JP2557743Y2 - 渦電流式減速装置の風損低減構造 - Google Patents

渦電流式減速装置の風損低減構造

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JP2557743Y2
JP2557743Y2 JP2800692U JP2800692U JP2557743Y2 JP 2557743 Y2 JP2557743 Y2 JP 2557743Y2 JP 2800692 U JP2800692 U JP 2800692U JP 2800692 U JP2800692 U JP 2800692U JP 2557743 Y2 JP2557743 Y2 JP 2557743Y2
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magnet support
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知之 久保宮
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は主として大型車両の摩擦
ブレーキを補助する渦電流式減速装置、特に常時回転さ
れる制動ドラムの冷却フインによる風損を低減し、機関
の燃費を向上する、渦電流式減速装置の風損低減構造に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平1-298948号公報に開示される渦電
流式減速装置では、制動ドラムの内部に非磁性体からな
る断面箱形の固定枠を配設し、固定枠の外周壁に周方向
等間隔に多数の強磁性板を結合し、固定枠の内空部に回
動可能に支持した磁石支持輪に、各強磁性板に対向する
永久磁石(以下単に磁石という)を結合し、磁石支持輪
の位相を強磁性板の半配列ピツチだけ変えることによ
り、制動と非制動の切換えを行う。
【0003】ところで、渦電流式減速装置の制動ドラム
は、制動中の渦電流により加熱されるので、制動ドラム
の冷却性を高めるために、外周壁に多数の冷却フインを
備えている。しかし、制動ドラムは非制動時も回転する
から、冷却フインの風損は無視できないものとなる。
【0004】冷却フインの風損を完全になくするために
は、制動ドラムと回転軸との間にクラツチを設け、非制
動時クラツチを遮断し、制動ドラムを停止することが好
ましいが、クラツチを設けるとなれば、構造が複雑にな
り、形状が大型になり回転体の重量が増加して車両への
搭載が難しくなり、熱に対するクラツチの信頼性を考慮
しなければならないなど種々の問題が生じる。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】本考案の目的は上述の
問題に鑑み、非制動時の冷却フインによる空気の流れを
抑えることにより風損を低減する、構成が簡単な渦電流
式減速装置の風損低減構造を提供することにある。
【0006】
【問題点を解決するための手段】上記目的を達成するた
めに、本考案の構成は制動ドラムの内部に非磁性体から
なる断面箱形の固定枠を配設し、固定枠の外周壁に周方
向等間隔に多数の強磁性板を結合し、固定枠の内空部に
回動可能に支持した磁石支持輪に、各強磁性板に対する
極性が周方向に交互に異なるように永久磁石を結合し、
固定枠の端壁に支軸により多数のレバーを回動可能に支
持し、各レバーの基端部に設けた長孔に、磁石支持輪か
ら固定枠の端壁の長孔を経て突出するピンを係合し、各
レバーの先端にカバー板を支持し、非制動時周方向に並
ぶカバー板が制動ドラムの冷却フインを覆う筒体を形成
するものである。
【0007】
【作用】本考案では、固定枠の端壁に支軸により多数の
レバーを回動可能に支持し、レバーの基端部に設けた長
孔に、制動位置と非制動位置に回動する磁石支持輪の端
壁から突出するピンを係合する。非制動時、磁石支持輪
と連動してレバーが回動し、多数のカバー板は制動ドラ
ムの冷却フインの外周側を覆う円筒体を形成する。した
がつて、常時回転する制動ドラムの冷却フインにより送
られる風量が円筒体により抑えられ、また空気の流れが
カバー板により安定したものとなるので、風損が低減さ
れ、騒音が抑えられる。
【0008】制動時、レバーが逆に回動し、カバー板は
制動ドラムの径外方へ向く。カバー板は制動ドラムの冷
却フインの外周側から引退するので、冷却フインによる
風量が増大し、制動ドラムの熱放熱を助ける。
【0009】
【実施例】図1は本考案による風損低減構造を備えた渦
電流式減速装置の側面断面図、図2は同正面断面図であ
る。本考案による渦電流式減速装置は、例えば車両用変
速機の出力回転軸1に結合される導体からなる制動ドラ
ム7と、制動ドラム7の内部に配設される非磁性体から
なる固定枠10と、固定枠10の内空部に回動可能に支
持した磁石支持輪14とを備えている。制動ドラム7は
ボス5のフランジ部5aを、駐車ブレーキの制動ドラム
3の端壁部と一緒に、回転軸1にスプライン嵌合固定し
た取付フランジ2に重ね合され、かつ複数のボルト4と
ナツトにより締結される。ボス5から放射状に延びる多
数のスポーク6に、冷却フイン8を備えた制動ドラム7
の一端が結合される。
【0010】断面箱形の固定枠10は外筒10aと内筒
10bの端部に環状板からなる端壁21,22を結合し
て構成される。固定枠10は適当な手段により例えば変
速機の歯車箱に固定される。固定枠10の外周壁ないし
外筒10aは多数の強磁性板(ポールピース)15を周
方向等間隔に結合される。好ましくは、強磁性板15は
固定枠10の成形時鋳込まれる。磁石支持輪14は固定
枠10の内空部、詳しくは内筒10bに軸受12により
回動可能に支持される。
【0011】磁石支持輪14を正逆回動するために、固
定枠10の左端壁に流体圧アクチユエータ(図示せず)
が支持される。流体圧アクチユエータは固定枠10の周
方向に延びるシリンダにピストンを嵌装してなり、ピス
トンから外部へ突出するロツドは、磁石支持輪14から
固定枠10の左端壁21の円弧状の長孔を経て突出する
腕(図示せず)に連結される。
【0012】図2に示すように、磁石支持輪14は磁性
体からなり、各強磁性板15に1つずつ対応する磁石2
4を、各強磁性板15に対する極性が周方向に交互に異
なるように結合される。
【0013】図1に示すように、本考案によれば、固定
枠10の端壁に回転軸1と平行な支軸21により、レバ
ー42が回動可能に支持される。レバー42の基端部に
設けた長孔42aは、磁石支持輪14の端壁から端壁2
1の長孔21bを経て突出するピン14aを係合され
る。レバー42の先端は制動ドラム7の冷却フイン8を
覆うカバー板41を一体的に備えられる。好ましくは、
カバー板41は断面円弧状に湾曲され、多数のカバー板
41が制動ドラム7の外周側へ接近すると円筒状になつ
て冷却フイン8を覆う。
【0014】次に、本考案による渦電流式減速装置の風
損低減構造の作動について説明する。図2に示すよう
に、非制動時、極性が異なる2つの磁石24が各強磁性
板15に対向する。隣接する1対の磁石24は各強磁性
板15と磁石支持輪14との間に短絡的磁気回路Wを形
成し、磁石24は制動ドラム7に磁界を及ぼさない。
【0015】非制動時、多数のカバー板41は、図2に
実線で示すように円筒体を形成し、冷却フイン8を覆
う。円筒体の内部を通過する風量が抑えられ、円筒体を
吹き抜ける空気の乱れが抑えられるので、制動ドラム7
と冷却フイン8の回転に伴う風損が低減され、騒音も低
減される。
【0016】制動時、流体圧アクチユエータにより磁石
支持輪14を強磁性板15の半配列ピツチ分だけ回動す
ると、各磁石24は各強磁性板15に全面的に対向し、
強磁性板15を経て制動ドラム7に磁界を及ぼす。回転
する制動ドラム7が磁界を横切る時、制動ドラム7に渦
電流が流れ、制動ドラム7は制動トルクを受ける。この
時、隣接する1対の磁石24は制動ドラム7と磁石支持
輪14との間に磁気回路を形成する。
【0017】制動時、レバー42は磁石支持輪14のピ
ン14aにより、図2に中心線44で示す位置へ回動さ
れ、カバー板41が鎖線で示すように冷却フイン8から
離れる。制動ドラム7は渦電流により加熱されて高温に
なる。しかし、カバー板41は冷却フイン8から引退し
ているので、制動ドラム7からの放熱が妨げられず、冷
却フイン8により制動ドラム7の内外周面へ誘導される
空気により効果的に冷却される。
【0018】上述の実施例では、磁石支持輪14が各強
磁性板15に1つずつ対向する磁石24を、周方向等間
隔にかつ極性を周方向交互に異にして結合する渦電流式
減速装置の場合について説明したが、本考案の風損低減
構造はこれに限定されるものではなく、図3に示すよう
に、磁石支持輪14が各強磁性板15に2つずつ対向す
る磁石24を、周方向等間隔にかつ極性を周方向に2つ
ずつ異にして結合する渦電流式減速装置にも適用でき
る。
【0019】また、図4に示すように、固定枠10が左
側に図1,2の磁石支持輪14を回動可能に、右側に同
様の磁石支持輪14を不動に(固定枠と一体的に構成す
る)それぞれ支持する渦電流式減速装置にも適用でき
る。
【0020】
【考案の効果】本考案は上述のように、制動ドラムの内
部に非磁性体からなる断面箱形の固定枠を配設し、固定
枠の外周壁に周方向等間隔に多数の強磁性板を結合し、
固定枠の内空部に回動可能に支持した磁石支持輪に、各
強磁性板に対する極性が周方向に交互に異なるように永
久磁石を結合し、固定枠の端壁に支軸により多数のレバ
ーを回動可能に支持し、各レバーの基端部に設けた長孔
に、磁石支持輪から固定枠の端壁の長孔を経て突出する
ピンを係合し、各レバーの先端にカバー板を支持したか
ら、非制動時周方向に並ぶカバー板により形成される円
筒体の内部を通過する風量が抑えられ、かつ円筒体を吹
き抜ける空気の乱れが抑えられるので、制動ドラムと冷
却フインの回転に伴う風損が低減され、騒音も低減され
る結果、機関の燃費を節減できる。
【0021】構造が複雑で高価なクラツチを制動ドラム
と回転軸との間に設ける必要がないので、装置の大型化
や重量増加、信頼性の低下などを回避でき、安価に提供
できる。
【0022】制動時、カバー板は流体圧アクチユエータ
により駆動される磁石支持輪に連動して、自動的に制動
ドラムの冷却フインから引退するので、特別の駆動源を
必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る風損低減構造を備えた渦電流式減
速装置の側面断面図である。
【図2】同渦電流式減速装置の部分的正面断面図であ
る。
【図3】本考案に係る風損低減構造を適用し得る渦電流
式減速装置の他の磁石配列を展開して示す平面図であ
る。
【図4】同渦電流式減速装置の他の磁石配列を展開して
示す平面図である。
【符号の説明】
1:回転軸 7:制動ドラム 8:冷却フイン 10:
固定枠 14:磁石支持輪 14a:ピン 15:強磁
性板 21:端壁 21a:支軸 24:磁石 41:カバー板 42:レバー 42a:長孔

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】制動ドラムの内部に非磁性体からなる断面
    箱形の固定枠を配設し、固定枠の外周壁に周方向等間隔
    に多数の強磁性板を結合し、固定枠の内空部に回動可能
    に支持した磁石支持輪に、各強磁性板に対する極性が周
    方向に交互に異なるように永久磁石を結合し、固定枠の
    端壁に支軸により多数のレバーを回動可能に支持し、各
    レバーの基端部に設けた長孔に、磁石支持輪から固定枠
    の端壁の長孔を経て突出するピンを係合し、各レバーの
    先端にカバー板を支持し、非制動時周方向に並ぶカバー
    板が制動ドラムの冷却フインを覆う筒体を形成すること
    を特徴とする、渦電流式減速装置の風損低減構造。
JP2800692U 1992-03-31 1992-03-31 渦電流式減速装置の風損低減構造 Expired - Lifetime JP2557743Y2 (ja)

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JPH073286U JPH073286U (ja) 1995-01-17
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JPS5551184Y2 (ja) * 1978-01-14 1980-11-28
JP6766633B2 (ja) * 2016-12-21 2020-10-14 日本製鉄株式会社 渦電流式減速装置

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