JPH0734646B2 - リニアモータ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、搬送用に用いられるリニアモータに関するも
のである。

［従来の技術］ 最近では搬送用にリニアモータを用いるようになってお
り、この種のリニアモータとしては可動コイル型と可動
磁石型とがある。

［発明が解決しようとする課題］ ところが、上述の可動コイル型のリニアモータは、可動
コイルの両側に磁石を配置したものが一般的であり、可
動コイルの両側に磁石があるので、全体の断面形状が大
きくなるという問題があった。また、コイルで形成され
た固定子レール内を永久磁石で形成された可動子が摺動
する可動磁石型リニアモータでは固定子コイルに常時通
常を行う必要があるため、コイルの発熱が大きいという
問題があった。

本発明は上述の点に鑑みて為されたものであり、その目
的とするところは、断面形状が小型で、高効率なリニア
モータを提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本発明は厚み方向において
異極に着磁され長手方向において一定間隔で交互に異極
に着磁された平板状の永久磁石を長手方向に沿って配置
した固定子ブロックと、永久磁石が両側片の先端部間に
介装されるとともに断面形状が幅寸法のほぼ一定の略コ
字状であって少なくともコ字状の断面部分は継目のない
鉄心の夫々の側片の根元部分に逆巻きにしてコイルを巻
装した電磁石を永久磁石の長手方向に複数個列設して形
成された可動子ブロックとを備え、上記電磁石毎のコイ
ルが接続されたブラシを可動子ブロックに設けると共
に、上記ブラシが摺接し可動子ブロックの移動に伴って
このブラシを介してコイルに交互に正負の電圧を印加す
る導体部が形成された給電基板を固定子ブロックに設け
てある。

また、可動子ブロックの構成を簡素化し、且つ磁石の位
置決めを正確に行うことができように、被搬送物を連結
する連結体を備え、連結体に電磁石の鉄心を位置決めし
て固定する凹所を形成しても良い。

［作用］ 本発明は、上述のように構成することにより、給電基板
及びブラシを介して駆動に適した電流をコイルに切換供
給することができ、コイルに常時電流を流す可動磁石型
のように発熱が大きくならず、効率が良くなるように
し、また永久磁石を可動鉄心コイルの内側だけに配置す
る形して、断面形状を小型とコイル電流により鉄心に生
じる磁束を鉄心の両側片間に介装された永久磁石を厚み
方向に横切るように集中させることができるとともに、
漏れ磁束を少なくして磁気効率を高めることができ、さ
らに、コイと永久磁石とが幅方向において重ならず、電
磁石の幅方向の寸法を小さくして可動子ブロックの小型
化が図れるものである。

［実施例１］ 第１図乃至６図に本発明の一実施例を示す。本実施例の
リニアモータは可動コイル型であり、固定子ブロックＡ
に沿って可動子ブロックＢが摺動する構造になってい
る。

固定子ブロックＡは、断面Ｌ字状で長尺の基体７と、こ
の基体７の横片7aの中央の全長にわたって配置された長
尺の永久磁石１と、上記基体７の縦片7bの内壁面に取り
付けられた可動子ブロックＢに給電を行う給電基板５と
で構成してある。

永久磁石１は第４図に示すように平板状で長手方向にお
いて一定ピッチでＮ極とＳ極とに交互に着磁してあると
共に、厚み方向においても第５図（ｂ）あるいは同図
（ｃ）に示すようにＮ極とＳ極とに着磁してある。そし
て、この永久磁石１は基体７の横片7aに接着あるいはか
しめ等により取り付けてある。なお、この永久磁石１の
長手方向におけるＮ極とＳ極とからなる１組の磁石片部
の長さは第４図に示すようにＬとしてある。

給電基板５は第５図（ａ）に示すように中央部に一定間
隔で上下に直角に蛇行する絶縁部5cを形成し、この絶縁
部5cで分離された上下部分を導体部5a,5bとしてある。
そして上方の導体部5aから正電圧を後述する可動子ブロ
ックＢのコイル３に印加すると共に、下方の導体部5bか
ら負電圧をコイル３に印加する。ここで、各導体部5a,5
bの中央側に突出する部分の幅はL/3に形成してあり、両
導体部5a,5b間に位置する絶縁部5cの幅はL/6に形成して
ある。

可動子ブロックＢは、幅寸法のほぼ一定の略コ字状であ
る継鉄を積層することにより、コ字状の断面部分に継目
のないように形成された鉄心２と、この鉄心２のそれぞ
れの根元部分に巻回されたコイル３と、このコイル３の
一端が接続され上記給電基板５に摺接するブラシ４とか
らなる電磁石８を３個列設して構成された３相構造にな
っている。なお、コイル３の他端は接続してある。そし
て、各電磁石８の基体７の長手方向に沿う長さはL/3を
越えない長さにしてある。つまり、鉄心２の長さをl₁と
した場合にl₁＜L/3とし、且つコイル３を巻装した場合
の電磁石８の長さも上記L/3を越えないようにしてあ
る。各電磁石８枚に設けられたブラシ４の夫々の間隔は
L/3にしてあり、これらブラシ４は第５図（ａ）に一点
鎖線で示す給電基板４の中央位置に接触する。

上記固定子ブロックＡ及び可動子ブロックＢは第３図に
示すように矩形筒状のガイドレール６内に可動子ブロッ
クＢの鉄心２の先端部間に固定子ブロックＡの永久磁石
１を介装するようにして配設され、このガイドレール６
の下面中央には長手方向に沿ってガイド溝９を穿設して
ある。可動子ブロックＢには例えば装飾品等の被搬送物
を連結する連結体10を一体に固定し、この連結体10から
突設された連結片10aを上記ガイドレール６のガイド溝
９から突出させてある。なお、連結体10の両側には可動
子ブロックＢの移動をスムーズにするためのコロ11を設
けてあり、可動子ブロックＢの鉄心２が基体７に摺接す
る部分には摩擦係数の小さいスリップ板12を取り付けて
ある。また、連結片10に形成された孔16は被搬送物を連
結するためのものである。

以下、リニアモータの動作を説明する。第２図におい
て、例えばブラシ4aを介して給電基板５からコイル3aに
給電を行うと、コイル3aに電流が流れる。ここで、コイ
ル3aは鉄心２の側片に夫々逆巻きして巻装してある。従
って、第２図中の右側の鉄心２の側片への巻装部に時計
方向の電流を流すと、他方の側片に巻装部には反時計方
向の電流が流れる。ところで、上記巻装部に時計方向の
電流を流すと、その巻装部が巻回された鉄心２の側片の
永久磁石１の側面に対向する面はＮ極になり、他の巻装
部には反時計方向の電流が流れ、その巻装部が巻回され
た鉄心２の側片の対向面はＳ極になる。そして、各電磁
石8a〜8cの夫々のブラシ4a〜4bが第５図（ａ）に示す給
電基板５の２重丸で示す３点に接触した状態において
は、可動子ブロックＢは第５図（ｂ）に示す位置となっ
ており、このときにはコイル3a,3cに電流が流れ、上記
コイル3a,3cが巻装された鉄心２の両側片の永久磁石１
への対向面の極性は図示状態になるようにしてある。従
って、電磁石8a,8cの鉄心2a,2cの対向面と永久磁石１と
の間には反発力と図中右側に示す異極面との間の吸引力
が生じ、図中の右側方向への推進力が生じる。

次に、この推進力で可動子ブロックＢが移動して、第５
図（ｃ）に示す位置に移動すると、各ブラシ4a〜4cが第
５図（ａ）中の一重丸で示す位置に接触する。このとき
には電磁石8b,8cのコイル3b,3cに電流が流れ、コイル3
b,3cが巻装された鉄心2b,2cの両側片の永久磁石１への
対向面の極性は第５図（ｃ）に示す状態になるようにし
てある。従って、上述の場合と同様にして鉄心2b,2cの
対向面と永久磁石１との間には反発力と第５図（ｃ）中
の右側に示す異極面との間の吸引力が生じ、図中の右側
方向への推進力が生じる。

上述のように給電基板５から給電を行うと、第６図に示
す６通りの状態に各鉄心2a〜2cの対向面の極性が切り換
わり、いずれの場合にも上述の場合と同様の原理で継続
して右側に推進される。つまりは給電基板５から３相の
コイル3a〜3cの内の２相の常時電流を流して直線的に進
行する。なお、図中の左方向に進行させる場合には給電
基板５の導体部5a,5bの電圧の正負を逆にすれば良い。
このように本実施例の場合には可動子ブロックＢのコイ
ル３が鉄心２を備えているので、磁気特性が向上し、リ
ニアモータの断面形状を小さくすることができる。ま
た、本実施例の場合には、鉄心２の断面形状が幅寸法の
ほぼ一定の略コ字状であって、少なくとも略コ字状の断
面部分に継目がなく、しかも、この鉄心２にコイル３が
巻装されてなる電磁石８が複数個列設して可動子ブロッ
クＢが形成されているため、コイル３に流れる電流によ
り鉄心２に生じる磁束は鉄心２の両側片の先端部間に介
装された永久磁石１を厚み方向に横切るように集中させ
ることができるとともに、漏れ磁束を少なくして磁気効
率を高めることができ、さらに、コイルを鉄心２の側片
根元部分に巻装するとともに永久磁石１を鉄心２側片の
先端部間に介装しているため、コイル３と永久磁石１と
が幅方向において重ならず、電磁石８の幅方向の寸法を
小さくして可動子ブロックＢの小型化が図れる。しか
も、上記鉄心２の両側片の下部を小間隙をおいて永久磁
石１の両側面に対向させることができるので、空隙磁束
密度を高くすることができ、このため高効率で推進力の
向上が図れる。また、給電基板５によりブラシ４を介し
てコイル３に電流を切り換えて供給するので配線の引き
回しが不要である。

ところで、第９図に示すように、連結体10の電磁石８を
取り付ける側の面に電磁石８の鉄心２を固定する凹所12
を夫々形成し、電磁石８を位置決めして連結体10に取り
付けることができるようにして良い。この場合の鉄心２
の基板７の長手方向の長さが第８図に示すようにl₁で、
基板７の長手方向に直交する方向の幅がl₂であるとする
と、第９図の凹所12の縦横の寸法は上記鉄心２の寸法に
合わせ、且つ各凹所12の基板７の長手方向の間隔をL/3
とすれば良い。このため、この凹所12内に鉄心２を圧入
あるいは接着により固定すると、電磁石８の位置決めが
為されることになる。第７図に鉄心２を連結体10に固定
した状態を示す。

さらに、第11図に示すように鉄心２の凹所12内に収納さ
れる側面に溝14を形成すると共に、この溝14が対応する
凹所12の内側面に第12図に示すように上記溝14に嵌まる
突条15を形成し、鉄心２を凹所12に嵌合して固定するよ
うにすれば、連結体10と鉄心２との連結力を強くでき、
重量のある被搬送物をも吊り下げることができるように
なる。

［発明の効果］ 本発明は上述のように、厚み方向において異極に着磁さ
れ長手方向において一定間隔で交互に異極に着磁された
平板状の永久磁石を長手方向に沿って配置した固定子ブ
ロックと、永久磁石が両側片の先端部間に介装されると
ともに断面形状が幅寸法のほぼ一定の略コ字状であって
少なくともコ字状の断面部分は継目のない鉄心の夫々の
側片の根元部分に逆巻きにしてコイルを巻装した電磁石
を永久磁石の長手方向に複数個列設して形成された可動
子ブロックとを備え、上記電磁石毎のコイルが接続され
たブラシを可動子ブロックに設けると共に、上記ブラシ
が摺接し可動子ブロックの移動に伴ってこのブラシを介
してコイルに交互に正負の電圧を印加する導体部が形成
された給電基板とを固定子ブロックに設けてあるので、
給電基板及びブラシを介して駆動に適した電流をコイル
に切換供給することができ、コイルに常時電流を流す可
動磁石型のように発熱が大きくならず、効率が良くな
る。また、永久磁石を可動鉄心コイルの内側だけ配置す
る形になるので、断面形状を小型とできる。さらに、コ
イル電流により鉄心に生じる磁束を鉄心の両側片間に介
装された永久磁石を厚み方向に横切るように集中させる
ことができるとともに、漏れ磁束を少なくして磁気効率
を高めることができ、しかも、コイルと永久磁石とが幅
方向において重ならず、電磁石の幅方向の寸法を小さく
して可動子ブロックの小型化が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の正面図、第２図は同上の斜
視図、第３図はガイドレールを設けた場合の斜視図、第
４図は同上の要部の構造を示す斜視図、第５図（ａ）は
給電基板の正面図、同図（ｂ），（ｃ）は給電基板によ
る可動ブロックの駆動状態を示す説明図、第６図は同上
の動作説明図、第７図は鉄心と連結体との固定方法を示
す斜視図、第８図は鉄心の斜視図、第９図（ａ），
（ｂ）は連結体の平面図及び正面図、第10図は鉄心と連
結体との他の固定方法を示す斜視図、第11図は鉄心の斜
視図、第12図（ａ），（ｂ）は連結体の平面図及び正面
図である。 Ａは固定子ブロック、Ｂは可動子ブロック、１は永久磁
石、２は鉄心、３はコイル、４はブラシ、５は給電基板
である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡村 幸彦 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 鈴木 康夫 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 白岩 紀人 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭54−131709（ＪＰ，Ａ)

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】厚み方向において異極に着磁され長手方向
   において一定間隔で交互に異極に着磁された平板状の永
   久磁石を長手方向に沿って配置した固定子ブロックと、
   永久磁石が両側片の先端部間に介装されるとともに断面
   形状が幅寸法のほぼ一定の略コ字状であって少なくとも
   コ字状の断面部分は継目のない鉄心の夫々の側片の根元
   部分に逆巻きにしてコイルを巻装した電磁石を永久磁石
   の長手方向に複数個列設して形成された可動子ブロック
   とを備え、上記電磁石毎のコイルが接続されたブラシを
   可動子ブロックに設けると共に、上記ブラシが摺接し可
   動子ブロックの移動に伴ってこのブラシを介してコイル
   に交互に正負の電圧を印加する導体部が形成された給電
   基板を固定子ブロックに設けて成るリニアモータ。
2. 【請求項２】被搬送物を連結する連結体を備え、連結体
   に電磁石の鉄心を位置決めして固定する応所を形成した
   請求項１記載のイニアモータ。