JPH0739098Y2 - マイクロフロッピーディスクケース - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、マイクロフロッピーディスクに使用されるシ
ャッタ付きケースに関する。

「従来の技術」 従来、この種のマイクロフロッピーディスクケースは、
記憶用ディスク体を収納する樹脂製の上ハーフおよび下
ハーフと、これらハーフの外周部に取り付けられ、通常
時に各ハーフの磁気ヘッド導入口を塞いでおく断面コ字
状のステンレス製シャッタとから構成されていた。

「考案が解決しようとする課題」 しかし、上記のようなステンレス製シャッタを備えたマ
イクロフロッピーディスクケースにおいては、シャッタ
がディスクドライブ装置の開閉機構により開閉される際
に、シャッタの重量が大きいため開閉音が大きいうえ、
シャッタのエッジで各ハーフの樹脂が僅かながら削られ
ることが避けられず、この削りかすがケース内に侵入
し、磁気ディスク体の記憶面に付着して情報の書き込み
・読み取りを妨害するおそれがあった。さらにステンレ
ス製のシャッタは製造コストが高くつき、ケース全体と
してのコストの削減に限界があるとともに、彩色などデ
ザイン的な制約も大きい上、各ハーフとの間に静電気を
生じやすく、ドライブ装置内でほこりを吸い寄せるとい
った不都合もあった。また、ステンレス製のシャッタ
は、ステンレスの平板に対し穴あけ、折り曲げ、バリ取
りなどの工程を施して加工されるものであるが、一般に
ステンレスの平板はロール状態で保存されているため、
折り曲げの工程で残存応力が解消されず高精度の加工が
困難であり、このことが原因で各ハーフに対して引っ掛
かりが生じてスムーズに摺動しなくなるといった問題も
ある。

「課題を解決するための手段」 本考案は上記課題を解決するためになされたもので、上
記上ハーフ、下ハーフおよびシャッタを同一の樹脂から
形成し、上記シャッタを、樹脂を断面コ字状に一体成形
して底板と、この底板の両側面に連設された一対の側板
とを有する構成とし、上記シャッタ装着部の表面に対向
する上記底板、側板の裏面を平坦な光沢面としたことを
特徴とし、これによりシャッタ軽量化を図るとともにハ
ーフへのシャッタの当たりや摺動抵抗を緩和して、ハー
フからの削りかすの発生を防止するほか、シャッタの静
電気防止によって、磁気ディスク体への情報の書き込み
・読み取りエラーを防止する。

「実施例」 以下、図面を参照して、本考案に係わるマイクロフロッ
ピーディスクケースの一実施例を説明する。

第１図において符号１は、略正方形をなす薄肉のABS（a
crylonitorile-butadien-styrene copolym er）により
成形された上ハーフであり、この上ハーフ１の表面には
他より若干凹んだシャッタ装着部２およびラベル貼付部
３が形成され、さらに前記シャッタ装着部２には長方形
の磁気ヘッド導入口４が形成されている。また、５はラ
イトプロテクタ孔であり、ここにライトプロテクタ部材
がはめ込まれるようになっている。

一方、第２図は前記上ハーフ１と略同形をなし上ハーフ
１との間に記録用ディスク体を収納する下ハーフ６を示
すもので、この下ハーフ６には前記同様に、シャッタ装
着部７、磁気ヘッド導入口８、ラベル貼付部９、ライト
プロテクタ孔10がそれぞれ形成されている。また、下ハ
ーフ６の中央にはディスク体駆動口11が形成され、ここ
から磁気ディスク体の被駆動部が露出するようになって
いる。さらに、シャッタ装着部７には、ハーフ外縁に沿
ってシャッタ案内用のガイド溝12が形成されるととも
に、各ハーフ1,6の接合縁に、後述するスプリング用鉤
部（18）が挿入される溝13が形成され、その内部にシャ
ッタを閉じておくためのスプリング（図示略）が収納さ
れている。

以上の上ハーフ１および下ハーフ６を接合した状態で、
前記各シャッタ装着部2,7を挾んで断面コ字状のシャッ
タ14が摺動可能に取り付けられている。このシャッタ14
はハーフ1,6と同じ上記ABSを用いて断面コ字状に一体成
形して構成されたものであり、表面はつや消し面、裏面
は平坦な光沢面に形成され、各部の肉厚は略従来のステ
ンレス製シャッタと同様か、強度を持たせるためにやや
厚肉に形成されている。また、シャッタ14の各側板14A
には、第３図および第４図に示すように各ハーフ1,6の
ヘッド導入口4,8と対応する位置にそれぞれ開口部15が
形成され、シャッタ14が一端側にある状態でヘッド導入
口4,8と合致し、他端側にある状態でこれらを塞ぐよう
になっている。さらに各側板14Aには、下ハーフ６の前
記ガイド溝12と対応する位置に２つの四角孔16が形成さ
れ、それらの縁部からガイド突記17が内方に突出して形
成されるとともに、シャッタ底板14Bの内面にはスプリ
ング用鉤部18が突出形成されている。

以上の構成からなるマイクロフロッピーディスクケース
によれば、シャッタ14がハーフ1,6と同一の樹脂製であ
るために、ステンレス製に比べて著しい軽量化が図れ、
ディスクドライブ装置によるシャッタ開閉音の低減が図
れるうえ、シャッタ開閉時のシャッタ14とハーフ1,6と
の接触が柔らかで、シャッタ14のエッジによりハーフ1,
6の樹脂が削られるといったことがなく、削りかすが記
憶用ディスク体に付着してトラブルを引き起こすおそれ
を低減して、動作信頼性を高めることが可能である。ま
た、シャッタ14を任意の色彩に着色したり、表面に印刷
を施したりすることも容易で、従来品に比してケースデ
ザインの自由度を格段に高めることが可能である。

さらに、シャッタ14とハーフ1,6が同一の樹脂からなる
ため、開閉時にこれらが摩擦しても静電気が生じにく
く、ドライブ装置内でほこりを吸い寄せる不都合を防ぐ
こともできる。

加えて、上記シャッタ14は、全体が一体成形されている
上、底板14B、側板14Aの裏面が平坦な光沢面とされてい
るので、底板14B、側板14Aの裏面全面が精度の高い光沢
面となって、シャッタ装着部２、７に対する摺動抵抗が
緩和されるとともに、シャッタ14とシャッタ装着部２、
７との引っ掛かりが防止され摺動の安全性が向上する。

なお、前記実施例ではシャッタ14の側板14Aは均一厚で
あったが、その代わりに底板14B側で僅かに厚くなる構
成とし、側板14Aの反り防止効果を高めてもよい。ま
た、シャッタ14の両側板14Aを平行に成形する代わり
に、遊端部に向けて両側板がやや閉じるように成形（あ
るいは矯正）してもよく、その場合にはシャッタ14とハ
ーフ1,6との間に隙間が生じにくく、ほこり等の遮断効
果を高めることができる。

「考案の効果」 以上説明したように、本考案のマイクロフロッピーディ
スクケースは、シャッタをハーフと同質の樹脂により成
形したものなので、ステンレス製に比して格段に軽量化
され、ドライブ装置によるシャッタ開閉音を低減できる
とともに、シャッタ開閉時におけるシャッタとハーフと
の接触が柔らかなので、シャッタのエッジによりハーフ
の樹脂が削られるといったことがなく、しかもシャッタ
がハーフとの間で静電気を生じにくいので、削りかすや
ほこりを吸い寄せるといったことが防止され、削りかす
やほこりが記憶用ディスク体に付着してトラブルを引き
起こすおそれを低減し、信頼性を高めることが可能であ
る。さらに、従来のシャッタに比して彩色や印刷などデ
ザイン的な自由度を格段に高めることができる利点も有
する。

加えて、上記シャッタは、全体が一体成形されている
上、底板、側板の裏面が平坦な光沢面とされているの
で、シャッタ装着部に対する摺動抵抗が緩和されるとと
もに、シャッタとシャッタ装着部との引っ掛かりが防止
され摺動の安全性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本考案に係わるマイクロフロッピ
ーディスクケースの一実施例を示し、第１図は平面図、
第２図は下面図、第３図はシャッタの側面図、第４図は
シャッタの下面図である。 １……上ハーフ、２……シャッタ装着部、４……ヘッド
導入口、６……下ハーフ、７……シャッタ装着部、８…
…ヘッド導入口、14……シャッタ、14A……側板、14B…
…底板、15……開口部、17……ガイド突起、18……スプ
リング用鉤部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】記憶用ディスク体を収納する樹脂製の上ハ
   ーフおよび下ハーフと、これらハーフの外周部に形成さ
   れたシャッタ装着部に摺動可能に取り付けられ、一端位
   置において上ハーフの磁気ヘッド導入口を塞ぐシャッタ
   とを備えてなり、上記上ハーフ、下ハーフおよびシャッ
   タは同一の樹脂から形成され、上記シャッタは、樹脂を
   断面コ字状に一体成形して底板と、この底板の両側部に
   連設された一対の側板とを有する構成とされ、上記シャ
   ッタ装着部の表面に対向する上記底板、側板の裏面が平
   坦な光沢面とされていることを特徴とするマイクロフロ
   ッピーディスクケース。