JPH09263688A - ポリエステル組成物、モノフィラメントおよび工業用織物 - Google Patents

ポリエステル組成物、モノフィラメントおよび工業用織物

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JPH09263688A
JPH09263688A JP8073949A JP7394996A JPH09263688A JP H09263688 A JPH09263688 A JP H09263688A JP 8073949 A JP8073949 A JP 8073949A JP 7394996 A JP7394996 A JP 7394996A JP H09263688 A JPH09263688 A JP H09263688A
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JP
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polyester
group
monofilament
polyester composition
carbodiimide compound
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Application number
JP8073949A
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English (en)
Inventor
Toyohiko Masuda
豊彦 増田
Yuhei Maeda
裕平 前田
Kei Horii
慶 堀井
Akira Kinoshita
明 木下
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Toray Monofilament Co Ltd
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Monofilament Co Ltd
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 優れた導電性と耐加水分解性を備えたポリエ
ステル組成物、モノフィラメント及びこれらからなる、
抄紙用ドライヤーキャンバス、サーマルボンド法不織布
熱接着工程用ネットコンベア等の各種工業用織物。 【解決手段】 ポリエステルが下記一般式〔I〕又は
〔II〕で表される1種の末端基を5当量/106 g 以上
と、未反応のカルボジイミド化合物を0.005〜1.
5重量%及び導電性物質を含有した、ポリエステル組成
物、モノフィラメント、抄紙用ドライヤーキャンバス、
サーマルボンド法不織布熱接着工程用ネットコンベア。 (一般式〔I〕及び一般式〔II〕中のRは、H、N−メ
チレン−フタルイミド基等を、XはH、カルボジイミド
反応残基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた導電性と耐
加水分解性を兼ね備えたポリエステル組成物、モノフィ
ラメントおよび該モノフィラメントを用いた抄紙ドライ
ヤーキャンバス、サーマルボンド法不織布熱接着工程用
ネットコンベア、篩用フィルター等の工業用織物に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチ
レンテレフタレートは優れた力学特性、化学特性を有し
ており、繊維、フィルムなどの成型品として広く用いら
れてきた。しかしながら、ポリエステルは導電性が極め
て低いため、静電気が帯電しやすいことに起因して種々
の問題を有していた。例えば、ポリエステルモノフィラ
メントを、小麦粉などの粉体篩分けフィルター、サーマ
ルボンド法不織布熱接着工程用ネットコンベア、抄紙機
のドライヤーキャンバスなどの工業用織物に用いると、
使用中に発生する静電気が織物に蓄積し、粉塵の製品へ
の付着や織物と製品との反発あるいは剥離不良、放電火
花による引火・爆発等の危険性を招き、操業に支障をき
たす欠点を有していた。
【0003】従来よりこの問題に対処するため種々の改
良が試みられてきた。例えば、ポリエステルモノフィラ
メント織物の一部に、銅線などの金属線を交織した工業
用織物が知られているが、これは使用中に金属線に錆が
発生したり、織物が接触するローラーを擦過するなどの
問題があるため実用的でない。
【0004】また、ポリエステル繊維に導電性を付与す
る手段も種々提案されてきた。例えば、芯が芳香族ポリ
エステル/脂肪族ポリエステル(混合重量比率80/2
0〜98/2)混合ポリマおよび導電性カーボンブラッ
クとの混合物からなり、鞘が芳香族ポリエステルからな
る導電性複合繊維が提案されている(特開昭56−85
423号公報)。しかし、この方法で得られたモノフィ
ラメントは、鞘成分に導電性カーボンブラックが存在し
ないため導電性が不十分であるという問題を有してい
た。
【0005】また、ポリエステル製品は、高温・高湿度
雰囲気下で加水分解を起こしやすいという問題を有して
いた。例えば、ポリエステルモノフィラメントを抄紙ド
ライヤーキャンバスの構成素材として使用した場合は、
使用中にポリエステルモノフィラメントが加水分解劣化
による強度低下を起こすため、長期間の使用に耐えるこ
とが困難であった。このポリエステルの耐加水分解性を
改善するため従来から種々の改善が行なわれてきた。
【0006】例えば、ポリエステルにグリシジルフタル
イミドを添加する方法(特公昭61−4843号公
報)、ポリエステルにアルカリ金属の存在下、エポキシ
化合物を添加する方法(特公昭61−42728号公
報)、ポリエステルにオキサゾリン化合物を添加する方
法(特公昭63−8133号公報、特公昭61−485
31号公報、特公昭61−57182号公報、特公昭5
7−161122号公報、特公昭61−48532号公
報)が知られており、それなりの耐加水分解性向上効果
は得られるが、現在求められている高いレベルの耐加水
分解性を満足することはできない。
【0007】また、カルボジイミド化合物を添加するこ
とによりポリエステルの耐加水分解性を向上せしめる方
法が知られている。例えば、モノまたはビスカルボジイ
ミド化合物を添加し、短時間で混練紡糸し未反応カルボ
ジイミドを含有しないフィラメントを形成させる方法
(特開昭50−95517号公報)、分子内に3個以上
のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物
を添加する方法(特公昭38−15220号公報)、カ
ルボキシル末端基がカルボジイミドとの反応でキャップ
され、遊離のモノ及び/又はビスカルボジイミド化合物
30〜200ppmと遊離のポリカルボジイミド又はな
お反応性を有するポリカルボジイミド基を含む反応生成
物を少なくとも0.02重量%含有するポリエステル繊
維及びフィラメント(特開平4−289221号公報)
が提案されている。また、特定量のリンを含むポリエス
テルに特定のカルボジイミド化合物を添加する工業用ポ
リエステルモノフィラメントの製造方法(特開昭57−
205518号公報)および特定のカルボジイミド化合
物を未反応の状態で特定量残存させた抄紙キャンバス用
ポリエステルモノフィラメント(特開昭58−2391
6号公報)を提案するなど種々の改善がなされてきた。
【0008】しかしながら、上記した導電性をポリエス
テルに付与する目的で、高濃度のカーボンブラックを含
有させたポリエステルにおいては、カーボンブラック由
来の水分やカーボンブラックが有する官能基の影響で、
ポリエステルが更に加水分解しやすくなり、例えば、カ
ーボンブラック含有ポリエステルモノフィラメントを抄
紙ドライヤーキャンバスの構成素材として使用した場合
には、加水分解の進行に伴ってカーボンブラックを含有
したポリエステルモノフィラメントが使用中に削れて脱
落し紙製品の品位を著しく低下せしめる問題を有してお
り、優れた導電性と耐加水分解性とを有するポリエステ
ルが嘱望されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した要求
に鑑み、優れた導電性と耐加水分解性とを兼ね備えた、
各種工業用部品、衣料用および工業用繊維材料、各種織
物などとして有用なポリエステル組成物、モノフィラメ
ントおよび該モノフィラメントを使用した各種工業用織
物、抄紙用ドライヤーキャンバスおよび、サーマルボン
ド法不織布熱接着工程用ネットコンベア、乾燥機内搬送
用ベルトに関するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の課題
は、 1.ポリエステルが下記一般式〔I〕または〔II〕で表
される少なくとも1種の末端基を5当量/106 g 以上
と、未反応のカルボジイミド化合物を0.005〜1.
5重量%および導電性物質を含有し、比抵抗が108 Ω
・cm以下であるポリエステル組成物、モノフィラメン
トおよび該モノフィラメントを少なくとも一部に使用し
た抄紙ドライヤーキャンバス、サーマルボンド法不織布
熱接着工程用ネットコンベア、篩用フィルター、乾燥機
内搬送用ベルト等の工業用織物ないしは、
【化3】 (一般式〔I〕および一般式〔II〕中のRは、水素原
子、N−メチレン−フタルイミド基、N−メチレン−ア
ルキル置換フタルイミド基、N−メチレン−アルコキシ
置換フタルイミド基、N−メチレン−ハロゲン置換フタ
ルイミド基、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル
基、アルキル置換フェニル基、アルコキシ置換フェニル
基、フェニル置換フェニル基、ハロゲン置換フェニル
基、シクロアルキル基を表し、Xは水素原子、カルボジ
イミド反応残基を表す。) 2.導電性物質として導電性カーボンブラックを4〜1
5重量%含有する、上記のポリエステル組成物、モノフ
ィラメントおよび該モノフィラメントを少なくとも一部
に使用した抄紙ドライヤーキャンバス、サーマルボンド
法不織布熱接着工程用ネットコンベア、篩用フィルタ
ー、乾燥機内搬送用ベルト等の工業用織物、ないしは、 3.未反応のカルボジイミド化合物が、N,N´−ジ−
2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドであ
る、上記のポリエステル組成物、モノフィラメントおよ
び該モノフィラメントを少なくとも一部に使用した抄紙
ドライヤーキャンバス、サーマルボンド法不織布熱接着
工程用ネットコンベア、篩用フィルター、乾燥機内搬送
用ベルト等の工業用織物、ないしは、 4.ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたは
ポリブチレンテレフタレートまたはブチレンテレフタレ
ート単位,ブチレンイソフタレート単位,脂肪族ジカル
ボン酸のジブチレンエステル単位からなる共重合ポリエ
ステルから選ばれた少なくとも一種である、上記のポリ
エステル組成物、モノフィラメントおよび該モノフィラ
メントを少なくとも一部に使用した抄紙ドライヤーキャ
ンバス、サーマルボンド法不織布熱接着工程用ネットコ
ンベア、篩用フィルター、乾燥機内搬送用ベルト等の工
業用織物、ないしは、 5.モノフィラメントが芯鞘複合糸であって、該芯鞘複
合糸の少なくとも鞘成分が上記のポリエステル組成物か
らなり、芯成分が未反応のカルボジイミド化合物を0.
005〜1.5重量%含有するポリエステルからなる芯
鞘複合モノフィラメントである、上記のモノフィラメン
トおよび該モノフィラメントを少なくとも一部に使用し
た抄紙ドライヤーキャンバス、サーマルボンド法不織布
熱接着工程用ネットコンベア、篩用フィルター、乾燥機
内搬送用ベルト等の工業用織物、ないしは、 6.ポリエステルと下記一般式〔III 〕または〔IV〕で
表される少なくとも1種のエポキシ化合物および導電性
カーボンブラックとを溶融混練した後、カルボジイミド
化合物と溶融混練することを特徴とするポリエステル組
成物の製造方法、ないしは、
【化4】 (一般式〔III 〕および一般式〔IV〕中のRは、水素原
子、N−メチレン−フタルイミド基、N−メチレン−ア
ルキル置換フタルイミド基、N−メチレン−アルコキシ
置換フタルイミド基、N−メチレン−ハロゲン置換フタ
ルイミド基、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル
基、アルキル置換フェニル基、アルコキシ置換フェニル
基、フェニル置換フェニル基、ハロゲン置換フェニル
基、シクロアルキル基を表す。) 7.エポキシ化合物が、N−グリシジルフタルイミドま
たはo−フェニル・フェニルグリシジルエーテルから選
ばれた少なくとも1種である、上記のポリエステル組成
物の製造方法、ないしは、 8.カルボジイミド化合物が、N,N´−ジ−2,6−
ジイソプロピルフェニルカルボジイミドである、上記の
ポリエステル組成物の製造方法、ないしは、 9.ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートまた
はポリブチレンテレフタレートまたはブチレンテレフタ
レート単位,ブチレンイソフタレート単位,脂肪族ジカ
ルボン酸のジブチレンエステル単位からなる共重合ポリ
エステルから選ばれた少なくとも一種である、上記のポ
リエステル組成物の製造方法、ないしは、 10.上記の方法で得られたポリエステル組成物を、紡
糸・延伸・熱セットすることを特徴とする、上記のモノ
フィラメントの製造方法等によって達成できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル組成物およびモノフィラメントに
おけるポリエステル(以下、該ポリエステルという)
は、ジカルボン酸と、グリコールからなるポリエステル
である。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、1,
4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。ま
た、グリコール成分としては、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,
4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これ
らのジカルボン酸成分とグリコール成分とを適宜組み合
わせて使用することができる。また、上記のジカルボン
酸成分の一部を、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー
酸、スルホン酸金属塩置換イソフタル酸などで置き換え
てもよく、また、上記のグリコール成分の一部をジエチ
レングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シ
クロヘキサンジオール、ポリアルキレングリコールなど
で置き換えてもよい。更に、ペンタエリスリトール、ト
リメチロールプロパン、トリメリット酸、トリメシン
酸、硼酸などの鎖分岐剤を少量併用することもできる。
【0012】これらの内でも、ジカルボン酸成分の90
モル%以上がテレフタル酸からなり、グリコール成分の
90モル%以上がエチレングリコールからなる、ポリエ
チレンテレフタレート(以下、PETという)およびジ
カルボン酸成分の90モル%以上がテレフタル酸からな
り、グリコール成分の90モル%以上がテトラメチレン
グリコールからなる、ポリブチレンテレフタレート(以
下、PBTという)およびブチレンテレフタレート単位
および/またはブチレンイソフタレート単位、および脂
肪族ジカルボン酸のジブチルエステル単位からなる共重
合成分で構成される共重合ポリエステル(以下、共重合
ポリエステルという)が好適である。ポリエステルが共
重合ポリエステルの場合のブチレンテレフタレート単位
および/またはブチレンイソフタレート単位および脂肪
族ジカルボン酸のジブチルエステル単位との共重合比率
は任意に選択することができるが、ブチレンテレフタレ
ート単位および/またはブチレンイソフタレート単位9
0〜98重量%および脂肪族ジカルボン酸のジブチルエ
ステル単位10〜2重量%からなる共重合比率が好まし
い。
【0013】PET、PBT等のポリエステルの極限粘
度は、通常は0.6以上であればよいが、共重合ポリエ
ステルの極限粘度〔η〕は通常0.3以上のものを用い
ればよい。共重合ポリエステル中の脂肪族ジカルボン酸
のジブチルエステル単位とは、メチレン数3〜10個の
ジカルボン酸のジブチルエステル単位が好ましく、これ
らの中でもジブチルアジペート単位が更に好ましい。
【0014】該ポリエステルには、酸化チタン、酸化ケ
イ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タル
ク、カオリン、ジルコニウム酸などの各種無機粒子や架
橋高分子粒子などの粒子類のほか、従来公知の抗酸化
剤、金属イオン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、耐
光剤、包接化合物、帯電防止剤、各種着色剤、ワックス
類、シリコーンオイル、各種界面活性剤、各種強化繊維
類などが添加されていてもよい。
【0015】本発明のポリエステル組成物ないしはモノ
フィラメントにおけるポリエステルが有する上記一般式
〔I〕または〔II〕で表される少なくとも1種の末端基
(以下、一般式〔I〕,〔II〕の末端基という)は、
ポリエステルの末端カルボキシル基と対応するモノエポ
キシド化合物との反応により生成した末端基、該ポリエ
ステルの末端カルボキシル基と対応するモノエポキシド
化合物との反応により生成した末端基とカルボジイミド
化合物との反応残基であり、ポリエステルの末端カルボ
キシル基と反応しているモノエポキシド化合物として
は、1官能のエポキシド化合物であればいかなるもので
もよく、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシ
ド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、N−グリシ
ジルフタルイミド、N−グリシジル−4−メチルフタル
イミド、N−グリシジル−4,5−ジメチルフタルイミ
ド、N−グリシジル−3−メチルフタルイミド、N−グ
リシジル−3,6−ジメチルフタルイミド、N−グリシ
ジル−4−エトキシフタルイミド、N−グリシジル−4
−クロルフタルイミド、N−グリシジル−4,5−ジク
ロルフタルイミド、N−グリシジル−4−ブロムフタル
イミド、N−グリシジル−4,5−ジブロムフタルイミ
ド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエー
テル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジル
エーテル、アリルグリジジルエーテル、シクロヘキシル
グリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、o
−フェニル・フェニルグリシジエルエーテル、2−エチ
ルヘキシルグリシジエルエーテル、p−tert. ーブチル
フェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシ
ジルエーテル、エチレンオキシド付加フェノール類とエ
ピクロルヒドリンとの縮合反応物、エチレンオキシド付
加アルコール類とエピクロルヒドリンとの縮合反応物等
を挙げることができる(以下、例示モノエポキシド化合
物類という)。これらのモノエポキシド化合物の中で
も、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、N−グリ
シジルフタルイミド、フェニルグリシジルエーテル、o
−フェニル・フェニルグリシジエルエーテルとが好まし
く、N−グリシジルフタルイミド、o−フェニル・フェ
ニルグリシジエルエーテルが更に好ましい。
【0016】ポリエステル中における一般式〔I〕,
〔II〕の末端基の濃度は、モノエポキシド化合物と反応
する前のポリエステル(以下、原料ポリエステルとい
う)が有する末端カルボキシル基濃度および該末端カル
ボキシル基と反応させるモノエポキシド化合物の添加量
等によって異なるものであるが、次式により知ることが
できる。E=C−Ec (式中の、Eは、一般式〔I〕お
よび一般式〔II〕の末端基の濃度(当量/106 g )を表
し、Ec は、原料ポリエステルとモノエポキシド化合物
と導電性物質、例えばカーボンブラックとを溶融混練し
た後のポリエステルの末端カルボキシル基濃度(当量/
106 g )を表わし、Cは、原料ポリエステルとモノエポ
キシド化合物と導電性物質、例えばカーボンブラックと
を溶融混練したときとほぼ同一の条件で、モノエポキシ
ド化合物無しで原料ポリエステルと導電性物質、例えば
カーボンブラックを溶融混練した後のポリエステルの末
端カルボキシル基濃度(当量/106 g )を表わす。) ここで、末端カルボキシル基濃度はPohlにより、Anal.
Chem. ,24 1614 (1954)に記載された方法で測定される
ものである。
【0017】上記式におけるE、すなわちポリエステル
中における一般式〔I〕,〔II〕の末端基濃度は、5当
量/106 g 以上あればよく、10当量/106 g 以上あれ
ば更に好ましい。
【0018】本発明のポリエステル組成物の導電性は、
比抵抗が108 Ω・cm以下であり、106 Ω・cm以
下であると好ましく、105 Ω・cm以下であると更に
好ましい。
【0019】ここで、上記した比抵抗は、樹脂組成物に
ついてはASTM D257に従って行なったものであ
り、モノフィラメントについては、実施例の説明中にも
記載するが、東亜電波工業(株)製の極超絶縁計SM−
10E型を使用し、電極間の試料長さ1cmで測定した
ものである。
【0020】比抵抗が108 Ω・cm以下のポリエステ
ル組成物は、ポリエステルに導電性物質を含有させるこ
とによって達成できる。ポリエステルに含有させる導電
性物質としては、各種導電性カーボンブラック(以下、
CBという)、各種金属粉末・微細繊維、各種導電性金
属化合物、各種導電性金属酸化物などを挙げることがで
き、これらの導電性物質の1種または2種以上を組み合
わせて使用することができるが、これらの中でもCBが
好ましい。
【0021】CBとしては、導電性を有するCBであれ
ばいかなるものでも使用できるが、DBP給油量(9g
法)が340m■/100g以上のCBが好適である。
この様なCBとしてはケッチェン・ブラック・インター
ナショナル社製“ケッチェンブラック”TMECや“ケッ
チェンブラック”TMEC600JD が知られている。
【0022】導電性物質としてCBを使用する場合のポ
リエステル組成物中のCBの含有量は、4〜15重量%
であり、8〜12重量%であると更に好ましい。CBの
量が上記範囲より多いと、樹脂の流動性が低下し、例え
ば溶融紡糸などによる成形が困難となる。また、カーボ
ンブラックの量が上記範囲より少ないと、得られるモノ
フィラメントの導電性が不十分となる。
【0023】また、CB以外の導電性物質としては、例
えば銀、銅、ニッケル、鉄などの金属粉・ウィスカー類
および硫化銅、ヨウ化銅、硫化亜鉛などの金属化合物
類、酸化アンチモンを添加した酸化錫、アルミニウム酸
化物、カリウム酸化物、インジウム酸化物、ゲルマニウ
ム酸化物等の金属酸化物を添加した酸化亜鉛等の金属酸
化物粒子・ウィスカー類および酸化チタン、酸化亜鉛、
酸化マグネシウム、酸化錫、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化
アルミニウム等の表面に上記の導電性を有する金属、金
属化合物、金属酸化物等の導電性皮膜を形成した粒子・
ウィスカー類を挙げることができ、これらのCB以外の
導電性物質をポリエステルに通常は5〜50重量%含有
させることができる。
【0024】本発明における一般式〔I〕,〔II〕の末
端基と導電性物質を有するポリエステルは、カルボキシ
ル末端基を有するポリエステルと導電性物質およびモノ
エポキシド化合物の中から1種または複数種組み合わせ
た化合物の必要量とをポリエステルに添加し、溶融混練
反応させるか、更にカルボジイミド化合物と溶融混練反
応することにより得ることができる。この時の、モノエ
ポキシド化合物の必要量は、原料ポリエステルの末端カ
ルボキシル基濃度および得ようとするポリエステル組成
物あるいはモノフィラメントのポリエステルが有する末
端カルボキシル基濃度レベルによって任意に決定するこ
とができるが、原料ポリエステルが有する末端カルボキ
シル基濃度と等しい化学当量以上、該化学当量の10倍
以下の量が好ましい。ただし、原料ポリエステルの末端
カルボキシル基濃度が高い場合にはモノエポキシド化合
物を多量に反応させる必要が生じ、得られるポリエステ
ル組成物等の物性が低下傾向を示す場合がある。この意
味で、原料ポリエステルとしては、カルボキシル基濃度
が100 当量/106 g 以下のものが好ましい。
【0025】本発明のポリエステル組成物ないしはモノ
フィラメントが含有するところの、未反応のカルボジイ
ミド化合物としては、1分子中に1個または2個以上の
カルボジイミド基を有する化合物であればいかなるもの
でもよいが、例えば、N,N´−ジ−o−トリイルカル
ボジイミド、N,N´−ジフェニルカルボジイミド、
N,N´−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N´
−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−
トリイル−N´−シクロヘキシルカルボジイミド、N,
N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイ
ミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert. −ブチルフェ
ニルカルボジイミド、N−トリイル−N´−フェニルカ
ルボジイミド、N,N´−ジ−p−ニトロフェニルカル
ボジイミド、N,N´−ジ−p−アミノフェニルカルボ
ジイミド、N,N´−ジ−p−ヒドロキシフェニルカル
ボジイミド、N,N´−ジ−シクロヘキシルカルボジイ
ミド、N,N´−ジ−p−トリイルカルボジイミド、p
−フェニレン−ビス−ジ−o−トリイルカルボジイミ
ド、p−フェニレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジ
イミド、ヘキサメチレン−ビス−ジシクロヘキシルカル
ボジイミド、エチレン−ビス−ジフェニルカルボジイミ
ド,下記一般式で示される芳香族ポリカルボジイミド等
が挙げられる(以下、例示カルボジイミド化合物類とい
う)。
【0026】
【化5】 (式中のRは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基
を表し、nは2〜20の整数を表す) これらの例示カルボジイミド化合物類の中から1種また
は2種以上の化合物を任意に選択しポリエステルに含有
させればよいが、ポリエステルに添加後の安定性から、
芳香族骨格を有する化合物が有利な傾向にあり、中でも
N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボ
ジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert. −ブチル
フェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメ
チルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−o−トリ
イルカルボジイミドなどが有利な傾向にあり、特にN,
N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイ
ミド(以下、TICという)が好適である。
【0027】本発明のポリエステル組成物、ポリエステ
ル繊維あるいはモノフィラメントにおける、未反応のカ
ルボジイミド化合物の含有量は、0.005重量%以
上、1.5重量%以下である。また、未反応のカルボジ
イミド化合物の含有量が、0.01重量%以上、1.2
重量%以下であると更に好ましい傾向にある。未反応の
カルボジイミド化合物の含有量が0.005重量%より
少ない場合は耐加水分解性を一層向上させる効果が少な
く、1.5重量%より多い場合は物性が低下しやすく、
ポリエステル組成物あるいはモノフィラメントの製造時
にポリマ中よりブリードアウトしやすくなり好ましくな
い。
【0028】ここで本発明にいうポリエステル組成物あ
るいはモノフィラメント中の未反応のカルボジイミド化
合物の含有量は次の方法で測定したものである。
【0029】(1)100mlメスフラスコに試料約2
00mgを秤取する。 (2)ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム
(容量比1/1)2mlを加えて試料を溶解させる。 (3)試料が溶解したら、クロロホルム8mlを加え
る。 (4)アセトニトリル/クロロホルム(容量比9/1)
を徐々に加えポリマを析出させながら100mlとす
る。 (5)試料溶液を目開き0.45μmのディスクフィル
ターで濾過し、HPLCで定量分析する。HPLC分析
条件は次の通り。 カラム:Inertsil ODS−2 4.6mm
×250mm 移動相:アセトニトリル/水(容量比94/6) 流 量:1.5ml/min. 試料量:20μl 検出器:UV(280nm) 本発明のポリエステル組成物、ポリエステル繊維あるい
はモノフィラメントに、未反応のカルボジイミド化合物
を0.005重量%以上、1.5重量%以下含有させる
には、カルボジイミド化合物を添加する前のポリエステ
ルの末端カルボキシル基濃度および反応条件などから、
反応後のポリエステル中の未反応で残存する該カルボジ
イミド化合物が0.005重量%以上、1.5重量%以
下の濃度になる量の該カルボジイミド化合物をポリエス
テルに添加し、反応させればよい。 本発明のポリエス
テル組成物の製造は、モノエポキシド化合物とCBおよ
びカルボジイミド化合物をポリエステルに添加し溶融状
態で混練することにより得ることができる。
【0030】ポリエステルに添加するモノエポキシド化
合物は、一般式〔III 〕または〔IV〕で表される少なく
とも1種のエポキシド化合物であり、1官能のエポキシ
ド化合物であればいかなるものでもよく、用いることの
できるエポキシド化合物の具体例としては、例えば、前
記の例示モノエポキシド化合物と同一のものを挙げるこ
とができる。これらのモノエポキシド化合物の中でも、
エチレンオキシド、プロピレンオキシド、N−グリシジ
ルフタルイミド、フェニルグリシジルエーテル、o−フ
ェニル・フェニルグリシジエルエーテルとが好ましく、
N−グリシジルフタルイミド、o−フェニル・フェニル
グリシジエルエーテルが更に好ましい。
【0031】また、ポリエステルに添加するカルボジイ
ミド化合物としては、1分子中に1個または2個以上の
カルボジイミド基を有する化合物であればいかなるもの
でもよく、用いることのできるカルボジイミド化合物の
具体例としては、例えば、前期の例示カルボジイミド化
合物類と同一のものを挙げることができる。これらのカ
ルボジイミド化合物の中から1種または2種以上の化合
物を任意に選択しポリエステルに含有させればよいが、
ポリエステルに添加後の安定性から、芳香族骨格を有す
る化合物が有利な傾向にあり、中でもN,N´−ジ−
2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,
N´−ジ−2,6−ジ−tert. −ブチルフェニルカルボ
ジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカ
ルボジイミド、N,N´−ジ−o−トリイルカルボジイ
ミドなどが有利な傾向にあり、特にN,N´−ジ−2,
6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(以下、T
ICという)が好適である。また、該カルボジイミド化
合物は、ポリエステルやポリオレフィン類等のポリマに
該カルボジイミド化合物類を10重量%以上の高濃度に
含有させたマスターペレットとして用いることもでき
る。
【0032】これらの、エポキシド化合物、カルボジイ
ミド化合物、導電性物質、例えばCBおよびポリエステ
ルとの溶融混練は、重縮合反応後の溶融状態のポリエス
テルあるいはポリエステルチップにエポキシド化合物と
カルボジイミド化合物と導電性物質、例えばCBとを同
時に添加して、重縮合槽内、撹拌器付きの溶融混練槽内
あるいは1軸、2軸エクストルダーで溶融混練する方
法、エポキシド化合物をしみ込ませ、または付着させた
ポリエステルチップに導電性物質、例えばCBおよびカ
ルボジイミド化合物を添加して溶融混練する方法、また
はポリエステルとエポキシド化合物と導電性物質、例え
ばCBとを予め溶融混練した後、更にカルボジイミド化
合物を溶融混練する方法等いかなる方法によっても行う
ことができるが、特に好ましい方法は、ポリエステルと
エポキシド化合物と導電性物質としてCBとを予め溶融
混練した後、カルボジイミド化合物を溶融混練する方法
が挙げられる。その理由は明らかではないが次の様に考
えられる。
【0033】ポリエステルの加水分解を大幅に抑制する
ためには、ポリエステルの加水分解を促進する作用のあ
る物質や官能基を不活性化することが必要である。また
ポリエステルとCBとを混練する際には、CB中にも水
分が存在するためこれらを不活性化することが必要であ
る。例えば、原料ポリエステルが有するカルボキシル基
を封鎖することと、ポリエステル製品が使用中に継続的
に加水分解して発生するカルボキシル基を順次封鎖し続
けることが必要である。この手段として、原料ポリエス
テルにエポキシド化合物を添加する方法では、原料ポリ
エステルが有するカルボキシル基を封鎖することは可能
であるが、エポキシド化合物は多量に添加してもポリエ
ステル製品中に未反応状態で残存しにくいため、ポリエ
ステル製品が使用中に加水分解して発生するカルボキシ
ル基を不活性化する機能に欠ける。一方、原料ポリエス
テルにカルボジイミド化合物を添加する方法では、カル
ボジイミド化合物はポリエステル中に未反応で存在する
ことができる性質を有するものの、カルボジイミド化合
物が原料ポリエステル中のカルボキシル基を封鎖する反
応のみならずポリエステルの水酸基とも反応して消費さ
れる。また、ポリエステルに混練するCB中の水分によ
るポリエステルの加水分解を抑制するために事前にCB
を乾燥する手段を講じても、完全に水分を除去すること
が困難なため、カルボジイミド化合物がCB中の水分と
も反応して消費される。そこで、未反応のカルボジイミ
ド化合物の有効量をポリエステル製品中に残存せしめる
ために、カルボジイミド化合物を多量にポリエステルに
添加しようとすると、カルボジイミド化合物のポリエス
テルに対する溶解度が低く、成形時にポリエステルから
ブリードアウトしたり、ポリエステル成形物の物性が低
下するなどの問題があり、適用することができなかっ
た。しかしながら、上記した本発明の方法によれば、ま
ず、ポリエステルにCBとエポキシド化合物を添加し溶
融混練して予め原料ポリエステルおよびCB中の水分に
よってポリエステルが加水分解することで発生するカル
ボキシル基を封鎖した後、カルボジイミド化合物を添加
し溶融混練するため、製品ポリエステル中に未反応のカ
ルボジイミド化合物の必要量が効率よく残存し、ポリエ
ステル製品が使用中に継続的に加水分解して発生するカ
ルボキシル基を順次封鎖し続けるることができるものと
考えられる。
【0034】特に好ましい具体的な方法は、まず、加熱
・減圧条件、加熱不活性ガスまたは加熱エアー中などで
乾燥したポリエステルチップあるいは溶融状態のポリエ
ステルに、液状、粉状またはフレーク状等の任意の形態
のエポキシド化合物および減圧条件、加熱不活性ガス中
などで乾燥したCBを計量供給しながらポリエステルの
融点以上の温度でエクストルダー等で溶融混練した後、
必要に応じて冷却・固化・カッティング等を行ったポリ
エステルに、液状、粉状またはフレーク状等の任意の形
態のカルボジイミド化合物を計量供給しながらポリエス
テルの融点以上の温度でエクストルダーで溶融混練した
後、押し出しまたは射出するなどして任意の形状に成形
する方法が挙げられる。この方法におけるポリエステル
とエポキシド化合物およびCBとの溶融混練あるいはカ
ルボジイミド化合物との溶融混練は、通常は夫々、ポリ
エステルの融点以上の温度で、20秒間〜20分間行え
ばよいが、該溶融混練を30秒間〜13分以内で行うと
得られたポリエステルの耐加水分解性が一層優れたもの
となる傾向にある。
【0035】本発明のモノフィラメントは、1本の単糸
からなる連続糸であり、該モノフィラメントの繊維軸方
向に垂直な断面の形状(以下、断面形状もしくは断面と
いう)は、円、扁平、正方形、半月状、三角形、5角以
上の多角形、多葉状、ドッグボーン状、繭型などいかな
る断面形状を有するものでもよい。本発明のモノフィラ
メントを工業用織物の構成素材として用いる場合には、
該モノフィラメントの断面形状が円もしくは扁平の形状
が好ましい。特に、該モノフィラメントが抄紙用ドライ
ヤーキャンバスの経糸である場合には、キャンバスの平
坦性という観点から該モノフィラメントの断面形状が扁
平なものが好ましく用いられる。
【0036】本発明のモノフィラメントの製造は、上記
した本発明のポリエステル組成物を公知の方法で紡糸・
延伸し・熱セットすることによって行うことができる
が、ポリエステルと導電性物質としてCBとエポキシド
化合物を予め溶融混練した後、更にカルボジイミド化合
物を溶融混練し、引き続いて紡糸・延伸し・熱セットす
る方法が好ましい。具体的には、まず、加熱・減圧条
件、加熱不活性ガスまたは加熱エアー中などで乾燥した
ポリエステルチップあるいは溶融状態のポリエステル
に、液状、粉状またはフレーク状等の任意の形態のエポ
キシド化合物および減圧条件、加熱不活性ガス中などで
乾燥したCBをを計量供給しながらポリエステルの融点
以上の温度でエクストルダー等で溶融混練した後、必要
に応じて冷却・固化・カッティング等を行ったポリエス
テルに、液状、粉状またはフレーク状等の任意の形態の
カルボジイミド化合物を計量供給しながらポリエステル
の融点以上の温度でエクストルダーで溶融混練を行い、
引き続いてエクストルダー先端部に設置したポリマ流線
入替器、濾過層などを経て紡糸口金より押し出し、冷却
・延伸・熱セットを行う方法で好ましく製造することが
できる。
【0037】また、本発明のモノフィラメントは、本発
明のポリエステル組成物を少なくとも一部の構成成分と
する複合構造であることができる。本発明のモノフィラ
メントが複合モノフィラメントであると、モノフィラメ
ントが強度に優れたものとなる傾向にある。複合モノフ
ィラメントの場合における本発明のポリエステル組成物
と他のポリマとの複合重量比率は任意に設定できるが、
本発明のポリエステル組成物/他のポリマ=90/10
〜3/97の範囲であるとモノフィラメントが導電性と
強度のバランスに優れたものとなるため好ましい傾向に
ある。
【0038】複合モノフィラメントの形態としてはいか
なる形態でもよく、例えば円形断面に類するモノフィラ
メントにおける断面の概略図として図1の様なものを挙
げることができる。
【0039】これらの複合構造の中でも、モノフィラメ
ントの表面に本発明のポリエステル組成物の一部が露出
している構造のものであると良好な導電性が得られるこ
とから、抄紙ドライヤーキャンバス、サーマルボンド法
不織布熱接着工程用ネットコンベア等の構成糸等の帯電
の激しい用途の構成糸として好ましい。なお、本発明の
モノフィラメントを、小麦粉や米粉および各種澱粉など
の食用粉体の篩分けフィルター用途に供する場合は、こ
れらのモノフィラメントの外層を、更に導電性カーボン
ブラックを含まないポリマで被覆(以下、表面被覆とい
う)すると、まれに発生する導電性ポリエステルの黒色
脱落物が食用粉体に混入するのを防止することができる
ため好ましい。この場合の表面被覆方法としては、公知
の2重または3重芯鞘複合紡糸方法や、メルトコーティ
ング、ウエットコーティング、ディッピングなどを採用
することができる。
【0040】本発明のポリエステル組成物と複合構造を
形成する他のポリマとしては、繊維形成性の熱可塑性ポ
リマであれば自由に選択でき、例えば、PET、PB
T、2,6−ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘ
キサンジメタノテレフタレート等のポリエステル類、ナ
イロン6、ナイロン66等のポリアミド類、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボ
ネート類、ポリフェニレンスルフィド類等を挙げること
ができ、中でもPET、PBT、2,6−ポリエチレン
ナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノテレフタレ
ート等のポリエステル類が好ましく、PETが更に好ま
しい。
【0041】これらの組み合わせからなる複合モノフィ
ラメントの中でも、モノフィラメントの、少なくとも鞘
成分が本発明のポリエステル組成物からなり、芯成分が
未反応のカルボジイミド化合物を0.005〜1.5重
量%含有するポリエステルからなる芯鞘複合モノフィラ
メントが特に好ましい。
【0042】該芯鞘複合モノフィラメントにおける芯成
分のポリエステルに含有されるところの未反応のカルボ
ジイミド化合物は、本発明のポリエステル組成物が含有
することのできるカルボジイミド化合物として例示した
カルボジイミド化合物を使用することができ、特にTI
Cが好ましい。
【0043】該芯成分に用いるポリエステルの製造は、
乾燥したポリエステルにカルボジイミド化合物を必要量
計量供給しながら溶融混練する方法ないしは乾燥したポ
リエステルにカルボジイミド化合物を含有するマスター
ポリエステルを計量ブレンドして溶融混練する方法等に
より行なうことがができる。
【0044】該芯鞘複合モノフィラメントの製造は、本
発明のポリエステル組成物を鞘成分とし、未反応のカル
ボジイミド化合物を0.005〜1.5重量%含有する
ポリエステルを芯成分として使用して、公知の芯鞘複合
紡糸方法により行なうことができるが、中でも好ましい
方法として、芯成分と鞘成分用の2基のエクストルダー
を備えた複合紡糸機を使用し、鞘成分用のエクストルダ
ーにポリエステルとエポキシド化合物とCBとを予め溶
融混練した一般式〔I〕,〔II〕の末端基を有するポリ
エステルと、カルボジイミド化合物とを計量供給しなが
ら溶融混練し、同時に芯成分用のエクストルダーにポリ
エステルとカルボジイミド化合物とを計量供給しながら
溶融混練し、引き続いてエクストルダー先端に設けた芯
鞘複合パック・口金から押し出して、冷却・延伸・熱セ
ットする方法が挙げられる。
【0045】かくして得られる本発明のモノフィラメン
トは、導電性と耐加水分解性が従来のものより優れたも
のであり、抄紙ドライヤーキャンバス、サーマルボンド
法不織布熱接着工程用ネットコンベア、篩用フィルタ
ー、乾燥機内搬送ベルトなどの各種工業用織物の静電気
除去用の構成糸として有用である。
【0046】ここで、抄紙ドライヤーキャンバスとは、
平織、二重織および三重織、スパイラル構造など様々な
織物として、抄紙機のドライヤー内で紙を乾燥させるた
めに使用される織物のことである。また、サーマルボン
ド法不織布の熱接着工程用ネットコンベアとは、不織布
を構成する低融点のポリエチレンのような熱接着性繊維
を融着させるために不織布を炉中に通過させるための織
物であり、平織、二重織などの織物である。また、篩用
フィルターとは、小麦粉、米粉、澱粉等の食用粉体、カ
ーボンブラック、無機・有機薬品粉体等の各種粉体を振
るい分けるための平織などの織物である。また、乾燥機
内搬送用ベルトとは、物を乾燥もしくは熱処理する目的
で乾燥機あるいは熱処理機内を通過、搬送するための平
織、二重、三重織等の多重織およびスパイラル構造等の
織物のことである。
【0047】本発明のモノフィラメントは上記の各種工
業用織物を構成する緯糸あるいは経糸の少なくとも一部
に使用する。使用形態としてはいかなる形態でもよく、
例えば、緯糸および経糸全体に用いたり、緯糸あるいは
経糸に通常のモノフィラメントと交互あるいは複数本置
きに使用することができる。
【0048】本発明のポリエステル組成物およびモノフ
ィラメントは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメ
チルペンテン、環状オレフィン系重合体、ポリブテン−
1、ポリペンテン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ
−4−メチルペンテン−1等のポリオレフィン類、およ
びアタクチック構造ポリスチレン、アイソタクチック構
造ポリスチレン、シンジオタクチック構造ポリスチレ
ン、ポリ−p−メチルスチレン、スチレンとp−メチル
スチレンとの共重合体、ポリ−α−メチルスチレン系重
合体等のポリスチレン類および、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリエチルメタクリレート、ポリn−プロピルメ
タクリレート、ポリn−ブチルメタクリレート、ポリn
−オクチルメタクリレート、ポリn−デシルメタクリレ
ート、ポリn−テトラデシルメタクリレート等のポリメ
タクリレート系重合体、各種α−オレフィンと不飽和酸
グリシジルエステルとの共重合体等の変性ポリオレフィ
ン類、アイオノマー類、エチレン・塩化ビニル共重合体
およびエチレン・酢酸ビニル共重合体等のエチレン・ビ
ニル系共重合体類、テルペン樹脂他の石油樹脂類、ポリ
アセタール樹脂類、スチレン・アクリロニトリル共重合
体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・無
水マレイミド共重合体、クマロン・インデン共重合体、
ポリフェニレンエーテル類、ポリフェニレンスルフィド
類、ポリカーボネート類、ナイロン6およびナイロン6
・6などのポリアミド類等のポリマの1種を単独、また
は2種以上組み合わせて含有していてもよい。これらの
ポリマを含有することにより、耐加水分解性が一層優れ
たものとなるため好ましい。
【0049】上記した含有させることのできるポリマの
中でも、ポリオレフィン類、ポリスチレン類およびポリ
メタクリレート系重合体が一層好ましく、ポリオレフィ
ン類の中では、環状オレフィン系重合体を用いるのが好
適な傾向にある。
【0050】環状オレフィン系重合体としては、特開平
7−258524号公報に記載の環状オレフィン系重合
体、例えば、エチレンを主成分とする炭素数2以上のα
−オレフィンとビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ンおよびその誘導体とのランダム共重合体(以下、エチ
レン・環状オレフィンランダム共重合体という)、ビシ
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エンおよびその誘導体
の開環重合体もしくは開環共重合体またはその水添物
(以下、環状オレフィンの開環重合体もしくは開環共重
合体またはその水素添加物という)を挙げることができ
る。
【0051】上記のエチレン・環状オレフィンランダム
共重合体、環状オレフィン開環重合体もしくは開環共重
合体またはその水素添加物は市販品として、アペル
TM(三井石油化学工業(株)製品)、ゼオネックス
TM(日本ゼオン(株)製品)、アートンTM(日本合成ゴ
ム(株)製品)などとして入手することができる。
【0052】上記したポリマを本発明のポリエステル組
成物あるいはモノフィラメントに含有させる場合のブレ
ンド率は、ポリエステル組成物あるいはモノフィラメン
トに対して0.2〜30重量%が好ましく、1〜15重
量%であると更に好ましい傾向にある。
【0053】また、本発明のポリエステル組成物あるい
はモノフィラメントは、上記したポリマの他に防汚性
(撥水・撥油性)を改善する目的で、公知の弗素樹脂を
含有させてもよい。この場合の弗素樹脂としては、分子
内にフッ素原子を有するポリマならいかなるものでもよ
く、例えば、エチレン・4フッ化エチレンランダム共重
合体(以下、ETFEという)、ポリ4フッ化エチレ
ン、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン・フッ化ビ
ニリデンランダム共重合体(以下、4F・6F・2F共
重合体という)、ポリクロロトリフルオロエチレン、ク
ロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリフ
ッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド・テトラフル
オロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パー
フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフル
オロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体など
の主としてポリマ分子の主鎖に弗素原子を有する弗素樹
脂およびポリパーフルオロアルキル・アクリレート、ポ
リパーフルオロアルキル・メタアクリレート、パーフル
オロアルキル・アクリレートおよび/またはパーフルオ
ロアルキル・メタアクリレートとヒドロキシアルキル基
を含有する場合も含めたアクリレートおよび/またはメ
タアクリレートとのランダムまたはブロック共重合体、
o−またはm−パ−フルオロオキシイソフタル酸をジカ
ルボン酸成分の少なくとも一部分に含むポリエステルま
たはポリエーテルポリエステルなどのポリマー分子の側
鎖に弗素原子を有する弗素樹脂が挙げられる。これらの
中から1種または2種以上の化合物を任意に選択しポリ
エステルに含有させることができる。これらの弗素樹脂
の中でも、ETFE、4F・6F・2F共重合体が好ま
しい傾向にある。
【0054】上記した弗素樹脂を本発明のポリエステル
組成物あるいはモノフィラメントに含有させる場合のブ
レンド率は、ポリエステル組成物あるいはモノフィラメ
ントに対して0.2〜30重量%が好ましく、1〜15
重量%であると更に好ましい傾向にある。
【0055】また、本発明のポリエステル組成物は、上
記のモノフィラメント、各種工業用織物の他に、マルチ
フィラメント、不織布、ステープルファイバーおよび綿
状などの繊維として、各種衣料品、各種フィルター、電
子部品、自動車部品、フィルム、シート等に好ましく用
いることができる。
【0056】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳しく説
明する。以下の実施例におけるモノフィラメントの耐蒸
熱性試験、モノフィラメントの耐加水分解性試験、比抵
抗の測定および織物の走行時の帯電圧の測定は次に示す
方法によって測定したものである。
【0057】<モノフィラメントの耐蒸熱性試験>モノ
フィラメントまたは織物を100リットルのオートクレ
ーブに入れ、121℃飽和水蒸気中で10日間、12日
間、15日間処理した後、該処理後のモノフィラメント
の強力を測定し、処理前のモノフィラメントの強力と比
較した強力保持率を求めた(以下、強力保持率とい
う)。強力保持率が高いほど加水分解劣化が少ないこと
を表す。
【0058】<モノフィラメントの耐加水分解性試験>
モノフィラメントを、水30ccと空気の入った1リッ
トルのステンレス製容器に入れて密封し、160℃の熱
媒中で2〜6時間処理した後のモノフィラメントのCOOH
基濃度を測定した。該処理後のCOOH基濃度が少ないほど
耐加水分解性が優れることを表す。
【0059】<モノフィラメントの比抵抗の測定>東亜
電波工業(株)製の極超絶縁計SM−10E型を使用
し、電極間の試料長さ1cmで測定した。
【0060】<織物の走行時の帯電圧の測定>リオン
(株)製の静電場測定機EA−03を使用し、エンドレ
ス織物を2本のローラーに掛け、360m/分の速度で
2分間走行させた時の帯電圧を10cmの距離から測定
したものである。
【0061】実施例1、比較実施例1 原料ポリエステルとして、1mmHgの減圧下において
130℃で6時間乾燥した〔η〕0.77、カルボキシル基
濃度(以下、COOH基濃度という)が41当量/106 g
(以下、eq/106 g という)のPBTチップとモノエポ
キシド化合物として、主成分がN−グリシジルフタルイ
ミドであるデナコールTMEX−731(長瀬化成株式会
社製品)(以下、EX−731という)および導電性物
質として100℃の窒素ガス中で6時間乾燥した“ケッ
チェンブラック”EC(以下、KB−ECという)と
を、重量比でPBT/EX−731/KB−EC=87
/3/10の量比で計量しながら2軸エクストルダーに
供給し、275℃で3分間溶融混練し、直径約φ3mm
のガット状に押し出し、冷却水槽に導き冷却し、圧縮空
気シャワーで水切りをした後カッティングする方法で、
本発明の一般式〔I〕で示され、式〔I〕中のRがN−
メチレンフタルイミド基である末端基(以下、末端基
〔I〕という)を有し、COOH基濃度0eq/106 g のCB
含有ペレット(以下、CB含有予備低COOH化ポリマとい
う)を得た。
【0062】次いで、1mmHgの減圧下において13
0℃で6時間乾燥したCB含有予備低COOH化ポリマとT
ICとを重量比でCB含有予備低COOH化ポリマ/TIC
=100/1.5の量比で計量しながら、1軸エクスト
ルダー式紡糸機に供給し、280℃で2.5分間溶融混
練された溶融ポリマをギアポンプを経て紡糸パック内の
濾過層および流線入替器(米国ケミックス社の「スター
ティックミキサー」)を通して円形断面用紡糸口金より
紡出した。該紡出溶融糸条を80℃の湯浴で冷却後、定
法に従い合計3倍に延伸および熱セットし直径0.4m
mの円形断面を有するモノフィラメントを得た。該モノ
フィラメントの比抵抗は3.4×102 Ω・cmであり、
未反応TIC含有量は0.137 重量%であり、COOH基濃度
は0eq/106 gであった。また、耐加水分解試験を2時
間行なった後の該モノフィラメントのCOOH基濃度は7eq
/106 gであった。
【0063】比較のために、実施例1におけるEX−7
31を添加せずに、PBTチップとKB−ECとを、重
量比でPBT/KB−EC=90/10の量比で計量し
ながら2軸エクストルダーに供給し、275℃で3分間
溶融混練し、直径約φ3mmのガット状に押し出し、冷
却水槽に導き冷却し、圧縮空気シャワーで水切りをした
後カッティングする方法で、COOH基濃度60eq/106 g
のCB混練ポリマを得た(以下、CB混練ポリマとい
う)。該CB混練ポリマのCOOH基濃度60eq/106 g と
上記の実施例1におけるCB含有予備低COOH化ポリマの
COOH基濃度0eq/106 g との差から、実施例1におけ
る、ポリエステル組成物であるモノフィラメントの末端
基〔I〕の濃度は60当量/106 g (以下、eq/106 g
という)であることがわかった。次いで、実施例1と同
様に乾燥・TICと溶融混練・紡糸・延伸・熱セットを
行ない、直径0.4mmの円形断面を有するモノフィラ
メントを得た。該モノフィラメントの比抵抗は5.3×
106 Ω・cmであり、未反応TIC含有量は0.000 重量
%であり、COOH基濃度は24eq/106 gであった。ま
た、耐加水分解試験を2時間行なった後の該モノフィラ
メントのCOOH基濃度は125eq/106 gであった。実施
例1および比較実施例1の内容と結果を表1に示す。
【0064】比較実施例2 実施例1におけるTICの添加を行なわなかったこと以
外は実施例1と同様に行なってモノフィラメントを得
た。内容と結果を表1に併示する。
【0065】実施例2 実施例1における円形断面用紡糸口金を扁平断面用紡糸
口金に変更したこと以外は実施例1と同様に行なってモ
ノフィラメントを得た。内容と結果を表1に併示する。
【0066】実施例3 実施例1におけるEX−731をo−フェニル・フェニ
ルグリシジエルエーテル(以下、OPPGという)に変
更したこと以外は実施例1と同様に行なってモノフィラ
メントを得た。内容と結果を表1に併示する。
【0067】実施例4〜6、比較実施例3〜4 実施例1〜3および比較実施例1〜2における原料ポリ
エステルを〔η〕0.92、COOH基濃度が15eq/106 gの
PETチップに変更したこと以外は実施例1〜3および
比較実施例1〜2と同様に行なってモノフィラメントを
得た。内容と結果を表1に併示する。
【0068】実施例7〜8、比較実施例5 実施例4におけるPETチップとEX−731の量比を
表1に記載のとおり変更したこと以外は実施例4と同様
に行なってモノフィラメントを得た。内容と結果を表1
に併示する。
【0069】実施例9、比較実施例6 実施例1および比較実施例1におけるPBTチップをブ
チレンテレフタレート単位65.3重量%,ブチレンイ
ソフタレート単位30.1重量%,ブチレンアジペート
単位4.6重量%よりなる〔η〕0.50、COOH基濃度が4
9eq/106 gの共重合ポリエステルに変更したこと以外
は実施例1および比較実施例1と同様に行なってモノフ
ィラメントを得た。内容と結果を表1に併示する。
【0070】表1に示した実施例1〜9および比較実施
例1〜6の結果から本発明のポリエステル組成物である
モノフィラメントが耐加水分解性導電性と耐加水分解性
に優れたものであることがわかる。
【0071】
【表1】 実施例10〜13、比較実施例7〜14 実施例1におけるPBTチップとKB−ECの量比を表
2に記載のとおり変更したこと以外は実施例1と同様に
行なってモノフィラメントを得た。内容と結果を表2に
示す。なお、表2には実施例1の内容と結果を併示す
る。また、実施例10〜13、比較実施例7〜8におけ
る末端基〔I〕の濃度を知るために実施例10〜13、
比較実施例7〜8におけるEX−731の添加をしない
で得たモノフィラメントの内容と結果を比較実施例9〜
14として表2に併示する。
【0072】表1に示した結果から本発明のポリエステ
ル組成物であるモノフィラメントが導電性と耐加水分解
性に優れたものであることがわかる。
【0073】
【表2】 実施例14、比較実施例15 実施例1における、1mmHgの減圧下において130
℃で6時間乾燥した、末端基〔I〕の濃度が60当量/
106 g のCB含有予備低COOH化ポリマを準備した。一
方、芯成分用ポリマとして、1mmHgの減圧下におい
て150℃で16時間乾燥した〔η〕0.92、COOH基濃度
が15eq/106 gのPETチップを準備した。
【0074】上記の芯成分用ポリマとカルボジイミド化
合物として80℃で溶融したTICとを、重量比で芯成
分用ポリマ/TIC=100/1.5の量比で計量しな
がら、芯鞘用に2基のφ30mm1軸エクストルダを有
し、複合パックと同心円型複合紡糸口金とを有する複合
紡糸機の芯成分用エクストルダーに供給した。同時に上
記の鞘成分用ポリマと80℃で溶融したTICとを、重
量比で鞘成分用ポリマ/TIC=100/1.5の量比
で計量しながら上記の複合紡糸機における鞘成分用エク
ストルダーに供給した。各エクストルダー内で280℃
で各々溶融混練したのち鞘成分と芯成分とをパック・口
金を通して紡糸・延伸・熱セットを行ない、直径が0.
4mmの円形断面で,芯/鞘複合重量比率が70/3
0,強度が4.2g/dで伸度が28.5%のモノフィ
ラメントを得た。該モノフィラメントの比抵抗は4.4
×103 Ω・cmであり、鞘部のポリマの未反応TIC
含有量は 0.130重量%であり、同じく鞘部のポリマのCO
OH基濃度は0eq/106 gであった。また、芯部のポリマ
の未反応TIC含有量は0.20重量%であった。該モノフ
ィラメントの耐蒸熱性試験結果による強力保持率は、1
0日後に87%、12日後に66%、15日後に35%
であった(実施例14)。
【0075】比較のために、芯鞘複合モノフィラメント
の鞘成分用ポリマとして、1mmHgの減圧下において
130℃で6時間乾燥した、末端基〔I〕を含有しない
比較実施例1におけるCB混練ポリマを準備した以外実
施例14と同様にして複合紡糸し、直径が0.4mmの
円形断面で,芯/鞘複合重量比率が70/30,強度が
4.3g/dで伸度が28.7%のモノフィラメントを
得た。該モノフィラメントの比抵抗は2.2×104 Ω
・cmであった。また、該モノフィラメントの耐蒸熱性
試験を行なったところ10日間処理をしたモノフィラメ
ントの劣化が激しく、強力の測定が不可能であった。
【0076】実施例15〜17、比較実施例16 サーマルボンド法不織布熱接着工程用ネットコンベアお
よび抄紙ドライヤーキャンバスのモデルとして、実施例
1で得た導電性と耐加水分解性の良好なモノフィラメン
トと、1軸エクストルダー式紡糸機を用いて、〔η〕0.
92、COOH基濃度が15eq/106 gのPETチップ100
重量部とTICを1.5重量部を計量供給しながら溶融
混練し、紡糸・延伸・熱セットして得た直径0.4mm
のモノフィラメント(以下、PET・TICモノフィラ
メントという)とを経糸に交互に配置して使用し、緯糸
にPET・TICモノフィラメントを使用して平織物を
作成した(実施例15)。
【0077】実施例15における実施例1で得たモノフ
ィラメントを、実施例4で得たモノフィラメントに変更
したこと以外は実施例15と同様にしてネットコンベア
を作成した(実施例16)。
【0078】実施例15における実施例1で得たモノフ
ィラメントを、実施例14で得た導電性と耐加水分解性
の良好なモノフィラメントに変更したこと以外は実施例
15と同様にしてネットコンベアを作成した(実施例1
7)。
【0079】比較のためにPET100%からなる直径
0.4mmのモノフィラメントを経糸と緯糸に使用した
ネットコンベアを作成した(比較実施例16)。
【0080】実施例15〜17および比較実施例16で
得たネットコンベアを5cm幅にそろえ、走行時の帯電
圧を測定した結果を表3に示す。
【0081】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合モノフィラメントの繊維断面の概
略図
【符号の説明】
a;本発明のポリエステル組成物 b;他のポリマ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/92 303 D01F 6/92 303B 8/14 8/14 A D03D 1/00 D03D 1/00 Z 15/00 15/00 A D21F 7/08 D21F 7/08 A (72)発明者 堀井 慶 静岡県三島市4845番地 東レ株式会社三島 工場内 (72)発明者 木下 明 愛知県岡崎市昭和町字河原1番地 東レ・ モノフィラメント株式会社

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルが下記一般式〔I〕または
    〔II〕で表される少なくとも1種の末端基を5当量/10
    6 g 以上と、未反応のカルボジイミド化合物を0.00
    5〜1.5重量%および導電性物質を含有し、比抵抗が
    108 Ω・cm以下であるポリエステル組成物。 【化1】 (一般式〔I〕および一般式〔II〕中のRは、水素原
    子、N−メチレン−フタルイミド基、N−メチレン−ア
    ルキル置換フタルイミド基、N−メチレン−アルコキシ
    置換フタルイミド基、N−メチレン−ハロゲン置換フタ
    ルイミド基、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル
    基、アルキル置換フェニル基、アルコキシ置換フェニル
    基、フェニル置換フェニル基、ハロゲン置換フェニル
    基、シクロアルキル基を表し、Xは水素原子、カルボジ
    イミド反応残基を表す。)
  2. 【請求項2】 導電性物質として導電性カーボンブラッ
    クを4〜15重量%含有する請求項1記載のポリエステ
    ル組成物。
  3. 【請求項3】 未反応のカルボジイミド化合物が、N,
    N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイ
    ミドである請求項1〜請求項2のいずれか1項記載のポ
    リエステル組成物。
  4. 【請求項4】 ポリエステルがポリエチレンテレフタレ
    ートまたはポリブチレンテレフタレートまたはブチレン
    テレフタレート単位,ブチレンイソフタレート単位,脂
    肪族ジカルボン酸のジブチレンエステル単位からなる共
    重合ポリエステルから選ばれた少なくとも一種である請
    求項1〜請求項3のいずれか1項記載のポリエステル組
    成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれか1項記載
    の組成物からなるモノフィラメント。
  6. 【請求項6】 モノフィラメントが芯鞘複合糸であっ
    て、該芯鞘複合糸の少なくとも鞘成分が請求項1〜請求
    項4のいずれか1項記載のポリエステル組成物からな
    り、芯成分が未反応のカルボジイミド化合物を0.00
    5〜1.5重量%含有するポリエステルからなる芯鞘複
    合モノフィラメントである請求項5記載のモノフィラメ
    ント。
  7. 【請求項7】 織物を構成する緯糸または経糸の少なく
    とも一部が、請求項5〜請求項6のいずれか1項記載の
    モノフィラメントである工業用織物。
  8. 【請求項8】 工業用織物が、抄紙ドライヤーキャンバ
    ス、サーマルボンド法不織布熱接着工程用ネットコンベ
    ア、篩用フィルター、乾燥機内搬送用ベルトである請求
    項7記載の工業用織物。
  9. 【請求項9】 ポリエステルと下記一般式〔III 〕また
    は〔IV〕で表される少なくとも1種のエポキシ化合物お
    よび導電性カーボンブラックとを溶融混練した後、カル
    ボジイミド化合物と溶融混練することを特徴とするポリ
    エステル組成物の製造方法。 【化2】 (一般式〔III 〕および一般式〔IV〕中のRは、水素原
    子、N−メチレン−フタルイミド基、N−メチレン−ア
    ルキル置換フタルイミド基、N−メチレン−アルコキシ
    置換フタルイミド基、N−メチレン−ハロゲン置換フタ
    ルイミド基、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル
    基、アルキル置換フェニル基、アルコキシ置換フェニル
    基、フェニル置換フェニル基、ハロゲン置換フェニル
    基、シクロアルキル基を表す。)
  10. 【請求項10】 エポキシ化合物が、N−グリシジルフ
    タルイミドまたはo−フェニル・フェニルグリシジルエ
    ーテルから選ばれた少なくとも1種である請求項9記載
    のポリエステル組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】 カルボジイミド化合物が、N,N´−
    ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドで
    ある、請求項9、請求項10のいずれか1項記載のポリ
    エステル組成物の製造方法。
  12. 【請求項12】 ポリエステルがポリエチレンテレフタ
    レートまたはポリブチレンテレフタレートまたはブチレ
    ンテレフタレート単位,ブチレンイソフタレート単位,
    脂肪族ジカルボン酸のジブチレンエステル単位からなる
    共重合ポリエステルから選ばれた少なくとも一種である
    請求項9〜請求項11のいずれか1項記載のポリエステ
    ル組成物の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項9〜請求項12のいずれか1項
    記載の方法で得られたポリエステル組成物を紡糸・延伸
    ・熱セットすることを特徴とする、モノフィラメントの
    製造方法。
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