eとの間に高周波信号が入力すると共に、銅箔部11dと銅
箔部11eとの間に、この高周波信号より90度位相のずれ
た高周波信号が入力すると、電歪素子13が円周方向に振
動して、電歪素子13に一体に接着された弾性体14の下面
が上下方向に変位する。すると、弾性体14の下面に３つ
の山と３つの谷とが形成されると共に、その３つの山と
３つの谷とが円周方向に回転する横波進行波が生じて、
弾性体14に圧接しているフェーシング部16を３点で支持
しながら円周方向に回転させるので、回転板15は出力軸
17と共に円周方向に回転する。ところで、弾性体14から
フェーシング部16に伝達される回転力は、弾性体14とフ
ェーシング部16の間の摩擦力によって決まるが、その摩
擦力は弾性体14とフェーシング部16との間の摩擦係数
と、その間の接触圧力、即ち、圧縮コイルバネ20の伸張
力とによって決まるので、フェーシング部16を弾性体14
の材質に対して摩擦係数の高い材質で形成すると共に、
弾性体14にフェーシング部16を強く押し付ければ、出力
軸17に負荷が掛かって、回転に制動が加わっても、相当
の回転力を出力することができる。又、弾性体14の下面
に生じる横波進行波の振幅は数ミクロンから数十ミクロ
ン程度なので、弾性体14とフェーシング部16とを３点の
山で接触させるには、弾性体14の下面の軸直角度とフェ
ーシング部16の軸直角度とを高精度に保つ必要がある。
もし、弾性体14が傾いて山以外のところがフェーシング
部16に触れると回転のブレーキとなり、回転力を効率よ
く取り出すことができない。そこで、電歪素子13を筐体
10に対して位置決め保持している印刷配線基板11の基板
を、鉄、アルミニウム板等を一体に接着した金属基板に
すれば、圧縮コイルバネ20の伸張力をより大きくしても
その力に耐えることができるようになって、電歪モータ
の出力トルクをより大きくすることがてきると共に、電
歪モータが使用できる環境温度範囲を広くできる。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明によれば、筐体の取付窓
に嵌合した印刷配線基板の突出部に折曲げ部を曲げ付け
れば、その突出部が取付窓に高精度に、且つ、量産可能
の状態で位置決め固定されるので、印刷配線基板にクッ
ション材を介して固着されている電歪素子及び弾性体
と、筐体に軸着されている回転板とが、共に、軸直角、
且つ、平行に高精度で配設され、微妙な弾性体表面の横
波進行波を確実に回転板に伝達できる利点がある。又、
印刷配線基板上に電歪素子を固着することにより、印刷
配線基板上の銅箔パターンと電歪素子上の数多くの各電
極部との結線が単純、且つ、容易に成る利点がある。更
に、印刷配線基板として金属基板を用いることにより、
高温雰囲気下における基板の変形が無く、又、強い圧縮
コイルバネによる変形等も解消することができるので、
高い性能を広い環境温度下で実現できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例における電歪モータの断面
図、第２図は本実施例の左側面図、第３図は本実施例の
右側面図、第４図は本発明の一実施例における電歪素子
の分極・配線図である。 10……筐体、10a,10b……取付窓、10c,10e……折曲げ
部、11……印刷配線基板、11a……端子部（突出部）,11
b……突起（突出部）、12……クッション材、13……電
歪素子、14……弾性体、15……回転板。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】筐体の壁面に開設した取付窓に突出部を嵌
   合した上、前記取付窓に近接して設けた折曲げ部が前記
   突出部に曲げ付けられて、前記筐体に位置決め固定され
   る印刷配線基板と、前記印刷配線基板にクッション材を
   介して固着され、且つ、高周波信号が前記印刷配線基板
   を通じて入力すると振動する電歪素子と、前記電歪素子
   の表面に固着され、且つ、前記電歪素子の振動に伴って
   表面に円周方向の横波進行波を生じる弾性体と、前記弾
   性体に圧接され、且つ、前記弾性体の横波進行波によっ
   て回転する回転板とが具備されていることを特徴とする
   電歪モータ。