JP4854291B2 - 耐湿熱性導電性複合繊維 - Google Patents
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Description
電気抵抗値=E/(I×L)
E:電圧(V) I:測定電流(A) L:測定長(cm)
導電性成分と非導電性成分のカルボキシル末端基濃度を測定する際には、それぞれの成分を0.1g採取し、上記と同様にして滴定して求めるものである。
121℃での湿熱処理(1回)に要する時間は通常15分程度であることから、本発明においては、100回分の湿熱処理に相当する25時間処理を行うことで処理前後の導電性能と強度の低下の程度をみる指標とするものである。
導電性能低下率=(Y/X)
X:導電性複合マルチフィラメントの湿熱処理前の電気抵抗値(Ω/cm)
Y:導電性複合マルチフィラメントの湿熱処理後の電気抵抗値(Ω/cm)
強度保持率(%)=(S/M)×100
S:導電性複合マルチフィラメントの湿熱処理後の引張強度(cN/dtex)
M:導電性複合マルチフィラメントの湿熱処理前の引張強度(cN/dtex)
1.導電性複合マルチフィラメントの電気抵抗値、導電性能低下率、強度保持率
前記した方法に従って、測定、算出した。なお、得られた導電性複合マルチフィラメントを用いて筒編地を作成した後に、界面活性剤(日華化学製 サンモールFL)を1g/lの濃度で使用し、80℃、30分間精練処理を行った後に、130℃、30分間熱水で処理を行う。この後、湿熱処理として、該筒編地に高圧蒸気滅菌器(平山製作所製 HV−50)を用いて121℃で25時間連続して処理を行った。筒編地を作成する前の導電性複合マルチフィラメントの電気抵抗値を湿熱処理前の電気抵抗値とし、湿熱処理後の筒編地を解編して取り出した導電性複合マルチフィラメントの電気抵抗値を湿熱処理後の電気抵抗値とした。
2.カルボキシル末端基濃度
導電性成分、非導電性成分及び導電性複合マルチフィラメントのカルボキシル末端基濃度は、前記の方法で測定した。
導電性成分として、極限粘度(フェノールと四塩化エタンとの等質量混合液を溶媒とし、温度20℃で測定した)0.75、カルボキシル末端基濃度が25geq/tのPBT(実質的にブチレンテレフタレート繰り返し単位が100モル%)に、導電性粒子として、平均粒径0.2 μm のカーボンブラック(導電性成分中の27質量%となる量)を溶融混練したものを用い、常法によりチップ化して導電性成分とした。
また、非導電性成分としては、テレフタル酸とエチレングリコールを重縮合反応させてプレポリマーペレットとし、さらに、220℃で20時間固相重合反応を行って得た、極限粘度0.64 、カルボキシル末端基濃度が9geq/t のPET(実質的にエチレンテレフタレート繰り返し単位が100モル%)を使用し、同様に常法によりチップ化して非導電性成分とした。
次に、単糸の横断面形状が図2(c)となるように設計された紡糸口金を用いて、導電性成分と非導電性成分のチップを供給し、通常の複合紡糸装置より紡糸温度295℃、導電性成分の複合比率20質量%となるように紡糸し、冷却、オイリングしながら3000m/分の速度で巻き取り、43dtex/2fの未延伸糸を得た。そして、この未延伸糸を90℃の熱ローラを介して1.53倍に延伸し、さらに、190℃のヒートプレートで熱処理を行った後に巻き取り、図2(c)の断面形状を呈する28dtex/2の導電性複合繊維を得た。
導電性成分として、極限粘度0.65、カルボキシル末端基濃度24geq/tでイソフタル酸を15mol%共重合した共重合ポリブチレンテレフタレート(共重合PBT)に平均粒径0.2μmのカーボンブラックを導電成分中の30質量%となるように、溶融混練したものを用い、常法によりチップ化して導電性成分とした。
また、非導電性成分として、イソフタル酸を8mol%共重合した共重合PETであって、固相重合反応時間を変更して得た、カルボキシル末端基濃度が11geq/t、極限粘度0.64のものを用いた以外は参考例1と同様に行い、導電性複合繊維を得た。
導電性成分、非導電性成分中の共重合成分の種類と共重合量を表1に示すように変更し、併せて、固相重合反応時間を変更してカルボキシル末端基濃度を表1に示す値のものとした以外は参考例2と同様に行い、導電性複合マルチフィラメントを得た。
単糸の横断面形状が図3(c)となるように設計された紡糸口金を用いた以外は、それぞれ実施例1、2と同様にして行い、図3(c)の断面形状を呈する28dtex/2の導電性複合マルチフィラメントを得た。
導電性成分、非導電性成分中の共重合成分の種類と共重合を表1に示すように変更し、併せて、固相重合反応時間を変更してカルボキシル末端基濃度を表1に示す値のものとし、さらに単糸の横断面形状が図4に示すような芯鞘型となるように設計された紡糸口金を用い、導電性成分を芯部、非導電性成分を鞘部に配した以外は参考例2と同様に行って、導電性複合繊維を得た。
導電性成分、非導電性成分中の共重合成分の種類と共重合を表1に示すように変更し、併せて、固相重合反応時間を変更してカルボキシル末端基濃度を表1に示す値のものとし、さらに非導電性成分として、極限粘度0.64、カルボキシル末端基濃度37geq/tの共重合PETを用いた以外は、参考例2と同様に行って、導電性複合繊維を得た。
単糸の横断面形状が図3(c)となるように設計された紡糸口金を用い、導電性成分、非導電性成分中の共重合成分の種類と共重合量を表1に示すように変更し、併せて、固相重合反応時間を変更してカルボキシル末端基濃度を表1に示す値のものとし、さらに非導電性成分として、比較例2と同様の極限粘度0.64、カルボキシル末端基濃度37geq/tの共重合PETを用いた以外は、参考例2と同様に行い、図3(c)の断面形状を呈する28dtex/2の導電性複合繊維を得た。
Claims (3)
- 固相重合若しくは溶融重合によりカルボキシル末端基濃度を25geq/t以下としたポリエステル系樹脂からなる非導電性成分と、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジカルボン酸のうち少なくとも一成分を共重合したポリブチレンテレフタレートからなり、かつ、導電性粒子を含有する導電性成分とで構成され、導電性成分の少なくとも一部が繊維表面に露出している形状を呈している導電性複合マルチフィラメントであって、電気抵抗値が1×104Ω〜1×107Ω/cmであり、湿熱処理(121℃で25時間処理)後の導電性能低下率が20以下であり、湿熱処理(121℃で25時間処理)後の強度保持率が70%以上であることを特徴とする耐湿熱性導電性複合マルチフィラメント。
- 導電性複合マルチフィラメントのカルボキシル末端基濃度が25geq/t以下である請求項1記載の耐湿熱性導電性複合マルチフィラメント。
- 非導電性成分が、イソフタル酸、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジカルボン酸のうち少なくとも一成分を共重合したポリエチレンテレフタレートである請求項1又は2に記載の耐湿熱性導電性複合マルチフィラメント。
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