JPH0731878A - 触媒担体の製造方法及び該担体から調製した金属担持触媒を用いる重質油の水素化処理方法 - Google Patents

触媒担体の製造方法及び該担体から調製した金属担持触媒を用いる重質油の水素化処理方法

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JPH0731878A
JPH0731878A JP5199901A JP19990193A JPH0731878A JP H0731878 A JPH0731878 A JP H0731878A JP 5199901 A JP5199901 A JP 5199901A JP 19990193 A JP19990193 A JP 19990193A JP H0731878 A JPH0731878 A JP H0731878A
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Yasuo Obayashi
康男 大林
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐摩耗性等の強度、耐熱性、耐スチーム性等
に優れ、耐久性が高く、また、適当な酸塩基特性を有
し、しかも活性金属成分を分散性よく安定に担持するこ
ともできるなど触媒担体としての諸特性に優れる高性能
のアルミナ・マグネシア・シリカ系触媒担体を製造する
方法、並びに、常圧残油、減圧残油、オイルサンド油、
石炭液化油等の各種の重質な原料油から、脱硫、脱重金
属等の精製及び軽質化を効率よく行い、有用中間留分を
多量に含む性状のよい精製油を生産性よく製造すること
ができる重質油の水素化処理方法を提供する。 【構成】 アルミナ、マグネシア及びシリカを含む触媒
担体を製造するにあたり、アルミナ原料とマグネシア原
料を予め混合し、これにシリカ原料を添加し、噴霧乾燥
を行う触媒担体の製造方法、及び、この方法によって製
造した触媒担体に水素化活性を有する金属成分を担持し
てなる触媒と重質油を混合し、懸濁床反応装置にて該重
質油の水素化分解を行う重質油の水素化処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミナ、マグネシア
及びシリカからなる触媒担体の製造方法に関し、更に詳
しく言うと、耐摩耗性等の強度、耐熱性、耐スチーム等
の耐久性に優れ、また、適度な酸塩基特性を有するなど
優れた触媒物性を有し、重質油の懸濁床による水素化処
理に有利な金属担持触媒をはじめとする種々の触媒の調
製に好適に使用することができるアルミナ・マグネシア
・シリカ系触媒担体を容易にかつ有利に製造する方法に
関する。
【0002】本発明は、また、重質油の水素化処理方法
に関し、更に詳しく言うと、触媒として上記本発明の方
法で得た優れた特性を有する触媒担体に適当な水素化活
性を有する金属成分を担持した触媒を用い、懸濁床方式
によって、常圧残油、減圧残油、オイルサンド油、石炭
液化油等の各種の重質な原料油から、脱硫、脱重金属等
の精製及び軽質化を効率よく行って、有用中間留分を多
量に含む性状のよい精製油を生産性よく製造するのに極
めて有利な方法である重質油の水素化処理方法に関す
る。
【0003】
【従来の技術】近年、石油や石炭をより有効に利用する
ために、また、原油の重質化の傾向に伴い、常圧残油、
減圧残油、オイルサンド油あるいは石炭液化油等の重質
油を懸濁床によって水素化処理(水素化脱硫や水素化分
解等によって原料油の精製と軽質化を主とする水素化反
応処理)して、硫黄分等の不純物が少なく性状のよい中
間留分に富む軽質化油に効率よく転化するプロセスの重
要性が益々増加している。すなわち、このプロセスは、
付加価値の低い重質油から性状のよい燃料油やFCCプ
ロセスに好適な原料油あるいは潤滑油などのより有用な
液状油を大量に製造するプロセスとして注目されてい
る。
【0004】こうした懸濁床による重質油の水素化処理
においては、その触媒として、脱硫率及び中間留分の収
率が高く、コークの生成・析出が少ないなど反応成績が
良好であると共に、懸濁床という過酷な条件に十分に耐
えるように耐摩耗性等の強度にも優れたものを用いるこ
とが望ましい。また、重質油には、通常、バナジウムや
ニッケル等の重金属類が含まれているので、この水素化
処理によってそのような重金属類を除去することもしば
しば重要となるし、その際、触媒にはこれらの重金属類
が吸着しても活性等の触媒性能が大きく減少することが
ないように重金属類に対する耐性が高いことも要求され
る。更に、触媒はその再生時に一般に高温下でスチーム
雰囲気にさらされるので、こうした触媒には、耐スチー
ム性が高いことも要求される。すなわち、単に活性や中
間留分収率が高いなど反応成績が良好であるというだけ
ではなく、耐摩耗性等の強度に優れ長時間の使用に耐
え、しかも、反応・再生を繰り返し行っても触媒性能の
劣化が少ない耐久性にも優れた触媒の開発が望まれてい
る。
【0005】ところで、重質油の水素化処理用触媒とし
ては、従来、アルミナ、シリカアルミナ、アルミナチタ
ニア等の耐火性酸化物担体に水素化活性を有する金属成
分としてNi−Mo、Co−Mo、Ni−W等の周期表
VIA族金属(特にMo、W)とVIII族金属(特に
鉄族金属)を主成分とする金属成分が担持されている触
媒が一般的であり、しばしば、直接脱硫に用いた廃触媒
なども用いられている。しかしながら、これらの触媒を
含め従来使用若しくは提案されている水素化処理用触媒
は、懸濁床による重質油の水素化処理用触媒としての性
能(すなわち、上記のような活性や選択性及び耐摩耗性
等の機械的強度、耐スチーム性、耐重金属性等)を十分
に満足しているとは言いがたく、触媒性能特にその担体
の性能を改善することが強く要望されている。
【0006】例えば、米国特許第4082648号明細
書には、接触分解平衡触媒を用いる方法が記載されてい
る。しかし、この触媒の場合には、重質油の水素化処理
に対しては活性が十分ではないし、コークの生成・析出
が多く、中間留分の収率が低いなど多くの欠点を有して
いる。なお、平衡触媒とは、一般に、所定の触媒反応に
十分長時間用いて活性がほぼ定常となった触媒すなわち
平衡化処理を行った触媒のことを言う。上記の接触分解
平衡触媒は、接触分解用触媒(アルミノシリケート類)
を接触分解反応に用いて平衡触媒となしたものである。
【0007】また、特開昭54−40806号公報に
は、重質油の水素化処理用触媒として直接脱硫廃触媒を
用いる方法が記載されている。しかし、この触媒の場合
には、触媒活性自体にはさほど問題はないものでも機械
的強度が不十分であるため、懸濁床に用いた場合には摩
耗による触媒の損失は免れない。なお、直接脱硫触媒と
しては、アルミナ、シリカアルミナ、あるいはゼオライ
ト系担体にCo−Mo等の周期表VIA族金属とVII
I族金属を担持したものが一般的であり、これらは通常
固定床方式で用いるために、さほど高い耐摩耗性を必要
としていない。上記の直接脱硫廃触媒は、そうした触媒
を直接脱硫に用いたものである。
【0008】更にまた、特開平4−354535号公報
には、シリカアルミナ又はチタニアアルミナ上に周期表
VIA族金属及びVIII族金属を担持した触媒を用い
る方法が記載されている。しかし、この触媒の場合に
は、触媒活性及び耐摩耗性等についてはさほど問題はな
いものでも、耐スチーム性等の耐久性が不十分であった
り、過分解による低級炭化水素の生成やコークの生成・
析出といった副反応が多いなどの欠点を有している。そ
のため、重質油の水素化処理に用いた場合に有用な中間
留分の収率が不十分となるし、また、触媒を反応と再生
を繰り返して使用すると劣化が著しく、触媒寿命が短い
という問題点がある。
【0009】このほか、担体としてアルミナ又はシリカ
アルミナを用い、これらの表面上に鉄族金属とVIA族
金属を担持すると共にマグネシウム化合物等のアルカリ
土類金属成分を添加担持して変性(修飾)した触媒を用
いる方法も提案されている(特開昭50−133193
号公報及び米国特許第3976561号明細書)。この
ようなアルカリ土類金属成分の添加によって、担体や触
媒自体の酸性度を制御することができるので、重質油の
水素化処理に用いた際に、過分解の抑制やコークの生成
・析出の低減を図り、中間留分への選択性を高めること
がある程度可能となる。しかしながら、これらの触媒に
おいては、触媒の調製法特に担体の変性法が不適切であ
るためにマグネシア等の添加剤は担体表面あるいは表面
付近にしか含有されずバルク内まで均一にうまく含有さ
せることができないなどの理由によって、結局は担体
(つまり触媒)の耐スチーム性等の耐久性の向上が十分
になされていないという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的
は、耐摩耗性等の強度、耐熱性、耐スチーム性等に優
れ、耐久性が高く、また、適当な酸塩基特性を有し、し
かも活性金属成分を分散性よく安定に担持することもで
きるなど触媒担体としての諸特性に優れ、例えば、適当
な水素化活性を有する金属成分を担持することによっ
て、各種の炭化水素類の水素化処理特に重質油の懸濁床
による水素化処理に対して高い活性(脱硫活性、水素化
分解活性等)を示すと共に、過分解による低級炭化水素
留分やコークの生成・析出等の副反応が少なく有用な中
間留分の収率が高いなど良好な反応成績を示し、しか
も、反応を長時間継続しても、更には反応・再生を繰り
返しても、比表面積の低下、摩耗等の損傷あるいは担持
活性金属成分の脱離や飛散といった劣化が少なく、寿命
及び耐久性にも優れた高性能の触媒を得ることができ、
このような製油プロセス用触媒をはじめとする種々の触
媒の調製用担体あるいは触媒成分として好適に使用する
ことができる高性能のアルミナ・マグネシア・シリカ系
触媒担体を容易にかつ有利に製造する方法を提供するこ
とにある。
【0011】また、本発明の他の目的は、上記本発明の
方法で製造した上記の優れた特性を有するアルミナ・マ
グネシア・シリカ系触媒担体の特に好適な利用技術とし
て、懸濁床方式による重質油の水素化処理方法におい
て、触媒として該触媒担体に適当な水素化活性を有する
金属成分を担持した触媒(すなわち、中間留分収率の向
上、コークの生成・析出の抑制、長時間及び繰り返し使
用等に有利になるように改善された触媒)を用いること
によって、常圧残油、減圧残油、オイルサンド油、石炭
液化油等の各種の重質な原料油から、脱硫、脱重金属等
の精製及び軽質化を効率よく行い、有用中間留分を多量
に含む性状のよい精製油を生産性よく製造することがで
きるように改善された実用上著しく有利な重質油の水素
化処理方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成すべく、特に懸濁床による重質油の水素化処理に有
利な高性能の担持金属触媒の調製用担体として好適に使
用することができる耐摩耗性等の強度、耐熱性、耐スチ
ーム性等に優れた性能のよい触媒担体を得るべく鋭意研
究を重ねた。その結果、少なくともアルミナ原料とマグ
ネシア原料とシリカ原料からアルミナ、マグネシア及び
シリカからなる触媒担体用の組成物を製造するに際し
て、まずアルミナ原料とマグネシア原料を混合した後に
該混合系にシリカ原料を添加して十分に均一化するよう
に混合させて得られたスラリー状の組成物を噴霧乾燥す
るという特定の方法を用いることによって調製したアル
ミナ・マグネシア・シリカ系組成物(触媒担体)が、少
なくとも耐摩耗性等の強度、耐スチーム性等の耐久性が
十分であるなど前記目的を達成のために十分に満足な諸
特性を有する優れた触媒担体となり、これに適当な水素
化活性を有する金属成分(特にVIA族金属又はVII
I族金属)を担持した金属担持触媒が前記目的を達成す
るのに十分な優れた重質油の懸濁床水素化処理用触媒と
なることを見いだした。
【0013】なお、このように特定の方法によって調製
したアルミナ・マグネシア・シリカ系組成物(触媒担
体)が、従来の方法によって調製したシリカアルミナを
マグネシア等で変性した担体に比べて、耐摩耗性等の強
度に優れた上に耐スチーム性等の耐久性に優れている理
由については、種々の点が考えられるが、この本発明の
方法の場合には触媒担体の表面付近だけでなくバルク内
にマグネシア成分を十分に高濃度に至るまでうまく分散
含有させることができるので、その耐スチーム性等の諸
特性が効果的に改善できたものと思われる。
【0014】本発明者は、主として、これらの知見及び
事実に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0015】すなわち、本発明は、アルミナ、マグネシ
ア及びシリカを含む触媒担体を製造するにあたり、アル
ミナ原料とマグネシア原料を予め混合し、これにシリカ
原料を添加し、噴霧乾燥を行うことを特徴とする触媒担
体の製造方法を提供するものである。
【0016】また、本発明は、上記本発明の製造方法に
よって得た触媒担体の利用技術の中でも特に好適な利用
技術として、該触媒担体に水素化活性を有する金属成分
を担持してなる触媒と重質油を混合し、懸濁床反応装置
にて該重質油の水素化分解を行うことを特徴とする重質
油の水素化処理方法を併せて提供するものである。
【0017】[アルミナ・マグネシア・シリカ系触媒担
体の製造]本発明の方法においては、アルミナ原料とマ
グネシア原料を予め混合し、これにシリカ原料を添加
し、噴霧乾燥を行うことによって所望の各種のアルミナ
・マグネシア・シリカ系組成物である触媒担体を製造す
ることが肝要であるが、その他の点(例えば、調製原料
の種類や調製条件・手法等)については従来と同様にし
て行うことができる。
【0018】アルミナ源として用いる前記アルミナ原料
としては、従来のアルミナ担体やシリカアルミナ等の調
製に常用されるものなど多種多様なものが使用可能であ
り、具体的には例えば、アルミン酸ナトリウム、硫酸ア
ルミニウム、硝酸アルミニウム、アルミニウムアルコキ
シド、アルミナ類(例えば、無水アルミナ、水和アルミ
ナ若しくは水酸化アルミニウムあるいはアルミナゾル
等)などを挙げることができる。これらの中でも、アル
ミナゾル等のアルミナ類が好適である。アルミナゾル
は、市販品でもよいし、各種のアルミニウム化合物の加
水分解等により調製して使用してもよい。アルミナゾル
の中でも球状のものが更に好ましい。球状のアルミナゾ
ルを例示すれば、カイザー社製の球状アルミナや日産化
学社製の球状アルミナ等が挙げられる。ここで、球状と
はアルミナ一次粒子の縦と横の比が1〜3.0の範囲に
あるものをいう。なお、これらのアルミナ原料は、1種
単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を併用する
こともできる。
【0019】マグネシア源として用いる前記マグネシア
原料としては、従来のマグネシア担体やシリカマグネシ
ア等の調製に常用されるものなど多種多様なものが使用
可能であり、具体的には例えば、水酸化マグネシウム、
塩化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム、炭酸マ
グネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢
酸マグネシウム等の各種のマグネシウム塩、酸化マグネ
シウムなどを挙げることができる。これらの中でも、特
に、水酸化マグネシウム等が好適である。水酸化マグネ
シウムは、市販品でもよいし、各種のマグネシウム化合
物の加水分解等により調製して使用してもよい。なお、
これらのマグネシア原料は、1種単独で使用してもよい
し、あるいは2種以上を併用することもできる。
【0020】シリカ源として用いる前記シリカ原料とし
ては、従来のシリカ担体やシリカアルミナ等の調製に常
用されるものなど多種多様なものが使用可能であり、具
体的には例えば、水ガラス、シリカ類(コロイダルシリ
カ等のシリカゾル、シリカゲル、珪酸若しくは水酸化珪
素類、無水シリカ等)、各種の珪酸塩(例えば、珪酸ナ
トリウム、珪酸カリウム等)、四塩化珪素等のハロゲン
化珪素類、珪酸エステル類などを挙げることができる。
これらの中でも、特に、シリカゾル等が好適である。シ
リカゾルは、市販品でもよいし、各種の珪素化合物の加
水分解等により調製して使用してもよい。なお、これら
のシリカ原料は、1種単独で使用してもよいし、あるい
は2種以上を併用することもできる。
【0021】本発明の触媒担体の製造方法においては、
まず、前記アルミナ原料とマグネシア原料を混合し、次
いで、この混合系に前記シリカ原料を添加することが重
要である。
【0022】これらの混合に際して、アルミナ原料とマ
グネシア原料及びシリカ原料は、それぞれ、水溶液とし
て使用してもよいし、あるいは水若しくは水系溶媒に分
散させた懸濁液(スラリー)として用いてもよいし、更
には、一部が水溶液で一部がスラリー状の状態で使用し
てもよい。一般的には、水溶性のものは水溶液として、
一方、不溶性のものは水に分散させた懸濁液(スラリ
ー)として用いる方式が好適に採用されるが、水溶性の
ものを予め加水分解等によって水系スラリー液(例え
ば、ゾル溶液やゲル状微粒子の懸濁液等)として用いる
など種々の変形が可能である。
【0023】また、必要に応じて原料液に予めpH調整
剤等の添加剤を添加し、原料液スラリーの安定化を図っ
たり、あるいは混合の際の成分間反応の促進を図った
り、混合後のスラリーの安定化を図るなどの処置を施し
てもよい。また、場合に応じて、こうしたpH調整剤等
の添加剤の添加は原料液の混合時に行ってもよいし、あ
るいは、混合後の中間生成物や最終生成物に対して行っ
てもよい。
【0024】すなわち、混合に際して、原料液や混合時
あるいは混合後の混合物に対して適宜pH調整剤等の適
当な添加剤を添加し、それぞれの時点におけるスラリー
の安定化や混合における各成分間の反応の促進を図るな
どの処置を施すことがしばしば好適となる。また、この
方法では、アルミナ原料とマグネシア原料との混合反応
物にシリカ原料を添加し均一に混合することによって通
常スラリー状の組成物(すなわち、アルミナ、マグネシ
ア及びシリカからなる組成物あるいはその前駆体のスラ
リー)が得られるが、このスラリーをその後の噴霧乾燥
に供するまで安定に保持することが好ましいので、この
目的のためにも上記のように、いずれかの時点で適宜p
H調製剤等を添加することがしばしば好ましい処置とな
る。
【0025】前記pH調整剤等の添加剤としては、通常
知られている各種のものを適宜選択して使用すればよ
く、そのようなものとして、例えば、アンモニア、カセ
イソーダ、酢酸、リンゴ酸等の有機酸、塩酸、硫酸等の
鉱酸など多種多様なものを挙げることができる。
【0026】前記混合に供するアルミナ原料液の濃度す
なわち該原料液におけるアルミナ原料(アルミニウム化
合物)の濃度は、アルミナ換算で、通常、1〜50重量
%の範囲に選定するのが好ましい。
【0027】また、前記混合に供するマグネシア原料液
の濃度すなわち該原料液におけるマグネシア原料(マグ
ネシウム化合物)の濃度は、マグネシア換算で、通常、
1〜50重量%の範囲に選定するのが好ましい。
【0028】更に、前記混合に供するシリカ原料液の濃
度すなわち該原料液におけるシリカ原料(珪素化合物)
の濃度は、シリカ換算で、通常、1〜50重量%の範囲
に選定するのが好ましい。
【0029】これら各原料液の濃度が1重量%未満であ
ると混合後のスラリーが著しく希薄となり、これをその
まま噴霧乾燥すると造粒された固体粒子から多量の水分
が蒸発するのでその際固体粒子に穴があいて固体粒子の
性状が悪化したり強度が不十分となるなどの支障を生じ
易い。一方、原料液の濃度が50重量%より高いと、均
一な混合が困難となったり、また安定なスラリーを得る
ことが難しくなる。このような状態では、pH調整剤等
を添加しても、通常、噴霧乾燥を行う前にゲル化が起こ
ってしまい、噴霧乾燥が困難となったり、あるいは、噴
霧乾燥ができても性状のよい造粒物が得られないことが
ある。
【0030】前記アルミナ原料(原料液)とマグネシア
原料(原料液)の混合に際して、その混合操作は種々の
方式で行うことができ、例えば、前者に後者を添加して
もよいし、その逆の操作で行ってもよいし、混合器中に
これらを同時に添加し混合してもよい。その際、混合若
しくは添加は一気に行ってもよいし、徐々にあるいは段
階的に行ってもよい。この混合操作は、十分に均一な混
合が可能であれば任意の装置及び操作で行うことがで
き、通常の混練機や攪拌機等を用いて好適に行うことが
できる。混合の際の温度は、特に制限はなく、通常は室
温でも十分であるが、必要に応じて適宜加熱等の付加的
な処置を行ってもよい。これらの原料の混合割合は、最
終的に製造したい触媒担体の組成に応じて適宜選定すれ
ばよい。その好適な組成については後述する。
【0031】以上のようにして、所定のアルミナ原料
(原料液)とマグネシア原料(原料液)を混合し、得ら
れた混合液(以下、これをアルミナ・マグネシア混合液
と呼ぶ)に前記所定のシリカ原料(原料液)を混合す
る。
【0032】このアルミナ・マグネシア混合液とシリカ
原料液の混合も、種々の方式で行うことができ、例え
ば、前者に後者を添加してもよいし、その逆の操作で行
ってもよいし、混合器中にこれらを同時に添加し混合し
てもよい。その際、混合若しくは添加は一気に行っても
よいし、徐々にあるいは段階的に行ってもよい。この混
合操作は、十分に均一な混合が可能であれば任意の装置
及び操作で行うことができ、通常の混練機や攪拌機等を
用いて好適に行うことができる。混合の際の温度は、特
に制限はなく、通常は室温でも十分であるが、必要に応
じて適宜加熱等の付加的な処置を行ってもよい。
【0033】このように、本発明の方法においては、ア
ルミナ原料(原料液)とマグネシア原料(原料液)を混
合した後に、該混合系すなわちアルミナ・マグネシア混
合液とシリカ原料(原料液)を混合し、噴霧乾燥に好適
な所定の組成のスラリーを調製する。その際、各原料液
の混合割合は、最終的に得られる触媒担体の組成が、ア
ルミナ分が10〜65重量%でマグネシア分が5〜45
重量%でかつシリカ分が30〜50重量%の範囲となる
ように選定することが好ましい。
【0034】ここで、触媒担体におけるマグネシアの含
有量が5重量%未満であると耐スチーム性等の耐久性の
向上が不十分となり、また、コークの生成・析出等の副
反応の抑制効果も不十分となることがあり、一方、その
含量が45重量%より多くなるとその分アルミナ又はシ
リカの含量が少なくなるので、耐摩耗性が低下し、ま
た、酸性度が不十分となるため金属成分を担持して水素
化処理用触媒として用いた時に十分な活性が得られない
ことがある。
【0035】また、アルミナの含量が10重量%未満で
あると同様に触媒活性が低下し、一方、その含量が65
重量%を超えるとマグネシア又はシリカの含有量が少な
くなるので、耐久性又は耐摩耗性が低下する。
【0036】更に、シリカの含量が30重量%未満であ
ると耐摩耗性が低下し、一方、その含量が50重量%よ
り多いとアルミナ又はマグネシアの含量が少なくなるの
で、触媒活性や耐久性が低下する。
【0037】次に、本発明の方法においては、上記のよ
うにしてアルミナ原料(原料液)とマグネシア原料(原
料液)を混合した後にシリカ原料(原料液)を混合する
という特定の順序で混合することによって調製したスラ
リーを噴霧乾燥し、この噴霧乾燥によって余分の水分を
除去すると共に所望の粒度の球形状の固体粒子に造粒す
る。その際、前記したように必要に応じて、噴霧乾燥を
行う前にスラリーの状態(水分量やpH等)を調整する
などの処置を施してもよい。
【0038】この噴霧乾燥は、公知の方法に従って好適
に行うことができる。噴霧乾燥の際の操作温度は、通
常、100〜450℃、好ましくは、100〜350℃
の範囲に選定するのが好適である。造粒固体粒子の粒度
は、例えば噴霧乾燥に供するスラリーの粘度(水分量な
どに依存)、噴霧速度等の操作方式、噴霧乾燥温度など
の諸条件を考慮するという常法に従って制御することが
できる。スラリーの粘度については4000cP未満が
好ましい。4000cP以上ではスプレードライする
際、配管が詰りスプレードライできない。このようにし
て、例えば、平均粒径が30〜200μm程度の範囲に
ある造粒物を容易に得ることができる。
【0039】こうして得た造粒物は、必要に応じて洗
浄、乾燥、焼成等の後処理を行って、所望の触媒担体に
仕上げることができる。
【0040】なお、この触媒担体には、必要に応じて本
発明の目的に支障のない範囲で、アルミナ、マグネシア
及びシリカ以外の他の成分を含有させてもよい。その
際、それら他の成分の添加は、前記調製過程の任意の時
点で行うことができる。
【0041】このように本発明の方法によって製造した
触媒担体(すなわち、アルミナ、マグネシア及びシリカ
からなる各種の組成の触媒担体)は、前記したように、
適当な酸塩基特性及び比表面積を有し、しかも、耐摩耗
性等の強度、耐スチーム性等の耐久性に優れた触媒担体
であり、各種の触媒調製用の担体若しくは触媒成分とし
て好適に利用することができ、特に、後述するように重
質油の懸濁床による水素化処理に対して優れた触媒性能
を発揮する触媒の調製用担体として好適に使用すること
ができる。
【0042】[重質油の水素化処理方法]本発明の重質
油の水素化処理方法は、懸濁床方式にて重質油の水素化
分解を行うに際してその触媒として上記本発明の製造方
法によって得た所定の触媒担体に適当な水素化活性を有
する金属成分を担持してなる触媒を用いることを特徴と
するものであり、他の点においては従来の懸濁床方式に
よる重質油の水素化処理方法と同様にして行うことがで
きる。
【0043】該触媒担体に担持する前記水素化活性金属
成分としては、従来の水素化脱硫反応や水素化分解反応
等に対して十分な活性を示す金属成分であれば特に制限
はないが、各種の活性金属成分を1種単独で、あるいは
2種以上を担持して使用することができる。こうした水
素化活性金属成分としては、各種のものや各種の組み合
わせが知られているが、中でも、周期表VIA族金属及
び/又はVIII族金属からなるものが好適に使用する
ことができる。
【0044】前記周期表VIA族金属としては、通常、
モリブデン、タングステンが好適であり、一方、周期表
VIII族金属としては、通常、コバルト、ニッケル、
鉄等が好適である。
【0045】本発明の重質油の水素化処理方法におい
て、特に好適な水素化処理触媒を与える担持金属の種類
あるいは組み合わせとしては、単独金属担持系の場合に
は、例えば、ニッケルやモリブデンを挙げることがで
き、また、複合金属担持系の場合には、例えば、コバル
ト・モリブデン、ニッケル・モリブデン、ニッケル・タ
ングステン、ニッケル・モリブデン・タングステン、コ
バルト・モリブデン・タングステン、コバルト・ニッケ
ル・モリブデン、コバルト・ニッケル・モリブデン・タ
ングステン等の(コバルト及び/又はニッケル)と(モ
リブデン及び/又はタングステン)の組み合わせ系、あ
るいは、これらに鉄や他の金属を添加した系、また、鉄
・モリブデン系などを例示することができる。
【0046】なお、必要に応じて、これらの金属成分の
他に、他の金属成分を担持してもよい。
【0047】前記担体への担持に際してこれらの金属
は、例えば、酸化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸
塩、塩基性炭酸塩、塩化物等のハロゲン化物、アンモニ
ウム塩あるいはアンミン錯体等の無機化合物、蓚酸塩、
酢酸塩等の有機酸塩、カルボニル錯体、アセチルアセト
ナト錯体等の各種の有機錯体化合物など各種の種類及び
形態の化合物として使用することができるが、コバル
ト、ニッケル及び鉄の場合には、通常、硝酸塩、酢酸塩
等の水溶性の塩が好適に使用され、一方、モリブデン、
タングステンの場合には、通常、パラモリブデン酸アン
モニウム、メタモリブデン酸アンモニウム、パラタング
ステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウ
ム等によって代表されるモリブデン酸塩、タングステン
酸塩などが好適に使用される。
【0048】これらの活性金属成分の担持量は、得られ
る触媒重量当たりの金属の重量%として計算して、周期
表VIA族金属については、通常、0.5〜30重量%
の範囲に選定するのが好ましく、また、周期表VIII
族金属については、通常、1〜50重量%の範囲に選定
するのが好ましい。
【0049】前記活性金属成分の担持は、例えば、真空
含浸法、加熱含浸法、浸漬法、混練法など公知の各種の
担持手法に従って好適に行うことができる。通常は、担
持に供する金属化合物を適当な濃度の水溶液として用い
て担持する方法が好適に採用される。その際、担持に供
する各成分は、添加混合順序あるいは方式としては特に
制限はなく、これらを同時に添加混合してもよいし、逐
次的に添加混合してもよい。また、この担持の際に、担
持液にpH調整剤や分散性向上剤等の添加剤を適宜に添
加含有させてもよい。例えば、高担持率まで分散性よく
安定に担持するために、蓚酸、酒石酸、コハク酸、マロ
ン酸、リンゴ酸、クエン酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸
等の有機酸、グリコールやグリセリン等の多価アルコー
ル類、EDTA等の有機アミン類などを添加することも
しばしば好適に採用される。
【0050】前記水素化処理用触媒は、以上のようにし
て所定の活性金属化合物を担持した後、適宜、乾燥、焼
成することによって得ることができる。
【0051】この乾燥温度としては、通常、50〜15
0℃、好ましくは、80〜130℃の範囲に選定するの
が好適である。
【0052】また、焼成は、通常、空気若しくは酸素の
存在下で好適に行うことができる。焼成温度は、通常、
400〜700℃、好ましくは、500〜650℃の範
囲に選定するのが好適である。
【0053】以上のように、前記本発明の方法によって
製造したアルミナ、マグネシア及びシリカからなる触媒
担体を担体として用いて調製した水素化処理用触媒は、
重質油の懸濁床方式による水素化処理に対して優れた性
能を発揮する。
【0054】すなわち、こうして得た触媒は、該触媒担
体の優れた触媒特性とこれの担持した水素化活性金属成
分との複合効果によって、重質油の水素化処理に対して
高い活性(脱硫活性、水素化分解活性等)を示すと共
に、過分解による低級炭化水素留分やコークの生成・析
出等の副反応が少なく有用な中間留分の収率が高いなど
良好な反応成績を示し、しかも、主として該触媒担体の
前記優れた性能に基づき、耐摩耗性等の強度、耐熱性、
耐スチーム、耐重金属性(重質油中のバナジウム、ニッ
ケル等の重金属類の吸着等に対する耐性)等に優れるな
ど高い耐久性を示す。実際、該触媒は、懸濁床方式とい
う過酷な使用条件にも十分に耐え、反応を長時間継続し
ても、更には反応・再生を繰り返しても、比表面積の低
下、摩耗等による損傷あるいは担持活性金属成分の脱離
や飛散といった劣化が少なく、重質油の懸濁床方式によ
る水素化処理に対して上記の優れた反応成績を示すとと
もに高い耐久性を発揮する。
【0055】本発明の重質油の水素化処理方法において
は、その触媒としてこのような優れた性能を有する触媒
を懸濁床方式で用いることによって、重質油の水素化処
理を効率よく行い、特に各種の重質油から有用な中間留
分に富む精製油を効率よく製造する。
【0056】本発明の水素化処理方法においては、原料
油としては各種の組成若しくは沸点性状の重質油を使用
することができる。
【0057】前記原料油に用いる重質油としては、例え
ば、常圧残油、減圧残油、オイルサンド油、石炭液化油
等やこれらの各種の留分例えば、減圧軽油、減圧フラッ
シュ留分などが好適に使用される。
【0058】これらの重質油類は、それぞれ所定の留分
を混合せずに単独で使用してもよいし、あるいは、2種
以上の留分を適宜混合して用いてもよい。もちろん、必
要に応じて、他の各種の留分例えば常圧軽油留分やリサ
イクル油等のより軽質な留分を添加混合して使用しても
よい。
【0059】この水素化処理を行うに際して、前記水素
化処理触媒は、そのまま、反応に用いてもよいが、必要
に応じて、水素等による還元処理や硫化水素や硫黄含有
油等による予備硫化等の前処理を適宜行ってから反応に
供してもよい。
【0060】この水素化処理に通常好適に採用される反
応条件は、以下の通りである。
【0061】すなわち、反応温度は、通常、300〜5
50℃程度、好ましくは、350〜500℃程度の範囲
に選定するのが好適である。反応圧力は水素圧として、
通常、20〜300kg/cm2G程度、好ましくは、
50〜200kg/cm2G程度の範囲に選定するのが
好適である。液空間速度(LHSV)は、通常、0.0
5〜5h-1程度、好ましくは、0.2〜2h-1程度の範
囲に選定するのが好適である。水素ガスと原料油の供給
割合(H2/Oil)は、通常、300〜500Nm3
kl程度、好ましくは、500〜1000Nm3/kl
の範囲に選定するのが好適である。
【0062】この重質油の水素化処理は、反応を懸濁床
方式で行うが、この反応方式が熱効率、運転性等の点か
ら好ましいからである。
【0063】反応装置としては、通常の懸濁床反応装置
を適用することができ、中でも反応器と触媒再生器が連
結した装置すなわち触媒を循環させて反応と触媒再生を
連続的に実施できる反応装置が好適に使用される。
【0064】すなわち、この重質油の水素化処理方法に
おいては、触媒の再生を行わない方式で行ってもよい
が、ここで用いる触媒は前記したように特に触媒再生の
際に要求される耐スチーム性等の耐久性にも十分に優れ
ているので、触媒を再生して繰り返し使用する方式で行
うことによってプロセスの効率をより一層向上させるこ
とができる。その際、触媒の再生は別途に行ってもよい
が、触媒を循環させて反応と再生を連続的に繰り返す方
式によることが特に好ましい。
【0065】以上のようにして、水素化処理することに
よって、前記原料油(重質油)から硫黄分や重金属類を
効率よく除去するとともに、有用な中間留分に富む精製
油を収率よくかつ生産性よく得ることができる。
【0066】また、同時にナフサ留分、灯油留分等の軽
質の炭化水素留分や分解ガスなども得られる。
【0067】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示し、本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。
【0068】実施例1 Al23として69.2wt%を含むカイザー社製球状
アルミナ116gに水815gを加え湿式粉砕機で粉砕
して平均粒径2μmのアルミナスラリーを調製した。
【0069】このアルミナスラリー(アルミナ含量8.
6wt%)930gに宇部化学社製水酸化マグネシウム
スラリー(水酸化マグネシウム濃度26.3wt%)1
52gを添加し、よく攪拌した。次にこれにシリカゾル
(触媒化成社製S−30L、シリカ含量31.2wt
%)256gを加えた。はじめに粘度が上昇したが、さ
らにシリカゾルを加えると粘度は低下した。生成スラリ
ーの粘度をB型粘度計で測定したところ150cPであ
った。混合スラリーの固形分濃度は15wt%であっ
た。
【0070】このスラリーをスプレードライヤーにてア
トマイザー回転数 分速9000回転、入口温度230
℃にて噴霧乾燥し、球状粒子を得、これを 550℃で
3.5時間焼成し、所望の触媒担体を得た。
【0071】得られた触媒担体の組成はアルミナ40w
t%、シリカ40wt%、マグネシア20wt%であっ
た。
【0072】モリブデン酸アンモニウム(NH48MO
724・4H2O 350g、硝酸ニッケルNi(N
32 3.53g、リンゴ酸2.0gをイオン交換水
に溶解し、全量を26mlに調整し、含浸液を調製し
た。
【0073】上記触媒担体20.0gに前記含浸液を加
え、攪拌した。120℃で3時間乾燥後、550℃で
3.5時間焼成した。得られた触媒前駆体は乾燥重量あ
たり金属としてニッケル3wt%、モリブデン8wt%
を含む。焼成した触媒前駆体10gを原料油クウェート
減圧残油80gと共に容量300mlのオートクレープ
に仕込み、448℃、85kg/cm2Gの条件で1時
間反応を行った。反応評価結果は他の実施例と共に表1
に示す。
【0074】また、触媒の耐久性評価のため、触媒前駆
体にバナジウム2wt%、ニッケル1wt%を担持し、
さらにロータリーキルンにて640℃、スチーム濃度2
0vol%、1週間、の条件で高温スチーム処理を行い
処理前後の比表面積及びモリブデン含有量を測定した。
この結果についても表1に示す。
【0075】実施例2 実施例1においてアルミナスラリーに代えて日産化学社
製球状アルミナにし、粉砕せずそのまま用いた他は実施
例1と同様に行った。なお、混合スラリー粘度は330
cPであった。結果は表1に示す。
【0076】実施例3 原料として球状アルミナに代え触媒化成社製繊維状アル
ミナをそのまま用いた以外は実施例1と同様に行った。
なお、混合スラリー粘度は500cPであった。結果は
表1に示す。
【0077】実施例4 原料としてカイザー社製球状アルミナに代えてアルミナ
原料としてアルミン酸ナトリウム(酸化アルミニウムと
して同量)を用い、80℃で8時間アルミナ調製時に熟
成したアルミナを使用した他は実施例1と同様に行っ
た。なお、混合スラリー粘度は200cPであった。結
果は表1に示す。
【0078】
【表1】 実施例1、2に示す球状のアルミナゾルを用いると、実
施例3、4に示す繊維状のアルミナや水溶性のアルミニ
ウム化合物を用いた場合よりも高い活性(同一の転化率
に対し高い中間留分収率と低い固形分収率)が得られ
る。
【0079】
【発明の効果】本発明の触媒担体の製造方法は、耐摩耗
性等の強度、耐熱性、耐スチーム性等に優れ、耐久性が
高く、また、適当な酸塩基特性を有し、しかも活性金属
成分を分散性よく安定に担持することもできるなど触媒
担体としての諸特性に優れた高性能のアルミナ・マグネ
シア・シリカ系触媒担体を容易にかつ有利に製造するこ
とができる。
【0080】本発明の方法によって製造した該触媒担体
は、各種の触媒の調製用担体として好適に使用すること
ができ、特に、適当な水素化活性を有する金属成分を担
持することによって、重質油の懸濁床による水素化処理
に対して高い活性(脱硫活性、水素化分解活性等)を示
すと共に、過分解による低級炭化水素留分やコークの生
成・析出等の副反応が少なく有用な中間留分の収率が高
いなど良好な反応成績を示し、しかも、反応を長時間継
続しても、更には反応・再生を繰り返しても、比表面積
の低下、摩耗等の損傷あるいは担持活性金属成分の脱離
や飛散といった劣化が少なく、寿命及び耐久性にも優れ
た高性能の触媒を容易に得ることができる。
【0081】また、本発明の重質油の水素化処理方法に
おいては、上記の本発明の方法によって製造した触媒担
体を用いて得た上記の優れた性能(反応成績及び耐久性
等)を有する触媒を懸濁床方式で用いているので、各種
の重質油から有用な中間留分に富む精製油を効率よくか
つ生産よく得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミナ、マグネシア及びシリカを含む
    触媒担体を製造するにあたり、アルミナ原料とマグネシ
    ア原料を予め混合し、これにシリカ原料を添加し、噴霧
    乾燥を行うことを特徴とする触媒担体の製造方法。
  2. 【請求項2】 アルミナ原料が球状のアルミナである請
    求項1に記載の触媒担体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の方法によって製
    造した触媒担体に水素化活性を有する金属成分を担持し
    てなる触媒と重質油を混合し、懸濁床反応装置にて該重
    質油の水素化分解を行うことを特徴とする重質油の水素
    化処理方法。
  4. 【請求項4】 水素化活性を有する金属成分が周期表V
    IA族金属及びVIII族金属から選ばれた金属成分で
    ある請求項3に記載の重質油の水素化処理方法。
  5. 【請求項5】 触媒を反応と再生を繰り返して使用する
    ものである請求項3又は4に記載の重質油の水素化処理
    方法。
JP5199901A 1993-07-20 1993-07-20 触媒担体の製造方法及び該担体から調製した金属担持触媒を用いる重質油の水素化処理方法 Pending JPH0731878A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007167842A (ja) * 2004-03-12 2007-07-05 Saint-Gobain Ceramics & Plastics Inc 噴霧乾燥アルミナ触媒担体材料の形成方法
JP2008296100A (ja) * 2007-05-30 2008-12-11 Hitachi Zosen Corp 脱硝触媒製造用スラリー、そのスラリーを用いた脱硝触媒の製造方法およびその方法により製造された脱硝触媒
JP2015167936A (ja) * 2014-03-10 2015-09-28 日本ケッチェン株式会社 水素化処理触媒、当該触媒の製造方法、並びに当該触媒を用いる炭化水素油の水素化処理方法
CN113769727A (zh) * 2021-09-07 2021-12-10 中海油天津化工研究设计院有限公司 一种高稳定性固体碱催化剂及制备方法

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