JPH0733605B2 - 導電性中空複合繊維 - Google Patents

導電性中空複合繊維

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JPH0733605B2
JPH0733605B2 JP63002239A JP223988A JPH0733605B2 JP H0733605 B2 JPH0733605 B2 JP H0733605B2 JP 63002239 A JP63002239 A JP 63002239A JP 223988 A JP223988 A JP 223988A JP H0733605 B2 JPH0733605 B2 JP H0733605B2
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英晴 佐々木
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、導電性中空複合繊維に関し、詳しくは、耐発
塵性、耐薬品性および制電性に優れた導電性中空複合繊
維に関する。
(従来の技術) ナイロン、ポリエステルおよびアクリル系の合成繊維
は、その疏水性のため静電気が発生しやすく、従来から
帯電性を防止するため種々の提案がなされてきた。
なかでも、カーボンブラックや金属粉などの導電性粒子
を分散させた熱可塑性重合体と繊維形成性重合体を芯鞘
に複合した繊維が特公昭52-31450号公報で提案されて以
来多くの研究がなされている。
たとえば、特公昭52-31450号公報には導電性物質を含有
する導電成分を非導電成分で完全に被覆したカーペット
用複合繊維が記載されている。
特公昭56-37322号公報には、導電成分と非導電成分をサ
イドバイサイド型に接合した複合繊維が記載されてい
る。
特開昭56-15415号公報には、芯鞘型で中空部を中心に有
し導電層が中空部に露出している複合繊維が記載されて
おり、中空部を有することで導電物質の黒色が目立ちに
くく、かつ、少量の複合比率で安定製糸ができるとの記
載がある。
特開昭57-29611号公報および特開昭58-132119号公報に
は、多芯型の芯鞘複合繊維が記載されている。
特開昭58-126315号公報には、導電層が非導電層によっ
て分割され、かつ、中空の表面に露出または突出するこ
とに特徴のある中空導電繊維が記載されている。
これらの従来の導電性繊維は、その色調、白度を改良し
たものであり、導電性、特に繊維表面の導電性が不良で
あった。このような問題を解決するために本出願人は、
特開昭62-53416号公報に記載されているように、導電性
物質を芯成分に含有する芯鞘型複合繊維を高電圧で放電
加工することを提案した。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、特開昭62-53416号公報に記載されている
導電性繊維は、放電加工により繊維表面の電気抵抗値を
大幅に下げることはできるが、放電加工時に繊維の強伸
度が低下し、さらに、従来の芯鞘型複合繊維を用いて放
電加工すると、連続放電加工が困難となり繊維表面の電
気抵抗値にむらが生じるという問題があった。
そこで、本発明の目的は、中空複合繊維の芯鞘断面形状
を特定することにより、放電加工時の繊維の強伸度低下
および放電加工のむらを防ぎ、制電無塵衣用途に適した
耐発塵性、耐薬品性および制電性能に優れた導電性中空
複合繊維を提供することにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、放電加工時の繊維の損傷、放電加工のむ
らを防ぎ導電繊維の耐発塵性、耐薬品性および高導電性
を有する繊維を得るために鋭意検討を重ねた結果、本発
明に到達した。すなわち、本発明は、導電性物質を含有
する熱可塑性ポリマーからなる芯成分(A)と、該芯成
分(A)をとり囲む繊維形成性ポリマーからなる鞘成分
(B)とにより構成される複合繊維において、中空部
(C)を有し、芯成分が3〜8の鋭突部を有する断面形
状をなし、該鋭突部と鞘成分外周部とにより形成される
鞘成分最小厚さViのすべてが0.5μm以上であり、か
つ、その少なくとも一つが2.5μm未満であるととも
に、互いに隣接する鋭突部間の最短距離Wiのすべてが5
μm以下であり、放電加工されたことを特徴とする導電
性中空複合繊維である。
本発明において使用する導電性物質としては、まず導電
性カーボンブラックがあげられる。例えばオイルファー
ネス系の“ケッチェンブラックEC"(日本EC社製)、
“コンダクテックス975"、“コンダクテックスSC"(コ
ロンビアン社製)やアセチレン系の“デンカブラック”
(デンカ社製)等公知の導電性カーボンブラックが使用
できる。
熱可塑性ポリマーへの導電性カーボンブラックの配合率
は20〜50重量%とすることが好ましく特に25〜40重量%
が好適である。配合率が少なすぎると、好ましい導電性
能が得られにくく充分な制電性能が発現しないおそれが
ある。また配合率が多すぎると、ポリマー中への均一分
散が困難となり製糸性も低下する傾向がある。
また、導電性物質として金属粒子または金属酸化物もし
くは金属化合物の粒子、あるいは、これらの皮膜を有す
る粒子を用いることができる。金属粒子としては、銀、
ニッケル、銅、鉄、アルミニウムあるいはこれらの合金
があげられる。金属酸化物や金属酸化物皮膜を有する粒
子としては、アンチモン酸化物を第2成分として混合焼
成した酸化錫、アルミニウム酸化物を第2成分とした酸
化亜鉛、前記酸化錫や酸化亜鉛等の導電性酸化物の皮膜
を有する酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、
酸化アルミニウム等の無機粒子が使用できる。金属酸化
物としては、ヨウ化銅、硫化銅、硫化亜鉛、硫化カドミ
ニウムなどを用いることができる。
これら導電性物質の配合率は、粒子の種類、粒子径、導
電性およびマトリックスポリマーの性質や結晶性などに
よって変わるが、通常は40〜80重量%であり少なすぎる
場合は導電性が低下しがちであり、多すぎる場合はポリ
マー中への均一分散が困難となり製糸性も低下する傾向
がある。
芯成分を構成する熱可塑性ポリマーは任意に選択するこ
とができ、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリオ
レフィン、ポリエーテルなどのポリマーをあげることが
できるが、延伸段階での導電性の低下防止および鞘成分
との密着性を考慮するとナイロン6、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンまたはその共重合物が好ましい。特に本発明の中空繊
維を得るためには、(A)成分と(B)成分の粘度が近
づくように(A)ポリマーを選択する必要がある。
鞘成分として用いられる耐薬品性に優れた繊維形成性ポ
リマーとしてはポリエステル、ポリオレフィン、または
その共重合物が好ましくポリエチレンテレフタレートが
特に好ましい。また、芯鞘成分のポリマー中に有機スル
ホン酸、またはその金属塩、有機リン酸またはその金属
塩などの界面活性剤を含むポリアルキレングリコール、
ブロックポリエーテルエステル、ブロックポリエーテル
アミドなどの有機制電性成分を5%以下分散させてもよ
い。
本発明の導電性中空複合繊維と、耐発塵性、耐薬品性お
よび制電性能が充分に発揮されるように芯鞘部および中
空部が配置されていることに特徴がある。
すなわち、本発明の複合繊維は、中空繊維にすることに
よって、導電部を表層に近づけること、分割された導電
部分間の距離を近づけることおよび中空内層表面の導電
性が中実に比較してアップすること、の諸点が改善され
る。その結果、繊維の断面導電性および表面導電性が向
上する。中空率は制電性、繊維の力学物性を考慮すると
5〜20%が好ましい。5%未満では、所定量の導電層を
繊維断面内に効果的に配置させることが困難で制電性能
が低下する。20%を越える場合は、繊維物性が低下する
ため耐発塵性および耐久性が劣る。
また、本発明の中空繊維は、第2図に示すように芯成分
(A)が3〜8の鋭突部を有する断面形状であることが
必要である。鋭突部が2の場合は各(A)間の相互作用
が悪くなり糸の導電性が低下する。鋭突部が8より多い
場合には、(A)の占める断面積を30%以下にすると紡
糸安定性が低下する。鋭突部を有することにより、放電
処理を行う際に、従来の芯鞘型複合繊維に比較して低電
圧で処理可能となり、繊維の損傷を防止できる。
本発明においては、第1図に示すように芯成分(A)の
鋭突部と鞘成分外周部とにより形成される鞘成分最小厚
さVi(i=3〜8)のすべてが0.5μm以上であり、か
つ、その少なくとも一つは2.5μm未満であることが必
要であり、また、互いに隣接する芯成分(A)間の最短
距離Wi(i=3〜8)のすべてが5μm以下であること
が必要である。Viが0.5μmより小さい場合には、耐発
塵性、耐久性が悪くなり、Viのすべてが2.5μm以上で
ある場合は、制電性が低下する。Wiが5μmより大にな
ると、分割された各(A)間の相互作用が鈍くなり糸の
導電性が低下する。
繊維断面において、芯成分(A)の占める面積は5〜30
%が好ましい。5%より小さいときは、制電性が劣る場
合があり、30%を超えると繊維の力学的特性、耐発塵
性、耐久性が低下する傾向がある。芯成分の面積に対応
して鞘成分(B)の断面積は50〜90%、中空部の断面積
は5〜20%が好ましい。
本発明において、電気抵抗値は次のようにして測定す
る。
(イ)断面間内部電気抵抗値 繊維軸方向の長さ2.0cmとなるよう両端を横断面方向に
カットした繊維の該両断面にAgドウタイト(銀粒子含有
の導電性樹脂塗料、藤倉工業製)を付着させた試料を電
気絶縁性ポリエチレンテレフタレートフィルム上で、温
湿度20℃×30%RHの条件のもとに1KVの直流電圧を該Ag
ドウタイト付着面を使って印加して両断面間に流れる電
流を求め、オームの法則により電気抵抗値Ω/cmを算出
する。
(ロ)表面電気抵抗値 繊維軸方向の長さ2.0cmにカットされた繊維の両端付近
の表面(繊維側面)に前記のAgドウタイトを付着させた
ものを試料として、該試料を電気絶縁性ポリエチレンテ
レフタレートフィルム上で、温湿度20℃×30%RHの条件
の下に、1KVの直流電圧を該Agドウタイト間に印加してA
gドウタイト間に流れる電流を求め、かつ、Agドウタイ
ト間の距離を測定して、オームの法則により表面電気抵
抗値Ω/cmを算出する。
次に、放電処理について述べる。
即ち、本発明に用いる放電処理法としては、前記のよう
にして得られた芯鞘型複合繊維を高電圧電極に接触させ
て高電圧を印加する通電法、放電形状の異なるコロナ放
電、火花放電、グロー放電、アーク放電等の高電圧放電
処理により処理することができる。
印加電圧としては、1KVを超える高電圧であって、100KV
までの範囲のものが使用でき、5〜100KVが好ましい。
電圧の極性はプラスでも、マイナスでも(直流)、又は
交流であってもよい。電極間の距離は0〜10cmの範囲の
ものが使用でき、放電形態と処理速度との関係で決める
ことができる。又、導電性物質を含有する芯成分を一方
の極とし、他方の極を別に設けて、該両極に高電圧を印
加し、この高電圧電極下で放電処理することが最適に例
示されるが、この方法に限るものではなく、別々に設け
た二つの極に高電圧を印加して放電処理する方法であっ
てもよい。
又、このような放電処理は糸の状態でも、編織物等の布
帛、布織布の状態でも行うことができる。さらに糸の場
合、延伸糸に施しても、未延伸糸に施しても良い。
かかる放電処理によって、表面電気抵抗値を1010Ω/cm
オーダー以下とすることができるし、表面電気抵抗値と
断面間内部電気抵抗値との比を103以下とすることがで
き、好ましくは、この比を102以下、特に厳しい条件で
使用する場合は10以下とすることができる。
この比の値を加減するには、前記の放電処理の時間、高
電圧のKVを調節して行うことができる。
(実施例) 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。な
お、屈曲後の電気抵抗値は、屈曲摩耗を900回繰り返し
た後の放電加工糸の電気抵抗値を示す。耐発塵性は、屈
曲摩耗を900回繰り返した後、糸側面を顕微鏡観察し、
導電部剥離無しを○、導電部剥離小を△、導電部剥離大
を×とした。耐薬品性は各放電加工糸を室温で24時間各
薬品に浸漬した後の強度保持率で示した。
実施例1〜3 ポリエチレン70重量部にファーネス系の導電性カーボン
ブラック30重量部を添加し、溶融混合して得た導電性ポ
リマー(体積固有抵抗値1.1×102Ωcm)とオルソクロル
フェノール中25℃で測定した極限粘度0.64のポリエチレ
ンテレフタレートチップを種々の中空複合紡糸用口金を
用いて、紡糸温度290℃、紡速1200m/分で紡糸した。得
られた未延伸糸を予熱温度100℃、熱セット温度180℃、
延伸倍率3.1倍で熱延伸し、30デニール3フィラメント
で、第2図(1)〜(3)に示す断面形状の延伸糸を得
た。この繊維を5KV、100m/分でコロナ放電処理した。結
果を第1表に示す。
比較例1〜3 実施例1において、芯鞘の吐出量比を変えて、芯成分が
8個の鋭突部を有し、Vi、Wiが実施例1と異なる繊維を
紡糸延伸した以外は実施例1と同様に行った。結果を第
1表に示す。
実施例4 平均粒径0.24μmの酸化チタンに重量約12%の酸化錫皮
膜を形成させたものに酸化アンチモン微粒子を2%混合
焼成して得られる白色導電性粉末72部と、ポリエチレン
28部とを溶融混合して導電性ポリマーチップ(体積固有
抵抗値3.0×103Ωcm)を得た。このポリマーを芯にして
実施例1と同様にして鞘がポリエチレンテレフタレート
の複合繊維を紡糸延伸した後、実施例1と同様にコロナ
放電処理を行った。断面は第2図の(1)の形状を有し
ており、A=15%、B=72%、C=13%で、強度3.6g/d
e、伸度38%、初期断面電気抵抗は5×107Ω/cm、放電
処理後の断面電気抵抗は5×107Ω/cm、屈曲後の断面電
気抵抗は7×107Ω/cmであった。表面電気抵抗は初期値
が5×109Ω/cmで放電処理後は8×107Ω/cm、屈曲後が
9×107Ω/cmであり、耐発塵性、及び耐薬品性も良好で
あった。
比較例4〜6 実施例1と同じ導電性ポリマーと鞘ポリマーを用い第3
図(2)〜(4)の断面形状を有する繊維を実施例1と
同様の条件で紡糸延伸して30デニール3フィラメントの
延伸糸を得た後、コロナ放電処理を行った。結果を第2
表に示す。
第1、2表および実施例4の結果から明らかなように、
本発明の範囲内にある導電性複合繊維は、耐発塵性、耐
薬品性能に優れ、かつ、放電加工性能に富む繊維である
ことがわかる。
(発明の効果) 本発明の導電性中空複合繊維によれば、耐発塵性、耐薬
品性および制電性能に優れた導電性繊維、特に制電無塵
衣等に適した導電性繊維を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1、2図は、本発明の導電性中空複合繊維の一例を示
す断面図、第3図は従来の導電性繊維の断面図である。 Vi……芯成分(A)鋭突部と鞘成分外周部とにより形成
される鞘成分最小厚さ、Wi……芯成分(A)の鋭突部間
の最短距離、A……芯成分、B……鞘成分、C……中空
部。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性物質を含有する熱可塑性ポリマーか
    らなる芯成分(A)と、該芯成分(A)をとり囲む繊維
    形成性ポリマーからなる鞘成分(B)とにより構成され
    る複合繊維において、中空部(C)を有し、芯成分が3
    〜8の鋭突部を有する断面形状をなし、該鋭突部と鞘成
    分外周部とにより形成される鞘成分最小厚さViのすべて
    が0.5μm以上であり、かつ、その少なくとも一つが2.5
    μm未満であるとともに、互いに隣接する鋭突部間の最
    短距離Wiのすべてが5μm以下であり、放電加工された
    ことを特徴とする導電性中空複合繊維。
  2. 【請求項2】導電性物質が導電性カーボンブラックから
    なり、その配合率が芯成分(A)全体に対し、20〜50重
    量%である特許請求の範囲第1項記載の導電性中空複合
    繊維。
  3. 【請求項3】導電性物質が、金属粒子または金属酸化物
    もしくは金属化合物の粒子からなり、その配合率が芯成
    分(A)全体に対し、40〜80重量%である特許請求の範
    囲第1項記載の導電性中空複合繊維。
  4. 【請求項4】繊維形成性ポリマーが、ポリエステル、ポ
    リオレフィンおよび/またはこれらの共重合体からなる
    特許請求の範囲第1項記載の導電性中空複合繊維。
  5. 【請求項5】芯成分(A)の断面積が5〜30%、鞘成分
    (B)の断面積が50〜90%、中空部(C)の断面積が5
    〜20%である特許請求の範囲第1項記載の導電性中空複
    合繊維。
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