JP3673172B2 - 超音波モータ、及びステータ - Google Patents

超音波モータ、及びステータ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波モータ、及びステータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の超音波モータとしては、図5及び6に示すような定在波型(所謂ボルト締めランジュバン型)のものがある。この超音波モータは、ステータ51とロータ52とを備えている。ステータ51は、金属ブロック53,54、圧電素子55,56、電極板57〜59、及びボルト60を備えている。各部材53〜59は、図6に示すように円柱状に積層されて、両ブロック53,54がボルト60にて締め付けられることにより連結固定されている。
【0003】
詳述すると、各ブロック53,54は略円筒形状に形成され、その外周面下端側には、切り欠かれることで平坦とされた係合面53a,54aが周方向に4つ等角度(90°)間隔に形成されている。圧電素子55,56及び電極板57〜59は円板状に形成され、それらの外径は、図6に示すように、係合面53a,54aが形成された部位の外径と同じに設定されている。そして、両ブロック53,54が圧電素子55,56及び電極板57〜59を挟んだ状態で、係合面53a,54aを図示しない治具(トルクレンチ等)にてそれぞれチャック(狭持)して、両ブロック53,54をボルト60に螺合させて締結している。このように金属ブロック53,54に係合面53a,54aを設け、治具を係合させて締結するため、ステータ1は容易に組み立てられる。
【0004】
このステータ1の下部外周、詳しくは下側の金属ブロック53の外周面上端側には、縦振動が励起されると捩り振動を発生するスリット53bが周方向に複数形成されている。尚、上側の金属ブロック54の環状の上端面には、薄肉の摩擦材(ライニング材)61が貼付されている。
【0005】
ロータ52は、略円筒状に形成され、図示しない加圧機構によりステータ51の上面、即ち金属ブロック54に貼付された摩擦材61に摺動回転可能に加圧接触されている。ロータ52の外周には、縦振動が励起されると捩り振動を発生するスリット52aが周方向に複数形成されている。
【0006】
このような超音波モータでは、電極板57〜59に、共振周波数(ステータ51とロータ52との共通の共振周波数)の高周波電圧が印加されると、圧電素子55,56にて縦振動が発生され、該振動に基づいて金属ブロック53のスリット53bにて捩り振動が発生される。そして、その捩り振動と縦振動とが合成されてステータ51(摩擦材61の上端面)に複合振動が生じる。又、ステータ51(摩擦材61の上端面)に加圧接触されたロータ52では、ステータ51の縦振動成分に基づいてスリット52aにて捩り振動が発生される。そして、ステータ51及びロータ52の捩り振動成分による推進力でロータ52が回転する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような超音波モータでは、金属ブロック54の下端面に電極板57を介して当接された圧電素子55の外径が係合面53a,54aが形成された部位の外径と同じに設定され、締結時の応力により金属ブロック54が塑性変形することから、圧電素子55の一部分に集中して応力がかかることになる。尚、この集中して応力がかかる個所は、係合面54aと対応した位置である。例えば、対向する2つの係合面54aを挟むように係合されるスパナ等を用いて金属ブロック54を回転させて締結した場合、図7のFEM解析にて特定した圧電素子55における応力分布の模式図に示すように、スパナが係合される2つの係合面54aと対応した位置Xに集中して大きな応力がかかる。よって、締結時に圧電素子55が破損したり、締結後に圧電素子55が破損し易くなるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、圧電素子の破損を低減することができる超音波モータ、及びステータを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、圧電素子が複数の金属ブロック体に挟まれた状態で、軸方向に挿通する締結部材により締結されてなるステータと、前記ステータの一端面に回転可能に加圧接触されたロータとを備え、前記ステータに発生する振動により前記ロータを回転駆動する超音波モータにおいて、前記金属ブロック体の少なくとも1つの外周面には、締結時に該金属ブロック体を回転させるための治具が係合される係合部が形成され、前記金属ブロック体が該金属ブロック体の中心軸に対して締結方向に回転する際の前記係合部における締結方向の先端部分には、前記圧電素子側端部に向かうほど面が広くなる切り欠き部が形成されている。
【0012】
請求項に記載の発明では、請求項に記載の超音波モータにおいて、前記係合部は、前記ロータ側の前記金属ブロック体の前記圧電素子側端部に形成された。
【0014】
請求項に記載の発明では、圧電素子が複数の金属ブロック体に挟まれた状態で、軸方向に挿通する締結部材により締結されてなる超音波モータのステータにおいて、前記金属ブロック体の少なくとも1つの外周面には、締結時に該金属ブロック体を回転させるための治具が係合される係合部が形成され、前記金属ブロック体が該金属ブロック体の中心軸に対して締結方向に回転する際の前記係合部における締結方向の先端部分には、前記圧電素子側端部に向かうほど面が広くなる切り欠き部が形成されている。
【0015】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、圧電素子の外径は、締結時に治具が係合される係合部が形成された部位の外径より小さく設定されるため、圧電素子の一部にかかる応力が低減される。さらに、金属ブロック体の締結時に治具が係合される係合部における締結方向の先端部分には、圧電素子側端部に向かうほど面が広くなる切り欠き部が形成されるため、圧電素子の一部にかかる応力が低減される。
【0018】
請求項に記載の発明によれば、係合部がロータ側の金属ブロック体の圧電素子側端部に形成されるため、言い換えると、ロータ接触面から離れて形成されるため、ロータ接触面に悪影響を与え難い。
【0020】
請求項に記載の発明によれば、金属ブロック体の締結時に治具が係合される係合部における締結方向の先端部分には、圧電素子側端部に向かうほど面が広くなる切り欠き部が形成されるため、圧電素子の一部にかかる応力が低減される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図3に従って説明する。図1及び図2に示すように、超音波モータは、ステータ1とロータ2とを備えている。ステータ1は、下側金属ブロック3、上側金属ブロック4、第1及び第2圧電素子5,6、第1〜第3電極板7〜9、締結部材としてのボルト10、及び絶縁カラー11を備えている。
【0022】
下側及び上側金属ブロック3,4は、導電性金属よりなり、本実施形態ではアルミ合金にて形成されている。下側金属ブロック3は、略円筒状に形成され、その外周面下端側には、切り欠かれることで平坦とされた係合部としての係合面3aが周方向に4つ等角度(90°)間隔に形成されている。又、下側金属ブロック3の貫通孔の内周面には雌ネジ3bが形成されている。又、下側金属ブロック3の外周面上端側には、縦振動が励起されると捩り振動を発生する複数のスリット(凹部)3cが形成されている。尚、下側金属ブロック3の外周には、内周に係合面3aと対応した直線部を有する環状の固定用リング12が下方から嵌着されている。この固定用リング12は、ステータ1の捩り振動を阻害しない位置に配設され、ステータ1を外部の図示しない被固定部に固定するための固定部となる。
【0023】
上側金属ブロック4は、内外径が下側金属ブロック3と同じ略円筒状に形成され、その外周面下端側には、切り欠かれることで平坦とされた係合部としての係合面4aが周方向に4つ等角度(90°)間隔に形成されている。又、上側金属ブロック4の貫通孔の内周面には、雌ネジ4bが形成されている。尚、上側金属ブロック4の環状の上端面には薄肉の摩擦材13が貼付されている。
【0024】
第1及び第2圧電素子5,6は円板状に形成され、その中心部に貫通孔がそれぞれ形成されている。この第1及び第2圧電素子5,6の内径は、上側金属ブロック4の内径より大きく設定されている(図2参照)。又、第1及び第2圧電素子5,6の外径は、上側金属ブロック4の係合面4aが形成された部位の外径より小さく設定されている。詳しくは、第1及び第2圧電素子5,6の外径は、上側金属ブロック4の軸中心から係合面3aまでの最短の長さを半径とした円より小さい径に設定されている(図2参照)。
【0025】
第1〜第3電極板7〜9は円板状に形成され、その中心部には貫通孔がそれぞれ形成されている。この第1〜第3電極板7〜9の内外径は、第1及び第2圧電素子5,6の内外径と同じに設定されている。
【0026】
ボルト10は、略円柱状に形成され、その外周面には雄ネジ10aが形成されている。雄ネジ10aは、下側及び上側金属ブロック3,4の雌ネジ3b,4bと螺合可能な径に設定されている。
【0027】
絶縁カラー11は、絶縁性樹脂にて円筒状に形成されている。この絶縁カラー11は、その外径が前記第1及び第2圧電素子5,6、第1〜第3電極板7〜9の内径と同じに設定され、その内径がボルト10の外径と同じ(ボルト10を内嵌可能)に設定されている。
【0028】
そして、第1及び第2圧電素子5,6と第1〜第3電極板7〜9とを挟んだ下側金属ブロック3と上側金属ブロック4は、その内部を軸線方向に挿通するボルト10により締結される。詳述すると、図2に示すように、下側金属ブロック3、第3電極板9、第2圧電素子6、第2電極板8、第1圧電素子5、第1電極板7、上側金属ブロック4は、この順で積層され、下側及び上側金属ブロック3,4の雌ネジ3b,4bにボルト10の雄ネジ10aが螺合されることにより締結される。尚、このとき、第1及び第2圧電素子5,6は、分極方向がそれぞれ互いに上下逆になるように積層される。又、このとき、第1及び第2圧電素子5,6、第1〜第3電極板7〜9の内周面と、ボルト10の外周面との間には、絶縁カラー11が介在される。従って、第1及び第2圧電素子5,6、第1〜第3電極板7〜9の内周面と、ボルト10の外周面とは電気的に絶縁状態とされる。
【0029】
ここで、下側金属ブロック3と上側金属ブロック4とは、係合面3a,4aが図示しない治具にてそれぞれチャック(狭持)されて、ボルト10に螺合されて締結される。このとき、締結時の応力により上側金属ブロック4が塑性変形して、係合面4aと対応した位置の下端面の径方向外側が大きく下方に突出するが、第1圧電素子5の外径は、上側金属ブロック4の係合面4aが形成された部位の外径より小さく設定されるため、第1圧電素子5の一部分にかかる応力は従来技術に比べて小さくなる。尚、本実施の形態では、従来技術と同様に、対向する2つの係合面4aを挟むように係合されるスパナを用いて上側金属ブロック4を回転させて締結している。そして、本実施の形態では、図3のFEM解析にて特定した第1圧電素子5における応力分布の模式図に示すように、スパナが係合される2つの係合面4aと対応した位置Yにかかる応力が従来技術(図7参照)より小さくなった。
【0030】
ロータ2は、前記下側金属ブロック3と内外径が同じの略円筒状に形成され、図示しない加圧機構によりステータ1の上端面(摩擦材13)に摺動回転可能に加圧接触されている。図1に示すように、ロータ2の外周には、縦振動が励起されると捩り振動を発生するスリット2aが周方向に複数形成されている。
【0031】
このように構成された超音波モータでは、第1及び第3電極板7,9と、第2電極板8間に、共振周波数(ステータ1とロータ2の共通の共振周波数)の高周波電圧が印加されると、第1及び第2圧電素子5,6にて縦振動が発生され、該振動に基づいて下側金属ブロック3のスリット3cにて捩じり振動が発生される。そして、この捩り振動と縦振動とが合成されてロータ2との接触面であるステータ1の上面(摩擦材13)の上端面に複合振動が生じる。又、ステータ1(摩擦材13の上端面)に加圧接触されたロータ2では、ステータ1の縦振動成分に基づいてスリット2aにて捩り振動が発生される。そして、ステータ1及びロータ2の捩り振動成分による推進力でロータ2が回転駆動される。
【0032】
次に、上記実施の形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)第1圧電素子5の外径は、締結時に治具が係合される上側金属ブロック4の係合面4aが形成された部位の外径より小さく設定されるため、第1圧電素子5の一部分にかかる応力が従来技術に比べて小さくなる。よって、締結時及び締結後に第1圧電素子5が破損し難くなる。その結果、超音波モータ(ステータ1)の歩溜り及び耐久性が向上される。
【0033】
(2)上側金属ブロック4の係合面4aが、第1圧電素子5側の端部に形成されるため、言い換えると、締結時に治具が係合される係合面4aがロータ2との接触面から離れて形成されるため、ロータ2との接触面(上側金属ブロック4の上端面(摩擦材13))を真円とすることができる。また、締結時にロータ2との接触面に歪が生じ難くなる。よって、ロータ2との接触面に悪影響を与え難く、高効率及び高出力でロータ2を回転させることができる。
【0034】
(3)係合面3aは、下側金属ブロック3の(スリット3cより)下端側に形成されるため、言い換えると、締結時に治具が係合される係合面3aが第2圧電素子6から離れて形成されるため、第2圧電素子6に応力がかかり難くなる。よって、第2圧電素子6が破損し難くなる。
【0035】
(4)下側及び上側金属ブロック3,4には、切り欠かれることで平坦とされた係合面3a,4aが形成される。そして、下側金属ブロック3と上側金属ブロック4とは、係合面3a,4aが図示しない治具にてそれぞれチャック(狭持)されて、ボルト10に螺合されて締結される。よって、容易に係合面3a,4aを形成することができ、且つステータ1を容易に組み付けることができる。
【0036】
上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施の形態の第1及び第2圧電素子5,6、第1〜第3電極板7〜9を、図4に示すように、その外径が、上側金属ブロック4の係合面4aが形成された部位の外径と同じに設定された第1及び第2圧電素子21,22、第1〜第3電極板23〜25に変更する。そして、上側金属ブロック4を、図4に示すように、係合面4aと同様の係合面26aを有し、該係合面26aと対応した位置に締結時における第1圧電素子21の一部への応力を緩和するための応力緩和部としての切り欠き部26bが形成された上側金属ブロック26に変更する。切り欠き部26bは、係合面26aの周方向端部に、第1圧電素子21側端部に向かうほど面が広くなるように切り欠かれて形成されている。尚、図4に示す切り欠き部26bは、係合面26aの時計回り方向(矢印A方向)端部に形成され、上側金属ブロック26を時計回り方向に回転させて締結する場合に、上側金属ブロック26の下端面の塑性変形量を小さくし、締結時における第1圧電素子21の一部への応力を緩和(低減)する。このようにしても、締結時及び締結後に第1圧電素子21が破損し難くなる。その結果、超音波モータ(ステータ)の歩溜り及び耐久性が向上される。
【0037】
・上記別例(図4参照)では、係合面26aの周方向端部に、第1圧電素子21側端部に向かうほど面が広くなるように切り欠かれて形成された切り欠き部26bを設けることで、第1圧電素子21の一部への応力を緩和するとしたが、締結時における第1圧電素子21の一部への応力を緩和することができれば、切り欠き部26bを他の形状の応力緩和部に変更してもよい。このようにしても、締結時及び締結後に第1圧電素子21が破損し難くなる。
【0038】
・上記別例(図4参照)の第1及び第2圧電素子21,22、第1〜第3電極板23〜25を、上記実施の形態の第1及び第2圧電素子5,6、第1〜第3電極板7〜9に変更してもよい。このようにすると、締結時及び締結後に更に第1圧電素子5が破損し難くなる。
【0039】
・上記実施の形態の係合面3a,4aを、締結時に治具が回転方向に係合可能であれば他の形状の係合部に変更してもよい。例えば、係合面3a,4aを凹部や凸部に変更してもよい。尚、この場合、係合部に応じて第1及び第2圧電素子5,6、第1〜第3電極板7〜9の外径を適宜変更する必要がある。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)〜(3)と同様の効果を得ることができる。
【0040】
・上記実施の形態では、係合面3a,4aを下側及び上側金属ブロック3,4の下端側に形成したが、他の個所、例えば下側及び上側金属ブロック3,4の軸線方向中間部に形成してもよい。このようにしても、締結時及び締結後に第1圧電素子5が破損し難くなる。
【0041】
・上記実施の形態では、係合面3a,4aを下側及び上側金属ブロック3,4の周方向に4つ等角度(90°)間隔に形成したが、それらの個数や間隔を適宜変更してもよい。このようにしても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0042】
・上記実施の形態では、対向する2つの係合面4aを挟むように係合されるスパナを用いて上側金属ブロック4を回転させて締結するとしたが、4つの係合面4a全てをチャック(狭持)する他の治具を用いて上側金属ブロック4を回転させるようにしてもよい。このようにすると、上記実施の形態(図3参照)に比べて、一箇所の係合面4aにかかる応力が分散されるため、更に第1圧電素子5の一部分にかかる応力が小さくなる。よって、締結時及び締結後に第1圧電素子5が更に破損し難くなる。
【0043】
・上記実施の形態のステータ1は、2つの金属ブロック(下側及び上側金属ブロック3,4)を備えたものとしたが、金属ブロックの個数を適宜変更してもよい。例えば、金属ブロックを3つ備えたものとしてもよい。
【0044】
・上記実施の形態のステータ1は、2つの圧電素子(第1及び第2圧電素子5,6)を備えたものとしたが、圧電素子の個数を適宜変更してもよい。例えば、圧電素子を1つや、3つ備えたものとしてもよい。
【0045】
・上記実施の形態のステータ1は、3つの電極板(第1〜第3電極板7〜9)を備えたものとしたが、電極板の個数を適宜変更してもよい。例えば、電極板を備えていないもの(金属ブロック自体が電極板の役目を果たすもの)や、2つ備えたものとしてもよい。
【0046】
・上記実施の形態では、ステータ1とロータ2の両方の捩り振動成分を利用してロータ2を回転させる超音波モータに具体化したが、ステータが発生する捩り振動成分のみを利用してロータを回転させる超音波モータや、ロータが発生する捩り振動成分のみを利用してロータを回転させる超音波モータ等に具体化してもよい。このようにしても、上記実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0047】
上記各実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)前記ロータの反対側の前記金属ブロック体には、前記圧電素子側端部に縦振動に基づいて捩り振動を発生するスリットが形成され、そのスリットより他端部側に前記係合部が形成されたことを特徴とする超音波モータ。このようにすると、ロータの反対側の金属ブロック体の係合部は、圧電素子側端部に形成された縦振動に基づいて捩り振動を発生するスリットより他端部側に形成されるため、言い換えると、締結時に治具が係合される係合部が圧電素子から離れて形成されるため、圧電素子の一部に応力がかかり難くなる。
【0048】
(ロ)前記係合部は、前記金属ブロック体の外周面を切り欠かくことで平坦に形成された係合面であることを特徴とする超音波モータ。このようにすると、係合部を容易に形成することができる。
【0049】
(ハ)前記係合部は、前記金属ブロック体の前記圧電素子側端部に、切り欠かれることで平坦に形成された係合面であり、前記応力緩和部は、前記係合面の周方向端部に、前記圧電素子側端部に向かうほど面が広くなるように形成された切り欠き部であることを特徴とする超音波モータのステータ。このようにすると、係合部を容易に形成することができるとともに、圧電素子の一部にかかる応力が低減される。
【0050】
(ニ)前記係合部は、ロータが加圧接触される側の前記金属ブロック体の前記圧電素子側端部に形成されたことを特徴とする超音波モータのステータ。このようにすると、係合部がロータ接触面から離れて形成されるため、ロータ接触面に悪影響を与え難い。
【0051】
(ホ)ロータが加圧接触される反対側の前記金属ブロック体には、前記圧電素子側端部に縦振動に基づいて捩り振動を発生するスリットが形成され、そのスリットより他端部側に前記係合部が形成されたことを特徴とする超音波モータのステータ。このようにすると、ロータが加圧接触される反対側の金属ブロック体の係合部は、圧電素子側端部に形成された縦振動に基づいて捩り振動を発生するスリットより他端部側に形成されるため、言い換えると、締結時に治具が係合される係合部が圧電素子から離れて形成されるため、圧電素子の一部に応力がかかり難くなる。
【0052】
(ヘ)前記係合部は、前記金属ブロック体の外周面を切り欠かくことで平坦に形成された係合面であることを特徴とする超音波モータのステータ。このようにすると、係合部を容易に形成することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1,2に記載の発明によれば、圧電素子の破損を低減することができる超音波モータを提供することができる。
【0054】
又、請求項に記載の発明によれば、圧電素子の破損を低減することができる超音波モータのステータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態における超音波モータの分解斜視図。
【図2】本実施の形態における超音波モータの要部縦断面図。
【図3】FEM解析にて特定した第1圧電素子の応力分布の模式図。
【図4】別例における超音波モータの分解斜視図。
【図5】従来技術における超音波モータの分解斜視図。
【図6】従来技術における超音波モータの要部縦断面図。
【図7】FEM解析にて特定した圧電素子の応力分布の模式図。
【符号の説明】
1…ステータ、2…ロータ、3…下側金属ブロック(金属ブロック体),4,26…上側金属ブロック(金属ブロック体)、5,6,21,22…第1及び第2圧電素子(圧電素子)、10…ボルト(締結部材)、3a,4a,26a…係合面(係合部)、26b…切り欠き部(応力緩和部)。

Claims (3)

  1. 圧電素子(2122)が複数の金属ブロック体(3,26)に挟まれた状態で、軸方向に挿通する締結部材(10)により締結されてなるステータ(1)と、
    前記ステータ(1)の一端面に回転可能に加圧接触されたロータ(2)と
    を備え、前記ステータ(1)に発生する振動により前記ロータ(2)を回転駆動する超音波モータにおいて、
    前記金属ブロック体(3,26)の少なくとも1つの外周面には、締結時に該金属ブロック体(3,26)を回転させるための治具が係合される係合部(3a,26a)が形成されており、
    前記金属ブロック体(26)が該金属ブロック体(26)の中心軸に対して締結方向に回転する際の前記係合部(26a)における締結方向の先端部分には、前記圧電素子(21)側端部に向かうほど面が広くなる切り欠き部(26b)が形成されていることを特徴とする超音波モータ。
  2. 請求項1に記載の超音波モータにおいて、
    前記係合部(26a)は、前記ロータ(2)側の前記金属ブロック体(26)の前記圧電素子(21)側端部に形成されたことを特徴とする超音波モータ。
  3. 圧電素子(21,22)が複数の金属ブロック体(3,26)に挟まれた状態で、軸方向に挿通する締結部材(10)により締結されてなる超音波モータのステータにおいて、
    前記金属ブロック体(3,26)の少なくとも1つの外周面には、締結時に該金属ブロック体(3,26)を回転させるための治具が係合される係合部(3a,26a)が形成され、
    前記金属ブロック体(26)が該金属ブロック体(26)の中心軸に対して締結方向に回転する際の前記係合部(26a)における締結方向の先端部分には、前記圧電素子(21)側端部に向かうほど面が広くなる切り欠き部(26b)が形成されている超音波モータのステータ。
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