JP3635152B2 - 導電性複合繊維 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非導電性成分と導電性成分からなる導電性能を有する複合繊維であって、横断面において、非導電性成分が導電性成分を複数個に分割した形状を有する導電性複合繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等の疎水性ポリマーからなる繊維は機械特性、耐薬品性、耐候性等の多くの長所を有しており、衣料用のみならず、産業資材用途等にも広く用いられている。
しかし、これらの繊維は摩擦等による静電気の発生が著しいため、空気中の塵埃を吸引して美観を低下させたり、人体に電撃を与えて不快感を与えたり、さらには、スパークによる電子機器への障害や、引火性物質への引火爆発等の問題を引き起こす。
【0003】
疎水性ポリマーからなる繊維に導電性能を有する繊維を混入することによって、帯電防止性能に優れる繊維を得ることができる。そこで、従来より導電性能を有する繊維が数多く提案されている。
まず、導電性カーボンブラックや金属粉等の導電性粒子を熱可塑性ポリマー全体に分散させた繊維が提案されているが、このような繊維は、導電性を満足する程度に導電性粒子を分散させると、曳糸性や強伸度の低下が著しく、実用性に乏しいものであった。
【0004】
この問題点を解決するものとして、特公昭52-31450号公報、特公昭57-25647号公報には、導電性粒子を分散させたポリマーと繊維形成性ポリマーをサイドバイサイド型あるいは芯鞘型に複合した繊維が開示されている。
しかしながら、導電性成分を非導電性ポリマーで完全に包みこんだ芯鞘型複合繊維は、導電性成分が繊維表面に露出していないために導電性能が劣るという問題があり、また、導電性成分と非導電性ポリマーをサイドバイサイド型に接合した複合繊維は、導電性能には優れているものの、導電性粒子の繊維表面への露出が大きいために、製造の各工程において、金属製の機器の摩耗を起こしやすく、加工時の外力や染色、アルカリ減量加工等の薬品処理により、成分間の剥離も起きやすいという問題があった。
【0005】
また、特公昭53-44579号公報には、導電性成分の一方が繊維表面に露出し、他方は繊維中心に向かって彎曲界面を形成するように、導電性成分を非導電性ポリマーで包囲している繊維が記載されている。また、特開昭63-235525 号公報には、導電性成分の横断面形状が非導電性ポリマーに包みこまれた肉厚の部分と、該肉厚部に接続し繊維表面にまで達する細い部分からなる複合繊維が開示されている。
このような導電性成分の一部が露出している繊維は、製造の各工程において、機器の金属摩耗や加工時の外力や薬品処理による成分間の剥離はないが、導電性成分の繊維表面への露出面が一方向しかないために、繊維に接する方向によって導電性能が大きく変化するという問題がある。
【0006】
このような問題点を解決するものとして、特公昭56-37323号公報には、横断面において放射状に分岐する導電性成分が非導電性ポリマーを少なくとも3個のセグメントに分離しており、導電性成分の繊維表面に露出する面積が全体の30%以下である複合繊維が開示されている。
しかしながら、この繊維は、このような横断面形状を有するため、製造の各工程において、機器の金属摩耗、加工時の外力による剥離は生じにくくなるが、非導電性ポリマーの成分が導電性成分で完全に分離されているため、染色、アルカリ減量加工等の薬品処理によって、成分間で剥離が生じるという問題がある。
【0007】
また、特開昭54-134117 号公報には、導電性成分が複数の領域に分割されて繊維表面に露出するように回転対称に配置され、非導電性ポリマー成分が繊維断面の中心を含む連続した領域を占める複合繊維が開示されている。この繊維は、横断面形状において中心部が導電性成分で分割されていないため、加工時の外力や染色、アルカリ減量加工等の薬品処理による成分間の剥離は発生しにくい。
しかしながら、導電性成分の形状を考慮していないため、製造工程における金属との摩耗を少なくするために、導電性成分の露出を少なくしようとすると、導電性成分の複合比率が低くなり、十分な導電性能を有しない繊維となったり,導電性成分を形状や配置によっては、加工時に導電性成分が抜け落ちて十分な導電性能を有しない繊維となるという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解決し、製造工程での金属との摩耗が少なく、成分間の剥離や導電性成分が抜け落ちることがなく、かつ、優れた導電性能を有する導電性複合繊維を提供することを技術的な課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、導電性成分を特定の形状にして非導電性ポリマーと複合することにより、製造工程における金属との摩耗、成分間の剥離及び導電性成分の抜けがなく、導電性能、強伸度特性に優れた導電性複合繊維が得られることを見い出し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明は、繊維形成性ポリマーからなる非導電性成分(A) と、熱可塑性ポリマーと導電性粒子からなる比抵抗が107 Ω・cm未満の導電性成分(B) との複合繊維において、非導電性成分(A) が導電性成分(B) を複数個に分割した形状の横断面を有し、分割された各導電性成分(B) は繊維表面より繊維内部方向にわたって配置されており、複合繊維の横断面における各導電性成分(B) の繊維表面の中心をM、複合繊維の重心をG、非導電性成分(A) と導電性成分(B) との2成分の境界線上で繊維表面に接する点をP、Q、点MとGを結ぶ線分MGと2成分の境界線との交点をR、線分MGに垂直な線分で2成分の境界線上の2点を結ぶ線分のうち、最も長い線分をXYとするとき、各点を結ぶ線分XY、PQ、MR、RGが下記に示される条件を満足し、かつ、各導電性成分(B) を合わせた全導電性成分(B) の繊維表面における露出面積比率が5〜20%であることを特徴とする導電性複合繊維を要旨とするものである。
1.2 ≦XY/PQ≦1.5
1.5 ≦MR/XY≦3.0
2.5 ≦MR/RG≦4.0
なお、非導電性成分(A) と導電性成分(B) の比抵抗は、JIS K6911に準じて、直径1cmのポリテトラフロロエチレン製のダイスに試料5gを詰め、上部からピストンによって200kg の圧力を加えてプレスし、電流が1mA以下となるように直流電圧(10〜1000V)を印加して電流を測定し、下記式で抵抗値を算出する。
比抵抗=〔(π×d2 )/4t〕×(E/I)
E:電圧(V) I:電流(A) d:ダイスの直径(cm)
t:試料の厚み( 200kgでプレスしたものの厚み cm)
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の複合繊維は、非導電性成分 (A)と導電性成分(B)からなり、非導電性成分 (A)は繊維形成性ポリマーからなるものであり、導電性成分(B) は、熱可塑性ポリマーと導電性粒子からなり、比抵抗が107 Ω・cm未満であることが必要である。
この導電性成分(B) の比抵抗が107 Ω・cmを超えると、導電性能が不十分な繊維となるので好ましくない。なお、比抵抗の下限については特に限定されないが、一般に102 Ω・cm以下にしようとすると、導電性粒子を熱可塑性ポリマーに多量に含有させることが必要となり、強伸度特性の低下した繊維となりやすく、また、コストも高くなる。
【0012】
導電性成分(B) に用いられる導電性粒子としては、導電性カーボンブラックや金属粉末(銀、ニッケル、銅、鉄あるいはこれらの合金等)、硫化銅、沃化銅、硫化亜鉛、硫化カドミウム等の金属化合物が挙げられる。
また、酸化錫に酸化アンチモンを少量添加したり、酸化亜鉛に酸化アルミニウムを少量添加して導電性粒子としたものも挙げられる。さらには、酸化チタンの表面に酸化錫をコーティングし、酸化アンチモンを混合焼成し、導電性粒子としたものも用いることができる。
【0013】
上記の導電性粒子は、比抵抗が104 Ω・cm以下のものが好ましく、特に、102 Ω・cm以下のものがより好ましい。比抵抗が104 Ω・cmを超えるものを用いると、導電性成分(B) の比抵抗を107 Ω・cm未満とするために、多量の導電性粒子を熱可塑性ポリマー中に分散させることが必要になり、強伸度特性の低下した繊維となりやすく、また、コストも高くなる。
【0014】
また、導電性粒子の粒径は、特に限定されるものではないが、平均粒径が1μm以下のものが好ましく、0.5 μm以下のものがより好ましい。平均粒子径が1μmを超えると、導電性粒子の熱可塑性ポリマーへの分散性が悪くなりやすく、導電性能や強伸度特性の低下した繊維となりやすい。
【0015】
導電性成分(B) における導電性粒子の混合率については、導電性粒子の種類、導電性能、粒子径、粒子の連鎖形成能及び用いる熱可塑性ポリマーの性質等によって適宜選択すればよいが、10〜80重量%とすることが好ましく、さらに好ましくは、20〜70重量%である。混合率が10重量%未満では、導電性成分(B) の導電性能が不十分になる場合があり、また、80重量%を超えると、導電性粒子の熱可塑性ポリマーへの分散が難しくなるので好ましくない。
【0016】
導電性粒子と混合して導電性成分(B) を形成する熱可塑性ポリマーとしては、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリビニル系、ポリエーテル系等の熱可塑性ポリマーが挙げられるが、非導電性成分(A) と導電性成分(B) との剥離を防止するという点から、非導電性成分(A) と相溶性のあるものが好ましい。また、この熱可塑性ポリマーは、曳糸性の面から、繊維形成性のポリマーとすることが好ましい。
【0017】
さらに、導電性成分(B) には、目的に応じて、ワックス類、ポリアルキレンオキシド類、各種界面活性剤、有機電解質等の分散剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤、着色剤、顔料、流動性改善剤、その他の添加剤を加えることもできる。
【0018】
一方、非導電性成分(A) を構成する繊維形成性ポリマーは、溶融紡糸可能なあらゆるポリマーが適用可能である。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンオキシベンゾエート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン46等のポリアミド、ポリプロピレン等のポリオレフィン及びこれらのポリマーの共重合体や変性体が特に好適である。
また、これらの繊維形成性ポリマーには、艶消剤、顔料、着色料、安定剤、制電剤等の添加剤を加えることができる。
そして、このような非導電性成分(A) は、比抵抗が1010Ω・cm以上のものをいい、この範囲内であれば、必要に応じて無機粒子を含有させてもよい。
【0019】
次に、本発明の複合繊維における導電性成分の形状と配置について、図面を用いて説明する。
図1(a) 、(b) 、(c) は、本発明の導電性複合繊維の一実施態様を示す横断面図であり、導電性成分(B) が (a)では2個、 (b)では3個、 (c)では4個に分割されて配置されている。
【0020】
本発明において、導電性成分(B) は、横断面形状において、2個以上の複数個に分割された状態で配置されていることが必要である。導電性成分(B) が1個の場合は、導電性成分の繊維表面への露出面が一方向しかないために、接する方向によっては導電性能が大きく変化する繊維となる。
また、導電性成分(B) は、どのような方向から接触しても良好な導電性能を有するようにするため、横断面において回転対称な位置に配置するのが好ましい。
【0021】
次に、図2は、本発明の導電性複合繊維における分割された各導電性成分(B) の形状を説明するための図1(a) の一部拡大模式図である。
図2において、各導電性成分(B) の繊維表面の露出部の中心をM、複合繊維の重心をG、非導電性成分(A) と導電性成分(B) との2成分の境界線上で繊維表面に接する点をP、Q、点MとGを結ぶ線分MGと2成分の境界線との交点をR、線分MGに垂直な線分で2成分の境界線上の2点を結ぶ線分のうち、最も長い線分となる2成分の境界線上の2点をX、Yとする。このとき、各導電性成分(B) は、各点を結ぶ線分XY、PQ、MR、RGが下記に示される条件を満足する形状であることが必要である。
1.2 ≦XY/PQ≦1.5
1.5 ≦MR/XY≦3.0
2.5 ≦MR/RG≦4.0
【0022】
まず、XY/PQが1.2 未満の場合及びMR/XYが3.0 を超える場合では、導電性成分(B) の形状が楔型に近くなり、導電性成分(B) の表面への露出面積が多くなるため、製造工程において機器等の金属摩耗が発生したり、導電性成分(B) が非導電性成分(A) から抜けやすい形状となり、製造工程において摩擦等により導電性成分(B) が脱落する。
【0023】
また、XY/PQが1.5 を超える場合及びMR/XYが1.5 未満の場合では、導電性成分(B) の形状が円形に近くなり、導電性成分(B) の表面への露出面積が少なくなり過ぎ、導電性能の劣る繊維となる。
【0024】
MR/RGが2.5 未満では、導電性成分(B) が繊維表面近傍に集中して配置されるようになるために、導電性成分(B) が非導電性成分(A) との接合性が悪くなり、後工程での摩擦等により脱落し、導電性能が低下する。また、MR/RGが4.0 を超えると、導電性成分が複合繊維の中心部近くまで配置されるために、後加工時に剥離や割繊が起きる。
【0025】
また、各導電性成分(B) を合わせた全導電性成分(B) の繊維表面における露出面積比率は、複合繊維全体の表面積に対して5〜20%であることが必要である。導電性成分(B) の露出面積が5%未満では、複合繊維の導電性能が十分でなく、20%を超えると、導電性成分(B) の露出面積が大き過ぎ、製造工程において、機器等の金属の摩耗が発生する。
【0026】
本発明の複合繊維において、非導電性成分(A) と導電性成分(B) の複合比率は、非導電性成分(A) が60〜90重量%、導電性成分(B) が40〜10重量%とすることが好ましく、より好ましくは、非導電性成分(A) が70〜85重量%、導電性成分(B) が30〜15重量%である。
導電性成分(B) の複合比率が10重量%未満では、導電性能が十分でない場合があり、一方、複合比率が40重量%を超えると、強伸度特性等の糸質性能が劣ったり、機器等の金属摩耗が多くなりやすい。
【0027】
次に、本発明の導電性複合繊維の製法例について説明する。
まず、導電性成分(B) を得る方法としては、ベースとなる熱可塑性ポリマーの重合段階で導電性粒子を添加する方法や、ベースとなる熱可塑性ポリマーに導電性粒子を後工程で溶融混練する方法等があるが、用いるポリマーによっては重合段階での添加が困難なものもあるので、後工程で溶融混練する方法が好ましい。このようにして得られた導電性成分(B) と非導電性成分(A) とを用い、必要に応じて乾燥等の処理を行い、通常の二成分系の複合溶融紡糸装置を用いて複合紡糸する。このとき、導電性成分(B) が上記のような形状と配置となるような紡糸口金を用いて複合紡糸を行う。
そして、得られた糸条を延伸、熱処理することによって、本発明の複合繊維が得られる。
【0028】
【実施例】
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。
なお、例中の測定および評価方法は次のとおりである。
(1) 非導電性成分(A) 、導電性成分(B) 及び導電性粒子の比抵抗
前記の方法により測定した。
(2) 各導電性成分(B) の形状及び全導電性成分(B) の表面露出面積比率
複合繊維の横断面を走査型電子顕微鏡で写真に撮り、写真上で測定した。
(3) 金属摩耗性及び擦過による複合繊維の剥離、割繊の有無
複合繊維を接触角5゜、 糸速50m/分、張力5gの条件で編針(FUKUHARA INDUSTRIAL &TRADING 社製 No.26532DC1)に15分間接触走行させて巻取った。そして、編針の傷及び繊維の横断面を顕微鏡により観察し、目視にて判定した。擦過による剥離、割繊については有無で、金属摩耗性(編針の傷)については、傷の無い状態を0とし、傷が大きくなるにつれ1〜5の5段階で評価した。
(4) 薬品処理による複合繊維の剥離、割繊の有無
複合繊維を編成し、編成物を20重量%の水酸化ナトリウム水溶液により、浴比1:100 、50℃の条件下で10分間処理した後、編成物を一部解編して繊維の横断面を顕微鏡により観察し、目視にて判定を行った。
(5) 複合繊維の比抵抗
長さ10cmの複合繊維の両端の表面にケラチンを塗布し、この表面部分を金属端子に接続し、50Vの直流電圧を印加して抵抗値を測定し、下記式で抵抗値を算出した。
比抵抗=〔(E/I)×D〕/(l×900000×ρ)
E:電圧(V) I:電流(A) D:繊度(d) l:試料長さ(cm)
ρ:密度(g/cm3
【0029】
実施例1
極限粘度(フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒とし、20℃で測定)0.84のポリブチレンテレフタレート75重量部と、平均粒径0.2 μm で比抵抗が0.5 Ω・cmの導電性カーボンブラック25重量部を溶融混練し、常法によりチップ化して比抵抗が1.2 ×102 Ω・cmの導電性成分(B) 用のポリマーを得た。また、極限粘度0.61のイソフタル酸8モル%が共重合されたポリエチレンテレフタレート99重量部と、同様のカーボンブラック1重量部を用いて上記と同様に溶融混練し、常法によりチップ化して比抵抗が5.0 ×1011Ω・cmの非導電性成分(A) 用のポリマーを得た。
次に、単糸の横断面形状が、図1(b) に示すように、非導電性成分(A) が導電性成分(B) を三つに分割するように設計された紡糸口金を用いて、通常の複合紡糸装置を用いて、紡糸温度270 ℃、導電性成分(B) の複合比率20重量%で紡糸し、冷却、オイリングしながら4250m/分の速度で巻取り、29d/2fの未延伸糸を得た。そして、この未延伸糸を90℃の熱ローラを介して1.15倍に延伸し、更に190 ℃のヒートプレート上で熱処理を行って巻取り、25d/2fの延伸糸を得た。
得られた複合繊維の導電性成分(B) の形状、配置及び繊維表面の露出面積比率、複合繊維の金属摩耗性、擦過及び薬品処理による剥離、割繊の有無、比抵抗の評価結果を表1に示す。
【0030】
実施例2
相対粘度(96%濃硫酸を溶媒とし、濃度1g/dl、温度25℃で測定した)1.85のナイロン6を67重量部と、平均粒径0.2 μm で比抵抗が1.0 Ω・cmの導電性カーボンブラック33重量部とを溶融混練し、常法によりチップ化して比抵抗が4.3 ×103 Ω・cmの導電性成分(B) 用のポリマーを得た。また、相対粘度2.25のナイロン6を98重量部と、平均粒径が0.7 μm の二酸化チタン2重量部とを用いて上記と同様に溶融混練し、 常法によりチップ化して比抵抗が5.0 ×1014Ω・cmの非導電性成分(A) 用のポリマーを得た。
次に、実施例1と同様の紡糸口金と複合紡糸装置を用いて、紡糸温度275 ℃、導電性成分(B) の複合比率15重量%で紡糸し、冷却、オイリングしながら1000m/分の速度で巻取り、71d/2fの未延伸糸を得た。そして、この未延伸糸を80℃の熱ローラを介して2.84倍に延伸し、さらに、150 ℃のヒートプレート上で熱処理を行って巻取り、25d/2fの延伸糸を得た。
得られた複合繊維の導電性成分(B) の形状、配置及び繊維表面の露出面積比率、複合繊維の金属摩耗性、擦過及び薬品処理による剥離、割繊の有無、比抵抗の評価結果を表1に示す。
【0031】
実施例3
極限粘度0.84のポリブチレンテレフタレート35重量部と、表面に酸化錫の皮膜を有する酸化チタン粒子に対して0.12%の酸化アンチモンを混合焼成して得られた平均粒径が0.2 μm で比抵抗が10Ω・cmの導電性粒子65重量部を溶融混練し、常法によりチップ化して比抵抗が3.0 ×104 Ω・cmの導電性成分(B) 用のポリマーを得た。また、極限粘度0.61のイソフタル酸8モル%が共重合されたポリエチレンテレフタレート98重量部と、平均粒径が0.7 μm の二酸化チタン2重量部を用いて上記と同様に溶融混練し、 常法によりチップ化して比抵抗が7.0 ×1014Ω・cmの非導電性成分(A) 用のポリマーを得た。
次に、導電性成分(B) の複合比率を25重量%とした以外は実施例1と同様にして25d/2fの延伸糸を得た。
得られた複合繊維の導電性成分(B) の形状、配置及び繊維表面の露出面積比率、複合繊維の金属摩耗性、擦過及び薬品処理による剥離、割繊の有無、比抵抗の評価結果を表1に示す。
【0032】
比較例1〜3
紡糸口金の設計を変更し、導電性成分(B) の形状を変更した以外は実施例1と同様にして行った。
得られた複合繊維の導電性成分(B) の形状、配置及び繊維表面の露出面積比率、複合繊維の金属摩耗性、擦過及び薬品処理による剥離、割繊の有無、比抵抗の評価結果を表1に示す。
【0033】
比較例4
導電性成分(B) に混練する導電性カーボンブラックの量を2重量部とし、比抵抗が1.8 ×1011Ω・cmのものとした以外は実施例1と同様にして行った。
得られた複合繊維の導電性成分(B) の形状、配置及び繊維表面の露出面積比率、複合繊維の金属摩耗性、擦過及び薬品処理による剥離、割繊の有無、比抵抗の評価結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003635152
【0035】
実施例1〜3で曳糸性よく得られた複合繊維は、強伸度特性が良好で、比抵抗も107 Ω・cm以下の優れた導電性能を有しており、かつ、擦過や薬品処理による成分間の剥離や割繊がなく、金属に対する摩耗性も少ないものであった。
一方、比較例1で得られた複合繊維は、導電性成分(B) のXY/PQが大き過ぎ、導電性成分(B) の形状が円形に近いため、導電性成分の繊維表面への露出面積比率が少なくなり、導電性能の劣るものとなった。比較例2で得られた繊維は、導電性成分(B) のXY/PQ、MR/XY、MR/RGのすべてが小さ過ぎ、導電性成分(B) の形状が楔型に近かったため、導電性成分(B) の繊維表面への露出面積比率が多くなり過ぎ、金属に対する摩耗が多く、また、擦過や薬品処理による成分間の剥離や割繊(導電性成分の抜け)が有った。比較例3で得られた繊維は、導電性成分(B) のMR/XY、MR/RGが大き過ぎ、導電性成分(B) が複合繊維の中心近くまで配置されたため、擦過や薬品処理による成分間の剥離や割繊が有った。また、比較例4は、非導電性成分(A) がカーボンブラックを多く含有していたため、得られた複合繊維は金属に対する摩耗が大きかった。比較例5は、導電性成分(B) の比抵抗が大き過ぎたために、得られた複合繊維は導電性能が劣るものであった。
【0036】
【発明の効果】
本発明の導電性複合繊維は、製造工程において金属との摩耗が少なく、擦過や薬品処理による成分間の剥離や割繊、導電性成分の抜けがなく、優れた導電性能と強伸度特性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a) 、(b) 、(c) は、本発明の導電性複合繊維の実施態様を示す横断面図である。
【図2】図1(a) の導電性複合繊維の一部拡大模式図である。
【符号の説明】
A 非導電性成分
B 導電性成分
M 導電性成分(B) の繊維表面の中心点
G 複合繊維の重心
P、Q 非導電性成分(A) と導電性成分(B) との境界線上で繊維表面に接する点
R 非導電性成分(A) と導電性成分(B) との境界線と点MとGを結ぶ線分MGの交点
X、Y 非導電性成分(A) と導電性成分(B) との境界線上の2点

Claims (1)

  1. 繊維形成性ポリマーからなる非導電性成分(A) と、熱可塑性ポリマーと導電性粒子からなる比抵抗が107 Ω・cm未満の導電性成分(B) との複合繊維において、非導電性成分(A) が導電性成分(B) を複数個に分割した形状の横断面を有し、分割された各導電性成分(B) は繊維表面より繊維内部方向にわたって配置されており、複合繊維の横断面における各導電性成分(B) の繊維表面の中心をM、複合繊維の重心をG、非導電性成分(A) と導電性成分(B) との2成分の境界線上で繊維表面に接する点をP、Q、点MとGを結ぶ線分MGと2成分の境界線との交点をR、線分MGに垂直な線分で2成分の境界線上の2点を結ぶ線分のうち、最も長い線分をXYとするとき、各点を結ぶ線分XY、PQ、MR、RGが下記に示される条件を満足し、かつ、各導電性成分(B) を合わせた全導電性成分(B) の繊維表面における露出面積比率が5〜20%であることを特徴とする導電性複合繊維。
    1.2 ≦XY/PQ≦1.5
    1.5 ≦MR/XY≦3.0
    2.5 ≦MR/RG≦4.0
JP11972196A 1996-04-16 1996-04-16 導電性複合繊維 Expired - Lifetime JP3635152B2 (ja)

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