JPH0732806A

JPH0732806A - 自転車用車輪

Info

Publication number: JPH0732806A
Application number: JP18295293A
Authority: JP
Inventors: Keiu Kimura; 景雨木村
Original assignee: O G K GIKEN KK; OGK Co Ltd
Current assignee: O G K GIKEN KK; OGK Co Ltd
Priority date: 1993-07-23
Filing date: 1993-07-23
Publication date: 1995-02-03

Abstract

(57)【要約】【目的】長期間の使用に拘らずブレーキの制動効率が
低下することなく、かつ、コストアップにつながらない
自転車用車輪を提供する。【構成】合成樹脂で全体を一体に形成した自転車用車
輪において、リム部２の少なくともブレーキシュー６と
の摩擦面に、前記合成樹脂とは異なる合成樹脂で、且つ
ブレーキシュー６を摩耗させない合成樹脂、例えば、繊
維を含まないプラスチックからなる被覆部５を設けたこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、合成樹脂製の自転車用
車輪、特に繊維強化プラスチック製の自転車用車輪に関
する。

【０００２】

【従来の技術】自転車における近年のファッション化に
伴い、カラフルな合成樹脂製車輪が好まれる傾向にあ
る。例えば、実開昭56-69503号公報には、タイヤを取り
つけるためのリムと、車軸に軸支されたハブ部と、リム
とハブ部とを連結するスポーク部とが合成樹脂で一体的
に形成されている合成樹脂製車輪が提案されている。合
成樹脂としては、一般に、温度変化率が小さく、強度に
優れている点から、ポリアミド、ポリイミド等の熱可塑
性樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂に、強化材と
してガラス繊維、金属繊維等を添加した繊維強化プラス
チックが用いられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このように繊
維強化プラスチックを用いる場合、ブレーキシューとの
接触面にあたるリム周壁にはプラスチックを強化するた
めに添加された短繊維の一部が露出している。このた
め、リムとの摩擦を利用したゴムブレーキにおいて、リ
ム周壁との摩擦によるブレーキシューの磨耗が激しくな
るという問題がある。ブレーキシューの磨耗は、ブレー
キの制動効率に大きく影響を与えるので好ましくない。

【０００４】ブレーキの制動効率の低下を防止する合成
樹脂製自転車用車輪として、実開平４−１０７１０２号
公報に、図５に示すような、スポーク部１１と一体的に
形成されたリム部１２の少なくともブレーキシュー１５
の摩擦面に、表面が平滑で金属製のリング状プレート１
３を固着したものが提案されている。ブレーキシュー１
５の摩擦面に金属製のリング状プレート１３を設けるこ
とにより、ブレーキシュー１５の摩耗を抑制できるが、
合成樹脂製のリム部１２からリングプレート１３が抜け
たり剥がれたりしないように、抜け止め用突起部１４の
形状を工夫する必要がある。一方、突起部１４を複雑な
形状とする程、リングプレート１３の製作費用アップに
つながるとともに、合成樹脂製のリム部１２に及ぼすヒ
ズミの程度が大きくなる。

【０００５】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、長期間の使用に拘らずブレー
キの制動効率が低下することなく、かつ、コストアップ
につながらない自転車用車輪を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１に係る発明の自
転車用車輪は、合成樹脂で全体を一体に形成した自転車
用車輪において、リム部２の少なくともブレーキシュー
６との摩擦面に、前記合成樹脂とは異なる合成樹脂で、
且つブレーキシュー６を摩耗させない合成樹脂からなる
被覆部５を設けたことを特徴とする。

【０００７】請求項２に係る発明の自転車用車輪は、繊
維強化プラスチックで全体を一体に形成した自転車用車
輪において、リム部２の少なくともブレーキシュー６と
の摩擦面に、繊維を含まないプラスチックからなる被覆
部５を設けたことを特徴とする。請求項３に係る発明の
自転車用車輪は、前記被覆部５をリム部２の全外周に設
けたことを特徴とする。

【０００８】

【作用】本発明の自転車用車輪は、リム部２の少なくと
もブレーキシュー６との摩擦面に、ブレーキシュー６を
摩耗させない合成樹脂の被覆部５が設けられていること
から、ブレーキシュー６とリム部２とが摩擦しても、ブ
レーキシュー６の摩耗が抑制される。よって、ブレーキ
の制動効率の経年低下をもたらすことはない。

【０００９】しかも、被覆部５は合成樹脂で構成されて
いることから、リム部２と被覆部５とを一体的に成形す
ることが容易であり、コストアップをもたらすことはな
い。また、リム部２の全外周に、ブレーキシュー６を摩
耗させない合成樹脂製の被覆部５を設けることにより、
ブレーキシュー６の摩耗を抑制するとともに、リム部２
の内周面に当接して取りつけられるタイヤチューブの傷
みを防止することもできる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１は本発明の自転車用車輪の正面図、図２は図
１のＡ−Ａ線拡大断面図である。本発明における自転車
用車輪１は、リム部２、スポーク部３、及びハブ部４
（以下、これらをまとめて「車輪本体」という）からな
り、図１で示すように、スポーク部３の半径方向外端
が、リム部２の適宜間隔のもとに連接され、また、スポ
ーク部の中心部がハブ部４と連接されている。前記リム
部２、スポーク部３及びハブ部４は、一般に、温度変化
率、機械的強度に優れている点から、ガラス繊維、金属
繊維等を１５〜４０重量％程度含有したポリアミド、ポ
リイミド等の繊維強化プラスチックで一体成形されてい
る。リム部２の内周面側にタイヤ９が取りつけられ、タ
イヤ９とリム部２とで形成される空間にタイヤチューブ
１０が挿入される。

【００１１】リム部２の全外周は、合成樹脂製の被覆部
５で被覆されている。被覆部５を構成する合成樹脂は、
車輪本体を構成する合成樹脂とは異なる合成樹脂で、且
つブレーキシュー６を摩耗させないような合成樹脂であ
る。具体的には、車輪本体が繊維強化プラスチックで構
成されている場合、強化材としての繊維を全く含有しな
いプラスチック；繊維を含有するもののその含有率が１
５重量％未満のプラスチック等が挙げられる。また、プ
ラスチックの種類としては、強化繊維の含有量にもよる
が、繊維を含有する場合、ポリアセタール樹脂やポリエ
チレン樹脂、ポリアミド樹脂等の摩擦係数が低いものが
好ましく用いられる。被覆部５とリム２との結合強度の
観点からは、繊維強化プラスチックに使用するマトリッ
クス樹脂と同種類の樹脂（例えば、車輪本体が繊維強化
ポリアミドで構成される場合には、被覆部５はポリアミ
ド）を使用することが好ましい。

【００１２】被覆部５の厚み（ｔ）は、リム部２の強度
に影響を及ばさない範囲で、且つブレーキシュー６との
摩擦により摩耗しても直ちに繊維強化プラスチックから
なるリム部２が外面に現れない程度の厚みである。具体
的には、リム部２の側面部の厚み（Ｔ）の１／４〜１／
６程度が好ましい。このような自転車用車輪は、１個の
押し出しダイを共有する２個の押し出しシリンダに車輪
本体部及び被覆部５を構成する各プラスチック材料を供
給して、一体化された製品を成形する２色押し出し法；
あるいは車輪本体部の半硬化状態のうちに金型を開いて
被覆部を構成する材料を追加投入する２度押し成形法等
により製造できる。これらのうち、車輪本体及び被覆部
５の構成材料により適宜選択すればよい。

【００１３】このようにして形成された自転車用車輪
は、ブレーキシュー６との摩擦面が、ブレーキシュー６
を摩耗しないようなプラスチックで形成されているた
め、ブレーキシュー６の摩耗を抑制し、経年変化による
制動効率の低下を防止する。しかも、車輪本体と被覆部
５とを一体成形するので、従来の金属製プレートのよう
に、抜け止め用突起部等を工夫することなく、高い結合
強度が得られるにも拘らず、コスト面は従来とほとんど
同程度である。

【００１４】しかも、いずれも合成樹脂で構成されてい
るので、従来通りデザイン化の要求に応えることができ
る上に、被覆部を車輪本体と異なる色の材料で構成する
ことにより、リム部２の外周部分とスポーク部３及びハ
ブ部４とが異なる２色で形成される自転車用車輪を得る
ことができ、ファッション性の向上を図ることができ
る。

【００１５】さらに、本実施例において、ブレーキシュ
ーとは接触しないリム部の内面、すなわちタイヤとの接
触面にも、ブレーキシューを摩耗させないプラスチック
からなる被覆部が設けられているので、タイヤも繊維強
化プラスチックの表面に露出した短繊維で傷められるの
を防止できる。尚、上記実施例では、リム部２の外周全
てをブレーキシュー６を摩耗させないプラスチックで構
成したが、本発明はこれに限定されず、図３に示すよう
に、リム部２の外周のみ被覆してもよいし、さらには、
図４に示すように、ブレーキシュー６との摩擦面にのみ
被覆部５を設けてもよい。いずれの場合も、ブレーキシ
ュー６の摩耗防止、制動効率の低下防止という本発明の
効果を得ることができる。

【００１６】

【発明の効果】本発明の自転車用車輪は、ブレーキシュ
ーとの摩擦面に、ブレーキシューを磨耗させない合成樹
脂からなる被覆部を設けているので、ブレーキシューの
磨耗を抑制でき、ブレーキシューを時々交換しなくて
も、長期間、一定レベルの制動効率を維持することがで
きる。しかも、車輪本体及び被覆部は、いずれも合成樹
脂で構成されることから、一体成形が容易で、コストア
ップを招くことなく車輪本体と被覆部とを強固に結合で
きる。

【００１７】また、車輪本体と被覆部とを異なる色の合
成樹脂材料で形成することより、一層車輪をカラフルに
でき、ファッション化の要請に応えることができる。さ
らに、タイヤとの接触面に当たるリム部の内周面も、繊
維を含まない合成樹脂など、ブレーキシューの磨耗を抑
制できる合成樹脂製の被覆部で被覆することにより、タ
イヤチューブの傷みも抑制できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】自転車用車輪の正面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】本発明の自転車用車輪の他の実施例を示す図で
ある。

【図４】本発明の自転車用車輪の他の実施例を示す図で
ある。

【図５】従来の自転車用車輪のリム部付近を示す図であ
る。

【符号の説明】

１自転車用車輪２リム部５被覆部６ブレーキシュー

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】合成樹脂で全体を一体に形成した自転車
用車輪において、リム部（２）の少なくともブレーキシュー（６）との摩
擦面に、前記合成樹脂とは異なる合成樹脂で、且つブレ
ーキシュー（６）を摩耗させない合成樹脂からなる被覆
部（５）を設けたことを特徴とする自転車用車輪。
【請求項２】繊維強化プラスチックで全体を一体に形
成した自転車用車輪において、リム部（２）の少なくともブレーキシュー（６）との摩
擦面に、繊維を含まないプラスチックからなる被覆部
（５）を設けたことを特徴とする自転車用車輪。
【請求項３】前記被覆部（５）をリム部（２）の全外
周に設けたことを特徴とする請求項１又は２に記載の自
転車用車輪。