JPH0612991B2 - プラスミノーゲン・アクチベーター前駆体の製造法 - Google Patents

プラスミノーゲン・アクチベーター前駆体の製造法

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JPH0612991B2
JPH0612991B2 JP2292940A JP29294090A JPH0612991B2 JP H0612991 B2 JPH0612991 B2 JP H0612991B2 JP 2292940 A JP2292940 A JP 2292940A JP 29294090 A JP29294090 A JP 29294090A JP H0612991 B2 JPH0612991 B2 JP H0612991B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、プラスミノーゲン・アクチベーター前駆体の
製造法に関する。
〔従来技術・発明が解決しようとする課題〕
プラスミノーゲン・アクチベーターは、プラスミノーゲ
ンを、繊維素溶解能を有する活性なプラスミンに変換す
る活性化因子である。
従来、プラスミノーゲン・アクチベーターとしては、ウ
ロキナーゼが著名である。このものは人尿および人腎細
胞の培養液から精製されており、主として分子量3万
と、分子量5万の2種からなる。このウロキナーゼは、
高分子のものが活性も高く最も医薬品として有用であ
る。そしてその分子構造は、H鎖(分子量3万)、L鎖
(分子量2万)の2本の鎖がジスルフィド結合によって
のみ連結されている。それ故、還元処理によって容易に
低分子化される性質を持っていた。
本発明者は、上記知見を認識し、よりすぐれたプラスミ
ノーゲン活性化能をもつプラスミノーゲン・アクチベー
ター前駆体(以下「チモゲン」ともいう。)を得るべく
研究を重ねた。その結果、既知分子型のウロキナーゼに
比して、フィブリンへの親和性の高いチモゲンを分離精
製することができる方法を知見し、本発明を完成するに
至った。
〔課題を解決するための手段〕
即ち、本発明は、プラスミノーゲン・アクチベーター前
駆体の製造法であって、少なくとも以下の(a)〜(d)の工
程を順次行うことを特徴とするものである。
(a) 本前駆体を産生する細胞培養上清pH4.5〜6.
5の条件下で陽イオン交換体に接触させて、本前駆体を
吸着させる。
(b) pH7.5〜9.5の条件下で、本前駆体を該陽イ
オン交換体より溶出させる。
(c) 溶出画分をpH6〜8の条件下で、本前駆体抗体カ
ラムに接触させて、本前駆体を吸着させる。
(d) pH2〜4の条件下で、本前駆体を該抗体カラムよ
り溶出させる。
また、特に本前駆体を産生する細胞が人腎細胞である場
合には、本発明法により以下の性質を有するチモゲンを
製造することができる。
(ア)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により
測定した分子量が約5万ダルトンである。
(イ)還元剤処理によって低分子化が起こらない。
(ウ)チモゲン自体は酵素活性を示さない。
(エ)プラスミン処理により酵素活性を発現し、その際
の比活性が少なくとも80,000IU/mgである。
本発明法を実施するに際して、プラスミノーゲン・アク
チベーター前駆体を産生する細胞は以下のようにして調
整、培養される。
<細胞の調製> 細胞としては、プラスミノーゲン・アクチベーター前駆
体を産生する細胞であれば特に制限されないが、好まし
くは人腎細胞が用いられる。この人腎細胞は、例えば人
胎児腎より得られるPrimary culture又はdipioid cells
を入手し、これを継代培養し、本チモゲン産生細胞を分
離したものが利用される。例えば細胞を2〜20×104cel
ls/mlの数で植え込み、3日間ほど培養を続け、細胞数
が植え込み数の約3倍になった時点でトリプシン−ED
TA混液を添加し、単層の幼若な細胞を回収して得たも
のが使われる。
<培養条件> 培養培地としては、例えば、Waymouthの培地、Dulbecc
o's modified MEN培地などが用いられ、前培養時には、
前記該培地中に熱不活化牛胎児血清を5%添加し、本チ
モゲン産生時には無血清培地、好ましくは、ヒト血清ア
ルブミンを添加した無血清培地を用いて培養する。無血
清培地にはヒトまたはウシアルブミン、ラクトアルブミ
ン水解物、トランスフェリン、各種アミノ酸、各種脂肪
酸、インシュリン等のホルモンなどを添加してもよい。
培養培地は2〜3日程度ごとに交換する。この培地中に
本チモゲンが産生され得る。
産生された本チモゲンは、以下のようにして回収(分
離、精製)される。
<本チモゲンの回収> 培地からの本チモゲンの回収は、例えば、当該培地を遠
心分離、減圧濃縮、塩析分画、ゲル濾過、濃縮、イオン
交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラ
フィー等を、適宜組み合わせることによって行なわれ
る。
より具体的には、例えば次のごとき方法によって回収さ
れる。すなわち、まず培地を遠心分離し、上清を回収す
る。この回収液をイオン交換クロマトグラフィーにより
部分精製する。担体としては、弱酸性陽イオン交換体が
最適であり、例えばCM−交換体、あるいはDuolite等
が例示される。担体をpH4.5〜6.5、より好ましく
はpH5〜6に調整した後、回収液を展開して担体に吸着
させる。
上記の緩衝液で洗浄した後に、pH7.5〜9.5、より
好ましくはpH8〜9の緩衝液で本チモゲンを溶出する。
緩衝液としては、リン酸緩衝液等が例示される。さら
に、この溶出液をアフィニティークロマトグラフィーに
より高精度する。担体としては、ポリクロナール抗体カ
ラム、モノクローナル抗体カラムのどちらを用いてもよ
い。
ポリクローナル法の場合、抗体チモゲン抗体は、高度に
精製した本チモゲンを動物に免疫して得られた血清から
回収・精製することによって得られる。
当該抗血清の製造は公知の方法にて行なえばよく、例え
ば高度精製本チモゲンとフロインドの完全アジュバント
の混合液を作り、動物の皮内に2〜3回注射し、最終免
疫の数日後採血を行ない、室温で凝固せしめた後、4℃
で一夜放置し、3,000rpm、20分間の遠心分離により当該
抗血清が得られる。
免疫に用いる動物としては、特に特定の動物種を選ぶ必
要はなく、例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヤギ、ウ
マ等が挙げられる。当該抗血清の精製は、例えば、J. A
m. Chem. Soc., 62, 3386(1940), Fed. Proc.,17, 1161
(1958)に記載の方法にて行われる。
モノクローナル法の場合、細胞融合法により抗本チモゲ
ンを得る。細胞融合法は自体既知の手段にて行なわれ、
その一例は増殖法を持った細胞と目的とする抗体を産生
しているリンパ球とをポリエチレングリコールの存在下
で反応せしめることにより、増殖性と抗体産生能とを同
時に兼ねそなえた細胞を製するもので、この細胞の産生
する抗体は一個の抗原決定基に対してのみ反応する単一
の抗体である。
本発明では増殖性を持つ細胞としてマウスミエローマ細
胞を、抗体産生リンパ球として本チモゲンで免疫された
マウス脾臓細胞(B細胞)を用いて融合させ、さらに目
的とする抗体を産生している細胞をスクリーニングし
て、本チモゲンのモノクローナル抗体を得る。
また、このようにして得られら抗本チモゲン抗体を、そ
の活性を失うことなく固定化する方法としては、以下の
不溶性マトリックスを応用することができる。アミノ酸
のコポリマー(J.Biol.Chem.,236,1970(1961))、セル
ロース(Nature,189,576(1961))、アガロースあるいは
セファデックス(Nature,215,1491(1967),Nature,245,3
059(1970))、ポリアクリルアミド(Bio-chem.,8,4074
(1966))。これらの方法により抗本チモゲン抗体を効率
良く固定化しうる。また、このようにして得られた吸着
剤を用いることにより、収率良く、しかも高純度の本チ
モゲンを得ることができる。
本チモゲンのアフィニティークロマトグラフィーは以下
の通りである。陽イオン交換体により部分精製した本チ
モゲンを、pH6〜8の緩衝液で平衡化した抗本チモゲン
抗体カラムと接触、吸着させる。吸着後、該カラムを洗
浄し、pH2〜4の水溶液で溶出を行う。
なお、上記の回収法は、本発明法の一例を示したにすぎ
ず、もちろん他の方法を追加することによって回収して
もよい。例えば、抗原性が一致することから、抗ウロキ
ナーゼ抗体を固定した担体を本チモゲンの精製に同様に
利用できる。かくして得られた本チモゲンは、化学用、
数学用、医学用の試薬として用いてもよく、又医薬品と
して用いる場合には、医薬品の製造の通例技術にしたが
って、要すれば加熱処理、除菌濾過、凍結乾燥、分注、
製剤化を行なえばよい。又、精製工程中または精製後、
溶液中に安定化剤として、アルブミンまたは非イオン性
界面活性剤、例えばトリトンX−100、Tween80等を添加
することが好ましい。かくして有用な本プラスミノーゲ
ン・アクチベーター前駆体を含有する医薬が提供され
る。
本発明法により得られるプラスミノーゲン・アクチベー
ター前駆体の一例(後述の実施例)について、その特性
を以下に示す。
<本チモゲンの特性> 分子量 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(Nature,2
27,680-685(1970))を用いて、本発明法により得られた
本チモゲンの分子量を測定したところ、約5万ダルトン
であった。なお分子量は分子量既知の標準蛋白との比較
によって決定し、また前処理として、37℃、2時間また
は100℃、2分間、1%2−メルカプトエタノールによ
る還元処理を各々行なった。
酵素感受性 J.Biol.Chem.,257,3276-3283(1980)に準じて、プラスミ
ンに対する感受性実験を行なった。その結果、本チモゲ
ンはそれ自身はプラスミノーゲンアクチベーター活性を
示さなかった。しかし、プラスミン処理をすることによ
り活性が発現し、その活性発現の程度はプラスミン処理
の濃度(表1)、およびその処理時間(表2)に依存し
ていた。活性測定法は後記の通りである。
前者の実験は、本チモゲン蛋白量として、1.3μg/
mlを調製し、これに各濃度のプラスミンによって約60分
間の前処理を行なった後に発現される酵素活性を測定し
た。
後者の実験は、プラスミンを0.1μg/mlおよび本チ
モゲン蛋白量として1.3μg/mlを調製し、プラスミ
ンによる処理時間による効果を経時的に測定した。
このことから、本プラスミノーゲン・アクチベーター前
駆体は、チモゲンの一種であることが判明した。
また、本チモゲンを、プラスミン処理した後還元処理
し、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行なっ
たところ、分子量約3万と、約2万の断片に分解されて
いた。よって、このプラスミン処理後の生成物は、従来
の人尿由来ウロキナーゼと同一物と推定される。
還元剤処理 1%SDS、1%2−メルカプトエタノール、37℃・2
時間、もしくは、100℃・2分間の処理に対する本チモ
ゲンの抵抗性を分子量測定法に準じて調べた。その結
果、未処理本チモゲンと処理後本チモゲンとは、同じ一
本の帯の電気泳動パターンを示し、この本チモゲンが一
本鎖であることを確認した。
活性測定法 合成基質法(クリーソンらHaemostasis.,776(1978))、
もしくは平板法(アストラップらArch.Biochem.Biophy
s.,40,346-351(1952))によって活性を測定できた。フ
ィブリノーゲンはMiles社のbovine,fibrinogen,Fr.I
(微量のプラスミンを含む)を使用した。
アミノ酸組成および配列 本発明者らは、既に、ヒトウロキナーゼをコードするm
RNAを、本発明に用いたのと同じ人腎細胞から分離
し、そのcDNAの塩基配列を決定した(特願昭59-371
19号)。一方、本チモゲンをCNBrを用いた化学的切
断、lysyl endopepti-daseを用いた酵素的切断により得
られた各フラグメントについて、アプライドバイオシス
テムズ社のGas-Phase Protein Sequencer Model 470Aを
使用した自動Edman分解法により、350アミノ酸残基の領
域(全構造の85%)についてアミノ酸配列を決定し、そ
れを第1図に示した。その結果、ヒトウロキナーゼ前駆
体をコードするcDNAから予想されるアミノ酸配列と
本チモゲンのアミノ酸配列とは完全に一致する。
さらに、本チモゲンを加水分解し、そのアミノ酸組成を
調べた(表3)。アミノ酸組成についても両者は一致し
た。
これらの知見から本チモゲンは、ヒトウロキナーゼ前駆
体(ヒトUK前駆体)をコードするcDNAから推定さ
れたウロキナーゼ前駆体そのものに相当することが強く
支持された。
その他の性状について 活性中心:ウロキナーゼのセリン活性部位に結合するp
−アミノベンズアミジンを固定したセファローズゲル
に、本チモゲンを接触させたが、吸着しなかった。この
ことから、本チモゲンのセリン活性部位は分子内部には
いっており、従来のウロキナーゼとは高次構造が異なっ
ているものと推定される。
二次構造:本チモゲンを円偏光二色性によってα−ヘリ
ックス含量を調べたところ、従来の人尿由来ウロキナー
ゼに比較して、α−ヘリックス含量が高かった。このこ
とから、本チモゲンと、従来の人尿由来ウロキナーゼと
は、二次構造が異なっていることが示された。
フィブリン親和性:本チモゲン(酵素量として5U)を
フィブリノーゲン2mg/mlを含む反応混合物(例えば血
漿など)に添加した。この検体をトロンビンにより凝固
させた後、37℃で15分間インキュベーションした。凝塊
と上清を遠心分離し、上清のプラスミノーゲン活性を測
定した。この値を非結合量とし、全体量から引いた値を
フィブリンの結合量として算出した(表4)。
本チモゲンはフィブリンへの親和性が強く、組織プラス
ミノーゲン・アクチベーター類似の性質を有する。この
ことは血栓溶解療法において重要な意味を持つ。即ち、
従来のウロキナーゼではプラスミンの失活が早いために
大量投与しなければならず、そのために出血傾向などの
重篤な副作用が惹起される。ところが、本チモゲンはフ
ィブリンへの親和性が高いために固相(フィブリン)上
に限定した線溶現象を惹起させることができ、血栓溶解
療法にとって理想的な医薬を提供するものである。
フィブリノーゲンへの影響:従来の人尿由来ウロキナー
ゼは、血栓部位のフィブリン以外に、血漿中のフィブリ
ノーゲン、凝固因子(第V因子、第VIII因子、第XIII
因子)をも分解し、出血傾向増大の副作用が問題とな
る。そこで、本チモゲンによる血漿中のフィブリノーゲ
ン分解を調べた。125 Iでラベルしたフィブリノーゲンを人血漿中に前も
って添加しておき、本チモゲン(500U/ml)又は従来
の人尿由来ウロキナーゼ(1,500IU/ml)を加え、37
℃下、2分、10分、60分、120分、180分後にサンプリン
グし、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動とオー
トラジオグラフィーにより、125I−フィブリノーゲン
の分解の程度を経時的に測定した。
分子量330,000のフィブリノーゲンは、プラスミンによ
り、分子量240,000、155,000、85,000、50,000の断片、
およびその他の小さな断片に分解されるが、本チモゲン
は、血漿中に180分間存在させてもフィブリノーゲンを
ほとんど分解しなかった。一方、従来の人尿由来ウロキ
ナーゼを作用させた場合、10分間でかなり多くのフィブ
リノーゲンが分解され、さらに分解は進んでいった。
すなわち、本チモゲンは、フィブリンへの親和性が高
く、フィブリン溶解能は高いが、血漿中のフィブリノー
ゲンを分解しないことより、血栓部位のフィブリンのみ
を分解し、ウロキナーゼ大量投与の際に問題となる副作
用である血中フィブリノーゲン減少に伴う出血傾向の増
大を引き起こし難いといえる。
血栓溶解能:ヒト血漿から作成したフィブリン血栓に対
する溶解能を調べた。125Iでラベルしたフィブリン血
栓を、本チモゲンまたは、従来の人尿由来ウロキナーゼ
含有血漿中で37℃、3時間放置し、溶解したフィブリン
の放射活性を測定した。その結果、表5に示す。この結
果より本チモゲンの血栓溶解能は、従来の人尿由来ウロ
キナーゼのそれより、約3倍優れていることが判明し
た。
血漿中での安定性:血漿中での本チモゲンの分子量、及
び一本鎖の構造を調べることにより、安定性を検討し
た。125Iでラベルした本チモゲン(500U/ml)を37℃
の人血漿中で放置し、1時間、2時間、3時間後にサン
プリングし、それを二分した。一方は、1%SDSで変
性し、他方は、1%SDS及び1%2−メルカプトエタ
ノールで還元処理した。これらのSDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動およびオートラジオグラフィーを行
なった結果、3時間後においても、非還元および還元処
理ともに0時間と同じ泳動パターンを示し、分子量約5
万の1本の帯を示した。よって、本チモゲンの分子量お
よび一本鎖の構造は、血漿中では安定といえる。
前記合成基質法により、本チモゲンの血漿中でのウロキ
ナーゼ活性を測定したが、活性は発現しなかった。
以上のことより、本チモゲンは、酵素前駆体として血漿
中で安定であると言える。
抗ウロキナーゼ抗体および抗ヒトメラノーマ由来TPA
(組織プラスミノーゲン・アクチベーター)抗体により
酵素活性の中和:本チモゲンの活性をプラスミンにより
発現させた。さらに、抗ウロキナーゼ抗体、もしくは抗
ヒトメラノーマ由来TPA抗体を添加し、37℃、90分間
放置後、残存酵素活性を前記合成基質法、もしくは平板
法で測定したところ、プラスミン処理によって発現する
本チモゲンの酵素活性は、抗ウロキナーゼ抗体によって
阻害されたが、抗TPA抗体によっては阻害されなかっ
た。
以上のことより、本チモゲンは、ウロキナーゼの前駆物
質であり、フィブリン親和性において、TPAと類似の
性質を示すが、TPAや、その前駆物質とは異なる物質
である。
血栓溶解の機序:以上の本チモゲンの性質から、この酵
素は従来の人尿由来ウロキナーゼとは血栓溶解機構が異
なっているものと思われる。
人尿由来ウロキナーゼは、血漿中および血栓上のプラス
ミノーゲンに直接的に作用してプラスミンを生成し、こ
のプラスミンがフィブリノーゲンやフィブリンを分解す
る。
一方、本チモゲンは血漿中ではプラスミノーゲン・アク
チベーター活性を示さず、フィブリンとの親和性が高い
故、血栓部位に到達しやすく、フィブリンに結合し、血
栓中に含まれる微量のプラスミンにより血栓上でウロキ
ナーゼ活性を発現すると思われる。そして、フィブリン
分子に結合しているプラスミノーゲンをプラスミンに変
換し、フィブリンを分解すると思われる。
このように、本チモゲンを使用した場合、フィブリン
(血栓)という固相上のみに限定した線溶現象を期待す
ることができ、新しいタイプの線維素溶解剤として大い
に期待できる。
以下に本発明にかかるプラスミノーゲン・アクチベータ
ー前駆体の製造法の一実施例を示す。
〔実施例〕
培養人腎細胞を、0.1%ヒト血清アルブミン添加無血
清培養液に3日間培養し、培養液を遠心分離し、その上
清を凍結して保存した。プールした培養上清をpH5.5
に調整した後、CM−SephadexC−50に接触させた。
0.16Mリン酸緩衝液(pH5.5)でカラムを洗浄し
た後、0.16Mリン酸緩衝液(pH8.5)を用いて、
カラムに吸着した本チモゲンを溶出させた。
一方、本チモケンで予め免疫しておいたマウスBALB
/cの脾臓細胞とマウスミエローマ細胞とをポリエチレ
ングリコールにより融合させたハイブリドーマのうち、
本チモゲンに対する抗体産生の高いクローンを選択し
た。この融合細胞の培養液から、抗本チモゲンモノクロ
ーナル抗体を回収した。このモノクローナル抗体を、C
NBr活性化合物Sepharose 4B(Pharmacia社)に固定し
た。
0.4M NaCl含有0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
0)を用いて、このモノクローナル抗体カラムを平衡化
し、これに前記の本チモゲンを含有する溶出液を接触さ
せた。0.4M NaCl含有0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.0)でカラムを洗浄した後、カラムに吸着した
本チモゲンを0.5M NaCl含有0.2Mグリシン
−HCl水溶液(pH2.5)で溶出させた。溶出液を除
菌濾過した後、凍結乾燥して、比活性が少なくとも80,0
00U/mgの高度に精製された本チモゲンを得た。
なお、この精製品はSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動法により、分子量5万の1本の帯を示した。
〔発明の効果〕
本発明にかかるプラスミノーゲン・アクチベーター前駆
体の製造法により、繊溶活性の高いプラスミノーゲン・
アクチベーターに変換し得るチモゲンを製造(分離、精
製)することができる。
また、特にチモゲンを産生する細胞が人腎細胞である場
合には、本発明法により比活性が少なくとも80,000IU
/mgであるチモゲンを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ヒトウロキナーゼ前駆体をコードするcDN
Aから予想されるアミノ酸配列と、本チモゲンのアミノ
酸配列分析から同定された領域とを示す。 図中、実線部分はアミノ酸配列分析がなされ同定された
領域を、他方破線部分は未同定領域を示す。Cm−P、
C1〜8、L1〜12はそれぞれ還元アルキル化本チモゲ
ン、そのCNBr分解ペプチドおよびリジルエンドペプチダ
ーゼ分解ペプチドを示す。 はカルボキシルペプチダーゼAを用いてC末端側から同
定された領域を示す。
フロントページの続き (56)参考文献 J.Biol.Chem.,257(12) (1982)P.7262−7268 Biochimica et Biop hysica Acta,496(1977)P. 384−400

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも以下の(a)〜(d)の工程を順次行
    うことを特徴とするプラスミノーゲン・アクチベーター
    前駆体の製造法。 (a) 本前駆体を産生する細胞培養上清をpH4.5〜
    6.5の条件下で陽イオン交換体に接触させて、本前駆
    体を吸着させる。 (b) pH7.5〜9.5の条件下で、本前駆体を該陽イ
    オン交換体より溶出させる。 (c) 溶出画分をpH6〜8の条件下で、本前駆体抗体カ
    ラムに接触させて、本前駆体を吸着させる。 (d) pH2〜4の条件下で、本前駆体を該抗体カラムよ
    り溶出させる。
  2. 【請求項2】人腎細胞の培養培地より回収しうる蛋白質
    であり、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によ
    り測定した分子量が約5万ダルトンであり、還元剤処理
    によって低分子化が起こらず、またそれ自体は酵素活性
    を示さないが、プラスミン処理により酵素活性を発現
    し、その際の比活性が少なくとも80,000IU/mgである
    チモゲンの一種であるプラスミノーゲン・アクチベータ
    ー前駆体を得ること特徴とする特許請求の範囲(1)記載
    の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP4921083B2 (ja) * 2005-09-13 2012-04-18 タカラバイオ株式会社 レトロウィルス産生用無血清培地

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