JPH07100027B2 - アルカリセルラーゼを産生する微生物 - Google Patents

アルカリセルラーゼを産生する微生物

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JPH07100027B2
JPH07100027B2 JP490294A JP490294A JPH07100027B2 JP H07100027 B2 JPH07100027 B2 JP H07100027B2 JP 490294 A JP490294 A JP 490294A JP 490294 A JP490294 A JP 490294A JP H07100027 B2 JPH07100027 B2 JP H07100027B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なアルカリセルラー
ゼを産生する微生物に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維素分解酵素セルラーゼの開発は、従
来、バイオマス資源、特にセルロース資源の有効利用を
一大目標として進められてきた。セルラーゼ生産菌とし
て分離されて来た菌株は多種類にわたり、アスペルギル
ス属、ペニシリウム属、トリコデルマ属、フザリウム
属、フミコーラ属、アクレモニウム属等の糸状菌を中心
に、シュウドモナス属、セルロモナス属、ルミノコッカ
ス属、バチルス属等の細菌、更に、ストレプトマイセス
属、サーモアクチノマイセス属等の放線菌でも報告され
ている。しかしながら、現時点では、バイオマス用セル
ラーゼの工業的規模での利用は、多くはない。
【0003】一方、セルラーゼの新規な産業的用途とし
て、衣料用洗浄剤の配合成分としての利用が検討され注
目を集めている(特公昭59−49279号公報、特公
昭60−23158号公報、特公昭60−36240号
公報)。しかし、自然界に於いて、微生物の産生するセ
ルラーゼのほとんどが、中性乃至酸性領域に於いて最大
且つ安定な酵素活性を示す、所謂中性若しくは酸性セル
ラーゼに分類されるものであって、衣料用洗浄剤組成物
中に配合するための条件を有するセルラーゼ、すなわ
ち、アルカリ領域で最大活性を示すか、あるいはアルカ
リ耐性を有する、所謂アルカリセルラーゼ及びアルカリ
耐性セルラーゼの存在は、極めて少ないのが実情であ
る。ここでアルカリセルラーゼとは、至適pHがアルカリ
領域にあるものを言い、アルカリ耐性セルラーゼとは、
至適pHが中性から酸性領域にあるが、アルカリ領域に於
いても至適pHに於ける活性に比較して十分に活性を有し
かつ安定性を保持するものを言う。また、中性とはpH6
〜8の範囲を言い、アルカリ性とはこれより高いpH範囲
をいう。
【0004】すなわち、従来、衣料用洗浄剤組成物にお
いて使用し得るアルカリセルラーゼ及びアルカリ耐性セ
ルラーゼの生産方法としては、好アルカリ性バチルス属
細菌の培養によりセルラーゼAを採取する方法(特公昭
50−28515号公報)、セルロモナス属に属する好
アルカリ性細菌を培養してアルカリセルラーゼ301−
Aを生産する方法(特開昭58−224686号公
報)、好アルカリ性バチルスNo.1139を培養してカ
ルボキシメチルセルラーゼを生産する方法(Fukum
ori,F.,Kudo,T.and Horikos
hi,K.,J.Gen.Microbiol.,13
1,3339,(1985))及びストレプトマイセス
属の一種を用いてアルカリセルラーゼを生産する方法
(特開昭61−19483号公報)が報告されているに
過ぎず、しかもいずれも工業的発酵生産に適うものでは
無かった。
【0005】ところが最近、本発明者らは好アルカリ性
細菌の一種であるバチルス エスピーKSM−635
(Bacillus sp.KSM−635)(FER
M P−8872)が衣料用洗浄剤配合成分として適し
たアルカリセルラーゼKを収率良く生産すること及び更
に培養条件を選択することにより、より生産性が高ま
り、アルカリセルラーゼの工業的発酵生産が可能となる
ことを見出した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記バ
チルス エスピーKSM−635の培養条件は、必ずし
も工業的に有利なものとは言えない。すなわち、好アル
カリ性菌株は培養中、pHをアルカリ性に保ち続ける必要
があるが、現在までのところ、好アルカリ性菌株を用い
る所謂アルカリ性発酵法の歴史は浅く、通常の中性微生
物と比較するとこれら好アルカリ性微生物の生理、生化
学についての知見は充分に蓄積されておらず、工業的発
酵生産を行うにあたっての培地調製、培養方法が操作上
の難点となっていた。
【0007】更に、前述した報告例のうち、至適pHがア
ルカリ領域にある本来のアルカリセルラーゼとしては、
バチルス N1菌株、N2菌株、N3菌株(特公昭50
−28515号公報)の生産する、至適pHがそれぞれ8
〜9、9、8〜9の酵素、バチルス No. 1139の産
生する、至適pH9のもの及びバチルス エスピーKSM
−635の産生する至適pH10のアルカリセルラーゼ
(特願昭61−257776号)が存在するが、更に洗
浄剤組成物に配合し用いることのできる至適pHがアルカ
リ側にあり、かつその作用pH範囲の広いアルカリセルラ
ーゼの提供が求められていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】斯る実情において本発明
者らは中性培地で生育し、しかも作用の優れたアルカリ
セルラーゼを産生することのできる菌株を得るべく種々
研究を行った。
【0009】かかる問題点を解決するには、中性領域で
生育する菌株を宿主として、該当するセルラーゼ遺伝子
をクローニングする、所謂遺伝子組換えの手法を取るこ
とも可能であるが、アルカリ領域に至適pHを有するアル
カリセルラーゼを生産する中性微生物を自然界に探索
し、これを分離することがより有効である。しかして、
本発明者らは上記微生物を自然界に求めた結果、栃木県
芳賀郡の土壌より分離した微生物は、上記要望を満すも
のであることを見出し、本発明を完成した。
【0010】本発明の菌株は、下に示すような菌学的性
質を示す。なお、菌株の分類には、次に示す1〜25の
培地を用いた。(表示は、重量%)
【0011】培地 1.肉エキス、1.0;バクトペプ
トン、1.0;NaCl、0.5;バクト寒天、1.5
(pH7.2) 培地 2.肉エキス、1.0;バクトペプトン、1.
0;NaCl、0.5;(pH7.2) 培地 3.肉エキス、1.0;バクトペプトン、1.
0;NaCl、0.5;ゼラチン、1.0(pH7.2) 培地 4.バクトリトマスミルク、10.0 培地 5.バクトペプトン、1.0;KNO3、0.1 培地 6.バクトペプトン、1.0;KaNO3、1.
0 培地 7.バクトペプトン、0.7;NaCl、0.
5;ブドウ糖、0.5(pH7.0) 培地 8.バクトペプトン、1.0 培地 9.TSI寒天(栄研化学製):指示量 培地10.肉エキス、1.0;バクトペプトン、1.
0;NaCl、0.5;可溶性澱粉、0.2;寒天、
1.5
【0012】培地11.NaNH4HPO4・4H2O、
0.15;KH2PO4、0.1;MgSO4・7H2O、
0.02:クエン酸ナトリウム、0.25(pH6.8) 培地12.クリステンセン(Christensen)
培地(栄研化学製):指示量 培地13.ブドウ糖、1.0;KH2PO4、0.1;M
gSO4・7H2O、0.05;KCl、0.02;窒素
源、0.1(pH7.2) 窒素源は、硝酸ナトリウム及び硫酸アンモニウムを用い
た。
【0013】培地14.キングA培地“栄研”(栄研化
学製):指示量 培地15.キングB培地“栄研”(栄研化学製):指示
量 培地16.尿素培地“栄研”(栄研化学製):指示量 培地17.チトクローム・オキシダーゼ試験用濾紙(日
水製薬製)
【0014】培地18.3%過酸化水素水 培地19.OF基礎培地(Difco社製):指示量 培地20.(NH42HPO4、0.1;KCl、0.
02;MgSO4・7H2O、0.02;酵母エキス、
0.02;バクト寒天、2.0;BCP(0.2%溶
液)、0.4
【0015】培地21.バクト・サブロー・デキストロ
ース寒天培地(Difco社製):指示量 培地22.肉エキス、0.3;バクトペプトン、0.
5;酵母エキス、1.0;グリセリン、2.0 培地23.フェニルアラニンマロン酸塩培地(日水製薬
社製):指示量
【0016】培地24.スキムミルク、5.0;バクト
寒天、1.5 培地25.肉エキス、0.3;バクトペプトン、0.
5;L−チロシン、0.5;バクト寒天、1.5
【0017】(菌学的性質) (a)顕微鏡的観察結果 菌体の大きさは、0.4〜0.8μm×1.5〜4.0
μmの桿菌であり、菌体の一端に楕円形の内生胞子
(0.8〜1.2μm×1.2〜1.5μm)を作る。
周鞭毛を有し運動性がある。グラム染色は不定。抗酸性
はない。
【0018】(b)各種培地に於ける生育状態 (1)肉汁寒天平板培養(培地1) 生育状態は弱い。集落の形状は円形であり、表面は円
滑、周縁も円滑である。又集落の色調は白色半透明で光
沢がある。
【0019】(2)肉汁寒天斜面培養(培地1) 生育は弱く、その状態は拡布状で光沢が有り、白色半透
明である。
【0020】(3)肉汁液体培養(培地2) 生育し、混濁する。
【0021】(4)肉汁ゼラチン穿刺培養(培地3) 生育するが、その状態は弱く、ゼラチンの液化は認めら
れない。
【0022】(5)リトマスミルク培地(培地4) ミルクの凝固、液化は認められない。又、リトマスの変
色も認められなかった。
【0023】(c)生理学的性質 (1)硝酸塩の還元及び脱窒反応(培地5、6) 共に、陰性。 (2)MRテスト(培地7) 陰性、陽性は、はっきりせず(pH5.2)。 (3)VPテスト(培地7) 陰性(pH5.2)。 (4)インドールの生成(培地8) 陰性。
【0024】(5)硫化水素の生成(培地9) 陰性。 (6)澱粉の加水分解(培地10) 陽性。 (7)クエン酸の利用(培地11、12) コーサ培地及びクリステンセン培地で、ともに陰性。 (8)無機窒素源の利用(培地13) 硝酸塩、アンモニウム塩ともに陰性。 (9)色素の生成(培地14、15) 陰性。 (10)ウレアーゼ(培地16) 陰性。
【0025】(11)オキシダーゼ(培地17) 陽性。 (12)カタラーゼ(培地18) 陽性。 (13)生育の範囲(培地2) 生育の温度範囲は15〜37℃、生育最適温度範囲は2
5〜30℃。生育のpH範囲はpH5〜10、生育最適pH範
囲はpH6〜9であった。 (14)酸素に対する態度 通性嫌気性。
【0026】(15)O−Fテスト(培地19) 生育するが、好気嫌気共に生育悪し。 (16)糖の利用性(+:利用する、−:利用しない)
【0027】
【表1】 1.L−アラビノース + 2.D−キシロース + 3.D−グルコース + 4.D−マンノース + 5.フラクトース + 6.D−ガラクトース + 7.麦芽糖 + 8.ショ糖 + 9.乳糖 + 10.トレハロース + 11.D−ソルビット ± 12.D−マンニット + 13.イノシット − 14.グリセリン ± 15.デンプン +
【0028】(17)VP培地に於けるpH(培地7) pH5.2 (18)食塩含有培地に於ける生育(培地1を改変) 5%で生育せず。7%で生育せず。10%で生育せず。
【0029】(19)pH5.7に於ける生育(培地2
1) 生育せず。 (20)ジハイドロキシアセトンの生成(培地22) 陰性、陽性は、はっきりせず。 (21)フェニルアラニンの脱アミノ化(培地23) 陰性。
【0030】(22)カゼインの分解(培地24) 陰性。 (23)チロシンの分解(培地25) 陰性。
【0031】以上の菌学的性質について、バージーズ・
マニュアル・オブ・デイタミネイティブ・バクテリオロ
ジー(Bergey’s Mannual of De
terminative Bacteriolog
y)、第8版及びザ・ジーナス・バチルス(“The
Genus Bacillus”,Ruth,E.Go
rdon著 Agriculture Handboo
k No. 427,Agricultural Rese
arch Service,U.S.Departme
nt of Agriculture,Washing
ton D.C.(1973))を参照し比較、検索し
た結果、本発明の菌株は、有胞子桿菌であるバチルス
(Bacillus)属の一種であると認められる。そ
して本菌株は、最近、堀越と秋葉(“Alkaloph
ilic Microorganism”,Japan
Scientific Society Press
(Tokyo),1982刊年)の主張している、所謂
好アルカリ性(Alkalophilic)微生物がpH
8以上のアルカリ培地に於いて生育し、これ以下の中性
pH領域では生育出来ないのに対し、弱酸性領域からアル
カリ領域(pH5〜10)に於いて生育が可能である事か
らこの好アルカリ性微生物とは明らかに異なるものであ
り、一般的な中性で生育するバチルス属微生物と判断で
きる。
【0032】更に本菌株を他の公知のバチルス属の菌株
と比較すると、最も類縁の種としてバチルス・サーキュ
ランス(Bacillus circulans)が挙
げられる。しかしながら、公知のサーキュランスに属す
る菌株と本菌株とを比較すると、ゼラチンの加水分解能
の点に於いて相異する。更に上記公知菌株は少なくとも
アルカリセルラーゼを産生しないので、本発明者らは本
菌株を新菌株と判断し、バチルス エスピーKSM−4
25と命名して工業技術院微生物工業技術研究所に寄託
した(FERM P−9007)。
【0033】本発明の菌株を用いてアルカリセルラーゼ
K−425を得るには、培地に該菌株を接種し、常法に
従って培養すれば良い。培地中には、資化し得る炭素源
及び窒素源を適当量含有せしめておくことが好ましい。
この炭素源及び窒素源については特に制限はないが、そ
の例としては、窒素源としてコーングルテンミール、大
豆粉、コーンスチープリカー、カザミノ酸、酵母エキ
ス、ファーマメディア、イワシミール、肉エキス、ペプ
トン、ハイプロ、アジパワー、コーンソイビーンミー
ル、コーヒー粕、綿実油粕、カルチベータ、アミフレッ
クス及びアジプロン、ゼスト、アジックスなどが挙げら
れる。又、炭素源としては、籾穀、麸、濾紙、一般紙
類、おが屑などの植物繊維質、廃糖蜜、転化糖、カルボ
キシメチルセルロース(CMC)、アビセル、セルロー
ス綿、キシラン、ペクチンに加え、資化し得る炭素源、
例えば、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラ
クトース、マンノース、フラクトース、麦芽糖、ショ
糖、乳糖、トレハロース、マンニット、ソルビット、グ
リセリン、可溶性デンプンや資化し得る有機酸、例えば
酢酸などが挙げられる。また、その他、リン酸、M
2+、Ca2+、Mn2+、Zn2+、Co2+、Na+、K+
どの無機塩や、必要であれば、無機、有機微量栄養源を
培地中に適宜添加することもできる。
【0034】斯くして得られた培養物中からの目的物質
であるセルラーゼK−425の採取及び精製は、一般の
酵素の採取及び精製の手段に準じて行うことが出来る。
即ち、遠心分離又は濾過等の通常の固液分離手段により
菌体を培養液から除去して粗酵素液を得ることが出来
る。この粗酵素液は、そのまま使用することも出来る
が、必要に応じて、塩析法、沈澱法、限外濾過法等の分
離手段により粗酵素を得、更に公知の方法により精製結
晶化して、精製酵素として使用することも可能である。
【0035】斯くして得られたアルカリセルラーゼK−
425は、以下に示す酵素学的性質を有する。なお、酵
素活性の測定は、以下の方法に従って行い、用いた緩衝
液は次の通りである。
【0036】pH3〜8 マクルベイン緩衝液 pH8〜11 グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液 pH12〜13 塩化カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液
【0037】酵素活性測定法: (1)CMCアーゼ活性 10mgCMC(A−01L、山陽国策パルプ社)、10
0μmol各種緩衝液(マクイルバイン、リン酸、グリシ
ン−NaOH等)を含む基質溶液0.9mlに0.1mlの
酵素溶液を加え、30℃、20分反応した、反応液、
3,5−ジニトロ−サリチル酸(3,5−dinitr
o−salicylic acid(DNS))法にて
還元糖の定量を行った。すなわち、反応液1.0mlにD
NS試薬1.0mlを加え、5分間、100℃で加熱発色
させ、冷却後、4.0mlの脱イオン水を加えて希釈し
た。これを波長535nmで比色定量した。酵素力価は、
上記の条件下で1分間に1μmolのグルコースに相当す
る還元糖を生成する酵素量を1単位とした。
【0038】(2)p−ニトロフェニルセロビオシド分
解活性 0.1μmol p−ニトロフェニルセロビオシド(シグ
マ社)、100μmolリン酸緩衝液(pH7.0)を含む
反応液1.0ml中に適当量のCMCアーゼを30℃で作
用させた後、1M Na2CO3を0.3ml、脱イオン水
を1.7ml順次加え、遊離するp−ニトロフェノールを
400nmで比色定量した。酵素力価は、上記の条件下で
1分間に1μmolのp−ニトロフェノールを遊離させる
酵素量を1単位とした。
【0039】(3)アビセル、セルロース粉末及び濾紙
分解活性 20mgアビセル(メルク社)、200μmolリン酸緩衝
液(pH7.0)を含む反応液2.0ml中に適当量の酵素
液を加え、30℃、250rpmで振とうしながら作用さ
せた。反応後、冷却遠心分離(5℃、3000rpm、2
0分)を行い、その上清1.0mlを3,5−ジニトロ−
サリチル酸(3,5−dinitro−salicyl
ic acid(DNS))法にて還元糖の定量を行っ
た。セルロース粉末分解活性はセルロース粉末(東洋濾
紙社)を、濾紙分解活性は濾紙(セルラーゼ活性検定用
濾紙、東洋No.51−特)を用い、アビセラーゼ活性の
時と同様に行った。酵素力価は、上記の条件下で1分間
に1μmolのグルコースに相当する還元糖を生成する酵
素量を1単位とした。
【0040】(4)セロビアーゼ活性 10mgセロビオース(関東化学社)、100μmolリン
酸緩衝液(pH7.0)を含む反応液1.0ml中に適当量
の酵素液を30℃で作用させた後、100℃、2分処理
し酵素を失活させた後、生成グルコース量をムロターゼ
・GOD法(Glucose C−Test、和光純薬
工業社)で測定した。酵素力価は、上記の条件下で1分
間に2μmolのグルコースを生成する酵素量を1単位と
した。
【0041】(酵素学的性質) (1)作用 CMC、セルロース、濾紙、アビセル等の繊維素によく
作用し、これらを溶解せしめ、グルコース等の還元糖を
生成する。
【0042】(2)基質特異性 本酵素は、CMCの他にも、セルロースパウダー、アビ
セル、濾紙及びp−ニトロフェニルセロビオシド、セロ
ビオースに対する活性を有していた。セロビオース分解
活性は、CMCアーゼ活性の約4%であった。
【0043】(3)作用pH及び至適pH 作用pH範囲は、3.5〜12.5と極めて広範囲にわた
る。最適pHは、8〜10と幅広く、5.5〜10.5の
範囲に於いても至適pHに於ける活性の50%以上の相対
活性を有しており、従って過去に研究されたアルカリセ
ルラーゼの中でも最もアルカリ側で充分活性が発揮され
る酵素と言える(図1)。
【0044】(4)pH安定性 各々のpHで30℃、1時間保持した後の残存活性を測定
し、pH安定性を調べた。その結果、pH5〜11で極めて
安定で失活せず、pH3〜12に於いても、約50%以上
の活性を維持していた。本酵素は、このように高アルカ
リ領域に於いても充分に安定である(図2)。
【0045】(5)最適温度 作用温度は、15〜75℃の広範囲にわたり、その至適
温度は50℃であった。又、35〜55℃の範囲に於い
ても、至適温度での活性の50%以上を有していた(図
3)。
【0046】(6)温度安定性 至適pHに於いて、30分間各温度で処理した後、残存活
性を測定した結果、30℃では安定しており、50℃に
於いても約50%の残存活性を有していた(図4)。
【0047】(7)分子量 本酵素をセファデックスG−100(Sephadex
G−100)によるゲル濾過法に基づき分子量を測定
したところ、約3.5万であった。
【0048】(8)金属イオンの影響 本酵素について、各種金属イオン(Al3+、Fe3+、B
2+、Ca2+、Cd2+、Co2+、Cr2+、Cu2+、Fe
2+、Hg2+、Mn2+、Mo2+、Ni2+、Pb2+、Z
2+、Li+、K+、Na+)を活性測定時に共存させ
て、その影響を検討した(K+、Na+については濃度を
50mMとし、他のイオンについては、1mMとした)。そ
の結果、Hg2+、Ba2+で阻害が、Co2+により活性化
が認められた。
【0049】(9)界面活性剤の影響 各種界面活性剤(例えば、LAS、AS、ES、AO
S、α−SFE、SAS、石鹸、ポリオキシエチレンセ
カンダリ−アルキルエーテル)の酵素活性に及ぼす影響
を調べた。本酵素を界面活性剤0.05%溶液で30
℃、15分間処理後、活性測定を行った。その結果、何
れの界面活性剤によっても阻害を受けなかった。強力な
デタージエントであるソディウム・ドデシルサルフェー
トによっても活性の阻害は認められなかった。
【0050】(10)プロテアーゼ耐性 洗剤用プロテアーゼ、例えばAPI−21(昭和電
工)、マクサターゼ(ギスト社)及びアルカラーゼ(ノ
ボ社)を、活性測定時に共存(0.1mg/ml)させてそ
の影響を調べたところ、何れのプロテアーゼに対しても
強い耐性を有することがわかった。
【0051】(11)キレート剤の影響 キレート剤 EDTA、EGTA、トリポリリン酸ソー
ダ、ゼオライト、クエン酸を活性測定時に共存させ、そ
の影響を検討したが、ほとんど阻害が認められなかっ
た。
【0052】
【発明の効果】本発明の微生物より得られるアルカリセ
ルラーゼK−425は、従来のアルカリセルラーゼに比
較して高アルカリ側(pH10)に至適pHを有している。
その上、pH5.5〜10.5の広範囲に於いても、至適
pHにおける活性の50%以上の活性を有しており更にpH
5〜11に於いても極めて安定である。
【0053】また、界面活性剤、プロテアーゼ、キレー
ト剤等の洗浄剤配合成分によってもほとんど阻害を受け
ない。したがって、本酵素は洗浄剤組成物の配合成分と
して有利に使用することができるものである。
【0054】更に、本発明の菌株、バチルス エスピー
KSM−425は中性で生育する菌株であるので、好ア
ルカリ性菌株と比べ容易にアルカリセルラーゼを工業的
に生産することができる。
【0055】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説
明する。 実施例1 栃木県芳賀郡市貝町の土壌を薬匙一杯(約0.5g)、
滅菌生理食塩水に懸濁し、80℃で10分間熱処理し
た。この熱処理液の上清を適当に希釈して、分離用寒天
培地(培地1)に塗布した。次いで、これを30℃にて
3日間培養し、集落を形成させた。集落の周囲にCMC
の溶解に基づく透明帯を形成するものを選出し、CMC
アーゼ生産菌を取得した。更に、取得菌を培地2の液体
培地に接種し、30℃で3日間振盪培養した。培養後、
遠心分離した上清液についてCMCアーゼ活性を、pH3
〜13にて測定し、アルカリセルラーゼ生産菌をスクリ
ーニングした。
【0056】上述の方法により、本発明のバチルス エ
スピーKSM−425株(FERMP−9007)を取
得することが出来た。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】参考例1 実施例1で得たバチルス エスピーKSM−425株を
同実施例の液体培地2に接種し、30℃で3日間振盪培
養した。培養後、菌体を遠心分離して除き、粗酵素液を
得た。この粗酵素液1lに対してドライアイス−エタノ
ール中で、3lのエタノールを加え、生じた沈澱を遠心
分離し、更に凍結乾燥を行い、乾燥粉末として、アルカ
リセルラーゼK−425(比活性*10単位/g)10
gを得た。 * 酵素活性はpH9に於ける測定値である。
【0060】参考例2 CMCを蔗糖に代え、ポリペプトンを7%CSLに代え
る以外は実施例1の液体培地2と同じ組成の培地にバチ
ルス エスピーKSM−425株を接種し、30℃で2
日間振盪培養した。この培養物を遠心分離し、得られた
上清のCMCアーゼ活性を測定したところ160単位/
lであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】酵素反応pHと相対活性の関係を示す図面であ
る。
【図2】酵素処理pHと相対活性の関係を示す図面であ
る。
【図3】酵素反応温度と相対活性の関係を示す図面であ
る。
【図4】酵素処理温度と相対活性の関係を示す図面であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:07)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリセルラーゼK−425を生産す
    る能力を有し、微工研菌寄第9007号として寄託され
    たバチルス エスピー(Bacillussp.)KS
    M−425。
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