JPH0733726A - 多価シアノアクリレートの製造方法 - Google Patents
多価シアノアクリレートの製造方法Info
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- JPH0733726A JPH0733726A JP20018093A JP20018093A JPH0733726A JP H0733726 A JPH0733726 A JP H0733726A JP 20018093 A JP20018093 A JP 20018093A JP 20018093 A JP20018093 A JP 20018093A JP H0733726 A JPH0733726 A JP H0733726A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明はα−シアノアクリレート系接着剤の
改良に有効な多価シアノアクリレート、特にビスシアノ
アクリレートの製造方法を提供する。 【構成】 α−シアノアクリレートと1,3-ジエンのディ
ールス−アルダー反応付加物の鹸化物であるα−シアノ
アクリル酸/ジエン付加物と多価アルコールとのエステ
ル化反応により得られた多価シアノアクリレート/ジエ
ン付加物を加熱分解により多価シアノアクリレートを製
造する。 【効果】 本発明によれば、多価アルコールビスシアノ
アクリレート等の多価シアノアクリレートを作業上安全
に高収率で得ることができ、また、該多価シアノアクリ
レートを用いた接着剤組成物は、瞬間接着剤として、耐
熱性、耐湿熱性、耐溶剤性等に著しく優れたものであ
る。
改良に有効な多価シアノアクリレート、特にビスシアノ
アクリレートの製造方法を提供する。 【構成】 α−シアノアクリレートと1,3-ジエンのディ
ールス−アルダー反応付加物の鹸化物であるα−シアノ
アクリル酸/ジエン付加物と多価アルコールとのエステ
ル化反応により得られた多価シアノアクリレート/ジエ
ン付加物を加熱分解により多価シアノアクリレートを製
造する。 【効果】 本発明によれば、多価アルコールビスシアノ
アクリレート等の多価シアノアクリレートを作業上安全
に高収率で得ることができ、また、該多価シアノアクリ
レートを用いた接着剤組成物は、瞬間接着剤として、耐
熱性、耐湿熱性、耐溶剤性等に著しく優れたものであ
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多価シアノアクリレー
ト、特にビスシアノアクリレートの製造方法に関するも
ので、多価シアノアクリレートは、シアノアクリレート
を主成分とするα−シアノアクリレート系接着剤に添加
して、その特性、常温速硬化性、高強度等の改良するこ
とに使用し得るもので、接着剤業界及び接着剤を利用す
る各種産業界さらには一般家庭でも広く利用されるもの
である。
ト、特にビスシアノアクリレートの製造方法に関するも
ので、多価シアノアクリレートは、シアノアクリレート
を主成分とするα−シアノアクリレート系接着剤に添加
して、その特性、常温速硬化性、高強度等の改良するこ
とに使用し得るもので、接着剤業界及び接着剤を利用す
る各種産業界さらには一般家庭でも広く利用されるもの
である。
【0002】
【従来の技術】現在、その瞬間接着性の故に広く利用さ
れている、通常のα−シアノアクリレート系瞬間接着剤
は、硬化物であるポリシアノアクリレートが架橋構造を
有さない直鎖状ポリマーであるため、耐熱性、耐水性、
及び耐溶剤性等の特性に満足出来ない点を有している。
この欠点を改良すべく、シアノアクリレートと同様なア
ニオン重合性を持ち、重合体に架橋構造を導入できる多
価シアノアクリレートを配合することが提案されてい
る。
れている、通常のα−シアノアクリレート系瞬間接着剤
は、硬化物であるポリシアノアクリレートが架橋構造を
有さない直鎖状ポリマーであるため、耐熱性、耐水性、
及び耐溶剤性等の特性に満足出来ない点を有している。
この欠点を改良すべく、シアノアクリレートと同様なア
ニオン重合性を持ち、重合体に架橋構造を導入できる多
価シアノアクリレートを配合することが提案されてい
る。
【0003】現在、それらの多価シアノアクリレートの
製造方法として知られているいる方法には以下のものが
ある。 〇製造方法1 シクロペンタジエンとα−シアノアクリレートのディー
ルス−アルダー反応付加物をエステル交換反応で多価エ
ステル物とし、次いで、熱分解により逆ディールス−ア
ルダー反応を行い製造する方法(特開平1−19746
4号公報)。 〇製造方法2 α−シアノアクリレートと1,3-ジエンのディールス−ア
ルダー反応付加物を、けん化を経てα−シアノアクリル
酸/ジエン付加物とし、次いで、塩化チオニルを使って
塩素化し、ジオールと反応させ、熱分解により逆ディー
ルス−アルダー反応を行い製造する方法(U.S.P.397
5422)。 〇製造方法3 α−シアノアクリレートと1,3-ジエンのディールス−ア
ルダー反応付加物を、けん化を経てα−シアノアクリル
酸/ジエン付加物とし、次いで、アルカリ金属の水酸化
物によりアルカリ金属塩とし、ジハロゲン化物と反応
後、熱分解により逆ディールス−アルダー反応を行い製
造する方法(U.S.P.3975422)。
製造方法として知られているいる方法には以下のものが
ある。 〇製造方法1 シクロペンタジエンとα−シアノアクリレートのディー
ルス−アルダー反応付加物をエステル交換反応で多価エ
ステル物とし、次いで、熱分解により逆ディールス−ア
ルダー反応を行い製造する方法(特開平1−19746
4号公報)。 〇製造方法2 α−シアノアクリレートと1,3-ジエンのディールス−ア
ルダー反応付加物を、けん化を経てα−シアノアクリル
酸/ジエン付加物とし、次いで、塩化チオニルを使って
塩素化し、ジオールと反応させ、熱分解により逆ディー
ルス−アルダー反応を行い製造する方法(U.S.P.397
5422)。 〇製造方法3 α−シアノアクリレートと1,3-ジエンのディールス−ア
ルダー反応付加物を、けん化を経てα−シアノアクリル
酸/ジエン付加物とし、次いで、アルカリ金属の水酸化
物によりアルカリ金属塩とし、ジハロゲン化物と反応
後、熱分解により逆ディールス−アルダー反応を行い製
造する方法(U.S.P.3975422)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の製造方
法は、いずれも下記の様な問題を有するものである。製
造方法1においては、エステル交換反応を定量的に進行
させることが、開示された条件下では困難であり、本発
明者等が追試したところでは、25〜40%反応すると
されているエステル交換反応がほとんど進行しなかっ
た。さらに、同法では、110℃で付加物を熱分解して
目的物を得ているが、本発明者等がシクロペンタジエン
を用い且つ100〜120℃の温度で実施したところ、
熱分解反応は殆ど進行せず、又、140℃以上ではゲル
化を生じ、全体として該方法は、収率が低く工業化には
問題がある方法である。製造方法2においては、塩素化
反応で使用する塩化チオニルは有毒物質であり、アルカ
リ金属塩は、不安定な物質でジハロゲン化物との反応性
は良くなく、目的物の収量が極度に低いという問題を有
している。
法は、いずれも下記の様な問題を有するものである。製
造方法1においては、エステル交換反応を定量的に進行
させることが、開示された条件下では困難であり、本発
明者等が追試したところでは、25〜40%反応すると
されているエステル交換反応がほとんど進行しなかっ
た。さらに、同法では、110℃で付加物を熱分解して
目的物を得ているが、本発明者等がシクロペンタジエン
を用い且つ100〜120℃の温度で実施したところ、
熱分解反応は殆ど進行せず、又、140℃以上ではゲル
化を生じ、全体として該方法は、収率が低く工業化には
問題がある方法である。製造方法2においては、塩素化
反応で使用する塩化チオニルは有毒物質であり、アルカ
リ金属塩は、不安定な物質でジハロゲン化物との反応性
は良くなく、目的物の収量が極度に低いという問題を有
している。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するために鋭意検討した結果、α−シアノアクリ
レートと1,3-ジエンのディールス−アルダー反応付加物
を、けん化してα−シアノアクリル酸/ジエン付加物と
し、さらにエステル化反応により多価エステルとし、次
いで熱分解することにより、またジエン化合物の捕集を
α−シアノアクリレートで行う方法を採用することによ
り、α−シアノアクリレート系瞬間接着剤の添加剤とし
て有効な多価シアノアクリレートを、作業上安全に高収
量で得られることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
を解決するために鋭意検討した結果、α−シアノアクリ
レートと1,3-ジエンのディールス−アルダー反応付加物
を、けん化してα−シアノアクリル酸/ジエン付加物と
し、さらにエステル化反応により多価エステルとし、次
いで熱分解することにより、またジエン化合物の捕集を
α−シアノアクリレートで行う方法を採用することによ
り、α−シアノアクリレート系瞬間接着剤の添加剤とし
て有効な多価シアノアクリレートを、作業上安全に高収
量で得られることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
【0006】すなわち、本発明は、α−シアノアクリレ
ートと1,3-ジエンのディールス−アルダー反応付加物の
鹸化物であるα−シアノアクリル酸/ジエン付加物と多
価アルコールとのエステル化反応により得られた多価シ
アノアクリレート/ジエン付加物を加熱分解することを
特徴とする多価シアノアクリレートの製造方法に関する
発明、α−シアノアクリレートと1,3-ジエンのディール
ス−アルダー反応付加物から多価シアノアクリレートを
製造する方法において、多価シアノアクリレート/ジエ
ン付加物の加熱分解をα−シアノアクリレートの存在下
に行うことを特徴とする多価シアノアクリレートの製造
方法に関する発明、および、α−シアノアクリレートと
1,3-ジエンのディールス−アルダー反応付加物の鹸化物
であるα−シアノアクリル酸/ジエン付加物と多価アル
コールとのエステル化反応により得られた多価シアノア
クリレート/ジエン付加物をα−シアノアクリレートの
存在下に加熱分解して調製することを特徴とする多価シ
アノアクリレートの製造方法に関する発明の3発明から
なるものである。
ートと1,3-ジエンのディールス−アルダー反応付加物の
鹸化物であるα−シアノアクリル酸/ジエン付加物と多
価アルコールとのエステル化反応により得られた多価シ
アノアクリレート/ジエン付加物を加熱分解することを
特徴とする多価シアノアクリレートの製造方法に関する
発明、α−シアノアクリレートと1,3-ジエンのディール
ス−アルダー反応付加物から多価シアノアクリレートを
製造する方法において、多価シアノアクリレート/ジエ
ン付加物の加熱分解をα−シアノアクリレートの存在下
に行うことを特徴とする多価シアノアクリレートの製造
方法に関する発明、および、α−シアノアクリレートと
1,3-ジエンのディールス−アルダー反応付加物の鹸化物
であるα−シアノアクリル酸/ジエン付加物と多価アル
コールとのエステル化反応により得られた多価シアノア
クリレート/ジエン付加物をα−シアノアクリレートの
存在下に加熱分解して調製することを特徴とする多価シ
アノアクリレートの製造方法に関する発明の3発明から
なるものである。
【0007】以下に、本発明に用いられる原料について
詳しく説明する。 〇α−シアノアクリレート 本発明において用いられるα−シアノアクリレートは、
瞬間接着剤の原料として広く用いられているもので、本
発明においてもそれらが広く利用され、具体的には、α
−シアノアクリル酸のメチル、エチル、クロロエチル、
n-プロピル、i-プロピル、アリル、プロパギル、n-ブチ
ル、i-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシ
ル、フェニル、テトラフリルフリル、ヘプチル、2-エチ
ルヘキシル、n-オクチル、n-ノニル、オキソニル、n-デ
シル、2-エトキシエチル、3-メトキシブチル、2-エトキ
シ-2-エトキシエチル、ブトキシ−エトキシエチル、2,
2,2-トリフルオロエチル、ヘキサフルオロイソプロピル
等のエステルである。本発明にとり好ましいものは、エ
ステル基の炭素数が1〜10のものであり、より好まし
いものは、炭素数が1〜4のものである。
詳しく説明する。 〇α−シアノアクリレート 本発明において用いられるα−シアノアクリレートは、
瞬間接着剤の原料として広く用いられているもので、本
発明においてもそれらが広く利用され、具体的には、α
−シアノアクリル酸のメチル、エチル、クロロエチル、
n-プロピル、i-プロピル、アリル、プロパギル、n-ブチ
ル、i-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシ
ル、フェニル、テトラフリルフリル、ヘプチル、2-エチ
ルヘキシル、n-オクチル、n-ノニル、オキソニル、n-デ
シル、2-エトキシエチル、3-メトキシブチル、2-エトキ
シ-2-エトキシエチル、ブトキシ−エトキシエチル、2,
2,2-トリフルオロエチル、ヘキサフルオロイソプロピル
等のエステルである。本発明にとり好ましいものは、エ
ステル基の炭素数が1〜10のものであり、より好まし
いものは、炭素数が1〜4のものである。
【0008】〇1,3-ジエン 本発明において用いられる1,3-ジエン化合物としては、
具体的に、ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエ
ン、イソプレン、ピペリレン、シクロペンタジエン、メ
チルシクロペンタジエン、アントラセン、9-メチルアン
トラセン、9,10-ジメチルアントラセン、9-エチルアン
トラセン、9,10-ジエチルアントラセン、9-プロピルア
ントラセン、9,10-ジプロピルアントラセン、ノルボル
ナジエン、ベンゾキノン等があげられる、これらのなか
で本発明にとり好ましいものは、反応性の点からシクロ
ペンタジエンである。
具体的に、ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエ
ン、イソプレン、ピペリレン、シクロペンタジエン、メ
チルシクロペンタジエン、アントラセン、9-メチルアン
トラセン、9,10-ジメチルアントラセン、9-エチルアン
トラセン、9,10-ジエチルアントラセン、9-プロピルア
ントラセン、9,10-ジプロピルアントラセン、ノルボル
ナジエン、ベンゾキノン等があげられる、これらのなか
で本発明にとり好ましいものは、反応性の点からシクロ
ペンタジエンである。
【0009】〇多価アルコール 本発明において用いられる多価アルコールとしては、分
子内に2個以上の水酸基を有する化合物があげられ、具
体的には、プロパンジオール(トリオール、テトロー
ル)、ブタンジオール(トリオール、テトロール)、ペ
ンタンジオール(トリオール、テトロール)、ヘキサン
ジオール(トリオール、テトロール)、オクタンジオー
ル(トリオール、テトロール)、デカンジオール(トリ
オール、テトロール)、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5
-ペンタンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、
シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノール
A、水添ビスフェノールA、2,2-ジエチル-1,3-プロパ
ンジオール、2,2,4,-トリメチル-1,3-ペンタンジオー
ル、グリコール変性不飽和ポリエステル、ジオールとア
ジピン酸の縮合ポリエステルポリオール、ε-カプロラ
クトン開環重合物(ポリカプロラクトン)等であるが、
これらに限られるものではない。多価アルコールは、一
級アルコールであればα−シアノアクリル酸/ジエン付
加物と容易にエステル化反応させることができる。
子内に2個以上の水酸基を有する化合物があげられ、具
体的には、プロパンジオール(トリオール、テトロー
ル)、ブタンジオール(トリオール、テトロール)、ペ
ンタンジオール(トリオール、テトロール)、ヘキサン
ジオール(トリオール、テトロール)、オクタンジオー
ル(トリオール、テトロール)、デカンジオール(トリ
オール、テトロール)、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5
-ペンタンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、
シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノール
A、水添ビスフェノールA、2,2-ジエチル-1,3-プロパ
ンジオール、2,2,4,-トリメチル-1,3-ペンタンジオー
ル、グリコール変性不飽和ポリエステル、ジオールとア
ジピン酸の縮合ポリエステルポリオール、ε-カプロラ
クトン開環重合物(ポリカプロラクトン)等であるが、
これらに限られるものではない。多価アルコールは、一
級アルコールであればα−シアノアクリル酸/ジエン付
加物と容易にエステル化反応させることができる。
【0010】次に、製造工程について詳しく説明する。 (i) まず、α−シアノアクリレートと1,3-ジエンとの
間でディールス−アルダー反応を行わせる。この反応
は、上記両化合物を直接反応させても良いが、α−シア
ノアクリレートを溶解し得る有機溶剤中で反応させるの
が望ましい。有機溶剤としては、トルエン、酢酸エチ
ル、メチルエチルケトン、キシレン、メチルイソブチル
ケトン等をあげることができる。有機溶剤の存在下また
は、不存在下に両者を室温で反応させると、発熱を伴い
ディールス−アルダー反応が起こり、付加物が形成され
る。この付加物の有機溶剤溶液に、アルカリ金属または
アルカリ土類金属の水酸化物水溶液を滴下し、アルカリ
塩とし、次いで、酸で中和して、α−シアノアクリル酸
/ジエン付加物とする。この際用いられるアルカリ金属
およびアルカリ土類金属の水酸化物としては、具体的
に、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネ
シウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バ
リウムなどを挙げることができるが、本発明においては
反応性、溶解性の面から、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウムが好ましい。 (ii) 上記で得られたα−シアノアクリル酸/ジエン付
加物は、次いで多価アルコールとの間でエステル化反応
を行わせる。エステル化反応は、エステル化反応触媒の
存在下、脱水還流させながら行わせると、4〜15時間
で理論脱水量の95〜100%の脱水があり、ほぼ定量
的にエステル化反応が進行することが認められる。触媒
としては、p-トルエンスルフォン酸、硫酸等が使用で
き、その添加量は全原料重量の1〜10%の範囲で良
い。このエステル化反応の反応温度は、付加物の逆ディ
ールス−アルダー反応が起こらないように、70〜90
℃であるのが好ましい。溶媒の常圧における沸点が好ま
しい温度範囲よりも高い場合は減圧にして沸点を調整す
るのが好ましい。 (iii) 次に、得られた多価シアノアクリレート/ジエ
ン付加物を、ジエン化合物の補集剤の存在下、加熱して
逆ディールス−アルダー反応を行わせる。この逆ディー
ルス−アルダー反応を行う際の反応温度は、反応率を高
めるためには130℃以上が好ましく、また、生成物の
重合を防ぐためには150℃以下が好ましい。ジエン化
合物の補集剤としては、公知の無水マレイン酸でも良い
が、ジエン化合物補集後の付加物の分離精製の容易性及
び最終目的である、接着剤への添加時の悪影響等を考慮
すると、α−シアノアクリレートを使用するのが好まし
い。補集剤の使用量は、多価シアノアクリレート/ジエ
ン付加物1当量に対して、α−シアノアクリレートを1
〜30モル使用するのが好ましく、更に好ましくは5〜
20モルである。補修剤としてのα−シアノアクリレー
トとしては、原料として用いられているα−シアノアク
リレートと同種でも、異種でも良いが、沸点が、真空度
1mmHgで70℃以下のメチル、エチル、プロピル、イソ
ブチルシアノアクリレートが好ましい。なお、補修剤と
してのα−シアノアクリレートは、前記した多価シアノ
アクリレートの公知の各種の製造方法においても、熱解
離したジエンの補修剤として利用されるものである。こ
の反応において、多価シアノアクリレート/ジエン付加
物から、ジエン化合物が解離し、目的とする次の一般式
〔1〕 [CH2=C(CN)COO−]nR2 〔1〕 (n=2以上の整数、R2は多価アルコールの有機基)
の多価シアノアクリレートと、解離したジエン化合物と
α−シアノアクリレート付加物、および未反応のα−シ
アノアクリレートの混合物が得られる。未反応のα−シ
アノアクリレートは減圧蒸留により容易に留去すること
ができる。残った多価シアノアクリレートとα−シアノ
アクリレート/ジエン付加物の混合物は分離することも
できるが、多価シアノアクリレートを、α−シアノアク
リレートに添加して、シアノアクリレート系瞬間接着剤
の性能を向上させようとするとき、α−シアノアクリレ
ート/ジエン付加物の存在が接着剤の性能に格別な悪影
響を及ぼすことがないので、α−シアノアクリレート/
ジエン付加物の混在した多価シアノアクリレートを単に
多価シアノアクリレートとして実用に供することができ
る。
間でディールス−アルダー反応を行わせる。この反応
は、上記両化合物を直接反応させても良いが、α−シア
ノアクリレートを溶解し得る有機溶剤中で反応させるの
が望ましい。有機溶剤としては、トルエン、酢酸エチ
ル、メチルエチルケトン、キシレン、メチルイソブチル
ケトン等をあげることができる。有機溶剤の存在下また
は、不存在下に両者を室温で反応させると、発熱を伴い
ディールス−アルダー反応が起こり、付加物が形成され
る。この付加物の有機溶剤溶液に、アルカリ金属または
アルカリ土類金属の水酸化物水溶液を滴下し、アルカリ
塩とし、次いで、酸で中和して、α−シアノアクリル酸
/ジエン付加物とする。この際用いられるアルカリ金属
およびアルカリ土類金属の水酸化物としては、具体的
に、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネ
シウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バ
リウムなどを挙げることができるが、本発明においては
反応性、溶解性の面から、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウムが好ましい。 (ii) 上記で得られたα−シアノアクリル酸/ジエン付
加物は、次いで多価アルコールとの間でエステル化反応
を行わせる。エステル化反応は、エステル化反応触媒の
存在下、脱水還流させながら行わせると、4〜15時間
で理論脱水量の95〜100%の脱水があり、ほぼ定量
的にエステル化反応が進行することが認められる。触媒
としては、p-トルエンスルフォン酸、硫酸等が使用で
き、その添加量は全原料重量の1〜10%の範囲で良
い。このエステル化反応の反応温度は、付加物の逆ディ
ールス−アルダー反応が起こらないように、70〜90
℃であるのが好ましい。溶媒の常圧における沸点が好ま
しい温度範囲よりも高い場合は減圧にして沸点を調整す
るのが好ましい。 (iii) 次に、得られた多価シアノアクリレート/ジエ
ン付加物を、ジエン化合物の補集剤の存在下、加熱して
逆ディールス−アルダー反応を行わせる。この逆ディー
ルス−アルダー反応を行う際の反応温度は、反応率を高
めるためには130℃以上が好ましく、また、生成物の
重合を防ぐためには150℃以下が好ましい。ジエン化
合物の補集剤としては、公知の無水マレイン酸でも良い
が、ジエン化合物補集後の付加物の分離精製の容易性及
び最終目的である、接着剤への添加時の悪影響等を考慮
すると、α−シアノアクリレートを使用するのが好まし
い。補集剤の使用量は、多価シアノアクリレート/ジエ
ン付加物1当量に対して、α−シアノアクリレートを1
〜30モル使用するのが好ましく、更に好ましくは5〜
20モルである。補修剤としてのα−シアノアクリレー
トとしては、原料として用いられているα−シアノアク
リレートと同種でも、異種でも良いが、沸点が、真空度
1mmHgで70℃以下のメチル、エチル、プロピル、イソ
ブチルシアノアクリレートが好ましい。なお、補修剤と
してのα−シアノアクリレートは、前記した多価シアノ
アクリレートの公知の各種の製造方法においても、熱解
離したジエンの補修剤として利用されるものである。こ
の反応において、多価シアノアクリレート/ジエン付加
物から、ジエン化合物が解離し、目的とする次の一般式
〔1〕 [CH2=C(CN)COO−]nR2 〔1〕 (n=2以上の整数、R2は多価アルコールの有機基)
の多価シアノアクリレートと、解離したジエン化合物と
α−シアノアクリレート付加物、および未反応のα−シ
アノアクリレートの混合物が得られる。未反応のα−シ
アノアクリレートは減圧蒸留により容易に留去すること
ができる。残った多価シアノアクリレートとα−シアノ
アクリレート/ジエン付加物の混合物は分離することも
できるが、多価シアノアクリレートを、α−シアノアク
リレートに添加して、シアノアクリレート系瞬間接着剤
の性能を向上させようとするとき、α−シアノアクリレ
ート/ジエン付加物の存在が接着剤の性能に格別な悪影
響を及ぼすことがないので、α−シアノアクリレート/
ジエン付加物の混在した多価シアノアクリレートを単に
多価シアノアクリレートとして実用に供することができ
る。
【0011】本発明の製造方法により製造された多価シ
アノアクリレートは単独で接着剤として使用することも
可能であるが、一般的には、前記した様に通常のα−シ
アノアクリレートを主成分とした瞬間接着剤の前述の欠
点、即ち耐熱性、耐水性、耐溶剤性等の特性が十分でな
いという欠点を解決するために用いられる。多価シアノ
アクリレートの通常のモノα−シアノアクリレートに対
しての配合量は、モノα−シアノアクリレートに対し
て、好ましくは0.1〜100重量%、更に好ましくは0.
5〜50重量%、最も好ましくは0.5〜20重量%であ
る。多価シアノアクリレートの添加された組成物には、
通常使用されている種々の添加剤たとえば、ハイドロキ
ノン、亜硫酸ガス等の安定剤、更に用途に応じて、増粘
剤、可塑剤を添加することができる。以上の様にして得
られる接着剤は、従来のα−シアノアクリレート系接着
剤と同様、プラスチック、セラミック、金属、木等の材
料を室温で短時間で接着し、瞬間接着剤としての特性を
示した。また、本発明の組成物は、従来のα−シアノア
クリレート系接着剤よりも優れた耐熱性、耐水性、耐溶
剤性を示した。
アノアクリレートは単独で接着剤として使用することも
可能であるが、一般的には、前記した様に通常のα−シ
アノアクリレートを主成分とした瞬間接着剤の前述の欠
点、即ち耐熱性、耐水性、耐溶剤性等の特性が十分でな
いという欠点を解決するために用いられる。多価シアノ
アクリレートの通常のモノα−シアノアクリレートに対
しての配合量は、モノα−シアノアクリレートに対し
て、好ましくは0.1〜100重量%、更に好ましくは0.
5〜50重量%、最も好ましくは0.5〜20重量%であ
る。多価シアノアクリレートの添加された組成物には、
通常使用されている種々の添加剤たとえば、ハイドロキ
ノン、亜硫酸ガス等の安定剤、更に用途に応じて、増粘
剤、可塑剤を添加することができる。以上の様にして得
られる接着剤は、従来のα−シアノアクリレート系接着
剤と同様、プラスチック、セラミック、金属、木等の材
料を室温で短時間で接着し、瞬間接着剤としての特性を
示した。また、本発明の組成物は、従来のα−シアノア
クリレート系接着剤よりも優れた耐熱性、耐水性、耐溶
剤性を示した。
【0012】
【実施例】以下に本発明の実施例と比較例をあげて、本
発明を更に詳しく説明する。 実施例1 (1)エチルシアノアクリレート125g(SO2=2
000ppm,HQ=500ppm)をキシレン1000mlに
溶解し、10℃以下に冷却した。これにジシクロペンタ
ジエンを熱分解して得たシクロペンタジエン70.1gを
撹拌しながら氷浴上で滴下した。発熱が起こり27℃ま
で昇温した。滴下後、室温(20〜25℃)で1時間撹
拌を続けた。このキシレン溶液のまま次の反応へ進んだ
が、一部を脱溶剤し、無色透明の液体を得た。この液体
がエチルシアノアクリレート/シクロペンタジエン付加
物であることをNMR分析により確認した。 (2)このキシレン溶液に、水酸化カリウム水溶液(9
9gKOH(85%)/300ml水)を1時間かけて滴下
し、その後60℃で1時間撹拌した。そこへ、35%塩
酸417gを滴下し、40℃で1時間撹拌した。分液ロ
ートに移し、水層を分離し、シアノアクリル酸/シクロ
ペンタジエン付加物(C/CAA)のキシレン溶液を得
た。一部を減圧下脱溶媒して白色固体のC/CAAを得
た。この白色固体がシアノアクリル酸/シクロペンタジ
エン付加物であることをNMR分析により確認した。 (3)このキシレン溶液に、デカンジオール61.0g、
PTS(p-トルエンスルフォン酸)45g、HQ(ハイ
ドロキノン)0.375gを加え、減圧下脱水還流させ
た。(90℃/160〜180mmHg)8時間後、脱水量が理論
脱水量の98%(12.3ml)となった。ここで、反応を
終了し、触媒であるPTSを中和するため、炭酸ナトリ
ウム(13.8g)水溶液で洗浄し、次いで、亜硫酸水2
00mlで洗浄した。減圧下90℃で還流脱水し、デカン
ジオールビスシアノアクリレート/シクロペンタジエン
付加物(C/DDBCA)キシレン溶液を得た。このキ
シレン溶液のまま次の反応へ進んだが、一部を脱溶剤し
得られた生成物がデカンジオールビスシアノアクリレー
ト/シクロペンタジエン付加物(C/DDBCA)であ
ることをNMR分析により確認した。 (4)ここに、ジエン化合物の補集剤としてのメチルシ
アノアクリレート1165g(モル比=15)、HQ2
50ppm 、PTS3.5×10-3gを加え、1時間138
℃で還流させた。その後、60℃/3mmHgでキシレンを
脱溶し、80℃/3mmHgで過剰なメチルシアノアクリレ
ートを留去した。釜残として得られた生成物は、NMR
分析の結果、デカンジオールビスシアノアクリレートと
副生成物メチルシアノアクリレート/シクロペンタジエ
ン付加物の混合物であった。混合物の収量は201.7g
であり、その内デカンジオールビスシアノアクリレート
の量は97gで全モル収率は58.4%であった。
発明を更に詳しく説明する。 実施例1 (1)エチルシアノアクリレート125g(SO2=2
000ppm,HQ=500ppm)をキシレン1000mlに
溶解し、10℃以下に冷却した。これにジシクロペンタ
ジエンを熱分解して得たシクロペンタジエン70.1gを
撹拌しながら氷浴上で滴下した。発熱が起こり27℃ま
で昇温した。滴下後、室温(20〜25℃)で1時間撹
拌を続けた。このキシレン溶液のまま次の反応へ進んだ
が、一部を脱溶剤し、無色透明の液体を得た。この液体
がエチルシアノアクリレート/シクロペンタジエン付加
物であることをNMR分析により確認した。 (2)このキシレン溶液に、水酸化カリウム水溶液(9
9gKOH(85%)/300ml水)を1時間かけて滴下
し、その後60℃で1時間撹拌した。そこへ、35%塩
酸417gを滴下し、40℃で1時間撹拌した。分液ロ
ートに移し、水層を分離し、シアノアクリル酸/シクロ
ペンタジエン付加物(C/CAA)のキシレン溶液を得
た。一部を減圧下脱溶媒して白色固体のC/CAAを得
た。この白色固体がシアノアクリル酸/シクロペンタジ
エン付加物であることをNMR分析により確認した。 (3)このキシレン溶液に、デカンジオール61.0g、
PTS(p-トルエンスルフォン酸)45g、HQ(ハイ
ドロキノン)0.375gを加え、減圧下脱水還流させ
た。(90℃/160〜180mmHg)8時間後、脱水量が理論
脱水量の98%(12.3ml)となった。ここで、反応を
終了し、触媒であるPTSを中和するため、炭酸ナトリ
ウム(13.8g)水溶液で洗浄し、次いで、亜硫酸水2
00mlで洗浄した。減圧下90℃で還流脱水し、デカン
ジオールビスシアノアクリレート/シクロペンタジエン
付加物(C/DDBCA)キシレン溶液を得た。このキ
シレン溶液のまま次の反応へ進んだが、一部を脱溶剤し
得られた生成物がデカンジオールビスシアノアクリレー
ト/シクロペンタジエン付加物(C/DDBCA)であ
ることをNMR分析により確認した。 (4)ここに、ジエン化合物の補集剤としてのメチルシ
アノアクリレート1165g(モル比=15)、HQ2
50ppm 、PTS3.5×10-3gを加え、1時間138
℃で還流させた。その後、60℃/3mmHgでキシレンを
脱溶し、80℃/3mmHgで過剰なメチルシアノアクリレ
ートを留去した。釜残として得られた生成物は、NMR
分析の結果、デカンジオールビスシアノアクリレートと
副生成物メチルシアノアクリレート/シクロペンタジエ
ン付加物の混合物であった。混合物の収量は201.7g
であり、その内デカンジオールビスシアノアクリレート
の量は97gで全モル収率は58.4%であった。
【0013】実施例2 デカンジオールの代わりにトリプロピレングリコール6
7.3gを加えた以外は実施例1と同様に行い、トリプロ
ピレングリコールビスシアノアクリレートとメチルシア
ノアクリレート/シクロペンタジエン付加物の混合物1
93g(内トリプロピレンビスシアノアクリレートは9
6g)を得た。全モル収率は54.8%であった。
7.3gを加えた以外は実施例1と同様に行い、トリプロ
ピレングリコールビスシアノアクリレートとメチルシア
ノアクリレート/シクロペンタジエン付加物の混合物1
93g(内トリプロピレンビスシアノアクリレートは9
6g)を得た。全モル収率は54.8%であった。
【0014】実施例3 補集剤としてのメチルシアノアクリレートをエチルシア
ノアクリレート(モル比=15)を用いた加えた以外は
実施例1と同様に行い、デカンジオールビスシアノアク
リレートとエチルシアノアクリレート/シクロペンタジ
エン付加物の混合物208gを得た。その内デカンジオ
ールビスシアノアクリレートは96gであり全モル収率
は58.1%であった。
ノアクリレート(モル比=15)を用いた加えた以外は
実施例1と同様に行い、デカンジオールビスシアノアク
リレートとエチルシアノアクリレート/シクロペンタジ
エン付加物の混合物208gを得た。その内デカンジオ
ールビスシアノアクリレートは96gであり全モル収率
は58.1%であった。
【0015】実施例4 補集剤としてのメチルシアノアクリレートのモル比を2
0にした以外は実施例1と同様に行い、デカンジオール
ビスシアノアクリレートとエチルシアノアクリレート/
シクロペンタジエン付加物の混合物196gを得た。そ
の内デカンジオールビスシアノアクリレートは95gで
あり全モル収率は57.0%であった。
0にした以外は実施例1と同様に行い、デカンジオール
ビスシアノアクリレートとエチルシアノアクリレート/
シクロペンタジエン付加物の混合物196gを得た。そ
の内デカンジオールビスシアノアクリレートは95gで
あり全モル収率は57.0%であった。
【0016】実施例5 補集剤としてのメチルシアノアクリレートのモル比を2
5にした以外は実施例1と同様に行い、デカンジオール
ビスシアノアクリレートとエチルシアノアクリレート/
シクロペンタジエン付加物の混合物192gを得た。そ
の内デカンジオールビスシアノアクリレートは93gで
あり全モル収率は56.0%であった。
5にした以外は実施例1と同様に行い、デカンジオール
ビスシアノアクリレートとエチルシアノアクリレート/
シクロペンタジエン付加物の混合物192gを得た。そ
の内デカンジオールビスシアノアクリレートは93gで
あり全モル収率は56.0%であった。
【0017】実施例6 補集剤としてのメチルシアノアクリレートのモル比を3
0にした以外は実施例1と同様に行い、デカンジオール
ビスシアノアクリレートとエチルシアノアクリレート/
シクロペンタジエン付加物の混合物197gを得た。そ
の内デカンジオールビスシアノアクリレートは95gで
あり全モル収率は57.0%であった。
0にした以外は実施例1と同様に行い、デカンジオール
ビスシアノアクリレートとエチルシアノアクリレート/
シクロペンタジエン付加物の混合物197gを得た。そ
の内デカンジオールビスシアノアクリレートは95gで
あり全モル収率は57.0%であった。
【0018】実施例7 実施例1で得られたデカンジオールビスシアノアクリレ
ート/シクロペンタジエン付加物46.45g(0.1mo
l)、無水マレイン酸20.6g(0.21mol)、ハイドロキ
ノン0.08gをキシレン270mlに溶解し、138℃で
還流させた。1時間の還流後、過剰の無水マレイン酸を
除去するため亜硫酸水300mlで洗浄し、キシレンを留
去して50.9gのデカンジオールビスシアノアクリレー
トとシクロペンタジエン/無水マレイン酸付加物を得た
(収率76%)。
ート/シクロペンタジエン付加物46.45g(0.1mo
l)、無水マレイン酸20.6g(0.21mol)、ハイドロキ
ノン0.08gをキシレン270mlに溶解し、138℃で
還流させた。1時間の還流後、過剰の無水マレイン酸を
除去するため亜硫酸水300mlで洗浄し、キシレンを留
去して50.9gのデカンジオールビスシアノアクリレー
トとシクロペンタジエン/無水マレイン酸付加物を得た
(収率76%)。
【0019】比較例1 (1)α−エチルシアノアクリレート125gをトルエ
ン125gに溶解し、氷冷下シクロペンタジエン70g
を滴下した。60℃で45分撹拌後、10mmHg以下でト
ルエンと過剰のシクロペンタジエンを留去した。 (2)これにエチレングリコールジアセテート180g
と触媒としてイオン交換樹脂(アンバーリスト15)2
0gとトルエン200gを加え、60℃で3時間反応し
た。反応後イオン交換樹脂を分離除去して得た溶液を減
圧下50〜60℃で処理し、トルエンと生成する酢酸エ
チルと未反応のエチレングリコールジアセテートを回収
した。回収液をガスクロマトグラフ分析し、生成した酢
酸エチルからα−シアノアクリレートの5%がエステル
交換したことが判明した。 (3)残留した淡黄色透明液体にSO2を吸収させ11
0℃で1時間加熱し付加物を分解させ50〜200mmHg
で処理したが、シクロペンタジエンは得られずこの温度
では熱分解は起こらなかった。そこで、140℃で1時
間反応させたところ、ゲル化してしまい、目的とするエ
チレンビスα−シアノアクリレートは得られなかった。
ン125gに溶解し、氷冷下シクロペンタジエン70g
を滴下した。60℃で45分撹拌後、10mmHg以下でト
ルエンと過剰のシクロペンタジエンを留去した。 (2)これにエチレングリコールジアセテート180g
と触媒としてイオン交換樹脂(アンバーリスト15)2
0gとトルエン200gを加え、60℃で3時間反応し
た。反応後イオン交換樹脂を分離除去して得た溶液を減
圧下50〜60℃で処理し、トルエンと生成する酢酸エ
チルと未反応のエチレングリコールジアセテートを回収
した。回収液をガスクロマトグラフ分析し、生成した酢
酸エチルからα−シアノアクリレートの5%がエステル
交換したことが判明した。 (3)残留した淡黄色透明液体にSO2を吸収させ11
0℃で1時間加熱し付加物を分解させ50〜200mmHg
で処理したが、シクロペンタジエンは得られずこの温度
では熱分解は起こらなかった。そこで、140℃で1時
間反応させたところ、ゲル化してしまい、目的とするエ
チレンビスα−シアノアクリレートは得られなかった。
【0020】実施例1〜6および比較例1の製造方法で
の収率を表1に示した。モル収率は、出発原料であるエ
チルシアノアクリレートに対しての収率を示した。
の収率を表1に示した。モル収率は、出発原料であるエ
チルシアノアクリレートに対しての収率を示した。
【0021】
【表1】
【0022】表1から、本発明の製造方法によって、得
られるビス体の収率は著しく高いものであることが分か
る。
られるビス体の収率は著しく高いものであることが分か
る。
【0023】応用例1 α−シアノエチルアクリレート95gに、実施例1で得
たデカンジオールビスシアノアクリレート5.0gを含む
副生成物メチルシアノアクリレート/シクロペンタジエ
ン付加物との混合物10.4gを配合し、これに安定剤と
して亜硫酸ガス60ppm 、ハイドロキノン1000ppm
、更に、促進剤としてクラウンエーテルO−18:2
00ppm を添加し接着剤組成物を得た。
たデカンジオールビスシアノアクリレート5.0gを含む
副生成物メチルシアノアクリレート/シクロペンタジエ
ン付加物との混合物10.4gを配合し、これに安定剤と
して亜硫酸ガス60ppm 、ハイドロキノン1000ppm
、更に、促進剤としてクラウンエーテルO−18:2
00ppm を添加し接着剤組成物を得た。
【0024】応用例2 デカンジオールビスシアノアクリレートを実施例2で得
たトリプロピレンビスシアノアクリレートに代えた以外
は応用例1と同様にし接着剤組成物を得た。
たトリプロピレンビスシアノアクリレートに代えた以外
は応用例1と同様にし接着剤組成物を得た。
【0025】参考例1 多価シアノアクリレートおよび副生成物の混合物を添加
しない以外は応用例1と同様にして接着剤組成物を得
た。
しない以外は応用例1と同様にして接着剤組成物を得
た。
【0026】上記応用例1、2と参考例1の組成物につ
いて、それらの接着性能を測定した結果は、表2のとお
りであった。試験方法は、JIS K6861-1977に
準拠し試験条件は以下のとおり。 ・テストピース;引張り接着強さ 12.7×12.7×38mm:
接着面積1.613cm2 引張り剪断強さ プラスチック・ゴム 3×25×100mm:
金属 1.6×25×100mm: ラップ長さ 12.5mm:接着面
積 3.125cm2: ・測定条件;23±1℃、60±2%RH ・強度単位;kgf/cm2 表2から明らかなように、α−シアノアクリレートのみ
の場合の参考例1に比して多価シアノアクリレートを配
合した応用例1、2の方が、耐熱性、耐湿熱性、耐溶剤
性に著しく優れており、多価シアノアクリレートの添加
効果が確認された。また、本発明においては、前記具体
的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じてそ
の条件を種々変更することができる。
いて、それらの接着性能を測定した結果は、表2のとお
りであった。試験方法は、JIS K6861-1977に
準拠し試験条件は以下のとおり。 ・テストピース;引張り接着強さ 12.7×12.7×38mm:
接着面積1.613cm2 引張り剪断強さ プラスチック・ゴム 3×25×100mm:
金属 1.6×25×100mm: ラップ長さ 12.5mm:接着面
積 3.125cm2: ・測定条件;23±1℃、60±2%RH ・強度単位;kgf/cm2 表2から明らかなように、α−シアノアクリレートのみ
の場合の参考例1に比して多価シアノアクリレートを配
合した応用例1、2の方が、耐熱性、耐湿熱性、耐溶剤
性に著しく優れており、多価シアノアクリレートの添加
効果が確認された。また、本発明においては、前記具体
的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じてそ
の条件を種々変更することができる。
【0027】
【表2】
【0028】応用例3 実施例7で得られたデカンジオールビスシアノアクリレ
ートとシクロペンタジエン/無水マレイン酸付加物の混
合物を用いて、応用例1と同様にして接着剤組成物を調
製し、上記と同様にして接着性能を測定した。接着強度
は応用例1のものと略同等であったが、セットタイムが
応用例1の接着剤が30秒であるのに対し120秒以上
と異常に長くなった。
ートとシクロペンタジエン/無水マレイン酸付加物の混
合物を用いて、応用例1と同様にして接着剤組成物を調
製し、上記と同様にして接着性能を測定した。接着強度
は応用例1のものと略同等であったが、セットタイムが
応用例1の接着剤が30秒であるのに対し120秒以上
と異常に長くなった。
【0029】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、多価アルコ
ールビスシアノアクリレート等の多価シアノアクリレー
トを作業上安全に高収率で得ることができ、また、該多
価シアノアクリレートを用いた接着剤組成物は、α−シ
アノアクリレートのみの場合に比して、瞬間接着剤とし
て、各種材料に適用可能であるとともに、耐熱性、耐湿
熱性、耐溶剤性等に著しく優れている。かくて本発明に
よれば、有用な多価シアノアクリレートとモノα−シア
ノアクリレートとの混合物からなる優れた接着剤組成物
を提供することができる。
ールビスシアノアクリレート等の多価シアノアクリレー
トを作業上安全に高収率で得ることができ、また、該多
価シアノアクリレートを用いた接着剤組成物は、α−シ
アノアクリレートのみの場合に比して、瞬間接着剤とし
て、各種材料に適用可能であるとともに、耐熱性、耐湿
熱性、耐溶剤性等に著しく優れている。かくて本発明に
よれば、有用な多価シアノアクリレートとモノα−シア
ノアクリレートとの混合物からなる優れた接着剤組成物
を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥山 登志夫 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成化学工業株式会社名古屋総合研究所 内
Claims (3)
- 【請求項1】 α−シアノアクリレートと1,3-ジエンの
ディールス−アルダー反応付加物の鹸化物であるα−シ
アノアクリル酸/ジエン付加物と多価アルコールとのエ
ステル化反応により得られた多価シアノアクリレート/
ジエン付加物を加熱分解することを特徴とする多価シア
ノアクリレートの製造方法。 - 【請求項2】 α−シアノアクリレートと1,3-ジエンの
ディールス−アルダー反応付加物から多価シアノアクリ
レートを製造する方法において、多価シアノアクリレー
ト/ジエン付加物の加熱分解をα−シアノアクリレート
の存在下に行うことを特徴とする多価シアノアクリレー
トの製造方法。 - 【請求項3】 請求項1記載の多価シアノアクリレート
の製造方法において、多価シアノアクリレート/ジエン
付加物の加熱分解をα−シアノアクリレートの存在下に
行うことを特徴とする多価シアノアクリレートの製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20018093A JPH0733726A (ja) | 1993-07-21 | 1993-07-21 | 多価シアノアクリレートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20018093A JPH0733726A (ja) | 1993-07-21 | 1993-07-21 | 多価シアノアクリレートの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0733726A true JPH0733726A (ja) | 1995-02-03 |
Family
ID=16420130
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20018093A Pending JPH0733726A (ja) | 1993-07-21 | 1993-07-21 | 多価シアノアクリレートの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0733726A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003321329A (ja) * | 2002-04-25 | 2003-11-11 | Kirin Brewery Co Ltd | 育毛剤 |
US7341716B2 (en) | 2002-04-12 | 2008-03-11 | Boston Scientific Scimed, Inc. | Occlusive composition |
-
1993
- 1993-07-21 JP JP20018093A patent/JPH0733726A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7341716B2 (en) | 2002-04-12 | 2008-03-11 | Boston Scientific Scimed, Inc. | Occlusive composition |
JP2003321329A (ja) * | 2002-04-25 | 2003-11-11 | Kirin Brewery Co Ltd | 育毛剤 |
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