JP2509538B2 - アルカリ耐性セルラ―ゼを産生する微生物 - Google Patents
アルカリ耐性セルラ―ゼを産生する微生物Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なアルカリ耐性セル
ラーゼを産生する微生物に関する。
ラーゼを産生する微生物に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維素分解酵素セルラーゼの開発は、従
来、バイオマス資源、特にセルロース資源の有効利用を
一大目標として進められてきた。セルラーゼ生産菌とし
て分離されてきた菌株は多種類にわたり、アスペルギル
ス属、ペニシリウム属、トリコデルマ属、フザリウム
属、フミコーラ属、アクレモニウム属等の糸状菌を中心
に、シュードモナス属、セルロモナス属、ルミノコッカ
ス属、バチルス属等の細菌、更に、ストレプトマイセス
属、サーモアクチノマイセス属等の放線菌でも報告され
ている。しかしながら、現時点では、バイオマス用セル
ラーゼの工業的規模での利用は、多くはない。
来、バイオマス資源、特にセルロース資源の有効利用を
一大目標として進められてきた。セルラーゼ生産菌とし
て分離されてきた菌株は多種類にわたり、アスペルギル
ス属、ペニシリウム属、トリコデルマ属、フザリウム
属、フミコーラ属、アクレモニウム属等の糸状菌を中心
に、シュードモナス属、セルロモナス属、ルミノコッカ
ス属、バチルス属等の細菌、更に、ストレプトマイセス
属、サーモアクチノマイセス属等の放線菌でも報告され
ている。しかしながら、現時点では、バイオマス用セル
ラーゼの工業的規模での利用は、多くはない。
【0003】一方、セルラーゼの新規な産業的用途とし
て、衣料用洗浄剤の配合成分としての利用が検討され注
目を集めている(特公昭59−49279号公報、特公
昭60−23158号公報、特公昭60−36240号
公報)。しかし、自然界に於いて従来見出されたセルラ
ーゼのほとんどは、中性乃至酸性領域に於いて最大且つ
安定な酵素活性を示す、所謂中性若しくは酸性セルラー
ゼに分類されるものであって、衣料用洗浄剤配合成分と
しての必要条件である、アルカリ領域で最大活性を示す
か、あるいはアルカリ耐性を有するセルラーゼ、所謂ア
ルカリセルラーゼ及びアルカリ耐性セルラーゼの存在
は、極めて少ないのが実情である。
て、衣料用洗浄剤の配合成分としての利用が検討され注
目を集めている(特公昭59−49279号公報、特公
昭60−23158号公報、特公昭60−36240号
公報)。しかし、自然界に於いて従来見出されたセルラ
ーゼのほとんどは、中性乃至酸性領域に於いて最大且つ
安定な酵素活性を示す、所謂中性若しくは酸性セルラー
ゼに分類されるものであって、衣料用洗浄剤配合成分と
しての必要条件である、アルカリ領域で最大活性を示す
か、あるいはアルカリ耐性を有するセルラーゼ、所謂ア
ルカリセルラーゼ及びアルカリ耐性セルラーゼの存在
は、極めて少ないのが実情である。
【0004】ここで言うアルカリセルラーゼとは、至適
pHがアルカリ領域にあるものを言い、アルカリ耐性セル
ラーゼとは、至適pHは中性から酸性領域にあるが、アル
カリ領域に於いても至適pHに於ける活性に比較して充分
に活性を有し且つ安定性を保持するものを言う。
pHがアルカリ領域にあるものを言い、アルカリ耐性セル
ラーゼとは、至適pHは中性から酸性領域にあるが、アル
カリ領域に於いても至適pHに於ける活性に比較して充分
に活性を有し且つ安定性を保持するものを言う。
【0005】また、中性とはpH6〜8の範囲を言い、ア
ルカリ性とはそれ以上のpH範囲を言う。即ち、従来、衣
料用洗浄剤組成物として使用し得るアルカリセルラーゼ
及びアルカリ耐性セルラーゼの生産方法としては、好ア
ルカリ性バチルス属細菌の培養によりセルラーゼAを採
取する方法(特公昭50−28515号公報)、セルロ
モナス属に属する好アルカリ性細菌を培養してアルカリ
セルラーゼ301−Aを生産する方法(特開昭58−2
24686号公報)、好アルカリ性バチルスNo.11
39を培養してカルボキシメチルセルラーゼを生産する
方法(Fukumori,F.,Kudo,T.and
Horikoshi,K.,J.Gen.Micro
biol.,131,3339,(1985))及びス
トレプトマイセス属の一種を用いてアルカリセルラーゼ
を生産する方法(特開昭61−19483号公報)が報
告されているに過ぎず、いずれも工業的発酵生産に適う
ものではなかった。
ルカリ性とはそれ以上のpH範囲を言う。即ち、従来、衣
料用洗浄剤組成物として使用し得るアルカリセルラーゼ
及びアルカリ耐性セルラーゼの生産方法としては、好ア
ルカリ性バチルス属細菌の培養によりセルラーゼAを採
取する方法(特公昭50−28515号公報)、セルロ
モナス属に属する好アルカリ性細菌を培養してアルカリ
セルラーゼ301−Aを生産する方法(特開昭58−2
24686号公報)、好アルカリ性バチルスNo.11
39を培養してカルボキシメチルセルラーゼを生産する
方法(Fukumori,F.,Kudo,T.and
Horikoshi,K.,J.Gen.Micro
biol.,131,3339,(1985))及びス
トレプトマイセス属の一種を用いてアルカリセルラーゼ
を生産する方法(特開昭61−19483号公報)が報
告されているに過ぎず、いずれも工業的発酵生産に適う
ものではなかった。
【0006】ところが、最近、本発明者らは好アルカリ
性微生物の一種であるバチルス エスピー(Bacil
lus sp.)KSM−635(FERM P−88
72)が、衣料用洗浄剤組成物として適したアルカリセ
ルラーゼKを効率良く生産すること、及び更に培養条件
を選択することにより、より高収率で、アルカリセルラ
ーゼKが得られ、アルカリセルラーゼの工業的発酵生産
が可能となることを見出した。
性微生物の一種であるバチルス エスピー(Bacil
lus sp.)KSM−635(FERM P−88
72)が、衣料用洗浄剤組成物として適したアルカリセ
ルラーゼKを効率良く生産すること、及び更に培養条件
を選択することにより、より高収率で、アルカリセルラ
ーゼKが得られ、アルカリセルラーゼの工業的発酵生産
が可能となることを見出した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記バ
チルス エスピー KSM−635の培養条件は、必ず
しも工業的に有利なものと言えない。即ち、好アルカリ
性菌株は培養中、pHをアルカリ性に保ち続ける必要があ
るが、現在までのところ、好アルカリ性菌株を用いる所
謂アルカリ性発酵法の歴史は浅く、通常の中性微生物と
比較するとこれら好アルカリ性微生物の生理、生化学に
ついての知見は充分に蓄積されておらず、工業的発酵生
産を行うにあたっての培地調製、培養方法が操作上の難
点となっていた。
チルス エスピー KSM−635の培養条件は、必ず
しも工業的に有利なものと言えない。即ち、好アルカリ
性菌株は培養中、pHをアルカリ性に保ち続ける必要があ
るが、現在までのところ、好アルカリ性菌株を用いる所
謂アルカリ性発酵法の歴史は浅く、通常の中性微生物と
比較するとこれら好アルカリ性微生物の生理、生化学に
ついての知見は充分に蓄積されておらず、工業的発酵生
産を行うにあたっての培地調製、培養方法が操作上の難
点となっていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる問題
点を解決するためにアルカリ領域に至適pHを有するアル
カリセルラーゼあるいは、アルカリ領域に於いても、至
適pHに於ける最高活性に比較しても高活性を維持し得る
アルカリ耐性セルラーゼを生産する中性細菌を得べく、
中性領域で生育する菌株を宿主として、該当するセルラ
ーゼ遺伝子をクローニングする、所謂遺伝子組換えの手
段と併行し、自然界において該細菌の探索を続けてき
た。そして、その結果、栃木県日光市の土壌から分離し
た菌株は、アルカリ側に於いても充分作用を有し、且つ
安定性を保持する、所謂アルカリ耐性セルラーゼを産生
することを見出し、本発明を完成した。
点を解決するためにアルカリ領域に至適pHを有するアル
カリセルラーゼあるいは、アルカリ領域に於いても、至
適pHに於ける最高活性に比較しても高活性を維持し得る
アルカリ耐性セルラーゼを生産する中性細菌を得べく、
中性領域で生育する菌株を宿主として、該当するセルラ
ーゼ遺伝子をクローニングする、所謂遺伝子組換えの手
段と併行し、自然界において該細菌の探索を続けてき
た。そして、その結果、栃木県日光市の土壌から分離し
た菌株は、アルカリ側に於いても充分作用を有し、且つ
安定性を保持する、所謂アルカリ耐性セルラーゼを産生
することを見出し、本発明を完成した。
【0009】本発明の菌株は、次のような菌学的性質を
有する。なお、以下の分類同定に於いて用いた培地は次
の通りである。
有する。なお、以下の分類同定に於いて用いた培地は次
の通りである。
【0010】培地 1. 肉エキス,1.0;バクトペ
プトン,1.0;NaCl,0.5;バクト寒天,1.
5(pH7.2)(表示は、重量%;以下同じ) 培地 2. 肉エキス,1.0;バクトペプトン,1.
0;NaCl,0.5(pH7.2) 培地 3. 肉エキス,1.0;バクトペプトン,1.
0;NaCl,0.5;ゼラチン,1.0(pH7.2) 培地 4. バクトリトマスミルク,10.0 培地 5. バクトペプトン,1.0;KNO3,0.
1 培地 6. バクトペプトン,1.0;NaNO3,
0.1 培地 7. バクトペプトン,0.7;NaCl,0.
5;ブドウ糖,0.5(pH7.0) 培地 8. バクトペプトン,1.0 培地 9. TSI寒天(栄研化学社製);指示量 培地10. 肉エキス,1.0;バクトペプトン,1.
0;NaCl,0.5;可溶性澱粉,0.2;寒天,
1.5
プトン,1.0;NaCl,0.5;バクト寒天,1.
5(pH7.2)(表示は、重量%;以下同じ) 培地 2. 肉エキス,1.0;バクトペプトン,1.
0;NaCl,0.5(pH7.2) 培地 3. 肉エキス,1.0;バクトペプトン,1.
0;NaCl,0.5;ゼラチン,1.0(pH7.2) 培地 4. バクトリトマスミルク,10.0 培地 5. バクトペプトン,1.0;KNO3,0.
1 培地 6. バクトペプトン,1.0;NaNO3,
0.1 培地 7. バクトペプトン,0.7;NaCl,0.
5;ブドウ糖,0.5(pH7.0) 培地 8. バクトペプトン,1.0 培地 9. TSI寒天(栄研化学社製);指示量 培地10. 肉エキス,1.0;バクトペプトン,1.
0;NaCl,0.5;可溶性澱粉,0.2;寒天,
1.5
【0011】培地11. NaNH4HPO4・4H
2O,0.15;KH2PO4,0.1;MgSO4・7H
2O,0.02;クエン酸ナトリウム,0.25(pH
6.8) 培地12.クリステンセン培地(栄研化学社製);指示
量 培地13.シモンズ培地(栄研化学社製);指示量 培地14.ブドウ糖,1.0;KH2PO4,0.1;M
gSO4・7H2O,0.05;KCl,0.02;窒素
源,0.1(窒素源は、硝酸ナトリウム及び硫酸アンモ
ニウムを用いた)(pH7.2) 培地15.キングA培地“栄研”(栄研化学社製);指
示量 培地16.キングB培地“栄研”(栄研化学社製);指
示量 培地17.尿素培地“栄研”(栄研化学社製);指示量 培地18.チトクローム・オキシダーゼ試験用濾紙(日
水製薬社製) 培地19.3%過酸化水素水 培地20.OF基礎培地(Difco社製);指示量
2O,0.15;KH2PO4,0.1;MgSO4・7H
2O,0.02;クエン酸ナトリウム,0.25(pH
6.8) 培地12.クリステンセン培地(栄研化学社製);指示
量 培地13.シモンズ培地(栄研化学社製);指示量 培地14.ブドウ糖,1.0;KH2PO4,0.1;M
gSO4・7H2O,0.05;KCl,0.02;窒素
源,0.1(窒素源は、硝酸ナトリウム及び硫酸アンモ
ニウムを用いた)(pH7.2) 培地15.キングA培地“栄研”(栄研化学社製);指
示量 培地16.キングB培地“栄研”(栄研化学社製);指
示量 培地17.尿素培地“栄研”(栄研化学社製);指示量 培地18.チトクローム・オキシダーゼ試験用濾紙(日
水製薬社製) 培地19.3%過酸化水素水 培地20.OF基礎培地(Difco社製);指示量
【0012】培地21.(NH4)2HPO4,0.1;
KCl,0.02;MgSO4・7H2O,0.02;酵
母エキス,0.02;バクト寒天,2.0;BCP
(0.2%溶液),0.4 培地22.バクト・サブロー・デキストロース寒天培地
(Difco社製);指示量 培地23.フェニルアラニン マロン酸塩培地(日水製
薬社製);指示量 培地24.スキムミルク,5.0;バクト寒天,1.5
KCl,0.02;MgSO4・7H2O,0.02;酵
母エキス,0.02;バクト寒天,2.0;BCP
(0.2%溶液),0.4 培地22.バクト・サブロー・デキストロース寒天培地
(Difco社製);指示量 培地23.フェニルアラニン マロン酸塩培地(日水製
薬社製);指示量 培地24.スキムミルク,5.0;バクト寒天,1.5
【0013】(菌学的性質) (a)顕微鏡的観察結果 菌体の大きさは、0.5〜0.8μm×1.0〜2.0
μmの桿菌であり、菌体の中央に卵円形の内生胞子
(0.5〜0.8μm×1.0〜1.2μm)を作る。
鞭毛を有し運動性がある。グラム染色は陽性。抗酸性は
ない。
μmの桿菌であり、菌体の中央に卵円形の内生胞子
(0.5〜0.8μm×1.0〜1.2μm)を作る。
鞭毛を有し運動性がある。グラム染色は陽性。抗酸性は
ない。
【0014】(b)各種培地に於ける生育状態 (1)肉汁寒天平板培養(培地1) 生育状態は普通。集落の形状は円形であり、表面は円
滑、周縁は円滑又は波状である。また集落の色調は淡黄
色半透明で光沢はやや鈍い。 (2)肉汁寒天斜面培養(培地1) 生育は普通であり、その状態は拡布状で光沢が有り、乳
白色半透明である。 (3)肉汁液体培養(培地2) 生育する。表面生育が有り、上層生育も認められる。 (4)肉汁ゼラチン穿刺培養(培地3) ゼラチンの液化が認められる。 (5)リトマスミルク培地(培地4) ミルクの液化は認められるが、リトマス色素の明確な変
化はない。
滑、周縁は円滑又は波状である。また集落の色調は淡黄
色半透明で光沢はやや鈍い。 (2)肉汁寒天斜面培養(培地1) 生育は普通であり、その状態は拡布状で光沢が有り、乳
白色半透明である。 (3)肉汁液体培養(培地2) 生育する。表面生育が有り、上層生育も認められる。 (4)肉汁ゼラチン穿刺培養(培地3) ゼラチンの液化が認められる。 (5)リトマスミルク培地(培地4) ミルクの液化は認められるが、リトマス色素の明確な変
化はない。
【0015】(c)生理学的性質 (1)硝酸塩の還元及び脱窒反応(培地5,培地6) 硝酸塩の還元及び脱窒反応は陰性。 (2)MRテスト(培地7) 陽性。 (3)VPテスト(培地7) 陽性。 (4)インドールの生成(培地8) 陰性。 (5)硫化水素の生成(培地9) 陰性。
【0016】(6)澱粉の加水分解(培地10) 陰性。 (7)クエン酸の利用(培地11,培地12,培地1
3) コーサ培地及びシモンズ培地で、ともに陰性。クリステ
ンセン培地で陽性。 (8)無機窒素源の利用(培地14) 硝酸塩、アンモニウム塩ともに利用しない。 (9)色素の生成(培地15,培地16) KING−B培地で黄色色素生成。 (10)ウレアーゼ(培地17) 陰性。
3) コーサ培地及びシモンズ培地で、ともに陰性。クリステ
ンセン培地で陽性。 (8)無機窒素源の利用(培地14) 硝酸塩、アンモニウム塩ともに利用しない。 (9)色素の生成(培地15,培地16) KING−B培地で黄色色素生成。 (10)ウレアーゼ(培地17) 陰性。
【0017】(11)オキシダーゼ(培地18) 陰性、陽性はっきりせず。 (12)カタラーゼ(培地19) 陽性。 (13)生育の範囲(培地2) 生育の温度範囲は、10〜50℃、生育最適温度範囲は
20〜40℃、生育のpH範囲は、pH5〜10であった。
20〜40℃、生育のpH範囲は、pH5〜10であった。
【0018】(14)酸素に対する態度 好気性。 (15)O−Fテスト(培地20) 好気のみ生育。 (16)糖の利用性(培地21)(+:利用する、−:利
用しない)
用しない)
【0019】
【表1】 1.L−アラビノース + 2.D−キシロース + 3.D−グルコース + 4.D−マンノース + 5.D−フラクトース + 6.D−ガラクトース + 7.麦芽糖 + 8.ショ糖 + 9.乳糖 − 10.トレハロース + 11.D−ソルビット − 12.D−マンニット + 13.イノシット + 14.グリセリン + 15.デンプン −
【0020】(17)VP培地に於けるpH(培地7) pH5.0 (18)食塩含有培地に於ける生育(改変培地1) 5%で生育する。 7%で生育する。 10%で生育する。 (19)pH5.7に於ける生育(培地22) 生育する。
【0021】(20)フェニルアラニンの脱アミノ化(培
地23) 陰性。 (21)カゼインの分解(培地24) 陽性。
地23) 陰性。 (21)カゼインの分解(培地24) 陽性。
【0022】以上の菌学的性質について、バージーズ・
マニュアル・オブ・デイタミネイティブ・バクテリオロ
ジー(Bergey’s Mannual of De
terminative Bacteriology)
第8版及びザ・ジーナス・バチルス(“The Gen
us Bacillus”,Ruth,E.Gordo
n著 Agriculture Handbook N
o.427,Agricultural Resear
ch Service,U.S.Department
of Agriculture,Washingto
n D.C.(1973))を参照し比較、検索した結
果、本発明の菌株は、有胞子桿菌であるバチルス(Ba
cillus)属の一種であると認められる。そして本
菌株は、最近、掘越と秋葉(“Alkalophili
c Microorganism”,Japan Sc
ientific Society Press(To
kyo),1982年刊)の主張している、所謂好アル
カリ性(Alkalophilic)微生物がpH8以上
のアルカリ培地に於いて生育し、これ以下の中性pH領域
では生育できないのに対し、弱酸性領域からアルカリ領
域(pH5〜10)に於いて生育が可能であることから、
この好アルカリ性微生物とは明らかに異なるものであ
り、一般的な中性で生育可能なバチルス属微生物と判断
できる。
マニュアル・オブ・デイタミネイティブ・バクテリオロ
ジー(Bergey’s Mannual of De
terminative Bacteriology)
第8版及びザ・ジーナス・バチルス(“The Gen
us Bacillus”,Ruth,E.Gordo
n著 Agriculture Handbook N
o.427,Agricultural Resear
ch Service,U.S.Department
of Agriculture,Washingto
n D.C.(1973))を参照し比較、検索した結
果、本発明の菌株は、有胞子桿菌であるバチルス(Ba
cillus)属の一種であると認められる。そして本
菌株は、最近、掘越と秋葉(“Alkalophili
c Microorganism”,Japan Sc
ientific Society Press(To
kyo),1982年刊)の主張している、所謂好アル
カリ性(Alkalophilic)微生物がpH8以上
のアルカリ培地に於いて生育し、これ以下の中性pH領域
では生育できないのに対し、弱酸性領域からアルカリ領
域(pH5〜10)に於いて生育が可能であることから、
この好アルカリ性微生物とは明らかに異なるものであ
り、一般的な中性で生育可能なバチルス属微生物と判断
できる。
【0023】更に本菌株を他の公知のバチルス属の菌株
と比較すると、最も類縁の種としてバチルス・プミルス
(Bacillus pumilis)が挙げられる。
しかしながら、公知のバチルス・プミルスに属する菌株
と本菌株とを比較すると、公知菌株は少なくともアルカ
リ耐性のセルラーゼを産生しないので本発明者らは本菌
株を新菌株と判断し、バチルス エスピー KSM−5
97と命名して工業技術院微生物工業技術研究所に寄託
した(FERM P−9573)。
と比較すると、最も類縁の種としてバチルス・プミルス
(Bacillus pumilis)が挙げられる。
しかしながら、公知のバチルス・プミルスに属する菌株
と本菌株とを比較すると、公知菌株は少なくともアルカ
リ耐性のセルラーゼを産生しないので本発明者らは本菌
株を新菌株と判断し、バチルス エスピー KSM−5
97と命名して工業技術院微生物工業技術研究所に寄託
した(FERM P−9573)。
【0024】本発明の菌株を用いてアルカリ耐性セルラ
ーゼ、セルラーゼK−597を得るには、培地に該菌株
を接種し、常法に従って培養すれば良い。培地中には、
資化し得る炭素源及び窒素源を適当量含有せしめておく
ことが好ましい。この炭素源及び窒素源については特に
制限はないが、その例としては、窒素源として無機態の
硝安、硫安、塩安、リン酸アンモニウム、硝酸ソーダ
や、コーングルテンミール、大豆粉、コーンスチープリ
カー、カザミノ酸、酵母エキス、ファーマメディア、イ
ワシミール、肉エキス、ペプトン、ハイプロ、アジパワ
ー、コーンソイビーンミール、コーヒー粕、綿実油粕、
カルチベータ、アミフレックス及びアジプロン、ゼス
ト、アジックスなどが挙げられる。また、炭素源として
は、籾殻、麸、濾紙、一般紙類、おが屑などの植物繊維
質、廃糖蜜、転化糖、カルボキシメチルセルロース(C
MC)、アビセル、セルロース綿、キシラン、ペクチン
に加え、資化し得る炭素源、例えば、アラビノース、キ
シロース、グルコース、マンノース、フラクトース、ガ
ラクトース、ショ糖、乳糖、トレハロース、麦芽糖、ソ
ルビトール、マンニトール、イノシトール、グリセリ
ン、可溶性澱粉や資化し得る有機酸、例えば酢酸、クエ
ン酸等が挙げられる。また、その他、リン酸、Mg 2+、
Ca2+、Mn2+、Zn2+、Co2+、Na+、K+などの無
機塩や、必要であれば、無機、有機微量栄養源を培地中
に適宜添加することもできる。
ーゼ、セルラーゼK−597を得るには、培地に該菌株
を接種し、常法に従って培養すれば良い。培地中には、
資化し得る炭素源及び窒素源を適当量含有せしめておく
ことが好ましい。この炭素源及び窒素源については特に
制限はないが、その例としては、窒素源として無機態の
硝安、硫安、塩安、リン酸アンモニウム、硝酸ソーダ
や、コーングルテンミール、大豆粉、コーンスチープリ
カー、カザミノ酸、酵母エキス、ファーマメディア、イ
ワシミール、肉エキス、ペプトン、ハイプロ、アジパワ
ー、コーンソイビーンミール、コーヒー粕、綿実油粕、
カルチベータ、アミフレックス及びアジプロン、ゼス
ト、アジックスなどが挙げられる。また、炭素源として
は、籾殻、麸、濾紙、一般紙類、おが屑などの植物繊維
質、廃糖蜜、転化糖、カルボキシメチルセルロース(C
MC)、アビセル、セルロース綿、キシラン、ペクチン
に加え、資化し得る炭素源、例えば、アラビノース、キ
シロース、グルコース、マンノース、フラクトース、ガ
ラクトース、ショ糖、乳糖、トレハロース、麦芽糖、ソ
ルビトール、マンニトール、イノシトール、グリセリ
ン、可溶性澱粉や資化し得る有機酸、例えば酢酸、クエ
ン酸等が挙げられる。また、その他、リン酸、Mg 2+、
Ca2+、Mn2+、Zn2+、Co2+、Na+、K+などの無
機塩や、必要であれば、無機、有機微量栄養源を培地中
に適宜添加することもできる。
【0025】斯くして得られた培養物中からの目的物質
であるセルラーゼK−597の採取及び精製は、一般の
酵素の採取及び精製の手段に準じて行うことができる。
即ち、遠心分離又は濾過等の通常の固液分離手段により
菌体を培養液から除去して粗酵素液を得ることができ
る。この粗酵素液は、そのまま使用することもできる
が、必要に応じて、塩析法、沈澱法、限外濾過法等の分
離手段により粗酵素を得、更に公知の方法により精製結
晶化して、精製酵素として使用することも可能である。
であるセルラーゼK−597の採取及び精製は、一般の
酵素の採取及び精製の手段に準じて行うことができる。
即ち、遠心分離又は濾過等の通常の固液分離手段により
菌体を培養液から除去して粗酵素液を得ることができ
る。この粗酵素液は、そのまま使用することもできる
が、必要に応じて、塩析法、沈澱法、限外濾過法等の分
離手段により粗酵素を得、更に公知の方法により精製結
晶化して、精製酵素として使用することも可能である。
【0026】斯くして得られたアルカリセルラーゼK−
597は、以下に示す酵素学的性質を有する。なお、酵
素活性の測定は、以下の方法に従って行い、また用いた
緩衝液は次の通りである。
597は、以下に示す酵素学的性質を有する。なお、酵
素活性の測定は、以下の方法に従って行い、また用いた
緩衝液は次の通りである。
【0027】pH3〜8 マクルベイン緩衝液 pH8〜11 グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液 pH12〜13 塩化カリウム−水酸化ナトリウム緩衝
液
液
【0028】酵素活性測定法: (1)CMCアーゼ活性 10mgCMC(A−01L,山陽国策パルプ社製)、1
00μmol 各種緩衝液(マクルベイン、リン酸、グリシ
ン−NaOH等)を含む基質溶液0.9mlに0.1mlの
酵素溶液を加え、30℃、20分反応した。反応後、
3,5−ジニトロ−サリチル酸(3,5−dinitr
o−salicylic acid(DNS))法にて
還元糖の定量を行った。即ち、反応液1.0mlにDNS
試薬1.0mlを加え、5分間、100℃で加熱発色さ
せ、冷却後、4.0mlの脱イオン水を加えて希釈した。
これを波長535nmで比色定量した。酵素力価は、上記
の条件下で1分間に1μmol のグルコースに相当する還
元糖を生成する酵素量を1単位とした。
00μmol 各種緩衝液(マクルベイン、リン酸、グリシ
ン−NaOH等)を含む基質溶液0.9mlに0.1mlの
酵素溶液を加え、30℃、20分反応した。反応後、
3,5−ジニトロ−サリチル酸(3,5−dinitr
o−salicylic acid(DNS))法にて
還元糖の定量を行った。即ち、反応液1.0mlにDNS
試薬1.0mlを加え、5分間、100℃で加熱発色さ
せ、冷却後、4.0mlの脱イオン水を加えて希釈した。
これを波長535nmで比色定量した。酵素力価は、上記
の条件下で1分間に1μmol のグルコースに相当する還
元糖を生成する酵素量を1単位とした。
【0029】(2)p−ニトロフェニルセロビオシド分
解活性 0.1μmol p−ニトロフェニルセロビオシド(シグマ
社製)、100μmolリン酸緩衝液(pH7.0)を含む
反応液1.0ml中に適当量の酵素液を30℃で作用させ
た後、1M Na2CO3を0.3ml、脱イオン水を1.
7ml順次加え、遊離するp−ニトロフェノールを400
nmで比色定量した。酵素力価は、上記の条件下で1分間
に1μmol のp−ニトロフェノールを遊離させる酵素量
を1単位とした。
解活性 0.1μmol p−ニトロフェニルセロビオシド(シグマ
社製)、100μmolリン酸緩衝液(pH7.0)を含む
反応液1.0ml中に適当量の酵素液を30℃で作用させ
た後、1M Na2CO3を0.3ml、脱イオン水を1.
7ml順次加え、遊離するp−ニトロフェノールを400
nmで比色定量した。酵素力価は、上記の条件下で1分間
に1μmol のp−ニトロフェノールを遊離させる酵素量
を1単位とした。
【0030】(3)アビセル、セルロース粉末、リン酸
膨潤セルロース、アルカリ膨潤セルロース、及び濾紙分
解活性 20mgアビセル(メルク社製)、200μmol リン酸緩
衝液(pH7.0)を含む反応液2.0ml中に適当量の酵
素液を加え、30℃、250rpm で振とうしながら作用
させた。反応後、冷却遠心分離(5℃、3000rpm 、
20分)を行い、その上清1.0mlを3,5−ジニトロ
−サリチル酸(3,5−dinitro−salicy
lic acid(DNS))法にて還元糖の定量を行
った。セルロース粉末分解活性はセルロース粉末(東洋
濾紙社製)を、リン酸膨潤セルロース及びアルカリ膨潤
セルロース分解活性はトミタらの方法(Tomita
Yet al;J.Ferment.Thechno
l.,52,235,1974)により処理したセルロ
ースを、濾紙分解活性は濾紙(セルラーゼ活性検定用濾
紙、東洋No.51−特)をそれぞれ用い、アビセラー
ゼ活性の時と同様に行った。酵素力価は、上記の条件下
で1分間に1μmol のグルコースに相当する還元糖を生
成する酵素量を1単位とした。
膨潤セルロース、アルカリ膨潤セルロース、及び濾紙分
解活性 20mgアビセル(メルク社製)、200μmol リン酸緩
衝液(pH7.0)を含む反応液2.0ml中に適当量の酵
素液を加え、30℃、250rpm で振とうしながら作用
させた。反応後、冷却遠心分離(5℃、3000rpm 、
20分)を行い、その上清1.0mlを3,5−ジニトロ
−サリチル酸(3,5−dinitro−salicy
lic acid(DNS))法にて還元糖の定量を行
った。セルロース粉末分解活性はセルロース粉末(東洋
濾紙社製)を、リン酸膨潤セルロース及びアルカリ膨潤
セルロース分解活性はトミタらの方法(Tomita
Yet al;J.Ferment.Thechno
l.,52,235,1974)により処理したセルロ
ースを、濾紙分解活性は濾紙(セルラーゼ活性検定用濾
紙、東洋No.51−特)をそれぞれ用い、アビセラー
ゼ活性の時と同様に行った。酵素力価は、上記の条件下
で1分間に1μmol のグルコースに相当する還元糖を生
成する酵素量を1単位とした。
【0031】(4)セロビアーゼ活性 10mgセロビオース(関東化学社製)、50μmol リン
酸緩衝液(pH7.0)を含む反応液1.0ml中に適当量
の酵素液を30℃で作用させた後、100℃、5分処理
し酵素を失活させた後、生成グルコース量をムタロター
ゼ・GOD法(Glucose C−Test、和光純
薬工業社製)で測定した。酵素力価は、上記の条件下で
1分間に2μmol のグルコースを生成する酵素量を1単
位とした。
酸緩衝液(pH7.0)を含む反応液1.0ml中に適当量
の酵素液を30℃で作用させた後、100℃、5分処理
し酵素を失活させた後、生成グルコース量をムタロター
ゼ・GOD法(Glucose C−Test、和光純
薬工業社製)で測定した。酵素力価は、上記の条件下で
1分間に2μmol のグルコースを生成する酵素量を1単
位とした。
【0032】(酵素学的性質) (1)作用 セルロース、濾紙、アビセル、CMC等の繊維素によく
作用し、これらを溶解せしめ、グルコース等の還元糖を
生成する。
作用し、これらを溶解せしめ、グルコース等の還元糖を
生成する。
【0033】(2)基質特異性 本酵素はCMCの他にも、セルロース粉末、アビセル、
濾紙及びp−ニトロフェニルセロビオシドに対する活性
を有していた。
濾紙及びp−ニトロフェニルセロビオシドに対する活性
を有していた。
【0034】(3)作用pH及び最適pH 作用pH範囲は、3〜13と極めて広範囲にわたる。最適
pHは、7であり、4.5〜11.5の範囲に於いても至
適pHに於ける活性の50%以上の相対活性を有してお
り、過去に研究されたセルラーゼの中でも最もアルカリ
側で作用pH範囲が広い酵素と言える(図1)。
pHは、7であり、4.5〜11.5の範囲に於いても至
適pHに於ける活性の50%以上の相対活性を有してお
り、過去に研究されたセルラーゼの中でも最もアルカリ
側で作用pH範囲が広い酵素と言える(図1)。
【0035】(4)pH安定性 各々のpHで30℃、1時間保持した後の残存活性をpH6
で測定し、pH安定性を調べた。その結果は、pH5〜1
1.5で極めて安定で失活せず、pH4.5〜12.5に
於いても、約50%以上の活性を維持していた。本酵素
は、このように高アルカリ領域に於いても充分に安定で
ある(図2)。
で測定し、pH安定性を調べた。その結果は、pH5〜1
1.5で極めて安定で失活せず、pH4.5〜12.5に
於いても、約50%以上の活性を維持していた。本酵素
は、このように高アルカリ領域に於いても充分に安定で
ある(図2)。
【0036】(5)最適温度 pH6で活性測定を行ったときの作用温度は、15〜80
℃の広範囲にわたり、その至適温度は60℃であった。
また、45〜75℃の範囲においても、至適温度での活
性の50%以上を有していた(図3)。
℃の広範囲にわたり、その至適温度は60℃であった。
また、45〜75℃の範囲においても、至適温度での活
性の50%以上を有していた(図3)。
【0037】(6)温度安定性 30分間各温度で処理(pH7)した後、至適pH(pH6)
で残存活性を測定した結果、50℃では安定しており、
55℃に於いても約50%の残存活性を有していた(図
4)。
で残存活性を測定した結果、50℃では安定しており、
55℃に於いても約50%の残存活性を有していた(図
4)。
【0038】(7)分子量 本酵素をバイオゲル P−150(“Bio−Gel
P−150”)によるゲル濾過法に基づき分子量を測定
したところ、約4.0万に主たるピークが観察された
P−150”)によるゲル濾過法に基づき分子量を測定
したところ、約4.0万に主たるピークが観察された
【0039】(8)金属イオンの影響 本酵素について、各種金属イオン(Al3+,Fe3+,B
a2+,Ca2+,Cd2+,Co2+,Cu2+,Fe2+,Hg
2+,Mn2+,Mg2+,Ni2+,Pd2+,Zn2+,K+,
Na+)を活性測定時に共存させて、その影響を検討し
た(各種金属イオン濃度は1mM,K+,Na+は50mMで
ある)。その結果、Hg2+で阻害が、Co2+により活性
化が認められた。
a2+,Ca2+,Cd2+,Co2+,Cu2+,Fe2+,Hg
2+,Mn2+,Mg2+,Ni2+,Pd2+,Zn2+,K+,
Na+)を活性測定時に共存させて、その影響を検討し
た(各種金属イオン濃度は1mM,K+,Na+は50mMで
ある)。その結果、Hg2+で阻害が、Co2+により活性
化が認められた。
【0040】(9)界面活性剤の影響 各種界面活性剤(例えば、LAS、AS、ES、AO
S、α−SFE、SAS、石鹸、ポリオキシエチレンセ
カンダリーアルキルエーテル)の酵素活性に及ぼす影響
を調べた。界面活性剤0.05%を活性測定時に共存さ
せ、その影響を検討した。その結果、何れの界面活性剤
によってもほとんど阻害を受けなかった。強力なデター
ジエントであるソディウム・ドデシルサルフェートによ
っても活性の阻害はほとんど認められなかった。
S、α−SFE、SAS、石鹸、ポリオキシエチレンセ
カンダリーアルキルエーテル)の酵素活性に及ぼす影響
を調べた。界面活性剤0.05%を活性測定時に共存さ
せ、その影響を検討した。その結果、何れの界面活性剤
によってもほとんど阻害を受けなかった。強力なデター
ジエントであるソディウム・ドデシルサルフェートによ
っても活性の阻害はほとんど認められなかった。
【0041】(10)プロテアーゼ耐性 洗剤用プロテアーゼ、例えばAPI−21(昭和電工社
製)、マクサターゼ(ギスト社製)及びアルカラーゼ
(ノボ社製)を、活性測定時に共存(0.1mg/ml)さ
せてその影響を調べたところ、何れのプロテアーゼに対
しても強い耐性を有することがわかった。
製)、マクサターゼ(ギスト社製)及びアルカラーゼ
(ノボ社製)を、活性測定時に共存(0.1mg/ml)さ
せてその影響を調べたところ、何れのプロテアーゼに対
しても強い耐性を有することがわかった。
【0042】(11)キレート剤の影響 キレート剤であるEDTA、EGTA、クエン酸、ゼオ
ライト、トリポリリン酸ソーダを活性測定時に共存さ
せ、その影響を検討したが、ほとんど阻害は認められな
かった。
ライト、トリポリリン酸ソーダを活性測定時に共存さ
せ、その影響を検討したが、ほとんど阻害は認められな
かった。
【0043】
【発明の効果】本発明の微生物により得られるセルラー
ゼK−597は、至適pHを7に有するにもかかわらず高
アルカリのpH11.5においても最適pHの60%以上の
相対活性を有し、pH5〜11.5に於いて極めて安定で
ある。また、界面活性剤、プロテアーゼ、キレート剤等
の洗浄剤配合成分によってもほとんど阻害を受けない。
従って、本酵素は洗浄剤組成物の配合成分として有利に
使用することができるものである。また、本発明の菌
株、バチルス エスピー KSM−597は中性で生育
する菌株であるので、好アルカリ性細菌と比べ容易にア
ルカリ耐性セルラーゼを工業的に生産することができ
る。
ゼK−597は、至適pHを7に有するにもかかわらず高
アルカリのpH11.5においても最適pHの60%以上の
相対活性を有し、pH5〜11.5に於いて極めて安定で
ある。また、界面活性剤、プロテアーゼ、キレート剤等
の洗浄剤配合成分によってもほとんど阻害を受けない。
従って、本酵素は洗浄剤組成物の配合成分として有利に
使用することができるものである。また、本発明の菌
株、バチルス エスピー KSM−597は中性で生育
する菌株であるので、好アルカリ性細菌と比べ容易にア
ルカリ耐性セルラーゼを工業的に生産することができ
る。
【0044】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説
明する。
明する。
【0045】実施例1 栃木県日光市の土壌を薬匙一杯(約0.5g)を滅菌生
理食塩水に懸濁し、80℃で10分間熱処理した。この
熱処理液の上清を適当に希釈して、分離用寒天培地(培
地1)に塗布した。次いで、これを30℃にて3日間培
養し、集落を形成させた。集落の周囲にCMCの溶解に
基づく透明帯を形成するものを選出し、CMCアーゼ生
産菌を取得した。更に、取得菌を培地2の液体培地に接
種し、30℃で3日間振とう培養した。培養後、遠心分
離した上清液についてCMCアーゼ活性を、pH3〜13
にて測定し、アルカリ耐性セルラーゼ生産菌をスクリー
ニングした。上述の方法により、本発明のバチルス エ
スピー KSM−597株(FERM P−9573)
を取得することができた。
理食塩水に懸濁し、80℃で10分間熱処理した。この
熱処理液の上清を適当に希釈して、分離用寒天培地(培
地1)に塗布した。次いで、これを30℃にて3日間培
養し、集落を形成させた。集落の周囲にCMCの溶解に
基づく透明帯を形成するものを選出し、CMCアーゼ生
産菌を取得した。更に、取得菌を培地2の液体培地に接
種し、30℃で3日間振とう培養した。培養後、遠心分
離した上清液についてCMCアーゼ活性を、pH3〜13
にて測定し、アルカリ耐性セルラーゼ生産菌をスクリー
ニングした。上述の方法により、本発明のバチルス エ
スピー KSM−597株(FERM P−9573)
を取得することができた。
【0046】
【表2】 培地1.CMC 2% ポリペプトン 0.5% 酵母エキス 0.05% KH2PO4 0.1% Na2HPO4・12H2O 0.25% MgSO4・7H2O 0.02% 寒天 0.75% pH6.8
【0047】
【表3】 培地2.CMC 1% ポリペプトン 1% 酵母エキス 0.5% KH2PO4 0.1% Na2HPO4・12H2O 0.25% MgSO4・7H2O 0.02% pH6.8
【0048】参考例1 実施例1で得たバチルス エスピー KSM−597を
実施例1の液体培地2に接種し、30℃で3日間振とう
培養した。培養後、菌体を遠心分離して除き、粗酵素液
を得た。この粗酵素液1lに対して、ドライアイス−エ
タノール中で3lのエタノールを加え、生じた沈澱を遠
心分離し更に凍結乾燥を行い乾燥粉末としてセルラーゼ
K−597 10g(比活性8単位/g;pH9に於ける
測定値以下同じ)を得た。
実施例1の液体培地2に接種し、30℃で3日間振とう
培養した。培養後、菌体を遠心分離して除き、粗酵素液
を得た。この粗酵素液1lに対して、ドライアイス−エ
タノール中で3lのエタノールを加え、生じた沈澱を遠
心分離し更に凍結乾燥を行い乾燥粉末としてセルラーゼ
K−597 10g(比活性8単位/g;pH9に於ける
測定値以下同じ)を得た。
【0049】参考例2 液体培地2においてCMCを1%ショ糖に、ポリペプト
ンを7%CSL(コーン・スチープ・リカー)に代えた
培地を用い、参考例1に準じて30℃で3日間振とう培
養した。得られた培養液の遠心分離上清についてそのC
MCアーゼ活性を測定したところ300単位/lであっ
た。
ンを7%CSL(コーン・スチープ・リカー)に代えた
培地を用い、参考例1に準じて30℃で3日間振とう培
養した。得られた培養液の遠心分離上清についてそのC
MCアーゼ活性を測定したところ300単位/lであっ
た。
【図1】酵素反応pHと相対活性の関係を示す図面であ
る。
る。
【図2】酵素処理pHと相対活性の関係を示す図面であ
る。
る。
【図3】酵素反応温度と相対活性の関係を示す図面であ
る。
る。
【図4】酵素処理温度と相対活性の関係を示す図面であ
る。
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:07) C12R 1:07)
Claims (1)
- 【請求項1】 アルカリ耐性セルラーゼK−597を生
産する能力を有し、微工研菌寄第9573号として寄託
されたバチルス エスピー(Bacillus s
p.)KSM−597。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23580194A JP2509538B2 (ja) | 1994-09-30 | 1994-09-30 | アルカリ耐性セルラ―ゼを産生する微生物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23580194A JP2509538B2 (ja) | 1994-09-30 | 1994-09-30 | アルカリ耐性セルラ―ゼを産生する微生物 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26998987A Division JPH0732709B2 (ja) | 1986-12-05 | 1987-10-26 | アルカリ耐性セルラーゼ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07255468A JPH07255468A (ja) | 1995-10-09 |
JP2509538B2 true JP2509538B2 (ja) | 1996-06-19 |
Family
ID=16991462
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23580194A Expired - Fee Related JP2509538B2 (ja) | 1994-09-30 | 1994-09-30 | アルカリ耐性セルラ―ゼを産生する微生物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2509538B2 (ja) |
-
1994
- 1994-09-30 JP JP23580194A patent/JP2509538B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07255468A (ja) | 1995-10-09 |
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Legal Events
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