JPH0736755B2 - プラスミノーゲン・アクチベーター前駆体含有組成物 - Google Patents

プラスミノーゲン・アクチベーター前駆体含有組成物

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JPH0736755B2
JPH0736755B2 JP58170354A JP17035483A JPH0736755B2 JP H0736755 B2 JPH0736755 B2 JP H0736755B2 JP 58170354 A JP58170354 A JP 58170354A JP 17035483 A JP17035483 A JP 17035483A JP H0736755 B2 JPH0736755 B2 JP H0736755B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、チモゲンの一種であるプラスミノーゲン・ア
クチベーター前駆体を高純度に含む組成物に関する。
〈先行技術〉 従来、プラスミノーゲン・アクチベーターとしては、ウ
ロキナーゼが著名である。このものは人尿および人腎細
胞の培養液から精製されており、主として分子量3万
と、分子量5万の2種からなる。このウロキナーゼは、
高分子のものが活性も高く最も医薬品として有用であ
る。そしてその分子構造は、H鎖(分子量3万)、L鎖
(分子量2万)の2本の鎖がジスルフィド結合によって
のみ連結されている。それ故、還元処理によって容易に
低分子化される性質を持っていた。
本発明者は、上記知見を認識し、よりすぐれたプラスミ
ノーゲン・アクチベーター前駆体を得るべく研究を重ね
た。その結果、人腎細胞の無血清培養液中に分子量約5
万で、還元処理によって低分子化が起こらず、しかもフ
ィブリンへの親和性が既知分子型のウロキナーゼに比し
て高い本チモゲンを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
〈発明の開示〉 本発明は、人腎細胞の培養培地より回収しうるチモゲン
の一種であるプラスミノーゲン・アクチベーター前駆体
を高純度に含む組成物であって、SDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動により測定した分子量が約5万ダルト
ンであり、還元剤処理によって低分子化が起こらず、ま
たそれ自体は合成基質法(S−2444)で測定した際に、
蛋白量1.3μg/ml当たり2.5U/mlの酵素活性しか示さない
が、プラスミン処理により高度の酵素活性を発現し、少
なくとも以下の(a)〜(c)の工程を順次経ることに
より調製されるプラスミノーゲン・アクチベーター前駆
体含有組成物に関するものである。
(a)人腎細胞を無血清培地中で培養する工程。
(b)培養上清をpH4.5〜6.5の条件下で陽イオン交換体
に接触させて、本前駆体を吸着させた後に、pH7.5〜9.5
の条件下で溶出させる工程。
(c)溶出画分をpH6〜8の条件下で、本前駆体の抗体
カラムに接触させて、本前駆体を吸着された後、pH2〜
4の条件下で溶出させる工程。
[原料の調製] 原料としては人腎細胞が用いられるが、この人腎細胞
は、例えば人胎児腎より得たPrimary culture又はdipio
id cellsを入手し、これを継代培養し、本チモゲン産生
細胞を分離したものが利用される。例えば細胞を2〜20
×104cells/mlの数で植え込み、3日間ほど培養を続
け、細胞数が植え込み数の約3倍になった時点でトリプ
シン−EDTA混液を添加し、単層の幼若な細胞を回収して
得たものが使われる。
[培養条件] 培地としては、例えばWaymouthの培地、Dulbecco′s mo
dified MEM培地などが用いられ、前培養時には、前記該
培地中に熱不活化牛胎児血清を5%添加し、本チモゲン
産生時には無血清培地、好ましくは、ヒト血清アルブミ
ンを添加した無血清培地を用いて培養する。無血清培地
にはヒトまたはウシアルブミン、ラクトアルブミン水解
物、トランスフェリン、各種アミノ酸、各種脂肪酸、イ
ンシュリン等のホルモンなどを添加してもよい。培養培
地は2〜3日程度ごとに、交換する。この培地中に本発
明のチモゲンが産生されている。
[本チモゲンの回収] 培地からの本チモゲンの回収は、例えば、当該培地を遠
心分離、減圧濃縮、塩析分画、ゲル濾過、濃縮、イオン
交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラ
フィー等を、適宜組み合わせることによって行なわれ
る。
より具体的には、例えば次のごとき方法によって回収さ
れる。すなわち、まず培地を遠心分離し、上清を回収す
る。この回収液をイオン交換クロマトグラフィーにより
部分精製する。担体としては、弱酸性陽イオン交換体が
最適であり、例えばCM−交換体、あるいはDuolite等が
例示される。担体をpH4.5〜6.5、より好ましくはpH5〜
6に調整した後、回収液を展開して担体に吸着させる。
上記の緩衝液で洗浄した後に、pH7.5〜9.5、より好まし
くはpH8〜9の緩衝液で本チモゲンを溶出する。緩衝液
としては、リン酸緩衝液等が例示される。さらに、この
溶出液をアフィニティークロマトグラフィーにより高度
精製する。担体としては、ポリクロナール抗体カラム、
モノクロナール抗体カラムのどちらを用いてもよい。
ポリクロナール法の場合、抗体チモゲン抗体は、高度に
精製した本チモゲンを動物に免疫し、得られた血清から
回収・精製することによって得られる。
当該抗血清の製造は公知の方法にて行なえばよく、例え
ば高度精製本チモゲンとフロインドの完全アジュバント
の混合乳液を作り、動物の皮内に2〜3回注射し、最終
免疫の数日後採血を行ない室温で凝固せしめた後、4℃
で一夜放置し、3,000rpm、20分間の遠心分離により当該
抗血清が得られる。
免疫に用いる動物としては、特に動物種を選ぶ必要はな
く、例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ等が
挙げられる。当該抗血清の精製は、例えば、J.Am.Chem.
Soc.,62,3386(1949),Fed.Proc.,17,1161(1958)に記
載の方法にて行なわれる。
モノクロナール法の場合、細胞融合法により抗本チモゲ
ンを得る。細胞融合法は自体既知の手段にて行なわれ、
その一例は増殖性を持った細胞と目的とする抗体を産生
しているリンパ球とをポリエチレングリコールの存在下
で反応せしめることにより、増殖性と抗体産生能とを同
時に兼ねそなえた細胞を製するもので、この細胞の産生
する抗体は一個の抗原決定基に対してのみ反応する単一
の抗体である。
本発明では増殖性を持つ細胞としてマウスミエローマ細
胞を、抗体産生リンパ球として本チモゲンで免疫された
マウス脾臓細胞(B細胞)を用いて融合させ、さらに目
的とする抗体を産生している細胞をスクリーニングし
て、本チモゲンのモノクロナール抗体を得る。
また、このようにして得られた抗本チモゲン抗体を、そ
の活性を失うことなく固定化する方法としては、以下の
不溶性マトリックスを応用することができる。アミノ酸
のコポリマー(J.Biol.Chem.,236,1970(1961)、セル
ロース(Nature,189,576(1961)、アガロースあるいは
セファデックス(Nature,215,1491(1967),Nature,24
5,3059(1970))、ポリアクリルアミド(Biochem.,,
4074(1966))。これらの方法により抗本チモゲン抗体
を効率良く固定化しうる。また、このようにして得られ
た吸着剤を用いることにより、収率良く、しかも高純度
の本チモゲンを得ることができる。
本発明に係るチモゲンのアフィニティークロマトグラフ
ィーは以下の通りである。陽イオン交換体により部分精
製した本チモゲンを、pH6−8の緩衝液で平衡化した抗
本チモゲン抗体カラムと接触・吸着させる。カラムを洗
浄後、pH2−4の水溶液で溶出する。
なお、上記の回収法は本発明チモゲン回収法の一例を示
したにすぎず、もちろん他の方法によって回収してもよ
い。例えば、抗原性が一致することから、抗ウロキナー
ゼ抗体を固定した担体を本発明チモゲンの精製に同様に
利用できる。かくして得られた本チモゲンは、化学用、
薬学用、医学用の試薬として用いてもよく、又医薬品と
して用いる場合には、医薬品の製造の通例技術にしたが
って、要すれば加熱処理、除菌濾過、凍結乾燥、分注、
製剤化を行なえばよい。又、精製工程中または精製後、
溶液中に安定化剤として、アルブミンまたは非イオン性
界面活性剤、例えばトリトンX−100、Tween80等を添加
することが好ましい。かくして新規な本チモゲンを含有
する医薬が提供される。
[本チモゲンの特性] 分子量 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(Nature,227,
680−685(1970))を用いて、本発明からなる本チモゲ
ンの分子量を測定したところ、約5万ダルトンであっ
た。なお分子量は分子量既知の標準蛋白との比較によっ
て決定し、また前処理として、37℃、2時間または100
℃、2分間、1%SDS、1%2−メルカプトエタノール
による還元処理を各々行なった。
酵素感受性 J.Biol.Chem.,257,3276−3283(1980)に準じて、プラ
スミンに対する感受性実験を行なった。その結果、本発
明からなるチモゲンはそれ自身はプラスミノーゲンアク
チベーター活性を示さなかった。しかし、プラスミン処
理をすることにより活性が発現し、その活性発現の程度
はプラスミン処理の濃度(表1)、およびその処理時間
(表2)に依存していた。活性測定法は後記の通りであ
る。
前者の実験は、本チモゲン蛋白量として、1.3μg/mlを
調製し、これに各濃度のプラスミンによって約60分間の
前処理を行なった後に発現される酵素活性を測定した。
後者の実験は、プラスミンを0.1μg/ml及び本チモゲン
蛋白量として1.3μg/mlを調製し、プラスミンによる処
理時間による効果を経時的に測定した。
このことから、本発明からなるプラスミノーゲン・アク
チベーター前駆体はチモゲンの一種であることが判明し
た。
また、本発明からなるチモゲンを、プラスミン処理した
後還元処理し、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
を行ったところ、分子量約3万と、約2万の断片に分解
されていた。よって、このプラスミン処理後の生物は、
従来の人尿由来ウロキナーゼと同一物と推定される。
還元剤処理 1%SDS、1%2−メルカプトエタノール、、37℃・2
時間、もしくは、100℃・2分間の処理に対する本発明
からなるチモゲンの抵抗性を分子量測定法に準じて調べ
た。その結果、未処理本チモゲンと処理後本チモゲンは
同じ電気泳動パターンを示し、この本チモゲンが一本鎖
であることを確認した。
活性測定法 合成基質法(クリーソンらHaemostasis.,,76(197
8))、もしくは平板法(アストラップらArch.Biochem.
Biophys.,40,346−351,(1952))によって活性を測定
できた。フィブリノーゲンはMiles社のbovine,fibrinog
en,Fr.I(微量のプラスミンを含む)を使用した。
アミノ酸組成および配列 本発明者らは、既に、ヒトウロキナーゼをコードしたmR
NAを本発明に用いたのと同じ人腎細胞から分離し、その
cDNAの塩基配列を決定した(特願昭59−37119)。一
方、本発明からなるチモゲンをCNBrを用いた化学的切
断,lysyl endopeptidaseを用いた酵素的切断により得ら
れた各フラグメントについてアプライドバイオシステム
ズ社のGas−Phase Protein Sequencer Model 470Aを使
用した自動Edman分解法により、350アミノ酸残基の領域
(全構造の85%)についてアミノ酸配列を決定し、それ
を第1図に示した。その結果、ヒトウロキナーゼ前駆体
をコードしたcDNAから予想されるアミノ酸配列と本分析
結果とは完全に一致した。
さらに、本発明からなるチモゲンを加水分解し、そのア
ミノ酸組成を調べた(表3)。アミノ酸組成についても
両者は一致した。
これらの知見から本発明からなるチモゲンは、ヒトウロ
キナーゼ前駆体をコードしたcDNAから推定されたウロキ
ナーゼ前駆体そのものに相当することが強く支持され
た。
その他の性状について 活性中心:ウロキナーゼのセリン活性部位に結合するp
−アミノベンズアミジンを固定したセファローズゲルに
本発明からなるチモゲンを接触させたが、吸着しなかっ
た。このことから、本発明からなるチモゲンのセリン活
性部位は分子内部にはいっており、従来のウロキナーゼ
とは高次構造が異なっているものと推定される。
二次構造:本発明からなるチモゲンを円偏光二色性によ
って、α−ヘリックス含量を調べたところ、従来の人尿
由来ウロキナーゼに比較して、α−ヘリックス含量が高
かった。このことから、本チモゲンと、従来の人尿由来
ウロキナーゼとは、二次構造が異なっている事が示され
た。
フィブリン親和性:本発明からなるチモゲン(酵素量と
して5U)をフィブリノーゲン2mg/mlを含む反応混合物
(例えば血漿など)に添加した。この検体をトロンビン
により凝固させた後、37℃で15分間インキュベーション
した。凝塊と上清を遠心分離し、上清中のプラスミノー
ゲン活性を測定した。この値を非結合量とし、全体量か
ら引いた値をフィブリンへの結合量として算出した(表
4)。
本発明からなるチモゲンはフィブリンへの親和性が強
く、組織プラスミノーゲン・アクチベーター類似の性質
を有する。このことは血栓溶解療法において重要な意味
を持つ。即ち、従来のウロキナーゼではプラスミンの失
活が早いために大量投与しなければならず、そのために
出血傾向などの重篤な副作用が惹起される。ところが、
本発明からなるチモゲンはフィブリンへの親和性が高い
ために固相(フィブリン)上に限定した線溶現象を惹起
させることができ、血栓溶解療法にとって理想的な医薬
を提供するものである。
フィブリノーゲンへの影響:従来の人尿由来ウロキナー
ゼは、血栓部位のフィブリン以外に、血漿中のフィブリ
ノーゲン、凝固因子(第V因子、第VIII因子、第XIIII
因子)をも分解し、出血傾向増大の副作用が問題とな
る。そこで、本発明からなるチモゲンによる血漿中のフ
ィブリノーゲン分解を調べた。125 Iでラベルしたフィブリノーゲンを人血漿中に前も
って添加しておき、本発明からなるチモゲン(500U/m
l)または、従来の人尿由来ウロキナーゼ(1,500IU/m
l)を加え、37℃下、2分、10分、60分、120分、180分
後にサンプリングし、SDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動とオートラジオグラフィーにより125I−フィブ
リノーゲンの分解の程度を経時的に測定した。
分子量330,000のフィブリノーゲンは、プラスミンによ
り、分子量240,000、155,000。85,000、50,000の断片、
およびその他の小さな断片に分解されるが、本発明から
なるチモゲンは、血漿中に180分間存在してもフィブリ
ノーゲンをほとんど分解しなかった。一方、従来の人尿
由来ウロキナーゼを作用させた場合、10分間でかなり多
くのフィブリノーゲンが分解され、さらに分解は進んで
いった。
すなわち、本発明からなるチモゲンは、フィブリンへの
親和性が高く、フィブリン溶解能が高いが、血漿中のフ
ィブリノーゲンを分解しないことより、血栓部位のフィ
ブリンのみを分解し、ウロキナーゼ大量投与の際に問題
となる副作用である血中フィブリノーゲン減少に伴う出
血傾向の増大を引き起こし難いと言える。
血栓溶解能:ヒト血漿から作成したフィブリン血栓に対
する溶解能を調べた。125Iでラベルしたフィブリン血
栓を、本発明からなるチモゲンまたは、従来の人尿由来
ウロキナーゼ含有血漿中で37℃、3時間放置し、溶解し
たフィブリンの放射活性を測定した。その結果を、表5
に示す。この結果より本発明からなるチモゲンの血栓溶
解能は、従来の人尿由来ウロキナーゼのそれより、約3
倍優れていることが判明した。
血漿中での安定性:血漿中での本発明からなるチモゲン
の分子量、及び一本鎖の構造を調べることにより、安定
性を検討した。125Iでラベルした本発明からなるチモ
ゲン(500U/ml)を37℃の人血漿中で放置し、1時間、
2時間、3時間後にサンプリングし、それを2分した。
一方は、1%SDSで変性し、他方は、1%SDS及び1%2
−メルカプトエタノールで還元処理した。これらのSDS
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びオートラジオグ
ラフィーを行った結果、3時間後においても、非還元お
よび還元処理ともに0時間と同じ泳動パターンを示し、
分子量約5万の1本の帯を示した。よって、本発明から
なるチモゲンの分子量及び一本鎖の構造は、血漿中では
安定と言える。
前記合成基質法により、本発明からなるチモゲンの血漿
中でのウロキナーゼ活性を測定したが、活性は発現しな
かった。
以上のことより、本発明からなるチモゲンは、酵素前駆
体として血漿中で安定であると言える。
抗ウロキナーゼ抗体および抗ヒトメラノーマ由来TPA抗
体による酵素活性の中和:本発明からなるチモゲンの活
性をプラスミンにより発現させた。さらに、抗ウロキナ
ーゼ抗体、もしくは抗ヒトメラノーマ由来TPA抗体を添
加し、37℃、90分間放置後、残存酵素活性を前記合成基
質法、もしくは平板法で測定したところ、プラスミン処
理によって発現する本発明からなるチモゲンの酵素活性
は、抗ウロキナーゼ抗体によって阻害されたが、抗TPA
抗体によって阻害されなかった。
以上のことより、本発明からなるチモゲンは、ウロキナ
ーゼの前駆物質であり、フィブリン親和性において、TP
Aと類似の性質を示すが、TPAや、その前駆物質とは異な
る物質である。
血栓溶解の機序:以上の本発明からなるチモゲンの性質
から、この酵素は従来の人尿由来ウロキナーゼとは血栓
溶解機構が異なっているものと思われる。
人尿由来ウロキナーゼは血漿中および血栓上のプラスミ
ノーゲンに直接的に作用し、生成されるプラスミンがフ
ィブリノーゲンやフィブリンを分解する。
一方、本発明からなるチモゲンは血漿中ではプラスミノ
ーゲン・アクチベーター活性を示さず、フィブリンとの
親和性が高い故、血栓部位に到達しやすく、フィブリン
に結合し、血栓中に含まれる微量のプラスミンにより血
栓上でウロキナーゼ活性を発現すると思われる。そし
て、フィブリン分子に結合しているプラスミノーゲンを
プラスミンに変換し、フィブリンを分解すると思われ
る。
この様に本発明からなるチモゲンを使用した場合、フィ
ブリン(血栓)という固相上のみに限定した線溶現象を
期待する事ができ、新しいタイプの線維素溶解剤として
大いに期待できる。
〈実施例〉 培養人腎細胞を0.1%ヒト血清アルブミン添加無血清培
養液に3日間培養し、培養液を遠心分離し、その上清を
凍結して保存した。プールした培養上清をpH5.5に調整
した後、CM−SephadexC−50に接触した。0.16Mリン酸緩
衝液(pH5.5)でカラムを洗浄した後、0.16Mリン酸緩衝
液(pH8.5)で吸着していた本チモゲンを溶出させた。
一方、本チモゲンで予め免疫しておいたマウスBALB/cの
脾臓細胞とマウスミエローマ細胞をポリエチレングコー
ルにより融合させたハイブリドーマのうち、本チモゲン
に対する抗体産生の高いクローンを選択した。この融合
細胞の培養液から、抗本チモゲンモノクローナル抗体を
回収した。このモノクローナル抗体をCNBr活性化Sephar
ose4B(Pharmacia社)に固定した。
このモノクローナル抗体カラムを0.4M NaCl含有0.1Mリ
ン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化し、これに前記の本チモ
ゲンを含有する溶出液を接触した。0.4M NaCl含有0.1M
リン酸緩衝液(pH7.0)でカラムを洗浄した後、吸着し
ていた本チモゲンを0.5M NaCl含有0.2Mグリシン−HCl水
溶液(pH2.5)で溶出させた。溶出液を除菌濾過した
後、凍結乾燥し比活性が少なくとも80,000U/mgの高度精
製本チモゲンを得た。
なお、この精製品はSDS−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動法により分子量5万の1本の帯を示した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ヒトウロキナーゼ前駆体をコードしたcDNAか
ら予想されるアミノ酸配列と本発明からなるチモゲンの
アミノ酸配列分析から固定された領域を示す。 図中、実線部分はアミノ酸配列分析がなされ固定された
領域を、他方破線部分は未同定領域を示す。Cm−p,CBn,
Lnはそれぞれ還元アルキル化本チモゲン、そのCNBr分解
ペプチド及びリジルエンドペプチダーゼ分解ペプチドを
示す。 はカルボキシルペプチダーゼAを用いてC末端側から同
定された領域を示す。
フロントページの続き (72)発明者 西田 正行 大阪府三島郡島本町青葉3丁目2―6― 304 (72)発明者 須山 忠和 京都府綴喜郡田辺町松井ケ丘4丁目3―7 (56)参考文献 特表 昭56−501474(JP,A) ・The Journal of Bi ological Chemistry, 257(6),(1982)P.3276−3283,P. 7262−7268 ・Fed. Proc.,42(7), (1983)ABSTRACT 592.

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】人腎細胞の培養培地より回収しうるチモゲ
    ンの一種であるプラスミノーゲン・アクチベーター前駆
    体を高純度に含む組成物であって、SDS−ポリアクリル
    アミドゲル電気泳動により測定した分子量が約5万ダル
    トンであり、還元剤処理によって低分子化が起こらず、
    またそれ自体は合成基質法(S−2444)で測定した際
    に、蛋白量1.3μg/ml当たり2.5U/mlの酵素活性しか示さ
    ないが、プラスミン処理により高度の酵素活性を発現
    し、少なくとも以下の(a)〜(c)の工程を順次経る
    ことにより調製されるプラスミノーゲン・アクチベータ
    ー前駆体含有組成物。 (a)人腎細胞を無血清培地中で培養する工程。 (b)培養上清をpH4.5〜6.5の条件下で陽イオン交換体
    に接触させて、本前駆体を吸着させた後に、pH7.5〜9.5
    の条件下で溶出させる工程。 (c)溶出画分をpH6〜8の条件下で、本前駆体の抗体
    カラムに接触させて、本前駆体を吸着させた後に、pH2
    〜4の条件下で溶出させる工程。
  2. 【請求項2】プラスミン処理により、合成基質法(S−
    2444)で測定した際に、蛋白量1.3μg/ml当たり80U/ml
    の酵素活性を発現する特許請求の範囲第1項記載の組成
    物。
JP58170354A 1983-09-13 1983-09-13 プラスミノーゲン・アクチベーター前駆体含有組成物 Expired - Lifetime JPH0736755B2 (ja)

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