JPH05260969A - モノクローナル抗体によるプラスミノーゲン活性化因子の精製法 - Google Patents

モノクローナル抗体によるプラスミノーゲン活性化因子の精製法

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JPH05260969A
JPH05260969A JP4255765A JP25576592A JPH05260969A JP H05260969 A JPH05260969 A JP H05260969A JP 4255765 A JP4255765 A JP 4255765A JP 25576592 A JP25576592 A JP 25576592A JP H05260969 A JPH05260969 A JP H05260969A
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Japan
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monoclonal antibody
plasminogen activator
activator
produced
human fetal
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JP4255765A
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Akira Suzuki
明 鈴木
Koji Itagaki
康治 板垣
Kanji Too
侃二 東尾
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
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    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Abstract

(57)【要約】 【構成】 マウスミエローマ細胞と、ヒト胎児肺由来の
繊維芽細胞が産生するプラスミノーゲン活性化因子で免
疫されたマウスからの膵臓細胞とを融合させ、得られた
ハイブリドーマ細胞を培養し、産生した上記プラスミノ
ーゲン活性化因子に対するモノクローナル抗体を採取
し、これを用いてヒト胎児肺由来の繊維芽細胞が産生す
るプラスミノーゲン活性化因子を含有する液を通液して
吸着させ、これを溶出することよりなるプラスミノーゲ
ン活性化因子の精製法。 【効果】 ウロキナーゼと異なるプラスミノーゲン活性
化因子を高純度、高収率で精製することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒト胎児肺由来の線維
芽細胞が産生するプラスミノーゲン活性化因子を含有す
る液からモノクローナル抗体を用いて該プラスミノーゲ
ン活性化因子を精製する法に関する。更に詳しくは上記
線維芽細胞の培養により同時的に産生されるウロキナー
ゼ型のプラスミノーゲン活性化因子と、該ウロキナーゼ
型のプラスミノーゲン活性化因子と異なる特性を有する
プラスミノーゲン活性化因子が混在している培養液から
モノクローナル抗体を用いてウロキナーゼ型のプラスミ
ノーゲン活性化因子とは異なるプラスミノーゲン活性化
因子を精製する方法に関する。したがって、ここでいう
“プラスミノーゲン活性化因子”(以下プラスミノーゲ
ンアクチベーターと称する)とは、ヒト胎児肺由来の線
維芽細胞が産生するプラスミノーゲンアクチベーターの
うちからウロキナーゼ型のものを除去して得られる新し
いタイプのプラスミノーゲンアクチベーターを意味する
ものである。
【0002】
【従来の技術背景】現在、血栓塞栓症 (Thromboembolic
disorders) の治療には、ヒトの尿又は腎臓細胞培養物
から得られたウロキナーゼ、及びβ−溶血性連鎖球菌
(β−haemolytic streptocci)の培養液の濾液から単離
されたストレプトキナーゼがプラスミノーゲンアクチベ
ーターとして線維素溶解剤に用いられている。しかしな
がら、ウロキナーゼは線維素(フイブリン)に対する親
和性が低く、かつ大量投与に起因する出血等の副作用を
有し、一方ストレプトキナーゼは微生物由来の酵素タン
パクであるためヒトに投与した場合アレルギーを起すな
どの懸念があり、したがって、これらを血栓塞栓症の治
療剤として適用するうえで決して問題がないとは言えな
い。近年、これらのプラスミノーゲンアクチベーターと
は異なり、生体の組織中に存在する組織型プラスミノー
ゲンアクチベーターが注目されてきている。この組織型
プラスミノーゲンアクチベーターは、上記ウロキナーゼ
及びストレプトキナーゼと分子量の点で区別されるプラ
スミノーゲンアクチベーターであって、Rijken&Collen
〔J.B.C., 256, 7035 〜7041(1981)、Thromb Haemostas
(Stuttgart), 48, 294 〜296 (1982)〕により、ヒトの
メラノーマ細胞の培養上清から単離、精製して採取され
たものである。その後、更にこのヒトメラノーマ細胞由
来の組織型プラスミノーゲンアクチベーターについて、
Pennica et al.〔Nature,301, 214 〜221 (1983)〕は分
子の一次構造であるアミノ酸配列を決定し、またBennet
〔Thromb.Haemostas, 50, 106 (1983)〕は糖鎖の結合位
置が異なる2種のバリアントが存在し、両バリアント間
に分子量的に3000の差異があることを明らかにしてい
る。
【0003】また、他の組織型プラスミノーゲンアクチ
ベーターとして、 Vetterlein etal. 〔J.B.C.,254, 57
5 〜578 (1979)、J.B.C.,255, 3665〜3672(1980)〕は、
ヒト胎児肺細胞由来の正常線維芽細胞 IMR-90 が産生す
るプラスミノーゲンアクチベーターについて報告してお
り、このアクチベーターには分子量50,000〜60,000のウ
ロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターと、抗ウ
ロキナーゼ抗体に中和されない分子量73,000の新しい型
のプラスミノーゲンアクチベーターが存在していること
を明らかにしている。更に、Wilson et al. 〔Cancer R
esearch,40, 933 〜938 (1980)〕も8週令のヒト胎児肺
由来線維芽細胞が分子量60,000のウロキナーゼ型プラス
ミノーゲンアクチベーターと、抗ウロキナーゼ抗体に中
和されない分子量約70,000の新しい型のプラスミノーゲ
ンアクチベーターを産生することを確認している。
【0004】一方、最近、上記ヒトメラノーマ細胞由来
の組織型プラスミノーゲンアクチベーターに対するモノ
クローナル抗体の作成に関する発明が公表されている
(特開昭59−5121号)。この発明では、ヒトメラノーマ
細胞由来の組織型プラスミノーゲンアクチベーターで免
疫したマウスの脾臓細胞とマウスミエローマ細胞との細
胞融合により、上記プラスミノーゲンアクチベーターに
対する抗体を産生するハイブリドーマが40株分離され、
そのうち5株のハイブリドーマが産生する抗体のみが該
プラスミノーゲンアクチベーターに対して特異的であっ
て、他の大部分のハイブリドーマが産生する抗体はウロ
キナーゼに対しても交叉することを示し、そしてこのこ
とは、抗原として用いた上記組織型プラスミノーゲンア
クチベーターがウロキナーゼにより汚染されていること
に因るものではなくて、該プラスミノーゲンアクチベー
ターとウロキナーゼとの間に交叉反応が起ること、すな
わち、これらの2種の酵素には共通の抗原決定基を有す
ることに因るものと教示している。
【0005】而して、上記ヒト胎児肺由来正常線維芽細
胞が産生する新しいタイプのプラスミノーゲンアクチベ
ーターに関しては、未だその精製、単離の方法が確立さ
れていないため、その酵素化学的性質も一次構造も明ら
かにされていない。したがって、ヒト胎児肺由来の正常
線維芽細胞が産生する上記プラスミノーゲンアクチベー
ターが上述したヒトメラノーマ由来の組織型プラスミノ
ーゲンアクチベーターと同一物質であるかどうかは勿論
のこと、それらの分子の一次構造に差異があるかどうか
についても未だ明らかにされていない。
【0006】因に、ヒト正常線維芽細胞由来の上記新し
いタイプのプラスミノーゲンアクチベーターの精製取得
方法として、最近、亜鉛キレートカラム、フイブリンカ
ラム、コンカナバリンAセフアロースカラム、アルギニ
ンセフアロースカラム等を用いる方法が提案されている
(特開昭59-51220号)。しかし、この方法ではこれらの
カラムと上記プラスミノーゲンアクチベーターとの結合
が特異的でないため、高純度のプラスミノーゲンアクチ
ベーターを得ることは不可能であり、加うるに回収率も
低いので実用性に乏しい。
【0007】また、上記プラスミノーゲンアクチベータ
ーの抗血清から得られる特異的抗体を用いる精製法も考
慮されるが、該抗体は混合物であることからタンパク量
当りの抗体力価が低く、プラスミノーゲンアクチベータ
ーに対する親和性、抗体の安定性及びカラムクロマトグ
ラフィーの条件等が均一でない欠点があり、したがっ
て、カラムによる吸着効率が低く、回収率も高くない。
【0008】
【発明が解決しようとする問題点】本発明者は、ヒト胎
児肺由来の線維芽細胞の培養により産生される新しいタ
イプのプラスミノーゲンアクチベーターを高純度に精製
してその酵素化学的性質を明らかにすべく検討している
過程で、該プラスミノーゲンアクチベーターで免疫した
マウスの脾臓細胞とマウスのミエローマ細胞との細胞融
合によって得られたハイブリドーマの 130株が産生する
抗体の特異性について調べたところ、全ての抗体が上記
プラスミノーゲンアクチベーターのみに特異的であっ
て、ウロキナーゼには全く交叉しないことが確認された
ことから、両者のプラスミノーゲンアクチベーターの間
には共通の抗原決定基が存在しないことを見出した。
【0009】したがって、本発明に係るプラスミノーゲ
ンアクチベーターは、前述したヒトメラノーマ由来の組
織型プラスミノーゲンアクチベーターとは異なる免疫化
学的反応を示すものと言うことができる。本発明者は、
上述した知見に基づき、多数の上記ハイブリドーマを作
成して、それより上記プラスミノーゲンアクチベーター
に対して特異性を有する新規なモノクローナル抗体を得
ることに成功し、上記モノクローナル抗体を用いて上記
プラスミノーゲンアクチベーターを極めて効率的にかつ
高収率で精製して高純度のプラスミノーゲンアクチベー
ターを取得できることを見出し、本発明をなすに至っ
た。したがって、本発明は、上記抗体を用いて上記プラ
スミノーゲンアクチベーターを効率的に精製して高純度
のプラスミノーゲンアクチベーターを取得する方法を提
供することを目的とする。
【0010】以下本発明を詳しく説明する。発明の構成 本発明の特徴は、マウスミエローマ細胞と、ヒト胎児肺
由来の線維芽細胞が産生するプラスミノーゲンアクチベ
ーターで免疫されたマウスからの脾臓細胞を融合させ、
得られたハイブリドーマの細胞を培養し、産生した上記
プラスミノーゲンアクチベーターに対するモノクローナ
ル抗体を採取することによって得られたモノクローナル
抗体を用いたカラムクロマトグラフィーに、ヒト胎児肺
由来線維芽細胞が産生するプラスミノーゲンアクチベー
ターを含有する液を通液して吸着させ、ついで溶出する
ことから成る該プラスミノーゲンアクチベーターの精製
方法にある。本発明における前記モノクローナル抗体
は、ヒト胎児肺由来の線維芽細胞が産生するプラスミノ
ーゲン活性化因子に対して特異性を有し、分子量約 15
0,000であってIgGl及び IgG2bサブクラスに属し、等電
点が5.10乃至6.25であるものが用いられる。
【0011】
【問題点を解決するための手段】本発明に用いるヒト胎
児肺由来の線維芽細胞が産生する新しいタイプのプラス
ミノーゲンアクチベーターに対して特異性を示すモノク
ローナル抗体は、下記性質により特定される。 (イ)分子量 (SDS-ポリアクリルアミド電気泳動法)約150,000 (ロ)免疫グロブリンクラス IgGl及び IgG2bに属する。 (ハ)等電点 5.10〜8.25 なお、このモノクロ−ナル抗体の上記プラスミノ−ゲン
アクチベーターに対する特異性は、後述するように、該
抗体を不溶性担体と化学的に結合させたカラムにプラス
ミノ−ゲンアクチベーターを含有する液を通液する場
合、該プラスミノ−ゲンアクチベーターのみを吸着する
ことにより確認し得る。
【0012】本発明に用いるモノクロ−ナル抗体は、下
記方法により調製し得る。 モノクロ−ナル抗体の調製:ヒト胎児肺由来の線維芽細
胞の培養により産生されるプラスミノ−ゲンアクチベー
ターを含有する培養液(この培養液中には同時的に産生
されるウロキナーゼ型のプラスミノ−ゲンアクチベータ
ーが混在している)から分離、精製して得られる高純度
(比活性104,000 単位/mg タンパク)の新しいタイプの
プラスミノ−ゲンアクチベーターで免疫したマウスから
の脾臓細胞を、マウスミエローマ細胞と細胞融合させ、
得られたハイブリドーマの細胞を培養することにより、
モノクローナル抗体を産生し得る。
【0013】因に、上記高純度のプラスミノ−ゲンアク
チベーターを上記培養液から分離精製する手法は、本発
明者らにより開発されたものであって(別に特許出願さ
れている)、その概要は、上記培養液を、イオン交換ク
ロマトグラフィーで処理して得られる溶出画分(ウロキ
ナーゼ型のプラスミノ−ゲンアクチベーターが混在して
いる)を、p−アミノベンツアミジン又はε−アミノカ
プロイルベンツアミジンをリガンドとしたアフイニテイ
クロマトグラフィーで処理して上記溶出画分中のウロキ
ナーゼ型プラスミノ−ゲンアクチベーターを選択的に溶
出させて除去し、ついで新しいタイプのプラスミノ−ゲ
ンアクチベーターを溶出させ、得られた溶出画分をゲル
濾過することから成る。
【0014】本発明におけるモノクロ−ナル抗体を産生
する上記ハイブリドーマの作成は、Kohler及びMilstein
ら〔Nature, 256 , 495 〜497(1975) 〕により確立され
た原理に基づいて、マウスリンパ球B系とマウスミエロ
ーマ細胞を、例えばR.A.Goldsberg et al.〔Nature, 26
7, 707 (1977) 〕、杉正人〔生物と化学、20、116 〜12
2(1982) 〕及び田中重明〔タンパク質、核酸、酵素、2
6、965 〜976(1981) 〕等に記載の手法により行なうこ
とができる。
【0015】ハイブリドーマの作成:すなわち、上記高
純度のプラスミノ−ゲンアクチベーターを抗原として、
マウス1匹当り100 〜200 μg を、アジュバントとして
Freund's complete adjuvantを用いて通常6〜8週令の
BALB/cマウスに腹腔内投与または背中への皮下投与す
る。投与スケジュールは、初回免疫後から2週間後に追
加免疫を行ない、以後2週間毎に数回の追加免疫を行な
う。ついで最終免疫後から3日目に脾蔵を摘出し、脾蔵
からのB細胞(Bリンパ球)と上記マウスの骨髄の腫瘍
からのミエローマ細胞(例えば、P-3NSI/1-Ag4-1、略号
NS-1) とを、1:1〜10:1の範囲の割合でポリエチ
レングリコール1000もしくは1500の存在下で融合させ、
ハイブリドーマ用培地にミエローマ細胞として1×10
6 cell/ml 前後になるように懸濁し、96wellマイクロタ
イタ−プレートに0.1ml 宛をまく。ついで細胞融合を行
なった翌日に融合細胞のみが生育し得るように調整した
HAT 培地を0.1ml/well添加し、以後1〜3日おきに培養
上清の半分を新しいHAT 培地に置き代えると、約1週間
後にはB細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマ以外
の細胞はほとんど死滅してハイブリドーマのコロニーが
形成される。次に、このようにして形成したハイブリド
マーが目的とするプラスミノ−ゲンアクチベーターに対
する特異的抗体を産生しているかどうかを調べるため、
その培養上清及び上記の高純度(比活性104,000 単位/m
g タンパク) プラスミノ−ゲンアクチベーター(SDS 電
気泳動的に均一なもの)を抗原として用いて酵素免疫測
定法(Enzyme immunoassay)によりマイクロタイタ−プレ
ートを用いて抗体産生能をチェックする。ついで抗体生
産が認められた培養上清のハイブリドーマコロニーにつ
いて限界希釈法により1個のハイブリドーマ細胞が1個
の培養wellに存在するようにクローニングを行ない、1
週間培養後再び酵素免疫測定法により抗体産生をチエッ
クする。
【0016】上記クローニングを5〜6回繰返して行な
い、モノクローナル抗体遺伝子の脱落が起らない安定な
ハイブリドーマを得る。このようにして得られた安定な
ハイブリドーマは前記新しいタイプのプラスミノ−ゲン
アクチベーターに対して高度な特異性を示すモノクロ−
ナル抗体を産生し、さらに無限に継代培養されて該モノ
クロ−ナル抗体を産生し続ける。なお、このモノクロ−
ナル抗体は、上記クローニングにより得られた安定なハ
イブリドーマを10%牛胎児血清添加RPMI-1640 培地中
にて大量培養することにより得られた培養液から回収す
るか、または予め1〜2週前に免疫抑制剤プリスタン
(2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン)0.
5ml を腹腔内投与した成熟マウスBALB/cの腹腔内に、上
記ハイブリドーマを1×107 cell/ 匹注射して増殖さ
せて得られた腹水から回収することができる。上述のよ
うにして培養液または腹水からのモノクロ−ナル抗体の
回収、精製は市販のプロテインA−アフイニテイゲルカ
ラムを用いた精製システム(バイオラッド社製)により
極めて容易に行なうことができる。以上述べたようにし
て得られるモノクロ−ナル抗体は、ヒト胎児肺由来の線
維芽細胞が産生する新しいタイプのプラスミノ−ゲンア
クチベーターに対して高度の特異性を示すことから、該
モノクロ−ナル抗体を不溶性担体と化学的に結合したモ
ノクロ−ナル抗体固定化担体のカラムを利用して上記プ
ラスミノ−ゲンアクチベーターを精製することができ
る。
【0017】以下に本発明の精製方法について説明す
る。 モノクロ−ナル抗体を用いたプラスミノ−ゲンアクチベ
ーターの精製方法:ヒト胎児肺由来の正常線維芽細胞の
培養によりプラスミノーゲンアクチべーターを産生した
培養液もしくは遺伝子工学的手法により造成したプラス
ミノ−ゲンアクチベーター生産菌あるいは動物細胞の培
養によりプラスミノ−ゲンアクチベーターを産生した培
養液を、上記モノクロ−ナル抗体固定化担体のカラムに
通液すると、目的とするプラスミノ−ゲンアクチベータ
ーのみが選択的に上記カラムに吸着されるので該アクチ
ベーターを極めて高純度でかつ90%以上の高収率で取
得することができる。
【0018】すなわち、目的とする新しいタイプのプラ
スミノ−ゲンアクチベーターは、上記培養により同時的
に産生されるウロキナーゼ型のプラスミノ−ゲンアクチ
ベーターに比べて可成り高い疎水性タンパクであるた
め、上記カラムに対する吸着能が非常に大きく(例え
ば、1mlの不溶性担体ゲルに対して3〜5mgのモノクロ
−ナル抗体を結合した担体に150,000 〜250,000 IUが吸
着する)、したがって、比較的小さなカラムでも大量の
プラスミノ−ゲンアクチベーターを精製することが可能
となる。また、この精製方法によると、一段階で精製し
得るので、従来の数段階で行なうカラム精製法に比べて
操作が非常に簡易化されるのみならず、目的とするプラ
スミノ−ゲンアクチベーターを上述のように極めて高い
回収率(90%以上)で取得できるようになる。因に、
従来の数段階による精製法では回収率は30〜50%に
すぎない。
【0019】さらに、本発明による精製方法では、カラ
ムに用いた不溶性担体はそれに吸着させたプラスミノ−
ゲンアクチベーターを溶離させた後、中性域の緩衝液で
洗浄するのみで繰返し使用できるので工業的にも非常に
有利である。なお、ここで用いる不溶性担体は、通常の
アフイニテイクロマトグラフィーに用いられているもの
であれば適用可能であって、特に限定されない。
【0020】次に、本発明による新しいタイプの精製プ
ラスミノ−ゲンアクチベーターの酵素化学的性質をウロ
キナーゼのそれとの比較において表1に示す。表1にみ
られるとおり、本発明で対象とするプラスミノ−ゲンア
クチベーターは、従来のウロキナーゼとその酵素化学的
特性を異にしている。
【0021】
【表1】
【0022】また、参考として、Rijken & Collen 〔J.
Biol. Chem. 256 7035 〜7041(1981)〕が行なった種
々の細胞由来のプラスミノ−ゲンアクチベーターのアミ
ノ酸組成の測定結果を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】以下に参考例及び実施例を示して本発明及
びその効果をさらに具体的に説明する。発明の実施例と効果
【参考例1】本例は、本発明で使用するモノクロ−ナル
抗体の調製方法を示したものである。 高純度プラスミノ−ゲンアクチベーターの調製:ヒト胎
児肺細胞由来の正常線維芽細胞 IMR-90 (ATCC 、CCL-18
6)を、無血清培血中で、ネオペプトン (又はプロテオー
スペプトン)1%添加して培養して目的プラスミノ−ゲ
ンアクチベーターの産生を誘導した培養濾液(100 〜12
0 単位/ml) をSPカラム(AMP社製イオン交換樹脂カラ
ム) に3〜6 l/hrの流速で通液して該プラスミノ−ゲ
ンアクチベーターを完全に吸着させ(この場合同時に産
生したウロキナーゼ型のプラスミノ−ゲンアクチベータ
ーも共に吸着される)、ついで該カラムを 0.15 M NaCl
を含む 1/100M 酢酸緩衝液(pH4.5) で洗浄した後、1.0M
NaCl を含む上記緩衝液で上記吸着プラスミノ−ゲンア
クチベーターを溶出して濃縮と同時に部分精製を行なっ
た。ついで、得られた溶出液をp−アミノベンツアミジ
ン−CHセフアロース4Bアフイニテイカラムに通液して
プラスミノ−ゲンアクチベーターを吸着させた後、該カ
ラムを1/10M 酢酸緩衝液(pH4.0)と、0.1Mアルギニン及
び0.01%Tween 80を含む 1/100M リン酸緩衝液(pH7.
4) を順次的に通液して上記吸着物中のウロキナーゼ型
のプラスミノ−ゲンアクチベーターのみを溶出させ、つ
いで0.4Mアルギニン及び0.01%Tween 80を含む 1/100M
リン酸緩衝液 (pH7.4)を通液して目的のプラスミノ−ゲ
ンアクチベーターを溶出した。ついで得られた溶出液を
セフアクリル S-200でゲル濾過して、SDS 電気泳動的に
均一であって、ウロキナーゼの汚染のない高度に精製さ
れた目的のプラスミノ−ゲンアクチベーター(比活性 1
04,000単位/mg タンパク) を得た。
【0025】ハイブリドーマの作成:上述のようにして
得た高純度プラスミノ−ゲンアクチベーターを用いて免
疫したマウスからの脾臓細胞とマウスミエロー細胞を、
本文に詳記した手法に従って細胞融合させて、モノクロ
−ナル抗体産生能を有するハイブリドーマを作成した。
このようにして作成したハイブリドーマ130 株の中から
最も抗体産生量の高い10株を選び、各株について6回ク
ローニングを繰返して行ない安定なハイブリドーマ10
株を確立した。
【0026】モノクロ−ナル抗体の採取:次に上述のよ
うにして得たハイブリド−マクローン10株を、それぞ
れプリスタン処理したマウスBALB/cの腹腔内に1×10
7 /匹マウスの割合で、各ハイブリドーマ毎に約10〜
15匹宛接種し、腹腔が十分膨張するまで飼育した後、
腹水を採取した。腹水中のモノクロ−ナル抗体の精製
は、モノクロ−ナル抗体精製システム(MAPSTM、バイオ
ラット社)を適用して行なった。精製した結果は第1図
に示すとおりである。マウス1匹当りのモノクロ−ナル
抗体産生量は表3に示すとおりである。表3にみられる
とおり、マウス1匹当りのモノクロ−ナル抗体産生量は
35.3〜75.6mgで可成り高いことがわかる。
【0027】
【表3】
【0028】
【参考例2】本例は、本発明に係るモノクロ−ナル抗体
の目的とするプラスミノ−ゲンアクチベーターに対する
特異性及び該抗体についての免疫グロプリンクラス並び
にサブクラスを調べた結果を示したものである。 新しいタイプのプラスミノ−ゲンアクチベーターに対す
る特異性:参考例1により作成したハイブリドーマの培
養上清と、抗原として高純度のプラスミノ−ゲンアクチ
ベーター及び精製ウロキナーゼを用い酵素免疫測定法(A
vidin-Biotin ELISAを採用) により、モノクロ−ナル抗
体の上記各プラスミノ−ゲンアクチベーターに対する特
異性を測定した。なお、上記ハイブリドーマは、参考例
1で作成した130 株について、各株が産生のモノクロ−
ナル抗体について、上記各プラスミノーゲンアクチベー
ターとの交叉反応性を調べることにより、上記特異性を
判定した。結果を表4に示すとおりである。
【0029】
【表4】
【0030】免疫グロブリンのクラス並びにサブクラ
ス:参考例1で得られた精製モノクロ−ナル抗体の10
種類について、免疫グロブリクラス及びサブクラス−特
異性抗マウス免疫グロブリン抗血清を使用して、酵素免
疫測定法(BLISA) により決定した。結果は表5に示すと
おりである。
【0031】
【表5】
【0032】表4にみられるとおり、本発明に係るモノ
クロ−ナル抗体は、新しいタイプのプラスミノーゲンア
クチベーターに交叉するが、ウロキナーゼには実質上交
叉しないことから、上記プラスミノーゲンアクチベータ
ーに特異的な抗体であると解し得る。また、表5にみら
れるとおり、このモノクロ−ナル抗体は、免疫グロブリ
ンのクラスのIgG1とIgG2b サブクラスに属することがわ
かる。
【0033】
【実施例1】本例は参考例1で得られたモノクロ−ナル
抗体を利用して細胞培養液からプラスミノ−ゲンアクチ
ベーターを精製して分取する態様を示したものである。 ヒト胎児肺由来の正常2倍体線維芽細胞の培養液からの
プラスミノ−ゲンアクチベーターの精製:上記線維芽細
胞IMR-90(ATCC 、CCL-186)を培養して得られた無血清培
養液4.5l(抗ウロキナーゼポリクロ−ナル抗体中で中
和後の活性、120 IU/ml を、ハイブリド−マクローンNS
-1,D2 ,C-10が産生したモノクロ−ナル抗体(参考例1
参照)を化学的に結合させたアフイゲル−10のカラム
(バイオラッド社、抗体3.5 mg/ml 担体、φ0.9cm 、5
ml)に通液した。このカラムを、0.1 %Tween80 及び0.
5M NaCl を含む 1/100 MPBS(pH7.4)で、カラムからの流
出液のOD 280nmの吸光度が0.005 以下になるまで十分洗
浄して未吸着画分を除去した後、カラムに吸着したプラ
スミノ−ゲンアクチベーターを4M MgCl2及び0.1 % Twe
en 80 を含む水溶液(pH7.4) を用いて溶出した。原料と
しての上記無血清培養液と、上述のようにして溶出させ
て得られた溶出画分の性状を示すと表6のとおりであ
る。 表6にみられるとおり、無血清培養液から比活性
の著しく高い精製プラスミノ−ゲンアクチベーターが9
1%の高収率で回収される。
【0034】
【表6】
【0035】
【実施例2】本例は粗製のプラスミノ−ゲンアクチベー
ターを、参考例1で得られたモノクロ−ナル抗体を利用
して精製する態様を示したものである。 精製プラスミノ−ゲンアクチベーターの調製:ヒト胎児
肺由来の正常2倍体線維芽細胞GM-1604 を培養して得ら
れた無血清培養液5.6 l(抗ウロキナーゼポリクロ−ナ抗
体で中和後の活性、100 IU/ml)をHClでpH4.5 に調整し
た後、SPカラム(AMF社製イオン交換樹脂カラム)に
通液してプラスミノ−ゲンアクチベーターを吸着させ、
ついでこのカラムを0.15M NaClを含む0.01M 酢酸緩衝液
(pH4.5)で十分洗浄した後、1M NaCl を含む0.01M 酢酸
緩衝液(pH4.5) で溶出して粗製プラスミノ−ゲンアクチ
ベーター溶液 (抗ウロキナーゼポリクロ−ナル抗体で中
和後の活性、530,000 IU) を得た。このようにして得た
精製プラスミノ−ゲンアクチベーター溶液を、ハイブリ
ド−マクローンNS-1、E2、H-11が産生したモノクロ−ナ
ル抗体 (実施例1参照)を化学的に結合させた担体(抗
体3.5mg/ml担体) トレシールアチベイトセフアロース
(フアルマシア社製) のカラム (φ0.9cm 、5ml) に通
液した。ついで、上記カラムを、0.1 % Tween 80 及び
0.5M NaCl を含む 1/100M PBS(pH7.4) を用いてカラム
からの流出液のOD 280nmの吸光度が0.005 以下になるま
で十分洗浄して未吸着画分を除去した後、カラムに吸着
しているプラスミノ−ゲンアクチベーターを、0.5M NaC
l 及び0.1 % Tween 80 を含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液
(pH2.5) で溶出した。原料としての上記粗製プラスミノ
−ゲンアクチベーター溶液と、上記溶出して得られた精
製プラスミノ−ゲンアクチベーター画分の正常を示すと
表7のとおりである。また、上記溶出画分の溶出パター
ンを示すと第2図のとおりである。表7にみられるとお
り、粗製プラスミノ−ゲンアクチベーターの溶液を、モ
ノクロ−ナル抗体を用いたカラムクロマトグラフィーで
精製すると比活性が著しく向上した精製プラスミノ−ゲ
ンアクチベーターが高い回収率で取得し得る。
【0036】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1に示したプラスミノ−ゲンアクチベー
ターに対するモノクロ−ナル抗体の精製結果を示す。
【図2】実施例1に示した精製プラスミノ−ゲンアクチ
ベーターのカラムクロマトグラフィーによる溶出パター
ンを例示する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 9/64 C12R 1:19) (C12P 21/08 C12R 1:91) 7804−4B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マウスミエローマ細胞と、ヒト胎児肺由
    来の線維芽細胞が産生する非ウロキナーゼ型のプラスミ
    ノーゲン活性化因子で免疫されたマウスからの脾臓細胞
    とを融合させ、得られたハイブリドーマ細胞を培養し、
    産生した上記プラスミノーゲン活性化因子に対するモノ
    クローナル抗体を採取することによって得られたモノク
    ローナル抗体を用いたカラムクロマトグラフィーに、ヒ
    ト胎児肺由来の線維芽細胞が産生するプラスミノーゲン
    活性化因子を含有する液を通液して吸着させ、ついで溶
    出することを特徴とするプラスミノーゲン活性化因子の
    精製方法。
  2. 【請求項2】 モノクローナル抗体が、ヒト胎児肺由来
    の線維芽細胞が産生するプラスミノーゲン活性化因子に
    対して特異性を有し、分子量が約 150,000であって、Ig
    G1及び IgG2bサブクラスに属し、等電点が5.10乃至6.25
    であるモノクローナル抗体である特許請求の範囲第1項
    記載の精製法。
  3. 【請求項3】 プラスミノーゲン活性化因子含有液が、
    ヒト胎児肺由来の線維芽細胞を培養して得られる無血清
    培養液である特許請求の範囲第1項記載の精製方法。
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