JPH0732707B2 - アルカリセルラーゼ - Google Patents

アルカリセルラーゼ

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JPH0732707B2
JPH0732707B2 JP19414087A JP19414087A JPH0732707B2 JP H0732707 B2 JPH0732707 B2 JP H0732707B2 JP 19414087 A JP19414087 A JP 19414087A JP 19414087 A JP19414087 A JP 19414087A JP H0732707 B2 JPH0732707 B2 JP H0732707B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規なアルカリセルラーゼに関する。
(従来の技術) 繊維素分解酵素セルラーゼの開発は、従来、バイオマス
資源、特にセルロース資源の有効利用を一大目標として
進められてきた。セルラーゼ生産菌として分離されてき
た菌株は多種類にわたり、アスペルギルス属、ペニシリ
ウム属、トリコデルマ属、フザリウム属、フミコーラ
属、アクレモニウム属等の糸状菌を中心に、シュウドモ
ナス属、セルロモナス属、ルミノコッカス属、バチルス
属等の細菌、更に、ストレプトマイセス属、サーモアク
チノマイセス属等の放線菌でも報告されている。しかし
ながら、現時点では、バイオマス用セルラーゼの工業的
規模での利用は、多くはない。
一方、セルラーゼの新規な産業的用途として、衣料用洗
浄剤の配合成分としての利用が検討され注目を集めてい
る(特公昭59−49279号公報、特公昭60−23158号公報、
特公昭60−36240号公報)。しかし、自然界に於いて、
微生物の産生するセルラーゼのほとんどが、中性乃至酸
性領域に於いて最大且つ安定な酵素活性を示す、所謂中
性若しくは酸性セルラーゼに分類されるものであって、
衣料用洗浄剤組成物中に配合するための条件を有するセ
ルラーゼ、すなわち、アルカリ領域で最大活性を示す
か、あるいはアルカリ耐性を有する、所謂アルカリセル
ラーゼ及びアルカリ耐性セルラーゼの存在は極めて少な
いのが実情である。ここでアルカリセルラーゼとは、至
適pHがアルカリ領域にあるものを言い、アルカリ耐性セ
ルラーゼとは、至適pHは中性から酸性領域にあるが、ア
ルカリ領域に於いても至適pHに於ける活性に比較して十
分に活性を有しかつ安定性を保持するものを言う。ま
た、中性とはpH6〜8の範囲を言い、アルカリ性とはこ
れより高いpH範囲をいう。
すなわち、従来、衣料用洗浄剤組成物において使用し得
るアルカリセルラーゼ及びアルカリ耐性セルラーゼの生
産方法としては、好アルカリ性バチルス属細菌の培養に
よりセルラーゼAを採取する方法(特公昭50−28515号
公報)、セルロモナス属に属する好アルカリ性細菌を培
養してアルカリセルラーゼ301−Aを生産する方法(特
開昭58−224686号公報)、好アルカリ性バチルスNo.113
9を培養してカルボキシメチルセルラーゼを生産する方
法(Fukumori,F.,kudo,T.and Horikoshi,K.,J.Gen.Micr
obiol.,131,3339,(1985))及びストレプトマイセス属
の一種を用いてアルカリセルラーゼを生産する方法(特
開昭61−19483号公報)が報告されているに過ぎず、し
かもいずれも工業的醗酵生産に適うものでは無かった。
ところが最近、本発明者らは好アルカリ性細菌の一種で
あるバチルス・エスビーKSM−635(Bacillus sp.KSM−
635)(FERM P−8872)が衣料用洗浄剤配合成分とし
て適したアルカリセルラーズKを収率良く生産すること
及び更に培養条件を選択することにより、より生産性が
高まり、アルカリセルラーゼの工業的醗酵生産が可能と
なることを見出した。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記バチルス・エスビーKSM−635の培養
条件は、必ずしも工業的に有利なものと言えない。すな
わち、好アルカリ性菌株は培養中、pHをアルカリ性に保
ち続ける必要があるが、現在までのところ、好アルカリ
性菌株を用いる所謂アルカリ性醗酵法の歴史は浅く、通
常の中性微生物と比較するとこれら好アルカリ性微生物
の生理、生化学についての知見は充分に蓄積されておら
ず、工業的醗酵生産を行うにあたって培知調製、培養方
法が操作上の難点になっていた。
更に、前述した報告例のうち、至的pHがアルカリ領域に
ある本来のアルカリセルラーゼとしては、バチルス N1
菌株、N2菌株、N3菌株(特公昭50−28515号公報)の生
産する、至適pHがそれぞれ8〜9、9、8〜9の酵素、
バチルスNo.1139の生産する、至適pH9のもの及びバチル
ス・エスピーKSM−635の産生する至適pH10のアルカリセ
ルラーゼK(特願昭61−257776号)が存在するが、更に
洗浄剤組成物に配合し用いることのできる至適pHがアル
カリ側にあり、かつその作用pH範囲の広いアルカリセル
ラーゼの提供が求められていた。
〔問題点を解決するための手段〕
斯る実情において本発明者らは中性培地で生育し、しか
も作用の優れたアルカリセルラーゼを産生することので
きる菌株を得べく種々研究をおこなった。
かかる問題点を解決するには、中性領域で生育する菌株
を宿主として、該当するセルラーゼ遺伝子をクローニン
グする、所謂遺伝子組換えの手法を取ることも可能であ
るが、アルカリ領域に至適pHを有するアルカリセルラー
ゼを生産する中性微生物を自然界に探索し、これを分離
することがより有効である。しかして、本発明者らは上
記微生物を自然界に求めた結果、一群のバチルス属に属
する微生物は中性培地において生育するにもかかわら
ず、一定のアルカリセルラーゼを産生することを見出し
た。
本発明のアルカリセルラーゼを産生する微生物として
は、本発明者が栃木県日光市の土壌より分離し、工業技
術院微生物工業技術研究所へ寄託した、バチルス・エス
ビーKSM−522(FERMP−9370)が挙げられる。
この菌株は、下に示すような菌学的性質を示す。なお、
菌株の分類には、次に示す1〜22の培地を用いた(表示
は、重量%)。
培地1.肉エキス,1.0;バクトペプトン,1.0;NaCl,0.5;バ
クト寒天,1.5(pH7.2) 培地2.肉エキス,1.0;バクトペプトン,1.0;NaCl,0.5(pH
7.2) 培地3.肉エキス,1.0;バクトペプトン,1.0;NaCl,0.5ゼラ
チン,1.0(pH7.2) 培地4.バクトリトマスミルク,10.0 培地5.バクトペプトン,1.0;KNO3,0.1 培地6.バクトペプトン,1.0;NaNO3,0.1 培地7.バクトペプトン,0.7;NaCl,0.5;ブドウ糖,0.5(pH
7.0) 培地8.バクトペプトン,1.0 培地9.TSI寒天(栄研化学製):指示量 培地10.肉エキス,1.0;バクトペプトン,1.0;NaCl,0.5;可
溶性澱粉,0.2;寒天,1.5 培地11.NaNH4HPO4・4H2O,0.15;KH2PO4,0.1;MgSO4・7H
2O,0.02;クエン酸ナトリウム,0.25(pH6.8) 培地12.クリステンセン(Christensen)培地(栄研化学
製):指示量 培地13.ブドウ糖,1.0;KH2PO4,0.1;MgSO4・7H2O,0.05;KC
l,0.02;窒素源,0.1(pH7.2) 窒素源は、硝酸ナトリウム及び硫酸アンモニウムを用い
た 培地14.キングA培地“栄研”(栄研化学製):指示量 培地15.キングB培地“栄研”(栄研化学製):指示量 培地16.尿素培地“栄研”(栄研化学製):指示量 培地17.チトクローム・オキシダーゼ試験用濾紙(日水
製薬製) 培地18.3%過酸化水素水 培地19.OF基礎培地(Difco社製):指示量 培地20.(NH42HPO4,0.1;KCl,0.02;MgSO4・7H2O,0.02;
酵母エキス,0.02;バクト寒天,2.0;BCP(0.2%溶液),0.
4 培地21.バクト・サブロー・デキストロース寒天培地(D
ifco社製):指示量 培地22.スキムミルク,5.0;バクト寒天,1.5 (菌学的性質) (a)顕微鏡的観察結果 菌体の大きさは、0.5〜0.8μm×1.0〜2.0μmの桿菌で
あり、菌体の中央準備に卵円形または円柱形の内生胞子
(0.5〜0.8μm×1.0〜1.2μm)を作る。周鞭毛を有し
運動性がある。グラム染色は陽性。抗酸性はない。
(b)各種培地に於ける生育状態 肉汁寒天平板培養(培地1) 良く生育する。集落の形状は円形であり、表面は粗造、
周縁は円滑又は波状である。又、集落の色調は淡黄色半
透明で、硬度は脂状である。
肉汁寒天斜面培養(培地1) 生育する。その状態は拡布状で光沢が有り、乳白色又は
淡黄色で半透明である。
肉汁液体培養(培地2) 生育し混濁する。
肉汁ゼラチン穿刺培養(培地3) 上層部に生育し、ゼラチンの液化が認められる。
リトマスミルク培地(培地4) ミルクの液化が認められるがリトマスの変色は認められ
ない。
(c)生理学的性質 硝酸塩の還元及び脱窒素反応(培地5,6) 共に陰性。
MRテスト(培地7) 陽性。
VPテスト(培地7) 陽性。
インドールの生成(培地8) 陰性。
硫化水素の生成(培地9) 陰性。
澱粉と加水分解(培地10) 陰性。
クエン酸の利用(培地11,12) クリステンセン培地で陽性、コーサ培地では陰性か陽性
か特定でない。
無機窒素源の利用(培地13) 硝酸塩、アンモニウム塩とも陰性。
色素の生成(培地14,15) キングB培地で水溶性の黄色色素を生成する。
ウレアーゼ(培地16) 陰性。
オキシダーゼ(培地17) 陰性、陽性ははっきりせず。
カタラーゼ(培地18) 陽性。
生育の範囲(培地2) 生育の温度範囲は10〜50℃で、生育最適温度範囲は20〜
40℃である。
生育のpH範囲は5〜10で、生育最適pH範囲はpH6〜10で
ある。
酵素に対する態度 好気性 O−Fテスト(培地19) 酸化。
糖類からの酸及びガスの生成(培地20) (+:生成、−:生成せず) 酸の生成 ガスの生成 1.L−アラビノーズ + − 2.D−キシロース + − 3.L−グルコース + − 4.D−マンノース + − 5.フラクトース + − 6.D−ガラクトース + − 7.表芽糖 − − 8.ショ糖 + − 9.乳糖 − − 10.トレハロース + − 11.D−ソルビット − − 12.D−マンニット + − 13.イノシット − − 14.グリセリン + − 15.デンプン − − VP培地に於けるpH(培地7) pH5.0〜5.2(7日目)。
食塩含有培地に於ける生育(培地1を改変) 5%,7%および10%NaCl存在中でいずれも生育する。
pH5.7に於ける生育(培地21) 生育する。
カゼインの分解(培地22) 陽性。
以上の分類学的考察から判断して、KSM−522株は容易に
有胞子桿菌であるバチルス(Bacillus)属の一種である
と認められる。そして更に、菌学的性質について、バー
ジーズ・マニニュアル・オブ・ディタミネイディブ・バ
クテリオロジー(Bergey′s Mannual of Determinative
Bacteriology)第8版及びザー・ジーナス・バチルス
(“The Genus Bacillus"Ruth,E.Gordon Agriculture H
and−book No.427,Agricultural Research Service,U.
S.Department of Agricul−ture Washington D.C.,(19
73))を参照し比較、検索すると、この菌株は、最近、
堀越と秋葉(“Alkalophilic Microorganisms",Japan S
cientific Society Press(Tokyo),1982年刊)の主張
している、所謂好アルカリ性(Alkalophilic)微生物、
すなわちpH8以上のアルカリ培地に於いて生育し、これ
以下の中性pH領域で生育出来ない微生物に属するもので
なく、弱酸性領域からアルカリ領域(pH5〜10)に於い
て生育可能な、一般的な中正で生育するバチルス属微生
物と判断できる。
更にこの菌株を他の公知のバチルス属の菌株と比較する
と、最も類縁の種としてバチルス・プミルス(Bacillus
pumilus)が挙げられる。しかしながら、公知のバチル
ス・プミルスに属する菌株は、少なくともアルカリセル
ラーゼを産生しないので、本菌株は新菌株と判断され
る。
上記したような菌株を用いて本発明のアルカリセルラー
ゼを得るには、培地に菌株を接種し、常法に従って培養
すれば良い。培地中には、資化し得る炭素源及び窒素源
を適当量含有せしめておくことが好ましい。この炭素源
及び窒素源については特に制限はないが、その例として
は、窒素源としてコーングルテンミール、大豆粉、コー
ンスチープリカー、カザミノ酸、酵母エキス、ファーマ
メディア、イワシミール、肉エキス、ペプトン、ハイプ
ロ、アジパワー、コーンソイビーンミール、コーヒー
粕、綿実油粕、カルチベータ、アミフレックス及びアジ
プロン、ゼスト、アジックスなどが挙げられる。又、炭
素源としては、籾殻、麩、濾紙、一般紙類、おが屑等の
植物繊維質、廃糖蜜、転化糖、CMC、アビセル、セルロ
ース綿、キシラン、ペクチンに加え、資化し得る炭素
源、例えば、アラビノース、キシロース、グルコース、
マンノース、フラクトース、ガラクトース、ショ糖、ト
レハロース、マンニット、グリセリンや、資化し得る有
機酸、例えば、クエン酸や酢酸などが挙げられる。ま
た、その他、リン酸、Mg2+,Ca2+,Mn2+,Zn2+,Co2+,Na+,K
+等の無機塩や、必要であれば、無機、有機微量栄養源
を培地中に適宜添加することもできる。
斯して得られた培養物中からの目的物質であるアルカリ
セルラーゼの採取及び糖製は、一般の酵素の採取及び精
製の手段に準じて行うことができる。即ち、遠心分離又
は濾過等の通常の固液分離手段により菌体を培養液から
除去して粗酵素液を得ることができる。この粗酵素液
は、そのまま使用することもできるが、必要に応じて塩
析法、沈澱法、限外濾過法等の分離手段により粗酵素を
得、更に公知の方法により精製結晶化して、精製酵素と
して使用することも可能である。
斯くして得られた本発明のアルカリセルラーゼK−522
は、以下に示す酵素学的性質を有する。
なお、酵素活性の測定は、以下の方法に従って行い、次
の緩衝液を用いた。
pH 3〜8 マルクベイン緩衝液 pH 8〜11 グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液 pH12〜13 塩化カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液 酵素活性測定法: (1)CMCアーゼ活性 10mgCMC(A−01L,山陽国策パルプ社)、100μmol各種
緩衝液(マクルベイン、リン酸、グリシン−NaOH等)を
含む基質溶液0.9mlに0.1mlの酵素溶液を加え、30℃、20
分反応した。反応後、3,5−ジニトロ−サリチル酸(3,5
−dinitro−salicylic acid(DNS))法にて還元糖の定
量を行った。すなわち、反応液1.0mlにDNS試薬1.0mlを
加え、5分間、100℃で加熱発色させ、冷却後、4.0mlの
脱イオン水を加えて希釈した。これを波長535nmで比色
定量した。酵素力価は、上記の条件下で1分間に1μmo
lのグルコースに相当する還元糖を生成する酵素量を1
単位とした。
(2)p−ニトロフェニルセロビオシド分解活性 0.1μmol p−ニトロフェニルセロビオシド(シグマ社)
と、50μmolリン酸緩衝液(pH7.0)または100μmolグリ
シン−NaOH緩衝液(pH9.0)とを含む反応液1.0ml中に適
当量の酵素液を30℃で作用させた後、1M Na2CO3を0.3m
l、脱イオン水を1.7ml順次加え、遊離するp−ニトロフ
ェノールを400nmで比色定量した。酵素力価は上記の条
件下で1分間に1μmolのp−ニトロフェノールを遊離
させる酵素量を1単位とした。
(3)アビセル、セルロース粉末、リン酸膨潤セルロー
ス、アルカリ膨潤セルロース及び濾紙分解活性 15mgアビセル(メルク社)、150μmolグリシン−NaOH緩
衝液(pH9.0)を含む反応液1.5ml中に適当量の酵素液を
加え、30℃、280rpmで振とうしながら作用させた。反応
後、冷却遠心分離(5℃、3000rpm、20分)を行い、そ
の上清1.0mlを3,5−ジニトロ−サリチル酸3,5−dinitor
−salicylicacid(DNS))法にて還元糖の定量を行っ
た。セルロース粉末分解活性はセルロース粉末(東洋濾
紙社)をリン酸膨潤セルロース分解活性、アルカリ膨潤
セルロース分解活性はトミタらの方法(Tomita,Y.et a
l:J.Ferment.Technol.;52,235,1974)により処理したセ
ルロースを、濾紙分解活性は濾紙(セルラーゼ活性度検
定用濾紙,東洋No.51−特)をそれぞれ用い、アビセラ
ーゼ活性の時と同様に行った。酵素力価値は、上記の条
件下で1分間に1μmolのグルコースに相当する還元糖
を生成する酵素量を1単位とした。
(4)セロビアーゼ活性 10mgセロビオース(関東化学社)、100μmolグリシン−
NaOH緩衝液(pH9.0)を含む反応液1.0ml内に適当量の酵
素液を30℃で作用させた後、100℃、5分間処理して酵
素を失活させた後、生成グルコース量をムタロターゼ・
GOD法(Glucose C−Test、和光純薬工業社)で測定し
た。酵素力価は、上記の条件下で1分間に2μmolのグ
ルコースを生成する酵素量を1単位とした。
(酵素学的性質) (1)作用 CMC、セルロース粉末、濾紙、アビセル等の繊維素によ
く作用し、これらを溶解せしめ、グルコース等の還元等
を生成する。
(2)基質特異性 本酵素は、CMCのほかにも、セルロース粉末、リン酸膨
潤セルロース、アルカリ膨潤セルロース、アビセル、濾
紙及びp−ニトロフェニルセロビオシドに対する活性を
有していた。
(3)作用pH及び至適pH 作用pH範囲は、3〜12.5と極めて広範囲であった。至適
pHは、7〜10と幅広く、pH4.5〜10.5の範囲に於いても
至適pHに於ける活性の50%以上の相対活性を有してお
り、従って過去に研究されたアルカリセルラーゼの中で
も最もアルリ側で充分活性が発揮される酵素と言える
(第1図)。
(4)pH安定性 各々のpHで30℃、1時間保持した後の残存活性を測定
し、pH安定性を調べた。その結果、pH5〜12で極めて安
定で失活せず、pH4.5〜12.5に於いても、約50%以上の
活性を維持していた。本酵素は、このように高アルカリ
領域に於いても充分に安定である(第2図)。
(5)最適温度 作用温度は、15〜80℃の広範囲にわたり、その至適温度
は60℃であった。又、45〜65℃の範囲に於いても、至適
温度での活性の50%以上を有していた(第3図)。
(6)温度安定性 至適pHに於いて、30分間各温度で処理した後、残存活性
を測定した結果、40℃では安定しており、55℃に於いて
も約50%の残存活性を有していた(第4図)。
(7)分子量 本酵素をバイオゲルP−150(バイオラッドラボラトリ
ーズ社製)によるゲル濾過法に基づき分子量を測定した
ところ、約3.5万であった。
(8)金属イオンの影響 本酵素について、各種金属イオン(Al3+,Fe3+,Ba2+,Ca
2+,Cd2+,Co2+,Cr2+,Cu2+,Fe2+,Hg2+,Mn2+,Mo2+,Ni2+,Pb
2+,Zn2+,Li+,K+,Na+)を活性測定時に共存させて、その
影響を検討した(K+,Na+については濃度を50mMとし、他
のイオンについては、1mMとした)。その結果、Hg2+
阻害が認められた。
(9)界面活性剤の影響 各種界面活性剤(例えば、LAS、AS、ES、AOS、α−SF
E、SAS、石鹸、ポリオキシエチレンセカンダリアルキル
エーテル)の酵素活性に及ぼす影響を調べた。本酵素を
界面活性剤0.05%溶液で30℃、15分間処理後、活性測定
を行った。その結果、何れの界面活性剤によってもほと
んど阻害を受けなかった。強力なデタージエントである
ソデイウム・ドデシルサルフェートによっても活性の阻
害は認められなかった。
(10プロテアーゼ耐性 洗剤用プロテアーゼ、例えばAPI−21(昭和電工)、マ
クサターゼ(ギスト社)及びアルカラーゼ(ノポ社)
を、活性測定時に共存(0.1mg/ml)させてその影響を調
べたところ、何れのプロテアーゼに対しても強い耐性を
有することがわかった。
(11)キレート剤の影響 キレート剤であるEDTA、EGTA、トリポリリン酸ソーダ、
ゼオライト、クエン酸を活性測定時に共存させ、その影
響を検討したが、ほとんど阻害が認められなかった。
〔発明の効果〕
本発明のアルカリセルラーゼは、従来のアルカリセルラ
ーゼに比較して高アルカリ側(pH10)に至適pHを有して
いる。その上、pH7.0〜10の範囲に於いて、至適pHを有
しており、更に広い範囲に於いて極めて安定である。
また、界面活性剤、プロテアーゼ、キレート剤等の洗浄
剤配合成分によってもほとんど阻害を受けない。したが
って、本酵素は洗浄剤組成物の配合成分として有利に使
用することができるものである。
更に、本発明で用いる上記微生物は中性で生育するの
で、好アルカリ性菌株と比べ容易にアルカリセルラーゼ
を工業的に生産することができる。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。
参考例1 栃木県日光市の土壌を薬匙一杯(約0.5g)取り、これを
滅菌生理食塩水に懸濁し、80℃で10分間処理した。この
熱処理液の上清を適当に希釈して、分離用寒天培地(培
地1)に塗布した。次いで、これを30℃にて3日間培養
し、集落を形成させた。集落の周囲にCMCの溶解に基づ
く透明帯を形成するものを選出し、CMCアーゼ生産菌を
取得した。更に、取得菌を液体培地(培地2)に接種
し、30℃で3日間振とう培養した。培養後、遠心分離し
た上清液についてCMCアーゼ活性を、pH3〜13にて測定
し、アルカリセルラーゼ生産菌をスクリーニングした。
上述の方法により、本発明で用いるKSM−522株(FERM
P−9370)を取得することが出来た。
培地1. CMC 2% ポリペプトン 0.5% 酵母エキス 0.05% KH2PO4 0.1% Na2HPO4・12H2O 0.25% MgSO4・7H2O 0.02%寒天 0.75% pH6.8 培地2. CMC 1% ポリペプトン 1% 酵母エキス 0.5% KH2PO4 0.1% Na2HPO4・12H2O 0.25%MgSO4・7H2O 0.02% pH6.8 実施例1 参考例1で得たバチルス・エスピーKSM−522株を同参考
例の液体培地2に接種し、30℃で3日間振とう培養し
た。培養後、菌体を遠心分離して除き、粗酵素液を得
た。この粗酵素液1に対してドライアイス−エタノー
ル中で、3のエタノールを加え、生じた沈澱を遠心分
離し、更に凍結乾燥を行い、乾燥粉末としてアルカリセ
ルラーゼK−522(比活性*23単位/g)8gを得た。
* 酵素活性はpH9に於ける測定値である(以下同
じ)。
実施例2 CMCを1%シヨ糖に代え、ポリペプトンを7%CSLに代え
る以外は参考例1の液体培地2と同じ組成の培地にKSM
−522株を接種し、30℃で2日間振とう培養した。この
培養物を遠心分離し、得られた上清のCMCアーゼ活性を
測定したところ150単位/であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、アルカリセルラーゼK−522の酵素反応pHと
相対活性の関係を示す図面である。 第2図は、同酵素の処理pHと相対活性の関係を示す図面
である。 第3図は、同酵素の反応温度と相対活性の関係を示す図
面である。 第4図は、同酵素の処理温度と相対活性の関係を示す図
面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 暉公彦 埼玉県越谷市七左町1−229−8

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の物理化学的性質を有するアルカリセル
    ラーゼK−522。 (1)作用 カルボキシメチルセルロース(CMC)、セルロース、濾
    紙、アビセル等の繊維素によく作用し、これらを溶解せ
    しめ、グルコース等の還元糖を生成する。 (2) 基質特異性 CMCの他にも、セルロース粉末、リン酸膨潤セルロー
    ス、アルカリ膨潤セルロース、アビセル、濾紙及びp−
    ニトロフェニルセロビオシドに対する活性を有する。 (3) 作用pH及び至適pH 作用pH範囲は、3〜12.5である。至適pHは、7〜10であ
    り、4.5〜10.5の範囲に於いても至適pHに於ける活性の5
    0%以上の相対活性を有する。 (4) pH安定性 pH5〜12で極めて安定で失活せず、pH4.5〜12.5に於いて
    も、約50%以上の活性を維持する。 (5) 最適温度 作用温度は、15〜80℃の広範囲にわたり、その至適範囲
    は60℃である。又、45〜60℃の範囲に於いても、至適温
    度での活性の50%以上を有する。 (6) 分子量 約3.5万(ゲル濾過法による)。 (7) 金属イオンの影響 Hg2+により阻害される。 (8) 界面活性剤の影響 LAS、AS、ES、AOS、α−SFE、SAS、石鹸、ポリオキシエ
    チレンセカンダリーアルキルエーテルはほとんど活性は
    阻害しない。 (9) プロテアーゼ耐性 プロテアーゼに対して耐性を有する。 (10) キレート剤の影響 EDTA、EGTA、クエン酸、トリポリリン酸ソーダ、ゼオラ
    イトは活性を阻害しない。
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