JPH0737743B2 - 折版屋根 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ボルト、ナットやビス
等、或いは工具を使用することなく各構成部材を上方か
ら押圧するだけで容易に施工することができるようにし
た折版屋根に関する。

【０００２】

【従来の技術】金属板材をＶ字状若しくは上面が解放す
る略梯形状に折曲した屋根板を、緊締具を使用してタイ
トフレームのような固定具に固定するようにした折版屋
根としては、例えば実開平１−１３１７２７号公報に記
載されている。上記した公報に記載の折版屋根は、梁等
に固定したタイトフレームに左右に隣り合う屋根板の側
部を沿わせ、タイトフレームの上端に緊締具をボルトで
止着して屋根板の上端を固定し、上記した緊締具にキャ
ップ部材を被着して折版屋根を構成している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した構成
の折版屋根では、タイトフレーム毎に緊締具をボルトで
固定しなければならないので極めて作業に手間を要して
非能率的となり、特に大面積の折版屋根を施工する場合
には工事期間が長期化することになる。また、各タイト
フレームに対して緊締具を強固に止着しないと、長期間
経過したら風雨や積雪等により緊締具がタイトフレーム
から外れることがあり、屋根板が捲り上ることがある。
したがって、ボルト、ナットやビス等を使用しなくて施
工性が良好で、しかも屋根板を強固に保持することがで
きる折版屋根が要望されている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は前記した従来の
欠点を解消し、また従来からの要望に対処するために提
案されたもので、上方に受部を有する固定具と、側部が
上記した固定具に保持される屋根板と、並設される左右
の屋根板の突き合わされた側部の間に挿入される係止具
とを有し、前記固定具の受部には、係合孔及び上方に開
口する受溝部を設け、前記屋根板の側部の上端には、載
置部分と該載置部分から下方に延在する折曲部とを設
け、前記係止具は、縦片である挿入部の上端に左右に延
在する押え部を設けると共に挿入部の側縁に前記した受
部の係合孔に嵌合する係合部を形成してなる構成であ
る。

【０００５】

【作用】本発明の折版屋根は、屋根板の側部を梁や母屋
に固定した固定具に沿わせて折曲部を受部の受溝部に嵌
装し、係止具を左右の屋根板の折曲部の間に挿入して係
合部を受部の係合孔に嵌合させると共に押え部を載置部
分の上面に被着させるのである。

【０００６】

【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。本発明の折版屋根１は、例えば鉄骨からな
る梁等の躯体２に固定され、上方に受部３を有する固定
具４と、側部５１が上記した固定具４に保持される屋根
板５と、並設される左右の屋根板５，５の対向する側部
５１，５１の間に挿入される係止具６と、並設される左
右の屋根板５，５の対向する側部５１，５１に冠着する
キャップ部材７とを有する。

【０００７】前記した固定具４は、上面部４１の左右に
下方に向かって幅広となるように脚部４２，４２を設
け、各脚部４２の下端に水平な固定片４３を形成した断
面が略門形状のフレームであり、上記した上面部４１に
受部３を一体的に設けた構成である。上記した受部３
は、取り付け片３１の前後に直立する受片３２，３２を
設け、上記した受片３２の上端中央に上端に向かって開
口する受溝部３３を設けると共に、上記した受溝部３３
の上端から左右方向に延在する受部分３４を設けた構成
で、図面の実施例では受部分３４が面状であるが、面状
ではなくて受片３２の上端縁部により直線状に構成して
も良い。上記した受部３を固定具４の上面部４１に一体
的に固定するには、ボルトとナットを使用したり、溶接
により固定すればよい。また、上記した受部３には、嵌
合部３５を設ける。嵌合部３５は、各受片３２の側縁の
下方に形成した切り込みにより構成する。そして、上記
した受部３には各受片３２，３２の略中央に係合孔３６
を設ける。

【０００８】前記した屋根板５は、金属板を屈曲成形し
た長尺材で、屋根板部５２の左右側縁に上方に向かって
幅広となるように傾斜する側部５１を左右に設けた略梯
形状で、各側部５１の上端に略水平な載置部分５３を形
成し、上記した載置部分５３の先端縁には下向きに屈曲
する折曲部５４を形成してある。また、側部５１を屈曲
成形して前記した受部３の嵌合部３５に嵌着する嵌入部
５５を形成してある。

【０００９】前記した係止具６は、平板状の挿入部６１
と、前記した受部３の係合孔３６に嵌合する係合部６２
と、挿入部６１の上端から左右に延在する押え部６３と
を設けてある。上記した係止具６は、図１乃至図６に示
す実施例では挿入部６１を前後の受片３２，３２の間隔
とほぼ同一か或いは僅かに小さく形成し、挿入部６１の
左右の側縁から突出するように係合部６２，６２を設け
た構成であり、係合部６２は下方に向かって小さくなる
ように形成してある。このような係止具６は、例えば金
属板を所定の形状に打ち抜き加工し、上端を切り込み、
これを逆方向に折曲して略水平な押え部６３を形成すれ
ば良い。

【００１０】前記したキャップ部材７は、屋根板５と同
様に金属板を屈曲成形した長尺材であり、被着部７１の
左右側縁に、下方に向かって幅広となるように傾斜する
側片７２を左右に屈曲成形し、上記した側片７２の下端
には、側片７２の内側に折返し状に屈曲する係止部７３
を設けた構成である。

【００１１】本発明の折版屋根１は、概略すると固定具
４、屋根板５、係止具６及びキャップ部材７により施工
するものである。そして、折版屋根１の施工に際して
は、躯体２の上面に固定具４を屋根板５の横幅の間隔で
固定すると共に、前後方向に並列する躯体２に固定具４
を一列状に固定する。この固定は、固定片４３から躯体
２にビス等を打ち込むことにより行なうことができる。

【００１２】次に、左右に隣り合う固定具４，４間に屋
根板５を落とし込むようにして配置し、左右の側部５１
を各固定具４の脚部４２に沿わせ、受部３の受部分３４
で屋根板５の載置部分５３を受け止めると共に、受溝部
３３に折曲部５４を上から嵌装し、嵌合部３５に嵌入部
５５を横から嵌着する。上記したように、屋根板５の左
右の側部５１を各固定具４の脚部４２に沿わせながら各
部分を嵌め付けると、屋根板５は左右の固定具４，４間
に弾性的に保持されることになり、特に左右の折曲部５
４が受溝部３３に嵌装して嵌入部５５が嵌合部３５に嵌
着することにより、屋根板５は強固に保持される。ま
た、屋根板５の左右の載置部分５３は、受部３の受部分
３４によって受け止められることになる。

【００１３】上記した状態において、係止具６を左右の
屋根板５，５の折曲部５４，５４の間に挿入する。上記
した係止具６の挿入に際し、係合部６２における係止具
６の挿入部６１の幅は受部３の前後の受片３２，３２の
間隔よりも大きいので、各受片３２は外方に押し広げら
れ、係合部６２が受部３の係合孔３６に嵌合すると、各
受片３２は押圧を解除されて元の位置に戻る。そして、
係止具６の押え部６３が屋根板５の載置部分５３の上面
に被着し、左右の屋根板５，５の突き合わされた側部５
１，５１を固定具４（受部３）に押圧保持する。

【００１４】そして、キャップ部材７を受部３の上方に
配置し、左右の側片７２，７２を拡張しながら各係止部
７３，７３を各嵌入部５５，５５に係合させる。する
と、側片７２，７２の弾性によりキャップ部材７が上方
に外れることがなく、しかも嵌入部５５，５５が嵌合部
３５に強固に嵌着し、隣接する折曲部５４，５４間を閉
塞する。

【００１５】上記したように本発明の折版屋根１は、各
固定具４間に屋根板５を弾性的に保持し、しかも係止具
６で屋根板５の載置部分５３を押圧保持し、また並設さ
れる屋根板５の側部５１，５１間にキャップ部材７を弾
性的に被着すれば良い。したがって、その施工に際して
は固定具４の上方から屋根板５や係止具６、キャップ部
材７を順次押圧するだけで設置・施工することができる
ので作業が極めて簡単である。

【００１６】図７は屋根板５の他の実施例を示すもの
で、左右の側部５１の折曲部５４を上面が開放するＵ字
形状の溝として構成したもので、その他の構成は前記し
た実施例と同一であるから、同一の符号を付して説明を
省略する。屋根板５の折曲部５４をＵ字形状の溝状にす
ると、側部５１とキャップ部材７との間を毛細管現象に
より雨水が浸透しても、折曲部５４により毛細管防止空
間になるし、仮に浸透した雨水を貯溜することができ、
しかも屋根板５の側部５１の上部を補強することができ
る。また、屋根板５は金属板を屈曲成形して構成するの
であるが、金属板の切断面である折曲部５４の先端縁が
上を向いて室内側から見えないので、例えば長期間の経
過により切断面が腐食しても室内側から観察できなくて
体裁よいものとなる。

【００１７】図８及び図９は係止具６の他の実施例（第
二実施例）を示すもので、この実施例の係止具６’は、
係合部６２’については前記した係止具６の係合部６２
と同様であるが、挿入部６１’の上部が幅広に形成さ
れ、その上端から幅広の押え部６３’，６３’が左右に
延在すると共にその上端の左右から下向きの第２挿入部
６４’，６４’が延在する構成である。上記した第２挿
入部６４’は、受部３の受溝部３３に嵌入され、受片３
２の外側に位置する。

【００１８】図１０及び図１１は係止具６の他の実施例
（第三実施例）を示すもので、この係止具６”は、押え
部６３”については上記した係止具６’の押え部６３’
と同様であるが、挿入部６１”の上部が幅広に形成さ
れ、その上端の左右から下向きの第２挿入部６４”，６
４”が延在し、この第２挿入部６４”の内側面から突出
するように係合部６２”を設けた構成である。上記した
第２挿入部６４”は、受部３の受溝部３３に嵌入され、
受片３２の外側から係合部６２”が係合孔３６に嵌合す
る。

【００１９】以上本発明を図面の実施例に基づいて説明
したが、本発明は上記した実施例に限定されるものでは
なく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りど
のようにでも実施することができる。例えば、図面の実
施例では例えば図４で示すように固定具４が一つの山状
で、左右の固定具４、４の片半部分で屋根板５の側部５
１を保持しているが、固定具が横に並列する二つ若しく
は三つ以上の山状で、谷部に屋根板５を配置して施工す
る構成でもよい。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、作業者
が手や足で屋根板や係止具を上から押圧するだけで迅速
に大面積の折版屋根を施工することができる。そして、
電動ドリルやドライバー、スパナーやハンマー等の工具
を使用する必要がなく、安全でしかも熟練を擁しなくて
も短時間で施工作業することができる。そして、特に屋
根板の左右の側部の上端部においては、係止具の係合部
が受部の係合孔に嵌合し、押え部が載置部分の上面に被
着するので、固定具と屋根板とが強固に接続される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す分解した一部の斜視図で
ある。

【図２】図１の正面図である。

【図３】施工した状態の一部の正面図である。

【図４】施工した状態の折版屋根の一部の正面図であ
る。

【図５】係止具の取付状態を示す平面図である。

【図６】係止具の取付状態を示す縦断面図である。

【図７】本発明の屋根板の他の実施例を示す縦断正面図
である。

【図８】係止具の他の実施例の斜視図である。

【図９】図８の係止具の取付状態を示す縦断面図であ
る。

【図１０】係止具の他の実施例の斜視図である。

【図１１】図１０の係止具の取付状態を示す縦断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 折版屋根 ２ 躯体 ３ 受部 ３３ 受溝部 ３６ 係合孔 ４ 固定具 ５ 屋根板 ５１ 側部 ５３ 載置部分 ５４ 折曲部 ６ 係止具 ６１ 挿入部 ６２ 係合部 ６３ 押え部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上方に受部を有する固定具と、側部が上
   記した固定具に保持される屋根板と、並設される左右の
   屋根板の対向する側部の間に挿入される係止具とを有
   し、 前記固定具の受部には、係合孔及び上方に開口する受溝
   部を設け、 前記屋根板の側部の上端には、載置部分と、該載置部分
   から下方に延在する折曲部とを設け、 前記係止具は、縦片である挿入部の上端に左右に延在す
   る押え部を設けると共に挿入部の側縁に前記した受部の
   係合孔に嵌合する係合部を形成してなり、 屋根板の側部を固定具に沿わせて折曲部を受部の受溝部
   に嵌装し、係止具を左右の屋根板の折曲部の間に挿入し
   て係合部を受部の係合孔に嵌合させると共に押え部を載
   置部分の上面に被着させるようにしたことを特徴とする
   折版屋根。