JPH0736456Y2 - 電力供給装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （ａ）産業上の利用分野 この考案は複数の負荷に対して選択的に電力を供給する
電力供給装置に関する。

（ｂ）従来の技術 複数の負荷に対して選択的に電力を供給する装置が適用
される装置としては、たとえばキセノンランプつき誘導
灯装置がある。この誘導灯装置は、負荷としてキセノン
ランプと蛍光灯を備え、通常の状態において蛍光灯が交
流電源によって点灯している。交流電源が停電するとバ
ッテリで駆動されるインバータによって蛍光灯が点灯す
る。また火災などが発生するとキセノンランプがインバ
ータによって点滅点灯する。バッテリは通常の時に交流
電源によって充電されている。

従来のこのような複数の負荷を備える電力供給装置で
は、各負荷に対応するインバータとバッテリを備え、非
常状態（停電状態や火災発生状態）に応じて駆動するイ
ンバータを選択するようにしていた。

第３図は従来の電力供給装置が適用された、負荷として
キセノンランプと誘導灯を有するキセノンランプつき誘
導灯装置のブロック図を示している。

AC電源１は停電検出部２によって常に停電有無の状態が
監視されている。停電がない場合には、AC電源１は切り
換え部３を介して蛍光灯４に供給されている。停電検出
部２がAC電源１の停電を検出すると、AC電源１から蛍光
灯４に対して電源が供給されなくなる。一方バッテリ７
は充電部６を通して通常の時にAC電源１によって充電さ
れている。停電検出部２はAC電源１の停電を検出する
と、切り換え部８がバッテリ７をインバータ５に接続す
る。これによってインバータ５が駆動され、その出力が
蛍光灯４へ供給される。したがって停電時には蛍光灯４
がインバータ駆動される。

またキセノンランプ点灯部においては、火報信号検出部
10が、外部に設けられている火災検出装置11から火報信
号が発生したかどうかを監視している。火報信号が発生
したことを検出すれば、切り換え部12を作動させてバッ
テリ13をインバータ14に接続する。これによってキセノ
ンランプ15がインバータ駆動される。なお図外の点滅制
御部によって、キセノンランプ15は点滅するように制御
される。バッテリ13は通常の時に切り換え部16及び充電
部17を介してAC電源１によって充電されている。そして
火報信号が検出された時にバッテリ13に対する充電が停
止する。

以上の構成によって異常状態が停電状態である場合に
は、蛍光灯４がインバータによって点灯され、異常状態
が火災発生時であれば、キセノンランプ15がインバータ
によって点灯する。

このように従来の電力供給装置では、複数の負荷に対応
してバッテリと充電部、およびインバータを設け、異常
状態に応じてバッテリおよびそのバッテリによって駆動
されるインバータを駆動するようにしていた。

（ｃ）考案が解決しようとする問題点 しかしながら上記の構成では、インバータとバッテリお
よび充電部を負荷の数だけ用意する必要があるために、
負荷の数が多くなればなるほど高価になり、しかも大型
化する欠点があった。

この考案の目的は、バッテリ，充電部およびインバータ
を負荷の数に関係なく一つで構成することのできる電力
供給装置を提供することにある。

（ｄ）問題点を解決するための手段 この考案は交流電源正常時に交流電源により充電される
バッテリと、火災検出装置から出力される火報信号の検
出時または交流電源停電時に前記バッテリで駆動される
インバータと、前記インバータの出力側に接続される蛍
光灯点灯回路およびキセノンランプ点滅回路からなる複
数の負荷と、交流電源正常時で前記火報信号検出時に前
記インバータの出力を前記キセノンランプ点滅回路のみ
に供給し、交流電源停電時で且つ前記火報信号検出時に
前記インバータの出力を前記キセノンランプ点滅回路と
前記蛍光灯点灯回路へ供給する切り換えスイッチと、交
流電源正常時で前記火報信号検出時に前記インバータの
出力インピーダンスを前記キセノンランプ点滅回路の負
荷インピーダンスに整合させ、交流電源停電時で且つ前
記火報信号検出時に前記インバータの出力インピーダン
スを前記キセノンランプ点滅回路と前記蛍光灯点灯回路
の総合負荷インピーダンスに整合させるインピーダンス
整合回路と、を備えてなることを特徴とする。

（ｅ）作用 一般に、インバータに複数の負荷が接続されている場
合、それらの複数の負荷が同時に選択された場合には総
合負荷インピーダンスが変動するために、インバータの
出力インピーダンスと総合負荷インピーダンスが整合し
なくなり、インバータから各負荷に対して十分な電力供
給ができなくなる。この考案に係る電力供給装置では、
切り換えスイッチの作用により、交流電源が正常で火災
検出装置から出力される火報信号が検出された時に、イ
ンバータの出力がキセノンランプ点滅回路のみに供給さ
れ、交流電源が停電で且つ前記火報信号が検出された時
に、インバータの出力がキセノンランプ点滅回路と蛍光
灯点灯回路へ供給されるが、インピーダンス整合回路の
作用により、交流電源正常時で前記火報信号検出時にイ
ンバータの出力インピーダンスがキセノンランプ点滅回
路の負荷インピーダンスに整合し、交流電源停電時で且
つ前記火報信号検出時にはインバータの出力インピーダ
ンスがキセノンランプ点滅回路と蛍光灯点灯回路の総合
負荷インピーダンスに整合する。従って、交流電源正常
時で火災発生時にはキセノンランプ点滅回路のみに対し
てインバータから十分な電力が供給され、交流電源停電
時で且つ火災発生時にはキセノンランプ点滅回路と蛍光
灯点灯回路に対してインバータから十分な電力が供給さ
れる。これにより火災発生時における交流電源の状態に
応じてキセノンランプまたはキセノンランプと蛍光灯と
が安定して点灯することになる。

（ｆ）実施例 第１図はこの考案の実施例を適用したキセノンランプ付
誘導灯装置のブロック図を示す。

AC電源１は切り換え部20を介して充電部21に接続されて
いる。切り換え部20は通常の時にAC電源１を充電部21に
接続する。バッテリ29は充電部21によって充電される。
AC電源１は切り換え部22を介して蛍光灯４に接続されて
いる。またこの蛍光灯４およびキセノンランプ15はそれ
ぞれ切り換え部22および切り換え部23を介してインバー
タ24に接続されている。

バッテリ29は切り換え部25を介してインバータ24に接続
される。またインバータ24には切り換え部26を介してイ
ンピーダンス整合回路27が接続される。

前記切り換え部20は、火報信号検出部10で火報信号を検
出した時にオフしてAC電源１と充電部21の接続を切る。
前記切り換え部22は停電検出部２がAC電源１の停電を検
出した時にAC電源１と蛍光灯４の接続を切り、且つイン
バータ24と蛍光灯４を接続する。前記切り換え部23は、
火報信号検出部10が火報信号を検出した時にインバータ
24とキセノンランプ15を接続する。前記切り換え部25
は、停電検出部２が停電を検出した時、または火報信号
検出部10が火報信号を検出した時に、バッテリ29とイン
バータ24を接続する。前記切り換え部26は、停電検出部
２が停電を検出し、且つ火報信号検出部10が火報信号を
検出した時にインピーダンス整合回路27をインバータ24
に接続する。アンドゲート28は、停電検出部２が停電を
検出し、且つ火報信号検出部10が火報信号を検出した時
に切り換え部26を作動させるアンド条件を設定する。

前記インバータ24の出力側に接続される負荷とは、蛍光
灯４を含む蛍光灯点灯回路とキセノンランプ15を含むキ
セノンランプ点灯回路である。これらの負荷のインピー
ダンスは各点灯回路を調整することによって同じ値に設
定されている。またインバータ24の出力インピーダンス
も各点灯回路の負荷インピーダンスと整合する大きさに
設定されている。一方上記の条件で、キセノンランプ15
と蛍光灯４が同時に駆動されると、これらの総合負荷イ
ンピーダンスとインバータ24の出力インピーダンスが整
合しなくなるが、この場合にはインピーダンス整合回路
27がインバータ24に接続されることによって、インバー
タ24の出力インピーダンスがその総合負荷インピーダン
スに一致するようになる。すなわちインピーダンス整合
回路27の値はその整合回路がインバータ24に接続された
時、インバータ出力インピーダンスと総合負荷インピー
ダンスが一致するような大きさに設定されている。

上記の構成において、通常の時にはバッテリ29がAC電源
１によって充電されている。また蛍光灯４はAC電源１に
よって点灯している。停電検出部２が停電を検出する
と、切り換え部25がオンしてバッテリ29によりインバー
タ24が駆動される。同時に切り換え部22は蛍光灯４をイ
ンバータ24に接続する。この時には負荷として蛍光灯点
灯回路のみが選択されているために、その点灯回路の負
荷インピーダンスとインバータ24の出力インピーダンス
が整合している。したがってインバータ24から蛍光灯４
に対して十分な出力が供給され、蛍光灯４は安定な点灯
状態となる。

AC電源１が停電せずに火報信号が発生すると、切り換え
部20がオフするとともに切り換え部25がオンすることに
よって上記と同様にインバータ24がバッテリ29によって
駆動される。また切り換え部23がオンしてキセノンラン
プ15がインバータ24に接続する。この場合には負荷とし
てはキセノンランプ点灯回路だけが選択されているため
に、その負荷インピーダンスとインバータ出力インピー
ダンスが整合している。したがってキセノンランプ15は
安定して点灯する。なお図示はしていないがキセノンラ
ンプ点灯回路には点滅周期制御部が設けられていて、キ
セノンランプ15はインバータ24の出力を受けて点滅点灯
する。

AC電源１が停電するとともに火報信号が発生すると、切
り換え部25がオンしてインバータ24がバッテリ駆動され
るとともに、切り換え部22,23が共に作動してインバー
タ24には蛍光灯点灯回路とキセノンランプ点灯回路の二
つの負荷が接続される。また切り換え部26もオンするこ
とによりインバータ24にはインピーダンス整合回路27が
接続される。この場合にはインピーダンス整合回路27に
よってインバータ24の出力インピーダンスが総合負荷イ
ンピーダンスに整合するようにされるために、インバー
タ24からは蛍光灯点灯回路およびキセノンランプ点灯回
路の二つの回路に対して十分に出力が供給される。した
がってこの場合にも蛍光灯４およびキセノンランプ15が
安定した点灯状態となる。

第２図は上記キセノンランプ付誘導灯装置の具体的な回
路図を示している。

第１図と第２図との対応部分には同じ番号を付してい
る。インバータ24としては、二つのトランジスタをプッ
シュップル接続したインバータを使用している。30は発
振電流の平滑用のチョークである。蛍光灯点灯回路は、
通常のグローランプ付のものを使用している。インバー
タ出力は出力トランス31から取り出され、電流制限用コ
ンデンサ32,33を介して蛍光灯４に入力する。キセノン
ランプ点灯回路は、ダイオード34,35および平滑用のコ
ンデンサ36からなる整流回路と、キセノンランプ点滅制
御部からなる。キセノンランプ点滅制御部は、点滅周期
制御部37と、サイリスタ38と、パルストランス39と、発
振用の抵抗40,コンデンサ41からなり、キセノンランプ
発振パルスを形成してキセノンランプ周囲に取り付けら
れているグリッド44に供給される。インバータ24が駆動
され、且つ切り換え素子23がオンしている時には、出力
トランス31から高周波出力がこの点滅制御部およびキセ
ノンランプ15に同時に供給されて、キセノンランプ15が
点滅周期制御部37で設定された周期で点滅点灯する。

インピーダンス整合回路27は、インバータ24のプッシュ
プル接続されたトランジスタに並列的に接続されたコン
デンサで構成されている。すなわち切り換え素子26がオ
ンした時に、これらのトランジスタにコンデンサが並列
的に接続される。このコンデンサの大きさは、切り換え
素子26がオンした時に、インバータ出力インピーダンス
が、キセノンランプ点灯回路および蛍光灯点灯回路の両
方が駆動された時の総合負荷インピーダンスに一致する
ような大きさに設定される。なおキセノンランプ点灯回
路の負荷インピーダンスと蛍光灯点灯回路の負荷インピ
ーダンスはそれぞれが一致するように各点灯回路のコン
デンサ32,33,42,43などの値が設定されており、且つ切
り換え素子26がオフしている時のインバータ出力インピ
ーダンスがそれらの各点灯回路の負荷インピーダンスに
一致するように出力トランス31などのインピーダンスの
大きさが設定されている。

以上の構成によって、AC電源１が停電して停電検出部２
が切り換え信号ｂを発生した時、および火災検出装置11
が火災を検出して火報信号検出部10が切り換え信号ａを
発生した時には、切り換え素子26がオンしてインピーダ
ンス整合回路27がインバータに接続され、その出力イン
ピーダンスが二つの点灯回路の総合負荷インピーダンス
に整合する。これによってインバータの出力はキセノン
ランプ15および蛍光灯４に十分に供給され、それぞれが
安定した点灯状態となる。

なお以上の実施例では負荷を二つとしたが、これ以上で
あってもよい。その場合にはインピーダンス整合回路27
の数を増やし、選択される負荷の種類に応じてインバー
タに接続するインピーダンス整合回路を選択する。この
ようにすれば負荷の数が幾つであってもインピーダンス
整合回路の数と大きさを適当に設定することにより常に
最適に状態で負荷に対して電力供給を行うことができ
る。

（ｇ）考案の効果 この考案に係る電力供給装置では、バッテリおよびイン
バータの数が一つでよいために、装置全体の価格が極め
て低コストとなり、しかも小型化する利点がある。ま
た、交流電源が正常で火災発生時にはキセノンランプ点
滅回路のみに対してインバータから十分な電力が供給さ
れ、交流電源が停電していて且つ火災発生時にはキセノ
ンランプ点滅回路と蛍光灯点灯回路に対してインバータ
から十分な電力が供給されるため、火災発生時における
交流電源の状態に応じてキセノンランプまたはキセノン
ランプと蛍光灯とが安定して点灯することになる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例が適用されたキセノンランプ
付誘導灯付装置のブロック図、第２図は同誘導灯装置の
具体的な回路図である。また第３図は従来の電力供給装
置が適用されたキセノンランプ付誘導灯装置のブロック
図を示している。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】交流電源正常時に交流電源により充電され
   るバッテリと、火災検出装置から出力される火報信号の
   検出時または交流電源停電時に前記バッテリで駆動され
   るインバータと、前記インバータの出力側に接続される
   蛍光灯点灯回路およびキセノンランプ点滅回路からなる
   複数の負荷と、交流電源正常時で前記火報信号検出時に
   前記インバータの出力を前記キセノンランプ点滅回路の
   みに供給し、交流電源停電時で且つ前記火報信号検出時
   に前記インバータの出力を前記キセノンランプ点滅回路
   と前記蛍光灯点灯回路へ供給する切り換えスイッチと、
   交流電源正常時で前記火報信号検出時に前記インバータ
   の出力インピーダンスを前記キセノンランプ点滅回路の
   負荷インピーダンスに整合させ、交流電源停電時で且つ
   前記火報信号検出時に前記インバータの出力インピーダ
   ンスを前記キセノンランプ点滅回路と前記蛍光灯点灯回
   路の総合負荷インピーダンスに整合させるインピーダン
   ス整合回路と、を備えてなる電力供給装置。