JP3353398B2 - ポリカーボネートの製造法 - Google Patents
ポリカーボネートの製造法Info
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Description
法によるポリカーボネートの製造方法に関する。詳しく
は、色相が良好であり、加水分解安定性、耐加熱黄変性
に優れたポリカーボネートの製造法に関する。
化合物とを反応させてポリカーボネートを製造するいわ
ゆるエステル交換法は、工程が比較的単純であり、操
作、コスト面でホスゲン法(界面重合法)に比べ優位性
が発揮できるだけでなく、毒性の強いホスゲンや塩化メ
チレン等のハロゲン系溶剤を使用しないという環境保全
の面からも最近見直されている。
規模な工業プロセスとして採用されていない。それは、
従来のエステル交換法で製造されるポリカーボネートの
色相、加水分解安定性、耐加熱黄変性等の諸物性がホス
ゲン法ポリカーボネートに比べ劣っていることが最大の
原因である。これらの物性が不良となる原因は種々考え
られるが、反応装置の材質が大きく影響していることも
その一因である。
特許第4383092号においては、反応混合物と接触
する部分をタンタル、クロム、ニッケル等の非鉄系、非
ステンレス系の特殊な材質の反応装置とすることにより
生成ポリマーの着色を抑制する方法が提案されている。
しかし、これらの金属は高価であり、加工も簡単ではな
く、非常に高価となる欠点を有している。また、色相以
外の物性については記載されていない。
と接触する部分の材質として銅および/またはニッケル
の含有量が85重量%以上の金属材料を使用する方法を
提案しているが、やはり高価な装置となる欠点を有して
おり、この場合も色相以外の物性についての記述はな
い。
および/またはアルミニウムの含有量が60%以上の材
質を使用する方法(特開平5−125168号)、ニッ
ケルおよび/またはモリブデンの含有量が60%以上の
材質を使用する方法(特開平5−125169号)、ニ
ッケルおよび/または炭素の含有量が60%以上の材質
を使用する方法(特開平5−125170号)、ニッケ
ルおよび/またはクロムの含有量が60%以上の材質を
使用する方法(特開平5−125172号)、銅および
/またはアルミニウムの含有量が60%以上を使用する
方法(特開平5−125173号)、銅および/または
亜鉛の含有量が60%以上の材質を使用する方法(特開
平5−125174号)等々が提案されている。
応装置の接液部にクロムまたはニッケルのメッキを施し
た材料を使用することを提案し、さらに接液部に電解研
磨処理を施したステンレススチール製の反応装置を用い
る方法についても提案しているが、色相ならびに色相以
外の物性について満足のいくものが得られず未だ不十分
である。
鋼の反応装置は製品の着色の原因となり、また高分子量
のものが得られ難く、物性的にも満足のいくものを得る
のは難しいとされおり、上記の如き種々の材質を使用す
ることが提案されている。しかしながら、色相と共に他
の物性の両者を十分に満足するものはない。
した反応装置の場合でも色相、加水分解安定性、耐加熱
黄変性等の物性に優れたポリカーボネートが製造できる
反応装置を提供することにある。
情に鑑み、エステル交換法によるポリカーボネートの製
造における反応装置の材質、処理方法等の影響、効果に
つき多角的に検討を行った。その結果、従来エステル交
換法によるポリカーボネートの製造には不適とされてき
たステンレス系材質の反応装置であっても、特定の金属
組成を有するステンレス鋼の場合、色相、加水分解安定
性、耐加熱黄変性等の物性に優れたポリカーボネートが
製造できることを見出し、さらにその様な材質からなる
反応装置表面に電解研摩処理を施すことにより、高価な
ニッケルやクロム材質の反応装置の場合と差異のない高
品質のポリカーボネートが製造できることを見出した。
ドロキシアリール化合物とを反応させてポリカーボネー
トを製造するに際して、少なくとも反応混合物、反応副
生物および原料モノマーが接触する部分の材質が、ニッ
ケル含有量12〜22重量%で、クロム含有量22〜2
6重量%のステンレス鋼であり、その表面に電解研磨処
理を施した反応装置を用いることを特徴とするポリカー
ボネートの製造法に係わるものである。
は、ニッケル含有量が12〜22重量%でかつクロム含
有量が22〜26重量%のステンレス鋼であり、その他
の成分として鉄、マンガン、炭素、珪素、燐、イオウ、
モリブデン等が挙げられるが、特に制限はない。本発明
における材質の範囲に含まれるステンレス鋼の具体例と
しては、例えばSUS−309、SUS−309S(N
i含有量12〜15重量%、Cr含有量22〜24重量
%)、SUS−310、SUS−310S(Ni含有量
19〜22重量%、Cr含有量24〜26重量%)、S
US−314(Ni含有量19〜22重量%、Cr含有
量23〜26重量%)等が挙げられる。
とは、反応混合物、反応副生物および原料モノマーが接
触する部分を指し、例えば、重合反応器、分溜塔、原料
モノマー溶解槽、凝縮器等々が挙げられ、さらにこれら
の機器を接続する配管等も含まれる。
で研磨しようとする材料を陽極として電解し、材料表面
の微視的凸部を選択的に溶解研磨する方法であり、電解
液としては通常リン酸、硫酸あるいは過硫酸塩の水溶液
またはこれらの混合溶液があげられる。しかしながら使
用する電解溶液は特にこれらに制限されず、また処理温
度、処理時間も特に制限されず、通常の条件が適用され
る。
化合物は下記一般式(1)で表わされる化合物である。
基、ハロゲン置換の2価炭化水素基または−S−、−S
2 −、−SO2 −、−SO−、−O−、および−CO−
のごとき2価の基を示し、Xはハロゲン原子、炭素数1
〜14のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭
素数1〜8のオキシアルキル基および炭素数6〜18の
オキシアリール基を示す。mは0または1であり、yは
0〜4の整数である)
シアリール化合物は例えば、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフ
ェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’
−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニ
トロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン、5−クロロ−2,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルジ
スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィ
ド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,
4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエ
ーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシ
ジフェニルエーテル等が例示される。これらのジヒドロ
キシアリール化合物は単独あるいは2種以上を混合して
用いることができ、必要に応じて共重合体とすることも
できる。
記の一般式(2)で表わされる化合物である。(以下余
白)
り、Arは同じであっても異なっていてもよい)
テルは、例えば、ジフェニルカーボネートおよび置換ジ
フェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジトリ
ルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等が例示
されるが、特に好ましくはジフェニルカーボネート、置
換ジフェニルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸
ジエステルは、単独あるいは2種以上を混合して用いて
もよい。
が、用いられる触媒は特に制限はなく、従来からエステ
ル交換反応に使用される触媒が使用できる。これらは単
独で、または二種以上を適宜組合せて用いることができ
る。これらの触媒としては、例えば、アルカリ金属化合
物またはその塩、アルカリ土類金属化合物またはその
塩、有機の塩基性化合物、金属アルコキシド、その他有
機金属化合物などが挙げられる。実用的にはアルカリ金
属化合物またはその塩を用いるのが安価で好ましい。
るが、本発明は以下の実施例になんらの制限を受けるも
のではない。なお、得られたポリカーボネートの評価
は、以下の方法により行なった。
限粘度[η]を測定し、以下の式より求めた。 [η]=1.11×10-4(Mv)0.83
チ厚の射出成形品を製作し、東京電色製比色計を用いて
透過b値を測定した。(値が小さい方が色相が良好で透
過度が高い)
に調湿し、窒素気流下300℃に1時間加熱して分子量
低下(ΔMv)を測定し、評価した。
相の変化(Δb値)で評価した。
により比色定量を行なった。
−310S(Ni含有量12〜15重量%、Cr含有量
22〜24%)製でかつその表面に電解研磨を施した反
応装置に、ジフェニルカーボネート110.3g(0.
515モル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン〔ビスフェノールA〕114.2g(0.
500モル)および水酸化ナトリウム7.5×10-7モ
ルを反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、180℃で0.
5時間保持した後、減圧度を100mmHgにすると同
時に、25K/hrの速度で280℃まで昇温を行っ
た。昇温開始後1時間15分経過時に反応容器内の減圧
度を50mmHgとし、さらにその1時間経過後に減圧
度を1mmHg以下とし、合計6時間攪拌下に反応を行
った。
子量(Mv);28,300、末端OH;0.008重
量%、b値;0.2であり、着色度は非常に小さかっ
た。また、加水分解安定性試験の結果は、ΔMv;−2
00。加熱黄変性試験の結果は、Δb;<0.1と極め
て良好であった。
〜22重量%、Cr含有量24〜26重量%)、SUS
−309S(Ni含有量12〜15重量%、Cr含有量
22〜24重量%)、SUS−314(Ni含有量19
〜22重量%、Cr含有量23〜26重量%)製の反応
装置を用いた以外は実施例1と同じ方法でそれぞれ反応
を行い、得られたポリカーボネートについて評価を行っ
た。生成ポリマーの諸物性を表−1に示す。
10.5重量%、Cr含有量18〜20重量%)製の反
応器を用いた以外は実施例1と同じ方法で反応を行い、
得られたポリカーボネートについて評価を行った。生成
ポリマーの諸物性を表−1に示す。
0〜14重量%、Cr含有量16〜18重量%)製の反
応装置を用いた以外は実施例1と同じ方法で反応を行
い、得られたポリカーボネートについて評価を行った。
生成ポリマーの諸物性を表−1に示す。
を用いた以外は実施例1と同じ方法で反応を行い、得ら
れたポリカーボネートについて評価を行った。生成ポリ
マーの諸物性を表−1に示す。
用いた以外は実施例1と同じ方法で反応を行い、得られ
たポリカーボネートについて評価を行った。生成ポリマ
ーの諸物性を表−1に示す。
質として高価な材料を使用することなく、特定の金属組
成のステンレス鋼を用い、その表面を電解研磨処理を施
した反応装置を使用することにより、色相をはじめ優れ
た物性を有するポリカーボネートを得ることができるも
のであり工業的に極めて有用な方法である。
Claims (1)
- 【請求項1】 炭酸ジエステルとジヒドロキシアリール
化合物とを反応させてポリカーボネートを製造するに際
して、少なくとも反応混合物、反応副生物および原料モ
ノマーが接触する部分の材質が、ニッケル含有量12〜
22重量%で、クロム含有量22〜26重量%のステン
レス鋼からなり、その表面に電解研磨処理を施した装置
を使用することを特徴とするポリカーボネートの製造
法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18134993A JP3353398B2 (ja) | 1993-07-22 | 1993-07-22 | ポリカーボネートの製造法 |
US08/278,136 US5457174A (en) | 1993-07-22 | 1994-07-21 | Method for preparing polycarbonates by transesterification in a steel reactor |
EP94111408A EP0635532B1 (en) | 1993-07-22 | 1994-07-21 | A method for preparing polycarbonates |
DE69422096T DE69422096T2 (de) | 1993-07-22 | 1994-07-21 | Verfahren zur Herstellung von Polycarbonate |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18134993A JP3353398B2 (ja) | 1993-07-22 | 1993-07-22 | ポリカーボネートの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0733867A JPH0733867A (ja) | 1995-02-03 |
JP3353398B2 true JP3353398B2 (ja) | 2002-12-03 |
Family
ID=16099160
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18134993A Expired - Lifetime JP3353398B2 (ja) | 1993-07-22 | 1993-07-22 | ポリカーボネートの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3353398B2 (ja) |
-
1993
- 1993-07-22 JP JP18134993A patent/JP3353398B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
社団法人 日本化学会編,化学便覧 応用化学編,日本,海老原 熊雄,1986年10月15日,第1516頁 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0733867A (ja) | 1995-02-03 |
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