JPH0734751B2 - エリスリトール含有培養液からのエリスリトールの分離・回収方法 - Google Patents

エリスリトール含有培養液からのエリスリトールの分離・回収方法

Info

Publication number
JPH0734751B2
JPH0734751B2 JP63152118A JP15211888A JPH0734751B2 JP H0734751 B2 JPH0734751 B2 JP H0734751B2 JP 63152118 A JP63152118 A JP 63152118A JP 15211888 A JP15211888 A JP 15211888A JP H0734751 B2 JPH0734751 B2 JP H0734751B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
erythritol
separation
exchange resin
water
separating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP63152118A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01320987A (ja
Inventor
敏弘 前田
▲隆▼ 昆布
功 中沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP63152118A priority Critical patent/JPH0734751B2/ja
Priority to US07/304,794 priority patent/US4906569A/en
Priority to EP19890101623 priority patent/EP0327016B1/en
Priority to DE68911158T priority patent/DE68911158T2/de
Publication of JPH01320987A publication Critical patent/JPH01320987A/ja
Publication of JPH0734751B2 publication Critical patent/JPH0734751B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (a)発明の目的 (産業上の利用分野) 本発明はエリスリトール生産菌の培養液から、培地に添
加された原料物質及び添加物質にもとづく各種不純物及
び副反応生成物等、たとえば各種の塩類、着色成分及び
各種の多糖類等を簡単に分離・除去して、高純度のエリ
スリトールを高い晶析収率で容易に分離・回収する方法
に関する。なお、本明細書に記載する「エリスリトー
ル」とは、正確には「メソーエリスリトール」を意味す
るものであり、このエリスリトールは甘味料、医薬品や
工業薬品等の中間体などとして有用なものである。
(従来の技術) 培養法によりエリスリトールを製造するためのエリスリ
トール産生菌としては、たとえばオーレオバシディウム
属(特開昭61−31091号公報、主な副反応生成物はグリ
セリン)、モニリエラ・トメントサ・バール・ポリニス
(特開昭60−110295〜8号公報、主な副反応生成物はグ
リセリン及び炭素数5の糖アルコールとしてのリビトー
ル)、キャンジダ・ゼイライデス(AHCC15585)、トル
ロプシス・ファマタ(ATCC1586)等(特開昭49−118889
号公報)、キャンジダ・リポリティカ(米国特許第3,75
6,917号明細書)、及びトリゴノプシス属、キャンジダ
属(特公昭47−41549号公報)等が知られている。
従来、これらのエリスリトール産生菌を水性培地で培養
して得られた培養液からエリスリトールを高純度で分離
・回収するには、その前処理として、通常、培養液を活
性炭で脱色処理し、次いでイオン交換樹脂で脱塩、脱色
処理してから濃縮し、冷却・晶析させていた。
ところが、エリスリトール産生菌の培養工程では、通
常、その培地にKH2PO4、MgSO4、C4Cl2、K2SO4、CaSO4
FeSO4、MnSO4、ZnSO4、(NH42HPO4等の無機塩類が多
量に添加されるし、また窒素源として(NH42SO4、尿
素、NH4Cl、(NH42NO3等が、さらに栄養源としてコー
ン・スティープリカー、大豆粉、各種アミノ酸、ペプト
ン、チアミン、酵母エキス等が多量に添加される。特
に、コーン・ステープリカーを用いた場合には、培養液
の着色が著しい。そのために、上記の従来法は、培養液
からこれらの各種の添加物にもとづく不純物を完全に除
去し、脱色・脱塩するのに、多量の活性炭やイオン交換
樹脂や、さらにはそれらの再生用の薬剤を必要とする欠
点があった。
また、その培養工程では、副反応生成物として、たとえ
ばグリセリン、リビトーン、多糖類等が生成するばかり
でなく、原料として結晶しよ糖や結晶ぶどう糖の代り
に、でん粉の酵素糖化法等で得られた精製ぶどう糖(こ
れはぶどう糖含有率が93〜97%、残りが二糖類、三糖
類、及びそれ以上のオリゴ糖である。)を用いた場合に
は、原料糖中に含まれている二糖類以上のオリゴ糖がそ
のまま又はその反応生成物の形で培養液中に不純物とし
て含まれてくる。そして、これらの各種の不純物は、培
養液の活性炭処理やイオン交換樹脂による脱色・脱塩処
理工程でも除去されないので、エリスリトールの晶析収
率を高めるための培養液の濃縮時に、これら不純物濃度
も上昇して、晶析をさせる濃縮液が水飴状になり、エリ
スリトールの晶析速度を著しく低下させることになる。
そのために、上記の従来法はやむをえず、低濃度の濃縮
にとどめて晶析を行なわせざるをえず、ひいてはエリス
リトールの晶析収率を著しく低下させる欠点があった。
本発明者らは、さきに前記の従来法の欠点を改良する方
法として、エリスリトール生産菌を水性培地中で好気的
条件下で培養して得られた培養液から菌体を除去した上
澄液を、アルカリ金属型若しくはアンモニウム型の強酸
性カチオン交換樹脂を充填した分離塔に通し、次いで水
で溶離流出させ、その流出液からエリスリトールを主成
分として含有する画分を分取し、該画分よりエリスリト
ールを回収することを特徴とするエリスリトール含有培
養液からエリスリトールを分離・回収する方法を提案し
た(特願昭63−21347号)。この方法は、エリスリトー
ル生産菌の培養液から各種の不純物及び副反応生成物な
ど、たとえば各種の塩類、着色成分及び各種の多糖類な
どを簡単に分離・除去して高純度のエリスリトールを高
い晶析率で分離・回収できる優れた方法であるが、本発
明者らのその後の研究によれば、この方法において使用
する分離剤としての前記の強酸性カチオン交換樹脂は長
期間繰返して使用する間に分離性能が次第に低下してく
る欠点のあることが判明した。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は、本発明者らの発明に係る前記特願昭63−2134
7号において開示された方法の前記した欠点を改良した
方法を提供しようとするものである。
(b)発明の構成 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは前記の問題点を改良するために研究を重ね
た結果、前記の強酸性カチオン交換樹脂を繰返し使用す
るときの分離性能の低下が、エリスリトール生産菌によ
って副生される或る種の多糖類や蛋白質が樹脂表面に沈
着するために起るのではないかと推測し、この推測にも
とづいて分離性能の低下した樹脂を温アルカリ溶液で洗
浄したところ、低下した分離性能が容易に回復されるこ
とを見出し、本発明を完成したのである。
すなわち、本発明のエリスリトール含有培養液からエリ
スリトールの分離・回収方法は、エリスリトール生産菌
を水性培地中で好気的条件下で培養して得られた培養液
から菌体を除去した上澄液を、アルカリ金属型若しくは
アンモニウム型の強酸性カチオン交換樹脂を充填した分
離塔に通し、次いで水で溶離流出させ、その流出液から
エリスリトールを主成分として含有する画分を分取し、
該画分よりエリスリトールを回収する方法において、上
記の上澄液の通液と前記の水による溶離とを繰返すこと
によって分離性能の低下した前記の強酸性カチオン交換
樹脂を35〜100℃の温アルカリ溶液で処理して分離性能
を回復させ前記の分離に再使用することを特徴とする方
法である。
本発明の分離・回収方法は、エリスリトール生産菌を水
性培地中で好気的条件下で培養し得られた培養液から菌
体を除去した上澄液に対して、アルカリ金属型若しくは
アンモニア型の強酸性カチオン交換樹脂を分離剤とする
クロマトグラフ分離法を適用する方法であるが、その上
澄液は、予め硬度成分を除去し、かつ所定の濃度まで濃
縮しておくのが望ましい。
その上澄液の硬度成分の除去法(軟化処理法)として
は、通常、スルホン酸型の強酸性カチオン交換樹脂のNa
型のものを用い、このカチオン交換樹脂を充填した塔に
上澄液を通して上澄液中のCaイオンやMgイオンをNaイオ
ンと交換させて除き、Ca型及び/又はMg型に変ったカチ
オン交換樹脂をNaCl水溶液でNa型に再生させて繰返し使
用する方法と、カルボン酸型の弱酸性カチオン交換樹脂
のNa型のものを用い、このカチオン交換樹脂を充填した
塔塔に上澄液を通して上澄液中の硬度成分を同様にイオ
ン交換させて除き、Ca及び/又はMg型に変った同樹脂を
HCl又はH2SO4等の強酸で再生してH型にしたのち、NaOH
水溶液を流してNa型に戻してから繰返し再使用する方法
とがある。この二つの方法のうち、上記上澄液中の全塩
濃度が、通常、20〜300meq/程度と高いので、このよ
うな全塩濃度の高い上澄液から硬度成分を完全に除くに
は、カルボン酸型弱酸性カチオン交換樹脂のNa型のもの
を用いる方法の方がより好ましい。
次に本発明の方法における分離剤のアルカリ金属型若し
くはアンモニウム型の強酸性カチオン交換樹脂として
は、ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンスルホン酸型の
強酸性カチオン交換樹脂(架橋度4〜10%のもの)のア
ルカリ金属型若しくはNH4型のものが好ましく、特にそ
のNa型のものが最も好ましい。
かかるアルカリ金属型若しくはアンモニウム型の強酸性
カチオン交換樹脂(以下、これを単に「分離剤」という
ことがある。)を充填した分離塔に、上記の上澄液、好
ましくは硬度成分を除いた上澄液、より好ましくは硬度
成分を除き、かつ30〜70重量%の濃度(この濃度は溶存
物質濃度を意味する。)にまで濃縮した濃縮上澄液を、
分離剤体積に対して5〜20容量%量供給し、次いで水で
溶離流出させ、その流出液からエリスリトールを主成分
とする画分を分取する。その際の分離塔温度及び供給液
の温度は50〜90℃、好ましくは60〜80℃に保持する。こ
の場合の分離塔等の温度が低くすぎると分離塔内で微生
物が増殖し、通液圧力の損失が増大するし、かつチャン
ネリングの原因となり、分離能力が低下する。また、そ
の温度が高すぎると培養液中に含まれる二糖類以上のオ
リゴ糖の熱分解を起し、液の着色が著しくなる。また、
分離塔に供給する硬度成分を除いた濃縮液の濃度が高す
ぎると、液粘度が上昇して分離性能が低下してくるし、
またその液濃度が低くすぎると、分離塔に供給すべき液
体積が増大し、それにともない溶離液としての水の使用
量が増大するので、分離塔に供給する上澄液濃度は、上
述のように溶存物質濃度として30〜70重量%とするのが
好ましい。さらに、分離塔に供給する濃縮上澄液量が少
ないと分離性能が向上するが、分離剤当りの分離の生産
性が低下してくるし、その濃縮上澄液量が多すぎると分
離性能が低下してくるので、分離塔へ供給する1回当り
の濃縮上澄液量は分離剤体積に対して、上述のように5
〜20容量%とするのが望ましい。
なお、前記培地には、通常、前述のようにKイオンや窒
素源としてのNH4イオン等の多量の塩が加えられるため
に、これらのイオンは硬度成分の除去工程で一部がNaイ
オンに置き換えられるにしても、なおこれらイオンの大
部分は分離塔に流入してくることになる。そのために、
分離塔に最初はNa型のカチオン交換樹脂を充填しておい
ても、分離操作を繰り返す間に、Na型樹脂の一部がK型
やNH4型に変るが、分離性能上は格別の支障を生じな
い。
このようにして、上澄液、好ましくは硬度成分を除き、
かつ所定の濃度に濃縮した上澄液を通し、次いで溶離液
として水を通して、分離剤に吸着された溶存物質を逐次
に溶離流出させる。すると、まず塩類、着色成分及び分
子量の大きい多糖類が流出し、引続いて原料ぶどう糖中
に含まれていた二糖類以上のオリゴ糖及びグリセリン以
外の副反応生成物が流出し、さらに引続いてエリスリト
ール及びグリセリンが流出してくるから、その流出液を
エリスリトールの流出がはじまる時点の前後の二つの画
分に分けると、塩類、着色成分、副反応で生成する多糖
類、原料ぶどう糖中の二糖類以上のオリゴ糖及びその副
反応生成分等を含む前段の画分と、エリスリトールを主
成分としグリセリンを含む後段の画分とに、容易に分割
することができる。
たとえば、添付の第1図のAは、上記のような分離にお
いて分離塔から水によって溶離され離出してくる流出液
量と流出液の着色度との関係の一例を示したものであ
り、また第1図のBは、同流出液量と流出液中に含まれ
る物質の種類及び濃度との関係の一例を示したものであ
る。
第1図のBからわかるように、培養液中の塩類、培養工
程でエリスリトール生産菌によって副生される多糖類、
及び培地に加えられた原料中に含まれていた高分子多糖
類(デキストリン等)などは、まず不明物質Iとして流
出し、次いで原料中に含まれる二糖類以上のオリゴ糖及
び培養工程で副生するグリセリン以外の副生成物などは
不明物IIとして流出してくる。また、エリスリトール及
び副生成物のグリセリンは、さらにおくれて流出してく
るので、エリスリトールの流出がはじまる時点で、それ
より前の画分と後の画分とに分画をすれば、エリスリト
ールを主成分としこれにグリセリン等が含まれた画分を
それ以外の成分から容易に分離することができる。
また、第1図のAから自明なように、着色成分の大部分
は前期に流出する流出液中に含まれてくるので、エリス
リトールを主成分とする画分には着色物質が殆んど含ま
れていないことになる。
ところで、本発明分離・回収方法を工業的に実施するに
は、上記の上澄液の分離剤への通液と分離剤からの水に
よる溶離とは、分離剤を充填した分離塔に対して前記の
通液と水による溶離とを繰返して行なわせることにより
実施することになるが、かかる通液と溶離とを長期間繰
返して行なわせると、分離剤の分離性能が次第に低下し
てくる。本発明においてはかかる分離剤の分離性能の低
下に対処するために、繰返し使用することによって分離
性能の低下した分離剤(詳しくはアルカリ金属型若しく
はアンモニウム型の強カチオン交換樹脂)を温アルカリ
溶液で処理することにより分離性能を回復させて分離に
再使用するものであり、この点が本発明の最大の特徴点
である。
そのアルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム等のアルカリ金属水酸化物、アンモニア等のア
ルカリ性物質の水酸化物があげられ、特に水酸化ナトリ
ウムが好ましい。
分離性能の低下した分離剤の温アルカリ溶液による処理
方法は、種々の方法で実施することができるが、通常は
分離塔に充填されたままで分離剤を水洗してから、温ア
ルカリ溶液を供給してその温アルカリ溶液に分離剤を1
〜10時間浸漬しておく方法、或いは分離塔の頂部からポ
ンプで温アルカリ溶液を供給して塔内液を押出し、塔底
よりアルカリ溶液の流出が始まった時点で、塔底流出ラ
インをパージラインからアルカリ溶液タンクへ戻すアル
カリ溶液ラインに切替え、温アルカリ溶液を1〜10時循
環させる方法で行なわせるのが、工業的実施において有
利な方法である。かかる温アルカリ溶液によって処理を
すれば、分離剤の表面に沈着している多糖類が容易に溶
解して除かれ、また沈着している蛋白質も加水分解され
て除かれるので、分離剤の分離性能は容易に回復され
る。その際のアルカリ溶液は、沈着物質の除去をなるべ
く短時間に行なわせるために、35〜100℃、好ましくは5
0〜80℃で、アルカリ金属水酸化物水溶液の場合濃度が
0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%のものを使用
する。
そのアルカリ性物質としては、分離剤(すなわちアルカ
リ金属型若しくはアンモニウム型の強酸性カチオン交換
樹脂)におけると同一のイオン型のアルカリ性物質を用
いるのが、分離剤のイオン型に変化を生じさせないの
で、温アルカリ溶液処理後の分離剤を水洗するだけで分
離操作に戻すことができ好ましい。
従来、有機物の沈着した強酸性カチオン交換樹脂は、酸
やアルカリ溶液で洗浄しても分離性能の回復効果が低い
とされていた(たとえば特開昭57−59641号公報第3頁
左上欄第13行〜右上欄第2行参照)。しかるに、本発明
においては分離性能の低下した強酸性カチオン樹脂を温
アルカリ溶液で処理するだけで分離性能を容易に回復で
きるのであり、この効果は予想外の驚くべき効果であ
る。
上記のような分離操作を用いて分画して得られたエリス
リトールを主成分とする画分は、充分に着色成分及び塩
類等が除かれているから、そのまま濃縮して晶析を行な
わせると、容易に高純度のエリスリトールを高い晶析収
率で析出させて回収することができる。すなわち、上記
のエリスリトールを主成分とする画分は、通常、溶存物
質濃度として3〜30重量%程度の低い濃度のものであ
り、かつ副反応生成物のグリセリンを含むものである
が、この画分は濃縮して晶析を行なわせれば容易に高純
度のエリスリトール結晶を析出させることができる。た
とえば、同画分を溶存物質濃度が30〜85重量%になるま
で濃縮してから、エリスリトールの種晶を加えて徐冷し
ながら結晶を析出させる冷却晶析法、或いは同画分を減
圧下で30〜80℃の範囲内の一定温度で濃縮させながら結
晶を析出させる方法等の方法を用いれば、容易に高純度
のエリスリトール結晶を高い晶析収率で析出させること
ができる。
なお、特に高純度のエリスリトール結晶を収得したい場
合には、前記のエリスリトールを主成分とする画分を活
性炭で脱色し、さらに常法にしたがってカチオン交換樹
脂塔、アニオン交換樹脂塔、及びカチオン交換樹脂とア
ニオン交換樹脂との両樹脂の混床塔で処理して完全に脱
塩したのち、上記したと同様の方法で濃縮・晶析を行な
わせると、より高純度のエリスリトール結晶を析出させ
ることができる。
上記したエリスリトール結晶を析出させた残りの母液中
には、副反応生成物のグリセリンが含まれているから、
このグリセリンは別途容易に回収することができる。
このように、本発明の方法を用いれば、培地に添加した
各種塩類、原料ぶどう糖中に含まれる二糖類以上のオリ
ゴ糖、及び副反応等により生成したグリセリン以外の各
種副反応生成物等の上澄液中に含まれる不純物の大部分
は、着色成分をも含めて、溶離工程において分離塔から
初期に溶離流出する画分として、後期に溶離流出するエ
リスリトールを主成分とする画分とに容易に分離できる
ので、そのエリスリトールを主成分とする画分はそれら
の不純物の含有量の著しく少ない画分として得られる。
したがって、この後期の画分からエリスリトールを晶析
させれば、母液としてパージされる糖類及び糖アルコー
ル量が著しく減少し、エリスリトールの晶析収率が高く
なるし、得られるエリスリトール結晶の純度も高い。ま
た、通液と溶離とを長期間繰返すことにより分離性能の
低下した分離剤は簡単な処理で分離性能を回復させて引
続き分離に使用できるから、同一の分離剤を著しく長期
間有効に使用できる。
上記説明においては、回分分離法について述べている
が、精製効果という点では一定量の濃縮上澄液を供給
し、次いで溶離水を供給することにより塩類、多糖類及
びグリセリン以外の副反応生成を含む画分とエリスリト
ールを含む画分に分離すればよいわけであり、アルカリ
金属型若しくはアンモニウム型の強酸性カチオン交換樹
脂を用いるかぎりにおいて、どのような分離操作法を用
いても良い。即ち下記の実施例に記載されている方法に
限定されることなく、たとえばコロニアルシュガー社出
願の特開昭45−24807号公報、参松工業株式会社出願の
特開昭53−149870号公報、三菱化成株式会社出願の特開
昭55−61903号公報等に記載の回分分離法や米国U.O.P社
出願の米国特許第2985589号明細書記載の擬似移動床方
式による連続分離法等のような分離操作法を採用しても
よい。
(実施例) 以下に実施例をあげてさらに詳述する。
実施例1 原料ぶどう糖として純度96.8重量%(残り3.2重量%が
二糖類以上のオリゴ糖)の精製ぶどう糖を用い、このぶ
どう糖を純ぶどう糖として300g/、及び酵母エキスを
6.7g/含む培地に、オーレオバシジウムSN−G42株を加
え、30℃で72時間振とう培養して得た種培地1.5を、
上記の原料ぶどう糖を純ぶどう糖として400g/、コー
ン・スティープリカーを67g/含み、pHが4.2の初期培
地25に加え、温度35℃、通液量13/min、圧力0.5kg/
cm2、撹拌速度600rpmの条件で培養したところ、95時間
の培養でぶどう糖が全くなくなったので、直ちに培養を
停止し、加熱殺菌後遠心分離により菌体を分離した。得
られた上澄液(約19.9)の分析結果は、エリスリトー
ルが213g/、グリセリンが17.5g/、不明物Iが18g/
、不明物IIが16g/であった。
この上澄液をダイヤイオンWK−20(三菱化成株式会社商
品名)のNa型樹脂を充填した塔に通して軟化処理をした
のち、溶存物質濃度が45重量%になるまで濃縮した。そ
の濃縮液量は約10.2であった。
次いで、ダイヤイオンUBK−530(三菱化成株式会社商品
名)のNa型樹脂0.62を塔(直径11/4インチ×高さ1000
mm)に充填した分離塔を用いて、上記の濃縮液及び水を
それぞれ0.496/hrの一定の通液速度で75℃の温度で次
の四段階に分けて通液した。
第一段階: 前記の濃度45重量%の濃縮液70mlを塔頂から供給し、塔
底から塔底流出液70mlを流出させた。この塔底流出液は
前回の第四段階に引続き塔内液を塔底方向に移動させる
ことにより樹脂から溶離した液であるので、エリスリト
ールを主成分とする画分である。
第二段階: 塔内液を塔底からポンプで塔頂に15.7分間(130ml分)
循環させた。
第三段階: 塔頂から水143mlを供給し、塔底からの流出液(143ml)
をパージした。この場合の塔底からの流出液は、各種塩
類、着色成分及び不明物IIを含有する液であるので、前
記のようにパージした。
第四段階: 塔頂から水180mlを供給し、塔底から180mlの流出液を取
出した。この流出液はエリスリトールを主成分として含
有する画分であるので、第一段階での塔底流出液と混合
した。
以上の四段階の処理を1サイクルとし、第四段階後には
再び第1段階に戻るサイクルを繰返してエリスリトール
を主成分とする画分を集液した。この画分の分析結果
は、エリスリトールが116g/、グリセリンが9.6g/、
不明物IIが2.6g/であり、その脱塩率が95%、脱色率
が87%、エリスリトール回収率が99.9%、不明物IIの除
去率が70%であった。
そして、上記の四段階を1サイクルとする操作を1日に
22.8サイクル繰返し、さらにかかる操作を95日間繰返し
て、上記と同一条件で培養し、軟化処理し、濃縮処理を
行なった培養液をクロマトグラフ分離処理をしたとこ
ろ、95日目のクロマトグラフ分離処理で得られたエリス
リトール画分の分析結果は、エリスリトールが115g/
、グリセリンが9.6g/、不明物IIが6.1g/、脱塩率
が92%、脱色率が85%、エリスリトール回収率が99.0
%、不明物除去率が30%であった。この分析結果を上記
の新しい分離剤を用いて得られたエリスリトールを主成
分とする画分の分析結果と比較すると、脱塩率、脱色
率、エリスリトール回収率での分離性能に大差が認めら
れないが、不明物IIの除去率が30%に低下している。
そして、このような不明物IIの除去率の低下は、晶析工
程における高純度エリスリトールの回収率の低下をひき
起こすことになるので、分離性能の低下した分離剤を下
記の方法で処理した。すなわち、前記のように95日間繰
返し使用して分離性能の低下した分離塔内の分離剤を75
℃の水で洗浄後、その分離塔に塔頂から温度75℃、及び
濃度4重量%の水酸化ナトリウム水溶液を供給し、塔底
から水酸化ナトリウムの流出が始まったら、その流出ラ
インを上記の温度及び濃度の水酸化ナトリウム水溶液の
タンクに戻すラインに切り替えて、2/hrで3時間上
記の温度及び濃度の水酸化ナトリウム水溶液を循環させ
た。次いで、分離塔内をアルカリ分がなくなるまで水洗
してから、再度、上記と同様の培養液を同様に軟化、濃
縮した上澄液を用いて上記と同一の四段階のサイクルか
らなるクロマトグラフ分離処理を行ない、得られたエリ
スリトールを主成分とする画分の分析結果から得られた
脱塩率、脱色率、エリスリトール回収率及び不明物IIの
除去率を、前記の新しい分離剤を用いた場合、及び前記
の95日使用後の分離剤を用いた場合のそれらと対比して
示すと、表1のとおりであった。繰返し使用することに
より分離性能の低下した分離剤は、水酸化ナトリウム水
溶液処理によって、新しい分離剤と殆んど同程度にまで
分離性能が回復したのは明らかである。
(e)発明の効果 本発明の方法は、分離性能の低下した強酸性カチオン交
換樹脂の分離性能を容易に回復させて再使用するので、
同一の強酸性カチオン交換樹脂を著しく長期間にわたっ
て連続使用して有利にエリスリトールを分離・回収する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図のAは本発明の方法を実施する場合の分離塔から
水により溶離されて流出する流出液量と同流出液の着色
度との関係の一例を図示したものであり、また第1図の
Bは同流出液量と同流出液中に含まれる物質の種類及び
その濃度との関係の一例を図示したものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エリスリトール生産菌を水性培地中で好気
    的条件下で培養して得られた培養液から菌体を除去した
    上澄液を、アルカリ金属型若しくはアンモニウム型の強
    酸性カチオン交換樹脂を充填した分離塔に通し、次いで
    水で溶離流出させ、その流出液荷からエリスリトールを
    主成分として含有する画分を分取し、該画分よりエリス
    リトールを回収する方法において、上記の上澄液の通液
    と前記の水による溶離とを繰返すことによって分離性能
    の低下した前記の強酸性カチオン交換樹脂を35〜100℃
    の温アルカリ溶液で処理して分離性能を回復させ前記の
    分離に再使用することを特徴とするエリスリトール含有
    培養液からのエリスリトールの分離・回収方法。
  2. 【請求項2】アルカリ溶液が濃度0.1〜15重量%のアル
    カリ金属水酸化物水溶液である第1請求項記載のエリス
    リトール含有培養液からのエリスリトールの分離・回収
    方法。
JP63152118A 1988-02-02 1988-06-22 エリスリトール含有培養液からのエリスリトールの分離・回収方法 Expired - Lifetime JPH0734751B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63152118A JPH0734751B2 (ja) 1988-06-22 1988-06-22 エリスリトール含有培養液からのエリスリトールの分離・回収方法
US07/304,794 US4906569A (en) 1988-02-02 1989-01-31 Process for isolating and recovering erthritol from culture medium containing the same
EP19890101623 EP0327016B1 (en) 1988-02-02 1989-01-31 Process for isolating and recovering erythritol from culture medium containing the same
DE68911158T DE68911158T2 (de) 1988-02-02 1989-01-31 Verfahren zur Abtrennung und Gewinnung von Erythrit aus einem dieses enthaltenden Kulturmedium.

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63152118A JPH0734751B2 (ja) 1988-06-22 1988-06-22 エリスリトール含有培養液からのエリスリトールの分離・回収方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH01320987A JPH01320987A (ja) 1989-12-27
JPH0734751B2 true JPH0734751B2 (ja) 1995-04-19

Family

ID=15533454

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63152118A Expired - Lifetime JPH0734751B2 (ja) 1988-02-02 1988-06-22 エリスリトール含有培養液からのエリスリトールの分離・回収方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0734751B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116875640B (zh) * 2023-09-04 2023-12-19 诸城东晓生物科技有限公司 一种节能降耗生产赤藓糖醇的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH01320987A (ja) 1989-12-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
USRE33047E (en) Process for producing a high-purity maltose
AU2018343981B2 (en) Process for the purification of a neutral human milk oligosaccharide (HMO) from microbial fermentation
JP6852182B2 (ja) プシコースの効率的な製造方法
EP1963539B1 (en) Process for the recovery of sucrose and/or non-sucrose components
US4521252A (en) Process for producing a high-purity isomaltose
US4487198A (en) Process for producing a high-purity maltose
JP4638598B2 (ja) 食品加工処理物から栄養素を精製するための処理工程
US4906569A (en) Process for isolating and recovering erthritol from culture medium containing the same
EP0337440B1 (en) Ion exchange recovery of L-lysine
EP1162205B1 (en) Process for producing 2-O-Alpha-D-Glucopyranosyl-L-ascorbic acid in high content
JPH0734751B2 (ja) エリスリトール含有培養液からのエリスリトールの分離・回収方法
US9080221B2 (en) System and process for refining sugar
JP5184768B2 (ja) トレハロース高含有糖液の回収方法並びに結晶トレハロースの製造方法
JP3890744B2 (ja) グルコースを出発原料としたl−リボースの製造方法
JPH0734748B2 (ja) エリスリトール含有培養液からエリスリトールを分離・回収する方法
US3278517A (en) Method for recovering nucleotide and the salts thereof from fermentation broth
US20050148052A1 (en) Integration of at least two processes to re-use acid
EP3643786A2 (en) Method for producing d-psicose from d-psicose borate complex using chromatography and composition containing d-psicose
JP3243891B2 (ja) ピルビン酸の精製方法
JPH0617344B2 (ja) バリンの分離精製法
JPH11221100A (ja) 甜菜糖液精製方法
JPH06107611A (ja) ベタインの製造方法
JPH04183395A (ja) マンニトールの分離精製方法
JPH11290089A (ja) 高純度エリスリトール結晶の製造方法
CN116410099A (zh) 从d-天冬氨酸母液中回收l-丙氨酸的方法

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090419

Year of fee payment: 14

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090419

Year of fee payment: 14