JPH0733092B2 - インクジェット記録装置の作動方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、インクジェットヘッドの調整作業を行わせる
インクジェット記録装置の作動方法に関し、特にキー操
作によってインクジェットヘッドのキャッピング状態を
確認してから調整作業位置に移動させるインクジェット
記録装置の作動方法に関する。

〔従来技術〕

インクジェット記録装置は、記録ヘッドへインクを供給
し、該記録ヘッドの前面に設けた複数のインク吐出口を
データ信号に基づいて駆動し、被記録媒体（用紙など）
へ向かう飛翔的インク滴を形成しながら記録するように
構成されている。

この種のインクジェット記録装置においては、インク吐
出口部分でのインク乾燥、ごみ付着あるいはインク漏れ
を防止する目的で、記録しない間インク吐出口をキャッ
プで自動的に閉鎖するキャッピング手段が設けられるこ
とがある。

また、インク吐出の安定化を図るべく記録動作に先立っ
てインクを吐出させるインク回復手段を、前記キャッピ
ング手段と一体的に設けることも行われている。

前記キャッピング手段およびインク回復手段は通常キャ
リッジのホーム位置に配置される。

この種の自動キャッピング機構を備えたインクジェット
記録装置は、通常印字指令がないとキャリッジをホーム
位置へ移動させキャップでインク吐出口を閉鎖するよう
に動作する。

また、用紙等の被記録媒体がないとキャリッジをホーム
位置に固定しておくように動作する。

しかし、このような従来の作動方法にあっては、印字指
令がないとキャリッジが固定され記録ヘッドにキャップ
が密接されているので、記録ヘッドの交換、キャリッジ
の動作確認あるいは記録ヘッドと被記録媒体との当り具
合のチェックなどの調整作業に不便であるという問題が
あった。

すなわち、これらの調整作業は、電源オフ時にギヤを手
で回転させてキャップを開放させるか、あるいは一旦記
録動作を開始させて途中で電源オフにするなど、煩雑な
手順を経ない限りキャリッジを自由な状態にすることが
できなかった。

〔目的〕

本発明の目的は、このような従来技術の問題を解決で
き、キャリッジや記録ヘッド等の調整作業を容易に行い
得るインクジェット記録装置の作動方法を提供すること
である。

〔概要〕

本発明は、上述の目的を達成するために提案されたもの
で、インクジェットヘッドを着脱可能に支持し記録領域
と非記録領域とにわたって走査されるキャリッジと、前
記ヘッドを非記録領域にて覆うキャップと、を有したイ
ンクジェット記録装置の作動方法において、前記インク
ジェット記録装置に備えられたキーを操作することによ
って前記インクジェットヘッド調整作業位置において調
整作業可能状態とするに際し、前記キーの操作によって
前記インクジェットヘッドに対し前記キャップがなされ
ているか否かを判断し、前記キャップが閉じていると判
断された場合には前記キャップを開放する行程を経た
後、前記キャップが開いていると判断された場合には直
ちに、前記キャリッジの位置が調整作業位置にあるか否
かを判断し、調整作業位置にないと判断された場合には
前記キャリッジを調整作業位置まで移動させる行程を経
た後、調整作業位置にあると判断された場合には直ち
に、調整作業の内容に応じた調整作業可能状態に移行す
ることを特徴とする。

本発明によれば、インクジェットヘッドのおかれた状況
を確実に判断した上でキャリッジを調整作業位置とする
ことができる。

〔実施例〕

以下図面を参照して本発明を具体的に説明する。

第１図は本発明方法を実施するのに好適なインクジェッ
ト記録装置の要部構成を示す。

第１図において、プラテン１にバックアップされた用紙
またはプラスチックシートなどの被記録媒体２の前方に
ガイドシャフト３が設置され、該ガイドシャフトに沿っ
て矢印Ａ方向に移動するキャリッジ４上に記録ヘッド５
が搭載されている。

記録ヘッド５の前面（第１図中の上辺）にはドットを形
成する複数のインク吐出口が設けられており、各インク
吐出口をデータ信号に基づいて駆動することにより被記
録媒体２に記録される。

なお、単色印字用では通常１個の記録ヘッドが搭載され
るが、カラー印字用や濃淡印字用など複数のインクを組
合わせて記録する場合はインクの種類に応じて複数の記
録ヘッドが搭載される。

被記録媒体２は紙送りローラ（図示の例ではローラ状の
プラテン１が紙送りローラを兼ねている）１により矢印
Ｂ方向に紙送りされる。

キャリッジ４のホーム位置HPにはキャッピング手段を兼
ねたインク回復手段６が設けられている。

このインク回復手段（キャッピング手段）６は、記録ヘ
ッド５の前面に対し矢印Ｃ方向に前進後退駆動され前進
時（図示の状態）にインク吐出口を閉鎖するキャップ７
と該キャップ内部に吸引チューブ８を介して接続された
吸引ポンプ（負圧源）９とを備えている。

前記キャリッジ４は、キャリッジモータ10にベルト等の
伝動手段11を介して連結され、該キャリッジモータを作
動させることにより矢印Ａ方向に往復駆動される。

一方、前記キャップ７は、キャップモータ12にギヤ13を
介して連結され、該キャップモータを作動させることに
より矢印Ｃ方向に前進後退駆動される。

前記キャリッジモータ10および前記キャップモータ12は
電源スイッチ（パワースイッチ）14および特定のキー15
に電気的に接続されている。

然して、以上の記録装置は、記録しない時記録ヘッド５
のインク吐出口を自動的にキャップ７で閉鎖するように
動作するが、特定のキー15を操作（オン）した時は、キ
ャップモータ12を作動させてキャップ７を後退（開放）
させ次いでキャリッジモータ10を所定量だけ作動させて
キャリッジ４を所定の設定位置（例えば第１図中鎖線で
示す位置）へ移動させるように動作する。

前記特定のキー15をオンにした時のキャリッジ４の移動
は、被記録媒体２の有無に関係なく実行される。

第２図は以上の記録装置の制御系のブロック図である。

第２図において、記録装置のCPU（制御回路）16は、第
１のドライバ17を介してキャリッジモータ10、紙送りモ
ータ18、キャップモータ12およびインク回復モータ19等
を制御駆動し、キャリッジ４上の第２のドライバ20を介
して記録ヘッド５を制御駆動する。

CPU16、第１のドライバ17および第２のドライバ20は電
源スイッチ14をオンすることにより電源21に接続され
る。

さらに、特定のキー15をオンにすると、CPU16はドライ
バ17を介してキャップモータ12およびキャリッジモータ
10を別の制御プログラムで制御駆動し、前述のように、
キャップ７を開放した後キャリッジ４を被記録媒体２の
有無に関係なく所定の設定位置（ヘッド交換等の調整作
業を行うのに適した位置、以下、調整作業位置という）
へ移動させるように動作する。

また、複数の特定のキーを設けることにより、複数の調
整作業位置を設定することも可能である。

前記調整作業としては、記録ヘッド５の交換、キャリッ
ジ４の動作を手動または自動でチェックする点検、記録
ヘッド５と被記録媒体２との当たり具合をチェックする
点検、さらには所望部分の分解や点検などの作業があ
る。

前記調整作業位置は、記録領域に相当する範囲であるこ
とが調整作業を実行する上では作業空間を確保できる点
で好ましいが、調整作業の種類あるいは作業時の記録ヘ
ッドからのインク漏洩を考慮した場合には非記録領域、
例えばホームポジションに設定してもよい。

なお、以上の制御系の制御プログラムはROMに格納され
ている。

第３図は本発明方法を実施する際の動作手順を例示する
フローチャートである。

第３図において、ステップS100でキー15を操作（オン）
すると、ステップS101へ進みキャップ７が開いているか
否かを判別し、キャップ７が閉じていると、ステップS1
02でキャップモータ12を駆動してキャップ７を開いた
後、ステップS103へ進みキャリッジ４が所定の調整作業
位置（設定位置）にあるか否かを判別する。

ステップS101でキャップ開と判断された時は直接ステッ
プS103へ進む。

ステップS103で調整作業位置にないと判断されると、ス
テップS104へ進みキャリッジモータ10を駆動してキャリ
ッジ４を調整作業位置へ移動させた後、ステップS105の
待機状態へ進む。

ステップS103で調整作業位置にあると判断されると、直
接ステップS105の待機状態へ進む。

この待機状態とは、キャリッジ４および記録ヘッド５を
保守点検する調整作業を容易に実行することのできるい
わゆる調整作業可能状態である。

前記調整作業としては、前述のごとく、記録ヘッド５の
交換、キャリッジ４の動作を手動または自動でチェック
する点検、記録ヘッド５と被記録媒体２との当たり具合
をチェックする点検、さらには所望の部分の分解や点検
などの作業がある。

ここで、前記記録ヘッド５の交換を行う場合には、キャ
ップ７が後退した開放状態にされるとともに、キャリッ
ジ４に対する記録ヘッド５の位置決め固定手段が解放さ
れた状態とされる。

また、前記キャリッジ４の動作を手動でチェックする点
検を行う場合にあっては、キャップ７が後退した開放状
態とされるとともに、キャリッジ４を走査するキャリッ
ジモータ10の駆動伝達が開放されたニュートラルな状態
とされる。

なお、キャリッジ４の動作を自動でチェックする場合に
は、キャップ７は開放状態とされるだけでよく、キャリ
ッジモータ10の駆動伝達は接続された状態のままでよ
い。

また、記録ヘッド５と被記録媒体２との当たり具合をチ
ェックする点検を行う場合には、上述のキャリッジ４の
動作チェックの場合と同様の状態とされればよい。

さらに、所望部分の分解や点検などの作業を行う場合に
は、キャップ７が開放状態とされ、実行される作業の内
容によっては、さらに、キャリッジモータ10のニュート
ラル状態あるいは記録ヘッド５の位置決め固定手段の開
放状態とされる。

また、各種の調整作業のうち、例えば記録ヘッドの交換
並びに特定部分の分解や点検のための調整作業位置は、
複数の特定のキーを設けることにより複数の調整作業位
置を設定することも可能であり、キャリッジ４の走査範
囲内のいずれでもよく、キャリッジ４のホームポジショ
ンに設定することも可能である。

したがって、上記調整作業可能状態では、キャップモー
タ12が駆動されて記録ヘッド５からキャップ７が後退し
開放された状態とされ、調整作業の内容によっては、さ
らに、キャリッジ４を走査するキャリッジモータ10の駆
動伝達が開放されたニュートラルな状態、あるいはキャ
リッジ４に対する記録ヘッド５の位置決め固定状態が解
放された状態とされる。

〔効果〕

以上の説明から明らかなように、本発明によれば、イン
クジェットヘッドを着脱可能に支持し記録領域と非記録
領域とにわたって走査されるキャリッジと、前記ヘッド
を非記録領域にて覆うキャップと、を有したインクジェ
ット記録装置の作動方法において、前記インクジェット
記録装置に備えられたキーを操作することによって前記
インクジェットヘッドを調整作業位置において調整作業
可能状態とするに際し、前記キーの操作によって前記イ
ンクジェットヘッドに対し前記キャップがなされている
か否かを判断し、前記キャップが閉じていると判断され
た場合には前記キャップを開放する行程を経た後、前記
キャップが開いていると判断された場合には直ちに、前
記キャリッジの位置が調整作業位置にあるか否かを判断
し、調整作業位置にないと判断された場合には前記キャ
リッジを調整作業位置まで移動させる行程を経た後、調
整作業位置にあると判断された場合には直ちに、調整作
業の内容に応じた調整作業可能状態に移行するという作
動方法を採るので、インクジェットヘッドの調整作業を
行うに際し、該インクジェットヘッドのおかれた状況を
判断して確実に調整作業位置に移動させることができ、
インクジェットヘッドやキャリッジなどのメインテナン
スを確実にかつ容易に実行することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明方法を実施するのに好適なインクジェッ
ト記録装置の要部の模式的平面図、第２図は第１図の記
録装置の制御系をブロック図、第３図は本発明方法を実
施する際の手順を例示するフローチャートである。 ４……キャリッジ、５……記録ヘッド、７……キャッ
プ、10……キャリッジモータ、12……キャップモータ、
14……電源スイッチ、15……特定のキー。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 秀樹 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−209879（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−140181（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−19577（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−93484（ＪＰ，Ａ)

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】インクジェットヘッドを着脱可能に支持し
   記録領域と非記録領域とにわたって走査されるキャリッ
   ジと、前記ヘッドを非記録領域にて覆うキャップと、を
   有したインクジェット記録装置の作動方法において、 前記インクジェット記録装置に備えられたキーを操作す
   ることによって前記インクジェットヘッドを調整作業位
   置において調整作業可能状態とするに際し、前記キーの
   操作によって前記インクジェットヘッドに対し前記キャ
   ップがなされているか否かを判断し、 前記キャップが閉じていると判断された場合には前記キ
   ャップを開放する行程を経た後、前記キャップが開いて
   いると判断された場合には直ちに、前記キャリッジの位
   置が調整作業位置にあるか否かを判断し、 調整作業位置にないと判断された場合には前記キャリッ
   ジを調整作業位置まで移動させる行程を経た後、調整作
   業位置にあると判断された場合には直ちに、調整作業の
   内容に応じた調整作業可能状態に移行することを特徴と
   するインクジェット記録装置の作動方法。
2. 【請求項２】前記キー操作から調整作業可能状態への移
   行にかかる操作は、記録領域に被記録媒体が存在するか
   否かにかかわらず実行されることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載のインクジェット記録装置の作動方
   法。