JPH0733865A - ポリカーボネートの製造法 - Google Patents

ポリカーボネートの製造法

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JPH0733865A
JPH0733865A JP18135093A JP18135093A JPH0733865A JP H0733865 A JPH0733865 A JP H0733865A JP 18135093 A JP18135093 A JP 18135093A JP 18135093 A JP18135093 A JP 18135093A JP H0733865 A JPH0733865 A JP H0733865A
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勝茂 林
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光彦 増本
Masahiko Ishikawa
雅彦 石川
Atsushi Hirashima
敦 平島
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 色相、加水分解安定性、耐加熱黄変性に優れ
たポリカーボネートを製造する。 【構成】 エステル交換法によりポリカーボネートを製
造する際、反応装置の材質としてニッケル含有量が12
重量%以上で、かつクロム含有量が22重量%以上のス
テンレス鋼からなる反応装置を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、いわゆるエステル交換
法によるポリカーボネートの製造方法に関する。詳しく
は、色相が良好であり、加水分解安定性、耐加熱黄変性
等の物性に優れたポリカーボネートの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭酸ジエステルとジヒドロキシアリール
化合物とを反応させてポリカーボネートを製造するいわ
ゆるエステル交換法は、工程が比較的簡素であり、操
作、コスト面でホスゲン法(界面重合法)に比べ優位性
が発揮できるだけでなく、毒性の強いホスゲンや塩化メ
チレン等のハロゲン系溶剤を使用しないという環境保全
の面からも最近見直されている。
【0003】しかしながら、現在、エステル交換法は大
規模な工業プロセスとして採用されるに至っていない。
それは、従来のエステル交換法で製造されるポリカーボ
ネートの色相、加水分解安定性、耐加熱黄変性等の諸物
性がホスゲン法ポリカーボネートに比べ劣っていること
が最大の原因である。これらの物性が不良となる原因は
種々考えられるが、反応装置の材質が大きく影響してい
ることもその一因である。
【0004】この問題を解決するために、例えば、米国
特許第4383092号においては、反応混合物と接触
する部分をタンタル、クロム、ニッケル等の非鉄系、非
ステンレス系の特殊な材質とすることで生成ポリマーの
着色を抑える方法を提案している。しかし、これらの金
属は高価であり、加工も簡単ではないため、非常に高価
な反応装置となる欠点を有している。また、色相以外の
物性については何ら記載されていない。
【0005】特開平4−72327号では、反応混合物
と接触する部分の材質として銅および/またはニッケル
の含有量が85重量%以上の金属材料を使用する方法を
提案しているが、やはり高価な装置となる欠点を有して
おり、この場合も色相以外の物性についての記述はな
い。また、特開平4−332725号では、反応装置の
接液部にクロムまたはニッケルのメッキを施した材料を
使用することを提案している。その他に、反応装置の材
質としてニッケルおよび/またはアルミニウムの含有量
が60%以上からなる材料を使用する方法(特開平5−
125168号)、ニッケルおよび/またはモリブデン
の含有量が60%以上からなる材料を使用する方法(特
開平5−125169号)、ニッケルおよび/または炭
素の含有量が60%以上からなる材料を使用する方法
(特開平5−125170号)、ニッケルおよび/また
はクロムの含有量が60%以上の材料を使用する方法
(特開平5−125172号)、銅および/またはアル
ミニウムの含有量が60%以上の材料を使用する方法
(特開平5−125173号)、銅および/または亜鉛
の含有量が60%以上の材料を使用する方法(特開平5
−125174号)等々が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように反応器の
材質として種々のものが提案されているが、これらは特
殊な材質であり装置自体が高価なものとなり、工業的に
は不都合である。また従来提案されている材料において
も色相、加水分解安定性、耐加熱黄変性等において必ず
しも十分とはいえない。
【0007】本発明は、エステル交換法によりポリカー
ボネートを製造するに際して、色相が良好であり、加水
分解安定性、耐加熱黄変性等の物性に優れたポリカーボ
ネートの製造法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の事情
に鑑み、エステル交換法によるポリカーボネートの製造
における、反応装置の材質について鋭意検討を行った。
その結果、従来エステル交換法によるポリカーボネート
の製造には不適とされてきたステンレス系材質の反応装
置であっても、特定の金属組成を有するステンレス鋼で
あれば色相、加水分解安定性、耐加熱黄変性等の物性に
優れたポリカーボネートが製造できることを見出した。
【0009】すなわち、本発明は炭酸ジエステルとジヒ
ドロキシアリール化合物とを反応させてポリカーボネー
トを製造するに際して、少なくとも反応混合物、反応副
生物および原料モノマーが接触する部分の材質が、ニッ
ケル含有量12重量%以上で、クロム含有量22重量%
以上のステンレス鋼である反応装置を用いることを特徴
とするポリカーボネートの製造法に係わるものである。
【0010】本発明において用いられる反応装置の材質
としては、ニッケル含有量が12重量%以上で、かつク
ロム含有量が22重量%以上であるステンレス鋼であ
り、その他の成分として鉄、マンガン、炭素、珪素、
燐、イオウ、モリブデン等が挙げられるが特に制限はな
い。本発明における材質の範囲に含まれるステンレス鋼
の具体的例としては、SUS−309、SUS−309
S(Ni含有量12〜15重量%、Cr含有量22〜2
4重量%)、SUS−310、SUS−310S(Ni
含有量19〜22重量%、Cr含有量24〜26重量
%)、SUS−314(Ni含有量19〜22重量%、
Cr含有量23〜26重量%)等が挙げられる。
【0011】また、本発明の材質が用いられる反応装置
とは、反応混合物、反応副生物および原料モノマーが接
触する部分を指し、例えば、重合反応器、分溜塔、原料
モノマー溶解槽、凝縮器等が挙げられ、さらにこれらの
機器を接続する配管等も含まれる。
【0012】本発明で用いられるジヒドロキシアリール
化合物は下記一般式(1)で表わされる化合物である。
【0013】
【化1】 (式中、Aは1〜15の炭素数を有する2価の炭化水素
基、ハロゲン置換の2価炭化水素基または−S−、−S
2 −、−SO2 −、−SO−、−O−、および−CO−
のごとき2価の基を示し、Xはハロゲン原子、炭素数1
〜14のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭
素数1〜8のオキシアルキル基および炭素数6〜18の
オキシアリール基を示す。mは0または1であり、yは
0〜4の整数である)
【0014】上記一般式(1)で表わされるジヒドロキ
シアリール化合物は、例えば、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジ
フェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,
4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5
−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスル
ホン、5−クロロ−2,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニル
ジスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィ
ド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,
4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエ
ーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシ
ジフェニルエーテル等が例示される。これらのジヒドロ
キシアリール化合物は単独あるいは2種以上を混合して
用いることができ、必要に応じて共重合体とすることも
できる。
【0015】本発明で用いられる炭酸ジエステルは、下
記の一般式(2)で表わされる化合物である。
【0016】
【化2】 (式中Arは1価の脂肪族または1価の芳香族基であ
り、Arは同じであっても異なっていてもよい)
【0017】上記一般式(2)で表わされる炭酸ジエス
テルは、例えば、ジフェニルカーボネートおよび置換ジ
フェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジトリ
ルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等が例示
されるが、特に好ましくはジフェニルカーボネート、置
換ジフェニルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸
ジエステルは、単独あるいは2種以上を混合して用いて
もよい。
【0018】本発明の反応では一般に触媒が使用される
が、用いられる触媒は特に制限はなく、従来からエステ
ル交換反応に使用される触媒が使用できる。これらは単
独で、または二種以上を適宜組み合わせて用いることが
できる。これらの触媒としては、例えば、アルカリ金属
化合物またはそれらの塩、アルカリ土類金属化合物また
はそれらの塩、有機の塩基性化合物、金属アルコキシ
ド、その他有機金属化合物などがあげられる。実用的に
はアルカリ金属化合物またはその塩が安価で好ましい。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は以下の実施例になんらの制限を受けるも
のではない。なお、得られたポリカーボネートの評価
は、以下の方法により行なった。
【0020】(1)分子量 ウベローデ粘度計を用いて、塩化メチレン中20℃の極
限粘度[η]を測定し、以下の式より求めた。 [η]=1.11×10-4(Mv)0.83
【0021】(2)色相 得られたポリカーボネートより80mmφ、1/8イン
チ厚の射出成形品を製作し、東京電色製比色計を用いて
透過b値を測定した。(値が小さい方が色相が良好で透
過度が高い)
【0022】(3)加水分解安定性 得られたポリカーボネートを、系内水分約800ppm
に調湿し、窒素気流下300℃に1時間加熱して分子量
低下(ΔMv)を測定し、評価した。
【0023】(4)加熱黄変性 射出成形品を130℃の雰囲気下に20日間放置し、色
相の変化(Δb値)で評価した。
【0024】(5)末端OH量 四塩化チタン/酢酸法(Makromol Chem.88 215(1965))
により比色定量を行なった。
【0025】実施例1 反応容器本体、攪拌翼、攪拌シャフト、分溜塔がSUS
−310S(Ni含有量19〜22重量%、Cr含有量
24〜26重量%)製の反応装置に、ジフェニルカーボ
ネート110.3g(0.515モル)、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノール
A〕114.2g(0.500モル)および水酸化ナト
リウム7.5×10-7モルを反応容器に仕込み、窒素雰
囲気下、180℃で0.5時間保持した後、減圧度を1
00mmHgにすると同時に、25K/hrの速度で2
80℃まで昇温を行った。昇温開始後1時間15分経過
時に反応容器内の減圧度を50mmHgとし、さらにそ
の1時間経過後に減圧度を1mmHg以下とし、合計6
時間攪拌下に反応を行った。
【0026】その結果得られたポリカーボネートは、分
子量(Mv);23,500、末端OH;0.015重
量%、b値;0.6であり、着色度は非常に小さかっ
た。また、加水分解安定性試験の結果は、ΔMv;−6
00。加熱黄変性試験の結果は、Δb;0.1と良好で
あった。
【0027】実施例2 SUS−309S(ニッケル含有量12〜15重量%、
クロム含有量22〜24重量%)製の反応装置を用いた
以外は実施例1と同じ方法で反応を行い、得られたポリ
カーボネートについて評価を行った。
【0028】その結果得られたポリカーボネートは、分
子量(Mv);21,000、末端OH;0.018重
量%、b値;0.6であり、着色度は非常に小さかっ
た。また、加水分解安定性試験の結果は、ΔMv;−7
00。加熱黄変性試験の結果は、Δb;0.1と良好で
あった。
【0029】実施例3 SUS−314(Ni含有量19〜22重量%、Cr含
有量23〜26重量%)製の反応装置を用いた以外は実
施例1と同じ方法で反応を行い、得られたポリカーボネ
ートについて評価を行った。
【0030】その結果得られたポリカーボネートは、分
子量(Mv);22,500、末端OH;0.016重
量%、b値;0.6であり、着色度は非常に小さかっ
た。また、加水分解安定性試験の結果は、ΔMv;−6
00。加熱黄変性試験の結果は、Δb;0.1と良好で
あった。
【0031】比較例1 SUS−304(Ni含有量8〜10.5重量%、Cr
含有量18〜20重量%)製の反応装置を用いた以外は
実施例1と同じ方法で反応を行い、得られたポリカーボ
ネートについて評価を行った。
【0032】その結果得られたポリカーボネートは、分
子量(Mv);7,200、末端OH;0.250重量
%、b値;1.8であり、淡褐色に着色していた。ま
た、加水分解安定性試験の結果は、ΔMv;>−2,0
00。加熱黄変性試験の結果は、Δb;>0.5といず
れの物性も不良であった。
【0033】比較例2 SUS−316L(Ni含有量10〜14重量%、Cr
含有量16〜18重量%)製の反応装置を用いた以外は
実施例1と同じ方法で反応を行い、得られたポリカーボ
ネートについて評価を行った。
【0034】その結果得られたポリカーボネートは、分
子量(Mv);8,300、末端OH;0.234重量
%、b値;1.4であり、淡褐色に着色していた。ま
た、加水分解安定性試験の結果は、ΔMv;>−2,0
00。加熱黄変性試験の結果は、Δb;>0.5といず
れの物性も不良であった。
【0035】
【本発明の効果】本発明の方法によれば、反応装置の材
質として、高価な材料を使用することなく、特定の金属
組成からなるステンレス鋼を用いることにより、色相が
良好であると共に優れた物性を有するポリカーボネート
を得ることができ、工業的にも極めて有用な方法であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平島 敦 茨城県つくば市和台22番地 三菱瓦斯化学 株式会社総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭酸ジエステルとジヒドロキシアリール
    化合物とを反応させてポリカーボネートを製造するに際
    して、少なくとも反応混合物、反応副生物および原料モ
    ノマーが接触する部分の材質が、ニッケル含有量12重
    量%以上で、クロム含有量22重量%以上のステンレス
    鋼である反応装置を用いることを特徴とするポリカーボ
    ネートの製造法。
JP18135093A 1993-07-22 1993-07-22 ポリカーボネートの製造法 Expired - Lifetime JP3353399B2 (ja)

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US08/278,136 US5457174A (en) 1993-07-22 1994-07-21 Method for preparing polycarbonates by transesterification in a steel reactor
EP94111408A EP0635532B1 (en) 1993-07-22 1994-07-21 A method for preparing polycarbonates
DE69422096T DE69422096T2 (de) 1993-07-22 1994-07-21 Verfahren zur Herstellung von Polycarbonate

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100748219B1 (ko) * 2000-03-29 2007-08-09 각고우호우진 가나가와 다이가쿠 광경화성·열경화성 수지조성물, 그의 감광성 드라이필름및 이를 이용한 패턴 형성방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100748219B1 (ko) * 2000-03-29 2007-08-09 각고우호우진 가나가와 다이가쿠 광경화성·열경화성 수지조성물, 그의 감광성 드라이필름및 이를 이용한 패턴 형성방법

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