JPH073286U - 渦電流式減速装置の風損低減構造 - Google Patents

渦電流式減速装置の風損低減構造

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JPH073286U
JPH073286U JP2800692U JP2800692U JPH073286U JP H073286 U JPH073286 U JP H073286U JP 2800692 U JP2800692 U JP 2800692U JP 2800692 U JP2800692 U JP 2800692U JP H073286 U JPH073286 U JP H073286U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 非制動時の冷却フインによる空気の流れを抑
え、風損を低減する。 【構成】 制動ドラム7の内部に非磁性体からなる断面
箱形の固定枠10を配設する。固定枠10の外周壁に周
方向等間隔に多数の強磁性板15を結合する。固定枠1
0の内空部に回動可能に支持した磁石支持輪14に、各
強磁性板15に対する極性が周方向に交互に異なるよう
に永久磁石24を結合する。固定枠10の端壁21に支
軸21aにより多数のレバー42を回動可能に支持す
る。各レバー42の基端部に設けた長孔42aに、磁石
支持輪14から固定枠10の端壁21の長孔21bを経
て突出するピン14aを係合する。各レバー42の先端
にカバー板41を支持する。非制動時、周方向に並ぶカ
バー板41は制動ドラム7の冷却フイン8を覆う筒体を
形成する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は主として大型車両の摩擦ブレーキを補助する渦電流式減速装置、特に 常時回転される制動ドラムの冷却フインによる風損を低減し、機関の燃費を向上 する、渦電流式減速装置の風損低減構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平1-298948号公報に開示される渦電流式減速装置では、制動ドラムの内部 に非磁性体からなる断面箱形の固定枠を配設し、固定枠の外周壁に周方向等間隔 に多数の強磁性板を結合し、固定枠の内空部に回動可能に支持した磁石支持輪に 、各強磁性板に対向する永久磁石(以下単に磁石という)を結合し、磁石支持輪 の位相を強磁性板の半配列ピツチだけ変えることにより、制動と非制動の切換え を行う。
【0003】 ところで、渦電流式減速装置の制動ドラムは、制動中の渦電流により加熱され るので、制動ドラムの冷却性を高めるために、外周壁に多数の冷却フインを備え ている。しかし、制動ドラムは非制動時も回転するから、冷却フインの風損は無 視できないものとなる。
【0004】 冷却フインの風損を完全になくするためには、制動ドラムと回転軸との間にク ラツチを設け、非制動時クラツチを遮断し、制動ドラムを停止することが好まし いが、クラツチを設けるとなれば、構造が複雑になり、形状が大型になり回転体 の重量が増加して車両への搭載が難しくなり、熱に対するクラツチの信頼性を考 慮しなければならないなど種々の問題が生じる。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
本考案の目的は上述の問題に鑑み、非制動時の冷却フインによる空気の流れを 抑えることにより風損を低減する、構成が簡単な渦電流式減速装置の風損低減構 造を提供することにある。
【0006】
【問題点を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本考案の構成は制動ドラムの内部に非磁性体から なる断面箱形の固定枠を配設し、固定枠の外周壁に周方向等間隔に多数の強磁性 板を結合し、固定枠の内空部に回動可能に支持した磁石支持輪に、各強磁性板に 対する極性が周方向に交互に異なるように永久磁石を結合し、固定枠の端壁に支 軸により多数のレバーを回動可能に支持し、各レバーの基端部に設けた長孔に、 磁石支持輪から固定枠の端壁の長孔を経て突出するピンを係合し、各レバーの先 端にカバー板を支持し、非制動時周方向に並ぶカバー板が制動ドラムの冷却フイ ンを覆う筒体を形成するものである。
【0007】
【作用】
本考案では、固定枠の端壁に支軸により多数のレバーを回動可能に支持し、レ バーの基端部に設けた長孔に、制動位置と非制動位置に回動する磁石支持輪の端 壁から突出するピンを係合する。非制動時、磁石支持輪と連動してレバーが回動 し、多数のカバー板は制動ドラムの冷却フインの外周側を覆う円筒体を形成する 。したがつて、常時回転する制動ドラムの冷却フインにより送られる風量が円筒 体により抑えられ、また空気の流れがカバー板により安定したものとなるので、 風損が低減され、騒音が抑えられる。
【0008】 制動時、レバーが逆に回動し、カバー板は制動ドラムの径外方へ向く。カバー 板は制動ドラムの冷却フインの外周側から引退するので、冷却フインによる風量 が増大し、制動ドラムの熱放熱を助ける。
【0009】
【実施例】
図1は本考案による風損低減構造を備えた渦電流式減速装置の側面断面図、図 2は同正面断面図である。本考案による渦電流式減速装置は、例えば車両用変速 機の出力回転軸1に結合される導体からなる制動ドラム7と、制動ドラム7の内 部に配設される非磁性体からなる固定枠10と、固定枠10の内空部に回動可能 に支持した磁石支持輪14とを備えている。制動ドラム7はボス5のフランジ部 5aを、駐車ブレーキの制動ドラム3の端壁部と一緒に、回転軸1にスプライン 嵌合固定した取付フランジ2に重ね合され、かつ複数のボルト4とナツトにより 締結される。ボス5から放射状に延びる多数のスポーク6に、冷却フイン8を備 えた制動ドラム7の一端が結合される。
【0010】 断面箱形の固定枠10は外筒10aと内筒10bの端部に環状板からなる端壁 21,22を結合して構成される。固定枠10は適当な手段により例えば変速機 の歯車箱に固定される。固定枠10の外周壁ないし外筒10aは多数の強磁性板 (ポールピース)15を周方向等間隔に結合される。好ましくは、強磁性板15 は固定枠10の成形時鋳込まれる。磁石支持輪14は固定枠10の内空部、詳し くは内筒10bに軸受12により回動可能に支持される。
【0011】 磁石支持輪14を正逆回動するために、固定枠10の左端壁に流体圧アクチユ エータ(図示せず)が支持される。流体圧アクチユエータは固定枠10の周方向 に延びるシリンダにピストンを嵌装してなり、ピストンから外部へ突出するロツ ドは、磁石支持輪14から固定枠10の左端壁21の円弧状の長孔を経て突出す る腕(図示せず)に連結される。
【0012】 図2に示すように、磁石支持輪14は磁性体からなり、各強磁性板15に1つ ずつ対応する磁石24を、各強磁性板15に対する極性が周方向に交互に異なる ように結合される。
【0013】 図1に示すように、本考案によれば、固定枠10の端壁に回転軸1と平行な支 軸21により、レバー42が回動可能に支持される。レバー42の基端部に設け た長孔42aは、磁石支持輪14の端壁から端壁21の長孔21bを経て突出す るピン14aを係合される。レバー42の先端は制動ドラム7の冷却フイン8を 覆うカバー板41を一体的に備えられる。好ましくは、カバー板41は断面円弧 状に湾曲され、多数のカバー板41が制動ドラム7の外周側へ接近すると円筒状 になつて冷却フイン8を覆う。
【0014】 次に、本考案による渦電流式減速装置の風損低減構造の作動について説明する 。図2に示すように、非制動時、極性が異なる2つの磁石24が各強磁性板15 に対向する。隣接する1対の磁石24は各強磁性板15と磁石支持輪14との間 に短絡的磁気回路Wを形成し、磁石24は制動ドラム7に磁界を及ぼさない。
【0015】 非制動時、多数のカバー板41は、図2に実線で示すように円筒体を形成し、 冷却フイン8を覆う。円筒体の内部を通過する風量が抑えられ、円筒体を吹き抜 ける空気の乱れが抑えられるので、制動ドラム7と冷却フイン8の回転に伴う風 損が低減され、騒音も低減される。
【0016】 制動時、流体圧アクチユエータにより磁石支持輪14を強磁性板15の半配列 ピツチ分だけ回動すると、各磁石24は各強磁性板15に全面的に対向し、強磁 性板15を経て制動ドラム7に磁界を及ぼす。回転する制動ドラム7が磁界を横 切る時、制動ドラム7に渦電流が流れ、制動ドラム7は制動トルクを受ける。こ の時、隣接する1対の磁石24は制動ドラム7と磁石支持輪14との間に磁気回 路を形成する。
【0017】 制動時、レバー42は磁石支持輪14のピン14aにより、図2に中心線44 で示す位置へ回動され、カバー板41が鎖線で示すように冷却フイン8から離れ る。制動ドラム7は渦電流により加熱されて高温になる。しかし、カバー板41 は冷却フイン8から引退しているので、制動ドラム7からの放熱が妨げられず、 冷却フイン8により制動ドラム7の内外周面へ誘導される空気により効果的に冷 却される。
【0018】 上述の実施例では、磁石支持輪14が各強磁性板15に1つずつ対向する磁石 24を、周方向等間隔にかつ極性を周方向交互に異にして結合する渦電流式減速 装置の場合について説明したが、本考案の風損低減構造はこれに限定されるもの ではなく、図3に示すように、磁石支持輪14が各強磁性板15に2つずつ対向 する磁石24を、周方向等間隔にかつ極性を周方向に2つずつ異にして結合する 渦電流式減速装置にも適用できる。
【0019】 また、図4に示すように、固定枠10が左側に図1,2の磁石支持輪14を回 動可能に、右側に同様の磁石支持輪14を不動に(固定枠と一体的に構成する) それぞれ支持する渦電流式減速装置にも適用できる。
【0020】
【考案の効果】
本考案は上述のように、制動ドラムの内部に非磁性体からなる断面箱形の固定 枠を配設し、固定枠の外周壁に周方向等間隔に多数の強磁性板を結合し、固定枠 の内空部に回動可能に支持した磁石支持輪に、各強磁性板に対する極性が周方向 に交互に異なるように永久磁石を結合し、固定枠の端壁に支軸により多数のレバ ーを回動可能に支持し、各レバーの基端部に設けた長孔に、磁石支持輪から固定 枠の端壁の長孔を経て突出するピンを係合し、各レバーの先端にカバー板を支持 したから、非制動時周方向に並ぶカバー板により形成される円筒体の内部を通過 する風量が抑えられ、かつ円筒体を吹き抜ける空気の乱れが抑えられるので、制 動ドラムと冷却フインの回転に伴う風損が低減され、騒音も低減される結果、機 関の燃費を節減できる。
【0021】 構造が複雑で高価なクラツチを制動ドラムと回転軸との間に設ける必要がない ので、装置の大型化や重量増加、信頼性の低下などを回避でき、安価に提供でき る。
【0022】 制動時、カバー板は流体圧アクチユエータにより駆動される磁石支持輪に連動 して、自動的に制動ドラムの冷却フインから引退するので、特別の駆動源を必要 としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る風損低減構造を備えた渦電流式減
速装置の側面断面図である。
【図2】同渦電流式減速装置の部分的正面断面図であ
る。
【図3】本考案に係る風損低減構造を適用し得る渦電流
式減速装置の他の磁石配列を展開して示す平面図であ
る。
【図4】同渦電流式減速装置の他の磁石配列を展開して
示す平面図である。
【符号の説明】
1:回転軸 7:制動ドラム 8:冷却フイン 10:
固定枠 14:磁石支持輪 14a:ピン 15:強磁
性板 21:端壁 21a:支軸 24:磁石 41:カバー板 42:レバー 42a:長孔
【手続補正書】
【提出日】平成5年2月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】実用新案登録請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【実用新案登録請求の範囲】

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】制動ドラムの内部に非磁性体からなる断面
    箱形の固定枠を配設し、固定枠の外周壁に周方向等間隔
    に多数の強磁性板を結合し、固定枠の内空部に回動可能
    に支持した磁石支持輪に、各強磁性板に対する極性が周
    方向に交互に異なるように永久磁石を結合し、固定枠の
    端壁に支軸により多数のレバーを回動可能に支持し、各
    レバーの基端部に設けた長孔に、磁石支持輪から固定枠
    の端壁の長孔を経て突出するピンを係合し、各レバーの
    先端にカバー板を支持し、非制動時周方向に並ぶカバー
    板が制動ドラムの冷却フインを覆う筒体を形成すること
    を特徴とする、渦電流式減速装置の風損低減構造。
JP2800692U 1992-03-31 1992-03-31 渦電流式減速装置の風損低減構造 Expired - Lifetime JP2557743Y2 (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54107688U (ja) * 1978-01-14 1979-07-28
JP2018102068A (ja) * 2016-12-21 2018-06-28 新日鐵住金株式会社 渦電流式減速装置

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JPS5551184Y2 (ja) * 1978-01-14 1980-11-28
JP2018102068A (ja) * 2016-12-21 2018-06-28 新日鐵住金株式会社 渦電流式減速装置

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