JPH0734748B2 - エリスリトール含有培養液からエリスリトールを分離・回収する方法 - Google Patents

エリスリトール含有培養液からエリスリトールを分離・回収する方法

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JPH0734748B2
JPH0734748B2 JP63021347A JP2134788A JPH0734748B2 JP H0734748 B2 JPH0734748 B2 JP H0734748B2 JP 63021347 A JP63021347 A JP 63021347A JP 2134788 A JP2134788 A JP 2134788A JP H0734748 B2 JPH0734748 B2 JP H0734748B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (a)発明の目的 (産業上の利用分野) 本発明はエリスリトール生産菌の培養液から、培地に添
加された原料物質及び添加物質にもとづく各種不純物及
び副反応生成物等、たとえば各種の塩類、着色成分及び
各種の多糖類等を簡単に分離・除去して、高純度のエリ
スリトールを高い晶析収率で容易に分離・回収する方法
に関する。なお、本明細書に記載する「エリスリトー
ル」とは、正確には「メソーエリスリトール」を意味す
るものであり、このエリスリトールは甘味料、医薬品や
工業薬品等の中間体などとして有用なものである。
(従来の技術) 培養法によりエリスリトールを製造するためのエリスリ
トール産生菌としては、たとえばオーレオバシディウム
属(特開昭61−31091号公報、主な副反応生成物はグリ
セリン)、モニリエラ・トメントサ・バール・ポリニス
(特開昭60−110295〜8号公報、主な副反応生成物はグ
リセリン及び炭素数5の糖アルコールとしてのリビトー
ル)、キャンジダ・ゼイライデス(ATCC15585)、トル
ロプシス・ファマタ(ATCC1586)等(特開昭49−118889
号公報)、キャンジダ・リポリティカ(米国特許第3,75
6,917号明細書)、及びトリゴノプシス属、キャンジダ
属(特公昭47−41549号公報)等が知られている。
従来、これらのエリスリトール産生菌を水性培地で培養
して得られた培養液からエリスリトールを高純度で分離
・回収するには、その前処理として、通常、培養液を活
性炭で脱色処理し、次いでイオン交換樹脂で脱塩、脱色
処理してから濃縮し、冷却・晶析させていた。
ところが、エリスリトール産生菌の培養工程では、通
常、その培地にKH2PO4、MgSO4、CaCl2、K2SO4、CaSO4
FeSO4、MnSO4、ZnSO4、(NH42HPO4等の無機塩類が多
量に添加されるし、また窒素源として(NH42SO4、尿
素、NH4Cl、(NH42NO3等が、さらに栄養源としてコー
ン・スティープリカー、大豆粉、各種アミノ酸、ペプト
ン、チアミン、酵母エキス等が多量に添加される。特
に、コーン・ステープリカーを用いた場合には、培養液
の着色が著しい。そのために、上記の従来法は、培養液
からこれらの各種の添加物にもとづく不純物を完全に脱
色・脱塩するのに、多量の活性炭やイオン交換樹脂や、
さらにはそれらの再生用の薬剤を必要とする欠点があっ
た。
また、その培養工程では、副反応生成物として、たとえ
ばグリセリン、リビトール、多糖類等が生成するばかり
でなく、原料として結晶しょ糖や結晶ぶどう糖の代り
に、でん物の酵素糖化法等で得られた精製ぶどう糖(こ
れはぶどう糖含有率が93〜97%、残りが二糖類、三糖
類、及びそれ以上のオリゴ糖である。)を用いた場合に
は、原料糖中に含まれている二糖類以上のオリゴ糖がそ
のまま又はその反応生成物の形で培養液中に不純物とし
て含まれてくる。そして、これらの各種の不純物は、培
養液の活性炭処理やイオン交換樹脂による脱色・脱塩処
理工程でも除去されないので、エリスリトールの晶析収
率を高めるための培養液の濃縮時に、これら不純物濃度
も上昇して、晶析をさせる濃縮液が水飴状になり、エリ
スリトールの晶析速度を著しく低下させることになる。
そのために、上記の従来法はやむをえず、低濃度の濃縮
にとどめて晶析を行なわせざるをえず、ひいてはエリス
リトールの晶析収率を著しく低下させる欠点があった。
そして、本発明者等の研究によれば、エリスリトール培
養液中のエリスリトールの晶析に影響を与える不純物
は、主として下記の成分であることが判明した。
(i) 副反応で生成するグリセリン (ii) グリセリン以外の副反応生成物 (iii) でん粉の酵素糖化法等で得られた精製ぶどう
糖を原料として用いた場合には、原料ぶどう糖中に含ま
れる二糖類以上のオリゴ糖及びその反応生成物 (iv) ぶどう糖を主な構成成分とするβ−1,4結合を
もつ多糖類 このうち、(i)、(ii)及び(iii)の成分が多く含
まれる場合には、常法により活性炭とイオン交換樹脂を
用いて脱色・脱塩した液を濃縮して晶析を行なわせる
と、充分な晶析収率に達しない段階で母液が急激な粘度
上昇を起して水飴状になり、晶析速度を著しく低下する
とともに、析出した結晶と母液の分離をも困難にする。
また、上記(iv)の多糖類は分子量が数千〜数万のもの
で、その生成量が30〜500ppm程度と低いが、活性炭やイ
オン交換樹脂を用いる通常の脱色・脱塩処理では除去さ
れず、エリスリトール結晶の晶析工程で析出し、生成エ
リスリトール結晶に混入してくる。そのために、得られ
たエリスリトール結晶は、これを水に溶解させたときに
白濁し、品質低下の原因となる。
なお、晶析収率を向上させる手段とし、原料糖に、でん
粉の酵素糖化法で得られた二糖類以上のオリゴ糖を多く
含むぶどう糖を用いずに、結晶ぶどう糖や結晶しょ糖を
用いて上記(iii)の原料に由来するオリゴ糖及びその
反応生成物量を少なくする方法を採用することが可能で
あるが、しかしこの方法も、(ii)グリセリン以外の副
反応生成物が依然として含まれてくるので、なお充分に
満足できる方法でなかった。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は、エリスリトール含有培養液からエリスリトー
ルを分離・回収する方法の改良法、詳しくはエリスリト
ール含有培養液より菌体を分離して得られた上澄液か
ら、それに含まれる各種の塩類、着色成分及び各種のオ
リゴ糖及び多糖類等を同時に効率よく分離して除き、高
純度のエリスリトール結晶を高い晶析収率で分離・回収
する方法を提供しようとするものである。
(b)発明の構成 (問題点を解決するための手段) 本発明者等は、前記の問題点を解決するために、さらに
研究を重ねた結果、アルカリ金属型若しくはアンモニア
型の強酸性カチオン交換樹脂を分離剤とするクロマトグ
ラフ分離法によりその目的を達成することができたもの
である。
すなわち、本発明のエリスリトール含有培養液からエリ
スリトールを分離・回収する方法は、エリスリトール生
産菌を水性培地中で好気的条件下で培養して得られた培
養液から菌体を除去した上澄液を、アルカリ金属型若し
くはアンモニウム型の強酸性カチオン交換樹脂を充填し
た分離塔に通し、次いで水で溶離流出させ、その流出液
からエリスリトールを主成分として含有する画分を分取
し、該画分よりエリスリトールを回収することを特徴と
する方法である。
本発明の分離・回収方法は、エリスリトール生産菌を水
性培地中で好気的条件下で培養し得られた培養液から菌
体を除去した上澄液に対して、アルカリ金属型若しくは
アンモニア型の強酸性カチオン交換樹脂を分離剤とする
クロマトグラフ分離法を適用する方法であるが、その上
澄液は、予め硬度成分を除去し、かつ所定の濃度まで濃
縮しておくのが望ましい。
その上澄液の硬度成分の除去法(軟化処理法)として
は、通常、スルホン酸型の強酸性カチオン交換樹脂のNa
型のものを用い、このカチオン交換樹脂を充填した塔に
上澄液を通して上澄液中のCaイオンやMgイオンをNaイオ
ンと交換させて除き、Ca型及び/又はMg型に変ったカチ
オン交換樹脂をNaCl水溶液でNa型に再生させて繰返し使
用する方法と、カルボン酸型の弱酸性カチオン交換樹脂
のNa型のものを用い、このカチオン交換樹脂を充填した
塔に上澄液を通して上澄液中の硬度成分を同様にイオン
交換させて除き、Ca及び/又はMg型に変った同樹脂をHC
l又はH2SO4等の強酸で再生してH型にしたのち、NaOH水
溶液を流してNa型に戻してから繰返し再使用する方法と
がある。この二つの方法のうち、上記上澄液中の全塩濃
度が、通常、20〜300meq/程度と高いので、このよう
な全塩濃度の高い上澄液から硬度成分を完全に除くに
は、カルボン酸型弱酸性カチオン交換樹脂のNa型のもの
を用いる方法の方がより好ましい。
次に本発明の方法における分離剤のアルカリ金属型若し
くはアンモニア型の強酸性カチオン交換樹脂としては、
ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンスルホン酸型の強酸
性カチオン交換樹脂(架橋度4〜10%のもの)のアルカ
リ金属型若しくはNH4型のものが好ましく、特にそのNa
型のものが最も好ましい。
かかるアルカリ金属型若しくはアンモニウム型の強酸性
カチオン交換樹脂(以下、これを単に「分離剤」という
ことがある。)を充填した分離塔に、上記の上澄液、好
ましくは硬度成分を除いた上澄液、より好ましくは硬度
成分を除き、かつ30〜70重量%の濃度(この濃度は溶存
物質濃度を意味する。)にまで濃縮した濃縮上澄液を、
分離剤体積に対して5〜20容量%量供給し、次いで水で
溶離流出させ、その流出液からエリスリトールを主成分
とする画分を分取する。その際の分離塔温度及び供給液
の温度は50〜90℃、好ましくは60〜80℃に保持する。こ
の場合の分離塔等の温度が低くすぎると分離塔内で微生
物が増殖し、通液圧力の損失が増大するし、かつチャン
ネリングの原因となり、分離能力が低下する。また、そ
の温度が高すぎると培養液中に含まれる二糖類以上のオ
リゴ糖の熱分解を起し、液の着色が著しくなる。また、
分離塔に供給する硬度成分を除いた濃縮液の濃度が高す
ぎると、液粘度が上昇して分離性能が低下してくるし、
またその液濃度が低くすぎると、分離塔に供給すべき液
体積が増大し、それにともない溶離液としての水の使用
量が増大するので、分離塔に供給する上澄液濃度は、上
述のように溶存物質濃度として30〜70重量%とするのが
好ましい。さらに、分離塔に供給する濃縮上澄液量が少
ないと分離性能が向上するが、分離剤当りの分離の生産
性が低下してくるし、その濃縮上澄液量が多すぎると分
離性能が低下してくるので、分離塔へ供給する1回当り
の濃縮上澄液量は分離剤体積に対して、上述のように5
〜20容量%とするのが望ましい。
なお、前記培地には、通常、前述のようにKイオンや窒
素源としてのNH4イオン等の多量の塩が加えられるため
に、これらのイオンは硬度成分の除去工程で一部がNaイ
オンに置き換えられるにしても、なおこれらイオンの大
部分は分離塔に流入してくることになる。そのために、
分離塔に最初にNa型のカチオン交換樹脂を充填しておい
ても、分離操作を繰り返す間に、Na型樹脂の一部がK型
やNH4型に変るが、分離性能上は格別の支障を生じな
い。
このようにして、上澄液、好ましくは硬度成分を除き、
かつ所定の濃度に濃縮した上澄液を通し、次いで溶離液
として水を通して、分離剤に吸着された溶存物質を逐次
に溶離流出させる。すると、まず塩類、着色成分及び分
子量の大きい多糖類が流出し、引続いて原料ぶどう糖中
に含まれていた二糖類以上のオリゴ糖及びグリセリン以
外の副反応生成物が流出し、さらに引続いてエリスリト
ール及びグリセリンが流出してくるから、その流出液を
エリスリトールの流出がはじまる時点の前後の二つの画
分に分けると、塩類、着色成分、副反応で生成する多糖
類、原料ぶどう糖中の二糖類以上のオリゴ糖及びその副
反応生成分等を含む前段の画分と、エリスリトールを主
成分としグリセリンを含む後段の画分とに、容易に分割
することができる。
かくして分割して得られたエリスリトールを主成分とす
る画分は、充分に着色成分及び塩類等が除かれているか
ら、そのまま濃縮して晶析を行なわせると、容易に高純
度のエリスリトールを高い晶析収率で析出させて回収す
ることができる。すなわち、上記のエリスリトールを主
成分とする画分は、通常、溶存物質濃度として3〜30重
量%程度の低い濃度のものであり、かつ副反応生成物の
グリセリンを含むものであるが、この画分は濃縮して晶
析を行なわせれば容易に高純度のエリスリトール結晶を
析出させることができる。たとえば、同画分を溶存物質
濃度が30〜85重量%になるまで濃縮してから、エリスリ
トールの種晶を加えて徐冷しながら結晶を析出させる冷
却晶析法、或いは同画分を減圧下で30〜80℃の範囲内の
一定温度で濃縮させながら結晶を析出させる方法等の方
法を用いれば、容易に高純度のエリスリトール結晶を高
い晶析収率で析出させることができる。
なお、特に高純度のエリスリトール結晶を収得したい場
合には、前記のエリスリトールを主成分とする画分を活
性炭で脱色し、さらに常法にしたがってカチオン交換樹
脂塔、アニオン交換樹脂塔、及びカチオン交換樹脂とア
ニオン交換樹脂との両樹脂の混床塔で処理して完全に脱
塩したのち、上記したと同様の方法で濃縮・晶析を行な
わせると、より高純度のエリスリトール結晶を析出させ
ることができる。
上記したエリスリトール結晶を析出させた残りの母液中
には、副反応生成物のグリセリンが含まれているから、
このグリセリンは別途容易に回収することができる。
このように、本発明の方法を用いれば、培地に添加した
各種塩類、原料ぶどう糖中に含まれる二糖類以上のオリ
ゴ糖、及び副反応等により生成したグリセリン以外の各
種副反応生成物等の上澄液中に含まれる不純物の大部分
は、着色成分をも含めて、溶離工程において分離塔から
初期に溶離流出する画分として、後期に溶離流出するエ
リスリトールを主成分とする画分とに容易に分離できる
ので、そのエリスリトールを主成分とする画分はそれら
の不純物の含有量の著しく少ない画分として得られる。
したがって、この後期の画分からエリスリトールを晶析
させれば、母液としてパージされる糖類及び糖アルコー
ル量が著しく減少し、エリスリトールの晶析収率が高く
なるし、得られるエリスリトール結晶の純度も高い。
上記説明においては、回分分離法について述べている
が、精製効果という点では一定量の濃縮上澄液を供給
し、次いで溶離水を供給することにより塩類、多糖類及
びグリセリン以外の副反応生成を含む画分とエリスリト
ールを含む画分に分離すればよいわけであり、アルカリ
金属型若しくはアンモニア型の強酸性カチオン交換樹脂
を用いるかぎりにおいて、どのような分離操作法を用い
ても良い。即ち下記の実施例1及び2に記載されている
方法に限定されることなく、たとえばコロニアルシュガ
ー社出願の特開昭45−24807号公報、参松工業株式会社
出願の特開昭53−149870号公報、三菱化成工業株式会社
出願の特開昭55−61903号公報等に記載の回分分離法や
米国U.O.P社出願の米国特許第2985589号明細書記載の擬
似移動床方式による連続分離法等のような分離操作法を
採用してもよい。
(実施例等) 以下に実施例及び比較例をあげてさらに詳述する。
実施例1 無水結晶ぶどう糖をぶどう糖として300g/及び酵母エ
キスを6.7g/含む培地に、オーレオバシジウムSN−G42
株を加え、30℃で72時間振とう培養して得た種培地1.5
を、無水結晶ぶどう糖を340g/、及びコーン・ステ
イープ・リカーを55g/、を含む培地(初期pH4.2)25
に加え、通気量25/min、撹拌速度600rpm、温度35
℃、圧力0.5kg/cm2Gで93時間培養し、ぶどう糖が完全に
なくなった時点を確認して培養を停止し、直ちに加熱殺
菌したのち、遠心分離により菌体を分離した。得られた
上澄液はエリスリトールを187g/、グリセリンを25g/
含有していた。
この上澄液(19.9)をカルボン酸型弱カチオン交換樹
脂(三菱化成工業株式会社商品名ダイヤイオンWK−20)
のNa型を充填した塔に通してCa及びMg等の硬度成分をNa
イオンと交換したのち、溶存物質濃度が45重量%になる
まで濃縮した。
分離塔(直径11/4インチ(呼び寸法)×高さ200cm)
に、ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンスルホン酸のNa
型樹脂(三菱化成工業株式会社商品名ダイヤイオンUBK
−530)を1.24充填し、75℃に保持しながら、上記の
濃度45重量%の濃縮液(温度75℃)0.124を塔頂から
供給速度0.46/hrで供給し、次いで引続き同じ速度で
塔頂から水を供給した。その際の塔底流出液の分析結果
は、第1図に示すとおりであった。
第1図のBにおける不明物Iは、主として塩類、着色物
質及びグリセリンを主たる構成成分とするβ−1,4結合
をもつ多糖類からなり、同図面からわかるように、これ
ら不明物Iは初期の流出画分中に含まれて流出してく
る。次いで流出してくる不明物IIは、主としてグリセリ
ン以外の副反応生成物、二糖類以上のオリゴ糖及びその
反応生成物であるが、これらも比較的初期の流出液中に
含まれて流出してくる。なお、この実施例では原料ぶど
う糖として結晶ぶどう糖が用いられたので、不明物IIに
は、原料ぶどう糖に由来する二糖類以上のオリゴ糖及び
その反応生成物が含まれていなく、その不明物IIは、主
としてグリセリン以外の副反応生成物であった。そし
て、後期の流出液としてエリスリトールとグリセリンが
流出してくる。
また、第1図のAから明らかなように、着色成分は、そ
の大部分が前期の流出液中に含まれている。
したがって、第1図から明らかなように、その流出液
を、流出液床容量0.54を境にして前段と後段の二つの画
分に分けると、前段の画分には着色物質の大部分と不明
物I及びIIの殆んど全部とが含まれ、後段の画分にはエ
リスリトールとグリセリンの殆んど全部が含まれてくる
から、この後段の画分をエリスリトールを主成分とする
画分として収得すれば、これには着色成分や塩類や多糖
類が殆んど含まれていない。換言すれば、上澄液からエ
リスリトール及びグリセリンを含み、不純物を殆んど含
まない画分を後段の画分として容易に分離できるのであ
る。
前記の流出液床容量0.54を境にして前段と後段の二つの
画分に分けた場合の各段の画分の液量は、前段が0.67
であり、後段が0.47であった。
次いで、この操作を70回繰り返し、後段流出液として合
計33を得る。その液組成はエリスリトール濃度106g/
、グリセリン濃度14.2g/、不明物II濃度0.98g/で
あった。この液に粉末活性炭66gを加え30分間撹拌後、
活性炭を過し、液を常法に従ってH型強酸性カチオ
ン交換樹脂(三菱化成工業株式会社商品名ダイヤイオン
SK1B)を充填した塔、OH型の弱塩基性アニオン交換樹脂
(三菱化成工業株式会社商品名ダイヤイオンWA30)を充
填した塔、及び前記のH型強酸性カチオン交換樹脂とOH
型強塩基性アニオン交換樹脂(三菱化成工業株式会社商
品名ダイヤイオンPA408)を充填した混床塔に順次通し
て、さらに脱塩・脱色したのち、減圧下80℃で溶存物質
濃度が53重量%になるまで濃縮した。
次いで、この80℃の濃縮液を2時間かけて15℃まで徐冷
し、さらに15℃に2時間保存して結晶を成長させた。生
成結晶を別し、得られた湿潤結晶をその0.6倍量の15
℃の水で洗浄し、純度100%のエリスリトール結晶が1.6
6kg得られた。この場合の前記の53重量%の濃縮液中の
エリスリトールに対する晶析収率は47.5%であった。ま
た得られた結晶を水に溶解し、10重量%の溶液をつくっ
たが、にごりは認められなかった。
実施例2 原料ぶどう糖として純度96.8重量%(残り3.2重量%が
二糖類以上のオリゴ糖)の精製ぶどう糖を用い、このぶ
どう糖を純ぶどう糖として400g/、コーン・ステイー
プ・リカーを67g/含み、pHが4.2の初期培地25に、
実施例1におけると同一の種菌培養液1.5を加え、温
度35℃、通気量13/min、圧力0.5kg/cm2、撹拌速度600
rpmの条件で培養を行なったところ、95時間の培養でぶ
どう糖が全くなくなったので、直ちに培養を停止し、加
熱殺菌後、菌体を分離した。得られた上澄液(約19.6
)の分析結果は、エリスリトールが213g/、グリセ
リンが17.5g/、不明物Iが18g/、不明物IIが16g/
であった。
この上澄液をダイヤイオンWK−20(三菱化成工業株式会
社商品名)のNa型樹脂を充填した塔に通して軟化処理を
したのち、溶存物質濃度が45重量%になるまで濃縮し
た。その濃縮量は約10.2であった。
次いで、ダイヤイオンUBK−530(三菱化成工業株式会社
商品名)のNa型樹脂0.62を塔(直径11/4インチ(呼
び径)×高さ1000mm)に充填した分離塔を用いて、上記
の濃縮液及び水を、0.496/hrの一定の通液速度で、次
の四段階に分けてそれぞれ通液した。
第一段階: 前記の濃度45重量%の濃縮液70mlを塔頂から供給し、塔
底から塔底流出液を70ml流出させた。この塔底流出液
は、前回の第四段階に引続き塔内液を塔底方向に移動さ
せることによって樹脂から溶離した液であるので、エリ
スリトールを主成分とする画分であった。
第二段階: 塔内の液を塔底からポンプで塔頂に15.7分間(130ml
分)循環させた。
第三段階: 塔頂から水143mlを供給し、塔底からの流出液(143ml)
をパージした。この場合の塔底からの流出液は各種塩
類、着色成分及び不明物IIを含有する液であるので上記
のようにパージした。
第四段階: 塔頂から水180mlを供給し、塔底から180mlの流出液を取
出した。この流出液はエリスリトールを主成分として含
有する画分であるので、第1段階での塔底流出液と混合
した。
以上の四段階の処理を1サイクルとし、第四段階後には
再び第1段階に戻るサイクルを、前記の上澄液の濃縮液
(10.2)がなくなるまで繰返して、エリスリトールを
主成分とする画分36.3を得た。
その画分の分析結果は、エリスリトールが116g/、グ
リセリンが9.6g/、不明物IIが2.6g/であり、その脱
塩率が95%、脱色率が87%、エリスリトール回収率が9
9.9%、不明物IIのパージ率が70%であった。また、そ
の画分は着色度(A4201cmセル、以下、同様)が0.32、
電気伝導度が167μS/emであった。
次いで、上記のようにして得られたエリスリトールを主
成分として含有する画分(36.3)に、粉末活炭を0.1
重量%加えて脱色処理をしたところ、着色度が0.16にま
で低下した。さらに、この脱色処理液を、常法にしたが
ってH型の強酸性カチオン交換樹脂(三菱化成工業株式
会社商品名ダイヤイオンSK1B)を充填した塔、OH型の弱
塩基性アニオン交換樹脂(三菱化成工業株式会社商品名
ダイヤイオンWA30)を充填した塔、及び前記のH型樹脂
及びOH型強塩基性アニオン交換樹脂(三菱化成工業株式
会社商品名ダイヤイオンPA408)を充填した混床塔に順
次に通して、さらに脱塩・脱色したのち、減圧下、80℃
で固形分が61重量%になるまで濃縮した。
次いで、この80℃の濃縮液を2時間かけて15℃まで徐冷
し、さらに15℃に2時間保持して結晶を成長させた。生
成結晶を別し、得られた湿潤結晶をその0.6倍量の15
℃の水で洗浄し、乾燥させたところ、純度100%のエリ
スリトール結晶2.40kgが得られた。
比較例1 実施例2で得られた培養液の上澄液(着色6.2、電気伝
導度7.0ms/cm)を脱色するために粉末活炭を5重量%添
加したが、着色度が0.35にまでしか低下できなかった。
さらに、その脱色後の上澄液を、常法にしたがって実施
例2におけると同様のイオン交換樹脂による脱塩処理を
したところ、イオン交換樹脂は、実施例2の場合の20倍
量の必要とした。
さらに、その脱色・脱塩処理した上澄液を80℃の減圧下
で固形分濃度50重量%まで濃縮してから、実施例2にお
けると同様の条件を用いて冷却・晶析させ、結晶分離、
水洗、乾燥をして純度100%の結晶1.80kgを得た。この
場合の50重量%濃縮液中のエリスリトールに対する晶析
収率は43.8%であった。
また、製品エリスリトール結晶収率を高めるために、80
℃の減圧下での濃縮時の固形分濃度を60重量%に高めた
ところ、製品エリスリトール結晶の純度が99.8%に低下
した。また、濃縮液濃度50重量%及び60重量%のいずれ
の条件で得られた結晶も、10重量%の水溶液にすると白
濁が認められた。
(c)発明の効果 本発明の分離・回収方法は、エリスリトール含有培養液
から高純度のエリスリトール結晶を高い晶析収率で容易
に分離・回収することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1における分離塔から溶離液の水に溶解
して流出する流出液物質と流出液量の関係を示したもの
であり、Aは流出液量と液の着色度との関係を、Bは流
出液量と各物質の濃度との関係を図示したものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エリスリトール生産菌を水性培地中で好気
    的条件下で培養して得られた培養液から菌体を除去した
    上澄液を、アルカリ金属型若しくはアンモニウム型の強
    酸性カチオン交換樹脂を充填した分離塔に通し、次いで
    水で溶離流出させ、その流出液からエリスリトールを主
    成分として含有する画分を分取し、該画分よりエリスリ
    トールを回収することを特徴とするエリスリトール含有
    培養液からエリスリトールを分離・回収する方法。
  2. 【請求項2】流出液からエリスリトールとグリセリンと
    を主として含有する画分を分取し、その画分から晶析に
    よってエリスリトール結晶を回収する特許請求の範囲第
    1項記載の方法。
  3. 【請求項3】上澄液を分離塔に通すに先立って、上澄液
    中の硬度成分をアルカリ金属型カチオン交換樹脂を用い
    て除いておく特許請求の範囲第1項又は第2項記載の方
    法。
  4. 【請求項4】強酸性カチオン交換樹脂がNa型の樹脂であ
    る特許請求の範囲第1項,第2項又は第3項記載の方
    法。
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