JP3970151B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は空気入りタイヤに関し、更に詳しくは制動性能を向上させた空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高速道路網の整備、車両の高性能化により、高速走行から急制動する時のタイヤ性能をより向上させることが要求されている。従来、この対策として、トレッドコンパウンドの見直し、ビード廻りの補強形態の見直しやトレッドパターンの見直し等の視点から開発研究がなされている。
【0003】
しかし、これら提案されている方法では、トレッドコンパウンドは車両や路面とのマッチング、ビード廻りでは補強形態の探索、トレッドパターンでは金型作成などのため、設計時や製造時の工数アップは避けられず、また、得られたタイヤの制動性能も必ずしも充分ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高速走行からの急制動時の制動性能を一層向上させた空気入りタイヤを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、カーカス層の内側に熱可塑性樹脂フィルムを該熱可塑性樹脂フィルムが前記カーカス層のカーカスコードの表面に沿って蛇腹状の凹凸を形成するように配置し、前記カーカス層のカーカスコードの横断面中心を通る面から前記熱可塑性樹脂フィルムまでのタイヤ径方向距離を、カーカスコード直径をDとしたとき、0〜(1+D/2)mmにしたことを特徴とする。
【0006】
このように、熱可塑性樹脂はゴムよりも剛性が大きいため、この熱可塑性樹脂のフィルムをカーカス層の内面に該カーカス層のカーカスコードの表面に沿って蛇腹状の凹凸を形成するように配置し、しかもカーカスコードの横断面中心を結ぶ面からのタイヤ径方向距離を極力小さくしたため、その熱可塑性樹脂フィルムによりタイヤ周方向の剪断剛性が向上し、高速走行からの急制動時の制動性能を向上させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
図1は本発明の空気入りタイヤの一例であり、子午線断面図である。
【0009】
1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。タイヤ内側にはカーカスコード9をコートゴム10で被覆して形成されるカーカス層4が左右一対のビードコア5, 5間に装架されており、その内側のタイヤ最内層には熱可塑性樹脂フィルム8が配置されている。さらにトレッド部1には、カーカス層4の外側に、ベルト層6が設けられており、該ベルト層6の両端部の外側に両端部を覆うようにそれぞれベルトカバー層7が設けられている。
【0010】
図2(a),(b)は図1のA−A矢視断面図であり、このうち図2(a)は距離Lの説明用の参考図であり、図2(b)は本発明タイヤに対応するものである。
【0011】
本発明のタイヤにおいて、カーカスコード9の横断面中心を通る面から熱可塑性樹脂フィルム8までのタイヤ径方向の距離Lは、図2(a)の参考図に示すように測定され、この距離Lが0〜(1+D/2)mmに設定されている(Dはカーカスコード9の直径)。熱可塑性樹脂フィルム8が蛇腹状の凹凸を形成する本発明のタイヤでは、この距離Lが図2(b)のように測定される。
【0012】
一般に熱可塑性樹脂はカーカスコードのコートゴムに使用されるゴムよりも剛性が大きいので、上記のように、カーカスコードの横断面中心を結ぶ面から熱可塑性樹脂フィルム8までのタイヤ径方向距離を0〜(1+D/2)mmと小さくすることにより、熱可塑性樹脂フィルムのタイヤ周方向に剪断応力が作用し、タイヤのタイヤ周方向の剪断剛性が向上する。したがって、高速走行からの急制動時の制動性能を向上させることができる。
【0013】
上記距離Lが0mmより小さいと、カーカスコード間の拘束力が低下するため、カーカスコード間が変動しやすくなり、タイヤ周方向剛性が低下する。距離Lが1+D/2mmより大きいと、熱可塑性樹脂フィルムに高い剪断応力が発生し難くなり、タイヤ周方向の剪断剛性を向上させる効果が低下する。
【0015】
本発明のタイヤは、図2(b)に示すように、熱可塑性樹脂フィルム8は、カーカスコード9の表面に沿って蛇腹状の凹凸を形成している。このように、熱可塑性樹脂フィルム8をカーカスコード9の表面に沿って凹凸を形成することにより、カーカスコード9の横断面中心を結ぶ面から熱可塑性樹脂フィルム8までの距離Lを短縮できるので、0にもすることができる。
【0016】
本発明において使用する熱可塑性樹脂フィルムは、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂及びこれらの樹脂にエラストマ−を配合した樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種からなるものである。また、上記エラストマ−を配合した樹脂において配合されるエラストマーとしては、ジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、含硫黄ゴム及びフッ素系ゴムからなる群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。このようなコートゴムより剛性の高い熱可塑性樹脂を使用したため、カーカス層の補強コードを固定することができ、タイヤ周方向剛性を向上することができる。
【0017】
【実施例】
実施例1〜4、比較例1,2、従来例1
タイヤ構造を図1のようにして共通にし、タイヤサイズ235/45ZR17(フロントタイヤ)及び255/40ZR17(リヤタイヤ)の2種類について、それぞれカーカスコード9の横断面中心を通る面から熱可塑性樹脂フィルム8〔熱可塑性樹脂成分;ナイロン6(東レ製CM4061)25.2部、ナイロンMXD6(三菱ガス化学製レニー6002)37.8部、並びにナイロン6/66/610(東レ製CM4001)10部、エラストマー成分;Br−(ポリイソブチレン−p−メチルスチレン)(エクソンケミカル製EXXPRO89−4)27.0部からなり、空気透過係数が0.63×10-12 cc・cm/cm2 ・sec・cmHgで、ヤング率が317MPaである材料。〕までの距離Lを0mm, D/2mm, 0.5+D/2mm, 1+D/2mm, 1.5+D/2mm, 2+D/2mmとして異ならせた12種類、6セットの空気入りタイヤ及び最内層を通常のブチルゴムとした2種類、1セットの空気入りタイヤを製作した(実施例1〜4、比較例1, 2、従来例1)。
【0018】
これら各試験タイヤを国産FRスポーツタイプ車に装着し、テストコースにて140km/hで走行中に急ブレーキをかけ、制動距離を測定した。試験は各タイヤについて5回ずつ行い、最大値と最小値を除いた3回についての平均値を計算した。結果は、従来例1を100とする指数で表1に示した。数値が小さいほど制動距離が短く優れていることを表す。
【0019】
【表1】
【0020】
実施例5〜8、比較例3, 4、従来例2
タイヤ構造を図1、タイヤサイズを195/55R15として共通にし、カーカスコード9の横断面中心を通る面から熱可塑性樹脂フィルム8までの距離Lを0mm, D/2mm, 0.5+D/2mm, 1+D/2mm, 1.5+D/2mm, 2+D/2mmとして異ならせた6種類の空気入りタイヤ、及び最内層を通常のブチルゴムとした1種類の空気入りタイヤを製作した(実施例5〜8、比較例3, 4、従来例2)。
【0021】
これら各試験タイヤを国産FF車に装着し、上記制動距離測定を行った。そして、上記と同様のデータ処理を行い、結果を表2に示した。
【0022】
【表2】
【0023】
実施例9〜12、比較例5, 6、従来例3
タイヤ構造を図1、タイヤサイズを225/60VR16として共通にし、カーカスコード9の横断面中心を通る面から熱可塑性樹脂フィルム8までの距離Lを0mm, D/2mm, 0.5+D/2mm, 1+D/2mm, 1.5+D/2mm, 2+D/2mmとして異ならせた6種類の空気入りタイヤ、及び最内層を通常のブチルゴムとした1種類の空気入りタイヤを製作した(実施例9〜12、比較例5, 6、従来例3)。
【0024】
これら各試験タイヤを欧州FR車に装着し、上記制動距離測定を行った。そして、上記と同様のデータ処理を行い、結果を表3に示した。
【0025】
【表3】
【0026】
表1〜3より、いずれのタイヤ、車種においても、距離Lが0〜(1+D/2)mmの範囲のときに優れた制動性能を示すことがわかった。
【0027】
【発明の効果】
上述したように本発明の空気入りタイヤによれば、カーカス層の内側に配置した熱可塑性樹脂フィルムのカーカスコード横断面中心を結ぶ面までのタイヤ径方向距離を小さくしたため、剛性の高い熱可塑性樹脂フィルムの剪断応力の作用によりタイヤのタイヤ周方向の剪断剛性が向上し、高速走行からの急制動時の制動性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一例を示す子午線断面図である。
【図2】 図1のA−A矢視断面図であり、(a)は距離Lの説明用の参考図、(b)は本発明タイヤを例示したものである。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ベルト層
7 ベルトカバー層
8 熱可塑性樹脂フィルム
9 カーカスコード
D 直径
L 距離
Claims (3)
- カーカス層の内側に熱可塑性樹脂フィルムを該熱可塑性樹脂フィルムが前記カーカス層のカーカスコードの表面に沿って蛇腹状の凹凸を形成するように配置し、前記カーカス層のカーカスコードの横断面中心を通る面から前記熱可塑性樹脂フィルムまでのタイヤ径方向距離を、カーカスコード直径をDとしたとき、0〜(1+D/2)mmにした空気入りタイヤ。
- 前記熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂及びこれらの樹脂にエラストマ−を配合した樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記エラストマ−がジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、含硫黄ゴム及びフッ素系ゴムからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項2に記載の空気入りタイヤ。
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