JP4053896B2 - 超音波モータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波モータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の超音波モータとしては、略円柱形状の定在波型(所謂ボルト締めランジュバン型)のものがある(例えば、特許文献1参照。)。この超音波モータは、ステータとロータとを備えている。ステータは、2枚の圧電素子が複数の金属ブロックに挟まれた状態で、該圧電素子及び該金属ブロックの内部で軸方向に挿通するボルトにより締結されてなり、略円柱形状に形成されている。このステータの下部外周、即ち下側の金属ブロックの外周には、圧電素子による縦振動に基づいて捩り振動を発生するためのスリット部が圧電素子に隣接して形成されている。ロータは、略円筒状に形成され、図示しない加圧機構によりステータの上面、即ち上側の金属ブロックの上端面に摺動回転可能に加圧接触される。
【0003】
この超音波モータでは、圧電素子に高周波電圧が供給されると、圧電素子にて縦振動が発生されるとともに、スリット部にて縦振動に基づいた捩り振動が発生されることでロータが回転駆動される。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−155288号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような超音波モータでは、下側の金属ブロックにおいて前記スリット部の下側に、外部(モータケース等)に固定するための固定用凸部がフランジ状に突出して配設されている。しかしながら、上記のような固定用凸部は、超音波モータの駆動時に大きく振動しようとしてしまうという問題がある。言い換えると、固定用凸部は、ステータ(下側の金属ブロック)の下端(下面)を平板上に設置した状態における超音波モータの駆動時に大きく(固定用凸部の下端(下面)の振動速度が速い速度で)振動してしまうという問題がある。このことは、外部(モータケース等)に固定用凸部を固定して超音波モータを駆動させたとき、外部に大きな振動が伝搬されたり、ステータの振動を大きく阻害してしまうことから安定したモータ性能を得られない(抵抗率や回転むらの発生)原因となる。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、固定用凸部の振動を低減することができる超音波モータを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、圧電素子が複数の金属ブロックに挟まれた状態で締結されてなり、前記金属ブロックに縦振動に基づいて捩り振動を発生するためのスリット部が形成され、前記圧電素子に高周波電圧が印加されることにより振動する略円柱形状のステータと、前記ステータの上端面に摺動可能に加圧接触され、前記ステータの振動に基づいて回転するロータとを備えた超音波モータにおいて、前記金属ブロックは、外部に固定するための固定用凸部を周方向に複数有し、前記固定用凸部を、その固有値が前記ロータを駆動させる高周波電圧の駆動周波数範囲と異なるように設定し、且つ、周方向に複数設けられる前記スリット部の間に配置するとともに、その上端を前記スリット部の下端より上方に配置した。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の超音波モータにおいて、前記固定用凸部の下端を、前記スリット部の下端と同じ高さに配置した。
請求項3に記載の発明では、圧電素子が複数の金属ブロックに挟まれた状態で締結されてなり、前記金属ブロックに縦振動に基づいて捩り振動を発生するためのスリット部が形成され、前記圧電素子に高周波電圧が印加されることにより振動する略円柱形状のステータと、前記ステータの上端に摺動可能に加圧接触され、前記ステータの振動に基づいて回転するロータとを備えた超音波モータにおいて、前記ステータは、外部に固定するための固定用凸部を周方向に複数有し、前記固定用凸部を、周方向に複数設けられる前記スリット部の間に配置するとともに、その上端を前記スリット部の下端より上方に配置した。
【0009】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、固定用凸部は、その固有値が前記ロータを駆動させる高周波電圧の駆動周波数範囲と異なるように設定されるため、振動し難くなる。しかも、固定用凸部は、周方向に複数設けられるスリット部の間に配置されるとともに、その上端がスリット部の下端より上方に配置されるため、その振動を更に低減することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、固定用凸部は、その下端がスリット部の下端と同じ高さに配置されるため、その振動を更に低減することができる。
請求項3に記載の発明によれば、固定用凸部は、周方向に複数設けられるスリット部の間に配置されるとともに、その上端がスリット部の下端より上方に配置されるため、その振動を低減することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図8に従って説明する。図1及び図2に示すように、超音波モータは、ステータ1とロータ2とを備えている。ステータ1は、上側金属ブロック3、下側金属ブロック4、第1及び第2圧電素子5,6、第1及び第2電極板7,8、締結部材としてのボルト9、及び絶縁カラー10を備えている。
【0012】
上側及び下側金属ブロック3,4は、導電性金属よりなり、本実施形態ではアルミ合金にて形成されている。上側金属ブロック3は、略円筒状に形成されている。上側金属ブロック3の上部には、その内径が大きくされることで、上端面に発生する振動を増幅するためのホーン部3aが形成されている。又、上側金属ブロック3のホーン部3aを除く内周面には、雌ネジ3bが形成されている。尚、上側金属ブロック3の上端面には薄肉の摩擦材11が貼付されている。
【0013】
下側金属ブロック4は、内外径が上側金属ブロック3と同じ略円筒状に形成されている。下側金属ブロック4の上部(図1及び図2中、上部)外周には、励起される縦振動に基づいて捩り振動を発生する振動変換部としてのスリット部(凹部)4aが形成されている。このスリット部4aは、周方向に複数(本実施の形態では等角度(60度)間隔に6個)形成されている。又、スリット部4aは、(軸直交方向から見て)それぞれ軸方向に対して傾斜している。又、本実施の形態のスリット部4aは、その下端側に向かうほど上方から見て時計回り方向(右回り方向)に向かって延びるように傾斜してしる。
【0014】
又、下側金属ブロック4の中央部(軸方向中央部)外周には、外部(図示しないモータケース等)に固定するための固定用凸部4bが径方向外側に突出して周方向に複数形成されている。尚、固定用凸部4bの詳細については後述することとする。
【0015】
又、下側金属ブロック4の内周面(図2中、破線で示す)には、雌ネジ4cが形成されている。
第1及び第2圧電素子5,6は円板状に形成され、その中心部に貫通孔がそれぞれ形成されている。この第1及び第2圧電素子5,6の内径は、上側及び下側金属ブロック3,4の内径より大きく設定されている。
【0016】
第1及び第2電極板7,8は略円板状に形成され、その中心部には貫通孔がそれぞれ形成されている。この第1及び第2電極板7,8の内径は、第1及び第2圧電素子5,6の内径と同じに設定されている。
【0017】
ボルト9は、その外周に雄ネジ9aが形成された略円柱形状のものであって、前記雌ネジ3b,4cに螺合可能とされている。
絶縁カラー10は、絶縁性樹脂にて円筒状に形成されている。この絶縁カラー10は、その外径が前記第1及び第2圧電素子5,6、第1及び第2電極板7,8の内径と同じに設定され、その内径がボルト9の雄ネジ9aの外径と同じ(ボルト9を内嵌可能)に設定されている。
【0018】
そして、第1及び第2圧電素子5,6と第1及び第2電極板7,8とを挟んだ上側及び下側金属ブロック3,4は、その内部を軸線方向に挿通するボルト9により締結される。詳述すると、下側金属ブロック4、第2電極板8、第2圧電素子6、第1電極板7、第1圧電素子5、上側金属ブロック3は、この順で積層され、その内部に挿通されるボルト9(雄ネジ9a)が上側及び下側金属ブロック3,4の雌ネジ3b,4cに螺合されることで締結されている。尚、このとき、第1及び第2圧電素子5,6は、分極方向がそれぞれ互いに上下逆になるように積層される。又、このとき、第1及び第2圧電素子5,6、第1及び第2電極板7,8の内周面と、ボルト9の雄ネジ9aの外周面との間には、絶縁カラー10が介在される。従って、第1及び第2圧電素子5,6、第1及び第2電極板7,8の内周面と、ボルト9の外周面とは電気的に絶縁状態とされる。又、このとき、第2電極板8は、下側金属ブロック4及びボルト9を介して上側金属ブロック3と電気的に接続状態となる。
【0019】
ロータ2は、前記上側及び下側金属ブロック3,4と直径(外径)が同じの略円筒状に形成され、図示しない加圧機構によりステータ1の上面、即ち上側金属ブロック3(摩擦材11)の上端面に摺動回転可能に加圧接触されている。このロータ2の外周には、励起される縦振動に基づいて捩り振動を発生するロータスリット部(凹部)2aが周方向に複数形成されている。このロータスリット部2aは、(軸直交方向から見て)それぞれ軸線方向に対して傾斜している。尚、ロータスリット部2aは、前記ステータ1のスリット部4aの逆方向に傾斜している。
【0020】
このように構成された超音波モータでは、第1及び第2電極板7,8間に、第1の共振周波数f1(例えば、64kHz)の高周波電圧が印加されると、第1及び第2圧電素子5,6にて縦振動が発生される。すると、該振動に基づいてステータ1のスリット部4aにて捩じり振動が発生される。このとき、ステータ1の上面、即ち上側金属ブロック3(摩擦材11)の上端面の振動は、大きな捩り振動と縦振動とが合成された複合振動となっている。すると、ステータ1の縦振動成分による浮力と捩り振動成分による推進力にてロータ2が一方向に(第1の回転特性で)回転する(ステータ主体モード)。
【0021】
又、第1及び第2電極板7,8間に、第2の共振周波数f2(例えば、67kHz)の高周波電圧が印加されると、第1及び第2圧電素子5,6にて縦振動が発生される。すると、該振動に基づいてステータ1のスリット部4aにて捩じり振動が発生される。このとき、ステータ1の上面、即ち上側金属ブロック3(摩擦材11)の上端面の振動は、前記捩り振動(ステータ主体モード)の反対方向に捩れる小さい捩り振動と縦振動とが合成された複合振動となっている。ここで、ロータ2の固有値(共振周波数)は、前記第2の共振周波数f2と重なるように設定されている。このことから、ロータ2では、ステータ1の振動に基づいて(共振して)ロータスリット部2aにて大きな捩り振動が発生される。このとき、ロータスリット部2aにて発生される捩り振動は、自身を他方向(ステータ主体モードの逆方向)に回転させるように働く振動である。よって、ステータ1の縦振動成分による浮力と捩り振動成分による推進力とロータ2自身の捩り振動成分にてロータ2が他方向に(第2の回転特性で)回転する(ロータ主体モード)。
【0022】
次に、前記固定用凸部4bについて詳述する。固定用凸部4bは、その固有値(共振周波数)がロータ2を駆動させる高周波電圧の駆動周波数範囲と異なるように設定されている。尚、前記駆動周波数範囲は、前記第1の共振周波数f1(64kHz)から前記第2の共振周波数f2(67kHz)までを含む。又、前記駆動周波数範囲は、状況(製造ばらつきや温度変化等)により変化する前記第1及び第2の共振周波数(ロータ2を駆動させる周波数)の変化範囲を含む。そして、本実施の形態では、駆動周波数範囲は、60kHz〜70kHzに設定されている。即ち、本実施の形態の固定用凸部4bは、その固有値(共振周波数)が60kHz〜70kHz内に入らないように、その形状(周方向の幅や軸線方向の高さ等)が設定されている。
【0023】
上記のように形状が設定された固定用凸部4bは、その周方向の位置が周方向に複数設けられる前記スリット部4aの間に(隣り合うスリット部4aの間にそれぞれ)配置されるとともに、その上端がスリット部4aの下端より上方に配置されている。詳しくは、本実施の形態の固定用凸部4bは、図1に示すように、その中心点Xがスリット部4aの下端(その中心点)Yより上方から見て時計回り方向(右回り方向)に15度(θ1)ずれるように配置されている。又、本実施の形態の固定用凸部4bは、図2に示すように、その下端がスリット部4aの下端と同じ高さに配置されている。
【0024】
ここで、上記のような超音波モータ(ステータ1)において、固定用凸部4bの位置を変化させた場合の各振動の実験結果について説明する。
まず、周方向位置(角度)−振動速度特性の実験結果を、図3〜6を用いて説明する。周方向位置(角度)は、固定用凸部4bの中心点Xがスリット部4aの下端(その中心点)Yより上方から見て時計回り方向(右回り方向)にずれた角度である。即ち、図3に示すように、固定用凸部4bの中心点Xがスリット部4aの下端(その中心点)Yと周方向に一致している状態が、基準角度であり、0度である。又、図4は、固定用凸部4bの中心点Xがスリット部4aの下端(その中心点)Yより上方から見て時計回り方向(右回り方向)に30度(θ2)ずれるように配置された超音波モータを示す。尚、この実験は、固定用凸部4bの上端がスリット部4aの下端と同じ高さで一定に配置された状態(図3及び図4参照)で行われている。
【0025】
図5は、ステータ1の上端面(即ちロータ2との接触面)における周方向位置(角度)−振動速度特性の実験結果である。図5に示すように、ステータ1の上端面には、前記周方向位置(角度)に関わらず、縦振動及び捩り振動が略一定の振動速度で発生している。
【0026】
図6は、固定用凸部4bの下端(下面)における周方向位置(角度)−振動速度特性の実験結果である。尚、この実験は、ステータ1(下側金属ブロック4)の下端(下面)を平板上に設置した状態(固定用凸部4bを支持しない状態)で行われている。図6に示すように、固定用凸部4bの下端に発生する縦振動は、周方向位置(角度)が15度の状態で最も小さく(約6m/secに)なっている。これにより、本実施の形態の超音波モータ(図1及び図2参照)では、固定用凸部4bの周方向位置(角度)を15度に設定している。
【0027】
又、軸方向位置(高さ)−振動速度特性の実験結果を、図3、図4、図7及び図8を用いて説明する。軸方向位置(高さ)は、固定用凸部4bの上端(上面)がスリット部4aの下端Yより上下方向に移動した高さである。即ち、図3や図4に示すように、固定用凸部4bの上端がスリット部4aの下端Yと上下方向(軸方向)に一致している状態が、基準高さであり、0である。尚、この実験は、固定用凸部4bの周方向位置(角度)が30度(図4参照)で一定に配置された状態で行われている。
【0028】
図7は、ステータ1の上端面(即ちロータ2との接触面)における軸方向位置(高さ)−振動速度特性の実験結果である。図7に示すように、ステータ1の上端面には、前記軸方向位置(高さ)に関わらず、縦振動及び捩り振動が略一定の振動速度で発生している。
【0029】
図8は、固定用凸部4bの下端(下面)における軸方向位置(高さ)−振動速度特性の実験結果である。尚、この実験は、ステータ1(下側金属ブロック4)の下端(下面)を平板上に設置した状態(固定用凸部4bを支持しない状態)で行われている。図8に示すように、固定用凸部4bの下端に発生する捩り振動は、軸方向位置(高さ)が下端一致位置(固定用凸部4bの下端がスリット部4aの下端と同じ高さ)に向かうほど小さくなり、下端一致位置の状態で最も小さく(ほぼ0m/secに)なっている。これにより、本実施の形態の超音波モータ(図1及び図2参照)では、固定用凸部4bの軸方向位置(高さ)を下端一致位置に設定している。
【0030】
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)固定用凸部4bは、その固有値(共振周波数)がロータ2を駆動させる高周波電圧の駆動周波数範囲(60kHz〜70kHz)と異なるように設定されるため、ロータ2の駆動時に振動し難くなる。しかも、固定用凸部4bは、周方向に複数設けられるスリット部4aの(各)間に配置されるとともに、その上端がスリット部4aの下端より上方に配置されるため(固定用凸部4bの捩り振動は、軸方向位置(高さ)が下端一致位置に向かうほど小さくなることなどから)、その振動を更に低減することができる。よって、外部(図示しないモータケース等)への振動の伝搬を低減することができる。又、固定用凸部4bの振動がステータ1の振動を阻害し難くなることから安定したモータ性能(高効率や回転むらの低減)を得ることができる。
【0031】
(2)固定用凸部4bは、軸方向位置(高さ)が下端一致位置(固定用凸部4bの下端がスリット部4aの下端と同じ高さ)に配置されるため、その振動(捩り振動)を更に低減することができる(図7参照)。
【0032】
(3)上記超音波モータにおいて、固定用凸部4bは、固定用凸部4bの周方向位置(角度)が15度に配置されるため、その振動(縦振動)を更に低減することができる(図5参照)。
【0033】
上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施の形態では、固定用凸部4bは、軸方向位置(高さ)が下端一致位置(固定用凸部4bの下端がスリット部4aの下端と同じ高さ)に配置されるとしたが、これに限定されない。即ち、固定用凸部4bは、その上端がスリット部4aの下端より少しでも上方に配置されていれば、他の位置(高さ)に変更してもよい。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)、(3)と同様の効果を得ることができる。
【0034】
・上記実施の形態では、固定用凸部4bは、その周方向位置(角度)が15度に配置されるとしたが、これに限定されない。即ち、固定用凸部4bの上端がスリット部4aの下端より上方に配置可能となるように、周方向に複数設けられるスリット部4aの間に配置されれば、他の位置(角度)に変更してもよい。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)、(2)と同様の効果を得ることができる。
【0035】
・上記実施の形態では、スリット部4aを6個設けたが、その個数は(例えば、9個等に)適宜変更してもよい。尚、この場合、固定用凸部4bの周方向位置(角度)や軸方向位置(高さ)を上記のような実験に基づいて適宜変更することで、その超音波モータでの固定用凸部4bの振動を更に低減することができる。
【0036】
・上記実施の形態では、2つの圧電素子(第1及び第2圧電素子5,6)を備えるとしたが、圧電素子を1つや、3つ以上備えた超音波モータに具体化してもよい。
【0037】
・上記実施の形態では、両回転の超音波モータに具体化したが、ロータ2を一方向にのみ回転させる超音波モータとしてもよい。尚、上記実施の形態の超音波モータは勿論、用途に応じて一方向のみに回転させる超音波モータとなる。
【0038】
上記各実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波モータにおいて、前記スリット部は、回転軸線に対して傾斜していることを特徴とする超音波モータ。このようにすると、縦振動に基づいてスリット部にて捩り振動が発生される超音波モータにおいて、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明の効果を得ることができる。
【0039】
(ロ)上記(イ)に記載の超音波モータにおいて、前記スリット部は、その下端側に向かうほど周方向の一方に向かって延びるように傾斜して、周方向に等角度間隔に6個設けられ、前記固定用凸部を、その中心点が前記スリット部の下端より周方向の前記一方に15度ずれるように配置したことを特徴とする超音波モータ。このようにすると、固定用凸部の振動を更に低減することができる。
【0040】
(ハ)圧電素子が複数の金属ブロックに挟まれた状態で締結されてなり、前記金属ブロックに縦振動に基づいて捩り振動を発生するための振動変換部が形成されるとともに外部に固定するための固定用凸部が周方向に複数形成され、前記圧電素子に高周波電圧が印加されることにより振動する略円柱形状のステータと、前記ステータの上端に摺動可能に加圧接触され、前記ステータの振動に基づいて回転するロータとを備えた超音波モータの製造方法であって、前記固定用凸部の固有値を、前記ロータを駆動させる高周波電圧の駆動周波数範囲と異なるように設定する工程と、前記固定用凸部を、周方向に複数設けられる前記振動変換部の間に配置するとともに、その上端が前記振動変換部の下端より上方に配置する工程とを備えたことを特徴とする超音波モータの製造方法。このようにすると、固定用凸部は、その固有値が前記ロータを駆動させる高周波電圧の駆動周波数範囲と異なるように設定されるため、振動し難くなる。しかも、固定用凸部は、周方向に複数設けられる振動変換部の間に配置されるとともに、その上端が振動変換部の下端より上方に配置されるため、更にその振動を低減することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、固定用凸部の振動を低減することができる超音波モータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態における超音波モータの斜視図。
【図2】本実施の形態における超音波モータの要部断面図。
【図3】超音波モータの実験を説明するための斜視図。
【図4】超音波モータの実験を説明するための斜視図。
【図5】ステータの上端面における周方向位置(角度)−振動速度特性図。
【図6】固定用凸部の下端における周方向位置(角度)−振動速度特性図。
【図7】ステータの上端面における軸方向位置(高さ)−振動速度特性図。
【図8】固定用凸部の下端における軸方向位置(高さ)−振動速度特性図。
【符号の説明】
1…ステータ、2…ロータ、3…上側金属ブロック(金属ブロック)、4…下側金属ブロック(金属ブロック)、4a…スリット部、4b…固定用凸部、5,6…第1及び第2圧電素子(圧電素子)、Y…スリット部の下端。
Claims (3)
- 圧電素子が複数の金属ブロックに挟まれた状態で締結されてなり、前記金属ブロックに縦振動に基づいて捩り振動を発生するためのスリット部が形成され、前記圧電素子に高周波電圧が印加されることにより振動する略円柱形状のステータと、
前記ステータの上端面に摺動可能に加圧接触され、前記ステータの振動に基づいて回転するロータと
を備えた超音波モータにおいて、
前記金属ブロックは、外部に固定するための固定用凸部を周方向に複数有し、
前記固定用凸部を、その固有値が前記ロータを駆動させる高周波電圧の駆動周波数範囲と異なるように設定し、且つ、周方向に複数設けられる前記スリット部の間に配置するとともに、その上端を前記スリット部の下端より上方に配置したことを特徴とする超音波モータ。 - 請求項1に記載の超音波モータにおいて、
前記固定用凸部の下端を、前記スリット部の下端と同じ高さに配置したことを特徴とする超音波モータ。 - 圧電素子が複数の金属ブロックに挟まれた状態で締結されてなり、前記金属ブロックに縦振動に基づいて捩り振動を発生するためのスリット部が形成され、前記圧電素子に高周波電圧が印加されることにより振動する略円柱形状のステータと、
前記ステータの上端に摺動可能に加圧接触され、前記ステータの振動に基づいて回転するロータと
を備えた超音波モータにおいて、
前記ステータは、外部に固定するための固定用凸部を周方向に複数有し、
前記固定用凸部を、周方向に複数設けられる前記スリット部の間に配置するとともに、その上端を前記スリット部の下端より上方に配置したことを特徴とする超音波モータ。
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