JPH0636738B2 - アルカリセルラーゼ、これを産生する微生物及ぎアルカリセルラーゼの製造法 - Google Patents

アルカリセルラーゼ、これを産生する微生物及ぎアルカリセルラーゼの製造法

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JPH0636738B2
JPH0636738B2 JP14064289A JP14064289A JPH0636738B2 JP H0636738 B2 JPH0636738 B2 JP H0636738B2 JP 14064289 A JP14064289 A JP 14064289A JP 14064289 A JP14064289 A JP 14064289A JP H0636738 B2 JPH0636738 B2 JP H0636738B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規なアルカリセルラーゼ、これを産生する微
生物、及び該アルカリセルラーゼの製造法に関する。
〔従来の技術〕
従来、繊維素分解酵素セルラーゼの開発は、バイオマス
資源(特にセルロース資源)の有効利用を一大目標とし
て、進められてきており、多くの場合、カビ類にその供
給源を求めてきている。セルラーゼ生産菌として分離さ
れて来た菌株は、多種類にわたり、アスペルギルス属、
ペニシリウム属、トリコデルマ属、フザリウム属、フミ
コーラ属、アクレモニウム属等の糸状菌(カビ)を中心
に、シュウドモナス属、セルロモナス属、ルミノコッカ
ス属、バチルス属等の細菌、更に、ストレプトマイセス
属、サーモアクチノマイセス属等の放線菌でも報告され
ている。
一方、セルラーゼの新規な産業的用途として、衣料用洗
浄剤の配合成分としての利用が検討され注目を集めてい
る(特公昭59-49279号公報、特公昭60-23158号公報、特
公昭60-36240号公報)。しかし、自然界に於いて、微生
物の産生するセルラーゼのほとんどが、中性乃至酸性領
域に於いて最大且つ安定な酵素活性を示す、所謂中性若
しくは酸性セルラーゼに分類されるものであって、衣料
用洗浄剤組成物中に配合するための条件を有するセルラ
ーゼ、すなわち、アルカリ領域で最大活性を示す所謂ア
ルカリセルラーゼの存在は極めて少ないのが実情であ
る。尚、ここで言うアルカリセルラーゼとは至適pHがア
ルカリ領域にあるものを言う。
すなわち、従来、衣料用洗浄剤組成物において使用し得
るアルカリセルラーゼの生産方法としては、好アルカリ
性バチルス属細菌の培養によりセルラーゼAを採取する
方法(特公昭50-28515号公報)、セルロモナス属に属す
る好アルカリ性細菌を培養してアルカリセルラーゼ301-
Aを生産する方法(特開昭58-224686号公報)、好アルカ
リ性バチルスNO.1139を培養してカルボキシメチルセル
ラーゼを生産する方法(Fukumori,F.,Kudo,T.and Horiko
shi,K.,J.Gen.Microbiol.,131,3339,(1985))及びストレ
プトマイセス属の一種を用いてアルカリセルラーゼを生
産する方法(特開昭61-19483号公報)が報告されている
に過ぎず、しかもいずれも工業的発酵生産に適うもので
は無かった。
ところが、最近、好アルカリ性細菌の一種であるバチル
ス・エスピー(Bacillus sp.)KSM-635(FERM BP-1485)
(特開昭63-109771号公報)が、衣料用洗浄剤組成物と
して適したアルカリセルラーゼK(特開昭63-109776号
公報)を高生産することが見出され、アルカリセルラー
ゼの工業的発酵生産が行われるに至っている。更に好ア
ルカリ性菌によらずとも、培養が容易な中性細菌によっ
てもアルカリセルラーゼ(特開昭63-137677,240785,240
777,240786号公報、特開昭64-37285号公報、S.Kawai et
al.,Agric.Biol.Chem.,52,1425(1988))及びアルカリ領
域においても高活性を維持し得るアルカリ耐性セルラー
ゼ(特開昭63-141586,146786,273474,273475,279790号
公報、特開昭64-37286号公報)を生産し得ることも見出
されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、工業的発酵生産に適うアルカリセルラー
ゼの例は現在までのところ上記の例のみであり、更に様
々な特色を有するアルカリセルラーゼ及びその生産菌の
開発が望まれていた。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は、アルカリセルラーゼを生産する微生物を自
然界に求め、鋭意探索を続けて来たが、今般、栃木県那
須郡の土壌より採取したバチルス属に属する微生物が、
衣料用洗浄剤組成物の添加成分として有効な新規なアル
カリセルラーゼを生産することを見出し、本発明を完成
した。
したがって、本発明は新規なアルカリセルラーゼK-64、
これを産生する微生物(バチルス・エスピー KSM-64)
及び該アルカリセルラーゼの製造法を提供するものであ
る。
本発明のアルカリセルラーゼを生産する上記微生物は、
次のような菌学的性状を示す。なお、以下において菌株
の分類に用いた培地は次の培地1〜21の21種類であ
り、これらは何れも別途滅菌した炭酸ナトリウム(Na2CO
3)を1.0重量%(以下、単に%という)含有する。
使用した培地の組成(表示は%): 培地1.ニュートリエントブロス,0.8;バクト寒天,
1.5 培地2.ニュートリエントブロス,0.8 培地3.ニュートリエントブロス,0.8;ゼラチン,20.
0; バクト寒天,1.5 培地4.バクトリトマスミルク,10.5 培地5.ニュートリエントブロス,0.8;KNO3,0.1 培地6.バクトペプトン,0.7;NaC,0.5;ブドウ
糖,0.5; 培地7.SIM寒天培地,指示量 培地8.TSI寒天培地(栄研化学製),指示量 培地9.バクトペプトン,1.5;酵母エキス,0.5;可溶
性澱粉,2.0;K2HPO4,0.1;MgSO4・7H2O,0.02;バクト寒
天,1.5 培地10.Koser培地,指示量 培地11.Christensen培地(栄研化学製),指示量 培地12.酵母エキス,0.05;Na2SO4,0.1;KH2PO4,0.
1;ブドウ糖,1.0 酵母エキス,0.05;Na2SO4,0.1;KH2PO4,0.1;ブドウ
糖,1.0;CaC・2H2O,0.05;MnSO4・4〜6H2O,0.0
1;FeSO4・7H2O,0.001;MgSO4・7H2O,0.02 窒素源は、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、塩化ア
ンモニウム及びリン酸アンモニウムを総窒素含量として
0.0412N%となる様に上記及びの培地に加えて用い
た。
培地13.キングA培地“栄研”(栄研化学製),指示量 培地14.キングB培地“栄研”(栄研化学製),指示量 培地15.尿素培地“栄研”(栄研化学製),指示量 培地16.チトクローム・オキシダーゼ試験用濾紙(日水
製薬製) 培地17.3%過酸化水素水 培地18.バクトペプトン,0.5;酵母エキス,0.5;K2HPO
4,0.1;ブドウ糖,1.0;MgSO4・7H2O,0.02 培地19.バクトペプトン,2.7;NaC,5.5;ブドウ
糖,0.5;K2HPO4,0.3;ブロムチモールブルー,0.06;
バクト寒天,1.5 培地20.(NH4)2HPO4,0.1;KC,0.02;MgSO4・7H2O,0.
02;酵母エキス,0.05;糖,1.0 培地21.カゼイン,0.5;バクト寒天,1.5;酵母エキ
ス,0.5;ブドウ糖,1.0;K2HPO4,0.1;MgSO4・7H2O,0.0
2 (菌学的性質) (a) 顕微鏡的観察結果 菌体の大きさは、0.5〜1.2μm×1.2〜6.6μmの桿菌で
あり、菌体の準端に楕円形の内生胞子(0.7〜1.0μm×
1.5〜2.5μm)を作る。周鞭毛を有し運動性がある。グ
ラム染色は陽性。
(b) 各種培地に於ける生育状態 肉汁寒天平板培養(培地1) 生育状態は良好。集落の形状は円形であり、表面は円
滑、周縁も円滑である。又集落の色調は乳白色で光沢が
ある。
肉汁液体培養(培地2) 生育良好。
肉汁ゼラチン穿刺培養(培地3) 生育状態は良好。ゼラチンの液化が認められた。
リトマスミルク培地(培地4) ミルクの凝固、ペプトン化は認められない。又、リトマ
スの変色は培地がアルカリ性のため判定できない。
(c) 生理学的性質 硝酸塩の還元及び脱窒反応(培地5) 硝酸塩の還元は陽性。脱窒反応は陰性。
MRテスト(培地6) 陰性、陽性は判定できない。
VPテスト(培地6) 陽性。
インドールの生成(培地7) 陰性。
硫化水素の生成(培地8) 陰性。
澱粉の加水分解(培地9) 陽性。
クエン酸の利用(培地10,11) コーサ培地で陽性。クリステンセン培地では、陰性、陽
性は判定できない。
無機窒素源の利用(培地12) 硝酸塩、アンモニウム塩ともに利用する。
色素の生成(培地13,14) キングB培地で黄色色素を生成する。
ウレアーゼ(培地15) 陰性。
オキシダーゼ(培地16) 陽性。
カタラーゼ(培地17) 陽性。
生育の範囲(培地18) 生育の温度範囲は、20〜40℃、生育最適温度範囲は
30〜37℃。生育のpH範囲は、pH7〜11、生育最適
pHはpH10.5であった。
酸素に対する態度 好気性。
O−Fテスト(培地19) アルカリ性のため、変色は判定できない。好気状態での
み生育する。
糖の利用性(培地20,+:生育する、−:生育せ
ず) 1.L−アラビノース + 2.D−キシロース + 3.D−グルコース + 4.D−マンノース + 5.D−フラクトース + 6.D−ガラクトース + 7.麦芽糖 + 8.ショ糖 + 9.乳糖 + 10.トレハロース + 11.D−ソルビット − 12.D−マンニット + 13.ノイシット + 14.グリセリン + 15.デンプン + 食塩含有培地に於ける生育(培地1を改変) 食塩濃度が7%で生育良好。
10%で生育せず。
カゼインの分解(培地21) 陽性。
G+C含量(Tm法) 本発明にかかる菌のDNAのG+C含量は、約37.7mol%で
ある。
以上の菌学的性質に関する検討に基づき、バージーズ・
マニュアル・オブ・システィマティック・バクテリオロ
ジー(Bergey's Mannual of Systematic Bacteriology)
第2巻およびザ・ジーナス・バチルス(“The Genus Ba
cillus”Ruth,E.Gordon,Agriculture Handbook NO.427,
Agricultural Research Service,U.S.Department of Ag
riculture Washington D.C.,(1973))を参照し、比較検
索した結果、本菌株は有胞子桿菌であるバチルス(Bacil
lus)属の一種であると認められる。しかし、本菌株は中
性領域では生育できず、専らアルカリ領域で良好な生育
を示すことから、最近、HorikoshiとAkiba(“Alkaloph
ilic Microorganism”,Japan Scientific Society Pre
ss(Tokyo),1982年刊)の主張している、所謂好アルカリ
性(Alkalophilic)細菌に属し、従来の中性で生育するバ
チルス属細菌とは区別される。
そして、本菌株の上記菌学的性質は、公知の好アルカリ
性バチルスのいずれとも一致しないので、これを新規菌
株と判断して、バチルス・エスピーKSM-64と命名し、工
業技術院微生物工業技術研究所に、微工研菌寄第10482
号(FERM P-10482)として寄託した。
本発明アルカリセルラーゼを製造するには、例えばCMC
アーゼ活性を測定してアルカリセルラーゼ生産菌を選択
し、これを培養し、その培養物から該アルカリセルラー
ゼを取得する方法が挙げられる。
更に本発明のアルカリセルラーゼは、例えば、上記の好
アルカリ性バチルス・エスピーKSM-64(FERM P-10482)及
びこれにより誘導された高力価の当該酵素生産性を有す
る各種突然変異株を用いる発酵法により製造することが
できる。
上記の菌株を用いて本発明のアルカリセルラーゼを得る
には、適当な培地に該菌株を接種し、常法に従って培養
すれば良い。培養培地としては、資化し得る窒素源と炭
素源を適宜組み合わせて含有せしめたものが使用され
る。この炭素源及び窒素源については、特に制限はな
い。例えば、窒素源としては、硝安、硫安、塩安、リン
酸アンモニウム、硝酸ソーダ、コーングルテンミール、
大豆粉、コーンスチープリカー、カザミノ酸、酵母エキ
ス、ファーマメディア、イワシミール、肉エキス、ペプ
トン、ハイプロ、アジパワー、コーンソイビーンミー
ル、コーヒー粕、綿実油粕、カルチベーター、アジプロ
ン、ゼストなどが;また、炭素源としては、籾殻、麸、
濾紙、一般紙類、おが屑等の植物繊維質、廃糖蜜、転化
糖、CMC、アビセル、セルロース綿、キシラン、ペクチ
ン、リボース、アラビノース、キシロース、グルコー
ス、マンノース、フラクトース、ガラクトース、麦芽
糖、蔗糖、乳糖、トレハロース、マンニット、イノシッ
ト、グリセリン、澱粉、酢酸、クエン酸などが挙げられ
る。その他に、リン酸、Mg2+,Ca2+,Mn2+,Zn2+,Co2+,N
a+,K+などの無機塩や、必要であれば、無機、有機微量
栄養源を添加することもできる。
斯くして得られた培養物からの目的物質であるアルカリ
セルラーゼの採取及び精製は、一般の酵素の採取及び精
製の手段に準じて行うことができる。即ち、遠心分離又
は濾過等の通常の固液分離手段により菌体を培養物から
除去して粗酵素液を得ることができる。この粗酵素液
は、そのまま使用することもできるが、必要に応じて塩
析法、沈澱法、限外濾過法等の分離手段により粗酵素を
得、さらに公知の方法により精製結晶化して、精製酵素
として使用することも可能である。
次に、斯くして得られる本発明の新規酵素、アルカリセ
ルラーゼK-64の酵素学的性質について説明する。
なお酵素活性の測定は、以下の方法に従って行った。
(1) CMCアーゼ活性 2.5%CMC(サンローズA01L、山陽国策パルプ社製)0.4
m、500mM グリシン緩衝液(pH9)0.2m、及
び脱イオン水0.3mからなる基質溶液に酵素液0.1m
を加え、30℃で、20分間反応させた。反応後、3,5−
ジニトロ−サリチル酸(3,5-dinitro-salicylic acid(DN
S))法にて、還元糖の定量を行った。即ち、反応液1.0m
にDNS試薬1.0mを加え、5分間、100℃で加熱発
色させ、冷却後、4.0mの脱イオン水を加えて希釈
し、波長535nmで比色定量した。酵素の力価は、1分
間に1μmolのグルコースに相当する還元糖を生成す
る酵素量を1単位とした。
尚、用いた緩衝液は、次の通りである。
pH3〜8 マクイルバイン緩衝液 pH8〜11 グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液 pH12〜13 塩化カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液 (2) p−ニトロフェニルグルコシド及びp−ニトロフ
ェニルセロビオシド分解活性 0.8μmol p−ニトロフェニルセロビオシド(シグ
マ社製)又はp−ニトロフェニルグルコシド(シグマ社
製)と50μmolリン酸緩衝液(pH7.0)又は100
μmolグリシン緩衝液(pH9)とを含有する反応液1.
0m中に適当量の酵素液を30℃で作用させた後、1
M Na2CO3を0.4m加え、遊離するp−ニトロフェノ
ールを410nmで比色定量した。酵素力価は、1分間に
1μmolのp−ニトロフェノールを遊離させる酵素量
を1単位とした。
(3) アビセル、セルロース粉末、リン酸膨潤セルロー
ス及び濾紙分解活性 10mgアビセル(メルク社)及び100μmolグリシ
ン緩衝液(pH9)を含有する反応液1.0m中に適当量
の酵素を加え、30℃で280rpmで振盪しながら反応
させた。反応後、DNS法にて還元糖の定量を行った。酵
素力価は、1分間に1μmolのグルコースに相当する
還元糖を生成する酵素量を1単位とした。
その他の活性も、上記の方法に準じて行った。基質とし
ては、東洋濾紙社製のセルロース粉末、セルラーゼ活性
検定用濾紙(東洋NO.51−特)及び、富田等の方法(To
mita,Y.et al.;J.Ferment.Technol.,52,235,1974)に従
って処理したアルカリ膨潤セルロース、リン酸膨潤セル
ロースを使用した。
(4) β−1,3−;1,4−グルカナーゼ活性、β−1,3−グ
ルカナーゼ活性 β−1,3−;1,4−グルカナーゼ、β−1,3−グルカナー
ゼ活性は、基質としてリケナン(from Usnera barubata,
シグマ社製)及びラミナリン(from Laminaria digitat
a,シグマ社製)を用いて、(3)に準じて活性を測定し
た。
(酵素学的性質) (1) 作用 CMC、セルロース粉末、アビセル等の繊維素によく作用
し、これらを溶解せしめ、還元糖を生成する。
(2) 素質特異性 本酵素の基質特異性の一例を第1表に示した。本酵素
は、CMCの他にも、β−1,3−;1,4−グルカンであるリ
ケナンに非常に高い水解活性を有し、β−1,3−グルカ
ンであるラミナリンにも作用した。また、濾紙、p−ニ
トロフェニルグルコシド及びp−ニトロフェニルセロビ
オシドに対して若干の活性を有していた。
(3) 作用pH及び至適pH CMCに対する作用pH範囲は、3〜13.0と広範囲であり、
至適作用pHは、8.5〜10である。また、7.0〜12.0の範
囲に於いても至適pHにおける活性の50%以上の相対活
性を有する(第1図)。
(4) pH安定性 それぞれのpHで30℃、1時間保持した後の残存活性を
測定し、pH安定性を調べた。その結果、pH5.0〜10.5の
範囲で極めて安定であり、pH3.0〜11に於いても約5
0%以上の活性を維持する(第2図)。
(5) 作用温度及び至適温度 本酵素は、10〜70℃の広範囲で作用し、その至適温
度は、50℃である。又、35〜60℃の範囲に於いて
も至適温度での活性の50%以上を有する(第3図)。
(6) 温度安定性 グリシンーNaOH緩衝液(pH9.0)中で、各温度で10分
間加熱処理後の残存活性を測定した結果、本酵素は、5
0℃でもほとんど失活せず、55℃に於いても約50%
の残存活性を有していた(第4図)。
(7) 分子量 本酵素は、バイオゲルA0.5m(バイオラッド社製)を
用いたゲル濾過法によれば、約18±1万及び8.0±0.2
万にCMCを基質とした活性ピークを有する。
(8) 金属イオンの影響 各種金属イオン(Na+,K+,Ca2+,Cu2+,Co2+,Cd2+,Mn2+,Mg
2+,Ba2+,Ni2+,Hg2+,Fe2+,Pb2+,Zn2+,A3+,Fe3+)を
活性測定時に共存させてその影響を検討した結果、Hg2+
(1mM)の添加は、阻害効果を与え、Co2+、Mn2+(1mM)の添
加は、活性化効果を与えた。
(9) 界面活性剤の影響 本酵素は、0.05%の各種界面活性剤(例えば、LAS、AS、E
S、AOS、α−SFE、SAS、石鹸、ポリオキシエチレンセカン
ダリーアルキルエーテル、SDS)の酵素活性の阻害は認
められなかった。
(10) プロテアーゼの影響 洗剤用プロテアーゼ、例えば、API-21(昭和電工)、マ
クサターゼ(IBIS)、サビナーゼ、アルカラーゼ、エスペ
ラーゼ(ノボ)を活性測定時に共存(0.2AU/)させ、
その影響を調べたところ、何れのプロテアーゼに対して
も強い耐性を有することが判った。
(11) キレート剤の影響 キレート剤であるEDTA、EGTA、トリポリリン酸ソーダ、
ゼオライト、クエン酸を活性測定時に共存させ、その影
響を検討したが、阻害は、認められなかった。
〔発明の効果〕
本発明のアルカリセルラーゼK-64は、至適pHが8.5〜1
0であり、pH7.0〜12.0の範囲のおいても至適pHにおけ
る活性の50%以上の相対活性を有し、pH5.0〜10.5の
範囲において極めて安定である。更に界面活性剤、プロ
テアーゼ、キレート剤等の洗浄剤配合成分によっても殆
ど阻害を受けず、洗浄剤組成物の配合成分として有利に
使用できるものである。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げ本発明を更に詳しく説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 栃木県那須郡の土壌を薬匙一杯(約0.5g)をとり、滅
菌生理食塩水に懸濁し、80℃で10分間熱処理した。
この熱処理液の上清を適当に希釈して、分離用寒天培地
(培地A)に塗布した。次いで、これを30℃にて3日
間培養し、集落を形成させた。集落の周囲にCMCの溶解
に基づく透明帯を形成するものを選出し、CMCアーゼ生
産菌を取得した。更に、取得菌を培地Bの液体培地に接
種し、30℃で3日間振盪培養した。培養後、遠心分離
した上清液について、CMCアーゼ活性をpH3〜13にて
測定し、アルカリセルラーゼ生産菌を選択した。
上述の方法により本発明のKSM-64菌(FERM P-10482)を取
得することができた。
実施例2 実施例1で得たバチルス・エスピーKSM-64菌を実施例1
の液体培地Bに接種し、30℃で3日間振盪培養した。
培養後、菌体を遠心分離して除き、粗酵素液とした。更
に、通常の方法に従って、エタノール乾燥粉末とし、セ
ルラーゼ酵素標品(第2表)を得ることが出来た。
実施例3 実施例1の液体培地Bに於いて、CMCに代えてセロビオ
ースを1%。ポリペプトンに代えてCSLを5%添加した
培地に、KSM-64菌を接種し、30℃で2乃至3日間振盪
培養した。遠心分離上清についてCMCアーゼ活性を測定
した結果、3000U/のCMCアーゼ活性が得られた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のアルカリセルラーゼのCMCに対する
反応pHと相対活性との関係を示す図面、第2図は、CMC
に対する処理pHと残存活性との関係を示す図面、第3図
は、本発明アルカリセルラーゼの反応温度と相対活性と
の関係を示す図面、第4図は、処理温度と残存活性との
関係を示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:07) (72)発明者 川合 修次 栃木県宇都宮市竹林町308 (72)発明者 伊藤 進 栃木県宇都宮市東峰町3441―64

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の物理化学的性質を有するアルカリセル
    ラーゼK-64。 (1)作用 カルボキシメチルセルロース(CMC)、セルロース、濾
    紙、アビセル等の繊維素によく作用し、これらを溶解せ
    しめ、還元糖を生成する。 (2)基質特異性 CMCの他にも、セルロース粉末、リン酸膨潤セルロー
    ス、アビセル、濾紙、p−ニトロフェニルグルコシド及
    びp−ニトロフェニルセロビオシドに対する活性を有す
    る。 (3)作用pH及び至適pH CMCに対する作用pH範囲は、3〜13.0である。至適pH
    は、8.5〜10.0であり、7.0〜12.0の範囲においても至適
    pHに於ける活性の50%以上の相対活性を有する。 (4)pH安定性 CMCを基質とした場合、pH5〜10.5で極めて安定で失活
    せず、pH3〜11においても、約50%以上の活性を維持す
    る。 (5)最適温度 CMCに対する作用温度は、10〜70℃の広範囲にわたり、
    その至適温度は、50℃である。又、35〜60℃の範囲に於
    いても、至適温度での活性の50%以上を有する。 (6)分子量 約18±1万及び8.0±0.2万に活性のピークを有する(バ
    イオゲルA0.5mを用いたゲル濾過法による。) (7)金属イオンの影響 CMCを基質とした場合、Hg2+により阻害され、Co2+、Mn
    2+により活性化される。 (8)界面活性剤の影響 CMCを基質とした場合、直鎖アルキルベンゼンスルホン
    酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルス
    ルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、2−スルホ
    脂肪酸塩、二級アルカンスルホン酸塩、ドデシルスルホ
    ン酸塩、石鹸、ポリオキシエチレンセカンダリーアルキ
    ルエーテルは活性を殆ど阻害しない。 (9)プロテアーゼの影響 CMCを基質とした場合、プロテアーゼに対して耐性を有
    する。 (10)キレート剤の影響 CMCを基質とした場合、EDTA、EGTA、クエン酸、トリポ
    リリン酸ソーダ、ゼオライトは活性を阻害しない。
  2. 【請求項2】アルカリ培地で生育し、請求項1記載のア
    ルカリセルラーゼK−64を生産する能力を有し、微工
    研菌寄第10482号として寄託されたバチルス・エスピー
    KSM−64。
  3. 【請求項3】バチルス属に属するアルカリセルラーゼK
    −64生産菌を培養し、その培養物から請求項1記載の
    アルカリセルラーゼK−64を取得することを特徴とす
    るアルカリセルラーゼK−64の製造法。
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