JPH07331059A - 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるフィルム - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるフィルム

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JPH07331059A JP12115394A JP12115394A JPH07331059A JP H07331059 A JPH07331059 A JP H07331059A JP 12115394 A JP12115394 A JP 12115394A JP 12115394 A JP12115394 A JP 12115394A JP H07331059 A JPH07331059 A JP H07331059A
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L75/00Compositions of polyureas or polyurethanes; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L75/04Polyurethanes
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱可塑性ポリウレタンと同程度の優れた弾性
回復性、強度および柔軟性を有し、製膜安定性にも優れ
た熱可塑性ポリウレタン系樹脂組成物を提供する。 【構成】 (A)特定の熱可塑性ポリウレタンおよび
(B)特定の芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック
共重合体からなる熱可塑性樹脂組成物[(A)/(B)
の重量比=60/40以上]である。(A)は2−メチ
ル−1,3−プロパンジオール成分をジオール成分とし
て含有する数平均分子量1000〜6000のポリエス
テルジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤と
を反応させて得られたポリウレタンである。(B)は、
芳香族ビニル成分含有率が5〜50重量%、MFR(2
00℃、5kg)が30以下の芳香族ビニル化合物−共
役ジエンブロック共重合体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特定の熱可塑性ポリウレ
タンと特定の芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック
共重合体からなる熱可塑性樹脂組成物および該樹脂組成
物からなるフィルムに関する。本発明の熱可塑性樹脂組
成物は弾性回復性、強伸度、耐熱性、柔軟性および製膜
性に優れる。本発明のフィルムは、該樹脂組成物の特長
を効果的に発揮し、伸縮性フィルムとして有用である。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリウレタンは、弾性回復性、
強伸度、柔軟性等において優れた性能を有する反面、比
較的高価な樹脂である。一方、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/
アクリル酸メチルコポリマー等のポリオレフィン系樹脂
や、ポリスチレン等の芳香族ビニル化合物系樹脂は熱可
塑性ポリウレタンに比較して安価である。そこで、熱可
塑性ポリウレタンの優れた性質を保持した熱可塑性樹脂
素材を安価に取得する目的で、熱可塑性ポリウレタンに
ポリオレフィン系樹脂や芳香族ビニル化合物系樹脂をブ
レンドすることが試みられている。
【0003】しかしながら、熱可塑性ポリウレタンとポ
リオレフィン系樹脂や芳香族ビニル化合物系樹脂とは非
相溶性であり、両者を単純にブレンドした場合、分散状
態が良くない。そのためか、熱可塑性ポリウレタンとポ
リオレフィン系樹脂や芳香族ビニル化合物系樹脂との樹
脂組成物をフィルム成形に供した場合には、製膜安定性
が低く、薄膜化が困難であるという問題がある。この薄
膜化の困難性は、熱可塑性ポリウレタンが柔軟な場合に
特に顕著となる。また、熱可塑性ポリウレタンとポリオ
レフィン系樹脂や芳香族ビニル化合物系樹脂との樹脂組
成物から得られたフィルムにおいても、弾性回復性、強
度、柔軟性等の性能が不十分になる問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的の一つ
は、熱可塑性ポリウレタンと他の熱可塑性樹脂からな
り、該熱可塑性ポリウレタンが有する優れた弾性回復
性、耐熱性および強伸度を保持し、かつ製膜安定性が高
く、薄膜化が可能な熱可塑性樹脂組成物を提供すること
にある。また、本発明の他の目的は、熱可塑性ポリウレ
タンと他の熱可塑性樹脂からなり、弾性回復性、耐熱
性、強伸度および柔軟性に優れたフィルムを提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記目
的の一つは、熱可塑性ポリウレタンおよび芳香族ビニル
化合物−共役ジエンブロック共重合体からなる熱可塑性
樹脂組成物において、熱可塑性ポリウレタン/芳香族ビ
ニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の重量比が6
0/40以上であり、該熱可塑性ポリウレタンが、2−
メチル−1,3−プロパンジオール成分をジオール成分
として含有する数平均分子量1000〜6000のポリ
エステルジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長
剤を反応させて得られる硬度(JIS−A)90以下の
ポリウレタンであり、かつ該芳香族ビニル化合物−共役
ジエンブロック共重合体が、芳香族ビニル化合物成分含
有率5〜50重量%、メルトフローレート(200℃、
5kg)30以下の芳香族ビニル化合物−共役ジエンブ
ロック共重合体であることを特徴とする熱可塑性樹脂組
成物を提供することにより達成される。また本発明によ
れば、上記の他の目的は、上記熱可塑性樹脂組成物から
なるフィルムを提供することにより達成される。
【0006】熱可塑性ポリウレタンは一般に、高分子ジ
オール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応さ
せて得られるが、本発明においては、高分子ジオールと
して、2−メチル−1,3−プロパンジオール成分、 [−O−CH2−CH(CH3)−CH2−O−] をジオール成分として含有する数平均分子量1000〜
6000のポリエステルジオールを使用することが重要
である。
【0007】本発明で用いるポリエステルジオールは、
ジオール成分の少なくとも一部として2−メチル−1,
3−プロパンジオール成分を有する。ジオール成分とし
て2−メチル−1,3−プロパンジオール成分を有しな
いポリエステルジオールを使用する場合には、得られる
熱可塑性ポリウレタンを上記芳香族ビニル化合物−共役
ジエンブロック共重合体と混合し樹脂組成物を形成させ
ても、得られる樹脂組成物は芳香族ビニル化合物−共役
ジエンブロック共重合体の分散粒子径が大きいためか、
弾性回復性および強度が不十分となり、また柔軟性にお
いても劣り、好ましくない。一般に、ジオール成分中の
2−メチル−1,3−プロパンジオール成分の割合が高
いほど、得られる樹脂組成物における弾性回復性、強度
および柔軟性が良好となる傾向があるので、ジオール成
分の20モル%以上が2−メチル−1,3−プロパンジ
オール成分であることが好ましく、40モル%以上が2
−メチル−1,3−プロパンジオール成分であることが
より好ましい。
【0008】上記のように、本発明におけるポリエステ
ルジオール中のジオール成分は、2−メチル−1,3−
プロパンジオール成分と他のジオール成分とから構成さ
れていてもよい。2−メチル−1,3−プロパンジオー
ル成分と共に含有されうるジオール成分としては、例え
ば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、
1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、
2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナ
ンジオール等の飽和脂肪族ジオールから誘導されるジオ
ール成分が挙げられ、これらのジオール成分は2種類以
上が含有されていてもよい。これらの中でも、2−メチ
ル−1,3−プロパンジオール成分に由来する効果が喪
失されにくいことから、エチレングリコールおよび/ま
たは1,4−ブタンジオールが好ましい。さらに、本発
明におけるポリエステルジオールには、得られる熱可塑
性樹脂組成物の柔軟性を低下させない範囲内で、3官能
以上のポリオール成分が共存していてもよい。3官能以
上のポリオール成分の含有量は、全ジオール成分に対し
て5モル%以下が好ましい。
【0009】また、ポリエステルジオールをジオール成
分とともに構成するジカルボン酸成分としては、例え
ば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、
2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチ
ルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオ
クタン二酸などのジカルボン酸またはそのエステル形成
性誘導体(例:エステル化物)から誘導されるジカルボ
ン酸成分が挙げられる。
【0010】本発明で使用されるポリエステルジオール
の数平均分子量は、1000〜6000である。数平均
分子量が1000未満の場合、得られるポリウレタンの
低温柔軟性及び耐熱性が不十分となるため、得られる樹
脂組成物はの柔軟性等の性能が不十分となる。一方、数
平均分子量が6000を越えるとき、得られる熱可塑性
樹脂組成物の押出成形時に溶融粘度が上昇する傾向が生
じるなど、成形性が不十分となるため、好ましくない。
【0011】本発明で使用されるポリエステルジオール
の製造法は特に限定されない。したがって、ポリエステ
ルジオールは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート等のポリエステルの製造において用
いられる公知の方法と同様の方法、すなわちエステル交
換または直接エステル化とそれに続く溶融重縮合反応で
製造することが可能である。重縮合反応においては、チ
タン系、スズ系等の重縮合触媒を使用してもよい。ただ
し、チタン系の重縮合触媒を使用した場合には、重縮合
反応後、得られたポリエステルジオール中の重縮合触媒
を失活させることが好ましい。重縮合触媒を失活させる
ことにより、得られた熱可塑性ポリウレタンが高温で溶
融滞留している間に徐々に起こるハードセグメントとソ
フトセグメントのブロック性の低下が抑制されるので、
樹脂組成物から溶融押出成形法で得られたフィルムにお
いても熱可塑性ポリウレタンが当初有していた耐熱性、
弾性回復性等の諸物性が有効に発揮される。
【0012】ポリエステルジオール中の重縮合触媒を失
活する方法としては、水との接触処理が好ましく、例え
ば、ポリエステルジオールに対し1〜4重量%の水を加
え、80〜150℃で撹拌する方法、ポリエステルジオ
ールに水蒸気を通しながら、100〜150℃で撹拌す
る方法などを採用することができる。また、一般にポリ
エステルの触媒失活に用いられているようなリン化合物
の添加等によって、重縮合触媒の失活を行うこともでき
る。
【0013】本発明においては、高分子ジオールとし
て、上記ポリエステルジオールを単独で使用することが
好ましいが、所望により、他の高分子ジオール(例え
ば、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオー
ル、上記ポリエステルジオール以外のポリエステルジオ
ール等)を併用してもよい。該他の高分子ジオールの使
用量としては、高分子ジオール全体の30重量%以下で
あることが好ましい。
【0014】本発明において使用される有機ジイソシア
ネートとしては、4,4'−ジフェニルメタンジイソシ
アネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリレン
ジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'
−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の、ポリ
ウレタン製造で一般的に使用し得ることが知られている
有機ジイソシアネートが例示される。これらの中でも、
4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートが好まし
い。
【0015】また本発明においては、鎖伸長剤として、
ポリウレタン製造で一般的に使用し得ることが知られて
いる鎖伸長剤を使用することができる。該鎖伸長剤とし
ては、イソシアネート基(−NCO)と反応し得る水素
原子を分子中に少なくとも2個含有する分子量300以
下の低分子化合物が好ましい。その例として、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(2
−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキ
サンジオール、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタ
レート、キシリレングリコール等のジオール類が挙げら
れる。これらの鎖伸長剤は単独で、または、2種以上を
混合して使用される。これらの鎖伸長剤の中でも、1,
4−ブタンジオールが特に好ましい。
【0016】ポリウレタンの製造に当たっては、高分子
ジオールおよび鎖伸長剤が有している活性水素原子(す
なわち、イソシアネート基と反応し得る水素原子)の全
量に基づいて、活性水素原子1モル当たりのイソシアネ
ート基のモル数が0.90〜1.30、好ましくは、
0.95〜1.30になるような割合で、有機ジイソシ
アネートを使用するのが好ましい。
【0017】高分子ジオール、有機ジイソシアネートお
よび鎖伸長剤を反応させて熱可塑性ポリウレタンを製造
する方法に関しては、溶融重合、溶液重合等の公知のウ
レタン化反応の技術を採用することができる。なかで
も、実質的に溶媒の不存在下で溶融重合することが好ま
しく、特に多軸スクリュー型押出機を用いる連続溶融重
合法が好ましい。溶融重合温度は特に制限されないが、
180℃以上かつ260℃以下が好ましい。
【0018】なお、重合過程または重合後に、着色剤、
難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐加水分解性向上
剤、防黴剤等の各種添加剤;ガラス繊維、ポリエステル
繊維等の各種繊維;マイカ、タルク等の無機物;各種カ
ップリング剤等を適宜選択して添加してもよい。
【0019】本発明で使用される熱可塑性ポリウレタン
は、硬度(JIS−A)が90以下であることが重要で
ある。硬度が90以上であると、得られる熱可塑性樹脂
組成物の柔軟性が不十分となる。
【0020】本発明で使用される芳香族ビニル化合物−
共役ジエンブロック共重合体は、5〜50重量%の芳香
族ビニル化合物成分を含有し、かつメルトフローレート
(200℃、5kg)が30以下である。該ブロック共
重合体は、芳香族ビニル化合物成分を主体とする重合体
ブロックを1個以上、好ましくは2個以上含有し、さら
に共役ジエン化合物成分を主体とする重合体ブロックを
1個以上含有するものである。該ブロック共重合体にお
ける芳香族ビニル化合物成分含有率が50重量%を越え
る場合、得られる熱可塑性樹脂組成物は、その中に分散
する芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体
粒子の粒子径が大きいためか、弾性回復性、強度等が低
下するので好ましくない。また、芳香族ビニル化合物成
分含有率が5重量%未満である場合は、熱可塑性樹脂組
成物から形成されたフィルムの粘着性が増すことなどの
不都合が生じるので好ましくない。
【0021】そして、上記ブロック共重合体のメルトフ
ローレート(200℃、5kg)が30を越えると、熱
可塑性樹脂組成物中の芳香族ビニル化合物−共役ジエン
ブロック共重合体の分散状態が悪いためか、弾性回復
性、強度および柔軟性が低下し、また製膜が困難にな
る。得られる熱可塑性樹脂組成物の弾性回復性、強度、
柔軟性および製膜性がとくに良好となる点から、芳香族
ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体のメルトフ
ローレートは20以下であることが好ましく、10以下
であることがより好ましい。なお、メルトフローレート
の下限について特に制限はないが、0.1以上であるこ
とが望ましい。
【0022】ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル
化合物成分としては、例えば、スチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物から誘
導される成分が挙げられる。共役ジエン化合物成分とし
ては、例えば、イソプレン、ブタジエン、1,3−ペン
タジエン等の共役ジエン化合物から誘導される成分が挙
げられる。
【0023】本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
上記特定の構造を有する熱可塑性ポリウレタンと上記特
定の芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体
との混合割合が、熱可塑性ポリウレタン/芳香族ビニル
化合物−共役ジエンブロック共重合体の重量比で60/
40以上であることが重要である。熱可塑性ポリウレタ
ンの重量が、熱可塑性ポリウレタンと芳香族ビニル化合
物−共役ジエンブロック共重合体との合計重量に対して
60重量%未満の場合は、熱可塑性ポリウレタン単独の
場合に比べて、弾性回復性、強度、耐熱性等の性質の低
下が大きいので好ましくない。弾性回復性、強度、耐熱
性等の性質が特に良好となる観点において、熱可塑性ポ
リウレタン/芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック
共重合体の重量比は70/30以上であることが好まし
い。
【0024】なお、得られる樹脂組成物の性能面からは
熱可塑性ポリウレタン/芳香族ビニル化合物−共役ジエ
ンブロック共重合体の重量比の上限に特に制限はない。
ただし、熱可塑性ポリウレタンが多すぎると経済的な面
から本発明の趣旨にそぐわなくなるので、熱可塑性ポリ
ウレタン/芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共
重合体の重量比は90/10以下の範囲に止めることが
望ましい。
【0025】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性
ポリウレタンと芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロッ
ク共重合体とを使用する以外は、通常のポリマーブレン
ドの手法により製造することができる。例えば、上記の
熱可塑性ポリウレタンと芳香族ビニル化合物−共役ジエ
ンブロック共重合体とを、樹脂材料の混合に通常用いら
れるような縦型または水平型の混合機を用いて所定の割
合で予備混合した後、単軸または二軸の押出機、ミキシ
ングロール、バンバリーミキサー等を用いて回分式また
は連続式で加熱下に混練することにより製造される。な
お、混合に際して、耐光性、耐熱性等を向上させるため
の安定剤、可塑剤、脂肪族アミドなどの滑剤、充填剤、
帯電防止剤、顔料等の添加剤を、本発明の効果を損なわ
ない量で添加してもよい。
【0026】本発明の熱可塑性樹脂組成物からフィルム
を製造する方法としては、インフレーション成形、Tダ
イ成形等の通常の溶融押出成形による製膜方法を採用す
ることができる。溶融押出成形の条件としては、好適な
ものを適宜選択し採用することができる。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する上
記特定の熱可塑性ポリウレタンと芳香族ビニル化合物−
共役ジエンブロック共重合体とは、単純に溶融条件下に
混合するだけで、熱可塑性ポリウレタンのマトリックス
中に芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体
の微小な粒子が均一に分散し得る。したがって、本発明
の熱可塑性樹脂組成物からフィルムを製造する場合に
は、製膜安定性が良好で、しかも薄膜化が可能である。
また得られたフィルムは、弾性回復性、耐熱性、強伸度
および柔軟性に優れる。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例においては、弾性回復率、強度、および柔軟
性(風合い)を以下の方法により評価した。
【0029】[弾性回復率]Tダイを使用し製膜した膜
厚50μmのフィルムより作製した試験片について、温
度23℃、湿度65%RHの条件下に、引張速度200
mm/minで200%伸長後、2分間保持し、応力を
除去した後、10分後の戻りを測定した。この試験結果
に基づいて、弾性回復率を下記の式に従い算出した。 弾性回復率(%)=[L’−L)/L]×100 (但し、L:初期の長さ、L’:応力除去した後10分
後の長さ)
【0030】[強度]Tダイを使用し製膜した膜厚50
μmのフィルムより作製した試験片について、引張速度
200mm/min、温度23℃、湿度65%RHの条
件で引張試験を行うことにより、強伸度測定を行った。
【0031】[柔軟性(風合い)]Tダイを使用し製膜
した膜厚50μmのフィルムについて、手の感触により
下記の判定基準に従い柔軟性(風合い)を評価した。 〇:ごわごわしたところがなく、ソフトである。 △:ややごわごわし、ややソフト感に欠けるが、伸縮フ
イルムとして実用的には問題ない。 ×:ごわごわし、ソフト感に欠け、伸縮フイルムとして
不適当である。
【0032】なお実施例では、化合物を下記表1に示す
略号で表記する。
【表1】
【0033】[参考例1](ポリエステルジオールAの
製造) MPrG108kgおよびAD146kgを反応器に仕
込み、常圧下に窒素ガスを系内に通じながら、約220
℃の温度で、生成する水を系外に留去しながらエステル
化反応を行った。生成したポリエステルの酸価が30以
下になった時点でテトライソプロピルチタネートを加
え、200〜100mmHgに減圧しながら重縮合反応
を続けた。酸価が1.0になった時点で真空ポンプによ
り徐々に真空度を上げて、反応を完結させた。その結
果、数平均分子量が4000のポリエステルジオール
(これを「ポリエステルジオールA」と称する)を20
5kg得た。
【0034】[参考例2](ポリエステルジオールBの
製造) MPrGとADを反応器に仕込み、参考例1と同様にエ
ステル化反応および重縮合反応を行い、数平均分子量2
000のポリエステルジオールを得た。得られたポリエ
ステルジオールを100℃に加熱して3重量%の水を加
え、同温度で2時間撹拌することにより、チタン触媒を
失活させた後、減圧下に水を留去した。この処理により
チタン触媒を失活させたポリエステルジオール(これを
「ポリエステルジオールB」と称する)を得た。
【0035】[参考例3〜5](ポリエステルジオール
C、DおよびEの製造) 使用するジオールを、MPrGとEDの混合ジオール
(参考例3)、MPrG、EDとBDの混合ジオール
(参考例4)、またはBD(参考例5)に変更する以外
は、参考例1と同様にエステル化反応および重縮合反応
を行い、それぞれ数平均分子量2000のポリエステル
ジオールを得た。得られたポリエステルジオールを参考
例2と同様にしてチタン触媒を失活させた。この処理に
よりチタン触媒を失活させたポリエステルジオール(こ
れらをそれぞれ「ポリエステルジオールC、Dおよび
E」と称する)を得た。これらのポリエステルジオール
の組成を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】[参考例6]{ポリウレタンPの製造} 参考例1で得られたポリエステルジオールA、MDIお
よびBDを、ポリエステルジオールA/MDI/BDの
モル比が1/3/2となる割合で、かつこれらの総量が
300g/minになる速度で、定量ポンプにより、同
軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mm
φ;L/D=36;シリンダー温度:ブロックごとに約
200℃から約250℃の範囲で設定)に連続的に仕込
み、連続溶融重合反応を行った。生成した熱可塑性ポリ
ウレタンの溶融物をストランド状で水中へ連続的に押出
し、ついでペレタイザーで切断し、ペレットに成形し
た。このペレットを80℃で20時間除湿乾燥し、硬度
(JIS−A)75の熱可塑性ポリウレタン(これを
「ポリウレタンP」と称する)を得た。
【0038】[参考例7〜10]{ポリウレタンQ〜
T)の製造} ポリエステルジオールAの代わりに、参考例2で得られ
たポリエステルジオールB(参考例7)、参考例3で得
られたポリエステルジオールC(参考例8)、参考例4
で得られたポリエステルジオールD(参考例9)、また
は参考例5で得られたポリエステルジオールE(参考例
10)を使用する以外は、参考例6と同様にして、連続
溶融重合反応、ペレット化、除湿乾燥を行うことによっ
て、熱可塑性ポリウレタン(これらをそれぞれ「ポリウ
レタンQ、R、SおよびT」と称する)を得た。これら
の熱可塑性ポリウレタンの硬度(JIS−A)はそれぞ
れ75(ポリウレタンQ)、78(ポリウレタンR)、
79(ポリウレタンS)および82(ポリウレタンT)
であった。
【0039】[実施例1]参考例6で得られた熱可塑性
ポリウレタンP75重量%に、スチレン成分含有率(以
下「St含有率」と略す)21重量%、メルトフローレ
ート(200℃、5kg)(以下「MFR」と略す)3
dg/minのSIS25重量%を、25mmφ押出機
(シリンダー温度およびダイス温度:205℃)で溶融
混練することにより熱可塑性樹脂組成物を製造した。形
成された熱可塑性樹脂組成物をTダイより押出し、冷却
ロールを通して巻き取ることによって、厚さ50μmの
フィルムを得た。なお、厚さ20μmまで薄膜化を試み
たが、20μmでも安定に製膜できた。得られた厚さ5
0μmのフィルムを25℃で7日間放置した後、弾性回
復性、強度および柔軟性の評価を行った。評価結果を表
3に示す。
【0040】[実施例2〜4]参考例7〜9で得られた
熱可塑性ポリウレタンQ〜S75重量%に、それぞれ、
St含有率21重量%、MFR(200℃、5kg)3
のSIS25重量%を実施例1と同様に溶融混練し、フ
ィルム化することにより、熱可塑性樹脂組成物からなる
厚さ50μmのフィルムを得た。得られた各フィルムを
実施例1と同様に放置した後、評価を行い、表3に示す
結果を得た。なお、いずれの場合においても製膜性は安
定していた。
【0041】[実施例5]参考例7で得られた熱可塑性
ポリウレタンQ75重量%に、St含有率28重量%、
MFR6のSBS25重量%を、実施例1と同様に溶融
混練し、フィルム化することにより、熱可塑性樹脂組成
物からなる厚さ50μmのフィルムを得た。得られたフ
ィルムを実施例1と同様に放置した後、評価を行い、表
3に示す結果を得た。製膜性は安定していた。
【0042】[比較例1]参考例7で得られた熱可塑性
ポリウレタンQ50重量%に、St含有率21重量%、
MFR(200℃、5kg)3のSIS50重量%を、
実施例1と同様に溶融混練し、フィルム化することによ
り、熱可塑性樹脂組成物からなる厚さ50μmのフィル
ムを得た。得られたフィルムを実施例1と同様に放置し
た後、評価を行い、表3に示す結果を得た。なお、製膜
性は不安定であった。
【0043】[比較例2]参考例7で得られた熱可塑性
ポリウレタンQ75重量%に、St含有率60重量%、
MFR(200℃、5kg)30のSIS25重量%
を、実施例1と同様に溶融混練し、フィルム化すること
により、熱可塑性樹脂組成物からなる厚さ50μmのフ
ィルムを得た。得られたフィルムを、実施例1と同様に
放置した後、評価を行い、表3に示す結果を得た。な
お、製膜性は不安定であった。
【0044】[比較例3]参考例10で得られた熱可塑
性ポリウレタンT75重量%に、St含有率21重量
%、MFR(200℃、5kg)3のSIS25重量%
を、実施例1と同様に溶融混練し、フィルム化すること
により、熱可塑性樹脂組成物からなる厚さ50μmのフ
ィルムを得た。得られた各フィルムを実施例1と同様に
放置した後、評価を行い、表3に示す結果を得た。な
お、製膜性は不安定であった。
【0045】
【表3】
【0046】上記表3から、本発明にしたがう実施例1
〜5の熱可塑性樹脂組成物は、弾性回復性、強度および
柔軟性(風合い)に優れるフィルムを与え、とりわけ、
重縮合触媒の失活処理が施されたポリエステルジオール
を使用して製造された熱可塑性ポリウレタンを用いた実
施例2〜5では、フィルムの弾性回復性、耐熱性および
強伸度が一層良好となることがわかる。これに対して、
本発明とは相違する比較例1〜3の熱可塑性樹脂組成物
からは、弾性回復性、強度および柔軟性(風合い)に劣
るフィルムしか得られず、製膜性も不安定であることが
わかる。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性ポリウレタン
が有する優れた弾性回復性、強度および柔軟性を有する
熱可塑性樹脂組成物が提供される。該熱可塑性樹脂組成
物は、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合
体が熱可塑性ポリウレタンに配合されていることから、
熱可塑性ポリウレタン単独と比較して安価である。本発
明のフィルムは、上記熱可塑性樹脂組成物の特長を効果
的に発揮し、伸縮性フィルムとして有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリウレタンおよび芳香族ビニ
    ル化合物−共役ジエンブロック共重合体からなる熱可塑
    性樹脂組成物において、熱可塑性ポリウレタン/芳香族
    ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の重量比が
    60/40以上であり、該熱可塑性ポリウレタンが、2
    −メチル−1,3−プロパンジオール成分をジオール成
    分として含有する数平均分子量1000〜6000のポ
    リエステルジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸
    長剤を反応させて得られる硬度(JIS−A)90以下
    のポリウレタンであり、かつ該芳香族ビニル化合物−共
    役ジエンブロック共重合体が、芳香族ビニル化合物成分
    含有率5〜50重量%、メルトフローレート(200
    ℃、5kg)30以下の芳香族ビニル化合物−共役ジエ
    ンブロック共重合体であることを特徴とする熱可塑性樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物から
    なるフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011527719A (ja) * 2008-07-11 2011-11-04 クレイトン・ポリマーズ・ユー・エス・エル・エル・シー 熱可塑性ポリウレタン/ブロックコポリマー組成物

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