JPH0737405B2 - 新規な脂肪族アルデヒド - Google Patents

新規な脂肪族アルデヒド

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JPH0737405B2
JPH0737405B2 JP62165580A JP16558087A JPH0737405B2 JP H0737405 B2 JPH0737405 B2 JP H0737405B2 JP 62165580 A JP62165580 A JP 62165580A JP 16558087 A JP16558087 A JP 16558087A JP H0737405 B2 JPH0737405 B2 JP H0737405B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、一般式 (式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は1〜4個の炭
素原子を有する直鎖状又は分岐状のアルキル基を意味
し、2個のXはそれぞれ水素原子であるか、又は一緒に
なつて他のCC結合を意味する)で表わされる脂肪族アル
デヒドに関する。
式Iの脂肪族アルデヒドは香料成分として有用であつ
て、2,5,7,7−テトラメチル−オクタナール、2,4,5,7,7
−ペンタメチル−オクタナール、2−エチル−5,7,7−
トリメチル−オクタナール及び2,5,7,7−テトラメチル
−2−オクテン−1−アールが特に好ましい。
一般に多くの天然の芳香物質成分は、種々の理由から入
手が不確実であること、ならびに変り易い流行の香気に
対する好みに対応する必要があることから、香料産業で
は単独又は組成物の形で興味ある香気を有する価値の高
い香料を提供する新しい芳香物質が常に要望されてい
る。そのほか生活必需品例えば化粧品及び工業製品例え
ば接着剤、洗剤、洗浄剤、噴霧剤その他の製品に芳香を
付与することも、増加する傾向にある。
化学構造と嗅覚性との関係はわずかしか知られていない
ため、希望の香気性を有する芳香物質を目標としての合
成は不可能であることから価値ある芳香性、例えば新規
な香気調を有するか、又は高価なもしくは入手困難な芳
香物質に代用しうる化合物を見出すこと、ならびに入手
容易でかつ環境に不利益を与えることの少ない前生成物
からそれを製造することが課題となつていた。
本発明者らは、高価でなく、容易に入手することがで
き、興味ある香気調を有する新規な芳香物質を求めて研
究を進めた結果、式Iの新規なアルデヒドを見出した。
本発明の化合物と構造の関連する数種の化合物が既に知
られている。例えば米国特許3531510号明細書には、5,
7,7−トリメチル−オクテンニトリルが、土様で新鮮な
緑の調子を有する丁子又はしようぶを思わせる香気を有
することが知られている。さらに西独特許出願公開2723
636号明細書によれば、2,3,5,5−テトラメチル−ヘキサ
ナール(アルデヒドTMH)が、草、花及びオゾンを思わ
せる新鮮で緑の香気を有することが知られている。市販
の3,5,5−トリメチル−ヘキサナールは、油様及び緑の
野菜を思わせる香気を有する強い緑の香気性を有する。
さらに西独特許出願公開3245047号明細書には、次式 (R=H又はアルキル、X=H又は有機アシル)の化合
物が記載され、そのうち5,7,7−トリメチル−オクチル
−プロピネートは果実様、梨様の香気性を有すること
で、特に重要とみられる。
本発明の式Iの脂肪族アルデヒドは、前記の化合物と明
らかに異なる価値ある芳香性を有する。例えば2,5,7,7
−テトラメチル−オクタナール(I′:R1=H、R2=C
H3)は、きわめて興味のあるすずらん調の香気を有す
る。前記の西独特許出願公開3245047号の実施例5によ
ると、6,8,8−トリメチル−2−ノナノールは、5,7,7−
トリメチル−オクタノールを酸化して5,7,7−トリメチ
ル−オクタナールとし、次いでグリニヤール法でメチル
化することにより製造され、この中間段階で生成するア
ルデヒドは、1個のメチル基が欠けている点でのみI′
のアルデヒドと相違する。しかしこの化合物は明白に嗅
覚上の価値を有しないとされているので、本発明により
価値の高い芳香物質が提供されることは全く予想外であ
つた。
特に重要な式Iのアルデヒドは、R1が水素原子又はメチ
ル基、R2がメチル基又はエチル基、そしてXが水素原子
を意味する化合物である。特に重要な物質は、2,5,7,7
−テトラメチル−オクタナールであつて、その強い純良
なすずらン調の芳香は特に興味があり、このすばらしい
芳香性に対し、現在の市場製品で比較できるものはな
い。
2,4,5,7,7−ペンタメチル−オクタナールも同様に興味
のあるしようぶ調の花の香りを呈する。2−エチル−5,
7,7−トリメチル−オクタナールも同様に興味ある花の
香りを呈し、さらに新鮮な感じを与える。
式Iの新鮮なアルデヒドは、興味ある芳香性を有するの
で香気物質又は香料成分として、化粧品又は工業的に有
利に使用できる。この化合物は組成物中に広い濃度範囲
で使用でき、普通の香料含有物質及び他の芳香物質と混
合して新規な組成物とすることもできる。本発明の化合
物の配合割合は、香料組成物に対し1〜50重量%であつ
てよい。
この組成物は、化粧品例えばクリーム、ローシヨン、香
水、化粧石鹸、口内衛生剤、エヤゾールの香気付与、な
らびに香料エキスとして使用される。さらに工業用製品
例えば清浄剤、洗剤及び白色洗剤の香気改良に使用でき
る。通常は、製品の全量に対しこの組成物を0.05〜2重
量%加える。
本発明の式Iのアルデヒドは、香料又は香気付与製品の
芳香性の付与、改善又は変更のために用いられる。式I
の脂肪族アルデヒドは下記の方法により製造できる。次
のアルデヒドを、次式 (式中、R1及びR2は前記の意味を有する)のアルデヒド
と、アルドール縮合触媒の存在下に縮合させると、式I
の置換オクテナールが得られ、この化合物を所望により
部分的に水素化又は還元すると、式Iの対応するオクタ
ナールが得られる。
式II及びIIIのアルデヒドは市販品を用いることができ
る。特に式IIIのアルデヒド例えばプロピオンアルデヒ
ド、ブチルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、n−バ
レルアルデヒド及びn−ヘキサナールは、重要な工業的
中間生成物として製造されるので、必要量を安価に入手
できる。
アルドール縮合は既知の方法で行うことができるので、
その詳細な説明は省略する。縮合反応は塩基性触媒の存
在下に行うことが好ましい。塩基性触媒としては、特に
濃厚な苛性カリ又は苛性ソーダ溶液の使用が好ましい。
溶媒としては特に低級アルコール例えばメタノール又は
エタノールが好ましい。アルドール縮合の詳細に関して
は、ホウベン−ワイル著、メトーデン・デル・オルガニ
ツシエン・ヘミー7/1巻76〜85頁特に76〜78頁が参照さ
れる。
置換基R1が水素原子の場合は、アルデヒドII及びアルデ
ヒドIIIは共にα−位が非置換で、これによつて3種の
アルドール縮合生成物の混合物が得られる(アルデヒド
IIの単独アルドール縮合物、アルデヒドIIIの単独アル
ドール縮合物及び異種アルドール縮合物)。
好ましい変法においては、塩基性触媒を溶媒(例えばメ
タノール)と共に用意し、これに高められた温度好まし
くは50〜60℃において、アルデヒドII及びIIIの混合物
を滴加する。
両アルデヒドのモル比は置換基R1及びR2に応じて変える
ことができるが、通常はより反応性のアルデヒドIIIが
過剰に用いられる。
この方法により、アルデヒドIIの単独アルドール縮合は
ほとんど完全に防止できる。式IIIのアルデヒドの自己
縮合生成物は容易に分別することができ、そして多くの
工業的に重要な中間生成物、例えば2−メチル−2−ペ
ンテナール(プロパナールから)又は化学的に重要な生
成物である2−エチル−2−ヘキセナール(ブタナール
から)が製造される。こうして追加の価値のある生成物
が得られる。
得られた式Iのオクテナールは、所望により公知方法に
より水素化又は還元して、対応する式Iの飽和アルデヒ
ドにすることができる。この選択的水素化反応のために
は、種々の担体例えば炭素、酸化アルミニウム、シリカ
ゲル又はボーキサイド上のパラジウム触媒が特に好まし
い。この場合も溶媒としては低級アルコールが好まし
い。この選択的水素化反応の詳細については、例えばラ
イランダー著、「カタリテイツク・ハイドロゲネーシヨ
ン・イン・オーガニツク・シンセシス」アカデミツク・
プレス1979年74頁以下が参照される。
本発明のアルデヒドは、前記のように特有の芳香性を有
するので、芳香物質又は香料組成物及び香油の成分とし
て、化粧品用に重要である。これが容易に入手できる出
発物質から簡単な方法で製造できることも重要である。
実施例1 2,5,7,7−テトラメチル−2−オクテナールの製造: 反応用フラスコに窒素ガス中でメタノール128g(4モ
ル)及びNaOH2g(0.05モル)を入れ、還流加熱する。こ
の溶液に3,5,5−トリメチル−ヘキサナール142g(1モ
ル)及びプロピオンアルデヒド116g(2モル)の混合物
を、10分間で滴加する。得られた反応混合物を1時間沸
騰温度に保持したのち、80%酢酸水溶液によりpH価を4
〜5にする。2回水洗したのち有機層を分離し、分留に
より仕上げ処理する。前分画として未反応の3,5,5−ト
リメチル−ヘキサナール32gならびに2,5,7,7−テトラメ
チル−2−オクテナール(沸点108〜114℃/14ミリバー
ル)113gが得られ、トリメチル−ヘキサナールに対する
選択率は81%に相当する。▲n25 D▼=1.4580。
IR:2956、1698、1644、1246cm-1;1 H−NMR:0.85(9H、s)、0.92(3H、d)、1〜1.28
(2H、m)、1.75(3H、s)、1.8(1H、m)、2.1〜2.
35(2H、m)、6.53(1H、t)、9.4(1H、s)、δpp
m; MS:M+=182(3.5)、m/e:111(6.5)、97(4.5)、84
(54)、71(5)、57(100)、41(25)、29(14)。
この化合物は興味ある動物性香気調を有する。
実施例2 2,5,7,7−テトラメチル−オクタナールの製造: 水素添加用オートクレーブ中で、メタノール500mlに溶
解して2,5,7,7−テトラメチル−2−オクテナール250g
(1.37モル)を、0.5%パラジウム/酸化アルミニウム
触媒25gの存在下に、80℃でまず水素圧を25バールで、
2〜3時間後には55バールで水素化する。水素化時間は
合計で10時間である。触媒を別したのち分留により、
2,5,7,7−テトラメチル−オクタナール(沸点=68℃/0.
3ミリバール:▲n25 D▼=1.4308)が245g(1.33モル)
得られ、これは理論値の96%の収率に相当する。この化
合物はジアステレオマー混合物として存在する。
IR:2956、1728、1476、1465、1365cm-1;1 H−NMR:0.89(9H、s)、0.92(3H、d)、1〜1.5(9
H、m)、1.7(1H、m)、2.25(1H、m)、9.15(1H、
s)δppm; MS:M+=184(0.1)、m/e:151(2.5)、142(2.0)、128
(6.0)、126(5.5)、110(5.5)、95(13.5)、81
(5)、71(22)、57(100)、41(32)。
この化合物は興味ある新鮮で強いすずらん調の芳香を有
する。
実施例3 2−エチル−5,7,7−トリメチル−オクタナールの製
造: 実施例1及び2と同様にして、3,5,5−トリメチル−ヘ
キサナール及びn−ブタナールから、2−エチル−5,7,
7−トリメチル−オクタナールを製造する。この化合物
はジアステレオマー混合物として存在する。沸点=102
℃/14ミリバール、▲n25 D▼=1.4339。
IR:2557、1728、1476、1464、1365、1247cm-1;1 H−NMR:0.88(9H、s)、0.89(3H、d)、0.89(3H、
t)、0.95〜1.7(9H、m)、2.13(1H、m)、9.63(1
H、s)δppm; MS:M+=198(0.6)、m/e:142(7)、126(7.5)、109
(8)、95(6.8)、83(5)、72(37)、57(100)、
41(27)、29(18)。
この化合物は新鮮な花の芳香を有する。
実施例4 2,4,5,7,7−ペンタメチル−オクタナールの製造: 実施例1及び2と同様にして、2,3,5,5−テトラメチル
−ヘキサナール(アルデヒドTMH/ドラゴコ社、ホルツミ
ンデン)及びプロピオンアルデヒドから、2,4,5,7,7−
ペンタメチル−オクタナールを製造する。この化合物
は、ジアステレオマー混合物として存在する。沸点=54
℃/0.2ミリバール、▲n25 D▼=1.4398。
IR:2958、1727、1477、1465、1393、1381、1365、1113c
m-1;1 H−NMR:0.78〜0.9(6H、m)、0.9(9H、s)、0.9〜
1.8(9H、m)、2.4(1H、m)、9.58及び9.63(1H、
s)δppm; MS:M+=198(0.1)、m/e:140(3.5)、109(6.5)、99
(12)、85(13)、75(3.5)、71(17)、57(17)、4
3(47)。
この化合物は興味あるしようぶ調の花の芳香を有する。
応用例 下記の成分を混合して花様の特色を有する香料基礎組成
物を調製する。
シトロネロール 33.7 g ロデイノールP(ローン・プーラン社) 11.3 g ヒドロキシシトロネラール 9.6 g (BASF社) 安息香酸ベンジル 6.7 g フタル酸ジメチル 2.25g インドール10% 2.25g 95.00g 2,5,7,7−テトラメチル−オクタナール 5.00g 100.00g 2,5,7,7−テトラメチル−オクタナールを添加すること
により、組成物の有する天然の花様の新鮮な芳香が増強
される。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は1〜4個の炭
    素原子を有する直鎖状又は分岐状のアルキル基を意味
    し、2個のXはそれぞれ水素原子であるか、又は一緒に
    なつて他のCC結合を意味する)で表わされる脂肪族アル
    デヒド。
  2. 【請求項2】2,5,7,7−テトラメチル−オクタナールで
    ある特許請求の範囲第1項に記載の化合物。
  3. 【請求項3】2,4,5,7−ペンタメチル−オクタナールで
    ある特許請求の範囲第1項に記載の化合物。
  4. 【請求項4】−エチル−5,7,7−トリメチル−オクタナ
    ールである特許請求の範囲第1項に記載の化合物。
  5. 【請求項5】2,5,7,7−テトラメチル−2−オクテン−
    1−アールである特許請求の範囲第1項に記載の化合
    物。
JP62165580A 1986-07-05 1987-07-03 新規な脂肪族アルデヒド Expired - Lifetime JPH0737405B2 (ja)

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DE19863622600 DE3622600A1 (de) 1986-07-05 1986-07-05 Neue aliphatische aldehyde, verfahren zu deren herstellung und deren verwendung als riechstoffe
DE3622600.9 1986-07-05

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Publication Number Publication Date
JPS6322535A JPS6322535A (ja) 1988-01-30
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US (1) US4758548A (ja)
EP (1) EP0252378B1 (ja)
JP (1) JPH0737405B2 (ja)
DE (2) DE3622600A1 (ja)
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