JP3366435B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるフィルム - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるフィルム

Info

Publication number
JP3366435B2
JP3366435B2 JP12225994A JP12225994A JP3366435B2 JP 3366435 B2 JP3366435 B2 JP 3366435B2 JP 12225994 A JP12225994 A JP 12225994A JP 12225994 A JP12225994 A JP 12225994A JP 3366435 B2 JP3366435 B2 JP 3366435B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
resin composition
vinyl compound
aromatic vinyl
thermoplastic resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP12225994A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07331060A (ja
Inventor
竜也 尾下
俊二 金田
広治 平井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP12225994A priority Critical patent/JP3366435B2/ja
Publication of JPH07331060A publication Critical patent/JPH07331060A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3366435B2 publication Critical patent/JP3366435B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特定の熱可塑性ポリウレ
タンと特定の芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック
共重合体からなる熱可塑性樹脂組成物および該樹脂組成
物からなるフィルムに関する。本発明の熱可塑性樹脂組
成物は弾性回復性、強伸度、耐熱性、柔軟性および製膜
性に優れる。本発明のフィルムは、該樹脂組成物の特長
を効果的に発揮し、伸縮性フィルムとして有用である。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリウレタンは、弾性回復性、
強伸度、柔軟性等において優れた性能を有する反面、比
較的高価な樹脂である。一方、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/
アクリル酸メチルコポリマー等のポリオレフィン系樹脂
や、ポリスチレン等の芳香族ビニル化合物系樹脂は熱可
塑性ポリウレタンに比較して安価である。そこで、熱可
塑性ポリウレタンの優れた性質を保持した熱可塑性樹脂
素材を安価に取得する目的で、熱可塑性ポリウレタンに
ポリオレフィン系樹脂や芳香族ビニル化合物系樹脂をブ
レンドすることが試みられている。
【0003】しかしながら、熱可塑性ポリウレタンとポ
リオレフィン系樹脂や芳香族ビニル化合物系樹脂とは非
相溶性であり、両者を単純にブレンドした場合、分散状
態が良くない。そのためか、熱可塑性ポリウレタンとポ
リオレフィン系樹脂や芳香族ビニル化合物系樹脂との樹
脂組成物をフィルム成形に供した場合には、製膜安定性
が低く、薄膜化が困難であるという問題がある。この薄
膜化の困難性は、熱可塑性ポリウレタンが柔軟な場合に
特に顕著となる。また、熱可塑性ポリウレタンとポリオ
レフィン系樹脂や芳香族ビニル化合物系樹脂との樹脂組
成物から得られたフィルムにおいても、弾性回復性、強
度、耐熱性、柔軟性等の性能が不十分になる問題があ
る。また、他の成分を配合したり、樹脂組成物の一部に
官能基を導入して、ポリオレフィン系樹脂や芳香族ビニ
ル化合物系樹脂の分散状態を改良し、諸物性を向上する
試みがなされている。しかし、その場合においても依然
として弾性回復性、耐熱性は不十分であるという問題が
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的の一つ
は、熱可塑性ポリウレタンと他の熱可塑性樹脂からな
り、熱可塑性ポリウレタンより安価であり、かつ該熱可
塑性ポリウレタンが有する優れた弾性回復性、耐熱性お
よび強伸度を保持し、かつ製膜安定性が高く、薄膜化が
可能な熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。ま
た、本発明の他の目的は、熱可塑性ポリウレタンと他の
熱可塑性樹脂からなり、弾性回復性、耐熱性、強伸度お
よび柔軟性に優れたフィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記目
的の一つは、熱可塑性ポリウレタンおよび芳香族ビニル
化合物−共役ジエンブロック共重合体からなる熱可塑性
樹脂組成物において、熱可塑性ポリウレタン/芳香族ビ
ニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の重量比が3
0/70以上であり、該熱可塑性ポリウレタンが、1,
9−ノナンジオールおよび2−メチル−1,8−オクタ
ンジオール成分をジオール成分とし、1,9−ノナンジ
オール/2−メチル−1,8−オクタンジオールのモル
比が80/20〜0/100である数平均分子量130
0〜5000のポリエステルジオール、有機ジイソシア
ネートおよび鎖伸長剤を反応させて得られる硬度(JI
S−A)55〜85のポリウレタンであり、かつ該芳香
族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体が、芳香
族ビニル化合物成分含有率5〜50重量%、メルトフロ
ーレート(200℃、5kg)が30以下の芳香族ビニ
ル化合物−共役ジエンブロック共重合体であることを特
徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供することにより達成
される。また本発明によれば、上記の他の目的は、上記
熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムを提供することに
より達成される。
【0006】熱可塑性ポリウレタンは一般に、高分子ジ
オール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応さ
せて得られるが、本発明においては、高分子ジオールと
して、1,9−ノナンジオールおよび2−メチル−1,
8−オクタンジオールをジオール成分とし、1,9−ノ
ナンジオール/2−メチル−1,8−オクタンジオール
のモル比が80/20〜0/100である数平均分子量
1300〜5000のポリエステルジオールを使用する
ことが重要である。
【0007】本発明で用いるポリエステルジオールは、
ジオール成分の少なくとも一部として1,9−ノナンジ
オールおよび2−メチル−1,8−オクタンジオール成
分を有する。ジオール成分として1,9−ノナンジオー
ルおよび2−メチル−1,8−オクタンジオール成分を
有しないポリエステルジオールを使用する場合には、得
られる熱可塑性ポリウレタンを上記芳香族ビニル化合物
−共役ジエンブロック共重合体と混合し樹脂組成物を形
成させても、得られる樹脂組成物は芳香族ビニル化合物
−共役ジエンブロック共重合体の分散粒子径が大きいた
めか、弾性回復性、耐熱性、強度、および柔軟性が不十
分となり、また製膜安定性においても劣るものとなる。
また、他の成分の添加あるいは官能基の導入等により、
樹脂組成物中の芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロッ
ク共重合体の分散粒子径が比較的小さくなった場合、弾
性回復性、強度および柔軟性は改善されるが、高い弾性
回復性が要求される場合、その弾性回復性では不十分で
あり、耐熱性の改善も十分とは言えない。
【0008】一般に、ジオール成分中の1,9−ノナン
ジオールおよび2−メチル−1,8−オクタンジオール
成分の割合が高いほど、得られる樹脂組成物における弾
性回復性、強度および柔軟性が良好となる傾向があるの
で、ジオール成分の20モル%以上が1,9−ノナンジ
オールおよび2−メチル−1,8−オクタンジオール成
分であることが好ましく、40モル%以上が1,9−ノ
ナンジオールおよび2−メチル−1,8−オクタンジオ
ール成分であることがより好ましい。1,9−ノナンジ
オール/2−メチル−1,8−オクタンジオールのモル
比が80/20〜0/100の範囲でない場合、得られ
る樹脂組成物の弾性回復性、柔軟性が劣り好ましくな
い。1,9−ノナンジオール/2−メチル−1,8−オ
クタンジオールのモル比が80/20〜0/100の範
囲であれば、得られる樹脂組成物の弾性回復性、耐熱
性、強度および柔軟性に優れるが、モル比が80/20
〜20/80の範囲にある場合、その効果がより顕著と
なる。
【0009】上記のように、本発明におけるポリエステ
ルジオール中のジオール成分は、1,9−ノナンジオー
ルおよび2−メチル−1,8−オクタンジオール成分と
他のジオール成分とから構成されていてもよい。1,9
−ノナンジオールおよび2−メチル−1,8−オクタン
ジオール成分と共に含有されうるジオール成分として
は、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジ
オール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジ
オール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,
10−デカンジオール等の飽和脂肪族ジオールから誘導
されるジオール成分が挙げられ、これらのジオール成分
は2種類以上が含有されていてもよい。さらに、本発明
におけるポリエステルジオールには、得られる熱可塑性
樹脂組成物の柔軟性を低下させない範囲内で、3官能以
上のポリオール成分が共存していてもよい。3官能以上
のポリオール成分の含有量は、全ジオール成分に対して
5モル%以下が好ましい。
【0010】また、ポリエステルジオールをジオール成
分とともに構成するジカルボン酸成分としては、例え
ば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、
2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチ
ルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオ
クタン二酸などのジカルボン酸またはそのエステル形成
性誘導体(例:エステル化物)から誘導されるジカルボ
ン酸成分が挙げられる。
【0011】本発明で使用されるポリエステルジオール
の数平均分子量は、1300〜5000である。数平均
分子量が1300未満の場合、得られる樹脂組成物の弾
性回復性、耐熱性、強伸度等の性能が不十分となる。一
方、数平均分子量が5000を越えると、得られる熱可
塑性樹脂組成物の押出成形時に溶融粘度が上昇する傾向
が生じるなど、成形性が不十分となるため、好ましくな
い。
【0012】本発明で使用されるポリエステルジオール
の製造法は特に限定されない。したがって、ポリエステ
ルジオールは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート等のポリエステルの製造において用
いられる公知の方法と同様の方法、すなわちエステル交
換または直接エステル化とそれに続く溶融重縮合反応で
製造することが可能である。重縮合反応においては、チ
タン系、スズ系等の重縮合触媒を使用してもよい。ただ
し、チタン系の重縮合触媒を使用した場合には、重縮合
反応後、得られたポリエステルジオール中の重縮合触媒
を失活させることが好ましい。重縮合触媒を失活させる
ことにより、得られた熱可塑性ポリウレタンが高温で溶
融滞留している間に徐々に起こるハードセグメントとソ
フトセグメントのブロック性の低下が抑制されるので、
樹脂組成物から溶融押出成形法で得られたフィルムにお
いても熱可塑性ポリウレタンが当初有していた耐熱性、
弾性回復性等の諸物性が有効に発揮される。
【0013】ポリエステルジオール中の重縮合触媒を失
活する方法としては、水との接触処理が好ましく、例え
ば、ポリエステルジオールに対し1〜4重量%の水を加
え、80〜150℃で撹拌する方法、ポリエステルジオ
ールに水蒸気を通しながら、100〜150℃で撹拌す
る方法などを採用することができる。また、一般にポリ
エステルの触媒失活に用いられているようなリン化合物
の添加等によって、重縮合触媒の失活を行うこともでき
る。
【0014】本発明においては、高分子ジオールとし
て、上記ポリエステルジオールを単独で使用することが
好ましいが、所望により、他の高分子ジオール(例え
ば、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオー
ル、上記ポリエステルジオール以外のポリエステルジオ
ール等)を併用してもよい。該他の高分子ジオールの使
用量としては、高分子ジオール全体の30重量%以下で
あることが好ましい。
【0015】本発明において使用される有機ジイソシア
ネートとしては、4,4'−ジフェニルメタンジイソシ
アネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリレン
ジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'
−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の、ポリ
ウレタン製造で一般的に使用し得ることが知られている
有機ジイソシアネートが例示される。これらの中でも、
4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートが好まし
い。
【0016】また本発明においては、鎖伸長剤として、
ポリウレタン製造で一般的に使用し得ることが知られて
いる鎖伸長剤を使用することができる。該鎖伸長剤とし
ては、イソシアネート基(−NCO)と反応し得る水素
原子を分子中に少なくとも2個含有する分子量300以
下の低分子化合物が好ましい。その例として、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(2
−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキ
サンジオール、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタ
レート、キシリレングリコール等のジオール類が挙げら
れる。これらの鎖伸長剤は単独で、または、2種以上を
混合して使用される。これらの鎖伸長剤の中でも、1,
4−ブタンジオールが特に好ましい。
【0017】ポリウレタンの製造に当たっては、高分子
ジオールおよび鎖伸長剤が有している活性水素原子(す
なわち、イソシアネート基と反応し得る水素原子)の全
量に基づいて、活性水素原子1モル当たりのイソシアネ
ート基のモル数が0.90〜1.30、好ましくは、
0.95〜1.30になるような割合で、有機ジイソシ
アネートを使用するのが好ましい。
【0018】高分子ジオール、有機ジイソシアネートお
よび鎖伸長剤を反応させて熱可塑性ポリウレタンを製造
する方法に関しては、溶融重合、溶液重合等の公知のウ
レタン化反応の技術を採用することができる。なかで
も、実質的に溶媒の不存在下で溶融重合することが好ま
しく、特に多軸スクリュー型押出機を用いる連続溶融重
合法が好ましい。溶融重合温度は特に制限されないが、
180℃以上かつ260℃以下が好ましい。
【0019】なお、重合過程または重合後に、着色剤、
難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐加水分解性向上
剤、防黴剤等の各種添加剤;ガラス繊維、ポリエステル
繊維等の各種繊維;マイカ、タルク等の無機物;各種カ
ップリング剤等を適宜選択して添加してもよい。
【0020】特に、製膜時のフイルム間のブロッキング
防止の効果が大きく、離型紙を用いずに巻き取ることが
可能であり、かつ添加することにより得られるフイルム
の弾性回復性、耐熱性、強度及び柔軟性が低下しない点
から、一般式(I)、 R1−CO−NH−R2−NH−CO−R3 (I) (式中、R1、R3はアルキル基、R2はアルキレン基を
表す)で示される化合物を、熱可塑性樹脂組成物に対し
て0.3〜5重量%配合させることが好ましい。ブロッ
キング防止の効果、熱可塑性樹脂組成物との相溶性、上
記化合物の融点等の観点から、式(I)中のR1、R3
炭素数6〜35のアルキル基、R2は炭素数1〜9のア
ルキレン基が好ましい。さらに好ましくは、R1、R3
炭素数10〜35のアルキル基、R2は炭素数1〜6の
アルキレン基である。
【0021】本発明で使用される熱可塑性ポリウレタン
は、硬度(JIS−A)が55〜85の範囲であること
が重要である。硬度が85を越える場合には、得られる
熱可塑性樹脂組成物の柔軟性が不十分となり、また、硬
度が55未満の場合は、得られる熱可塑性樹脂組成物の
弾性回復性、耐熱性、強度等が不十分となるため好まし
くない。
【0022】本発明で使用される芳香族ビニル化合物−
共役ジエンブロック共重合体は、5〜50重量%の芳香
族ビニル化合物成分を含有し、かつメルトフローレート
(200℃、5kg)が30以下である。該ブロック共
重合体は、芳香族ビニル化合物成分を主体とする重合体
ブロックを1個以上、好ましくは2個以上含有し、さら
に共役ジエン化合物成分を主体とする重合体ブロックを
1個以上含有するものである。
【0023】該ブロック共重合体における芳香族ビニル
化合物成分含有率が50重量%を越える場合、得られる
熱可塑性樹脂組成物は、その中に分散する芳香族ビニル
化合物−共役ジエンブロック共重合体粒子の粒子径が大
きいためか、弾性回復性、強度等が低下するので好まし
くない。また、芳香族ビニル化合物成分含有率が5重量
%未満である場合は、熱可塑性樹脂組成物から形成され
たフィルムの粘着性が増すことなどの不都合が生じるの
で好ましくない。
【0024】そして、上記ブロック共重合体のメルトフ
ローレート(200℃、5kg)が30を越えると、熱
可塑性樹脂組成物中の芳香族ビニル化合物−共役ジエン
ブロック共重合体の分散状態が悪いためか、弾性回復
性、耐熱性、強度および柔軟性が低下し、また製膜が困
難になる。得られる熱可塑性樹脂組成物の弾性回復性、
強度、柔軟性および製膜性がとくに良好となる点から、
芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体のメ
ルトフローレートは10以下であることが好ましく、5
以下であることがより好ましい。なお、メルトフローレ
ートの下限について特に制限はないが、0.1以上であ
ることが望ましい。
【0025】ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル
化合物成分としては、例えば、スチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物から誘
導される成分が挙げられる。共役ジエン化合物成分とし
ては、例えば、イソプレン、ブタジエン、1,3−ペン
タジエン等の共役ジエン化合物から誘導される成分が挙
げられる。
【0026】本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
上記特定の構造を有する熱可塑性ポリウレタンと上記特
定の芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体
との混合割合が、熱可塑性ポリウレタン/芳香族ビニル
化合物−共役ジエンブロック共重合体の重量比で30/
70以上であることが重要である。熱可塑性ポリウレタ
ンの重量が、熱可塑性ポリウレタンと芳香族ビニル化合
物−共役ジエンブロック共重合体との合計重量に対して
30重量%未満の場合は、熱可塑性ポリウレタン単独の
場合に比べて、弾性回復性、耐熱性、強度等の性質の低
下が大きいので好ましくない。弾性回復性、強度、耐熱
性等の性質が特に良好となる観点において、熱可塑性ポ
リウレタン/芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック
共重合体の重量比は50/50以上であることが好まし
い。
【0027】なお、得られる樹脂組成物の性能面からは
熱可塑性ポリウレタン/芳香族ビニル化合物−共役ジエ
ンブロック共重合体の重量比の上限に特に制限はない
が、熱可塑性ポリウレタンが多すぎると経済的な面から
本発明の趣旨にそぐわなくなるので、熱可塑性ポリウレ
タン/芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合
体の重量比は90/10以下の範囲に止めることが望ま
しい。
【0028】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性
ポリウレタンと芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロッ
ク共重合体とを使用する以外は、通常のポリマーブレン
ドの手法により製造することができる。例えば、上記の
熱可塑性ポリウレタンと芳香族ビニル化合物−共役ジエ
ンブロック共重合体とを、樹脂材料の混合に通常用いら
れるような縦型または水平型の混合機を用いて所定の割
合で予備混合した後、単軸または二軸の押出機、ミキシ
ングロール、バンバリーミキサー等を用いて回分式また
は連続式で加熱下に混練することにより製造される。な
お、混合に際して、耐光性、耐熱性等を向上させるため
の安定剤、可塑剤、脂肪族アミドなどの滑剤、充填剤、
帯電防止剤、顔料等の添加剤を、本発明の効果を損なわ
ない量で添加してもよい。
【0029】本発明の熱可塑性樹脂組成物からフィルム
を製造する方法としては、インフレーション成形、Tダ
イ成形等の通常の溶融押出成形による製膜方法を採用す
ることができる。溶融押出成形の条件としては、好適な
ものを適宜選択し採用することができる。
【0030】本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する上
記特定の熱可塑性ポリウレタンと芳香族ビニル化合物−
共役ジエンブロック共重合体とは、単純に溶融条件下に
混合するだけで、熱可塑性ポリウレタンのマトリックス
中に芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体
の微小な粒子が均一に分散し得る。したがって、本発明
の熱可塑性樹脂組成物からフィルムを製造する場合に
は、製膜安定性が良好で、しかも薄膜化が可能である。
また得られたフィルムは、弾性回復性、耐熱性、強伸度
および柔軟性に優れ、特に、弾性回復性、耐熱性の改良
効果は大きく、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロッ
ク共重合体が微分散した効果以上の効果を示す。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例においては、弾性回復性、耐熱性、強度、製
膜性、および製膜時のフイルム間のブロッキング防止性
を以下の方法により評価した。
【0032】[弾性回復性]Tダイを使用し製膜した膜
厚50μmのフィルムより作製した試験片について、温
度23℃、湿度65%RHの条件下に、引張速度200
mm/minで250%伸長し2分間保持後、200m
m/minの速度で元の長さに戻したときの伸度−応力
曲線を求め、応力がゼロとなる位置の残留歪みを弾性回
復性の指標とした。
【0033】[耐熱性]Tダイを使用し製膜した膜厚5
0μmのフィルムより作製した試験片について、周波数
11Hzで動的粘弾性を測定し、動的貯蔵弾性E'のゴ
ム状平坦領域の高温側の終点温度を耐熱性の指標とし
た。
【0034】[強度]Tダイを使用し製膜した膜厚50
μmのフィルムより作製した試験片について、引張速度
200mm/min、温度23℃、湿度65%RHの条
件で引張試験を行うことにより、強伸度測定を行った。
【0035】[柔軟性]Tダイを使用し製膜した膜厚5
0μmのフィルムについて、手の感触により下記の判定
基準に従い柔軟性(風合い)を評価した。 〇:ごわごわしたところがなく、ソフトである。 △:ややごわごわし、ややソフト感に欠ける。 ×:ごわごわし、ソフト感に欠け、伸縮フイルムとして
不適当である。
【0036】[製膜性]Tダイを使用して種々の膜厚の
フィルムについて製造試験を行い、下記に示す判定基準
に従い、製膜性を評価した。 〇:膜厚30μm以下、20μmのフイルムでも安定に
製膜できる。 △:膜厚30μm以下のフイルムの製膜は困難である
が、膜厚30μmより厚いフイルムは安定に製膜でき
る。 ×:膜厚100μmのフイルムさえ安定に製膜できな
い。
【0037】[製膜時のフイルム間のブロッキング防止
性]Tダイを使用して、30℃に調整した冷却ロールを
通し、離型紙を用いずにフイルムを巻き取り、以下に示
す判定基準に従いフイルム間のブロッキング防止性を評
価した。 ◎:製膜後、フイルムを容易に巻き返すことができる。 〇:製膜後、フイルムを巻き返すことができるが、わず
かに引張力を要する。 △:製膜後、フイルムを巻き返すことができるが、かな
りの引張力を要する。 ×:製膜後、フイルムを容易に巻き返すことができな
い。
【0038】なお実施例では、化合物を下記表1に示す
略号で表記する。
【表1】
【0039】[参考例1](ポリエステルジオールAの
製造) ND/MOD(モル比:65/35)192kgおよび
AD146kgを反応器に仕込み、常圧下に窒素ガスを
系内に通じながら、約220℃の温度で、生成する水を
系外に留去しながらエステル化反応を行った。生成した
ポリエステルの酸価が30以下になった時点でテトライ
ソプロピルチタネートを加え、200〜100mmHg
に減圧しながら重縮合反応を続けた。酸価が1.0にな
った時点で真空ポンプにより徐々に真空度を上げて、反
応を完結させた。その結果、数平均分子量が2000の
ポリエステルジオール(これを「ポリエステルジオール
A」と称する)を293kg得た。
【0040】[参考例2](ポリエステルジオールBの
製造) ND/MOD(モル比:65/35)とADを反応器に
仕込み、参考例1と同様にエステル化反応および重縮合
反応を行い、数平均分子量4000のポリエステルジオ
ールを得た。得られたポリエステルジオールを100℃
に加熱して3重量%の水を加え、同温度で2時間撹拌す
ることにより、チタン触媒を失活させた後、減圧下に水
を留去した。この処理によりチタン触媒を失活させたポ
リエステルジオール(これを「ポリエステルジオール
B」と称する)を得た。
【0041】[参考例3、4](ポリエステルジオール
CおよびDの製造) 使用するジオールを、BD(参考例3)またはND(参
考例4)に変更する以外は、参考例1と同様にエステル
化反応および重縮合反応を行い、それぞれ数平均分子量
2000のポリエステルジオールを得た。得られたポリ
エステルジオールを参考例2と同様にしてチタン触媒を
失活させた。この処理によりチタン触媒を失活させたポ
リエステルジオール(これらをそれぞれ「ポリエステル
ジオールCまたはD」と称する)を得た。これらのポリ
エステルジオールの組成を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】[参考例5]{ポリウレタンPの製造} 参考例1で得られたポリエステルジオールA、MDIお
よびBDを、ポリエステルジオールA/MDI/BDの
モル比が1/2.40/1.40となる割合で、かつこ
れらの総量が300g/minになる速度で、定量ポン
プにより、同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機
(30mmφ;L/D=36;シリンダー温度:ブロッ
クごとに約200℃から約250℃の範囲で設定)に連
続的に仕込み、連続溶融重合反応を行った。生成した熱
可塑性ポリウレタンの溶融物をストランド状で水中へ連
続的に押出し、ついでペレタイザーで切断し、ペレット
に成形した。このペレットを80℃で20時間除湿乾燥
し、硬度(JIS−A)75の熱可塑性ポリウレタン
(これを「ポリウレタンP」と称する)を得た。
【0044】[参考例6〜9]{ポリウレタンQ〜T)
の製造} ポリエステルジオールAの代わりに、参考例2〜4で得
られたポリエステルジオールを使用し、ポリエステルジ
オール/MDI/BDのモル比を表3に示す比率に変更
する以外は、参考例5と同様にして、連続溶融重合反
応、ペレット化、除湿乾燥を行うことによって、熱可塑
性ポリウレタン(これらをそれぞれ「ポリウレタンQ〜
T」と称する)を得た。これらの熱可塑性ポリウレタン
の硬度(JIS−A)を同じく表3に示した。
【0045】
【表3】
【0046】[実施例1]参考例5で得られた熱可塑性
ポリウレタンP70重量%に、スチレン成分含有率(以
下「St含有率」と略す)21重量%、メルトフローレ
ート(200℃、5kg)(以下「MFR」と略す)3
dg/minのSIS30重量%を、25mmφ押出機
(シリンダー温度およびダイス温度:205℃)で溶融
混練することにより熱可塑性樹脂組成物を製造した。形
成された熱可塑性樹脂組成物をTダイより押出し、冷却
ロールを通して巻き取ることによって、厚さ50μmの
フィルムを得た。巻き取ったフイルムは、かなりの引張
力を要したが、巻き返すことができた。なお、物性を測
定するためのフイルムは、間に離型紙を挟んで巻き取っ
た。また、厚さ20μmまで薄膜化を試みたが、20μ
mでも安定に製膜できた。得られた厚さ50μmのフィ
ルムを25℃で7日間放置した後、弾性回復性、強伸度
および耐熱性の評価を行った。評価結果を下記表4に示
す。
【0047】[実施例2〜5、比較例1〜7]熱可塑性
ポリウレタン、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロッ
ク共重合体、およびESBAを、表4に示す組み合わせ
で実施例1と同様に溶融混練し、フィルム化することに
より、熱可塑性樹脂組成物からなる厚さ50μmのフィ
ルムを得た。なお、物性を測定するためのフイルムは、
間に離型紙を挟んで巻き取った。得られた各フィルムを
実施例1と同様に放置した後、評価を行い、製膜時の製
膜性、ブロッキング防止性とともに表4に示した。
【0048】
【表4】
【0049】上記表4から、本発明に従う実施例1〜5
の熱可塑性樹脂組成物は、製膜安定性に優れ、弾性回復
性、耐熱性、強度および柔軟性に優れるフィルムを与
え、とりわけ、重縮合触媒の失活処理が施されたポリエ
ステルジオールを使用して製造された熱可塑性ポリウレ
タンを用いた実施例2〜5では、フィルムの弾性回復
性、耐熱性、強度および柔軟性が一層良好となることが
わかる。また、脂肪酸ビスアミドを配合した場合、製膜
時のブロッキング防止性に優れる。これに対して、本発
明とは相違する比較例1〜7の熱可塑性樹脂組成物は、
製膜性が不安定であり、また、弾性回復性、強度および
耐熱性のいずれかが劣るフィルムしか得られず、製膜時
のブロッキング性も大きい。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性ポリウレタン
が有する優れた弾性回復性、耐熱性、強度および柔軟性
を有する熱可塑性樹脂組成物が提供される。さらに、脂
肪酸ビスアミドを配合することにより、製膜時のブロッ
キング防止性に優れる熱可塑性樹脂組成物が提供され
る。該熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ビニル化合物−共
役ジエンブロック共重合体が熱可塑性ポリウレタンに配
合されていることから、熱可塑性ポリウレタン単独と比
較して安価である。本発明のフィルムは、上記熱可塑性
樹脂組成物の特長を効果的に発揮し、伸縮性フィルムと
して有用である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−20514(JP,A) 特開 平3−115417(JP,A) 特公 昭48−27903(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 75/04 - 75/12 C08L 53/02 C08J 5/18 C08K 5/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリウレタンおよび芳香族ビニ
    ル化合物−共役ジエンブロック共重合体からなる熱可塑
    性樹脂組成物において、熱可塑性ポリウレタン/芳香族
    ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の重量比が
    30/70以上であり、該熱可塑性ポリウレタンが、
    1,9−ノナンジオールおよび2−メチル−1,8−オ
    クタンジオール成分をジオール成分とし、1,9−ノナ
    ンジオール/2−メチル−1,8−オクタンジオールの
    モル比が80/20〜0/100である数平均分子量1
    300〜5000のポリエステルジオール、有機ジイソ
    シアネートおよび鎖伸長剤を反応させて得られる硬度
    (JIS−A)55〜85のポリウレタンであり、かつ
    該芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体
    が、芳香族ビニル化合物成分含有率5〜50重量%、メ
    ルトフローレート(200℃、5kg)が30以下の芳
    香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体である
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物に一
    般式、 R1−CO−NH−R2−NH−CO−R3 (式中、R1、R3はアルキル基、R2はアルキレン基を
    表す)で示される化合物を、0.3〜5重量%配合した
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の熱可塑
    性樹脂組成物からなるフィルム。
JP12225994A 1994-06-03 1994-06-03 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるフィルム Expired - Fee Related JP3366435B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12225994A JP3366435B2 (ja) 1994-06-03 1994-06-03 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12225994A JP3366435B2 (ja) 1994-06-03 1994-06-03 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるフィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07331060A JPH07331060A (ja) 1995-12-19
JP3366435B2 true JP3366435B2 (ja) 2003-01-14

Family

ID=14831528

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12225994A Expired - Fee Related JP3366435B2 (ja) 1994-06-03 1994-06-03 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3366435B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20100010171A1 (en) * 2008-07-11 2010-01-14 Ruidong Ding Thermoplastic polyurethane/block copolymer compositions

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07331060A (ja) 1995-12-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8680213B2 (en) Thermoplastic polyurethanes
TW201307416A (zh) 具有降低起霧傾向之源自生物基質二醇之熱塑性聚胺甲酸酯
US5859131A (en) Resin composition and molded article of the same
JP3121415B2 (ja) 熱可塑性ポリウレタン組成物
JP3334975B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるフィルム
JP3366435B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるフィルム
JP2009138197A (ja) 自己消炎性熱可塑性ポリウレタン、その使用およびその製造方法
JP3366434B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるフィルム
JP3657309B2 (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP3081113B2 (ja) 熱可塑性重合体組成物
EP2279218B1 (en) Thermoplastic polyurethanes with good fuel resistance
JP3563107B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるフィルム
JP3334974B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるフィルム
JP3672404B2 (ja) 熱可塑性ポリウレタン系樹脂組成物
JP3337280B2 (ja) ポリウレタン組成物
JP3630820B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2986690B2 (ja) 熱可塑性ポリウレタン組成物
JP3887038B2 (ja) 樹脂組成物
JP3419593B2 (ja) 熱可塑性ポリウレタン組成物
JPH0853616A (ja) 熱可塑性ポリウレタンおよびポリエステル系樹脂から主としてなる重合体組成物
JPH06184367A (ja) ポリマーアロイ
JP2001064506A (ja) 熱可塑性ポリウレタン組成物
JP2003171434A (ja) 熱可塑性ポリウレタン組成物及びその成形品
JPH0925407A (ja) 熱可塑性ポリウレタン組成物
JPH0791456B2 (ja) ポリ塩化ビニル−ポリウレタン複合体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees